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B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語,定義及び記号 ·········································································································· 2 

3.1 用語及び定義 ················································································································ 2 

3.2 記号 ···························································································································· 2 

4 手腕系振動の特徴 ············································································································· 2 

4.1 一般的考察 ··················································································································· 2 

4.2 手腕系振動測定器 ·········································································································· 2 

4.3 手と振動源との結合 ······································································································· 4 

4.4 測定量 ························································································································· 5 

4.5 多軸振動 ······················································································································ 5 

5 手腕系振動暴露の特性 ······································································································· 5 

5.1 一般的事項 ··················································································································· 5 

5.2 日振動暴露時間 ············································································································· 5 

5.3 日振動暴露量 ················································································································ 6 

6 報告すべき事項 ················································································································ 6 

附属書A(規定)周波数補正及び帯域制限フィルタ····································································· 7 

附属書B(参考)手腕系振動の健康への影響に対する指針 ··························································· 10 

附属書C(参考)振動暴露と健康への影響との関係···································································· 15 

附属書D(参考)作業状況の中で手腕系振動への人体暴露の結果に影響を与える可能性の高い要因 ····· 18 

附属書E(参考)労働安全衛生のために責任者がとるべき予防措置 ··············································· 19 

附属書F(参考)追加情報の報告のための指針 ·········································································· 21 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本機械学会(JSME)及び財団法人

日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

JIS B 7761の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS B 7761-1 第1部:測定装置 

JIS B 7761-2 第2部:作業場における実務的測定方法 

JIS B 7761-3 第3部:測定及び評価に関する一般要求事項 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 7761-3:2007 

(ISO 5349-1:2001) 

手腕系振動− 

第3部:測定及び評価に関する一般要求事項 

Hand-transmitted vibration− 

Part 3: General requirements for measurement and evaluation 

序文 

この規格は,2001年に第1版として発行されたISO 5349-1を基に,技術的内容及び対応国際規格の構

成を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

この規格は,手腕系振動暴露を3方向の直交軸で測定し,報告するための一般要求事項について規定す

る。また,測定値の比較を可能にするために,周波数補正及び帯域制限フィルタについて規定する。得ら

れた値は,公称中心周波数8 Hz〜1 000 Hzまでのオクターブバンドをカバーする周波数帯の,手腕系振動

の悪影響を予測するために用いることができる。また,この規格は,周期的な振動,及び非定常又は非周

期的な振動に適用でき,条件付きで繰返し形の衝撃にも適用できる。 

この規格は,周波数補正振動加速度及び日暴露時間で規定した手腕系振動暴露の評価のための指針を提

供するものであり,安全な振動暴露の限界を定義するものではない。 

注記1 繰返し衝撃の人体への反応の時間依存性は,完全には知られてない。そのような振動に対し

ては,注意してこの規格を適用する。 

注記2 附属書Cに,健康への影響を引き起こすと思われる振動暴露の様々な特徴について,おおよ

その相対的重要度を示す。 

注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 5349-1:2001,Mechanical vibration−Measurement and evaluation of human exposure to 

hand-transmitted vibration−Part 1: General requirements (IDT) 

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを示

す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0153 機械振動・衝撃用語 

注記 対応国際規格:ISO 2041,Vibration and shock−Vocabulary (MOD) 

JIS B 7761-1 手腕系振動−第1部:測定装置 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 対応国際規格:ISO 8041,Human response to vibration−Measuring instrumentation (MOD) 

JIS B 7761-2 手腕系振動−第2部:作業場における実務的測定方法 

注記 対応国際規格:ISO 5349-2,Mechanical vibration−Measurement and evaluation of human exposure 

to hand-transmitted vibration−Part 2: Practical guidance for measurement at the workplace (IDT) 

JIS C 1514 オクターブ及び1/Nオクターブバンドフィルタ 

注記 対応国際規格:IEC 61260,Electroacoustics−Octave-band and fractional-octave-band filters (IDT) 

用語,定義及び記号 

3.1 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0153による。 

注記 この規格の利用者への便宜のために,医学的内容に関連する用語の説明を附属書Bに示す。 

3.2 

記号 

この規格で用いる記号の定義は,次による。 

ahw(t) 

:メートル毎秒毎秒(m/s2)で表す時間(t)における周波数補正を行った振動加速度の瞬時値 

ahw 

:メートル毎秒毎秒(m/s2)で表す周波数補正手腕系振動の単軸加速度実効値 

ahwx,ahwy,ahwz:メートル毎秒毎秒(m/s2)で表すx,y及びz軸それぞれのahwの値 

ahv 

:周波数補正加速度実効値の振動合成値(ベクトル和又は周波数補正加速度和として知られて

いる),メートル毎秒毎秒(m/s2)で表す3測定軸のahwの二乗和平方根 

ahv (eq, 8h) :メートル毎秒毎秒(m/s2)で表す日振動暴露量(8時間エネルギー等価振動合成値) 

A(8) 

:日振動暴露量ahv (eq, 8h)の簡易的な代替用語 

Dy 

:年数で表す群平均(生涯)暴露時間 

:一日の振動合成値ahvへの暴露時間 

T0 

:基準暴露時間8時間(28 800秒) 

Wh 

:手腕系振動のための周波数補正特性 

手腕系振動の特徴 

4.1 

一般的考察 

この規格で規定する評価方法は,作業状況の中で人体の手腕系振動暴露の結果に影響を与える,次の要

因を考慮に入れている。 

a) 振動の周波数成分 

b) 振動の強さ 

c) 1労働日当たりの暴露時間 

d) これまでの累積暴露量 

前記以外にも振動暴露の結果に影響を与えているが,それを報告する標準化した評価方法がまだ存在し

ない要因については,附属書Dに示す。 

4.2 

手腕系振動測定器 

4.2.1 

一般 

手腕系振動の測定はJIS B 7761-1に適合する機器を用い,測定の前後で正しく動作したかを点検しなけ

ればならない。校正は,認定試験機関の標準器に対し,トレーサビリティをもつものとする。 

4.2.2 

振動トランスデューサ 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

振動トランスデューサは,一般的な振動測定(非打撃工具用)を行うように設計された加速度ピックア

ップでも,打撃工具から発生するような大きなピークの加速度用に特別に設計されたものでもよい。振動

トランスデューサは,工具が発生する振動の強さの範囲に耐えるもので,安定した特性をもったものとす

る。振動トランスデューサの大きさは,機械操作に影響を及ぼさないもので,測定点の位置が確認できる

ものとする。 

JIS B 7761-2には,加速度ピックアップの選択についての詳細な手引きが規定されている。 

4.2.3 

加速度ピックアップの位置及び方向 

手に伝わる振動は,図1に定義する直交座標系の3方向で測定し,報告する。 

現実的な振動測定のために,座標系の方向は,適切な支持面座標系(図1参照)に基づいて,例えば,

振動機器,ワークピース,ハンドル又は手で把持する制御機器(詳細な情報は,JIS B 7761-2参照)側で

定めてもよい。 

3方向の振動は,できれば同時に測定することが望ましい。3軸それぞれで順次行う測定は,作業条件が

3回すべての測定に対し同様であれば許容できる。測定は,振動している表面上で,機械,工具又はワー

クピースの把持部分のできる限り中心で行わなければならない。加速度ピックアップの位置を報告する。 

注記 振動の強さは,振動している表面の位置に大きく左右される。 

JIS B 7761-2に,加速度ピックアップ位置についての詳細な手引きが規定されている。 

4.2.4 

加速度ピックアップの取付け 

加速度ピックアップは,堅固に取り付けることが望ましい。加速度ピックアップの取付けについての詳

しい資料は,JIS B 7761-2及びISO 5348(参考文献参照)に記載されている。取付けが困難な状況(弾力

性のある表面又は振動が衝撃的であるような場合)での加速度ピックアップの取付け,及び手持ち式アダ

プタの使用の実用的な指針も,JIS B 7761-2に記載されている。 

background image

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) ハンドグリップ位置(この状態では,手は円筒形の棒状に規格化されたグリップを把持している。) 

  

b) 手掌位置(この状態では,手は球面を上から押し付けている。) 

注記 生体力学座標系の原点は,第3中手骨の骨頭(末端)である。zh軸(すなわち,手の角度)は,第3中手骨の

縦軸として定義され,指の先端方向が正方向である。原点を通るxh軸は,zh軸と直交し,手が通常位置(掌が
前方)のときに前方方向が正方向である。yh軸は,他の二つの軸と直交し,第5指(親指)の方向が正方向で
ある。支持面座標系を用いるとき,座標系は一般的にy−z面で回転するため,yh軸は実際には把持軸と平行で
ある。 

図1−手の指示面座標系 

4.3 

手と振動源との結合 

振動暴露の特性は,今のところ初期量として手が接触する表面の加速度を用いているが,生物学的作用

が,手と振動源との結合に大きく依存していると想定することは妥当である。また,その結合が振動の強

さの測定に大きく影響を及ぼすことに,留意することが望ましい。 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

振動測定は,工具又は工程の標準的な作業において,手と振動している動力工具,ハンドル又はワーク

ピースとの結合を代表する力で行わなければならない。 

手と把持位置との間の力1) は,測定し報告することが望ましい。また,作業者の状況の詳細を,それぞ

れの状態及び/又は作業手順として報告することが望ましい(附属書D及びF参照)。 

注1) 把持力及び押付け力についての国際規格は,ISOで審議中である。 

4.4 

測定量 

振動の強さを規定するために用いる基本量は,メートル毎秒毎秒(m/s2)で表す周波数補正加速度実効

値(r.m.s.)とする。 

周波数補正加速度の測定には,周波数補正及び帯域制限フィルタが必要である。周波数補正Whは,異

なる周波数が手に障害を引き起こす重要性を想定し考慮している。周波数補正Wh及び帯域制限フィルタ

の特性は,附属書Aに規定する。 

実効値は,線形積分法を用いて測定する。積分時間は,振動信号の代表例を用いるように選択する(JIS 

B 7761-2参照)。 

さらなる目的(研究,予防及び振動の技術的な低減)のために,周波数スペクトルを取得することを強

く推奨する(詳細な情報は,附属書F参照)。 

4.5 

多軸振動 

ほとんどの動力工具において,手に伝わる振動は3軸すべての測定方向の成分を含んでいることが知ら

れている。3軸の各々における振動は,等しく有害であると想定している。そのために,測定は3軸すべ

てで行うことが望ましい。x,y及びz軸の周波数補正実効加速度値ahwx,ahwy及びahwzは,別々に報告す

る(附属書F参照)。 

しかし,振動暴露の評価(箇条5参照)は,3軸すべてを合成した量に基づく。これが振動合成値ahv

であり,式(1)によって求められる。 

2

hw

2

hw

2

hw

hv

z

y

x

a

a

a

a

+

+

=

 ······························································· (1) 

振動測定を3軸で行うことが不可能な場合があるかもしれない。測定を一つ又は二つの軸だけで行う場

合は,(その軸が確認できるときには)振動が最大の軸を含むこととする。その振動合成値は,有効な測定

値及び注意深く考慮した倍率を用いて推定する。最大振動軸の振動の強さから振動合成値を得るために,

1.0〜1.7の幅の倍率が必要である(詳細な助言は,JIS B 7761-2参照)。振動合成値を推定するために倍率

を用いる場合は,その倍率及びその選択の妥当性を,測定した成分値とともに報告する。 

手腕系振動暴露の特性 

5.1 

一般的事項 

振動暴露は,振動の強さ及び暴露の継続時間に依存する。附属書Cに示す健康への影響の指針を適用す

るために,振動の強さは振動合成値

hv

aとして表す。 

5.2 

日振動暴露時間 

日振動暴露時間は,労働日中に手が振動に暴露される合計時間である。振動暴露時間は,人が動力工具

又はワークピースで仕事をしている時間よりも短くてもよい。合計日振動暴露時間の推定は,種々の作業

条件の適切な代表値及び継続時間並びに中断時間を基本とすることが重要である(詳細な手引きは,JIS B 

7761-2参照)。 

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5.3 

日振動暴露量 

日振動暴露量は,振動の強さ(振動合成値)及び日振動暴露時間から計算する。 

継続時間の異なる日振動暴露の間の比較を容易にするために,日振動暴露量は,8時間エネルギー等価

周波数補正振動合成値ahv (eq, 8h)として,式(2)に示す。この規格は,ahv (eq, 8h)を簡易的にA(8)として表す。 

()

0

hv

8

T

T

a

A

=

 ··········································································· (2) 

ここに, 

T: ahvの振動への合計日振動暴露時間 

T0: 基準暴露時間8時間(28 800秒) 

仕事が振動の強さの異なる幾つかの作業で構成される場合には,日振動暴露量A(8)の計算は,式(3)に

よる。 

()

=

=

n

i

i

iT

a

T

A

1

2

hv

0

1

8

 ··································································· (3) 

ここに, ahvi: i番目の作業の振動合成値 

n: 個々の振動暴露の数 

Ti: i番目の作業の継続時間 

A(8)を計算する個別の値は,別々に報告する。 

例 (同一労働日の)1時間,3時間及び0.5時間の暴露時間に対する振動合成値がそれぞれ2 m/s2,

3.5 m/s2及び10 m/s2であれば, 

()

(

)

(

)

(

)

[

]

2

2

2

2

2

2

2

m/s

4.3

h

5.0

m/s

10

h

3

m/s

3.5

h

1

m/s

2

h

8

1

8

=

×

+

×

+

×

=

A

となる。 

注記 前記の計算結果は,有効数字2けたとする。これは,測定精度を同等にすることを意味するの

ではなく,計算法に起因するものである。通常の測定状態では,A(8)の値の10 %以下の精度を

得るように十分な注意を払うことが望ましい。 

許容振動暴露の基準の選定においては,A(8)値を用いることを推奨する。 

報告すべき事項 

この規格によって手腕系振動への暴露の評価を行ったときには,次の情報を報告する。 

− 暴露評価の対象 

− 振動暴露を引き起こす作業 

− 動力工具,関連する先端工具及び/又はワークピース 

− トランスデューサの位置及び方向 

− 測定した単軸それぞれの周波数補正加速度実効値 

− それぞれの作業に対する振動合成値 

− それぞれの作業者の合計日継続時間 

− 日振動暴露量 

注記 JIS B 7761-2には,より多くの報告すべき推奨情報が規定されている(また,附属書D及びF

も参照)。 

background image

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附属書A 

(規定) 

周波数補正及び帯域制限フィルタ 

序文 

この附属書は,周波数補正及び帯域制限フィルタについて規定する。 

A.1 周波数補正及び帯域制限フィルタの特性 

ahwの測定には,周波数補正及び帯域制限フィルタを適用することが必要である。周波数補正Whは,手

への障害を起こす,異なる周波数の,想定される重要性を反映する。振動障害(附属書C参照)の予測の

ための測定値の周波数適用範囲は,8 Hz〜1 000 Hzのオクターブバンドをカバーする実用的な周波数範囲

(例えば,公称周波数幅5.6 Hz〜1 400 Hz)を反映する。帯域制限ハイパス及びローパスフィルタは,周

波数の相関関係がまだ合意されていないこの範囲外の振動周波数による測定値への影響を制限する。 

注記 振動への応答の周波数依存は,すべての軸において同じである可能性は低い。しかし,異なる

軸に異なる周波数補正を推奨することは,まだ適切ではない。 

周波数補正及び帯域制限フィルタは,アナログ方式又はディジタル方式で実現できる。表A.1に,周波

数補正及び帯域制限フィルタの特性について,フィルタ設計者にとって身近な数学的な表現で定義して,

図A.1に帯域制限を含む手腕振動のための周波数補正曲線を規定する。より詳細なフィルタ特性及び許容

差が,JIS B 7761-1に規定してある。 

表A.1−周波数補正Whのための帯域制限フィルタ及び補正フィルタの特性 

帯域制限a) 

周波数補正a) 

f1 

f2 

Q1 

f3 

f4 

Q2 

6.310 

1 258.9 

0.71 

15.915 

15.915 

0.64 

帯域制限フィルタは,フィルタの伝達関数Hb(s)で定義する。 

)

π

4

/

π

2

( )

π

4

/

π

2

(

π

4

)

(

2

2

2

1

2

2

2

1

2

1

1

2

2

2

2

2

b

f

Q

s

f

s

f

Q

s

f

s

f

s

s

H

+

+

+

+

=

ここに, s=j2πf:ラプラス変換の変数 

帯域制限フィルタは,2極フィルタで実現できる。 
周波数補正フィルタは,フィルタの伝達関数Hw(s)で定義する。 

3

2

4

2

2

4

2

2

4

3

w

)

π

4

/

π

2

(

π

2

)

π

2

(

)

(

f

f

Q

s

f

s

Kf

f

s

s

H

+

+

+

=

ここに, s=j2πf:ラプラス変換の変数 

周波数補正フィルタは,2極フィルタで実現できる。 
合計周波数補正関数は,

)

(

)

(

)

(

w

b

s

H

s

H

s

H

×

=

である。 

注a) fnの値は,共振周波数(n=1〜4)を表す。Qnは,選択的に(n=1又は2)を示す。Kは,定利得である。 

background image

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図A.1−帯域制限を含む手腕振動のための周波数補正曲線Wh(概略図) 

A.2 1/3オクターブバンドデータの周波数補正加速度への変換 

対応する周波数補正加速度を得るために,周波数補正Whフィルタの使用に代えて1/3オクターブバンド

分析から得る加速度実効値を用いることができる。 

周波数補正加速度実効値ahwは,次の式から計算できる。 

(

)

=

i

i

ia

W

a

2

h

h

hw

 ·································································· (A.1) 

ここに, Whi: 表A.2に示すi番目の1/3オクターブバンドのための補正係数 

ahi: i番目の1/3オクターブバンド中で測定した加速度実効値(m/s2) 

主な周波数範囲は,(公称周波数が)6.3 Hz〜1 250 Hzまでの1/3オクターブバンドフィルタで構成され,

式(A.1)を用いたahwの計算には,この範囲内の1/3オクターブバンド分析結果を用いる。主要周波数範囲

から外れた周波数(例えば,表A.2の灰色の部分として示す。)の成分は,主要周波数範囲の高域端及び低

域端の振動エネルギーにほとんど影響を与えない。 

周波数補正加速度値が,周波数範囲の高域及び低域で有意な成分によって影響を受ける場合には,附属

書Cにある振動暴露データからの白指予測のための指針は,慎重に取り扱うことが望ましい。 

注記 スペクトルに顕著な単一周波数要素を含む場合には,概略を述べたA.2の手順は,周波数補正

加速度の計算値と直接測定値との間に差異を生じさせるかもしれない。これらの要素が1/3オ

クターブバンドの中心周波数と異なる周波数であれば,不一致が生じる。したがって,補正フ

ィルタWhの使用,又は狭帯域測定を基本とした計算が望ましい。後者の場合,ある周波数f

又は公称中心周波数fの狭周波数バンドに対して,補正なし振動加速度a(f)が与えられるなら

ば,補正加速度ah(f)は,次の式(A.2)から計算する。 

()

()

(

)f

H

f

a

f

a

π

j2

h

=

 ····························································· (A.2) 

16 

31.5 

63 

125 

250 

500 

周波数 Hz 

0.01 

0.1 

background image

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.2−1/3オクターブバンド量を周波数補正量に変換するための, 

周波数制限a)を伴う手腕振動の周波数補正係数Whi 

周波数バンド番号b) 

公称中心周波数 

Hz 

補正係数 

Whi 

0.375 

0.545 

6.3 

0.727 

0.873 

10 

10 

0.951 

11 

12.5 

0.958 

12 

16 

0.896 

13 

20 

0.782 

14 

25 

0.647 

15 

31.5 

0.519 

16 

40 

0.411 

17 

50 

0.324 

18 

63 

0.256 

19 

80 

0.202 

20 

100 

0.160 

21 

125 

0.127 

22 

160 

0.101 

23 

200 

0.079 9 

24 

250 

0.063 4 

25 

315 

0.050 3 

26 

400 

0.039 8 

27 

500 

0.031 4 

28 

630 

0.024 5 

29 

800 

0.018 6 

30 

1 000 

0.013 5 

31 

1 250 

0.008 94 

32 

1 600 

0.005 36 

33 

2 000 

0.002 95 

注a) フィルタ応答及び許容値用(JIS B 7761-1を参照する。)。 

b) 添字iは,JIS C 1514に従った周波数バンド番号。 

10 

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附属書B 

(参考) 

手腕系振動の健康への影響に対する指針 

序文 

この附属書は,本体及び附属書Aを補足するものであって,規定の一部ではない。 

B.1 

一般的事項 

作業者の手を振動にさらす動力化された工程及び工具は,幾つもの産業活動で広く行き渡っている。製

造業,採石業,鉱業及び建設業,林業及び農業,公共事業並びに他の労働活動で用いられる回転及び/又

は衝撃式手持ち動力工具によって,職業上の手腕系振動への暴露が起きる。手腕系振動への暴露は,作業

者が手で保持するワークピース及びオートバイのハンドル又は乗り物のステアリングホイールのような振

動する手持ち式の操縦かん(桿)からも起こる。 

手腕系振動への過度の暴露は,手指血流及び手腕の神経並びに運動機能に障害を引き起こす。欧州各国

及びアメリカ合衆国の労働者の1.7 %〜3.6 %が有害な手腕系振動に暴露されている可能性があると推定

されている。“手腕系振動症候群”(HAVS)という用語は,手腕系振動暴露に関連する末しょう(梢)血

管(循環)系,神経系及び筋骨格系障害の症候群を示すものとして一般的に使われている。手腕系振動に

暴露される労働者は,神経系及び/又は血管系の障害に,別々に又は同時に冒されることがある。手腕系

振動によって起こる血管障害及び骨関節障害は,幾つかの国では職業病として補償されている。これらの

疾患は,欧州の認可職業病リストにもある。 

B.2 

血管(循環)障害 

手腕系振動に暴露される労働者は,一般に寒冷暴露によって誘発されるそう(蒼)白又は白指発作を訴

えることがある。手指血流の一時的な阻血によるこの疾患を(1862年にフランスの医師モーリス・レイノ

ーが最初に発見して以来)レイノー現象という。振動は,寒冷による血管収縮活動をより過敏にして手指

血流を阻害すると考えられている。振動暴露労働者の寒冷誘発レイノー現象を説明するために,ある研究

者は,有害な振動への長期暴露によって引き起こされた過大な中枢性血管収縮反射を引合いに出している。

一方,他の研究者は,振動による手指血管の局所変化の役割を強調している。振動起因の血管(循環)障

害を述べるために様々な同義語が用いられている。死指,白指,職業原因のレイノー現象又は外傷性血管

れん(攣)縮症,そして最近では,振動起因白指(VWF)である。VWFは,多くの国で法定職業病であ

る。 

そう(蒼)白発作は,最初は一指又は数指の指先に現れる。しかし,振動への継続暴露に伴い,そう(蒼)

白化は指の基部まで及ぶ。時には,そう(蒼)白発作に引き続いてチアノーゼが発病する。すなわち,手

指循環停滞のために酸素の還元増大に起因する障害指の青みを帯びた変色である。通常,暖房又は部分マ

ッサージによってその回復が早まるが,回復期には,皮膚血管の反応性血流増加の結果として,障害指に

赤化,時にはうずくようなしびれ及び/又は痛みが現れることがある。そう(蒼)白発作は,夏よりも冬

に発症するのが一般的であり,数分から1時間以上持続する。その持続時間は,誘因となる刺激の強さ,

及び血管れん(攣)縮の程度によって様々であり,発作は通常全身が暖まったときに終わる。振動暴露が

継続する場合には,そう(蒼)白発作はより頻繁となり,年間を通して起こることもある。発作の進んだ

background image

11 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まれなケースでは,繰返しのひどいそう(蒼)白発作によって指せん(尖)部皮膚の栄養性変化[かいよ

う(潰瘍)形成又はえそ(壊疸)]を引き起こすことがある。発作の間,障害を受けた労働者は,触覚及び

手指巧ち(緻)性の完全な喪失を体験することがある。これは,労働活動性を阻害して,事故による急性

外傷の危険性を増大させる。 

職業病医学では,白指の等級分けのための様々な症度分類法が開発されてきた。ストックホルムワーク

ショップスケール(1986)は,手腕振動障害の寒冷起因レイノー現象の区分けのための国際的に認められ

ている症度区分法である。このスケールは,手指そう(蒼)白発作の範囲,頻度及び程度に応じた四つの

症度から構成されており,表B.1に示す。異なる指節のそう(蒼)白化に対するスコアを基礎としたスケ

ールも提案されている(参考文献[13]参照)。 

白指を客観的に診断するために,幾つかの臨床検査が用いられる。その検査の多くは,寒冷誘発及び手

指の冷却前,冷却中及び冷却後の手指皮膚温度又は指血流及び指血圧の測定を基にしている。 

振動起因性白指の有症率は,振動暴露労働者集団の個々人の0 %〜100 %とばらつきが大きいことを,

疫学研究が示している。白指症状の発症可能性及び程度は,幾つかの要因,すなわち,振動暴露特性(周

波数,強さ,方向,衝撃,継続時間など),工具及び作業工程の形式,環境条件(温度,湿度,騒音など)

幾らかの生体力学的及び人間工学的要因(把持力,押付け力,腕の姿勢など)並びに種々の個人特性[感受

性,病気及び薬品,例えば,末しょう(梢)血液循環に影響を及ぼすニコチン及びある種の薬など]に影響

を受けているように見える。このように,振動暴露と白指症状の進行とには複合した関係がある。疫学研

究では,白指の発生は振動暴露時間の増加とともに増加することを示している。白指発症前の累積暴露時

間は,振動暴露の強さとほぼ反比例しているというある程度の根拠がある(例えば,振動の強さが倍であ

れば,同じ効果を生むのに必要な暴露年数は半分となる。)。 

1970年代末期以降,欧州及び日本の現役林業労働者の間で,他の有害な労働環境要因(例えば,寒冷又

は物理的ストレス)への暴露を減らす努力とともに,防振チェーンソーの導入及びチェーンソー使用時間

短縮の行政処置の導入を行った後で,白指の発生率の減少が報告されている。白指からの回復もまた引退

した林業労働者において報告されている。同様な調査結果は,他の工具については,まだ得られていない。 

表B.1−ストックホルム ワークショップ スケール(1986) 

血管構成機能(レイノー現象) 

症度 

等級 

内容 

 0 

白指発作なし 

 1V 

軽度 

1指又は数指の指せん(尖)だけに散発する白指発作 

 2V 

中等度 

1指又は数指の手指の末節及び中節(まれに基節も)に散発する白指発作 

 3V 

重度 

ほとんどの手指の全節に頻発する白指発作 

 4V 

最重度 

手指せん(尖)部の皮膚の栄養障害を伴った症度3の状態 

知覚神経機能 

症度 

内容 

 0SN 

振動暴露はあるが症状はなし 

 1SN 

断続的なしびれ,うずくようなしびれ感を伴う場合もあり 

 2SN 

断続性又は持続性のしびれ,感覚知覚低下あり 

 3SN 

断続的又は持続性のしびれ,触覚判別能及び/又は手指巧ち(緻)性の低下 

B.3 

神経障害 

手腕系振動に暴露される労働者は,指及び手に,びりびり感及びしびれ感を経験することがある。振動

12 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

暴露が継続する場合には,これらの症状は悪化しがちで,労働能力及び生活活動を妨げかねない。振動暴

露労働者は,臨床検査で手指巧ち(緻)性の障害と同時に正常な触覚及び温度覚の低下を示すかもしれな

い。手腕系振動の他の影響としては,指せん(尖)部皮膚の振動感覚の減少もある。振動暴露労働者の疫

学調査は,末しょう(梢)神経障害の有症者率が振動暴露労働者集団の中の個々人の数%〜80 %以上まで

と様々であり,感覚障害が幅広い種類の工具使用者に影響を与えることを示している。 

感覚神経障害は,他の振動起因障害とは独立して進展するようにみえる。おそらく異なる病理学的仕組

みを反映しているのであろう。手腕神経障害の神経障害の等級区分は,ストックホルムワークショップ

(1986年)で提案された。それは愁訴,臨床神経学的検査,並びに触覚識別,振動覚知覚,正確な手指操

作などの精神物理学検査による三つの症度からなっている(表B.1参照)。 

振動暴露労働者は,時には手関節の解剖学上の穴を通る正中神経の圧縮に起因する疾患である手根管症

候群(CTS)のような,絞やく(扼)性神経障害の徴候及び症状を見せることがある。手根管症候群は,

削岩夫,板金工及び林業労働者などの振動工具を用いるある職業群に起きるようにみえる。手及び手首に

作用する人間工学的ストレス因子(反復動作,力を入れた把持,不良姿勢など)が,振動と組み合わさっ

て振動工具を扱う労働者に手根管症候群を起こすと考えられている。 

B.4 

筋骨格疾病 

B.4.1 骨格系 

初期のレントゲン研究は,振動暴露作業者の手及び手首の骨空胞並びにのう(嚢)胞の,高い有症率を

明らかにした。しかし,より最近の研究は,振動に暴露されない筋肉労働者に関して有意な増加を認めて

いない。空気圧打撃工具からの強い衝撃及び低周波(50 Hz未満)振動に暴露される鉱山労働者,道路建

設労働者及び金属作業労働者に,主としてひじ(肘)でのけん(腱)付着部の骨化症とともに手首及びひ

じ(肘)の変形性関節症の発生過多が見つかっている。 

キーンベック病(月状骨軟化症)及び手関節での舟状骨の偽関節の有症率が高いことも,数人の研究者

から報告されている。チェーンソー又はグラインダ作業に起因する中周波・高周波の振動に暴露されてい

る労働者の上肢に,退行変形性骨関節障害の有症率が増加している根拠はほとんど見られない。重筋労働,

力を入れた把持及び様々な生体機械的要因が,打撃工具を操作する労働者にみられる骨関節損傷発生が高

くなる原因であろう。局所のとう(疼)痛,しゅ(腫)張及び関節のこわばり及び変形は,骨関節変形の

レントゲン所見と関連があるかもしれない。幾つかの国(例えば,フランス,ドイツ,イタリアなど)で

は,手持ち振動工具を使用する労働者に発生する骨関節障害は職業病とされ,障害を受けた労働者は補償

されている。 

B.4.2 筋肉系 

振動に長期暴露する労働者は,筋肉の弱化,手腕の痛み及び筋力低下を訴えることがある。振動暴露は

手の握力低下との関連もみられている。人によっては,筋疲労が能力低下をを引き起こす。そうした筋肉

症状の可能性のある病因として,直接的な機械的損傷又は末しょう(梢)神経障害が示唆されている。 

上肢のけん(腱)炎及びけん(腱)滑膜炎[すなわち,けん(腱)及びけんしょう(腱鞘)の炎症],手

掌けん(腱)膜の疾病であるデュプイトラン拘縮などの労働に関連した他の障害が報告されている。これ

らの障害には,重筋労働に起因する人間工学的ストレス要因が関係しており,手腕系振動との関係は結論

づけられていない。 

13 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.5 

他の障害 

ある研究は,振動起因白指を発症する労働者では,加齢及び振動工具からの騒音暴露を基に予測される

よりも聴力損失が大きいことを示している。白指患者では,振動による内耳への供給血管の収縮に起因す

る聴力損傷の危険性ももつことが示唆されている。末しょう(梢)障害に加えて,振動暴露労働者の内分

泌及び中枢神経系を含む他の有害な健康影響が,ロシア及び日本の研究者によって報告されている。“振動

病”と称される臨床像は,高位脳中枢の機能障害に関連する徴候及び症状(例えば,持続性の疲労,頭痛,

神経過敏,インポテンス,脳波異常など)を含んでいる。これらの所見は注意して解釈されるべきであり,

中枢神経障害と手腕系振動暴露との関連性の仮説を証明するためには,注意深く計画された疫学的及び臨

床的研究が更に必要である。 

B.6 

用語 

骨のう(嚢)胞(Bone cyst) 

骨構造内の異常な空洞。 

手根管症候群(Carpal tunnel syndrome) 

ほとんどが夜間に起きる,母指,示指,中指及び環指の掌側表面のしびれ,うずくようなしびれ感又は

しゃく(灼)熱痛の症状。正中神経が手根骨によって形成される管(手根管)を通過するときに,圧迫又

は刺激されて生じる。 

チアノーゼ(Cyanosis) 

表皮毛細血管内の還元ヘモグロビン血の存在による,皮膚又は他組織の青みを帯びた変化。 

デュプイトラン拘縮(Dupuytrenʼs contracture) 

主に環指及び小指の手指伸展を障害する手掌部のけん(腱)膜の繊維性肥大。 

疫学(Epidemiology) 

ある集団における疾病又は異常の発生[有症率及びり(罹)患率]の研究。労働疫学は労働のリスク要

因及びその可能性のある有害な健康影響との関連性を研究する。 

手腕系振動障害(症候群)(Hand-arm vibration syndrome) 

手腕系振動によって引き起こされる障害に関連した症候群[神経系,血管(循環)系,筋骨格系の徴候,

症状など]。 

キーンベック病(Kienböckʼs disease) 

手関節の月状骨のミネラル摂取障害(軟化症)。 

り(罹)患率(Incidence) 

ある特定の期間における,ある集団内の疾病又は異常の新規発症数。 

変形性関節症(Osteoarthrosis) 

骨及び関節の退行性変性。 

有症率(Prevalemce) 

特定の一時点における対象集団内の疾病又は異常の存在数。 

レイノー現象(Raynaudʼs phenomenon) 

寒冷又は振動によって,通常誘発される手指血管収縮の結果としての血液循環不全による指そう(蒼)

白化の発作。 

一次性レイノー症(Primary Raynaudʼs disease) 

白指症状が特定の原因によるものではない場合。 

二次性レイノー症(Secondary Raynaudʼs disease) ある原因が特定されたとき。 

14 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

振動起因白指(Vibration-induced white finger) 

手腕系振動暴露によって引き起こされる二次性

レイノー現象。 

感覚神経疾患(Sensorineural disorders) 

触覚,痛覚,温度覚,振動覚及び深部圧覚の異常並びに感覚識別機能障害(二点識別及び手触り,大き

さ並びに形状の識別)。 

けん(腱)炎(Tendinitis) 

けん(腱)の炎症。 

けんしょう(腱鞘)滑膜炎(Tenosynovitis) 

けん(腱)及びけんしょう(腱鞘)の炎症。 

血管収縮(Vasoconstriction) 

特に血管の筋肉層の収縮増大の結果から生じる血管内くう(腔)の狭小化。 

15 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

振動暴露と健康への影響との関係 

序文 

この附属書は,本体及び附属書Aを補足するものであって,規定の一部ではない。 

C.1 評価の方法の背景 

この附属書は,健康への影響を引き起こすと思われる振動暴露の種々の特性についての,比較的重要な

ものに関係する。この附属書は,安全な振動暴露の限界を明確にするものではない。 

この規格に規定する周波数補正は,ISO 5349:1986(この規格の対応国際規格であるISO 5349-1:2001の

前の版)の周波数補正を基礎としており,手及び腕への振動起因の健康影響を引き起こす異なる周波数の

相対的可能性を考慮した,利用可能な最良の指針を与えるものと考えられている。 

この周波数補正が血管,神経又は筋骨格疾病発展の危険を個別に代表しているかどうかは知られていな

い。現在では,周波数補正は,すべての手腕系振動の生物学的作用の評価に用いられている。 

図1に示す直交座標系で定義する各3方向の振動は等しく有害であり,各軸に対し同じ周波数補正を用

いるものと解釈する。したがって,手腕系振動の疾病可能性は,この規格に定義する手及び接触する表面

における三つの周波数補正要素(単軸)加速度から導く振動合成値ahvから推定する。 

この規格に示す8時間エネルギー等価振動合成値を得るためのこの方法は,異なる振動の大きさと日振

動暴露時間との間の関係を,適切に反映するものであると仮定している。 

注記1 この方法では,手腕系振動症候群の症状を生み出すために必要な日暴露時間は,周波数補正

加速度の二乗に反比例すると仮定している。例えば,振動の強さが半分になれば日暴露時間

は,同様の効果を生むためには4倍となる。 

注記2 健康への影響と日振動暴露時間との関係には,データの不足がある。選択した時間依存は,

一定の日振動エネルギーと等しい。 

注記3 日振動暴露量のための時間依存は,継続時間が非常に短い大きな加速度に対して判断の基礎

とすべきではない。そのような暴露は,手腕系への他の激しい損傷に結びつく。 

C.2 一般的な健康への影響 

手腕系振動症候群(附属書B参照)の個々の症状が進展する可能性は,感受性,既往症及び健康状態,

並びに4.1及び附属書Dに記載する個人的要因に依存する。また,そのそれぞれが同じ工具,若しくは工

具群を使用する仕事,又は振動が手と連結した作業工程を同等に実行した一群の人々中の有症数は,個々

の個人因子及び群内での暴露因子の範囲に依存する。その中で同じ作業を継続しない群に対しては,振動

に関連する有症数は,人がその群に残る割合に影響されるであろう。 

注記 調査は,手腕系振動症候群の症状は,手と接触する表面での2 m/s2未満の8時間エネルギー等

価振動合成値A(8)に暴露する人にはまれであり,1 m/s2未満のA(8)値に対しては報告されてい

ないことを示唆している。 

background image

16 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C.3 一過性白指発作(振動起因白指発作)の有症率 

かつて,同じ工具又は工具群を使用する作業,又は過程に従事する人々の群の中で,異なる白指の発症

率を引き起こすために必要な振動暴露を推定する試みがあった。図C.1に暴露した人の10 % に白指を引

き起こすことが推定される,日振動暴露量A(8)を示す。値は,1年〜10年の群平均合計暴露時間(年)で

ある。対応する値を表C.1に示す。 

表C.1に示す値の間の暴露条件に対する補完は可能である。この目的のために,次の式を用いてもよい。 

[

]

06

.1

)8(

8.

31

=

A

Dy

 ··································································· (C.1) 

ここに, A(8): 日振動暴露量(ハンドルと接する表面における8時間エネル

ギー等価振動合成値) 

Dy: 年で表す群平均暴露期間 

注記1 振動暴露と白指との実験的な関係は,参考文献[10]を基礎としている。この規格では,8時間

エネルギー等価振動合成値の使用を考慮して修正因子を適用している。 

注記2 この規格に示す血管への影響は,主に帯域30 Hz〜50 Hzの範囲以上の振動を伴う動力工具

(例えば,チェーンソー,グラインダ,ロックドリルなど)を使用した疫学的研究に基づく。

したがって,特に約20 Hz以下の低い周波数における補正加速度に偏った測定には,注意を

払うことが望ましい。上肢の骨及び関節への影響は,これらの形式の動力工具の作業者で報

告されている(附属書B参照)。 

注記3 式(C.1)の関係は,群内のどのような個人であっても白指(振動起因白指)発生の危険性を予

測するものではない。 

注記4 図C.1及び表C.1は,職業的な暴露者群内の手腕系振動の健康被害を低減するために策定す

る暴露基準を規定するために用いることができる。表C.1及び図C.1の値は,職業で工具振

動の大きさが30 m/s2までで,25年まで暴露された労働者群の調査から導き出された。ほと

んどすべての調査は,ほぼ毎日,振動が手に影響を及ぼす1種類の工具又は工程を扱う仕事

に関係していた。加速度値は,優先単軸周波数補正加速度成分を報告した調査から導き出し

た。 

注記5 表C.1及び図C.1にある値からの偏差は,最大の単軸成分が本体の4.5に示す標準的な値か

ら著しく逸脱する工具又は工程に対して生じる。表C.1及び図C.1にある値からの偏差はま

た,仕事に関係する及び/又は環境上の要因が,同じ職業に普通に起こる要因から著しく逸

脱する職業群に対して生じる。 

特定の群平均合計暴露時間(年)に対して,日振動暴露量A(8)が,10 %の白指発症率を生じるのに必

要な量を超える場合は,より大きな白指発症率が予想される。 

表C.1−Dyで表す年数にわたる被暴露者が10 %の白指症状を生じるであろう日振動暴露量A(8)の値 

Dy,年 

 1 

 2 

A(8),m/s2 

26 

14 

3.7 

background image

17 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図C.1−被暴露者群中で振動起因白指発症率が10 %と予想される振動暴露 

20 

30 

A(8)値 m/s2 

D

y

10 

20 

10 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

18 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

作業状況の中で手腕系振動への人体暴露の結果に 

影響を与える可能性の高い要因 

序文 

この附属書は,本体及び附属書Aを補足するものであって,規定の一部ではない。 

この規格に規定する振動暴露評価の方法は,振動の強さ,周波数の内容,一労働日における振動暴露時

間及び現在までの暴露蓄積を考慮している。作業条件における手腕系振動の人体への影響については,次

のものがあげられる。 

a) 手に伝わる振動の方向 

b) 作業方法及び作業者の技量 

c) 個々の年齢又は体質若しくは健康状態の因子 

d) 一時的な暴露形態及び作業方法。例えば,労働及び休息時間の長さ並びに頻度,休憩中工具をわきに

置いている又はアイドリング運転で保持している,など。 

e) 把持力及び押付け力2)のような,手から工具又はワークピースを通り皮膚に圧力を働かせる結合力 

f) 

手及び腕の姿勢,並びに暴露中の体の姿勢[腕,ひじ(肘)及び肩の関節の角度など] 

g) 振動機械,手工具及び装着アクセサリ又はワークピースの形式 

h) 振動に暴露される手の部分の範囲及び位置 

次の要因は,明確に手腕系振動に起因する血流変化に作用する。 

i) 

手又は体の温度に影響を及ぼす気候条件又は他の要因 

j) 

血流に影響を及ぼす病気 

k) ニコチン,特定の医薬品又は作業環境にある薬物のような,末しょう(梢)血流に影響を及ぼす物質 

l) 

騒音 

振動障害の誘発について記載したすべての要因の重要性は,十分細部まで知られていない。この規格で

は幾つかの要因の報告方法を標準化していないが,すべての要因の報告は,有意義な暴露経歴の収集を可

能にするために必要であると考える(附属書F参照)。 

注2) 把持力及び押付け力についての国際規格は,ISOで審議中である。 

19 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E 

(参考) 

労働安全衛生のために責任者がとるべき予防措置 

序文 

この附属書は,本体及び附属書Aを補足するものであって,規定の一部ではない。 

E.1 

定常的手腕系振動暴露に用いられる医学的予防措置 

次の措置をとることが望ましい。 

a) 雇用に先んじて,振動機器などを使用し,手を振動に暴露しなければならない労働者に対しては, 

− 健康状態を調べる, 

− 振動暴露既往歴を記録する。 

b) 振動機器を使用する全員に,手腕系振動暴露のリスクを勧告することが望ましい。 

c) 次の症状をもつ人は,より大きなリスクがあるために,振動機器を使用する前に注意深く判断するこ

とが望ましい。 

− 一次レイノー症 

− 手への血流障害に起因する疾病 

− 血流異常又は骨及び関節の変形を起こす過去の手の疾病 

− 二次レイノー症候群の他の原因 

− 末しょう(梢)神経系の疾患 

− 筋骨格系の疾患 

d) これらのリスクについて,定期的な症状の報告及び健康診断を行うための取決めを規定することが望

ましい。 

幾つかの国では,若者(18才未満)には振動工具を使わせないことを推奨している。 

注記 医学用語の説明を,B.6に示す。 

E.2 

手の振動暴露の影響を低減することを目的とする技術的予防措置 

次の措置をとることが望ましい。 

a) 異なる方法を選択できるときは,最小の振動暴露となる方法を用いることが望ましい。 

b) 異なる工具を選択できるときは,最小の振動暴露となる工具(アクセサリとともに)を用いることが

望ましい。 

c) 設備機器は,製造業者の取扱説明書によって注意深く保守点検することが望ましい。 

d) 工具は,作業者の手の上に冷たい気体又は流体が放出するのを防ぐものが望ましい。 

e) 可能であれば,低温状態で仕事をするときは振動機器のハンドルを暖めることが望ましい。 

f) 

皮膚との接触部分に高い圧力がかかるハンドル形状は,避けることが望ましい。 

g) 選択できれば,工具は最小の接触圧(把持力及び押付け力)のものを選ぶことが望ましい。 

h) 工具質量は,振動の強さ又は接触力のような他の要因が増加しない限り,最小に保つことが望ましい。 

JIS T 81143)に規定する防振手袋は,この規格に定義するような振動暴露を減少することが明らかであれ

ば有益である(しかし,防振手袋がどのような時にも手腕系振動に対する防御に十分な効果があるとは限

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B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

らない。)。 

注3) 対応国際規格:ISO 10819:1996,Mechanical vibration and shock−Hand-arm vibration−Method for 

the measurement and evaluation of the vibration transmissibility of gloves at the palm of the hand 

(MOD) 

E.3 

振動の影響を低減することを目的とする管理面からの予防措置 

次の措置をとることが望ましい。 

a) 労働者に,設備機器の適切な使用方法を教えるための適切な教育を行うことが望ましい。 

b) 振動障害は,長い時間にわたる継続する振動暴露を避ければ,低減することが推測される。したがっ

て,作業工程は,振動に暴露されない期間を含むように段取りをすることが望ましい。 

c) 労働者を,暖かく保つ措置をとることが望ましい。 

E.4 

手を振動させる工具を使用する人への助言 

次の助言をする。 

a) 仕事をするときには,工具をできる限り軽く握る。これは,安全な作業方法及び工具操作と一致する。

工具は,できる限りワークピース又は支えの上に置いておくことが望ましい。 

注記 ある状況で,把持力及び押付け力を増やすと加速度測定値が減少することがあるが,これ

は有益ではない。 

b) 異常振動が発生したら,作業監督者に連絡する。 

c) 特に労働中,移動中又は振動機器を使っているときは,暖かく乾いた状態を保つために,ふさわしい

衣類及び適した手袋を着用する。 

d) 喫煙は,振動機器で仕事をする前及び仕事中は避けるか又は最小限にする。ニコチンが手及び指への

血の供給量を減らすからである。 

e) 指に白指又は青指が起きる,若しくは長期間指がびりびり感及び/又はしびれ感をもつことがあれば,

医者の助言を求める。 

E.5 

追加情報 

追加情報は,CR 1030-1[6]及びCR 1030-2[7]に記載されている。 

注記 CRは,CEN(European Committee for Standardization:欧州標準化委員会)が発行するCEN Report

である。 

CR 1030-1:1995 手腕系振動−振動の危険低減のための指針−第1部:機器の設計による技術

的方法 

CR 1030-2:1995 手腕系振動−振動の危険低減のための指針−第2部:作業場における管理指

標 

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B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書F 

(参考) 

追加情報の報告のための指針 

序文 

この附属書は,本体及び附属書Aを補足するものであって,規定の一部ではない。 

F.1 

序論 

手腕系振動への暴露の激しさを表現するのに用いる重要な量は,この規格に規定するahv及びA(8)であ

る。しかし,健康障害を引き起こす振動の特性について,すべてが理解されているわけではない。理解が

深まるにつれ,周波数補正,周波数帯域,時間依存性及び多軸振動へのアプローチのような評価方法の幾

つかの見解を修正する可能性が考えられる。また,手腕系振動への人体暴露の異なる影響に対する異なる

解析方法を特定することも必要であろう。 

この規格の規定によって得る振動測定の将来の値を最小とするために,また,手腕系振動の影響の知識

を進めるために,振動への暴露の測定及び評価を行うときは,追加の情報を報告することを推奨する。こ

の附属書は,有益な追加データの報告のための指針を示す。 

F.2 

振動源及び工具操作 

振動工具の形式,製造年,質量,大きさ及び状態の明確な記述を行うことが望ましい。振動工具の振動

特性は,大きく変化するものである。したがって,振動状態の範囲を,異なるワークピース及び材料,作

業条件並びに工具の使用方法及び振動暴露時間の形態(中断を含む。)と関連させて報告することが重要な

のである。 

振動している工具又はワークピース表面の,作業者の手の位置及び方向を報告することが望ましい。特

に手及び腕に注目して,作業者の姿勢について説明することが望ましい。 

手及び把持区域の間の接触力は,手に伝達される振動エネルギーに影響する可能性があるが,その影響

は十分には理解されていない。将来の振動規格がこれらの力を決定することを求めることは可能である。

可能であれば,接触力を測定又は推定することが望ましい4)。 

注4) 把持力及び押付け力の国際規格は,ISOで審議中である。 

騒音,温度,作業場の化学薬剤などのような環境要因は,可能であれば報告することが望ましい。 

F.3 

測定器 

この規格は,測定又は記録システムがJIS B 7761-1の規定に適合することを要求している。この規格の

要求が測定又は記録システムの性能を超える(例えば,周波数帯域がより大きい。)場合は,測定器のすべ

ての詳細を示すことが望ましい。 

工具又はワークピース上のトランスデューサの位置及び方位並びに固定方法は,すべて記載することが

望ましい。トランスデューサ及び固定装置の合計質量を,提示することが望ましい。 

加速度ピックアップの固定の方法は,測定器の周波数応答に大きく影響する。どのような共振周波数も,

測定周波数帯域の上限より確実に,十分高いことが重要である。 

22 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

F.4 

振動軸 

この規格は,振動をx,y及びz軸ごとに独立して測定及び報告することを要求している。測定するすべ

ての3軸のデータ(可能であれば周波数補正実効強さ,周波数範囲及び時刻歴を含む。)を報告することが

望ましい。 

注記 全軸のデータを報告することは,次の理由によって勧める価値がある, 

a) 幾つかの,現在推奨する評価方法は,振動合成値に基づく。一方他に,最大単軸測定値

を用いる方法もある。 

b) 健康に対する振動方向の影響は,まだ十分に理解されていない。 

F.5 

振動時刻歴 

加速度時刻歴は,記録し保有しておくことが望ましい。記録した振動時刻歴は,周波数帯域制限及び帯

域制限フィルタ特性を報告しない場合は,あまり役立たない。 

注記 時刻歴の保存は,次の理由によって望まれる。 

a) 測定の人為的な影響を見分ける手段を与える(例えば,DCシフト,オーバーロードな

ど。)。 

b) 同じデータを用いて異なる方法の周波数分析が行えるかもしれない。 

c) 衝撃振動(例えば,打撃工具で生じる。)に対しては,異なる種類の解析が適切かもしれ

ない。例えば,ピーク又はクレストファクタ分析が有効かも知れないが,そのような代

替解析は,まだ認められていない。 

F.6 

周波数分析 

周波数補正した強さに加えて,測定システムの周波数範囲すべてにわたる(非補正)1/3オクターブバ

ンド実効加速度強さを,報告することが望ましい。 

加えて,定帯域幅スペクトル(例えば,パワースペクトル密度)が,周波数内容及び測定の人為的な影

響の発見に対するデータ検査のための,有益な視覚的方法を提供することができる(パワースペクトルを

報告するとき,周波数分解能を併せて報告することが重要である。)。 

注記 周波数分析は,次の理由によって行うことが望ましい。 

a) 1/3オクターブバンドデータ及び代替周波数補正を用いるその後の再解析は簡単である

(これは,振動時刻歴を保存しないときに,特に有用である。)。 

b) スペクトル情報(特に定帯域幅解析)は,オーバーロード又は(低周波数において明ら

かな)DCシフト及び(高周波数において明らかな)トランスデューサ固定の問題など

の人為的な影響を発見するのに有用となり得る。 

c) 狭帯域周波数分析は,振動を引き起こすメカニズムの識別を手助けでき,技術者に問題

周波数における振動低減の手段を与えることができる。 

F.7 

周波数帯域 

周波数補正Whは,指定周波数帯域内だけで定義するものであるが,時刻歴及び/又は周波数分析を報

告する場合は,測定周波数帯域は実行可能な限り広くすることを推奨する。しかし,約1 000 Hzから上の

周波数ではトランスデューサ固定応答が困難であるために,どのような高周波数データの有効性をも正当

であることを,証明することが望ましい。 

23 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 広い周波数帯域のデータの報告が望まれる。特に衝撃振動に対しては,1 250 Hz以上の周波数

が,この規格に提案するものよりもより重要であるかもしれないとの指摘もある。 

F.8 

疫学上の情報 

振動の(血管,神経及び筋骨格への影響を含む。)健康への影響の知識は(この規格によって導き出し,

この附属書の内容を考慮した。),振動暴露と結果としての健康影響との,両方の研究の報告を継続するこ

とで発展していくであろう。 

疫学的データの報告の指針は,この附属書の適用範囲を超えている。 

参考文献 

[1] ISO 5348,Mechanical vibration and shock−Mechanical mounting of accelerometers. 

[2] JIS Z 8131 機械振動及び衝撃−人体暴露−用語 

注記 対応国際規格:ISO 5805,Mechanical vibration and shock−Human exposure−Vocabulary (MOD) 

[3] JIS B 7762(全14部) 手持ち可搬形動力工具−ハンドルにおける振動測定方法 

24 

B 7761-3:2007 (ISO 5349-1:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 対応国際規格:ISO 8662(all parts),Hand-held portable power tools−Measurement of vibrations 

at the handle (IDT) 

[4] ISO 8727,Mechanical vibration and shock−Human exposure−Biodynamic coordinate systems. 

[5] JIS T 8114 防振手袋 

注記 対応国際規格:ISO 10819:1996,Mechanical vibration and shock−Hand-arm vibration−Method 

for the measurement and evaluation of the vibration transmissibility of gloves at the palm of the hand 

(MOD) 

[6] CR 1030-1,Hand-arm vibration−Guidelines for vibration hazards reduction−Part 1: Engineering methods by 

design of machinery. 

[7] CR 1030-2,Hand-arm vibration−Guidelines for vibration hazards reduction−Part 2: Management measures at 

the workplace. 

[8] CR 12349,Mechanical vibration−Guide to the health effects of vibration on the human body. 

[9] BOVENZI. M. Medical aspects of the hand-arm vibration syndrome. International Journal of Industrial 

Ergonomics, 6, 1990, pp.61-73. 

[10] BRAMMER, A.J. Dose-response relationships for hand-transmitted vibration. Scandinavian Journal of Work 

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[11] CERIST, E. et al. Vibration at work (ISSA brochure). International Section Research of ISSA, Institute national 

de recherche et de sécurité (INRS), Paris, 1989. 

[12] DUPUIS, H., CHRIST, E., SANDOVER, J., TAYLOR, W. and OKADA, A. (eds.). Proceeding of the 6th 

international Conference on Hand-Arm Vibration, Bonn, 1992. HVBG, Sankt Augustin, Germany, 1993 

[13] GRIFFIN, M.J. Handbook of human vibration. Academic Press, London, 1990. 

[14] GRIFFIN, M.J. Measurement, evaluation and assessment of occupational exposure to hand-transmitted 

vibration. Occupational and Environmental Medicine, 54(2), pp.73-89. 

[15] Health and Safety Executive HS(G)88: Hand-Arm Vibration. HSE Books, Sudbury, Suffolk, United Kingdom, 

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[16] NELSON, C.M. Hand-transmitted vibration assessment−A comparison of results using single-axis and triaxial 

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University of Southampton, Southampton, United Kingdom, 1997. 

[17] OKADA, A., TAYLOR, W. and DUPUIS, H. (eds.). Proceedings of the 5th International Conference on 

Hand-Arm Vibration, Kanazawa, Japan, 1989. Published 1990. 

[18] PELMEAR, P.L., TAYLOR, W. and WASSERMAN, D.E. (eds.). Hand-arm vibration−A comprehensive guide 

for occupational health professionals. Van Nostrand Reinhold, New York, 1992. 

[19] Stockholm Workshop 86: Symptomatology and diagnostic methods in the hand-arm vibration syndrome. 

Scandinavian Journal of Work, Environment and Health, 4 (special issue), 1987, pp.271-388. 

[20] Stockholm Workshop 94: Hand-arm vibration syndrome−Diagnostic and quantitative relationships to exposure, 

1994. Arbete och Hälsa, 5, 1995. 

[21] 7th International Conference on Hand-Arm Vibration, Prague, 1995. Central European Journal of Public Health, 

3, Supplement, 1995, and 4, 1996. 

[22] ISO 5349:1986,Mechanical vibration−Guidelines for the measurement and assessment of human exposure to 

hand-transmitted vibration