B 7762-1:2006 (ISO 8662-1:1988)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本フルードパワー工業会(JFPA)
/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日
本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 8662-1 : 1988,Hand-held portable
power tools−Measurement of vibrations at the handle−Part 1 : Generalを基礎として用いた。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS B 7762の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 7762-1 第1部:通則
JIS B 7762-2 第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ
JIS B 7762-3 第3部:ロックドリル及びロータリハンマ
JIS B 7762-4 第4部:グラインダ
JIS B 7762-5 第5部:舗装ブレーカ及び建設作業用ハンマ
JIS B 7762-6 第6部:インパクトドリル
JIS B 7762-7 第7部:インパクト,インパルス又はラチェット動作のレンチ,スクリュードライバ及
びナットランナ
JIS B 7762-8 第8部:ポリッシャ及びロータリ並びにオービタル及びランダムオービタルサンダ
JIS B 7762-9 第9部:ランマ
JIS B 7762-10 第10部:ニブラ及びシャー
JIS B 7762-11 第11部:締結工具
JIS B 7762-12 第12部:往復動作ののこぎり及びやすり並びに揺動又は回転動作ののこぎり
JIS B 7762-13 第13部:ダイグラインダ
JIS B 7762-14 第14部:石工工具及び多針たがね
B 7762-1:2006 (ISO 8662-1:1988)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 測定事項 ························································································································ 1
3.1 物理量 ························································································································· 1
3.2 周波数分析 ··················································································································· 1
3.3 補正加速度 ··················································································································· 2
4. 測定器 ··························································································································· 2
4.1 トランスデューサの仕様 ································································································· 2
4.2 トランスデューサの固定 ································································································· 2
4.3 メカニカルフィルタ ······································································································· 2
4.4 周波数フィルタ ············································································································· 3
4.5 補正フィルタ及び実効値検出器························································································· 3
4.6 信号の記録 ··················································································································· 3
4.7 補助機器 ······················································································································ 3
4.8 校正 ···························································································································· 3
5. 測定方向及び測定位置 ······································································································ 3
5.1 測定方向 ······················································································································ 3
5.2 測定位置 ······················································································································ 3
6. 作業手順 ························································································································ 3
6.1 一般 ···························································································································· 3
6.2 作業条件 ······················································································································ 3
6.3 先端工具,加工物及び作業······························································································· 4
6.4 作業者 ························································································································· 4
7. 測定についての報告書 ······································································································ 4
7.1 参照規格 ······················································································································ 4
7.2 計測設備のリスト ·········································································································· 4
7.3 トランスデューサの固定 ································································································· 4
7.4 動力工具及び先端工具の説明···························································································· 4
7.5 作業条件 ······················································································································ 4
7.6 信号処理 ······················································································································ 4
7.7 その他の仕様 ················································································································ 4
7.8 測定結果の処置 ············································································································· 4
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 7762-1:2006
(ISO 8662-1:1988)
手持ち可搬形動力工具−
ハンドルにおける振動測定方法−第1部:通則
Hand-held portable power tools−
Measurement of vibrations at the handle−Part 1:General
序文 この規格は,1988年に第1版として発行されたISO 8662-1,Hand-held portable power tools−
Measurement of vibrations at the handle−Part 1:Generalを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
1. 適用範囲 この規格は,手持ち可搬形動力工具のハンドルにおける振動を測定するための基本的要求
事項について規定する。この規格は,振動に対する人体の影響を評価することを意図するものではない。
なお,手腕が振動を受けることによる影響を評価することを目的とした作業場所における手腕系振動の
測定方法は,JIS B 7761-2に規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 8662-1:1988,Hand-held portable power tools−Measurement of vibrations at the handle−Part
1:General (IDT)
2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成
する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
3. 測定事項
3.1
物理量 物理量としての振動は,試験中の動力工具のハンドルにおける加速度として測定し,加速
度実効値 ah (m/s2)として表す。
振動の大きさは,式(1)によって算出する加速度レベル,
ha
L(dB)で表す。
=
0
h
h
log
20
aa
La
··································································· (1)
ここに,
ah: 振動加速度実効値(m/s2)
a0: ISO 1683に規定する基準加速度(10−6 m/s2)
3.2
周波数分析 周波数分析は,中心周波数8〜1 000 Hzのオクターブバンド又は,中心周波数6.3〜1 250
Hzの1/3オクターブバンドで測定する。
備考1. オクターブバンドでの周波数分析は,補正加速度実効値(3.3及び4.3参照)測定の有効性を
2
B 7762-1:2006 (ISO 8662-1:1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
評価するために必要であると考えている。すなわち,工具の繰返し周波数より低い周波数帯
域に高い値があれば,それは,誤差による非線形性の結果を示している。
2. オクターブバンド値は,直接測定するか,又は1/3オクターブバンド値からの計算で得られ
る。
3.3
補正加速度 補正加速度ah, wは,JIS B 7761-1に規定する手腕振動測定用補正フィルタを用いて測定
するか,又はJIS B 7761-1に規定する補正係数を用いて1/3オクタ−ブバンド値から計算して求める。
備考 加速度曲線,許容差及び電子式フィルタ回路のフィルタ特性が異なることから,二つの方式で
の結果が異なる場合がある。
4. 測定器
4.1
トランスデューサの仕様 加速度測定に用いる圧電素子のトランスデューサは,適切な増幅器とと
もに用いる。測定器の仕様については, JIS B 7761-1による。
参考 トランスデューサは,振動ピックアップや加速度ピックアップとも呼ばれる。
振動トランスデューサ及びその取付具の全質量は,ハンドル質量に対して50 g未満と小さくし,附属品
を完備した工具の全質量の5 %を超えてはならない。
横感度(10 %未満),周囲温度の範囲,最大衝撃加速度などの仕様は,加速度ピックアップを選択する
時点で考慮する。
備考 プラスチック若しくはゴムのような非金属材料で作られたハンドル,又は非常に軽いハンドル
(附属品を完備した工具の全質量のおおよそ3 %未満)にトランスデューサを取り付ける場合
に,条件によっては50 gの質量でも測定誤差を生じることがある。この場合,できる限り小形
で軽量のトランスデューサを用いる必要がある。
4.2
トランスデューサの固定 トランスデューサ及びメカニカルフィルタは,埋込みボルト,クランプ
などを用いて堅固に取り付ける。個々の工具についての詳細な規定は,JIS B 7762規格群の関連する部に
よる。すべての場合に,トランスデューサの取付けは,トランスデューサ製造業者の取扱説明書による(ISO
5348参照)。
備考 弾力性のあるカバーの付いたハンドルの振動測定は,手とハンドルとの間に特殊なアダプタを
用いることができる。このアダプタは,加速度ピックアップを適切に取り付けることができる
軽量で剛性のある成形板でもよい。ただし,アダプタの質量,寸法及び形状によって,トラン
スデューサからの信号が大きな影響を受けないように注意することが望ましい。
参考 JIS B 7761-2参照
4.3
メカニカルフィルタ 衝撃式工具,特に,金属製ハウジングの備わったものでは,加速度ピックア
ップとともにメカニカルフィルタを用いることが望ましい。しかし,メカニカルフィルタを用いなくても
測定誤差の生じないことが分かっている場合には用いる必要はない。測定誤差は,対象とする周波数範囲
において,振動信号に影響を与える周期的なDCシフトによることがある。
備考 振動の高周波数成分の加速度が大きい場合,対象とする周波数範囲において,加速度ピックア
ップに誤信号を発生させることがある。メカニカルフィルタは,加速度ピックアップへの振動
入力の高周波数成分を減じるのに用いてもよい。もし用いる場合,6.3 Hz〜1.5 kHzの範囲が応
答するように,メカニカルフィルタを加速度ピックアップの質量に合わせる。メカニカルフィ
ルタの遮断周波数は,加速度ピックアップの共振周波数の5分の1以下とする。
3
B 7762-1:2006 (ISO 8662-1:1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.4
周波数フィルタ オクターブバンドフィルタ及び1/3オクターブバンドフィルタを用いる場合には,
JIS C 1514に規定する周波数フィルタとする。
4.5
補正フィルタ及び実効値検出器 手腕振動測定に用いる補正フィルタ及び実効値検出器は,JIS B
7761-1に規定する。
個々の実効値を求めるときに推奨する方法を,次に示す。
分析用信号の持続時間が短い場合,又はこの信号の大きさが時間経過に伴って相当変化する場合,単純
な分析が行えない。
このような状況下で実効値を求めるためには,積算計器又は,“線形積分”機能の備わった分析器を用い
る必要がある。“線形積分”分析法を優先して採用することを推奨する。騒音分析に通常用いられる種類の
分析器は,時間が経過しても信号が比較的定常状態にある場合,又は信号の持続時間が十分に長いときに
だけ用いることができる。この場合,選択する時定数が,信号の持続時間に対して適切でなければならな
い。
4.6
信号の記録 振動の信号は,データレコーダを用いて記録し,後で評価してもよい。
振動スペクトルは,データレコーダのフラット周波数応答からの偏差について補正する。オクターブバ
ンド中心周波数又は1/3オクターブバンド中心周波数に対して行った補正を,試験報告書に記載する。
4.7
補助機器 特定の工具の運転条件(電気的条件,電力,空気圧,回転速度など)及び作業条件を監
視する補助装置は,JIS B 7762規格群の関連する部による。
4.8
校正 トランスデューサを含む一連の測定器は校正しなければならない[JIS B 7761-1及びISO 5347
(すべての部)参照]。
5. 測定方向及び測定位置
5.1
測定方向 測定方向は,支持面座標系(1)を使用する。これを適用する場合は,優先軸の測定を行う。
特定の工具の優先軸は,JIS B 7762規格群の関連する部による。優先軸が存在しない場合は,三軸のすべ
てで測定を行う。
注(1) 定義については,JIS Z 8131による。
5.2
測定位置 測定位置は,ハンドルの長さ方向に沿った中央部,又は代表的な作業で作業者が通常保
持する所とする。個々の工具の測定位置についての仕様は,JIS B 7762規格群の関連する部による。
6. 作業手順
6.1
一般 作業手順は,適切な再現性を得るために詳細に規定する。作業手順は,実際に行われている
作業状況と同様であることが好ましい。
試験回数及び試験時間は,適切な正確さを得るのに十分なものとする。個々の工具については,JIS B
7762規格群の関連する部による。
よりよい再現性を得るために人工的な手順を規定する場合,その振動源は実際の作業状況における振動
とほぼ同じ強さの振動を発生するものであることが望ましい。
6.2
作業条件 測定は,適切に点検整備を行い注油した機械で,安定した作業条件下で行う。機械は,
定格動力源,例えば,定格電圧又は定格圧力を用いて運転し,かつ,これを試験の継続期間中維持する。
試験中の回転速度又は打撃数を制御し,測定する。個々の工具の回転速度についての仕様は,JIS B 7762
規格群の関連する部による。
4
B 7762-1:2006 (ISO 8662-1:1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.3
先端工具,加工物及び作業 動力工具に使用する先端工具(例えば,たがね,研削と石,チェーン
又はドリル),加工物,及び作業は,JIS B 7762規格群の関連する部による。先端工具の寸法,形状,材料,
磨耗,不釣合いなどが振動に影響を与えるので注意することが望ましい。
もし,試験装置を用いるならば,その設計の詳細を報告する。
6.4
作業者 工具の振動は,作業者の影響を受けることがある。したがって,作業者は,熟練者であり,
かつ,工具を適切に操作できなければならない。
7. 測定についての報告書
7.1
参照規格 報告書には,この規格及び関連する後続の部を記載する。
7.2
計測設備のリスト 用いた計器の製造業者名,種類及び関連仕様を報告書に記載する。
7.3
トランスデューサの固定 測定位置並びにトランスデューサ及びもし適用した場合,メカニカルフ
ィルタの固定方法を記載する。また,測定方向も記載する。
7.4
動力工具及び先端工具の説明 動力工具及び先端工具についての説明を報告書に記載する。
動力工具の説明には,次の詳細事項を含める。
a) 製造業者名
b) 形式
c) モデルNo.
d) 製造番号
e) 運転状態
f)
質量
先端工具の説明には,次の詳細事項を含める。
a) 製造業者名
b) 形式
c) モデルNo.
d) 製造番号
e) 寸法
f)
質量
ハンドルのカバーについての説明を記載する。
7.5
作業条件 作業条件の詳細な説明は,JIS B 7762規格群の関連する部に規定するとおりに記載する。
7.6
信号処理 スペクトル分析器での信号積分の種類,及び補正加速度の決定方法を記載する。
7.7
その他の仕様 加工物の寸法,種類,及び取付け方法のような測定の設定に関連する事項について,
詳細に記載する。
7.8
測定結果の処置 測定結果を補正加速度実効値として表す。一部の種類の工具で,JIS B 7762の関
連する部に規定される場合には,オクターブバンド値も報告する。
5
B 7762-1:2006 (ISO 8662-1:1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表 1 引用規格
JIS B 7761-1 手腕系振動−第1部:測定装置
備考 ISO/DIS 8041:2003,Human response to vibration−Measuring instrumentationからの引用事項は,
この規格の該当事項と同等である。
JIS B 7761-2 手腕系振動−第2部:作業場における実務的測定方法
備考 ISO 5349-2:2001,Mechanical vibration−Measurement and evaluation of human exposure to
hand-transmitted vibration−Part 2: Practical guidance for measurement at the workplaceが,この規
格と一致している。
JIS C 1514 オクターブ及び1/Nオクターブバンドフィルタ
備考 IEC 61260:1995,Electroacoustics−Octave-band and fractional-octave-band filtersが,この規格と
一致している。
JIS Z 8131 機械振動及び衝撃−人体暴露−用語
備考 ISO 5805,Mechanical vibration and shock−Human exposure−Vocabularyからの引用事項は,こ
の規格の該当事項と同等である。
ISO 1683,Acoustics−Preferred reference quantities for acoustic levels
ISO 5347 (all parts),Methods for the calibration of vibration and shock pick-ups
ISO 5348,Mechanical vibration and shock−Mechanical mounting of accelerometers