B 7762-11:2006 (ISO 8662-11:1999)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本フルードパワー工業会(JFPA)
/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日
本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 8662-11 : 1999,Hand-held portable
power tools−Measurement of vibrations at the handle−Part 11 : Fastener driving tools及びAmendment 1 (2001)
を基礎として用いた。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS B 7762-11には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考) 締結工具のハンドルにおける振動測定の試験報告書例
JIS B 7762の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 7762-1 第1部:通則
JIS B 7762-2 第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ
JIS B 7762-3 第3部:ロックドリル及びロータリハンマ
JIS B 7762-4 第4部:グラインダ
JIS B 7762-5 第5部:舗装ブレーカ及び建設作業用ハンマ
JIS B 7762-6 第6部:インパクトドリル
JIS B 7762-7 第7部:インパクト,インパルス又はラチェット動作のレンチ,スクリュードライバ及
びナットランナ
JIS B 7762-8 第8部:ポリッシャ及びロータリ並びにオービタル及びランダムオービタルサンダ
JIS B 7762-9 第9部:ランマ
JIS B 7762-10 第10部:ニブラ及びシャー
JIS B 7762-11 第11部:締結工具
JIS B 7762-12 第12部:往復動作ののこぎり及びやすり並びに揺動又は回転動作ののこぎり
JIS B 7762-13 第13部:ダイグラインダ
JIS B 7762-14 第14部:石工工具及び多針たがね
B 7762-11:2006 (ISO 8662-11:1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 測定事項 ························································································································ 2
4. 測定器 ··························································································································· 2
4.1 一般 ···························································································································· 2
4.2 トランスデューサ ·········································································································· 2
4.3 メカニカルフィルタ ······································································································· 2
4.4 トランスデューサの固定 ································································································· 2
4.5 補助機器 ······················································································································ 3
4.6 校正 ···························································································································· 3
5. 測定方向及び測定位置 ······································································································ 3
5.1 測定方向 ······················································································································ 3
5.2 測定位置 ······················································································································ 3
6. 作業手順 ························································································································ 3
6.1 一般 ···························································································································· 3
6.2 負荷 ···························································································································· 4
6.3 作業条件 ······················································································································ 4
7. 測定手順及び測定の有効性 ································································································ 5
7.1 供給動力 ······················································································································ 5
7.2 測定手順 ······················································································································ 5
7.3 測定の有効性 ················································································································ 5
7.4 変動係数 ······················································································································ 5
7.5 測定結果の処置 ············································································································· 5
8. 試験報告書 ····················································································································· 5
附属書A(参考)締結工具のハンドルにおける振動測定の試験報告書例 ·········································· 6
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 7762-11:2006
(ISO 8662-11:1999)
手持ち可搬形動力工具−
ハンドルにおける振動測定方法−
第11部:締結工具
Hand-held portable power tools−Measurement of vibrations at the handle−
Part 11: Fastener driving tools
序文 この規格は,1999年に第1版として発行されたISO 8662-11,Hand-held portable power tools−
Measurement of vibrations at the handle−Part 11: Fastener driving tools及びAmendment 1(2001)を翻訳し,技
術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。ただし,追補(Amendment 1)については,
編集し,一体とした。
なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,空気圧,油圧,内燃エンジンの燃焼ガス,ばねの張力などで駆動する締結工
具のハンドルにおける単発振動を実験室で測定する方法について規定し,規定の負荷で作業したときの動
力工具のハンドルにおける振動値を確定するための形式試験の規格である。
単発振動とは,機械衝撃,又は個々の連続した衝撃が0.2秒を超える間隔で発生することをいう。
備考 締結工具とは,くぎ(釘)打機,ピン打機,タッカ,ステープラなどを指す。
この規格が適用される締結工具において,作業に必要な動力は,空気圧,油圧,内燃エンジンの燃焼ガ
ス,又はばねの張力によって供給される。締結工具は,単発動作,断続動作又は連続動作の作動を行うこ
とができ,くぎ,ステープル,ピン,波板状くぎ,くぎとして用いるねじ,ダボ,スリーブ,ケーブルカ
ラー,ベースサポートなどを締結する。
この規格は,その適用によって,異なる動力工具又は同じ種類の異なる形式の動力工具を比較するため
に用いることを目的とする。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 8662-11:1999,Hand-held portable power tools−Measurement of vibrations at the handle−Part 11:
Fastener driving tools 及びAmendment 1 (2001) (IDT)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その
最新版(追補を含む。)を適用する。
2
B 7762-11:2006 (ISO 8662-11:1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS B 7762-1 手持ち可搬形動力工具−ハンドルにおける振動測定方法−第1部:通則
備考 ISO 8662-1:1988,Hand-held power tools−Measurement of vibrations at the handle−Part 1:
Generalが,この規格と一致している。
ISO 2787,Rotary and percussive pneumatic tools−Performance tests
EN 792-13:2000,Hand-held non-electric power tools−Safety requirements−Part 13: Fastener driving tools
EN 12096:1997,Mechanical vibration−Declaration and verification of vibration emission values
EN 12549:1999,Acoustics,Noise test code for fastener driving tools−Engineering method
3. 測定事項 測定事項は,次による。
a) JIS B 7762-1の3.1及び3.3に規定する3秒ごとの1作業に正規化された補正加速度実効値
b) 空気圧,油圧又はばねの張力
4. 測定器
4.1
一般 測定器の詳細については,JIS B 7762-1の4.1〜4.6による。
4.2
トランスデューサ トランスデューサの詳細については,JIS B 7762-1の4.1による。
1軸のトランスデューサを用いるのが望ましい。プラスチック製のような軽量ハンドルでは,トランス
デューサの取付けがハンドルに過大な負荷質量とならないように注意する。ハンドルがメカニカルフィル
タとして働く場合には,軽いトランスデューサをハンドル表面に接着してもよい。この場合,接続ケーブ
ルを含めたトランスデューサは,5 g未満の質量とすることが望ましい。
4.3
メカニカルフィルタ 締結工具の振動測定には,通常メカニカルフィルタを用いる。メカニカルフ
ィルタは,JIS B 7762-1の4.2及び4.3による。プラスチック製ハンドルの場合,メカニカルフィルタは必
要がないこともある(JIS B 7762-1の4.3 参照)。
4.4
トランスデューサの固定 トランスデューサの固定は,接着だけが可能な場合(図1参照)を除き,
JIS B 7762-1の4.2による。
トランスデューサの固定方法は,次のいずれかによる。
A:ブロックをろう付け,又は溶接したホースクリップで固定する。
B:トランスデューサをねじ止めしたアダプタで固定する。アダプタは,プラスチックバンドで固定する。
C:平らな平面に,適切な接着剤を用いて固定する。
D:平らな面を削りだし,ねじ穴を設けて,ねじで固定する。
図 1 トランスデューサ固定方法の選択
3
B 7762-11:2006 (ISO 8662-11:1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.5
補助機器 空気圧は,ISO 2787に従って,精密な圧力計を用いて測定する。油圧又はばねの張力は,
空気圧と同じ精度で測定する。
参考 ISO 2787の 6.2.2 では,フルスケールの0.5 %の圧力差を,容易に読み取ることができる品質
の圧力計を用いるよう規定している
4.6
校正 校正は,JIS B 7762-1の4.8による。
5. 測定方向及び測定位置
5.1
測定方向 測定は,駆動方向に平行な方向とし,通常,z方向で行う(図2参照)。
図 2 締結工具の測定方向及びトランスデューサの位置
5.2
測定位置 測定は,通常,作業者が普通に工具を握り,トリガを引くハンドル上で行う。トランス
デューサの位置は,ハンドルを握る部分にできるだけ接近し,駆動方向と平行に取り付ける(図2参照)。
6. 作業手順
6.1
一般 測定は,適切に点検整備を行い,給油した新品の締結工具で行う。
試験中,動力工具を定格圧力で操作し,製造業者の取扱説明書に従って用いる。空気圧工具には,ワン
タッチカプラによって確実に取り付けた,少なくとも2 mの長さのホースを経由し空気を供給する。
締結工具は,加工物に垂直になるように操作する。
動力工具が,確実に,安定かつ円滑に作業を行うことができ,また通常のレベルの性能で作動するよう
に,動力工具に適切な押付け力を加える。
試験中,作業者が直立,又はほとんど直立の姿勢がとれ,そのうえで前腕と上腕との曲げ角度が100°〜
160°で作業できるように,動力工具を配置する。試験中,作業者は動力工具を無理のないように保持する
(図3参照)。
測定のため,EN 792-13に規定する単発動作トリガ装置を用いる。
試験報告書には,変動係数を記載する。
備考1. EN 792-13に規定する単発動作装置は,駆動するたびにトリガを引くことが必要なシステム
である。
2. 試験手順の作業条件は,EN 12549に規定する締結工具の騒音測定条件と同じである。
4
B 7762-11:2006 (ISO 8662-11:1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図 3 締結工具:作業者の作業姿勢
6.2
負荷 測定中,締結工具は,動力工具の最大仕様の締結部材で作業する。
加工物は,節がないまさ(柾)目の松材とする。木材の平均密度は0.42〜0.48 g/cm3で,平均含水率は(12
±3) %とする。木材の厚さは,用いる締結部材の最大長さの1.2倍以上とする。打込み点は,木材の端か
ら50 mm以上離す。
木材の年輪が水平位置となるようにし,乾燥した砂の床で支持し,木材の表面高さは砂の表面と同じレ
ベルとする。砂床の寸法は,600 mm×600 mm×400 mm以上とする。木材は120 mm以上の砂の層で,表
面以外のすべての面を囲む。締結工具の中心位置が床から約1 mの高さになるように,木材の表面位置を
調整する(図4参照)。
図 4 締結工具:試験装置
6.3
作業条件 締結工具を駆動する圧縮空気の圧力は,用いる締結部材が木材に打ち込まれるように調
整する。特殊な場合には,試験報告書に記載する。使用空気圧によって,締結工具が適切な機能であるこ
とを確認する。
圧縮空気を用いない打撃力調整機能を備えた締結工具は,調整機能を用いて打撃力を一定に調整する。
供給動力は,次の状態となるように調整する。
− ステープルは,表面と同一の高さに打ち込む。
− くぎ及びピンは,表面と同一の高さに打ち込むか,又は1 mm以内の深さまで押し込む。
5
B 7762-11:2006 (ISO 8662-11:1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7. 測定手順及び測定の有効性
7.1
供給動力 空気圧締結工具の空気圧,又は供給動力に関するデータは,試験中に測定し,一定に維
持する。
7.2
測定手順 3人の熟練作業者が,一連の試験をそれぞれ実行する。一連の試験は,少なくとも5回の
試験からなる。それぞれの試験において,安定した操作を実施する。
締結工具の射出口を,加工物に向ける。締結工具を30秒間に10回操作する。それぞれの作業は,跳ね
返りによる工具の移動がない,分離された単発動作とする。
この間の時間平均補正加速度実効値(ah,w)を,測定する。結果は,1作業がそれぞれ3秒間に平準化し
た単発振動の時間平均補正加速度実効値(ah,w,3s)の10回の平均値に等価である。
測定がより多くの数(n),又は長い積分時間(T)で行われる場合,振動値(ah,w,3s)は次の式によって
計算する。
n
T
a
a
3
w
h,
w,3s
h,
=
······································································· (1)
ここに,
w
h,
a: 時間平均補正加速度実効値 (m/s2)
w,3s
h,
a
: 1作業3秒間に平準化した単発振動の時間平均補正
加速度実効値(m/s2)
n: 作業回数
T: 積分時間(s)
7.3
測定の有効性 測定は,一連の試験の有効性を得るために,5回の連続した補正加速度実効値の変動
係数(7.4参照)が0.15未満,又は標準偏差が0.30 m/s2未満になるときまで続ける。
7.4
変動係数 変動係数
v
Cは,一連の試験における測定値の標準偏差
1−
n
s
と,一連の試験における平均
値xとの比で定義される。
x
s
C
n1
v
−
=
··············································································· (2)
ここに,標準偏差は,
(
)
∑
=
−
−
−
=
n
i
i
n
x
x
n
s
1
2
1
1
1
···························································· (3)
一連の試験の平均値は,
∑=
=
n
i
ix
n
x
1
1
·············································································· (4)
ここに,
ix: i番目の測定値
n: 測定値の数
7.5
測定結果の処置 それぞれの作業者に対する算術平均値及び標準偏差を計算する。すべての算術平
均値は,3人の作業者のそれぞれの算術平均値から計算する。このすべての算術平均値を,最終報告値と
する。また,最終報告値はEN 12096によって,測定及び製品のばらつきを考慮する。
8. 試験報告書 JIS B 7762-1の7.の項目及び次の事項を,試験報告書に記載する。
a) 締結部材の形式及び寸法
b) 空気圧駆動の締結工具の場合,作業時の空気圧
c) 空気圧駆動でない締結工具の場合,供給動力源特有の値及び打撃力調整内容
試験報告書例を,附属書Aに示す。
6
B 7762-11:2006 (ISO 8662-11:1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(参考)締結工具のハンドルにおける振動測定の試験報告書例
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
試験は,JIS B 7762-1,手持ち可搬形動力工具−ハンドルにおける振動測定方法−第1部:通則,及びJIS B 7762-11,
手持ち可搬形動力工具−ハンドルにおける振動測定方法−第11部:締結工具 によって行われた。
概要
試験者:
試験日:
報告者:
試験した動力工具
形式:
モデルNo.:
マガジンが充てん状態の質量,kg:
ノズルから飛び出すドライバの長さ,mm:
製造業者名:
製造番号:
駆動システム:
締結部材
ステープル:
線の断面積,mm2:
足の長さ,mm:
頭の寸法,mm:
他:
くぎ:
くぎの直径,mm:
くぎの長さ,mm:
くぎの形式:スムース,リング,ねじ
試験材料
松材の寸法,mm:
砂床寸法,mm:
木材の含水率,%:
作業条件
空気圧,MPa:
打撃力調整内容:
押付け力,N:
測定装置
加速度ピックアップ−製造業者名,形式:
加速度ピックアップ−質量,g:
メカニカルフィルタ−製造業者名,形式:
メカニカルフィルタ−質量,g:
増幅器−製造業者名,形式:
分析器−製造業者名,形式:
データレコーダ−製造業者名,形式:
トランスデューサ及びメカニカルフィルタの固定
トランスデューサ及びメカニカルフィルタの固定方法の記述。
信号処理
信号積分の形式及び補正加速度の決定方法の記述。
その他の仕様
データレコーダを用いた場合,周波数特性として,オクターブバンド,又は1/3オクターブバンドの中心周波数の補
正係数についての記述。
ほかの測定器を用いた場合,測定に関係した内容の詳細な記述。
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B 7762-11:2006 (ISO 8662-11:1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
結果
結果は,次の表によって補正加速度実効値で表す。
個別補正単発振動加速度実効値 作業者A
単位 m/s2
試験
補正加速度実効値
1
2
3
4
5
算術平均値
変動係数
個別補正単発振動加速度実効値 作業者B
単位 m/s2
試験
補正加速度実効値
1
2
3
4
5
算術平均値
変動係数
個別補正単発振動加速度実効値 作業者C
単位 m/s2
試験
補正加速度実効値
1
2
3
4
5
算術平均値
変動係数
3人の作業者によるすべての算術平均値: m/s2