2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 8111-1995
蒸気噴射空気エゼクタ性能試験方法
Testing methods for steam jet air ejectors
1. 適用範囲 この規格は,復水器及びこれに準じる真空容器中の空気その他の不凝結ガスを抽出する蒸
気噴射空気エゼクタ(以下,エゼクタという。)の性能を試験する方法について規定する。
2. 試験項目 エゼクタの試験は,次の各項目について行う。
使用蒸気圧力及び温度,エゼクタのノズル前蒸気圧力,各段吸入空気温度,各段冷却器ドレン温度,第
1段吸入真空,各段冷却器真空又は圧力,大気圧,各段冷却器冷却水出入口温度,室温,冷却水量,吸入
又は吐出し空気量,各段噴射蒸気量(計算値),中間冷却器入口冷却水圧力。
3. 試験の種類 エゼクタの性能試験は,受渡当事者間であらかじめ協定した条件のもとに,次の2種類
について行う。
(1) 第1,2段併用単連試験
(2) 第1,2段併用全連試験
なお,注文者の要求によって,次の条件による試験を行うことができる。
(a) 冷却水量を変化して行う試験
(b) ノズル前蒸気圧力を変化して行う試験
4. 試験装置及び試験方法
4.1
試験装置 試験装置は,エゼクタの性能と運転状態を表すのに必要な諸元を正確に測定できるもの
とする。エゼクタの試験装置と測定装置の配列の一例を図1に示す。
4.2
ノズル 空気量測定用のノズルは,A形及びB形の2種類とし,次による。
(1) A形ノズルは,のど直径d=12〜125mmの範囲に使用し,その形状及び寸法は図2のとおりとする。
ノズルの表面は,十分滑らかに仕上げ,dの許容差は±000
1
1dとする。ノズルの出口線は十分正確に
仕上げ,わずかの丸味もあってはならない。
なお,円筒部の長さ (=0.3d) は,約10%まで超えても差し支えない。
また,湾曲部半径の許容差は10%以下とする。
(2) B形ノズルは,のど直径d=1.6〜25mmの範囲に使用し,その形状及び寸法は図3のとおりとし,十
分正確に,かつ滑らかに仕上げなければならない。
A形及びB形いずれの場合でも,ノズルの下流の管の直径Dは4d以上とし,5D以上の長さの直管
部を設ける。ノズル後の管内圧力は,ノズル入口の縁から2Dの位置で測定する。
2
B
8
11
1
-1
9
9
5
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図1 空気エゼクタ試験装置
3
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図2 A形
図3 B形
4.3
空気量 空気量は原則として吸入側で計測するが,受渡当事者間の協定によって吐出し側で計測し
てもよい。
4.4
吸入空気量 吸入空気量は,ノズル前後の圧力比γ(ノズル前の圧力P1に対するノズル後の圧力P2
の比でγ=P2/P1)が臨界圧力比 (γc=0.528) 又はこれ以下の場合は,次の式によって計算する。
1
1
2
/
10
606
.0
v
P
d
Q
α
=
······························································· (1)
ノズル前後の圧力比rが臨界圧力比rc以上の場合は,次の式によって計算する。
1
2
1
2
/)
(
10
252
.1
v
P
P
d
Q
−
=
αε
······················································· (2)
ここに,
Q: 流量 (kg/h)
α: 流量係数で次による。
αA=0.987(A形ノズルでレイノルズ数RD>6×104の場合)
αB=図4によって求める(B形ノズルの場合)
なお,図4におけるレイノルズ数は,次の式によって算出
する。
RD=Q/2.83μd··························································· (3)
ここに,
μ: 空気の絶対粘度 (Pa・s) で,図5又は
近似式
μ×106=17.21+4.67
100
t−
0.217
2
100 t
から求める。
[式中tは空気温度 (℃) を示す]
ε: 膨張係数で図6又は近似式ε=0.271+0.932γ−0.203γ2から求
める。
d: ノズルののど直径 (mm)
P1: ノズル前の空気絶対圧力 (MPa)
P2: ノズル後の空気絶対圧力 (MPa)
v1: ノズル前の空気の比容積 (m3/kg)
4
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図4 B形ノズルの流量係数αB
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図5 空気の絶対粘度μ
6
B
8
11
1
-1
9
9
5
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図6 膨張係数εと圧力比γの関係縮図
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4.5
吐出し空気量 吐出し空気量の測定は,吸入空気量の測定に準じて行う。
4.6
噴射蒸気量 噴射蒸気量は,次の式で算出する。
1
1
2
/
10
v
P
d
K
Q
α
=
···································································· (4)
ここに,
Q: 噴射蒸気量 (kg/h)
K: π/4×蒸気性状係数=0.590(過熱蒸気)
=0.581(飽和蒸気)
α: 流量係数≒1
d: ノズルののど直径 (mm)
P1: ノズル前の蒸気絶対圧力 (MPa)
v1: ノズル前の蒸気比容積 (m3/kg)
4.7
冷却水 冷却水量は,計量槽・せき又は流量計のいずれで計測してもよい。所定温度の冷却水が利
用できない場合には,試験当事者間で協定のうえ,所定の冷却水温度を変更することができる。
5. 試験成績
5.1
試験成績表 試験によって得た結果は,これを表に記入する。この表には,エゼクタの製造業者名,
製品番号,試験番号,仕様及びこれに対する試験成績,試験年月日,試験者名などを明記する。一例を付
表1に示す。
5.2
性能曲線図 性能は,曲線図によって示す。性能曲線は,横軸に吸入乾燥空気量を,縦軸に吸入真
空をそれぞれ適当な尺度にとり,付図1のように図示する。ただし吸入真空は,標準大気圧時に換算して
示す。
6. 注意事項
6.1
空気漏れ 試験装置完成後,所定真空度以上に上昇させて,あらかじめ装置の空気漏れ調査を行う
ことが望ましい。
6.2
規定の準用 この規格は,主に2段エゼクタについて適用するが,1段又は3段エゼクタの場合もこ
れに準じて試験する。
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付表1
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付図1 空気エゼクタ性能曲線
注文者
製品番号
試験番号
試験施行 年 月 日
仕様
形式
吸入空気量(乾燥)
kg/h
吸入真空
Pa
吸入空気温度
℃
冷却水量
m3/h
冷却水入口温度
℃
蒸気ノズルののど直径
第1段
mm
第2段
mm
ノズル前蒸気ゲージ圧力
MPa
ノズル前蒸気温度
℃
試験者名
製造業者名
参考 この規格に採用したノズルに関する規定は,計算式及び線図を含めてすべて下記を基礎にした
ものである。
A形ノズル:DIN 1952 (1948) −VDI Durchflussmessregeln, Regeln für die Durchflussmessung mit
genormten Düsen, Blenden und Venturidüsen.
B形ノズル:Standards for Steam Jet Ejectors. Third Edition (Heat Exchange Institute, U. S. A.)
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一般機械部会 エゼクタ試験方法専門委員会 構成表(昭和36年7月1日改正のとき)
氏名
所属
(委員会長)
山 田 嘉 久
社団法人日本機械学会
藤 野 慶 祐
日本機工株式会社
天 田 得 三
新三菱重工業株式会社
栗 原 幸 平
三菱造船株式会社長崎造船所
久 貴 安 次
石川島芝浦タービン株式会社
大 嶋 豊
石川島播磨重工業株式会社
佐々木 義 広
浦賀船渠株式会社浦賀造船所
細 井 実
株式会社日立製作所
寺 田 重三郎
東京電力株式会社
伊 藤 淳 一
東京芝浦電気株式会社
真 鍋 咸 敬
日本船舶工業標準協会
西 岡 正 美
日本造船工業会
板 谷 松 樹
東京工業大学
川 上 陽 平
防衛庁装備局
小 島 殻 男
運輸省船舶局
相 部 嘉 輔
通商産業省公益事業局
東 秀 彦
工業技術院標準部
高 橋 重
工業技術院標準部
(事務局)
青 田 和 夫
工業技術院標準部機械規格課
(事務局)
松 川 東 一
工業技術院標準部機械規格課(昭和51年8月1日改正のとき)
渡 辺 武 夫
工業技術院標準部機械規格課(昭和51年8月1日改正のとき)
(事務局)
稲 橋 一 行
工業技術院標準部機械規格課(平成7年7月1日改正のとき)
鈴 木 俊 吾
工業技術院標準部機械規格課(平成7年7月1日改正のとき)