B 7921:2016
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 酸素濃度計の原理 ············································································································· 2
5 酸素濃度計の種類 ············································································································· 2
6 性能······························································································································· 3
7 構造・構成 ······················································································································ 4
8 試験方法························································································································· 5
8.1 一般事項 ······················································································································ 5
8.2 試験条件 ······················································································································ 5
8.3 校正 ···························································································································· 5
8.4 試験の手順及び測定値の処理 ··························································································· 7
8.4.1 一般 ·························································································································· 7
8.4.2 繰返し性 ···················································································································· 7
8.4.3 応答性 ······················································································································· 7
8.4.4 安定性 ······················································································································· 8
8.4.5 耐久性 ······················································································································· 8
9 表示······························································································································· 9
10 取扱説明書 ··················································································································· 10
附属書A(参考)水中の飽和溶存酸素濃度(1 013 hPa) ····························································· 11
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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蛍光式酸素濃度計
Fluorescence-based oxygen sensors
1
適用範囲
この規格は,主に河川水,海水,排水などを扱う水の環境分野,大気,排ガスなどを扱う気体の環境分
野,高圧蒸気滅菌を伴う培養液,乳製品などを扱うバイオ・発酵醸造・食品産業分野,及びトルエンなど
の有機溶剤を扱う化学工業分野などに用いる,蛍光(りん光を含む。)方式によって,気体及び/又は液体
の酸素濃度を測定する可搬形の蛍光式酸素濃度計(以下,酸素濃度計という。)について規定する。
なお,連続式の据置形にも,この規格を準用できる。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 1604 測温抵抗体
JIS C 1611 サーミスタ測温体
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0055 ガス分析装置校正方法通則
JIS K 0102:2013 工場排水試験方法
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 0803 溶存酸素自動計測器
JIS K 1107 窒素
JIS K 8061 亜硫酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8680 トルエン(試薬)
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8710 温度測定方法通則
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0050及びJIS K 0803によるほか,次による。
3.1
高圧蒸気滅菌
適度な温度及び圧力の飽和水蒸気で加熱することによって滅菌する方法。
2
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3.2
高圧蒸気滅菌装置
高圧蒸気滅菌するための装置。
3.3
プローブ
酸素濃度計の入力部で,測定時に対象物に接触又は挿入する部位。酸素濃度計の本体とケーブルなどで
接続される。
3.4
フローセル
測定時にプローブの先端に装着し,測定物(気体・液体)を流す流路をもつ器具。
3.5
耐久性
高圧蒸気滅菌状態又は有機溶剤を含んだ環境などの,一般プローブを使用できない過酷な環境にさらさ
れた後でも,応答を維持している性能。
4
酸素濃度計の原理
酸素分子によって,特異的に消光現象を起こす蛍光・りん光発光化合物に,一定波長の紫外線を照射す
ると,酸素濃度の増加に従い消光する特性を用いる。
すなわち,酸素濃度は,次のシュテルン・フォルマー(Stern-Volmer)の式に基づいて求めることができ
る。
[Q]=(F/Fx−1)/Ksv
ここに,
[Q]: 酸素濃度
F: 酸素分子がないときの蛍光強度
Fx: 酸素分子があるときの蛍光強度
Ksv: 定数
5
酸素濃度計の種類
酸素濃度計は,気体用及び/又は液体用に区分し,更に用途によって表1のとおり区分する。
表1−用途による種類の区分
種類の区分
用途例
一般用
主に環境分野において,河川水,海水,排水などの溶存酸素濃度の測定,
大気中,排ガス中などの酸素濃度の測定,又は酸素欠乏のおそれがある作
業環境の酸素濃度測定に用いるもの。土壌中の酸素濃度の測定にも用いる
ことができる。
耐高圧蒸気滅菌用
主にバイオ・食品産業分野・発酵醸造業分野において,高圧蒸気滅菌を行
う培養槽,貯槽などに入れられる培養液,乳製品などの溶存酸素濃度の測
定に用いるもの。高圧蒸気滅菌操作を行った後に,ガス置換を行う装置内
の酸素濃度測定に用いるもの。
耐有機溶剤用
主に化学などの工業分野において,トルエンなどの有機溶剤(センサチッ
プを腐食する溶剤を除く。)を含む反応液に酸素濃度計を浸した後に,気
体(空気)又は液体(水)の溶存酸素濃度の測定に用いるもの,又は,ト
ルエンなどの有機溶剤蒸気が充満する反応器内の酸素濃度の測定に用い
るもの。
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性能
6.1
性能一般
液体(水)・気体両用の酸素濃度計は,液体(水)及び気体両方の性能を満足しなければならない。
6.2
繰返し性
繰返し性は,表2による。
表2−繰返し性
種類の区分
測定対象
繰返し性a)
試験方法
一般用
気体
ゼロ校正値 :±1 %酸素
8.4.2 a)
スパン校正値 :±1 %酸素
8.4.2 a)
液体(水)
ゼロ校正値 :±0.2 mg/L
8.4.2 b)
スパン校正値 :±0.3 mg/L
8.4.2 b)
耐高圧蒸気滅菌用
気体
ゼロ校正値 :±1 %酸素
8.4.2 a)
スパン校正値 :±1 %酸素
8.4.2 a)
液体(水)
ゼロ校正値 :±0.2 mg/L
8.4.2 b)
スパン校正値 :±0.3 mg/L
8.4.2 b)
耐有機溶剤用
気体
ゼロ校正値 :±1 %酸素
8.4.2 a)
スパン校正値 :±1 %酸素
8.4.2 a)
液体(水)
ゼロ校正値 :±0.2 mg/L
8.4.2 b)
スパン校正値 :±0.3 mg/L
8.4.2 b)
注a) %酸素とは,気体における酸素濃度を意味する。
6.3
応答性
応答性は,表3による。
表3−応答性
種類の区分
測定対象
応答性
試験方法
一般用
気体
60秒以内
8.4.3 a)
液体(水)
180秒以内
8.4.3 b)
耐高圧蒸気滅菌用
気体
90秒以内
8.4.3 a)
液体(水)
270秒以内
8.4.3 b)
耐有機溶剤用
気体
180秒以内
8.4.3 a)
液体(水)
540秒以内
8.4.3 b)
6.4
安定性
安定性は,表4による。
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表4−安定性
種類の区分
測定対象
安定性a)
試験方法
一般用
気体
ゼロドリフトb)
:±1 %酸素
8.4.4 a) 1)
スパンドリフトb) :±1 %酸素
8.4.4 a) 2)
液体(水)
ゼロドリフトb)
:±0.2 mg/L
8.4.4 b) 1)
スパンドリフトb) :±0.3 mg/L
8.4.4 b) 2)
耐高圧蒸気滅菌用
気体
ゼロドリフトb)
:±1 %酸素
8.4.4 a) 1)
スパンドリフトb) :±1 %酸素
8.4.4 a) 2)
液体(水)
ゼロドリフトb)
:±0.2 mg/L
8.4.4 b) 1)
スパンドリフトb) :±0.5 mg/L
8.4.4 b) 2)
耐有機溶剤用
気体
ゼロドリフトb)
:±1 %酸素
8.4.4 a) 1)
スパンドリフトb) :±1 %酸素
8.4.4 a) 2)
液体(水)
ゼロドリフトb)
:±0.2 mg/L
8.4.4 b) 1)
スパンドリフトb) :±0.5 mg/L
8.4.4 b) 2)
注a) %酸素とは,気体における酸素濃度を意味する。
b) 8.4.4参照
6.5
耐久性
耐久性は,表5による。
表5−耐久性
種類の区分
測定対象
耐久性a)
試験方法
耐高圧蒸気滅菌用
気体又は
液体(水)
高圧蒸気滅菌後
ゼロ校正及びスパン校正値±1 %酸素
又は±0.3 mg/L
8.4.5 a)
耐有機溶剤用
気体又は
液体(水)
溶剤(トルエン)に浸した後
ゼロ校正及びスパン校正値±1 %酸素
又は±0.3 mg/L
8.4.5 b)
注a) %酸素とは,気体における酸素濃度を意味する。
7
構造・構成
7.1
構造一般
酸素濃度計の構造は,JIS K 0803の7.1(構造一般)による。
7.2
構成
酸素濃度計の基本的な構成例を,図1に示す。
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図1−酸素濃度計の構成例
7.3
測定部
a) センサプローブ センサプローブは,酸素感知センサキャップ,測温抵抗体,発光部,受光部及びケ
ーシングで構成する。
b) センサキャップ センサキャップは,蛍光物質又はりん光物質を塗布した検出部をセンサプローブに
取り付けるようにする。
なお,センサキャップの材料は,表6を満足しなければならない。
表6−センサキャップの材料
種類の区分
材料
一般用
長時間液体(水)に浸しても損壊しない材料を用いる。
耐高圧蒸気滅菌用
10回以上の高圧蒸気滅菌処理に耐えられる材料を用いる。
耐有機溶剤用
長時間トルエンに浸しても溶解しない材料を用いた構造とする。
c) 変換器及び表示器 変換器及び表示器は,防滴仕様のものとし,さらに,溶存酸素濃度を等分目盛で
表示できるものとする。デジタル表示のものは測定単位を表示する。測定単位が“%酸素”である場
合は小数点以下1桁まで,測定単位がmg/Lである場合は小数点以下2桁まで表示できるものとする。
8
試験方法
8.1
一般事項
試験の一般事項は,JIS K 0050による。
8.2
試験条件
試験の前には校正を行うものとし,その試験条件は次による。
a) 周囲温度:10 ℃〜30 ℃の任意の温度。ただし,温度変化幅は,±5 ℃とする。
b) 相対湿度:85 %以下
c) 気圧:86 kPa以上106 kPa以下
d) 電源:定格電圧
e) 外光:直射日光の当たらない室内
8.3
校正
8.3.1
一般事項
校正は,次の手順で行う。
変換器及び
表示器
センサキャップ
センサプローブ
センサチップ
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8.3.2
準備
センサプローブが汚れている場合には,必要に応じて,製造業者が定めた方法によって洗浄する。
8.3.3
気体を使用した校正
a) ゼロ校正
1) センサプローブの先端にフローセルを取り付ける。
2) フローセル内に,流量0.50 L/min±0.05 L/minのJIS K 1107に規定する1級の工業用窒素を指示値
が安定するまで(5分〜10分程度)流す。
3) 指示値が安定するのを待ち,0.0 %酸素とする。この状態をゼロ指示値という。
b) スパン校正
1) センサプローブの先端にフローセルを取り付ける。
2) フローセル内に流量0.50 L/min±0.05 L/minの空気又は酸素濃度が既知の合成空気を指示値が安定
するまで(5分〜10分程度)流す。
3) 指示値が安定するのを待ち,校正に用いる空気又は合成空気の酸素濃度を合わせ,スパン指示値と
する。空気を校正に用いる場合は,試験環境の空気の正確な酸素濃度が不明であれば,20.9 %酸素
をスパン指示値としてもよい。合成空気を用いる場合は,JIS K 0055に規定する方法で調製された,
酸素濃度が明らかな校正用ガスを用いる。
注記 ISO 2533で,海面近くの正常な乾燥空気の酸素濃度は20.947 %酸素と規定している。
c) 調節 上記のa)及びb)を交互に行い,校正に用いる空気又は合成空気の値と指示値との差が±0.1 %
酸素になるまで酸素濃度計を調節する。調節終了後の値をそれぞれゼロ校正値及びスパン校正値とす
る。
8.3.4
液体(水)を使用した校正
a) 校正液 校正液は,次のとおりとする。
なお,校正液の調製で用いる水は,JIS K 0557に規定するA1からA4の水(以下,精製水という。)
のいずれかを用いる。
1) ゼロ校正液 JIS K 8061に規定する亜硫酸ナトリウム(無水)を,精製水100 mL当たり5 mg以上
溶かした溶液とする。校正液の量は,センサプローブを浸すだけの十分な量(500 mL以上がよい)
とし,使用時に調製する。
2) スパン校正液 約25 ℃に調整した精製水に空気又は合成空気を約1 L/minの流量で通気1)して,溶
存酸素を飽和させる。また,海水などの塩類濃度の高い試料の溶存酸素を測定する場合には,試料
の塩類のモル濃度に合わせてJIS K 8150に規定する塩化ナトリウムを添加した溶存酸素飽和水を調
製することが望ましい。校正液の量は,センサプローブを浸すだけの十分な量(500 mL以上がよい)
とし,使用時に調製する。
なお,スパン校正液の温度の変動は±0.5 ℃とする。
注記1 各温度における飽和溶存酸素濃度の値は,附属書Aを参照。
注記2 溶存酸素の濃度は,気圧変動によって異なるので気圧補正を行うとよい。
注1) 通常,500 mLの場合には10分〜20分間通気する。
b) ゼロ校正 ゼロ校正液をマグネチックスターラーなどで静かにかき混ぜた状態で,センサプローブを
ゼロ校正液に浸し,指示値が安定するのを待ち,指示値を0.00 mg/Lにする。この状態をゼロ指示値
という。
c) スパン校正 スパン校正液をマグネチックスターラーなどで静かにかき混ぜた状態で,センサプロー
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ブをスパン校正液に浸し,指示値が安定するのを待つ。試料温度を±0.5 ℃の精度で測定できる温度
計によって校正液の温度を測定し,JIS K 0102の表32.1の飽和溶存酸素濃度に指示値を合わせ,スパ
ン指示値とする。
なお,センサプローブをゼロ校正液からスパン校正液に移し換える前に,センサプローブに付着し
たゼロ校正液を精製水で十分に洗い流す。
また,温度計としては,JIS Z 8710によるもの,又はJIS C 1604の許容差クラスB若しくはJIS C 1611
の許容差階級0.5級に相当する温度検出素子を用いたものを使用する。
d) 調節 上記のb)及びc)を交互に行い,校正液の値と指示値との差が±0.2 mg/Lになるまで酸素濃度計
を調節する。調節終了後の値をそれぞれゼロ校正値及びスパン校正値とする。
8.4
試験の手順及び測定値の処理
8.4.1
一般
全ての試験においては,事前に8.3の校正を実施する。気体を用いる試験では,酸素濃度の単位は%酸
素とし,小数点以下1桁まで求め,JIS Z 8401の規則Aによって整数位に数値を丸める。液体(水)を用
いる試験では,酸素濃度の単位はmg/Lとし,小数点以下2桁まで求め,JIS Z 8401の規則Aによって小
数点以下1桁に数値を丸める。
8.4.2
繰返し性
繰返し性の試験手順は,次による。
a) 気体を使用した試験
1) センサプローブの先端にフローセルを取り付ける。
2) フローセル内に,流量0.50 L/min±0.05 L/minのJIS K 1107に規定する1級の工業用窒素を指示値
が安定するまで(5分〜10分程度)流し,ゼロ指示値を記録する。
3) フローセル内に流量0.50 L/min±0.05 L/minの空気又は合成空気を指示値が安定するまで(5分〜10
分程度)流し,スパン指示値を記録する。
4) 上記2)及び3)を3回繰り返し測定し,それぞれの指示値と校正値との差を求める。
b) 液体(水)を使用した試験
1) センサプローブの先端を8.3.4 a) 1)のゼロ校正液に浸し,マグネチックスターラーなどで静かにかき
混ぜた状態で,指示値が安定するのを待ち,ゼロ指示値を記録する。
2) センサプローブの先端を8.3.4 a) 2)のスパン校正液に浸し,マグネチックスターラーなどで静かにか
き混ぜた状態で,指示値が安定するのを待ち,スパン指示値を記録する。
3) 上記1)及び2)を3回繰り返し測定し,それぞれの指示値と校正値との差を求める。
8.4.3
応答性
応答性の試験手順は,次による。
a) 気体を使用した試験
1) センサプローブの先端にフローセルを取り付ける。
2) フローセル内に,流量0.50 L/min±0.05 L/minのJIS K 1107に規定する1級の工業用窒素を流す。
スパン校正時の測定値を100 %とし,スパン指示値から90 %減少するまでの時間を測定する。
3) 測定値がゼロ指示値の状態からフローセル内に,流量0.50 L/min±0.05 L/minの空気又は合成空気を
流す。スパン校正時の測定値を100 %とし,ゼロ指示値から90 %増加するまでの時間を測定する。
4) 上記2)及び3)を3回繰り返し測定し,平均値を求める。
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b) 液体(水)を使用した試験
1) スパン校正液からゼロ校正液へセンサプローブを移し換え,そのときの指示が1.00 mg/L以下にな
るまでの時間を測定する。
2) 上記の1)を3回繰り返し測定し,平均値を求める。
8.4.4
安定性
安定性の試験手順は,次による。
a) 気体を使用した試験
1) ゼロドリフト
1.1) センサプローブの先端にフローセルを取り付ける。
1.2) フローセル内に,流量0.50 L/min±0.05 L/minのJIS K 1107に規定する1級の工業用窒素を流す。
1.3) 24時間連続運転し,この間におけるゼロ校正値からの最大偏差を求め,ゼロドリフトとする。マ
イナスの値が表示できない酸素濃度計を用いる場合は,便宜的にゼロ指示値を最大目盛値の5 %
程度に設定してもよい。ただし,1.2 %酸素以上の値とする。
2) スパンドリフト
2.1) センサプローブの先端にフローセルを取り付ける。
2.2) フローセル内に,流量0.50 L/min±0.05 L/minの空気又は合成空気を流す。
2.3) 24時間連続運転し,この間におけるスパン校正値からの最大偏差を求め,スパンドリフトとする。
b) 液体(水)を使用した試験
1) ゼロドリフト
1.1) センサプローブの先端を8.3.4) a) 1)のゼロ校正液に浸す。
1.2) 24時間連続運転し,この間におけるゼロ校正値からの最大偏差を求め,ゼロドリフトとする。マ
イナスの値が表示できない酸素濃度計を用いる場合は,便宜的にゼロ指示値を0.50 mg/L〜1.00
mg/L程度に設定してもよい。
注記1 空気に触れないようにする。
2) スパンドリフト
2.1) センサプローブの先端を空気約1 L/minの流量で通気し続けている水に浸す。
2.2) 24時間連続運転し,この間におけるスパン校正値からの最大偏差を求め,スパンドリフトとする。
注記2 同時に温度及び気圧を連続測定し,温度及び大気圧変化による影響を補正するとよい。
溶存酸素濃度の気圧補正式:DOc=P/P0×DOs
ここに,
DOc: 補正した溶存酸素濃度(mg/L)
DOs: 測定した溶存酸素濃度(mg/L)
P: 測定した大気圧(hPa)
P0: 標準気圧 (1atm=1 013 hPa)
8.4.5
耐久性
耐久性の試験手順は,次による。
a) 耐高圧蒸気滅菌用
1) 前処理
1.1) センサプローブ測定部から半分ぐらいの高さまで工業用精製水に浸るよう,ステンレス鋼容器に
センサを立てて高温高圧蒸気滅菌装置に入れる。
1.2) センサプローブに対して,121 ℃で20分間の高圧蒸気滅菌を行う。ただし,用途に応じて滅菌条
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件を変更してもよい。
注記 JIS K 3605:1992(2015年12月廃止)では,121 ℃で20分に加えて,115 ℃で30分,又
は,126 ℃で15分も一般的な滅菌条件の例として挙げられている。
1.3) 高温高圧蒸気滅菌装置からセンサプローブを取り出す。
2) 気体を使用した試験
2.1) センサプローブの先端にフローセルを取り付ける。
2.2) フローセル内に,流量0.50 L/min±0.05 L/minの空気又は合成空気を指示値が安定するまで(5分
〜10分程度)流し,酸素濃度を測定する。
2.3) フローセル内に,流量0.50 L/min±0.05 L/minのJIS K 1107に規定する1級の工業用窒素を指示値
が安定するまで(5分〜10分程度)流し,酸素濃度を測定する。
2.4) 上記2.2)及び2.3)を3回繰り返し測定し,それぞれの測定値と校正値との差を求める。
3) 液体(水)を使用した試験
3.1) センサプローブの先端を8.3.4) a) 1)のゼロ校正液に浸し,マグネチックスターラーなどで静かにか
き混ぜた状態で,指示値が安定するのを待ち,酸素濃度を測定する。
3.2) センサプローブの先端を8.3.4) a) 2)のスパン校正液に浸し,マグネチックスターラーなどで静かに
かき混ぜた状態で,指示値が安定するのを待つ。
3.3) 上記3.1)及び3.2)を3回繰り返し測定し,それぞれの測定値と校正値との差を求める。
b) 耐有機溶剤用
1) 前処理
1.1) センサプローブの先端をJIS K 8680に規定する特級のトルエンに24時間浸す。
1.2) センサプローブをトルエンから取り出してトルエンを拭き取る。
2) 気体を使用した試験
2.1) センサプローブの先端にフローセルを取り付ける。
2.2) フローセル内に,流量0.50 L/min±0.05 L/minの空気又は合成空気を指示値が安定するまで(15分
〜20分程度)流し,酸素濃度を測定する。
2.3) フローセル内に,流量0.50 L/min±0.05 L/minのJIS K 1107に規定する1級の工業用窒素を指示値
が安定するまで(15分〜20分程度)流し,酸素濃度を測定する。
2.4) 上記2.2)及び2.3)を3回繰り返し測定し,それぞれの測定値と校正値との差を求める。
3) 液体(水)を使用した試験
3.1) センサプローブの先端を8.3.4) a) 1)のゼロ校正液に浸し,マグネチックスターラーなどで静かにか
き混ぜた状態で,指示値が安定するのを待ち,酸素濃度を測定する。
3.2) センサプローブの先端を8.3.4) a) 2)のスパン校正液に浸し,マグネチックスターラーなどで静かに
かき混ぜた状態で,指示値が安定するのを待つ。
3.3) 上記3.1)及び3.2)を3回繰り返し測定し,それぞれの測定値と校正値との差を求める。
9
表示
この規格の全ての要求事項に適合した酸素濃度計には,容易に消えない方法で,銘板に次の事項を表示
する。
a) 規格番号及び/又は名称並びに種類の名称
例 JIS B 7921 耐高圧蒸気滅菌用 気体用
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B 7921:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 形名
c) 製造業者名又はその略号
d) 製造番号
e) 電源の種別及び電源容量
10 取扱説明書
取扱説明書には,次の事項を記載する。
a) 使用方法に関する事項
b) 保守に関する事項
c) 使用時の注意事項
d) その他必要な事項(測定範囲等)
11
B 7921:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
水中の飽和溶存酸素濃度(1 013 hPa)
各温度における水中の飽和溶存酸素濃度の値を,表A.1に示す。
表A.1−水中の飽和溶存酸素濃度(1 013 hPa)
温度
℃
水中の塩化物イオン Cl−mg/L
塩化物イオン
100 Cl−mg/Lごとに
差し引く溶存酸素
O mg/L
0
5 000
10 000
15 000
20 000
溶存酸素
O mg/L
0
14.16
13.40
12.63
11.87
11.10
0.015 3
1
13.77
13.03
12.29
11.55
10.80
0.014 8
2
13.40
12.68
11.97
11.25
10.52
0.014 4
3
13.04
12.35
11.65
10.95
10.25
0.014 0
4
12.70
12.03
11.35
10.67
9.99
0.013 5
5
12.37
11.72
11.06
10.40
9.74
0.013 1
6
12.06
11.42
10.79
10.15
9.51
0.012 8
7
11.75
11.15
10.52
9.90
9.28
0.012 4
8
11.47
10.87
10.27
9.67
9.06
0.012 0
9
11.19
10.61
10.03
9.44
8.85
0.011 7
10
10.92
10.36
9.79
9.23
8.66
0.011 3
11
10.67
10.12
9.57
9.02
8.47
0.011 0
12
10.43
9.90
9.36
8.82
8.29
0.010 7
13
10.20
9.68
9.16
8.64
8.11
0.010 4
14
9.97
9.47
8.97
8.46
7.95
0.010 1
15
9.76
9.27
8.78
8.29
7.79
0.009 9
16
9.56
9.06
8.60
8.12
7.63
0.009 6
17
9.37
8.90
8.44
7.97
7.49
0.009 4
18
9.18
8.73
8.27
7.82
7.36
0.009 1
19
9.01
8.57
8.12
7.67
7.22
0.008 9
20
8.84
8.41
7.97
7.54
7.10
0.008 7
21
8.68
8.26
7.83
7.40
6.97
0.008 6
22
8.53
8.11
7.70
7.26
6.85
0.008 4
23
8.39
7.98
7.57
7.16
6.74
0.008 2
24
8.25
7.85
7.44
7.04
6.65
0.008 1
25
8.11
7.72
7.32
6.95
6.52
0.007 9
26
7.99
7.60
7.21
6.82
6.42
0.007 8
27
7.87
7.48
7.10
6.71
6.32
0.007 7
28
7.75
7.37
6.99
6.61
6.22
0.007 6
29
7.64
7.26
6.88
6.51
6.12
0.007 6
30
7.53
7.16
6.78
6.41
6.03
0.007 5
31
7.43
7.06
6.66
6.31
5.93
0.007 5
32
7.32
6.96
6.59
6.21
5.84
0.007 4
33
7.23
6.86
6.49
6.12
5.75
0.007 4
34
7.13
6.77
6.40
6.03
5.65
0.007 4
35
7.04
6.67
6.30
5.93
5.56
0.007 4
出典:JIS K 0102:2013
12
B 7921:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献 IEC 62703,Expression of performance of fluorometric oxygen analyzers in liquid media
ISO 2533,Standard Atmosphere
JIS K 3605:1992 高圧蒸気滅菌操作通則(2015年12月21日廃止)