B 8123:2004
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した
日本工業規格である。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
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序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 導入検討評価項目 ············································································································ 1
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 8123:2004
コージェネレーションシステムの導入検討評価項目
Technical declarations for the planning of a cogeneration system
序文 コージェネレーションシステム(以下,CGSという。)は,電力(又は動力)及び熱を同時に供給
するシステムであり,エネルギーの供給と利用が合致したときにその効果が発揮される。CGS導入の際,
計画,設計及び評価を適切に行うために,この規格はその検討項目を規定したものである。
1. 適用範囲 この規格は,民生用建物にCGSを導入するとき,検討しなければならない必要事項及びそ
の内容について示したものである。
民生用以外の物件に対してもこの規格を基礎として,計画・設計・評価をすることが望ましい。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 8121 コージェネレーションシステム用語
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 8121によるほか,次による。
a) 月別パターン 年間の負荷の変化を1か月ごとに表した値又はその割合。
b) 時間帯別パターン 1日の負荷の変化を1時間ごとに平均化した値又はその割合。
c) 平日パターン 平日における負荷の変化を1時間ごとに平均化した値又はその割合。
d) 休日パターン 平日以外の日における負荷の変化を1時間ごとに平均化した値又はその割合。
e) 補助熱源 建物に熱を供給するための熱源機器のうち,CGS以外の機器で蒸気ボイラ,温水ボイラ,
じかだ(直焚)き吸収冷温水機,電動冷凍機などの熱源機器。
f)
イニシャルコスト CGSを導入するために投資する費用。
g) ランニングコスト CGSを運転するために必要な費用。
h) メンテナンスコスト CGSを正常な状態に維持するための保守に必要な費用。
i)
単純回収年数 CGSを導入することによるイニシャルコストの増額分をランニングコストの減額分
で除した値。経済性の指標となる。
j)
予防保全 CGSの故障を未然に防止するために,計画的に行う点検,修理,調整,取替えなどの保全。
4. 導入検討評価項目 CGSの導入時には,計画検討段階に応じた必要な精度の情報を取得し,計画・設
計・評価を適切に行うことが重要となる。勘案すべき重要な項目の相互関係をフローチャート化したもの
を次に示し,各項目をa)〜t)までに示す。
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CGSの計画
f) 原動機などの種別
g) 発電
h) 排熱回収
i) 燃料
j) 発電利用計画
k) 回収熱利用計画
l) 運転計画
START
エネルギー需要の調査・推定
a) 設置場所
b) 建物種類
c) 建物規模
d) 電力需要
e) 熱需要
従来システムの計画
システム運転シミュレーション
m) システム運転状況
n) 電力及び熱の総合エネルギーバランス
o) エネルギーコスト
評価1
p) 経済性
q) 省エネルギー性
r) 環境性
評価2
s) 信頼性
t) 関連諸制度
END
総合評価
計画の見直し
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a) 設置場所 CGSの設置場所を特定することで,計画に影響を及ぼす基本条件が決定する。計画に影響
を与える幾つかの自然条件及び各種の法規関連事項を規定する。
検討小項目
気象条件
周囲条件(寒冷地,内陸,海浜など)
大気条件(温度,湿度,圧力)
給水温度,水質(給湯,冷却水,純水,水処理など)
土地用途種別(商業地域など)
環境排出基準(NOx,SOx,ばいじん)
振動,騒音(計画施設及び近隣への影響)
燃料種別(安定供給可能な燃料種別)
屋内外種別(屋内設置,屋外設置など)
b) 建物種類 建物種類によって電力及び熱の使い方に特徴があり,CGSの導入計画に影響を与える。代
表的な民生用の建物種別を規定する。
検討小項目
事務所(従来形,高度情報形,銀行など)
ホテル(リゾート,シティ,ビジネスなど)
病院(総合,単科など)
店舗(物販,飲食,百貨店,スーパーなど)
庁舎(庁舎,ホール,図書館,美術館など)
健康施設・レジャー施設(スポーツ施設,健康ランド,水族館など)
コンピュータセンター(電子計算機やサーバを集中して設置した建物)
住宅(集合,戸建)
福祉施設(老人ホームなど)
教育施設(大学,高等学校,小中学校など)
複合施設(上記数種類の用途が統合された建物又は建物群)
地域冷暖房施設(一つの地域内にある複数の建物などに熱を供給する施設)
c) 建物規模 建物規模は電力及び熱の需要量に影響を与える。そのデータは,CGSの計画を左右する要
素となる。
検討小項目
延床面積
階数
用途及び面積
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d) 電力需要 電力の需要は,CGSの規模決定に大きく影響する。必要となる電力需要の最大値及び最小
値,月別・時間帯別の値を事前に把握する。
検討小項目
最大値,最小値
月別パターン
時間帯別パターン(平日パターン,休日パターン,ピークパターン)
特異日(1)
注(1) 休業,イベント,設備の点検など何らかの理由から,通常とは異なった電力量・パタ
ーンを示す日。
e) 熱需要(冷房,暖房,給湯,蒸気) 熱の需要は,CGSの稼働状態決定に大きく影響する。冷房,暖
房,給湯,蒸気などについて,各々用途別に必要となる熱需要の最大値及び最小値,月別・時間帯別
の値を事前に把握する。
検討小項目
最大値,最小値
月別パターン
時間帯別パターン(平日パターン,休日パターン,ピークパターン)
特異日(2)
注(2) 休業,イベント,設備の点検など何らかの理由から,通常とは異なった熱需要・パタ
ーンを示す日。
f)
原動機などの種別 原動機は,建物の電力需要,熱需要の形態,熱電比などによって評価,選定する。
検討小項目
ガスタービン
ガスエンジン
ディーゼルエンジン
燃料電池
g) 発電 発電出力及び効率は,部分負荷及び大気条件などによって変動する。
検討小項目
発電端出力
送電端出力
定格及び部分負荷効率
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h) 排熱回収 原動機の排熱は,温水又は蒸気として回収され,回収熱量は,部分負荷や大気条件などに
よって変動する。
検討小項目
排熱回収形態(温水,蒸気,温水+蒸気)
温度レベル(温水,蒸気)
圧力レベル(蒸気)
回収媒体別の部分負荷熱量
排熱回収効率
i)
燃料 燃料は,一般にガス及び油があり,供給条件,環境性,コストなどを勘案して原動機種別決定
と同時に決められる。
検討小項目
供給可能燃料
供給体制
予備燃料(3)
燃料使用量
タンク容量
ガス圧力
注(3) 常用防災兼用を検討する場合に考慮する。
j)
発電利用計画 電力需要に合わせ,経済性及び信頼性の高い電力供給システムを設計する。
検討小項目
導入目的要素(ピークカット,ベースロード,防災兼用,瞬時電圧低下対策)
系統連系の有無
逆潮流の有無,最低買電量
系統停電時の運転状態(停止,いったん停止後再運転,運転継続)
台数
契約電力
自家発補給電力量
運転形態(電主熱従,熱主電従)
発電一定制御,受電一定制御
発電機最高負荷率,最低負荷率
補機電力量
k) 回収熱利用計画 熱利用機器及び回収熱利用順序を考え,冷暖房,給湯などの各熱需要に熱供給する
エネルギーフローを設計する。また,熱需要量と設備容量の熱収支バランスとを確認する。
検討小項目
回収熱利用形態(冷房,暖房,給湯,蒸気)
補助熱源
貯湯槽
回収熱利用順序(給湯,暖房,冷房,蒸気)
熱利用機器の成績係数
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l)
運転計画 年間のCGSの運転時間を,メンテナンス月及びその日数を考慮して計画する。
検討小項目
運転スケジュール(連続使用,間欠使用,季節使用,停止日数,メンテナンス月及び日数)
発電機運転可能台数(月別指定,時間帯別指定,メンテナンス月指定)
m) システム運転状況 CGSの運転シミュレーション結果から,月別の稼動状況をエネルギー量としてま
とめる。
検討小項目
月別電力利用(発電,補機,買電,売電)
月別排熱回収量(温水,蒸気)
月別排熱利用量(温水,蒸気)
月別補助熱源稼動状況
使用エネルギー量
稼動日数
n) 電力及び熱の総合エネルギーバランス CGSの年間の稼動について,月代表日の時間帯別エネルギー
負荷に基づいて運転シミュレーションを行い,電力,熱のバランスを求める。
検討小項目
月別電力バランス
月別熱バランス(冷房,暖房,給湯,蒸気)
時間帯別電力バランス
時間帯別熱バランス(冷房,暖房,給湯,蒸気)
o) エネルギーコスト 経済性の評価に資するため,運転シミュレーションの結果からエネルギーコスト
を算出する。CGSの導入効果を評価するためには,CGSが未導入の従来システムについてもエネルギ
ーコストを算出する必要がある。
検討小項目
年間電力使用量
年間燃料使用量(ガス,油)
契約電力量,契約電力削減量
自家発補給電力契約量
料金体系(電力,ガス,油)
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p) 経済性 CGS導入の効果として,設備の単純回収年数又は年間経常費などから経済性を評価する。
検討小項目
イニシャルコスト
設備投資額
助成金制度
ランニングコスト
エネルギーコスト(電力,ガス,油)
メンテナンスコスト[保守契約,消耗品(潤滑油など)]
用排水費
環境対策費(尿素,水酸化ナトリウムなど)
固定費
減価償却費,優遇税制,支払利息,保険料,公租公課など
人件費,スペースコスト
評価指標
単純回収年数
年間経常費(ランニングコスト+固定費)
q) 省エネルギー性 CGSの運転シミュレーション結果から,エネルギー使用量を従来システムとの比較
で示す。
検討小項目
一次エネルギー換算(4)
省エネルギー量(5)
省エネルギー率
注(4) 様々な形態で利用される各種エネルギーについて,消費量などの分析などを行うため
の,一つの基準である一次エネルギーへの換算。
(5) 従来システムで運用する場合のエネルギー量(Q1)とCGS(コージェネレーションシス
テム)採用の場合のエネルギー量(Q2)との差(Q1−Q2)。
r) 環境性 CGSの運転シミュレーション結果から,環境負荷を従来システムとの比較で示す。
検討小項目
環境排出物(NOx,SOx,ばいじん,CO2)
s)
信頼性 経済性だけでなく,信頼性も考慮してシステムを構築する。また,適切な保守を行う必要が
ある。
検討小項目
予防保全(保全体制,保全基準,教育)
監視制御(遠隔など)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
t)
関連諸制度 CGSは国の施策に沿っており,導入に向けての諸条件が整っている。
検討小項目
各種補助事業(税制優遇,財政投融資,各種補助金など)
電力供給規制緩和(電気事業法,系統連系技術要件ガイドライン)
導入条件等の緩和(容積率緩和,資格など)
常用防災兼用(常用電源を防災用電源として兼用する諸施策)
関連規格 HASP 112:1993 冷暖房熱負荷簡易計算法
ISO 8528-7:1994 Reciprocating internal combustion engine driven alternating current generating sets
‒ Part 7 : Technical declarations for specification and design