B 8002-4 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。これによってJIS B 8002-1986は廃止され,JIS B 8002-1,3〜7に置き換えられる。
今回の制定では,対応する国際規格との関係を考慮し,全体を6部による構成とし,第4部では調速に
ついて規定した。また,今回の制定では,調速性能の等級を,従来規定していたA0〜A2,B1,B2に対し,
ISO 3046-4 (Reciprocating internal combustion engines−Performance−Part 4 : Speed governing) に倣いM1〜
M4とした。
JIS B 8002は,次の部によって構成される。
− 第1部 標準大気条件,出力・燃料消費量・潤滑油消費量の表示及び試験方法
− 第3部 測定
− 第4部 調速
− 第5部 ねじり振動
− 第6部 過回転速度防止
− 第7部 出力コード
参考 JIS B 8002に対応するISO 3046は,Part 2が欠番である。したがって,JIS B 8002も第2部を
欠番とする。
B 8002-4 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 記号及び添字 ·················································································································· 2
4. 調速装置の分類 ··············································································································· 3
5. 他の規則及び補足要求事項 ································································································ 6
6. 調速装置に対する技術的要求事項 ······················································································· 6
7. 調速装置の試験 ··············································································································· 6
8. 性能の分類及び調速装置の定常限界値 ················································································· 6
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 8002-4 : 1998
往復動内燃機関−性能−
第4部:調速
Reciprocating internal combustion engines−Performance−
Part 4 : Speed governing
序文 この規格は,1994年に第2版として発行されたISO 3046-4,Reciprocating internal combustion engines
−Performance−Part 4 : Speed governingを翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格で
ある。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,調速装置の要求事項及び管理項目を分類し,往復動内燃機関(以下,機関と
いう。)の一般的機関回転速度についての用語の定義を規定する。
この規格は,液体燃料を使用する圧縮点火機関についての要求事項を規定する。火花点火機関及び二元
燃料機関については特別な要求事項を適用することもある。必要に応じて個々の機関用途に対して個別要
求事項を規定することができる。
この規格は,航空機を駆動する機関を除いた,すべての往復動内燃機関に適用する。
備考1. 用途が明確な機関については,用途別の規格による。
2. 往復動内燃機関による発電セットに使用する調速装置の性能及び測定項目は,ISO 8528-2及
びISO 8528-5による。
3. 過回転速度防止装置に関する一般的な機関回転速度についての用語の定義は,JIS B 8002-6
による。
4. 対応国際規格を,次に示す。
ISO 3046-4 : 1994, Reciprocating internal combustion engines−Performance−Part 4 : Speed
governing
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 8002-1 往復動内燃機関−性能−第1部:標準大気条件,出力・燃料消費量・潤滑油消費量の表
示及び試験方法
備考 ISO 3046-1 : 1995, Reciprocating internal combustion engines−Performance−Part 1 : Standard
reference conditions, declarations of power, fuel and lubricating oil consumptions, and test
methodsの技術的内容が,この規格と技術的に同等である。
JIS B 8002-6 往復動内燃機関−性能−第6部:過回転速度防止
2
B 8002-4 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考 ISO 3046-6 : 1990, Reciprocating internal combustion engines−Performance−Part 6 : Overspeed
protectionの技術的内容が,この規格と技術的に同等である。
ISO 7967-7, Reciprocating internal combustion engines−Vocabulary of components and systems−Part 7 :
Governing systems
ISO 8528-2 : 1993, Reciprocating internal combustion engine driven alternating current generating sets−Part
2 : Engines
ISO 8528-5 : 1993, Reciprocating internal combustion engine driven alternating current generating sets−Part
5 : Generating sets
3. 記号及び添字 この規格で使用する記号及び添字は,3.1及び3.2による。
3.1
記号
c
:定常調速速度変動率を計算するための定数
m
:定常調速速度変動率を計算するための指数の定数
n
:機関回転速度
nc
:連結回転速度
nd, max
:オーバシュート回転速度
nd, min
:アンダシュート回転速度
nf, l
:全負荷最低回転速度
ni
:無負荷回転速度(アイドル回転速度)
ni, f
:ファストアイドル回転速度
ni, max
:無負荷最高調整回転速度
ni, min
:無負荷最低調整回転速度
ni, p
:部分負荷出力時の回転速度に基づく無負荷回転速度
ni, r
:呼び無負荷回転速度(ハイアイドル回転速度)
nov
:過負荷回転速度
np
:部分負荷出力時の回転速度
np, l
:部分負荷出力時の最低連続回転速度
np, min
:最低調整回転速度
nr
:呼び回転速度
ns
:始動回転速度
nsf
:点火回転速度
ntq
:最大トルク時の回転速度
Pa
:機関の実出力
Pr
:機関の呼び(定格)出力
tn, de
:整定時間(負荷減少)
tn, in
:整定時間(負荷増大)
βn
:定常調速速度変動率
δnst, r
:呼びスピードドループ
δndyn
:瞬時回転速度変化率(初速度から)
δn−dyn
:瞬時回転速度変化率(負荷増大)
3
B 8002-4 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
δn+dyn
:瞬時回転速度変化率(負荷減少)
△n
:一定出力における平均回転速度に対する回転速度変動幅
△ns
:回転速度設定範囲
△P
:並列運転時の負荷分配不平衡度
vn
:機関回転速度設定変化率
ΣPa
:全並列運転機関から供給される出力の総和
ΣPr
:全並列運転機関の呼び(定格)出力の総和
3.2
添字
a
:実際
c
:連結
dyn
:動的
de
:減少
f
:全負荷
I
:無負荷(アイドル)
in
:増大
l
:最低
n
:回転速度
ov
:過負荷
p
:部分負荷出力
r
:呼び(定格)
s
:始動
sf
:点火
st
:定常回転速度
tq
:トルク
4. 調速装置の分類 調速装置の分類及び評価には,次の特性又は品質が重要なかかわりをもつ。
a) 回転速度検出及び出力信号の増幅
b) 動特性(伝達関数)
c) 機関用途にかかわる機能
さらに,使用される速度設定装置の形式を知ることが重要である。
用語,記号及び定義は,4.1〜4.3による。
4.1
調速装置
番号
用語
定義
4.1.1
機関調速装置
特定の機関運転条件の下で機関の実回転速度を設定回転速度に近づけるために,機関への
燃料供給量を調整する装置。
調速装置は,次のように分類できる。
a)
回転速度検出及び出力信号の増幅による分類(ISO 7967-7の7.1参照)
b) 動特性(伝達関数)による分類(ISO 7967-7の7.2参照)
c)
機能による分類(ISO 7967-7の7.3参照)
4.1.2
回転速度設定装置
用途又は要求される調整の種類によって,調速装置の設定値を調整する装置。
4.1.3
アングライヒ
機関の呼び回転速度以下において,燃料噴射装置から得られる最大供給量特性を修正する
装置。
4
B 8002-4 : 1998
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4.2
調速項目
番号
用語
記号
定義
4.2.1
調速装置入力信号
機関回転速度を測定する調速装置への入力信号。
4.2.2
調速装置出力信号
燃料供給量を調節するために用いられる調速装置からの出力信号。
4.2.3
調速装置制御力
調速装置の出力軸又はアームが全行程を移動したとき,調速装置から得られる最
大作業量。
4.2.4
最大調節棒制御力
動程の任意の指定位置における調速装置制御力の最大値。
4.2.5
最大出力軸トルク
動程の任意の指定位置における調速装置出力トルクの最大値。
4.2.6
呼びスピードドループ
δnst, r
調速装置を呼び負荷における呼び回転速度設定に固定した状態で,呼び無負荷回
転速度 (ni, r) と呼び負荷における呼び回転速度 (nr) との差を,呼び回転速度 (nr)
に対する百分率で表す。
100
,
,
×
−
=
r
r
r
i
r
st
n
n
n
n
δ
4.2.7
定常調速回転速度変動率
βn
一定出力における平均回転速度に対する回転速度変動幅△n(図6参照)を,呼
び回転速度に対する百分率で表す。
100
×
∆
=
r
n
n
n
β
機関の全運転範囲にわたる定常調速速度変動率に関する作動限界値は,出力及び
機関が被駆動装置に連結されているか否かによって異なる。これらの作動限界値
は機関の呼び回転速度によっても変化し,次のように規定する。
a)
機関が被駆動装置に連結されている場合
− n<0.5nr
− n≧0.5nrかつP>0.25Pr
− n≧0.5nrかつP<0.25Pr
b)
機関が被駆動装置に連結されておらず,無負荷最低調整回転速度で運転され
ている場合。
図1〜3に示す曲線は,実験に基づいて作成されたものである。これらの曲線は,
次の式によって百分率で表すこともできる。
βn=cnr−m
表1に指定するケースについて,c及びmの値を示す。
備考 この値は,系全体の慣性モーメント,調速装置の制御力及び全回転
速度域での機関出力によって決まり,注文者には重要な値である。
4.2.8
回転速度設定範囲
△ns
回転速度設定装置によって決まる無負荷最低調整回転速度と無負荷最高調整回
転速度との差。
4.2.9
機関回転速度設定変化率
(表1参照)
vn
遠隔制御による機関回転速度設定変化率をいい,1秒当たりの機関回転速度設定
を変える速さを,呼び回転速度の百分率で表す。
100
min
,
max
,
×
−
=
t
n
n
n
v
r
i
i
n
備考 船用機関の場合には,機関回転速度設定変化率は具体的な用途,機
関製造業者及び/又は注文者の要求によって決まる(例えば,操縦
及び正常加速/減速では機関回転速度設定変化率は異なる。)。
4.2.10
並列運転時の負荷配分不平
衡度
△P
各機関の負荷の比率と各機関の呼び出力の総和に対する比率との差をいい,百分
率で表す。
100
×
−
=
∆
∑∑
r
a
r
a
p
P
p
P
P
全機関を一つの軸上で駆動する並列運転の場合には,機関の負荷分配はスピード
ドループ及び調速装置の回転速度設定装置の精度によって異なる。自動負荷配分
装置を用いることによって,限界値を小さくすることもできる。調速装置と回転
速度設定装置を調整するとき,最低調整回転速度における最低機関出力及び呼び
回転速度における呼び出力の限界値はさらに小さくなければならない。負荷配分
5
B 8002-4 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
記号
定義
限界値を維持するためには,スピードドループは表1に示す範囲内になければな
らない。
4.3
代表的な機関回転速度及び動特性
備考 過回転速度防止装置に関する代表的機関回転速度の用語の定義は,JIS B 8002-6による。
図4及び図5に示す例を参照。定速機関の例については,ISO 8528-2の図1を参照。
4.3.1
代表的な定常機関回転速度
番号
用語
記号
定義
4.3.1.1
機関回転速度
n
単位時間におけるクランク軸の回転数。
4.3.1.2
点火回転速度(1)
nsf
燃料供給装置とは別の外部のエネルギー源を利用して,停止状態にある機関を自
力運転を可能にするために,機関を加速し到達させなければならない回転速度。
4.3.1.3
始動回転速度(1)(2)
ns
燃料調節棒が停止位置にあるとき,始動装置によって機関(機械的に連結された
補機とともに)を加速できる最高機関回転速度。
4.3.1.4
連結回転速度
nc
被駆動装置が機関に連結される回転速度。
4.3.1.5
呼び回転速度
nr
呼び出力に対応する機関回転速度。
4.3.1.6
無負荷回転速度(アイドル
回転速度)
ni
無負荷状態における整定機関回転速度。
4.3.1.7
呼び無負荷回転速度(ハイ
アイドル回転速度)
ni, r
呼び回転速度nrと同じ回転速度設定にしたときの無負荷状態における整定機関
回転速度。
4.3.1.8
最大トルク回転速度
ntq
最大燃料制限状態における最大トルク時の機関回転速度(適用可能な場合には,
追加のトルク燃料設定を含む。)。
4.3.1.9
部分負荷出力回転速度
np
呼び回転速度と最低調整回転速度間の機関整定回転速度。
4.3.1.10
部分負荷出力時回転速度に
基づく無負荷回転速度
ni, p
部分負荷出力np時の回転速度と同じ回転速度設定にしたときの無負荷状態にお
ける機関整定回転速度。
4.3.1.11
部分負荷出力時最低連続回
転速度
np, l
プロペラ曲線又は別の指定負荷曲線における機関整定最低許容連続回転速度。
4.3.1.12
全負荷最低連続回転速度
nf, l
全負荷(燃料調節棒を呼び出力位置にしたとき)の機関整定最低許容回転速度。
4.3.1.13
最低調整回転速度
np, min
機関を連結しプロペラ曲線又は別の指定負荷曲線によって運転している状態に
おいて,回転速度設定装置によって選択することができる機関最低整定回転速
度。
4.3.1.14
無負荷最低調整回転速度
ni, min
無負荷状態における最低調整回転速度np・minと同じ回転速度設定にしたときの機
関最低整定回転速度。
備考 発電セットの場合には,この回転速度は調速装置の回転速度設定装
置によって設定することができる。
4.3.1.15
ファストアイドル回転速度
ni, f
機関の低温始動時及び機関の暖機運転中によく使用される高速の無負荷最低調
整回転速度。この回転速度は手動又は自動調整によって設定することができる。
4.3.1.16
過負荷回転速度
nov
機関が過負荷出力を出す回転速度。
4.3.1.17
無負荷最高調整回転速度
ni, max
無負荷状態における過負荷回転速度novと同じ回転速度設定にしたときの機関最
高整定回転速度。
備考 発電セットの場合には,この回転速度は,調速装置の回転速度設定
装置によって設定することができる。
注(1) 点火回転速度及び始動回転速度は,機関始動中の大気条件,機関始動中の運転条件及び始動装置の形式によっ
て異なる。
(2) 始動回転速度は補機の要求出力によって影響されることもあり,点火回転速度によって高くなる。
4.3.2
回転速度動特性 回転速度動特性(図6参照)は,次の事項によって決まる。
・機関のターボ過給機
・呼び出力における機関の正味平均有効圧Pme
・調速装置の特性
6
B 8002-4 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
・被駆動装置の運転特性
・機関及び被駆動装置の回転慣性モーメント
・機関と被駆動装置の連結の有無
被駆動装置の運転特性は機関製造業者には不明なため,機関の過渡特性についての仕様及び値をこの規
格に規定することはできない。
4.3.3
代表的な回転速度動特性
番号
用語
記号
定義
4.3.3.1
オーバシュート回転速度
nd, max
高い出力から低い出力に変化するとき,又は低い回転速度から高い回転速度に速
度設定が変化するときに起きる過渡的機関最高回転速度
4.3.3.2
アンダシュート回転速度
nd, min
低い出力から高い出力に変化するとき,又は高い回転速度から低い回転速度に速
度設定が変化するときに起きる過渡的機関最低回転速度
4.3.3.3
負荷増大時 (−) 及び負荷
減少時 (+) 瞬時速度変化
率
δndyn
δn−dyn
δn+dyn
負荷が変化しているときの調整中のアンダシュート回転速度(又はオーバシュー
ト回転速度)と初期回転速度との一時的な差。初期回転速度に対する百分率で表
示する。
100
,
min
,
×
−
=
−
p
p
i
d
dyn
n
n
n
n
δ
100
max
,
×
−
=
+
p
p
d
dyn
n
n
n
n
δ
(負の符号は負荷増大後のアンダシュート回転速度を表し,正の符号は負荷減少
後のオーバシュート回転速度を表す。)
4.3.3.4
整定時間
tn, de
tn, in
指定された負荷変化後の定常調速回転速度変動率から新しい回転速度における
指定定常調速回転速度変動率へ回転速度が変化して整定するまでの時間。
5. 他の規則及び補足要求事項
5.1
船用及び海上設備用として使用される機関については,相互に適用を合意した基準を満たさなけれ
ばならない。
5.2
法的な規則による特殊要求事項を満たさなければならない場合には,注文者はその適用する公的機
関を注文前に指定する。他の補足要求事項は,受渡当事者間の合意によって決める。
6. 調速装置に対する技術的要求事項 注文者又は機関製造業者は,8.に従い,調速装置の運転制限値及
び精度についての要求事項を指定しなければならない。機関製造業者は,通常これらの要求事項に適合す
る調速装置を選択する。
速度設定範囲△nsは,機関の用途によって受渡当事者間の合意によって決める(図1及び図2参照)。
7. 調速装置の試験 調速装置は,受渡試験時又は必要な場合には,契約の中で合意された被駆動装置と
連結した機関の運転試験時に試験しなければならない(JIS B 8002-1参照)。限界値を確認し,記録する。
8. 性能の分類及び調速装置の定常限界値 調速装置の動特性は,用途と被駆動装置とによって異なるた
め,この規格には定常限界値だけを規定する(表1参照)。発電セットの限界値はISO 8528-5の15.による。
調速精度についての要求事項を,次の四つの性能等級に分類し規定する。
M1 あまり高くない調速精度で,広い範囲の機関回転速度に使用されるもの。
M2 一般的な調速精度で,広い範囲の機関回転速度に使用されるもの。
M3 高い調速精度が要求され,広い範囲の機関回転速度に使用されるもの。
7
B 8002-4 : 1998
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M4 受渡当事者間の合意によって要求条件を定めるもの。
備考1. 注文者は,要求を満たす必要最小限の性能等級を選択することが望ましい。
2. 調速装置の運転特性の精度は,調速装置の熱ドリフト及び機関の負荷変動によって影響を受
ける。したがって,すべての測定は定常温度及び一定負荷においてなされる。
機関製造業者は,機関の始動後,表1に規定する限界値内に制御できる状態になるまでに要する通常の
時間を示さなければならない。
機関用途によって通常の時間が必要でないか,又は短縮しなければならない場合,時間及び技術的手段
は受渡当事者間の合意によって決める。
表1 運転限界値
番号
項目
記号
単位
参照項
運転限界値
性能等級
M1
M2
M3
M4
1
呼びスピードドループ
δnst, r
%
4.2.6
≦15
≦10
≦5(3)
AMC(4)
定常調速回転速度変動率
βn
%
4.2.7
図1参照
図2参照
図3参照
2
a)
被駆動装置に連結された機関
c
m
c
m
c
m
AMC(4)
n<0.5nr
48
0.44
70
0.545
48
0.53
n≧0.5nr及びP>0.25Pr
39
0.455
49
0.54
40
0.55
n≧0.5nr及びP<0.25Pr
48
0.44
70
0.545
48
0.53
b)
被駆動装置に連結されていない機関
c
m
c
m
c
m
AMC(4)
無負荷最低調整回転で運転さ
れている機関
68
0.45
104
0.55
63
0.53
3
機関回転速度設定変化率
vn
%/s
4.2.9
AMC(4)
AMC(4)
AMC(4)
AMC(4)
4
並列運転時の負荷配分(複数の
機関が一つの軸を駆動してい
る)(5)
△P
%
4.2.10
≦10
≦10
≦10
AMC(4)
注(3) 用途によっては,呼びスピードドループ0%の場合もある[アイソクロナス制御 (isochronous control) ]。
(4) AMC (Agreement between Manufacturer and Customer) とは,受渡当事者間の合意によって定めることを表す。
(5) 軸駆動発電機付主機については,発電セットを用いた並列運転の場合には,要求される瞬時速度変化率と負荷
配分は受渡当事者間の合意によって決める。
機関製造業者と注文者との合意によって,場合によっては技術的条件のために(例えば,出力が異なるため,
回転速度制御装置が十分に有効な特性を示さない機関の並列運転の場合)△Pの値を上記の値より高く指定し
てもよい。しかしこの場合には,問題とする運転条件に対応する小さい方の機関の許容出力を超えてはならな
い。
8
B 8002-4 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1 性能等級M1の運転限界値
図2 性能等級M2の運転限界値
9
B 8002-4 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図3 性能等級M3の運転限界値
図4 燃料調節棒を規定位置にしたときの圧縮点火機関
10
B 8002-4 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図5 固定ピッチプロペラとともに用いる圧縮点火機関
図6 回転速度動特性
関連規格 JIS B 0108 往復動内燃機関用語(一般)
JIS B 8014 定速回転ディーゼル機関性能試験方法
ISO 2710-1 Reciprocating internal combustion engines−Vocabulary−Part 1 : Terms for engine
design and operation
11
B 8002-4 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS B 8002 改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長・主査)
○ 古 林 誠
青山学院大学
(幹事)
○ 伊 達 真 也
三菱自動車工業株式会社トラック・バス開発本部
(委員)
○ 阿 部 静 郎
社団法人陸用内燃機関協会技術部
○ 今 井 清
日本内燃機関連合会(内燃機関国際整合化推進本
委員会委員長)
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
岡 山 透
財団法人日本海事協会機関部
○ 小 郷 一 郎
財団法人日本船舶標準協会標準部
鎌 田 実
東京大学工学部
染 谷 常 雄
武蔵工業大学工学部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会技術部
本 間 清
工業技術院標準部
丸 山 倉 平
日本内燃機関連合会
○ 井 上 新 二
社団法人火力原子力発電技術協会調査局
久保田 亘
石油連盟技術環境部
古 志 秀 人
石油連盟技術環境部
鈴 木 教 太
電気事業連合会工務部
千 葉 広
社団法人日本船主協会海務部
保 科 幸 雄
社団法人日本内燃力発電設備協会技術部
山 脇 真
社団法人日本船主協会海務部
○ 赤 城 二 郎
コマツ コンポーネント事業部
○ 糸 井 正 明
コマツ コンポーネント事業部
○ 今 橋 武
株式会社ディーゼルユナイテド
○ 岡 野 幸 雄
ダイハツディーゼル株式会社技術第一部
○ 駒 田 秀 朗
株式会社ゼクセルSE燃料噴射事業部
斎 藤 朝 彦
阪神内燃機工業株式会社開発部
○ 四 方 光 夫
ヤンマーディーゼル株式会社技術研究所
○ 常世田 哲 郎
株式会社新潟鉄工所原動機事業部
○ 中 垣 彊
イズミ工業株式会社テクニカルセンター
○ 長 門 正 彦
三井造船株式会社ディーゼル事業部
○ 中 村 陽 一
川崎重工業株式会社原動機事業部
○ 花 房 真
三井造船株式会社ディーゼル事業部
○ 比 原 幸 夫
三菱重工業株式会社技術本部
○ 森 内 敬 久
いすゞ自動車株式会社産業エンジン設計部
(関係者)
○ 中 林 賢 司
工業技術院標準部
○ 三 塚 隆 正
財団法人日本規格協会技術部
○ 川 元 満 生
株式会社新潟鉄工所原動機事業部
○ 西 脇 暢 清
株式会社新潟鉄工所原動機事業部
○ 沼 田 明
三菱重工業株式会社相模原製作所エンジン技術部
(事務局)
○ 青 木 千 明
日本内燃機関連合会
備考 ○印の付いている委員は,分科会委員を兼ねる。