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B 7984:2006  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本電気

計測器工業会(JEMIMA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正す

べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS B 7984:1997は改正され,この規格に置き換えられる。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS B 7984には,次に示す附属書がある。 

附属書1(参考)比較試験(計測システムの性能) 

附属書2(参考)試料非吸引採取方式による排ガス中の塩化水素自動計測器 

附属書3(参考)フーリエ変換赤外線分析計(FTIR) 

附属書4(参考)希釈サンプリングによる排ガス中の塩化水素自動測定システム 

B 7984:2006  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 計測器の種類及び測定範囲 ································································································ 2 

5. 計測器の性能 ·················································································································· 2 

6. 構造 ······························································································································ 2 

6.1 構造一般 ······················································································································ 2 

6.2 構成 ···························································································································· 3 

6.3 試料採取部 ··················································································································· 3 

6.4 分析計 ························································································································· 4 

6.5 指示記録用信号 ············································································································· 5 

7. 性能試験方法 ·················································································································· 5 

7.1 性能試験一般 ················································································································ 5 

7.2 試験条件 ······················································································································ 5 

7.3 自動計測器の校正 ·········································································································· 5 

8. 試験報告書 ····················································································································· 8 

9. 表示 ······························································································································ 8 

10. 取扱説明書 ··················································································································· 8 

附属書1(参考)比較試験(計測システムの性能) ····································································· 9 

附属書2(参考)試料非吸引採取方式による排ガス中の塩化水素自動計測器 ··································· 11 

附属書3(参考)フーリエ変換赤外線分析計(FTIR) ································································ 13 

附属書4(参考)希釈サンプリングによる排ガス中の 塩化水素自動測定システム ···························· 15 

  

   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 7984:2006 

排ガス中の塩化水素自動計測器 

Continuous analyzer for hydrogen chloride in flue gas 

1. 適用範囲 この規格は,排ガス中の塩化水素濃度を連続的に測定するための自動計測器(以下,計測

器という。)のうち,イオン電極方式について規定する。 

備考 

計測器システムを維持する上で必要な比較試験については,附属書1に記載する。 

参考   参考として表1以外の測定原理の自動計測器として,試料非吸引採取方式(パスモニター)

について附属書2,フーリエ変換赤外線分析計(FTIR)について附属書3,及び希釈サンプ

リングによる排ガス中の塩化水素自動測定システムについて附属書4に示す。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7551 フロート形面積流量計 

JIS C 1302 絶縁抵抗計 

JIS K 0055 ガス分析装置校正方法通則 

JIS K 0095 排ガス試料採取方法 

JIS K 0107 排ガス中の塩化水素分析方法 

JIS K 0122 イオン電極測定方法通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0212 分析化学用語(光学部門) 

JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬) 

JIS K 8809 フタル酸水素カリウム(試薬) 

JIS Z 8103 計測用語 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0122,JIS K 0211,JIS K 0212,JIS K 0213,JIS K 

0215,及びJIS Z 8103によるほか,次による。 

a) 試料ガス 排ガスをフィルタなどを通して前処理し,分析計に導入するガス。 

b) 等価液 試料ガス中の塩化水素濃度と同等の指示値を得るよう調製した溶液をいい,次のものがある。 

1) ゼロ調整用等価液 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) スパン調整用等価液 

3) 中間点試験用等価液 

c) ゼロドリフト 計測器の最小目盛に対する指示値のある期間内の変動。 

d) スパンドリフト 計測器の目盛スパンに対応する指示値のある期間内の変動。 

e) 設定流量 計測器で定められた試料ガス及び吸収液の流量。 

f) 

ppm 濃度を百万分率で表した体積比率。 

4. 計測器の種類及び測定範囲 計測器の種類及び測定範囲は,表1による。 

なお,レンジは,表1で示した間で適切なものを選ぶ。 

表 1 計測器の種類及びレンジ 

種類 

レンジ(1) ppm 

測定対象物質 

適用条件 

イオン電極方式 

0〜50 
 〜 
0〜1 000 

塩化水素 

他のハロゲン化物,シアン化物,硫黄化物などの影響
が無視できる場合に適用する。 

注(1) このレンジ内で測定目的によって適切に分割したレンジをもつ。 

  

5. 計測器の性能 計測器は,7.の試験を行ったとき,表2の性能を満足しなければならない。 

表 2 性能 

単位 % 

項目 

性能 

試験方法 

 繰返し性  

 最大目盛値の±3 

7.3.3 a) 

  ゼロドリフト 

  最大目盛値の±2 

7.3.3 b) 

  スパンドリフト  

  最大目盛値の±3 

7.3.3 c) 

  指示誤差 

  最大目盛値の±4 

7.3.3 d) 

  最小検出限界 

  最大目盛値の1 以下 

7.3.3 e) 

 応答時間    (分) 

 5以下 

7.3.3 f) 

  試料ガス流量の安定性 

  設定流量の±5 

7.3.3 g) 

  吸収液流量の安定性 

  設定流量の±5 

7.3.3 h) 

  電圧変動に対する安定性 

  最大目盛値の±1 

7.3.3 i) 

  耐電圧 

  異常を生じてはならない。 

7.3.3 j) 

 絶縁抵抗    (MΩ) 

  5以上 

7.3.3 k) 

6. 構造  

6.1 

構造一般 計測器の構造は,次の各項目に適合しなければならない。 

a) 形状が正しく,組立及び各部の仕上がりが良好で,堅ろうである。 

b) 通常の運転状態で危険の生じるおそれがなく,安全で円滑に作動する。 

c) 各部は,容易に機械的・電気的故障を起こさず,危険を生じない構造である。 

d) 結露などによって計測器の作動に支障を生じない構造である。 

e) 光源,ヒータなどの発熱部に接する部分は,熱による変形及び機能の変化を起こさない構造である。 

f) 

保守,点検のとき,作業しやすく,かつ,危険のない構造である。 

6.2 

構成 計測器は,図1に示す試料採取部,分析計などで構成する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図 1 計測器の構成例 

6.3 

試料採取部 排ガス中のダストを除去し,対象成分の損失を可能な限り抑制しつつ必要な試料ガス

の一定量を連続的に分析計に供給するものであって,JIS K 0095に準拠し,採取管,フィルタ,導管,除

湿器,吸引ポンプ,絞り弁,流量計などで構成する。 

a) 採取管 煙道壁などに取り付けて試料ガスを採取する管で,チタン管,セラミック管,石英管などを

用いる。 

b) フィルタ 排ガス中のダストを除去するためのもので,水分が凝縮しないように120 ℃程度に加熱す

る。フィルタの材質としては,シリカ繊維,四ふっ化エチレン樹脂,多孔質セラミックなどを用いる。 

c) 導管 排ガスをフィルタから試料導入口に導入する管で,通常,四ふっ化エチレン樹脂製のものを用

いる。フィルタから分析計までの導管は,水分が凝縮しないように 120 ℃程度に加熱する。 

d) 除湿器 分析計よって排出されるガス中の水分を除去する装置で,電子冷却,水蒸気の選択的浸透に

よる半透膜気相除湿などの方法を用いる。 

e) 吸引ポンプ 試料ガスなどを吸引するポンプで,通常,ダイアフラムポンプを用いる。接ガス系には,

耐食材料,例えば,硬質塩化ビニル,ふっ素ゴム,四ふっ化エチレン樹脂を用いる。 

f) 

絞り弁 ニードル弁などを用い,その材質は耐食性のあるものとする。 

g) 流量計 フロート形面積流量計(JIS B 7551)などを用いる。 

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6.4 

分析計 図2に示す,ガス吸収部,測定セル,吸収液送液ポンプ,吸収液タンク,増幅制御器,排

液タンクなどで構成する。 

                                 

a) ガス吸収部 吸収液と試料ガスとをそれぞれ設定流量で導入し,試料ガス中の塩化水素を吸収液中に

捕集するためのもので,吸収液によって侵されず,吸収液を変質させない材料を用いる。 

b) 測定セル 試料ガス中の塩化水素を吸収して吸収液の塩化物イオンを検出する部分で,イオン電極,

比較電極などで構成する。 

c) 増幅制御器 イオン電極の電位を塩化水素濃度に比例する電気信号に増幅,変換するとともに各構成

要素に対して信号を発し,次の各操作を所定のプログラムに従って自動的に行う機能をもつ。 

1) 測定開始及び停止 

2) 信号演算処理 

3) 塩化水素濃度の表示,指示記録用信号の出力 

4) 警報信号 

図 2 分析計の構成例 

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5) その他 

d) 吸収液送液ポンプ 吸収液タンクからガス吸収部に吸収液を一定流量で送液するためのもので,接液

部は,吸収液によって侵されず,吸収液を変質させない,例えば,ポリプロピレンなどの材料を用い

る。 

e) 吸収液タンク 吸収液を貯蔵する容器で,吸収液によって侵されず,吸収液を変質させない材料を用

いる。 

f) 

吸収液 20Lを調整する場合,次のいずれかとする。 

1) フタル酸水素カリウム(JIS K 8809 )200 g を約 10 Lの水(2)に溶解し,次の式から求める 0.1 mol/L 

(3)又は 1mol/L塩化ナトリウム溶液 a mL を添加したのち,水を加えて全量を 20 Lとする。 

(

)

M

.

R

.

a

×

×

=

1

1

4

0

ここに, 

a: 塩化ナトリウム溶液の添加量 (mL) 

R: レンジの最大値 (ppm) 

M: 塩化ナトリウム溶液の濃度 (0.1 mol/L又は1 mol/L) 

2) 硝酸カリウム(JIS K 8548)200 g を水(2)に溶解し全量を 20 Lとする。 

3) 水(2)20Lをそのまま用いる。 

注(2) JIS K 0557の3.に規定する種別A 2の水を用いる。 

(3) レンジの最大目盛値が 100 ppm 以下のときに用いる。 

6.5 

指示記録用信号 塩化水素濃度を等分目盛で指示記録するものとする。ディジタル表示方式のもの

は,測定単位が印字されるものとする。 

7. 性能試験方法  

7.1 

性能試験一般 性能試験は,指示誤差,耐電圧及び絶縁抵抗以外の各項目については,その計測器

の最小レンジにおける試験結果をもって各レンジごとの性能としてもよい。 

7.2 

試験条件 試験条件は,次による。 

a) 周囲温度 5〜35 ℃の任意の温度で変化幅は5 ℃以下 

b) 湿度 相対湿度 85 %以下 

c) 大気圧 95〜106 kPaの圧力で,変化幅は5 kPa以下 

d) 電源電圧 定格電圧 

e) 電源周波数 定格周波数 

f) 

暖機時間 取扱説明書に記載された時間 

7.3 

自動計測器の校正  

7.3.1 

試験に用いる等価液及びガス  

7.3.1.1 

試験に用いる等価液 等価液の調製は,次による。これらの等価液の種類及び適用する試験項目

は,表3による。 

a) ゼロ調整用等価液 吸収液をそのまま用いる。 

b) 等価液調製用原液(1 mol/L 塩化ナトリウム溶液) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウムをデシケ

ーター中で乾燥する。その58.44 gをはかりとり,適量の吸収液に溶かして全量フラスコ1 000 mLに

移し入れ,吸収液を標線まで加えたもの。 

c) 等価液 次の式から求められる量の等価液調製用原液を採取し,これに吸収液を加えて1 Lに希釈し

て調製する。 

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V

t

c

f

a

×

+

×

×

=

273

273

4.

22

ここに, a: 等価液調製用原液の採取量 (mL) 
 

c: 対応する塩化水素濃度 (ppm) 

f: 試料ガス流量 (L /min) 

V: 吸収液流量 (mL/min) 

t: 20 (流量計校正の基準となる温度)(℃) 

d) スパン調整用等価液 7.3.1.1 c) に規定する式を用いてレンジの80〜100 %の濃度に対応する等価液

調製用原液a mLを採取し,これを吸収液で1 Lに希釈して調製する。 

e) 中間点試験用等価液 7.3.1.1 c) に規定する式を用いてレンジの50 %付近の濃度に対応する等価液調

製用原液a mLを採取し,これを吸収液で1 Lに希釈して調製する。 

備考 等価液調製用原液の採取量a mLが1 mL以下の場合は,上式を基本として,等価液調製用原液

の濃度を変更してもよい。 

表 3 試験に用いる等価液 

等価液の種類 

適用項目 

ゼロ調整用等価液 

    7.3.3 a),b),d) 

スパン調整用等価液 

    7.3.3 a),c),d) 

中間点試験用等価液 

    7.3.3 d) 

7.3.1.2 

試験に用いるガス 試験に用いるガスは,次による。 

a) ゼロ試験用ガス 7.3.3 e)の試験に用いるガスで,JIS K 0055のゼロガスでその濃度を確認したガス。 

b) 応答時間試験用ガス 7.3.3 f)の試験に用いる次のいずれかのガスで,その濃度はレンジの50〜90 %

とする。 

1) 塩化水素を窒素又は空気で希釈した高圧容器入りガス。 

2) 塩酸溶液を用いる拡散方法によって調製した塩化水素を窒素又は空気で希釈したガス。 

備考 高圧ガスの安全取扱方法については,高圧ガス保安法及び環境大気自動測定における高圧ガス

管理取扱手引書等を参考にして安全を確保する。 

7.3.2 

校正 計測器の目盛校正は,等価液を用いて次の方法で行う。 

a) ゼロ調整 ゼロ調整用等価液を測定セルに注入し,指示が安定した時点で 0 ppm を示すようにゼロ

調整を行う。 

b) スパン調整 スパン調整用等価液を測定セルに注入し,指示が安定した時点で,等価液に対応する塩

化水素濃度を示すようにスパン調整を行う。 

c) 必要に応じてa),b)を繰り返したのち,ゼロ及びスパンのそれぞれが5.の計測器の性能の繰返し性の

範囲内に合うまで行う。 

7.3.3 

試験方法 計測器の性能試験方法は,次による。 

a) 繰返し性 測定セルにゼロ調整用等価液を注入し,指示を確認した後,スパン調整用等価液を注入し,

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指示を確認する。この操作を交互に3回繰り返し,ゼロ指示値,スパン指示値の各々の平均値を算出

し,各測定値と平均値の偏差の最大目盛値に対する百分率を求める。 

b) ゼロドリフト 試料ガスの導入を止め,ゼロ指示値を最大目盛値の5 %程度に設定して,24時間連続

測定を行う。この間における初期の指示値からの最大変動幅の最大目盛値に対する百分率を求める。 

c) スパンドリフト ゼロドリフト試験において,試験開始時にスパン調整を行い,試験終了時(24時間

後)及び中間に2回以上(4),測定セルにスパン調整用等価液を注入し,指示値を記録させる。この間

における初期のスパン指示値からの最大変動幅を最大目盛値に対する百分率をスパンドリフトとする。 

なお,ゼロドリフトの影響が見られるときは,スパン指示値からその変動分を補正する。 

注(4) 各スパン測定点の測定時間間隔は,4時間以上離れていなければならない。 

d) 指示誤差 ゼロ,スパン調整を行った後,中間点試験用等価液を測定セルに注入し,指示記録させる。

この指示値と,等価液濃度表示値との差の最大目盛値に対する百分率を求める。 

e) 最小検出限界 ゼロ,スパン校正を行った後,ゼロ試験用ガスを設定流量で導入し,指示記録させる。

2分間隔で25点以上の指示を読み,標準偏差(

0

x

s

)を求める。その標準偏差の2倍の最大目盛値に対

する百分率を最小検出限界(x)とし,次の式によって求める。 

100

2

=

F

xs

x

ここに, 

0

x

s

: ゼロ試験用ガスによる指示値の標準偏差(ppm) 

F  : 最大目盛値(ppm) 

f) 

応答時間 7.3.1.2 b)の応答時間試験用ガスを計測器の試験用ガス導入口から設定流量で導入する。こ

のときの指示記録において,試験用ガス導入の時点から最終指示値の90 %に達するまでの時間を測

定する。 

g) 試料ガス流量の安定性 試験開始時に設定流量に試料ガス流量を調整し(5),その指示流量を読み取り

記録し,その後24時間連続運転を行う。この中間に2回以上及び終了時(24時間後)に指示流量を

読み取り記録し,それらの設定流量との差の最も大きい値を設定流量に対する百分率として表す。 

なお,各々の読み取り点は,少なくとも4時間以上離れていなければならない。 

注(5) この試験中は,設定流量を調整してはならない。もしも調整した場合は,その後,24時間の試

験を行わなければならない。 

h) 吸収液流量の安定性 試験開始時に設定流量に吸収液流量を調整し(6),その流量を記録し,その後24

時間連続運転を行う。この中間に2回以上及び終了時(24時間後)の流量を記録し,それらの設定流

量との差の最も大きい値を設定流量に対する百分率として表す。 

なお,各々の読み取り点は,少なくとも4時間以上離れていなければならない。 

注(6) この試験中は,設定流量を調整してはならない。もしも調整した場合は,その後,24時間の試

験を行わなければならない。 

i) 

電圧変動に対する指示値の安定性 測定セルにスパン調整用等価液を注入し,指示が安定しているこ

とを確認し,その値をAとする。次に電源電圧を定格電圧の+10 %の電圧に徐々に変化させる。指

示が安定したとき,その値をBとする。次に定格電圧の−10 %の電圧に徐々に変化させ,指示が安

定したとき,その値をCとする。B−A,C−Aの値を最大目盛値に対する百分率として表す。 

j) 

耐電圧 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間に定格周波数の交流電圧1 000 V

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を1分間加えて,異常の有無を調べる。 

k) 絶縁抵抗 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間の絶縁抵抗を,JIS C 1302に

規定する500 V絶縁抵抗計で測定する。 

備考 a),b),c),d),h)及びi)の試験は,試料ガスの導入を止めて行う。g)の試験は試料ガスに代え,

大気を導入して行う。j) 及びk)の試験は,計測器の作動停止状態で行う。 

8. 試験報告書 作成する報告書は,5.の各項目について,7.による試験条件,試験結果などについての内

容を記載する。また,必要に応じて次の項目について記載する。 

a) この規格に関する内容 

b) 校正方法についての内容 

c) 校正についての結果 

d) 特記事項 

9. 表示 計測器には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。 

a) 名称及び製造業者が指定する形名 

b) 測定対象物質 

c) レンジ 

d) 使用温度範囲 

e) 定格電圧,定格周波数及び電源容量 

f) 

製造業者名又はその略号 

g) 製造年月 

h) 製造番号 

これらの表示は,1か所にまとめて表示しなくてもよい。 

10. 取扱説明書 取扱説明書には,少なくとも次の事項を記載しなければならない。 

a) 設置場所 

b) 試料ガスの温度,流量,ダスト濃度及び干渉成分のそれぞれの許容範囲  

c) 試料ガスの前処理方法 

d) 配管及び配線 

e) 暖機時間 

f) 

使用方法 

1) 測定の準備及び校正 

2) 測定操作 

3) 測定停止時の処置 

g) 保守点検 

1) 日常点検の指針 

2) 定期点検の指針 

3) 流路系の清掃 

4) 故障時の対策 

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附属書1(参考)比較試験(計測システムの性能) 

序文 この附属書は,計測システムを維持して行く上で望ましい性能について記載するものであり,規定

の一部ではない。 

1. 比較測定 計測システムは,必要に応じて設置された施設の排ガス中の塩化水素及び干渉成分の濃度

を考慮して,性能を確認する。排ガス中の塩化水素分析方法は,JIS K 0107に示す分析方法の種類から適

切なものを選び,試料採取部の採取管吸引口を100 mm以内の距離に追加設置し,採取した試料ガスを比

較測定することによって行う。試料採取時間は一般に30分間以上必要とする。 

1.1 

標準偏差及びシステム誤差(化学分析法との比較及び標準偏差sA の評価) 標準偏差sA及びシステ

ム誤差の決定をする試験は設置現場で行い,最低10個(できれば30個)の測定値から,次の式によって

求める。 

2

2

C

D

A

s

s

s

=

SDは,次の式による。 

=

=

=

n

i

n

i

i

i

D

z

n

z

n

s

1

2

1

2

1

1

1

ここに, 

A

s: 試験計測システムの標準偏差 

C

s: 比較測定の標準偏差 

D

s: 両測定法の測定値の差の標準偏差 

i

i

i

y

x

z

=

: 両測定値の差 

ix: 比較測定の測定値 

yi: 試験計測器の測定値 

n: 測定回数 

システム誤差の有無の確認は,次の式によって行う。 

z

n

x

y

i

i

n

i

=

=∑

1

1

(

ここで,zが95 %信頼限界を外れる場合,システム誤差が 

n

S

z

D

2

となる場合,統計的に無視でき

ない誤差が存在する。 

システム誤差が測定レンジの2 %を超える場合,原因を調査し,対策する必要がある。 

比較測定法の標準偏差scが未知の場合は,二つの同様な測定方法で同一採取口の試料を測定し,次の式

によって求める。 

background image

10 

B 7984:2006  

   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

s

p

p

n

c

i

i

i

n

=∑(

)

1

2

2

1

2

ここに, 

pp

i

i

1

2

,

: 二つの比較測定法の測定値,質量濃度(mg/m3) 

n: 比較測定回数 

2. 補足性能 計測システムは本体の7.の性能を補足するために,附属書1表1の性能を満足することが

望ましい。 

附属書1表 1 補足性能 

項目 

性能 

備考 

計測システムゼロドリフト 

最大目盛値の  ±3 % 

無調整期間(通常7日間)において 

計測システムスパンドリフト 

測定値の      ±6 % 

無調整期間(通常7日間)において 

計測システムの温度依存性(ゼロ) 

最大目盛値の  ±2 % 

無調整期間(通常7日間)で±10 Kの範囲
において 

計測システムの温度依存性(スパン) 

測定値 の     ±6 % 

無調整期間(通常7日間)で±10 Kの範囲
において 

2.1 

試験方法 試験方法は,次による。 

なお,性能試験の試験条件・試験レンジは,設置現場の条件による。 

a) 計測システムゼロドリフト 現場での測定継続中に,少なくとも1日に1回,ゼロガスを設定流量で

導入し測定を行う。通常7日間調整を行わない状態で試験を行い,この間におけるゼロ指示値の初期

の指示値からの最大変動幅の最大目盛値に対する百分率を計測システムのゼロドリフトとする。 

b) 計測システムスパンドリフト 現場での測定継続中に,少なくとも1日に1回,スパンガスを設定流

量で導入し測定を行う。通常7日間調整を行わない状態で試験を行い,この間におけるスパン指示値

の初期の指示値からの最大変動幅の測定値に対する百分率を計測システムのスパンドリフトとする。 

c) 周囲温度影響(ゼロドリフト) 計測システムの許容周囲温度において,±10 Kの範囲内でゼロ指示

値の差を測定し,周囲温度影響を調べる。 

d) 周囲温度影響(スパンドリフト) 計測システムの許容周囲温度において,±10 Kの範囲内でスパン

指示値の差を測定し,周囲温度影響を調べる。 

3. 試験報告書 作成する計測システムの試験報告書は,次の項目を含むものとする。 

a) この規格に関する内容 

b) 試料に関するすべての内容確認 

c) 実施した試験の内容及び地域,条件の詳細 

d) 使用した校正用ガスの品質及び濃度の詳細 

e) 性能試験結果が性能値(附属書1表1)を満たしているか否かの記述 

f) 

試験を実施した日時 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2(参考)試料非吸引採取方式による排ガス中の塩化水素自動計測器 

序文 この附属書は,排ガス中の塩化水素濃度を試料非吸引採取方式によって連続的に測定する自動計測

器(パスモニタ)について記載するもので,規定の一部ではない。 

1. 原理 塩化水素の吸収波長1 720〜1 760 nm(中心波長1 740 nm)の光を煙道中の排ガス流に直接照射

し,その透過光を計測する方法で,発光器からの照射光強度と受光器とで計測した透過光強度の関係から

排ガス中の塩化水素濃度を測定する。計測器には,波長非分散単光束方式と波長分散方式(差分光吸収法 

DOAS:Differential optical absorption spectroscopy)によるものがある。 

なお,測定値は,湿りガス濃度(水分を含んだ状態での濃度)として測定される。 

2. 性能 主な性能は,次による。性能試験は校正用ガスセルに試験用ガスを導入することによって行う。

測定範囲は 0〜5 ppmから 0〜5 000 ppmの間で適切なものを選ぶ。 

a) 繰返し性 

最大目盛値の±1 % 

b) ゼロドリフト  

最大目盛値の±0.1 %/月 

c) スパンドリフト 

最大目盛値の±2 %/月 

d) 指示誤差 

最大目盛値の±1 % 

e) 最小検出限界  

波長非分散方式 0.1 ppm 以下, 

                 波長分散方式 1 ppm 以下 

f) 

応答時間(90 %応答)         2秒以下 

3. 構造 計測器は,附属書2図1に示す発光器,受光器,測定光路部,パージガス供給部,校正用ガス

セル,パージガスセル,データ処理部などで構成する。 

データ

処理部

排ガス流

測定光路部

発光器

受光器

パージガスセル

パージガス供給部

校正用ガスセル

パージガスセル

フランジ


示記

録用

信号

フランジ

附属書2図 1 試料非吸引採取方式(パスモニター)の構成例 

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B 7984:2006  

   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 発光器 塩化水素の吸収波長域の光を発生するもので,波長非分散方式では単色光が得られる半導体

レーザなどを,波長分散方式では高圧キセノンランプなどを用いる。 

b) 受光器 排ガス流を透過した塩化水素の吸収波長域の透過光について,波長非分散方式では透過光の

強度を電気信号に変換し指示記録するもので,光電変換素子,増幅回路などで構成する。波長分散方

式では透過光を集光し分析部に導入するもので,集光に凹面鏡などを用い,分析部への導入に光ファ

イバケーブルなどを用いる。 

c) 測定光路部 煙道に設置した発光器と受光器との間の長さで,最大測定光路長は6 m程度である。 

d) パージガス供給部 発光器及び受光器に付着する粉じんなどを除去するために,パージガスセルに吹

き付けるガスを供給するもので,窒素ガス又は除湿,除じんした圧縮空気を用いる。 

e) 校正用ガスセル 試験用ガスを連続的に導入する構造であり,両端のセル窓には赤外線を透過するも

のを用いる。 

f) 

データ処理部 波長非分散方式では,受光器で得られた電気信号から濃度を算出するもので,濃度算

出に必要な測定光路長,排ガス温度,排ガス圧力などのパラメータを設定する制御器などからなる。

波長分散方式では受光器で集光し,光ファイバケーブルなどで導入された光を分光し,得られた塩化

水素の吸収スペクトルグラムを差分光吸収法(DOAS)処理し,濃度を算出するもので,回折格子,

走査装置,光電子増倍管検出器,AD変換器,演算器などからなる。 

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B 7984:2006  

   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書3(参考)フーリエ変換赤外線分析計(FTIR) 

序文 この附属書は,排ガス中の塩化水素濃度を連続的に測定するフーリエ変換赤外線分析計について記

載するもので,規定の一部ではない。 

1. 原理 干渉計から得られる赤外線の分光スペクトルを測定セルの入射光とする。測定セルに試料ガス

を導入又は定期的に窒素ガスを導入し,各々の透過光強度を赤外線検出器で電気信号に変換し,フーリエ

変換・濃度演算等を行う。排ガス中の塩化水素濃度は3.2 μm〜3.8 μmの吸収波長によって測定する。 

なお,測定値は,湿りガス濃度(水分を含んだ状態での濃度)として測定される。 

2. 性能 主な性能は,次による。性能試験は測定セルに試験用ガスを導入することによって行う。測定

範囲は0〜10 ppmから0〜400 ppmの間で適切なものを選ぶ。 

a) ゼロドリフト  

最大目盛値の 2 %以下 

b) スパンドリフト 

最大目盛値の±4 %/6か月 

c) 最小検出限界  

最大目盛値の 2 %以下 

d) 応答時間(90 %応答) 2分30秒以下 

3. 構造 分析計は附属書3図1に示す干渉計,測定セル,検出器,データ処理部などで構成する。 

光源

干渉計

測定セル

検出器

データ

処理部

切換弁

ガス

吸引部

校正用ガス

試料ガス






号 

附属書3図 1 フーリエ変換赤外線方式分析計の構成例 

a) 光源部 測定用赤外線光源と光路調整用レーザー光源とからなる。 

b) 干渉計 マイケルソン干渉計を使用し,分光スペクトルの波長領域は2.5 μm〜25 μm程度,分解能は

1cm−1程度のものを用いる。 

c) 測定セル 水分などが凝縮しないように120 ℃程度に加熱したものを用い,光路長が3〜10 m程度と

なるような多重反射形セルなどを用いる。 

d) 検出器 赤外線検出器とレーザー検出器とからなる。 

e) データ処理部 AD変換,フーリエ変換,スペクトル信号処理,濃度演算処理などを行うもので,コ

ンピュータなどからなる。 

f) 

ガス吸引部 試料ガスなどを吸引するもので,アスピレータ,吸引ポンプなどを用いる。 

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B 7984:2006  

   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

g) 切換弁 試料ガス及び校正用ガスの流路切換の操作を行う弁で,水分などが凝縮しないように120 ℃ 

程度に加熱した電磁切換弁などを用いる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書4(参考)希釈サンプリングによる排ガス中の 

塩化水素自動測定システム 

序文 この附属書は,排ガス中の塩化水素を希釈サンプリング方式によって連続的に測定するシステムに

ついて記載するもので,規定の一部ではない。 
 

1. 原理 水分の多い燃焼排ガス中の塩化水素を煙道内に設置した希釈プローブに乾燥エアを送り込み,

排ガス温度下で希釈することによって試料中の相対湿度を下げ,導管での結露による塩化水素の溶解損失

をなくして,分析計に導くものである。 

フィルタ

臨界オリフィス

真空ゲージ

試料ガス

Q2

希釈ガス

Q1

一次ノズル

二次ノズル

希釈試料ガス

Q1+Q2

エゼクタポンプ

Q1:試料ガス吸引流量  
Q2:希釈ゼロエア流量       
Cd:測定濃度

附属書6 図1 希釈プローブ原理図

Q2

Q1+Q2

希釈比 Rd=

発生源濃度 C=Cd

Rd

附属書4図1 希釈プローブ原理図 

附属書4図1において乾燥した希釈ゼロエアをエゼクタポンプの一次ノズルに送り込むことによって,

キャビティ効果でエゼクタポンプ内は減圧となる。一方,試料ガスはフィルタ,臨界オリフィスを通じて

エゼクタポンプにつながっており,臨界オリフィスで制限された一定の流量がエゼクタポンプに流れ込む。

試料ガスは希釈ゼロエアと混合され,二次ノズルを経て大気圧の乾燥した希釈試料ガスとなる。 

附属書4図2の例では希釈試料ガスを赤外線吸収方式の塩化水素分析計で測定している。また,校正ガ

スを希釈プローブに送り込み,希釈システムを含めて校正するので希釈による誤差は無視できる。 

2. 性能 希釈プローブの主な性能は,次による。 

a) 希釈倍率 

12〜350 (臨界オリフィスの選択による。) 

b) 試料採取量 

50 mL/分 (希釈倍率100のとき) 

c) 試料温度 

400 ℃最大(SUS)/ 600 ℃最大(ニッケル合金) 

希釈比 

2

1

2

Q

Q

Q

Rd

+

=

発生源濃度 

Rd

Cd

C=

Q1:試料ガス吸引流量 

Q2:希釈ゼロエア流量 

Cd:測定濃度 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3. 構成 附属書4図2に希釈サンプリングシステムによる排ガス中の塩化水素自動測定の構成例を示す。 

排ガス流

希釈プローブ

希釈プロー
ブ制御部

赤外線吸収
方式分析計

ゼロエア
発生部

圧縮空気

希釈ゼロエア

希釈試料ガス

校正ガス

減圧度測定ライン

希釈試料ガス
オーバーフロー

排出

附属書6 図2 排ガス希釈サンプリングシステムの例

導管

希釈ゼロエ

希釈試料ガス

減圧度測定ライン

校正ガス

粗フィルタ

微細フィル

臨界オリフィス

エジェクタポンプ

希釈部分詳細図

排ガス流

a) 希釈プローブ 一般的には希釈プローブを煙道やダクト内に試料温度と同一になるように設置する。

試料の条件などによって煙道外に設置してスチーム又は電気ヒータで希釈部を加熱するタイプやポー

タブル形もある。 

b) 導管 希釈用のゼロエア供給,希釈された試料,校正ガスラインと圧力の監視の計4本のテフロン管

で希釈プローブとプローブ制御部とを接続する。通常は保護管に入れるだけでよいが寒冷地等で外気

温が希釈後の試料中の水分露点以下になる場合は,保温又は加熱が必要である。 

c) 希釈プローブ制御部 希釈プローブに供給するゼロエアの圧力制御及び減圧度の監視,校正ガスの切

換等の機能をもつ。 

d) ゼロエア発生部 コンプレッサなどで圧縮した空気中の水分,塩化水素などを除去するためのドライ

ヤとスクラバとからなる。 

e) 赤外線吸収方式分析計 希釈プローブシステムでは試料の濃度が希釈されて薄くなるため,多重反射

セルによって高感度が得られるガスフィルタ相関法赤外線吸収方式分析計等が使用される。 

4. ガスフィルタ相関法赤外線吸収方式分析計  

a) 原理 ガスフィルタ相関法赤外線ガス吸収方式分析計は塩化水素の3.4 μm付近における赤外線吸収

を計測することによって,その成分濃度を測定する方法である。 

附属書4図3に示すように赤外線光源からの放射は,ガス相関フィルタを交互に通過すると共に回

転セクタでチョップされて試料セルを通り,検出器に到達する。ガス相関フィルタには塩化水素ガス,

附属書4図2 排ガス希釈サンプリングシステムの例 

background image

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

窒素ガスが各々封入されており,それぞれ参照ビーム,測定ビームを形成する。試料セル内の塩化水

素は参照ビームでは吸収されず,サンプルビームでは塩化水素の濃度に比例して吸収される。一方,

試料セル中の塩化水素以外のガスは両ビームを等しく吸収するために検出器出力はゼロとなり,検出

器は塩化水素だけに応答する。 

試料ガス

検出器




光源

(測定ガスフィルタ)

光学フィルタ

反射ミラー

モータ

ガス相関フィルタ

(比較ガスフィルタ)

回転セクタ

反射ミラー









附属書6 図3 ガスフィルタ相関法塩化水素分析計の構成例

b) 性能 分析計の主な性能は次のとおりである。 

1) 測定範囲 

0〜50 ppmから0〜5 000 ppm 希釈システム使用時 

   

(0〜500 ppmから0〜500 000 ppm 分析計単体) 

2) 繰返し性 

最大目盛値の±2 % 

3) ゼロドリフト 

±0.2 ppm 

4) スパンドリフト 

最大目盛値の±2 % 

5) 指示誤差 

最大目盛値の±4 % 

6) 最小検出限界 

0.2 ppm 

7) 応答時間 

60秒以下 

8) 干渉成分の影響 

最大目盛値の±5 %以下 

附属書4図3 ガスフィルタ相関法塩化水素分析計の構成例