B 8037-8 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。これによってJIS B 8032-1993(ピストンリング通則)は廃止され,JIS B 8032-1〜13 :
1998(内燃機関−小径ピストンリング−),JIS B 8037-1〜8 : 1998(内燃機関−大径ピストンリング−)及
びJIS B 8038 : 1998(往復動油圧シリンダ用ピストンリング)によって置き換えられる。
今回の制定では,国際規格との整合を図ることに重点を置き,対応国際規格の規定内容をすべて採用し,
さらに,JISとして必要な規定内容を追加した。また,JIS Z 8301(規格票の様式)が1996年7月に改正
されたのに伴い,それに従って規格票の様式も変更した。
JIS B 8032は,次に示す13部によって構成され,これらに“内燃機関−小径ピストンリング−”という
共通の規格名称を用いた。
JIS B 8032 内燃機関−小径ピストンリング−
第1部:用語
第2部:測定方法
第3部:材料
第4部:仕様の一般規定
第5部:要求品質
第6部:レクタンギュラリング
第7部:薄幅レクタンギュラリング
第8部:スクレーパリング
第9部:キーストンリング
第10部:ハーフキーストンリング
第11部:オイルコントロールリング
第12部:コイルエキスパンダ付きオイルコントロールリング
第13部:スチール組合せオイルコントロールリング
JIS B 8037は,次に示す8部によって構成され,これらに“内燃機関−大径ピストンリング−”という
共通の規格名称を用いた。
JIS B 8037 内燃機関−大径ピストンリング−
第1部:用語
第2部:測定方法
第3部:材料
第4部:仕様の一般規定
第5部:要求品質
第6部:レクタンギュラリング
第7部:オイルコントロールリング
第8部:コイルエキスパンダ付きオイルコントロールリング
JIS B 8038は,“往復動油圧シリンダ用ピストンリング”という規格名称を用いた。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 8037-8 : 1998
内燃機関−大径ピストンリング−
第8部:コイルエキスパンダ付き
オイルコントロールリング
Internal combustion engines−Large diameter piston rings−
Part 8 : Coil-spring-loaded oil control rings
1. 適用範囲 この規格は,往復動内燃機関に使用する呼び径が200mmを超え1 000mm以下のピストン
リング(以下,リングという。)のコイルエキスパンダ付きオイルコントロールリングのタイプDSF-C,
DSF-CNP及びDSFの基本的寸法及び特性について規定する。
なお,この規格は,類似した状態で作動する圧縮機用リングなどに適用してもよい。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 8037-3 : 1998 内燃機関−大径ピストンリング−第3部:材料
3. ピストンリングのタイプ及び呼び方の例
3.1
タイプDSF-C−クロムめっき付きプロファイル研磨コイルエキスパンダ付きベベルオイルコントロ
ールリングのタイプ及び呼び方
3.1.1
一般諸元 リングの一般諸元は,図1による。
各部の寸法及び張力は,表6による。
備考 コイル内溝形状は,受渡当事者間の協定による。
2
B 8037-8 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注*
表3による。
** 表4による。
図1 タイプDSF-C
3.1.2
呼び方の例 リングの呼び方は,次による。
呼び径d1=300mm (300) ,リング呼び幅h1=10mm (10) ,熱処理なしのねずみ鋳鉄(材料分類MC10)
製で,合い口すきま1.0mm (S10) ,外周当たり面クロムめっき厚さ0.20mm以上 (CR4) ,鋳鉄全面りん酸
塩皮膜処理厚さ0.002mm以上 (PO) ,コイルエキスパンダ張力減退低減処理品 (WF) ,コイル外径d7外
周研磨加工 (CSE) 及び製造業者マーク (MM) 付きであるものの呼び方は,次による。
ピストンリング JIS B 8037-8 DSF-C-300×10-MC10 S10 CR4 PO WF CSE MM
3
B 8037-8 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.2
タイプDSF-CNP−クロムめっき付きプロファイル研磨なしコイルエキスパンダ付きベベルオイル
コントロールリングのタイプ及び呼び方
3.2.1
一般諸元 リングの一般諸元は,図2による。
各部の寸法及び張力は,表6による。
備考 コイル内溝形状は,受渡当事者間の協定による。
注*
表3による。
** 表4による。
図2 タイプDSF-CNP
3.2.2
呼び方の例 リングの呼び方は,次による。
呼び径d1=300mm (300) ,リング呼び幅h1=10mm (10) ,熱処理なしのねずみ鋳鉄(材料分類MC10)
製で,外周当たり面クロムめっき厚さ0.20mm以上 (CR4) 及び等間隔ピッチコイルエキスパンダ (CSN)
付きであるものの呼び方は,次による。
ピストンリング JIS B 8037-8 DSF-CNP-300×10-MC10 CR4 CSN
4
B 8037-8 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.3
タイプDSF−コイルエキスパンダ付きベベルオイルコントロールリングのタイプ及び呼び方
3.3.1
一般諸元 リングの一般諸元は,図3による。
各部の寸法及び張力は,表6による。
備考 コイル内溝形状は,受渡当事者間の協定による。
注*
表3による。
** 表4による。
図3 タイプDSF
3.3.2
呼び方の例 リングの呼び方は,次による。
呼び径d1=300mm (300) ,リング呼び幅h1=10mm (10) ,熱処理なしのねずみ鋳鉄(材料分類MC10)
製で,等間隔ピッチコイルエキスパンダ (CSN) であるものの呼び方は,次による。
ピストンリング JIS B 8037-8 DSF-300×10-MC10 CSN
5
B 8037-8 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4. 共通諸元
4.1
窓の配置 リングの窓配置は,表1による。
表1 窓配置
単位mm
呼び径
窓数
窓角度
フライス径 w1及びw2の差
合い口部窓角度 窓角度
d1
α
β
i×β
d5
200<d1<210
14
17゜30'
25゜
13×25゜
55〜75
4以下
210≦d1<260
16
15゜
22゜
15×22゜
5以下
260≦d1<330
18
14゜15'
19゜30'
17×19゜30'
65〜85
330≦d1<430
20
13゜45'
17゜30'
19×17゜30'
430≦d1<600
22
12゜
16゜
21×16゜
80〜110
7以下
600≦d1≦650
24
10゜22.5'
14゜45'
23×14゜45'
4.2
コーティング厚さ リングのコーティング厚さは,表2による。
表2 コーティング厚さ
単位mm
クロムめっき記号
コーティング厚さ
CR2
0.10以上
CR3
0.15以上
CR4
0.20以上
CR5
0.30以上
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B 8037-8 : 1998
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4.3
当たり面段差 リングの当たり面段差は,表3による。
表3 当たり面段差の許容差
単位mm
リング幅
h1
当たり面段差
t
8以下
0.025以下
10
0.035以下
12
0.045以下
15
0.060以下
4.4
コイルエキスパンダ溝の偏心量 リングのコイルエキスパンダ溝の偏心量は,表4による。
表4 コイルエキスパンダ溝の偏心量
単位mm
リング幅
h1
偏心量
v
8以下
0.4以下
10
0.5以下
12
0.6以下
15
0.8以下
5. コイルエキスパンダ
5.1
コイルエキスパンダのタイプ 寸法表の値は,丸線の円形コイルを基本としている。
5.1.1
タイプCSN 等間隔ピッチコイルエキスパンダは,図4による。
図4 タイプCSNコイルエキスパンダ
5.1.2
タイプCSG 等間隔ピッチコイルエキスパンダ(コイル外径d7研磨仕上げ)のタイプは,図5に
よる。
図5 タイプCSGコイルエキスパンダ
備考 上記と異なるタイプのコイルエキスパンダ及びその
コイルエキスパンダと組み合わせるリングのコイル
内溝の形状及び寸法は,受渡当事者間の協定による。
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B 8037-8 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.2
たわみ量 コイルエキスパンダのたわみ量は,表5による。
コイルエキスパンダのたわみ量は,コイルエキスパンダ溝底の中央で測定した値で,リングに張力を加
えない状態での合い口すきまである。
表5 コイルエキスパンダのたわみ量
単位mm
呼び径
d1
基準たわみ量
f1
200<d1<250
0.12×d1
250≦d1<330
0.10×d1
330≦d1<490
0.08×d1
490≦d1≦650
0.07×d1
備考 f1はリング本体の自由合い口すきま
(m) より大きいものとする (f1>m) 。
5.3
コイルエキスパンダの突合せ部及びリング合い口の組付け位置 組付け位置は,次による。
コイルエキスパンダの突合せ部は,リング合い口の約180゜方向にセットする。コイルエキスパンダの
両端面は,ジョイント線で結合する。
5.4
材料 コイルエキスパンダの材料は,次による。コイルエキスパンダは,JIS B 8037-3に規定した油
焼き入れした炭素鋼 (MC6A) 又はステンレス鋼 (MC6B) の線材によって作る。
コイルエキスパンダは,次の2種類の異なった熱減退特性からなる。
− 張力減退低減処理なし品
− 張力減退低減処理品(コードWF)
6. 接線張力
6.1
接線張力 リングの接線張力は,コイルエキスパンダの張力が主体である。鋳鉄リングの張力は,
a1寸法が小さく,及び呼び径に対する自由合い口すきまの比が小さいため,鋳鉄リング張力の寄与は低い。
コイルエキスパンダの接線張力の測定は,柔軟性に富んだ鋳鉄リングを使用する。
6.2
接線張力Ftの計算式 リングの接線張力Ftは,次の式によって計算する。
0
5
12
2
1
P
h
d
Ft =
ここに, d1: 呼び径 (mm)
h5: 当たり幅 (mm)
P0: 必要とする呼び面圧 (N/mm2)
当たり幅h5は,リングのタイプ,呼び径及びリング幅による。
8
B 8037-8 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7. 寸法 リングの寸法は,表6による。
表6 コイルエキスパンダ付きオイルリング
単位mm
呼び径
d1
組合せ厚さ
(a13+d7)
a12
リング厚さ
a1
リング幅
h1
合い口すきま ラン
ド幅
h4
当た
り幅
h5
溝深
さ
a4
溝底コ
ーナ
r3
内溝
深さ
a13
窓幅
c1
窓数 コイルエキ
スパンダ内
溝半径
d14/2
コイ
ル径
d7
許容差
許容差
許容差
s1
s2
200
を超え
7.1 ±0.30 5.2 ±0.15
リング
1本内
ばらつき
0.15以下
7 −0.010
−0.030
表面処理
POりん酸
塩皮膜処理
後
0
−0.040
0.6〜
0.80
−
1.6 0.5 1.5
0.5
3.2 1.7 14
2.1
3.9
210
8.4
5.5
8 −0.010
−0.040
表面処理
POりん酸
塩皮膜処理
後
0
−0.040
0.75〜
1.05
0.55〜
0.85
1.8 0.6 2.0
3.9 2.0
2.4
4.5
220
5.7
16
230
8.5
5.9
4.0
240
6.1
250
8.6
6.3
0.85〜
1.15
0.60〜
0.90
4.1
260
6.5
10
1.9
2.5 18
270
8.7
6.7
4.2
280
6.9
1.90〜
1.20
0.65〜
0.95
290
8.9
7.1
4.4
300
7.3
310 10.1 ±0.35 7.5 ±0.20
リング
1本内
ばらつき
0.20以下
1.00〜
1.30
0.75〜
1.05
2.5 0.7 2.5
5.0
2.7
5.1
320
7.7
330 10.2
7.9
5.1
20
340
8.1
1.10〜
1.50
0.80〜
1.20
350 10.3
8.3
5.2
360
8.5
12
2.7
3.0
370 10.5
8.7
1.20〜
1.60
0.85〜
1.25
5.4
380
8.9
1
390 10.6
9.1
5.5
400
9.2
410 12.0
9.4
1.35〜
1.85
1.00〜
1.50
0.8 3.0
6.1
3.1
5.9
420
9.6
430 12.1
9.8
6.2
22
440
10.0
450
10.2
460 12.3
10.4
15
1.50〜
2.00
1.10〜
1.60
3.6
6.4 4.0
470
10.6
480
10.8
490
11.0
500
11.2
510 13.8 ±0.40 11.4
1.70〜
2.20
1.20〜
1.70
3.5
7.1
3.5
6.7
520
11.6
530
11.8
540
12.0
550
12.2
9
B 8037-8 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位mm
呼び径
d1
組合せ厚さ
(a13+d7)
a12
リング厚さ
a1
リング幅
h1
合い口すきま ラン
ド幅
h4
当た
り幅
h5
溝深
さ
a4
溝底コ
ーナ
r3
内溝
深さ
a13
窓幅
c1
窓数 コイルエキ
スパンダ内
溝半径
d14/2
コイ
ル径
d7
許容差
許容差
許容差
s1
s2
560 14.0
12.4 ±0.30
リング
1本内
ばらつき
0.30以下
1.80〜
2.30
1.30〜
1.80
7.3
570
12.6
580
12.8
590
13.0
600
13.2
24
610 15.0
13.4
2.00〜
2.50
1.45〜
1.95
7.5
3.9
7.5
620
13.6
630
13.8
640
14.0
650
14.2
備考1. リングの呼び径が表中の中間サイズ(例えば,補修品のサイズ)の場合は,小径側のリング厚さを適用する。
2. 張力の設定については,受渡当事者間の協定による。
3. リング厚さ (a1) は,推奨値を示す。
関連規格:JIS B 8032-3 : 1998 内燃機関−小径ピストンリング−第3部:材料
備考
ISO 6621-3 : 1983, Internal combustion engines−Piston rings−Part3 : Material
specificationsが,この規格と一致している。
JIS B 8032-12 : 1998 内燃機関−小径ピストンリング−第12部:コイルエキスパンダ付きオイ
ルコントロールリング
備考
ISO 6626 : 1989, Internal combustion engines−Piston rings−Coil-spring-loaded oil control
ringsが,この規格と一致している。
10
B 8037-8 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS B 8032,8037,8038 原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
古 林 誠
青山学院大学
(幹事・小委員会主査)
○ 久 保 幸 彦
帝国ピストンリング株式会社技術開発部
(委員)
浦 田 益太郎
通商産業省機械情報産業局
内 山 芳 忠
工業技術院機械技術研究所
○ 本 間 清
工業技術院標準部
○ 橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会技術部
青 木 千 明
日本内燃機関連合会
照 山 勝
社団法人自動車技術会
門 泰 一
社団法人日本油空圧工業会(太陽鉄工株式会社)
山 本 英 継
三菱自動車工業株式会社材料技術部
伯耆田 毅
日産自動車株式会社
小野山 泰 一
日産自動車株式会社パワートレーン開発本部
江 頭 英 則
三菱自動車工業株式会社相模原製作所
常 田 征 三
株式会社田邊空気機械製作所名古屋事業所
小 島 克 己
社団法人日本自動車部品工業会技術部
○ 手 島 巌
株式会社リケン 技術管理部
○ 平 石 巌
日本ピストンリング株式会社技術開発部
(小委員会委員)
深 瀬 長 三
帝国ピストンリング株式会社
竹 内 康 二
日本ピストンリング株式会社技術開発部
栗 林 盛 夫
株式会社リケン ピストンリング事業部
(関係者)
中 林 賢 司
工業技術院標準部
三 塚 隆 三
財団法人日本規格協会技術部
(事務局)
阿 部 静 郎
財団法人陸用内燃機関協会
本 間 隆 雄
社団法人陸用内燃機関協会
備考 ○印の付いている者は,小委員会委員を兼ねる。