日本工業規格
JIS
B
8248
-1994
円筒形多層圧力容器
Cylindrical layered pressure vessels
1.
適用範囲 この規格は,鋼材 2 層以上の層成部で構成された胴をもち,大気圧を超える内圧を保持す
る円筒形多層圧力容器(以下,多層容器という。
)について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 0190
圧力容器の構造共通用語
JIS B 8270
圧力容器(基盤規格)
JIS B 8271
圧力容器の胴及び鏡板
JIS B 8272
圧力容器の穴補強
JIS B 8281
圧力容器の応力解析及び疲労解析
JIS B 8282
圧力容器の溶接継手の機械試験
JIS B 8283
圧力容器の耐圧試験及び漏れ試験
JIS B 8285
圧力容器の溶接施工方法の確認試験
2.
この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2.
用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 0190 によるほか,次による。
(1)
多層容器 2 層以上で構成された胴をもつ圧力容器。
(2)
内層 多層容器の内壁を構成する円筒状の部分。
(3)
層成部 内層の外側に層成された部分。
(4)
ダミー 層成材の初層を溶接するとき,特に内層を保護する必要がある場合に用いる強度に関係ない
鋼材。
(5)
外層 層成部の外側に必要に応じて層成部と異なる材料を用いて多層容器の最外層を構成する円筒状
の部分(
1
)
。
(6)
層成胴 内層及び層成部並びに必要によって外層から構成された円筒。
(7)
層成部 層成部を構成する鋼材。
(8)
内層材 内層を構成する鋼材,クラッド鋼材又は非鉄金属材料。
(9)
外層材 外層を構成する鋼材。
(10)
第 1 種容器 JIS B 8270 の 3.(圧力容器の等級分類)(1.1)及び表 3.1(圧力容器の等級分類の概要)の
第 1 種容器の欄にその概要を示す圧力容器。
(11)
第 2 種容器 JIS B 8270 の 3.(1.2)及び表 3.1 の第 2 種容器の欄にその概要を示す圧力容器。
注(
1
)
層成部と同じ材料を用いて多層容器の外壁を構成する円筒状の部分は層成部とする。したがっ
て,外層がある場合とない場合がある。
2
B 8248-1994
3.
等級分類 多層容器は,材料,設計,工作・溶接,試験及び検査並びに附属品の内容に応じて,次の
2
等級分類とする。
(1)
第 1 種多層容器 設計圧力が 10MPa {1 000kgf/cm
2
}
未満で,設計温度が材料のクリープ温度より低い
多層容器。
(2)
第 2 種多層容器 設計圧力が 30MPa {300kgf/cm
2
}
未満の多層容器。
4.
種類 多層容器の種類は,層成部の製造方法によって,次の 3 種類とする。
(1)
同心円方式 内層の外側に円弧上に成形した層成材を同心円状に重ね合わせ,長手溶接継手によって
結合し,必要厚さとなるまで鋼板を重ね合わせる方式[
図 1(1)参照]。
(2)
巻付け方式 内層の外側に層成材をうず巻き状に必要厚さとなるまで巻き付ける方式で,必要に応じ,
成形された鋼材を同心円状に重ね合わせ,
長手継手によって結合する外層をもつ
[
図 1(2)及び(3)参照]。
(3)
焼きばめ方式 比較的厚い鋼材を曲げ加工後,長手溶接継手によって結合した円筒を内層の外側に,
必要厚さとなるまで焼きばめで重ね合わせる方式[
図 1(4)参照]。
5.
材料,設計,工作・溶接,試験及び検査並びに附属品 多層容器の材料,設計,工作・溶接,試験及
び検査並びに附属品については,第 1 種多層容器は
附属書 1 の規定に,第 2 種多層容器は附属書 2 の規定
による。
3
B 8248-1994
図 1 層成胴の種類
備考 記号(a)は内層,(b)はダミー(必要な場合),(c)は層成部,(d)は外層を示す。
6.
表示 多層容器には,適当な箇所に断熱措置を施した場合も見やすいように,次の事項を表示した銘
板を取り付けなければならない。
(1)
製造業者名
(2)
製造番号(整理番号を加えることは差し支えない。
)
(3)
設計圧力(差圧設計によるもの又は設計圧力を異にする室のあるものは,それぞれ明記する。
) (MPa)
{kgf/cm2}
4
B 8248-1994
(4)
設計温度(設計温度を異にする部分があるものは,明記する。
) (℃)
(5)
等級分類(第 1 種多層容器,第 2 種多層容器の区別。
)
(6)
内容積 (m3)
(7)
製造年月(製造番号に含まれる場合は省略できる。
)
5
B 8248-1994
附属書 1 第 1 種多層容器
1.
適用範囲 この附属書は,第 1 種多層容器(以下,1 種容器という。)に関する材料,設計,工作・溶
接,試験及び検査並びに附属品について規定する。
備考 この附属書 1 の中で引用する項目番号,図,表などは特に断りのないかぎり,この附属書 1 に
よる。
2.
材料 1 種容器に用いる材料は次による。
(1) 1
種容器に用いる材料は,JIS B 8270 の 5.2.1(第 1 種容器に用いる材料)に規定する材料とする。
(2)
材料は,次の(a)∼(h)の規定を満足しなければならない。
(a) JIS B 8270
の 5.1(材料一般)
(b) JIS B 8270
の 5.3.1(鉄鋼材料の使用制限)の(1)(使用制限一般)
(c) JIS B 8270
の 5.3.2(鋼板の熱処理)
(d) JIS B 8270
の 5.3.3(試験材及び試験片の採り方)
(e) JIS B 8270
の 5.3.4(鉄鋼材料の非破壊試験)の(1)及び(2)
(f) JIS B 8270
の 5.3.5(切欠じん性及び低温使用限界)の(1)(ボルト材以外の第 1 種容器用材料)及び
(3)
(ボルト材)
(g) JIS B 8270
の 5.4(非鉄金属材料)
(h) JIS B 8270
の 5.6.1(ボルト及びナット)の(1)及び 5.6.2(ナット及び座金)
3.
設計
3.1
設計一般 1 種容器の設計は,次による。
(1) 1
種容器の設計は,3.1
∼3.10 の規定による。これらの規定にない事項については,JIS B 8270 の 6.(設
計)のうち,第 1 種容器についての規定による。
(2)
設計に用いる材料の設計温度における基本許容応力(設計応力強さ)
σ
a
(又は S
m
)は,JIS B 8270 の
6.2.1
[基本許容応力(設計応力強さ)
]の(1)の(a),(b),(c),(f)及び(g)による。
備考 基本許容応力(設計応力強さ)
σ
a
は,JIS B 8281 では S
m
の記号を用いる。
(3)
設計に際しては,JIS B 8270 の 6.4.1(第 1 種容器の応力解析及び疲労解析)の規定に従って応力解析
及び疲労解析を行う。ただし,JIS B 8270 の 6.4.3(応力解析の免除)及び 6.4.4(疲労解析の免除)の
規定を満足する場合は,それぞれその規定範囲の部分及び荷重について応力解析及び疲労解析を免除
する。
3.2
厚さの算定
3.2.1
層成胴(円筒胴) 層成胴(円筒胴)の厚さの算定は,次による。
(1)
内圧を受ける 1 種容器の層成胴の計算厚さは,次の算式による。ただし,計算厚さは,JIS B 8270 の
6.5.1
(内圧を受ける胴)の(1)(円筒胴)の(a)及びその指定する JIS B 8271 の 3.2(円筒胴)の 3.2.2[設
計法(2)]の規定によって定めてもよい。
6
B 8248-1994
ú
ú
ú
ú
ú
û
ù
ê
ê
ê
ê
ê
ë
é
−
÷÷ø
ö
ççè
æ
−
1
2
2
3
exp
2
BL
yL
yL
i
X
P
D
t
σ
σ
σ
・
・
・
・
=
ï
ï
þ
ï
ï
ý
ü
ï
ï
î
ï
ï
í
ì
ú
ú
ú
ú
ú
û
ù
ê
ê
ê
ê
ê
ë
é
−
÷÷ø
ö
ççè
æ
−
1
2
200
3
exp
2
BL
yL
yL
i
X
P
D
t
σ
σ
σ
・
・
・
・
=
ここに,
t
:
層成胴の計算厚さ (mm)
P
:
設計圧力 (MPa) {kgf/cm
2
}
D
i
:
腐れ代を除いた胴の内径 (mm)
σ
yL
:
層成材の設計温度における降伏点又は 0.2%耐力。その値は,
JIS B 8270
の
付表 5.1
(鉄鋼材料の降伏点又は 0.2%耐力)及
び
付表 5.2
(ステンレス鋼の降伏点又は 0.2%耐力)による。
(N/mm
2
) {kgf/mm
2
}
σ
BL
:
層成材の設計温度における引張強さ。
JIS B 8270
の
付表 1.1
[特定鉄鋼材料の基本許容応力(第 1 種容器用)
]に掲げる
材料に対しては,設計温度における基本許容応力の 2.4 倍,
付表 1.2
[一般鉄鋼材料の基本許容応力(第 1 種容器用)
]
に掲げる材料に対しては,設計温度における基本許容応力
の 3 倍とすることができる。 (N/mm
2
) {kgf/mm
2
}
X
:
安全率の逆数で
3
1
とする。
(2)
内層材及び外層材又はそれらのいずれかの強度が層成材の強度よりも高い場合は,その部分を層成材
と同等とし,それらの全厚を層成材に加えて,強度を評価することができる。
(3)
内層材及び外層材又はそのいずれかの降伏強さが層成材の降伏強さよりも低い場合は,それらの有効
厚さ t
eff
を次の式によって算出し,
(1)
の計算厚さの一部に含めることができる。
yL
yo
o
yL
yi
i
eff
t
t
t
σ
σ
σ
σ
+
=
ここに,
t
eff
:
内層材及び外層材の有効厚さ (mm)
t
i
,t
o
:
それぞれ層成胴の内層材及び外層材の実際厚さから
腐れ代を除いた厚さ (mm)
σ
yi
,
σ
yL
,
σ
yo
: それぞれ層成胴の内層材,層成材及び外層材の設計
温度における降伏点又は 0.2%耐力。これらの値は,
JIS B 8270
の
付表 5.1
,
付表 5.2
,
付表 5.4
(ニッケル
クロム鉄合金の降伏点又は 0.2%耐力)及び
付表 5.5
(非鉄金属材料の各温度における降伏点又は 0.2%
耐力)による。 (N/mm
2
) {kgf/mm
2
}
なお,計算厚さを
JIS B 8270
の
6.5.1
の
(1)(a)
及び
その指定する
JIS B 8271
の
3.2.2
によって定める場
合に用いる基本許容応力
σ
a
は,層成材の基本許容応
力
σ
aL
を用い,有効厚さ t
eff
は,上記において,降伏
点又は 0.2%耐力
σ
yi
,
σ
yL
,及び
σ
yo
をそれぞれ
σ
ai
,
σ
aL
及び
σ
ao
に読み代える。
7
B 8248-1994
σ
ai
,
σ
aL
,
σ
ao
:
それぞれ層成胴の内層材,層成材及び外層材の設計
温度における基本許容応力。これらの値は,
JIS B
8270
の
付表 1.1
,
付表 1.2
及び
付表 1.3
[非鉄金属材
料の基本許容応力
(第 1 種容器用)
]
による。
(N/mm
2
)
{kgf/mm
2
}
3.2.2
鏡板
内圧を受ける 1 種容器の鏡板の設計は,
JIS B 8270
の
6.5.2
(中低面に圧力を受ける鏡板)
の
(1)
,
(2)
[ただし,
(b)
を除く。
]及びその形状に応じ,
(3)
(全半球形鏡板)の
(a)
,
(4)
(皿形鏡板)の
(a)
,
(5)
(正半だ円形鏡板)の
(a)
又は
(6)
(円すい形鏡板)の
(a)
及びそれらの指定する
JIS B 8271
の項目の規定
による。ただし,厚さが異なる鏡板と層成胴の継手部分の形状,寸法は
3.6
による。
3.2.3
胴フランジ及び平鏡板
内圧を受ける 1 種容器の胴フランジ及び溶接によって取り付ける平鏡板
の設計は,それぞれ
JIS B 8270
の
6.7.1
(第 1 種容器に用いるフランジ)の
(1)
(ノズル用管フランジ以外
のフランジ)及び
JIS B 8270
の
6.5.2(8)
並びにその指定する
JIS B 8271
の
4.5
[溶接によって取り付ける平
鏡板(平板)
]の
4.5.2
[設計法(2)]による。ただし,胴フランジ及び平板と層成胴の継手部分の形状,寸
法は
3.6
による。
3.2.4
円すい胴
内圧を受ける 1 種容器の円すい胴の設計は,
JIS B 8270
の
6.5.1
の
(3)
(円すい胴)の
(a)
及びその指定する
JIS B 8271
の
3.4
(円すい胴)の
3.4.3
[設計法(2)]の規定による。
3.3
穴及びその補強
穴及びその補強は,次の
(1)
∼
(7)
による。これらの規定にない事項については,
JIS
B 8270
の
6.9
(穴)のうち,第 1 種容器についての規定及びそれらの指定する
JIS B 8272
の
3.
(穴補強)
の
3.2
[設計法(2)]
,
3.3
[設計法(3)]及び
JIS B 8281
による。
また,マンホール,検査穴などは,
JIS B 8270
の
6.1.10
(知らせ穴)
,
6.1.11
(排液用穴)
,
6.1.12
(検査
などに必要な穴)
,
6.1.13
(マンホールの大きさ)
,
6.1.14
(掃除穴の大きさ)及び
6.1.15
(検査穴の大きさ)
による。
(1)
ノズルの形状は,
図 3.3.1
に示すとおりとする。
(2)
強め材はノズルに設けるか層成胴に設けるか,又はこれらの両方によるものとする。ただし,余分に
追加された層成材(全周)は強め材として算入してよい。
(3)
補強板(全周に取り付ける層成材ではなく,円板形のもの)によって穴又はノズルを補強することは
できない。
(4)
層成胴の基本許容応力は,層成胴を構成する内層材,層成材及び外層材の基本許容応力の厚さ平均値
を
a
σ とし,次の式で算出する。
o
L
i
ao
o
aL
L
ai
i
a
t
t
t
t
t
t
+
+
+
+
σ
σ
σ
σ
・
・
・
=
ここに, t
i
,t
L
,t
o
: それぞれ層成胴の内層材,層成材及び外層材の実際厚さ
から腐れ代を除いた厚さ (mm)
σ
ai
,
σ
aL
,
σ
ao
は
3.2.1(3)
による。
(5)
図 3.1.1
の
(j-1)
,
(j-2)
及び
(j-3)
の場合の穴径は d'とする。
(6)
強め材の基本許容応力は,設計温度において層成胴の基本許容応力の 70%より小さくてはならない。
(7)
層成胴に設けられる穴部の疲労解析が必要な場合は,
JIS B 8281
の
附属書 1
(応力解析)の
5.
(疲労
解析のための穴部の応力)に従って疲労解析を行う。
3.4
ノズルの取付け
ノズルの取付けは,次による。
(1)
層成胴に設けるノズルの取付けは,
図 3.3.1
による。ただし,
(j-1)
,
(j-2)
及び,
(j-3)
に示す部分溶込み
8
B 8248-1994
溶接のものは,計器用ノズル及び検査用ノズルなど外力がかからないものに限る。
(2)
図 3.3.1
の
(a)
及び
(b)
は溶接継手部で 3 : 1 のテーパがとれる場合に,必ずしもノズル側にテーパを設け
る必要はない。
(3)
図 3.3.1
の
(k-1)
及び
(k-2)
に示すように,ノズルは各層ごとに溶接して取り付けてもよい。
9
B 8248-1994
図 3.3.1 ノズルの形状及び取付け
10
B 8248-1994
図 3.3.1 (続き)
備考
t
B
:
層成胴の厚さ (mm)
t
n
:
ノズルネックの厚さ (mm) [ただし,(
j-1
)
の管の厚さ t
n
はスケジ
ュール 80 以上の厚さとする。
]
t
e
:
補強リングの厚さ (mm)
t
L
:
層成材の厚さ (mm)
r
1
:
4
1
t
B
(最大 20mm)
r
2
: 6mm 以上
r
3
: 20mm 以上
3.5
取付物及び支持構造
1 種容器に取り付けられるラグ,ブラケットなどの取付物及び支持構造の設計
は,次の
(1)
及び
(2)
を除き,
JIS B 8270
の
6.15
(取付物及び支持構造物)による。
(1)
取付物及び支持構造を層成胴の内面又は外面に取り付ける場合は,直接取り付けられる内層材,外層
材だけが計算の対象となる。
ただし,
荷重が層成材にも伝達されるような方法がとられている場合は,
別途考慮してよい。支持構造の例を
図 3.5.1
に示す。
(2)
層成胴にジャケットを設ける場合は,層成胴のベントホールを伸ばしてジャケットを貫通するような
構造とする。
11
B 8248-1994
図 3.5.1 支持構造
3.6
溶接継手の設計
3.6.1
溶接継手の位置による分類
1 種容器の圧力を受ける部分の溶接継手は継手位置によって,
次の A,
B
,C 及び D に分類する。その代表的な継手を
図 3.6.1
に示す。
(1)
分類 A 圧力を受ける部分のすべての長手継手及び全半球形鏡板を層成胴などに取り付ける周継手。
(2)
分類 B 圧力を受ける部分のすべての周継手で,分類 A,C 及び D に規定されたものを除く。
(3)
分類 C フランジ,管板又は平鏡板を層成胴に取り付ける溶接継手。
(4)
分類 D ドーム,マンホール,ノズルなどを層成胴に取り付ける溶接継手。
12
B 8248-1994
図 3.6.1 溶接継手の位置
備考
この図の鏡板及び円すい胴は,単肉とする。ただし,規定のない継手については,
JIS B 8270
の
7.1.1
(溶接継手の位置による分類)の規定による。
3.6.2
溶接継手の設計
1 種容器の溶接継手は,
次の
(1)
∼
(10)
の規定を満足するものでなければならない。
ただし,規定のない項目については,
JIS B 8270
の
7.
(溶接継手設計)の第 1 種容器についての項目の規
定による。
(1)
層成胴の内層の分類 A 及び B 継手は,次による。
(a)
分類 A 継手は,
表 5.1.1
の B-1 とする。
(b)
分類 B 継手は,
表 5.1.1
の B-1 又は B-2 とする。
(2)
層成部の分類 A 継手は,次による。
(a)
厚さが 22mm を超える層成部の分類 A 継手は,
表 5.1.1
の B-1 とする。
(b)
厚さが 22mm 以下の層成部の分類 A 継手は,
表 5.1.1
の B-1 又は B-2 とする。ただし,コイル状の
巻付け方式の最終外面溶接は,連続すみ肉溶接でもよい。
また,
スパイラル状の巻付け方式の溶接継手は,
図 3.6.2
に示す巻付け角度が 60 度以上であれば,
分類 B 継手とみなしてよい。
(3)
層成胴と層成胴又は層成胴と単肉部の分類 B 継手は,
表 5.1.1
の B-1 又は B-2 とし,かつ次の
(a)
∼
(d)
による。
(a)
互いに厚さの異なる層成胴と層成胴の分類 B 継手は,
図 3.6.2.1
の
(a)
又は
(b)
に示すようにテーパを
付ける。
(b)
互いに厚さの異なる層成胴と単肉部の分類 B 継手は,
図 3.6.2.1
の
(c)
,
(d)
,
(e)
又は
(f)
に示すように
テーパを付ける。
(c)
同じ厚さの層成胴と層成胴の分類 B 継手は,
図 3.6.2.5
の
(b)
,
(c)
,
(d)
,
(f)
又は
(g)
に示すような構造
とする。
(d)
同じ厚さの層成胴と単肉部の分類 B 継手は,
図 3.6.2.5
の
(a)
又は
(e)
に示すような構造とする。
(4)
層成胴と全半球鏡板の分類 A 継手は,
表 5.1.1
の B-1 又は B-2 とし,かつ次の
(a)
∼
(c)
による。
(a)
全半球形鏡板の厚さが層成胴の厚さよりも薄く,かつテーパ部が層成胴にある場合のテーパは,
図
3.6.2.2
の
(a)
,
(b-1)
,
(b-2)
又は
(b-3)
に示すような構造とする。
(b)
全半球形鏡板の厚さが層成胴の厚さよりも厚く,かつテーパ部が層成胴にある場合のテーパは,
図
3.6.2.2
の
(c)
,
(d-1)
又は
(e)
に示すような構造とする。
(c)
全半球形鏡板の厚さが層成胴の厚さよりも薄く,かつテーパ部が全半球形鏡板にある場合のテーパ
は,
図 3.6.2.2
の
(f)
に示すような構造とする。
(5)
層成胴と半だ円形,皿形又は円すい形鏡板の分類 B 継手は,
表 5.1.1
の B-1 又は B-2 とし,かつ次の
(a)
13
B 8248-1994
及び
(b)
による。
(a)
半だ円形,皿形又は円すい形鏡板の厚さが層成胴の厚さよりも薄く,かつテーパ部を設ける場合の
テーパは,
図 3.6.2.2
の
(f)
に示すような構造とする。
(b)
半だ円形,皿形又は円すい形鏡板の厚さが層成胴の厚さよりも厚く,かつテーパ部を設ける場合の
テーパは,
図 3.6.2.2
の
(c)
,
(d-1)
,
(d-2)
又は
(e)
に示すような構造とする。
(6)
層成胴と平鏡板又は層成胴と管板の分類 C 継手は,
表 5.1.1
の B-1 又は B-2 とし,かつ
図 3.6.2.3
に示
すような構造とする。
なお,テーパを付ける場合は,
図 3.6.2.1
の
(c)
,
(d)
,
(e)
又は
(f)
に示すような構造とする。
(7)
層成胴と胴フランジの分類 C 継手は,
表 5.1.1
の B-1 又は B-2 とし,かつ
図 3.6.2.4
に示すような構造
とする。
なお,テーパを付ける場合は,
図 3.6.2.4
の
(b)
,
(d)
,
(f)
,
(h)
,
(j)
又は
(l)
に示すような構造とする。
(8)
層成胴とノズル,マンホール又は他の取付物の分類 D 継手は,
図 3.3.1(a)
∼
(i)
及び
(k-1)
,
(k-2)
に示す
ような全厚溶込み溶接の構造とする。ただし,計器用ノズル及び検査用ノズル等外力のかからないノ
ズルは,
3.4
の
(1)
によることができる。
(9)
層成材の分類 A,B 継手及びスパイラル継手の溶接線は,母材と同一面に仕上げる。ただし,最終層
の溶接線は滑らかに仕上げればよい。
(10)
重なり合う層成材の溶接線は,
各層間で同一線上にならないように,
溶接線の距離を 80mm 以上離す。
図 3.6.2 巻付け角度
14
B 8248-1994
図 3.6.2.1 層成胴と層成胴及び層成胴と単肉部の取付け
備考 l=3Y,l はテーパの必要な長さで Y はオフセット。t
L
は,一枚の層成材の厚さ。必要なテー
パ長の中の溶接幅を含んでいてもよい。片側又は両側で断面を変えてもよい。
15
B 8248-1994
図 3.6.2.2 層成胴と鏡板の取付け
16
B 8248-1994
図 3.6.2.2 (続き)
備考1. t
s
:層成胴の厚さ (mm)
t
L
:層成材 1 枚の厚さ (mm)
t
H
:継手部の鏡板の厚さ (mm)
2.
溶接部の実際の厚さは,鏡板の計算厚さ以上になるようにすること。
3. (e)
では Y≦t
L
,(f)では Y≦
s
t
2
1
すべての場合について l≧3Y,胴の中心線は鏡板の中心線からいずれの側にも
2
1
(t
s
−t
H
)
以内にあること。
必要なテーパ長の中に溶接幅を含んでいてもよい。
17
B 8248-1994
図 3.6.2.3 層成胴と平鏡板又は管板の取付け
備考 t
s
:層成胴の厚さ (mm)
t
:平鏡板又は管板の厚さ (mm)
なお,r,h,及び e については,JIS B 8270 の
付図 2(胴と管板又は平鏡板との取付け)の(a)∼(d)参照。
18
B 8248-1994
図 3.6.2.4 層成胴と胴フランジの取付け
19
B 8248-1994
備考1. A 部は A 部詳細に示すとおり,補強巻層成材の厚さによって次に示す3種類のいずれかによる。
2. B
部のテーパは,
3
1
以下とする。
(
以下)
。
3.
いずれの形式においても多層側を肉盛り溶接した後に開先をとって溶接することができる。
20
B 8248-1994
図 3.6.2.5 層成胴と層成胴及び層成胴と単肉部の溶接継手
3.7
応力解析による設計
応力解析による設計は,次による。
(1)
応力解析による設計が必要な場合は,
JIS B 8270
の
6.4.1
(第 1 種容器の応力解析及び疲労解析)に指
定する
JIS B 8281
の
3.
(応力解析)の規定に従って応力解析を行う。ただし,次による設計の条件を
満足するものでなければならない。
(a)
各層成材間に滑りが生じないような構造とすること。
(b)
層成胴を構成する各部材は同じ弾性特性をもつこと。
(c)
不連続性又は外部荷重による半径方向の力又は長手方向の曲げモーメントを受ける層成胴と層成胴
の周方向溶接部(
図 3.7
参照)は,次の条件式を満足すること。
t
M
W
a
・
≧
σ
0
88
.
1
ここに,
W
:
溶接の深さの中央点において必要な溶接幅 (mm)
M
0
:
単位円筒長さ当たりの長手方向曲げモーメント
(N
・mm/mm) {kgf・mm/mm}
21
B 8248-1994
t
:
層成胴の厚さ (mm)
a
σ : 層成胴の基本許容応力で,
3.3(4)
に示す算式による値をと
る。 (N/mm
2
) {kgf/mm
2
}
(2)
応力解析によって,一次応力の評価を行う際の層成胴の基本許容応力は,
(1)
の
a
σ の値を用いる。
(3)
一次応力に二次応力を加えた応力強さの評価には,当該部の材料の基本許容応力
σ
a
,また一次応力及
び二次応力にピーク応力を加えた応力強さの評価には,設計繰返し数に対応する当該部の材料の許容
応力振幅 S
a
の値を用いる。
(4)
JIS B 8281
の
3.5
(塑性解析の適用)の
(4)
(簡易弾塑性解析による方法)に基づく簡易弾塑性解析に
おける係数 K
e
の値には,当該部の材料の定数値を用いる。
(5)
内圧による層成胴の計算厚さを
3.2.1
の算式によって算定した層成胴に対して,
JIS B 8281
の
3.5
の
(2)
(塑性解析による方法)を適用する場合には,内圧に対しては
JIS B 8281
の
3.3
(基本的な応力強さ
の許容限界)を超えてもよい。ただし,その他の応力強さ及び内圧以外の荷重に対しては,
JIS B 8281
の
3.5(2)
による。
図 3.7 層成胴と層成胴の周方向溶接部
3.8
疲労解析による設計
疲労解析による設計は,
JIS B 8281
の
4.
(疲労解析)
,
附属書 1
(応力解析)
の
5.
(疲労解析のための穴部の応力)及び
附属書 3
(実験的応力解析)の
4.
(構造部材の疲労試験)を準
用し,層成胴を単肉円筒胴として扱い,内層材,層成材及び外層材それぞれについて疲労解析を行う。た
だし,以下の
3.10
の規定を適用することができる。
3.9
熱応力
熱応力は,層成胴を単肉円筒胴として扱い,
JIS B 8281
の
附属書 1
の
7.
(熱応力)を準用
して算定することができる。ただし,層成材の接合面において熱伝導率が低下することを考慮しなければ
ならない。
3.10
疲労解析の免除
1 種容器の疲労解析は,
JIS B 8270
の
6.4.4
(疲労解析の免除)の規定を満足する
場合には,免除することができる。
4.
工作・溶接
4.1
工作一般
工作は,
4.1
∼
4.3
による。これらの規定にない事項については,
JIS B 8270
の
8.
(工作一
般)による。
4.1.1
材料の確認
1 種容器の圧力を受ける部分は,1 種容器が完成したときに,
2.
に規定された材料を
使用していることが確認できるようにしなければならない。ただし,完成後に確認が困難な部分について
は,製作時の証明できる記録によって確認できるようにする。
4.1.2
層成胴の成形
層成胴に用いる鋼材は,材料の機械的性質を不当に損なわないように成形しなけれ
ばならない。
4.2
層成胴の各層間の密着度(検査方法を含む)
層成胴の各層間の密着度は,その検査方法を含めて,
次による。
22
B 8248-1994
4.2.1
層間の密着度の確認
層間の密着が十分に行われていることを,次の
(1)
又は
(2)
の方法によって確
認しなければならない。ただし,
4.2.2
による場合には,この限りでない。
(1)
層間すきまの測定によって確認する方法
層成胴端部において,開先加工後,隣接する 2 層間のすき
まの幅及び長さを測定し,すきまの面積の概略値 A
g
を次によって計算する。この場合,0.25mm より
小さいすきまは無視してよい。それらは,次の
(a)
,
(b)
及び
(c)
の条件のすべてを満たさなければならな
い。
hb
A
g
・
=
3
2
ここに, A
g
: 層間すきまの面積の概略値 (mm
2
)
h
: ある一つの層間すきまの最大幅 (mm)
b
: ある一つの層間すきまの有効弧長 (mm)
R
g
: 層間すきまの内側の層の外半径 (mm)
t
: 層の厚さ (mm)
(a)
層間すきまの面積 A
g
は,25t (mm
2
)
を超えない。
(b)
層間すきまの最大幅 b は,容器の内径を超えない。
(c)
隣接する 2 層間に二つ以上のすきまがある場合には,それらのすきまの長さの合計が容器の内径を
超えない。
(2)
水圧試験による伸びの測定で確認する方法 層成胴の各コースについて,隣接する周継手間の中央部
又は周継手とノズル間の中央部において層成胴の外周長を測定する。測定は加圧前及び設計圧力に等
しい水圧試験圧力に加圧後に行う。この両測定値の差を層成胴の各コースについて求め,その最小値
を e
m
(mm)
とする。e
m
は次の式で求められる e
th
の
2
1
以上でなければならない。
s
s
s
th
ERt
t
R
t
R
P
e
8
)
2
(
)
2
(
7
.
1
2
+
−
π
=
ïþ
ï
ý
ü
ïî
ï
í
ì
+
−
s
s
s
th
ERt
t
R
t
R
P
e
800
)
2
(
)
2
(
7
.
1
2
π
=
ここに,
e
th
:
単肉円筒胴の理論外周伸び (mm)
R
:
円筒胴の平均半径 (mm)
P
:
設計圧力 (MPa) {kgf/cm
2
}
t
s
:
円筒胴の厚さ (mm)
E
:
縦弾性係数 (N/mm
2
) {kgf/mm
2
}
23
B 8248-1994
図 4.2.1 層間すきま
4.2.2
すきまの測定値を計算値による許容値と比較する方法
層間の密着度の確認について,
4.2.1
の規
定による代わりに,次の
(1)
及び
(2)
の規定によることができる。
また,繰返し圧力条件のある場合には,
4.2.1
に加え,これら
(1)
及び
(2)
の規定を満たさなければならな
い。
(1)
任意の隣接層間のすきまの最大幅は,次の式で計算した h の値を超えてはならない。
E
R
P
N
h
a
g
a
σ
σ
÷÷ø
ö
ççè
æ
−
− 5
.
0
55
.
0
=
ïþ
ý
ü
ïî
í
ì
÷÷ø
ö
ççè
æ
−
−
E
R
P
N
h
a
g
a
σ
σ
100
5
.
0
55
.
0
=
ここに,
h
:
任意の層間すきまの幅 (mm)
σ
a
:
材料の設計温度における基本許容応力で,
JIS B 8270
の
付表
1.1
及び
付表 1.2
による。 (N/mm
2
) {kgf/mm
2
}
R
g
:
層間すきまの内側の層の外半径 (mm)
E
:
縦弾性係数 (N/mm2) {kgf/mm
2
}
N
:
設計(予想)繰返し数が多い場合は 3,設計(予想)繰返し
数が少ない場合は 2S
a
/K
e
σ
ao
ただし,
K
e
は
JIS B 8281
の
3.5(4)
による割増係数で,次の式で与えられる。
a
a
e
C
S
C
C
K
σ
3
8
)
1
(
2
1
2
1
2
+
−
+
−
=
ここに,
C
:
材料定数で,炭素鋼では 2,低合金鋼,
マルチンサイト系ステンレス鋼では 4,
オーステナイト系ステンレス鋼,ニッケ
ル・クロム鉄合金では 3.3
24
B 8248-1994
S
a
:
JIS B 8281
の
図 1(炭素鋼,低合金鋼,
フェライト系ステンレス鋼及び高張力鋼
の設計疲労曲線)
,
図 2[オーステナイト
系ステンレス鋼,ニッケル基合金
(Ni-Cr-Fe 合金,Ni-Fe-Cr 合金)及びニ
ッケル銅合金の設計疲労曲線(繰返し回
数が 10
6
回以下)
]
,
図 3[オーステナイト
系ステンレス鋼,ニッケル基合金
(Ni-Cr-Fe 合金,Ni-Fe-Cr 合金)及びニ
ッケル銅合金の設計疲労曲線(繰返し回
数が 10
6
超え∼10
11
回以下)
]の設計疲労
曲線から得られる許容応力振幅。
(N/mm
2
) {kgf/mm
2
}
P
:
設計圧力 (MPa) {kgf/cm
2
}
(2)
層成胴端部における(1)の規定を満足する各すきまの幅と,それら各すきまの長さについて次の測定及
び計算を行う。
(a)
断面全面にわたって,各すきまの長さを測定する。
(b)
各すきまについて,次の式で F を計算する。
÷
÷
ø
ö
ç
ç
è
æ
2
109
.
0
g
R
h
b
F
・
=
ここに,
F
:
層間すきまによって生じるひずみ
b
及び h は,4.2.1(1)による。
また,R
g
は 4.2.2(1)による。
各すきまについて得られた F の合計は,次の式で計算した F
r
の値を超えてはならない。
÷
÷
ø
ö
ç
ç
è
æ
−
−
−
2
1
2
2
2
2
2
2
1
R
R
PR
N
E
v
F
a
r
σ
=
ïþ
ï
ý
ü
ïî
ï
í
ì
÷
÷
ø
ö
ç
ç
è
æ
−
−
−
)
(
100
2
1
2
1
2
2
2
2
2
R
R
PR
N
E
v
F
a
r
σ
=
ここに,
ν
:
ポアソン比
R
1
:
容器の内半径 (mm)
R
2
:
容器の外半径 (mm)
N
,
σ
a
,P 及び E は,4.2.2(1)による。
4.3
ベントホール 層成胴には,内層からの漏れを検知するとともに層成部に密閉された空気を開放す
るため,次の方法によってベントホールを設けなければならない。
(1)
層成胴を構成する各層成材には,直径 6mm 以上のベントホールを 2 個以上設ける。ベントホール用
の穴は,層成部を半径方向に貫通させるか,各層成材各々にあけるかのいずれかの方法による。
(2)
ベントホールは閉そく(塞)してはならない。ベントホールに配管などを接続し,漏れ検知を集中管
理する場合,層間に密閉された空気を開放できる構造とする。
4.4
溶接
4.4.1
溶接一般 溶接は,次による。ただし,ここに規定されていない項目については,JIS B 8270 の
9.
(溶接施工)の規定に準ずる。
25
B 8248-1994
4.4.2
溶接施工方法 層成胴の内層及び層成材の長手及び周継手,ステップ溶接(
1
)
の場合の周継手,及び
層成材にかかわらない溶接継手の溶接施工方法は,JIS B 8285 による確認試験又はこれと同等の試験によ
ってあらかじめその適否を確認したものでなければならない。
ただし,層成胴と層成胴及び層成胴と単肉部の溶接については,次による。
注(
1
)
ステップ溶接とは,
図3.6.2.2(b-1),(b-2),(d-2),図3.6.2.3(f),図3.6.2.4(m)及び図3.6.2.5(g)に示
すように,周溶接線が重ならない溶接をいい,規格本体の
図1(3)の巻付け方式に示す溶接で,周
溶接とみなせるものもこれに含まれる。
(1)
試験材の取付け及び試験片の採取要領は,
図 4.4.2(a)及び(b)による。
(2)
試験の種類及び試験片の数は,
表 4.4.2 による。
備考1. 衝撃試験は,JIS B 8270の5.3.5(切欠じん性及び低温使用限界)の(1)(ボルト材以外の第1種
容器用材料)及び(3)(ボルト材)の規定によって要求される場合に限る。
2.
衝撃試験片の数は,熱影響部及び溶接金属からそれぞれ 3 個とする。ただし,異なる母材を
用いる場合は,各母材の熱影響部から 3 個ずつ,溶接金属から 3 個とする。
(3)
試験片の厚さ及び試験方法は,次による。
(a)
長手溶接継手については,内層材を除く最大厚さの層成材一層の厚さに基づき試験を行う。
(b)
長手溶接継手にかかわる試験は,内層材と層成材の母材区分が同じ場合を除き,それぞれについて
行わなければならない。
(c)
周溶接継手については,試験片は,表曲げ及び裏曲げ試験片を除き,2 層以上の層成材を含み,全
厚を 50mm 以上とする。ただし,75mm を超える必要はない。
(d)
ステップ溶接の場合の試験は,ステップ溶接の各継手が層成材の厚さ以上に離れていれば(
2
)(
3
)
,長
手溶接継手の試験に準じて行うことができる。
注(
2
)
継手間の距離は,各継手中心間の距離とする。
(
3
)
継手間の距離がこの条件を満たさない場合は,(c)によって試験を行う。
(4)
周継手試験片の形状及び寸法は,次による。
(a)
継手引張試験片は,
図 4.4.2(c)による。
(b)
側曲げ試験片は,
図 4.4.2(d)による。
(c)
表曲げ試験片及び裏曲げ試験片は,
図 4.4.2(e)による。
26
B 8248-1994
図 4.4.2(a) 突合せ両側溶接の場合の試験材の取付け及び試験片の採取要領
備考 層成胴は開先加工面を除き,試験板の端面を溶接により固定すること。
27
B 8248-1994
図 4.4.2(b) 突合せ片側溶接の場合の試験材の取付け及び試験片の採取要領
備考 層成胴は開先加工面を除き,試験板の端面を溶接により固定すること。
表 4.4.2 試験の種類及び試験片の数
試験の種類
継手引張
試験
表曲げ
試験
裏曲げ
試験
側曲げ
試験
衝撃
試験
突合せ両側溶接 2
2
− 2 各 3
突合せ片側溶接 2
− 2 2 各 3
図 4.4.2(c) 継手引張試験片の形状及び寸法
備考 T:試験片の厚さで,多層試験片母材の厚さとする。
28
B 8248-1994
図 4.4.2(d) 側曲げ試験片の形状及び寸法
備考 T:側曲げ試験片の幅で,多層試験片母材の厚さとする。
A
:側曲げ試験片の厚さで,10mm 以上とする。
r
:3.2mm 以下
L
:試験片の長さ,200mm 以上
図 4.4.2(e) 表曲げ試験片及び裏曲げ試験片の形状及び寸法
備考
t
:試験片の厚さは,溶接外面側及び溶接内面側の層成材一層の母材厚さと
する。ただし,層成材の厚さが 19mm を超える場合は,曲げの内側となる側
を切断して 19mm に仕上げる。
W
:試験片の幅で,38mm とする。
r
:3.2mm 以下
L
:試験片の長さ,200mm 以上
4.5
溶接後熱処理
(1)
溶接後熱処理は,JIS B 8270 の 10.1(溶接後熱処理)及び
附属書 10(溶接後熱処理)による。ただし,
次の(2)の要求事項を満たす場合には,層成胴の溶接後熱処理を省略することができる。
(2)
次に(a)∼(c)の条件をすべて満たす場合には,層成胴と層成胴又は層成胴と単肉部の溶接継手部に対す
る溶接後熱処理を省略してもよい。
(a)
各層の厚さが JIS B 8270 の
附属書 10 で規定された溶接後熱処理を行う必要がない厚さ以下。
(b)
単肉部又は単肉ノズルの溶接開先部に対して,溶接後熱処理を要しない溶接材料で 3mm 以上のバ
タリング(
4
)
を施工後,熱処理を行った場合。ただし,単肉部又は単肉ノズルの材料区分が P-1 の場
合には,このバタリングを省略することができる。
(c)
層成胴の溶接をいずれのパスの厚さも 9mm 以下の多パス溶接によって施工した場合。
注(
4
)
層成胴の溶接によって,母材が熱影響を受けないバタリング厚さとすること。
4.6
溶接部の機械試験 溶接部は 4.6.1 によって作成した試験板について,4.6.2 及び 4.6.3 に規定する機
械試験を行う。
29
B 8248-1994
4.6.1
試験板の作成 層成胴の突合せ溶接部に対しては,容器ごとに 1 個又は数個の溶接部の機械試験板
を,JIS B 8282 の 2.1(試験板の作製)に準じて作成しなければならない。
4.6.2
機械試験 機械試験は,次による。
(1)
層成胴の内層及び層成材の長手及び周継手,ステップ溶接の場合の周継手,及び層成胴にかかわらな
い溶接継手の機械試験は JIS B 8282 の 2.(溶接継手の機械試験)による。
(2)
層成胴にかかわる機械試験の種類及び試験片の数は,JIS B 8282 の 2.2(機械試験の種類及び数)によ
る。ただし,衝撃試験は JIS B 8270 の 5.3.5 の(1)及び(3)の規定によって要求される場合に限る。
(3)
内層材の溶接と層成材の溶接が同一条件で行われる場合は,層成材の試験を省略することができる。
(4)
ステップ溶接で層成材の周継手及び長手継手が同一条件で溶接される場合は,周継手の試験を省略す
ることができる。
(5)
層成胴と層成胴及び層成胴と単肉部の溶接継手の機械試験は,4.6.3 によるほか,JIS B 8282 の 2.2 に
よる。ただし,ステップ溶接で継手間の距離が厚さ以上である場合は,最大厚さの層成材一層につい
て試験を行うことができる。
4.6.3
試験片の形状 試験片の形状は,次による。
(1)
試験板の採取要領は,
図 4.6.3(a)及び(b)による。
(2)
試験片の形状及び寸法は,次による。
(a)
継手引張試験片は,
図 4.4.2(c)による。
(b)
側曲げ試験片は,
図 4.4.2(d)による。
(c)
裏曲げ試験片は,
図 4.4.2(e)による。
図 4.6.3 層成胴の溶接継手
注(
5
) JIS B 8270
の
付表1.1に掲げる特定鉄鋼材料の場合だけ。
4.7
欠陥部の補修 加工中及び加工後に発見された欠陥部の溶接による補修は,次による。
(1)
溶接補修に先立ち,確認された溶接施工方法とその溶接に対する技能確認を受けた溶接士を決定しな
ければならない。
(2)
欠陥部を完全に除去した後,欠陥部の材料及び形状に応じて JIS B 8270 の 11.3.3(磁粉探傷試験)又
30
B 8248-1994
は 11.3.4(浸透探傷試験)による磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を行い,欠陥が除去されたことを確
認してから溶接補修を行う。
(3)
溶接補修の深さが厚さの 20%又は 10mm(いずれか小さい値)以上の場合は,JIS B 8270 の 11.3.1(放
射線透過試験)又は 11.3.2(超音波探傷試験)による放射線透過試験又は超音波探傷試験を行い,こ
れに合格しなければならない。
(4)
溶接後熱処理後,溶接補修を行う場合は,溶接後熱処理を行わなければならない。
(5)
溶接補修部は平滑に仕上げ,JIS B 8270 の 11.3.3 又は 11.3.4 による磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を
行い,これに合格しなければならない。
5.
試験及び検査 試験及び検査は,次による。
5.1
溶接継手の非破壊試験 溶接継手の非破壊試験は,次による。
5.1.1
非破壊試験の適用範囲 層成胴にかかわるすべての溶接継手は,その継手位置による分類,許容さ
れる継手の種類ごとに
表 5.1.1 によって必要とされる非破壊試験を行い,これに合格しなければならない。
層成胴にかかわらない溶接継手は,JIS B 8270 の 9.2.10(圧力容器の等級分類別溶接継手の位置及び種類
による分類とその非破壊試験一覧表)の
表 9.4[材料別溶接継手の位置及び形式による分類とその非破壊試
験(第 1 種容器)
]の規定によって非破壊試験を行う。
5.1.2
非破壊試験の方法と結果の判定 非破壊試験の方法と結果の判定は,JIS B 8270 の 11.3(非破壊試
験の方法と結果の判定)による。
5.2
耐圧試験 耐圧試験は,JIS B 8270 の 11.6(耐圧試験)の 11.6.1(一般),11.6.2(水圧試験圧力)の
(1)
,11.6.3(気圧試験圧力)の(1),11.6.4(気液併用耐圧試験圧力)の(1)及びそれらの指定する JIS B 8283
の 2.(耐圧試験)の規定によって行う。
5.3
漏れ試験 耐圧試験に合格した後,使用者側の要求があれば,漏れ試験を行い,これに合格しなけ
ればならない。漏れ試験のうち,液体漏れ試験は JIS B 8270 の 11.7.1(液体漏れ試験)の(1)及びその指定
する JIS B 8283 の 4.2(液体漏れ試験)
,気体漏れ試験は JIS B 8270 の 11.7.2(気体漏れ試験)
,また,気密
試験は,JIS B 8270 の 11.7.3(気密試験)及びその指定する JIS B 8283 の 4.3(気密試験)による。
31
B 8248-1994
表 5.1.1 溶接継手の位置及び種類による分類とその非破壊試験
許容される継手の種類
継手位置による分類
種類
適用図例
非破壊試験の方法
内層 B-1
− RT
3
≦t≦8 B-1 又は B-2
MT
又は PT
8
<t≦16 B-1 又は B-2
10%UT(
6
)(
9
)
+(MT 又は PT)
16
<t≦22 B-1 又は B-2
UT(
6
)(
9
)
層成材(
10
)
22
<t B-1
−
RT
B-1
図 3.6.2.2(a),(b-3),(c),(d-1),
(e)
,(f)
RT(
8
)
半球鏡と層成胴
B-1
又は B-2
図 3.6.2.2(b-1),(b-2) UT(
9
)
分類 A
内側の層に溶接されない
挿入前の層成材
B-1
− RT
内層 B-1 又は B-2
− RT
3
≦t≦8 B-2
10%
(MT 又は PT)
8
<t≦16 B-2
MT
又は PT
16
<t≦22 B-2
10%UT(
9
)
+(MT 又は PT)
層成材
(
ス テップ溶
接)
22
<t B-2
図 3.6.2.2(d-2)
図 3.6.2.5(f),(g)
UT(
9
)
層成胴と層成胴
(突合せ溶接)
B-1
又は B-2
図 3.6.2.1(a),(b)
図 3.6.2.5(b)∼(d)
RT(
7
)(
8
)
分類 B
層成胴と単肉部分
(突合せ溶接)
B-1
又は B-2
図 3.6.2.1(c)∼(f)
図 3.6.2.2(c),(d-1),(e),(f)
図 3.6.2.5(a),(e)
RT(
7
)
層成胴と平板,管板,フラ
ンジ
(突合せ溶接)
B-1
又は B-2
図 3.6.2.3(a)∼(e)
図 3.6.2.4(a)∼(l)
RT(
8
)
3
≦t≦8 B-1 又は B-2
10%
(MT 又は PT)
8
<t≦16 B-1 又は B-2
MT
又は PT
16
<t≦22 B-1 又は B-2
10%UT(
9
)
+(MT 又は PT)
分類 C
層 成 胴 と 平
板,管板,フ
ランジ
(
ス テップ溶
接)
22
<t B-1 又は B-2
図 3.6.2.3(f)
図 3.6.2.4(m)
UT(
9
)
B-1
図 3.3.1(a),(b),(d),(e) RT
T-1
図 3.3.1(c),(f),(g)∼(i) RT,MT 又は PT
分類 D
ノズル取付
T-2
図 3.3.1(j) MT 又は PT
F
図 3.6.2.1,図 3.6.2.2 MT 又は PT
層成胴の
テーパ部
肉盛
図 3.6.2.2(e),(f) RT
B-1 MT
又は PT
T-1 MT
又は PT
T-2 MT
又は PT
取付物の
溶接部
−
F
図 3.5.1
MT
又は PT
記号の説明
継手の種類
B-1
(
11
)
: 突合せ両側溶接又はこれと同等以上とみなされる突合せ片側溶接
B-2
(
12
)
: 裏当てを使用した突合せ片側溶接で裏当てを残す継手
T-1
: 完全溶込み溶接
T-2
: 部分溶込み溶接
32
B 8248-1994
F
: すみ肉溶接
試験の方法
RT
: 全線放射線透過試験
UT
: 全線超音波探傷試験
MT
: 全線磁粉探傷試験
PT
: 全線浸透探傷試験
注(
6
)
RT
を行っていないものに適用する。
(
7
)
内層材溶接後に RT を行えば,全厚溶接後の RT は省略してよい。
(
8
)
RT
フィルムにスラグと区別しにくいレイヤーウォッシュ(
13
)
又は許容限度内のすきまが指示模
様として現れることがある。合格か不合格かは,
図 5.1.1 に示すような溶接の位置関係を考慮し
て決めなければならない。代案として
図 5.1.2 に示すような斜角 RT 法を用いて,それぞれのす
きまの部分の位置を求め,支持模様の合否を決めてもよい。
(
9
)
溶接厚さの底部 10%の位置の UT に対しては,距離振幅特性曲線又は基準レベルを 6dB 上げて
もよい。
(
10
)
コイル状の巻付け方式の最終外面溶接を連続すみ肉溶接とした場合は,MT 又は PT を行う。
(
11
)
この継手は,いずれも完全溶込み溶接とする。同等以上とみなされるものは,次の突合せ片側
溶接のものをいう。
(a)
裏波溶接その他によって,十分な溶込みが得られ,裏側表面の滑らかなもの。
(b)
裏当てを使用して溶接した後,これを除去して平滑に仕上げたもの。
(
12
)
この継手を使用し,疲労解析が要求される場合には,応力集中係数は膜応力に対して 2.0,曲げ
応力に対して 2.5 をとること。ただし,先の層に溶接付けされている突合せ溶接に対しては,
これらの応力集中係数は適用されない。
(
13
)
レイヤーウォッシュとは,層間におけるわずかな溶接溶込みによって現れる指示模様をいう。
33
B 8248-1994
図 5.1.1 レイヤーウォッシュと溶接の位置関係
34
B 8248-1994
図 5.1.2 斜角 RT 線法
6.
附属品 安全装置,液面計,温度計などの附属品は,JIS B 8270 の 12.(附属品)の規定による。
35
B 8248-1994
附属書 2 第 2 種多層容器
1.
適用範囲 この附属書は,第 2 種多層容器(以下,2 種容器という。)に関する材料,設計,工作・溶
接,試験及び検査並びに附属品について規定する。
備考 この附属書 2 の中で引用する項目番号,図,表などは特に断りのない限り,この附属書 2 によ
る。
2.
材料 2 種容器に用いる材料は,次による。
(1)
2
種容器に用いる材料は,JIS B 8270 の 5.2.2(第 2 種容器に用いる材料)に規定する材料とする。
(2)
材料は,次の(a)∼(h)の規定を満足しなければならない。
(a)
JIS B 8270
の 5.1(材料一般)
,ただし,そのうち(6)(材料の疲労特性)を除く。
(b)
JIS B 8270
の 5.3.1(鉄鋼材料の使用制限)
(c)
JIS B 8270
の 5.3.2(鋼板の熱処理)
(d)
JIS B 8270
の 5.3.3(試験材及び試験片の採り方)
(e)
JIS B 8270
の 5.3.4(鉄鋼材料の非破壊試験)の(3)
(f)
JIS B 8270
の 5.3.5(切欠じん性及び低温使用限界)の(2)(ボルト材以外の第 2 種容器,第 3 種容器
用材料)及び(3)(ボルト材)
(g)
JIS B 8270
の 5.4(非鉄金属材料)
(h)
JIS B 8270
の 5.6.1(ボルト,ナット及び座金)の(2)及び 5.6.2(ナット及び座金)
3.
設計 2 種容器の設計は,次による。
3.1
設計一般
(1)
2
種容器の設計は,3.1∼3.6 による。これらの規定にない事項については,JIS B 8270 の 6.(設計)の
うち,第 2 種容器の規定による。
(2)
設計に用いる材料の設計温度における基本許容応力
σ
a
は,JIS B 8270 の 6.2.1[基本許容応力(設計応
力強さ)
]の(1)の(d)及び(e)による。
3.2
厚さの算定
3.2.1
層成胴(円筒胴) 層成胴の厚さの算定は,次による。
(1)
材料のクリープ領域未満の温度において,内圧を受ける 2 種容器の層成胴の計算厚さは,次の算式に
よる。ただし,設計温度が材料のクリープ領域以上の場合を含め,計算厚さは JIS B 8270 の 6.5.1(内
圧を受ける胴)の(1)(円筒胴)の(b)及びその指定する JIS B 8271 の 3.2(円筒胴)の 3.2.1[設計法(1)]
の規定によって定めてもよい。
ú
ú
ú
ú
ú
û
ù
ê
ê
ê
ê
ê
ë
é
−
÷÷ø
ö
ççè
æ
−
1
2
2
3
exp
2
BL
yL
yL
i
X
P
D
t
σ
σ
σ
・
・
・
・
=
36
B 8248-1994
ï
ï
þ
ï
ï
ý
ü
ï
ï
î
ï
ï
í
ì
ú
ú
ú
ú
ú
û
ù
ê
ê
ê
ê
ê
ë
é
−
÷÷ø
ö
ççè
æ
−
1
2
200
3
exp
2
BL
yL
yL
i
X
P
D
t
σ
σ
σ
・
・
・
・
=
ここに,
t
:
層成胴の計算厚さ (mm)
P
:
設計圧力 (MPa) {kgf/cm
2
}
D
i
:
腐れ代を除いた胴の内径 (mm)
σ
yL
:
層成材の設計温度における降伏点又は 0.2%耐力。その値は,
JIS B 8270
の
付表 5.1(鉄鋼材料の降伏点又は 0.2%耐力)及
び
付表 5.2(ステンレス鋼の降伏点又は 0.2%耐力)による。
(N/mm
2
) {kgf/mm
2
}
σ
BL
:
層成材の設計温度における引張強さであって,JIS B 8270
の
付表 2.1[鉄鋼材料の基本許容応力(第 2 種容器用及び第
3
種容器用)
]に掲げる材料については,設計温度がその材
料のクリープ領域未満の温度の場合,設計温度における基
本許容応力の 4 倍とすることができる。 (N/mm
2
) {kgf/mm
2
}
X
:
安全率の逆数で
4
1
とする。
(2)
内層材及び外層材又はそれらのいずれかの強度が層成材の強度よりも高い場合は,その部分を層成材
と同等とし,それらの全厚を層成材に加えて,強度を評価することができる。
(3)
内層材及び外層材又はそのいずれかの降伏強さが層成材の降伏強さよりも低い場合は,それらの有効
厚さ、t
eff
を次の式によって算出し,(1)の計算厚さの一部に含めることができる。
YL
Yo
o
YL
Yi
i
eff
t
t
t
σ
σ
σ
σ
+
=
ここに,
t
eff
:
内層材及び外層材の有効厚さ (mm)
t
i
,t
o
:
それぞれ層成胴の内層材及び外層材の実際厚さから腐
れ代を除いた厚さ (mm)
σ
Yi
,
σ
YL
,
σ
Yo
:
それぞれ層成胴の内層材,層成材及び外層材の設計温
度における降伏点又は 0.2%耐力。これらの値は,JIS B
8270
の
付表 5.1,付表 5.2,付表 5.4(ニッケルクロム鉄
合金の降伏点又は 0.2%耐力)及び
付表 5.5(非鉄金属材
料の各温度における降伏点又は 0.2%耐力)による。
(N/mm
2
) {kgf/mm
2
}
なお,計算厚さを JIS B 8270 の 6.5.1(1)(b)及びその指
定する JIS B 8271 の 3.2.1 の規定によって定める場合に
用いる基本許容応力
σ
a
は,層成材の基本許容応力
σ
aL
を
用い,有効厚さ t
eff
は,上記において,降伏点又は 0.2%
耐力
σ
Yi
,
σ
YL
,
σ
Yo
をそれぞれ基本許容応力
σ
ai
,
σ
aL
,
σ
ao
に読み代える。
σ
ai
,
σ
aL
,
σ
ao
:
それぞれ層成胴の内層材,層成材及び外層材の設計温
度における基本許容応力。これらの値は,JIS B 8270
の
付表 2.1 及び付表 2.2[非鉄金属材料の基本許容応力
(第 2 種容器及び第 3 種容器用)
]による。 (N/mm
2
)
{kgf/mm
2
}
37
B 8248-1994
3.2.2
鏡板 内圧を受ける 2 種容器の鏡板は単肉とし,その設計は,JIS B 8270 の 6.5.2(中低面に圧力
を受ける鏡板)の(1),(2)及びその形状に応じ,(3)(全半球形鏡板)の(b),(4)(皿形鏡板)の(b),(5)(正
半だ円形鏡板)の(b)又は(6)(円すい形鏡板)の(b)並びにそれらの指定する JIS B 8271 の項目の規定によ
る。ただし,厚さが異なる鏡板と層成胴の継手部分の形状,寸法は 3.6 による。
3.2.3
胴フランジ及び平鏡板 内圧を受ける 2 種容器の胴フランジ及び溶接によって取り付ける平鏡板
の設計は,それぞれ JIS B 8270 の 6.7.2(第 2 種容器及び第 3 種容器に用いるフランジ)及び JIS B 8270
の 6.5.2(8)並びにその指定する JIS B 8271 の 4.5[溶接によって取り付ける平鏡板(平板)
]の 4.5.1[設計
法(1)]による。ただし,胴フランジ及び平板と層成胴の継手部分の形状,寸法は 3.6 による。
3.2.4
円すい胴 内圧を受ける 2 種容器の円すい胴の設計は,JIS B 8270 の 6.5.1 の(3)(円すい胴)の(b)
及びその指定する JIS B 8271 の 3.4(円すい胴)の 3.4.2[設計法(1)]の規定による。
3.3
穴及びその補強 穴及びその補強は,次の(1)∼(5)による。これらの規定にない事項については,JIS
B 8270
の 6.9(穴)のうち,第 2 種容器についての規定及びそれらの指定する JIS B 8272 の 3.(穴補強)
の 3.1[設計法(1)]による。
また,マンホール,検査穴などは,JIS B 8270 の 6.1.10(知らせ穴)
,6.1.11(排液用穴)
,6.1.12(検査
などに必要な穴)
,6.1.13(マンホールの大きさ)
,6.1.14(掃除穴の大きさ)及び 6.1.15(検査穴の大きさ)
による。
(1)
ノズルの形状は
図 3.3.1 に示すとおりとする。
(2)
強め材はノズルに設けるか層成胴に設けるか,又はこれら両方によるものとする。ただし,余分に追
加された層成材(全周)は強め材として算入してよい。
(3)
補強板(全周に取り付ける層成材ではなく,用板形のもの)によって穴又はノズルを補強することは
できない。
(4)
層成胴の基本許容応力は,層成胴を構成する内層材,層成材及び外層材の基本許容応力の厚さ平均値
を
a
σ
とし,次の式で算出する。
o
L
i
ao
o
aL
L
ai
i
a
t
t
t
t
t
t
+
+
+
+
σ
σ
σ
σ
・
・
・
=
ここに,
t
i
,t
L
,t
o
: それぞれ層成胴の内層材,層成材及び外層材の実際厚さ
から腐れ代を除いた厚さ
(mm)
σ
ai
,
σ
aL
,
σ
ao
は,
3.2.1(3)
による。
(5)
附属書 1 図 3.3.1
の
(j-1)
,
(j-2)
及び
(j-3)
の場合の穴径は d'とする。
3.4
ノズルの取付け
ノズルの取付けは,
附属書 1
の
3.4
による。
3.5
取付物及び支持構造
取付物及び支持構造は,
附属書 1
の
3.5
による。
3.6
溶接継手の設計
溶接継手の設計は,
附属書 1
の
3.6
による。
4.
工作・溶接
4.1
工作一般
工作一般は,
附属書 1
の
4.1
による。
4.2
層成胴の各層間の密着度(検査方法を含む)
層成胴の各層間の密着度は,
附属書 1
の
4.2
による。
ただし,
附属書 1
の
4.2.2
の
(1)
及び
(2)
に用いる基本許容応力
σ
a
の値は,
JIS B 8270
の
付表 2.1
による。
4.3
ベントホール
ベントホールは,
附属書 1
の
4.3
による。
38
B 8248-1994
4.4
溶接
溶接は,
附属書 1
の
4.4
による。ただし,
附属書 1
の
4.4.2(2)
の
備考 1.
の衝撃試験は,
JIS B 8270
の
5.3.5
(切欠じん性及び低温使用限界)の
(2)
(ボルト材以外の第
2
種容器,第
3
種容器用材料)及び
(3)
(ボルト材)の規定によって要求される場合に限ることとする。
4.5
溶接後熱処理
溶接後熱処理は,
附属書 1
の
4.5
による。
4.6
溶接部の機械試験
溶接部の機械試験は,
附属書 1
の
4.6
による。ただし,
附属書 1
の
4.4.2
によっ
て溶接施工方法の確認試験を行い,その試験内容が
附属書 1
の
4.6.2
及び
4.6.3
に規定する機械試験と同等
である場合には,この機械試験を省略することができる。
また,
附属書 1
の
4.6.2(2)
に規定の衝撃試験は,
JIS B 8270
の
5.3.5
の
(2)
及び
(3)
によって要求される場合
に限ることとする。
4.7
欠陥部の補修
欠陥部の補修は,
附属書 1
の
4.7
による。
5.
試験及び検査
試験及び検査は,次による。
5.1
溶接継手の非破壊試験
溶接継手の非破壊試験は,
附属書 1
の
5.1
による。ただし,
附属書 1
の
5.1.1
に規定の層成胴にかかわらない溶接継手は,
JIS B 8270
の
9.2.10
(圧力容器の等級分類別溶接継手の位置
及び種類による分類とその非破壊試験一覧表)の
表 9.5
[材料別溶接継手の位置及び形式による分類とその
非破壊試験(第
2
種容器)
]の規定によって非破壊検査を行うこととする。
5.2
耐圧試験
耐圧試験は,
JIS B 8270
の
11.6
(耐圧試験)の
11.6.1
(一般)
,
11.6.2
(水圧試験圧力)の
(2)
,
11.6.3
(気圧試験圧力)の
(2)
,
11.6.4
(気液併用耐圧試験圧力)の
(2)
(第
2
種容器及び第
3
種容器)及
びそれらの指定する
JIS B 8283
の
2.
(耐圧試験)によって行う。
5.3
漏れ試験
漏れ試験は,液体漏れ試験を除き,
附属書 1
の
5.3
による。ただし,液体漏れ試験は,
JIS
B 8270
の
11.7.1
(液体漏れ試験)の
(2)
及びその指定する
JIS B 8283
の
4.2
(液体漏れ試験)による。
6.
附属品
附属品は,
附属書 1
の
6.
による。
39
B 8248-1994
JIS B 8248
改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
鵜戸口 英 善
東京大学
(幹事)
篠 原 浩
高圧ガス保安協会設備検査部
(幹事)
小 林 英 男
東京工業大学工学部
新 倉 敏 之
トーヨーカネツ株式会社技術第一部
高 村 義 之
株式会社日立製作所流通・産業プラント設計部
大 江 力
三菱重工業株式会社
坂 本 秀 士
三井造船株式会社
安 井 才 一
日立造船株式会社
大 中 雅 夫
株式会社神戸製鋼所設計部
休 井 正 人
日本鋼管株式会社津製作所設計部
土 井 鉄太郎
日機装株式会社機器部
吉 村 任 令
石川島播磨重工業株式会社機器設計部
北 川 英 男
川崎重工業株式会社
谷 益 郎
日揮株式会社機器設計部
乙 部 博
東洋エンジニアリング株式会社機器設計部
梅 野 満
財団法人日本海事協会機関部
菊 地 正 衛
社団法人日本ボイラ協会
橋 本 繁 晴
工業技術院標準部機械規格課
池 田 順 一
財団法人日本規格協会技術・検査部
(事務局)
長谷部 茂 雄
社団法人日本高圧力技術協会
なお,JIS B 8270∼8285 との整合性を図るため,前 千代田化工建設株式会社の吉田光慶氏に,検
討を頂いた。