B 7753:2007
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本試験機工業会
(JTM)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があ
り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS B 7753:1993は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS B 7753には,次に示す附属書がある。
附属書(規定)放射照度及び放射露光量の測定方法
B 7753:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 種類 ······························································································································ 2
5. 性能 ······························································································································ 2
5.1 光照射 ························································································································· 2
5.2 温度及び湿度 ················································································································ 3
5.3 試験片表面への噴霧 ······································································································· 3
5.4 デューサイクル試験 ······································································································· 3
6. 構造,寸法及び材料 ········································································································· 4
6.1 構成 ···························································································································· 4
6.2 試験槽 ························································································································· 4
6.3 発光部 ························································································································· 4
6.4 アーク安定装置 ············································································································· 4
6.5 温度調節装置 ················································································································ 4
6.6 湿度調節装置 ················································································································ 5
6.7 試験片保持装置 ············································································································· 5
6.8 試験片表面への噴霧装置 ································································································· 6
6.9 冷却装置 ······················································································································ 6
6.10 デューサイクル試験装置 ································································································ 6
6.11 計測機器 ····················································································································· 6
7. 試験機の絶縁抵抗 ············································································································ 7
8. 安全装置 ························································································································ 7
9. 表示 ······························································································································ 7
10. 取扱い上の注意事項 ······································································································· 7
10.1 設置条件 ····················································································································· 7
10.2 運転操作 ····················································································································· 8
10.3 ブラックパネル温度計の取扱い ······················································································· 9
附属書(規定)放射照度及び放射露光量の測定方法 ··································································· 24
1
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日本工業規格 JIS
B 7753:2007
サンシャインカーボンアーク灯式の
耐光性試験機及び耐候性試験機
Light-exposure and light-and-water-exposure apparatus
(Open-flame carbon-arc type)
1. 適用範囲 この規格は,各種工業材料及び工業製品の耐光性(1)並びに耐候性(2)を試験するために用い
るサンシャインカーボンアーク(3)灯式の耐光性試験機及び耐候性試験機(以下,試験機という。)について
規定する。
注(1) 光の照射を受けて生じる物質の物理的・化学的変化に耐える性質。
(2) 光だけでなく,熱,温度,湿度,風雨などの影響によって生じる,物質の物理的・化学的変化
に耐える性質。
(3) オープンフレームカーボンアークともいう。
備考 耐光性試験機とは,短時間に耐光性の一部の性質を調べるために,太陽光に近似した人工光源
の照射を行うことができる試験装置をいう。
また,耐候性試験機とは,短時間に耐候性の一部の性質を調べるために,太陽光に近似した
人工光源の照射を行い,断続した水の噴射を行うことができる試験装置又は太陽光に近似した
人工光源の照射と消灯による暗黒とを繰り返し,暗黒時に試験片の裏面に冷水の噴霧を行うこ
とができる試験装置をいう。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS C 1102-2 直動式指示電気計器 第2部:電流計及び電圧計に対する要求事項
JIS G 3442 水配管用亜鉛めっき鋼管
JIS G 3459 配管用ステンレス鋼管
JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS G 5501 ねずみ鋳鉄品
JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS K 6742 水道用硬質塩化ビニル管
JIS K 6762 水道用ポリエチレン二層管
JIS K 7363 プラスチック−耐候性試験における放射露光量の機器測定−通則及び基本的測定方法
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
2
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a) ブラックパネル温度 ラックに取り付けたブラックパネル温度計が指示する温度で,試験片の表面温
度を代表する温度。
b) デューサイクル試験 サンシャインカーボンアーク灯の点灯・消灯を一定周期で繰り返し,消灯によ
る暗黒の状態で試験片裏面に冷水を噴霧して,試験片表面に結露させるようにした試験方法。
4. 種類 試験機の種類は,試験片表面への噴霧装置が装備されていないもの及び装備されているもの,
並びにデューサイクル試験装置が装備されているものによって区別し,次の3種類とする。
a) サンシャインカーボンアーク灯式耐光性試験機(以下,SF形という。)
b) サンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(以下,SW形という。)
c) デューサイクルサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(以下,DW形という。)
5. 性能
5.1
光照射 試験機の光照射は,次による。
a) 発光部の分光特性 サンシャインカーボンアーク灯は,表1に示す条件によって,少なくとも250〜
3 000 nmの波長範囲にわたって連続スペクトルをもち,ガラス製フィルタとの組合せによって種々の
立ち上がりをもった光を放射しなければならない。その例を参考付図1に示す。
表 1 発光部の条件
項目
内容
発光部の形式
開放式
灯数
1
アーク電圧・電流
交流電圧 許容範囲 48〜52 V
中心値 (50±1)V
交流電流 許容範囲 58〜 62 A
中心値 (60±1.2)A
ただし,一定入力電圧のときとする。
ガラス製フィルタは,透明で,表2に示すA,B及びCの3種類とする。
表 2 ガラス製フィルタの仕様
種類
A
B
C
形状・寸法
パネル形,縦302.5 ±2.0 mm,横164 ±1.5 mm,厚さ2.4 ±0.2 mm
使用前の分光透過率 255 nm:1 %以下
275 nm:2 %以下
295 nm:1 %以下
(常温の場合)
302 nm:71〜86 %
320 nm:65〜80 %
320 nm:40 %以上
360 nm以上:91 %以上
400〜700 nm:90 %以上
400〜700 nm:90 %以上
膨張率
約5×10−6K−1
約3×10−6K−1
約10×10−6K−1
全使用時間限度
2 000 時間
b) 試験片面の放射照度(4) 少なくとも300〜700 nmの波長範囲における分光放射照度を図示し,表3に
示す300〜400 nm又は300〜700 nmの波長における放射照度をもっていなければならない。
注(4) 放射照度の表示は,出荷時の検査成績書などに記載する。
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表 3 放射照度の区分(300〜700 nmの場合)
放射照度,W/m2,(波長範囲300〜700 nm)
変動許容
フィルタ種類
A
B
C
なし
範囲 (5)
備考
区分
通常形
255
245
240
285
±10 %
参考付図4 a),b)又はc)による場合
高照度形
425
410
405
475
±10 %
参考付図4 d)による場合
注(5) 表1の条件のときとする。
なお,受渡当事者間の協定によって,ほかの波長における放射照度を表示してもよい。
また,測定方法は,附属書による。
5.2
温度及び湿度
5.2.1
一般 試験槽内部の温度及び湿度は,サンシャインカーボンアーク灯の点灯時におけるブラックパ
ネル温度計に指示する温度及び相対湿度で示す。
5.2.2
温度 温度は,次による。
a) 設定可能範囲 50〜70 ℃又は50〜93 ℃。
受渡当事者間の協定によって他の範囲,例えば50 ℃以下,又は93 ℃以上に代えてもよい。
b) 変動許容範囲 設定値 63 ℃において±3 ℃。ただし,周囲温度が JIS Z 8703に規定する標準温度状
態 23 ℃ 5級(23±5 ℃)のときとする。
5.2.3
湿度 試験槽空気出口における相対湿度(50±5)%。ただし,周囲湿度がJIS Z 8703に規定する
標準湿度状態 65 % 10級[(65±10)%]で,ブラックパネル温度が 63±3 ℃のときとする。
5.3
試験片表面への噴霧 試験片表面への噴霧は,次による。
a) 照射及び噴霧の方法 少なくとも次の3種類が設定できなければならない。
1) 120分サイクル:102分間の照射,続いて18分間の照射及び噴霧(6)。
2) 60分サイクル:48分間の照射,続いて12分間の照射及び噴霧(6)。
3) 噴霧なし:照射だけを行う。
注(6) 照射及び噴霧で開始して照射で終了するサイクルもできることが望ましい。
b) 噴霧水量設定可能範囲及び許容範囲 噴霧圧力 0.1 MPaに対してノズル1個当たり0.53±0.10 L・min
−1又は0.08±0.01 L・min−1の噴霧水量のいずれかとする。ただし,受渡当事者間の協定によってこれ
を変えてもよい。
5.4
デューサイクル試験 DW形は,デューサイクル試験を実施できるよう,次の条件を満たす設定が
できなければならない。
a) 照射及び消灯による暗黒の周期 少なくとも60分/60分の周期が設定できなければならない。
b) 試験片冷却 冷却水は,冷水供給口において7±2 ℃とし,試験片を十分冷却できる水量とする。
備考 一例としてノズル2個の場合,合計噴霧水量が,約0.16 L・min−1のものがある。
c) 温度及び湿度 温度及び湿度は,照射時において,ブラックパネル温度63±3 ℃,相対湿度(50±5)%
に,また,暗黒時においては,試験槽内の温度が32±3 ℃,相対湿度95 %以上に調節できなければ
ならない。ただし,周囲温度及び湿度がJIS Z 8703に規定する標準状態23 ℃ 5級(23±5 ℃),標
準湿度状態65 % 10級[(65±10)%]のときとする。
なお,暗黒から照射に移行したとき,規定の温度及び湿度に安定するまでの時間は,10分以内とし,
また,照射から暗黒に移行したとき,規定の温度及び湿度に安定するまでの時間は20分以内とする。
d) ガラス製フィルタ デューサイクル試験では,ガラス製フィルタを用いる場合と用いない場合とがあ
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る。
6. 構造,寸法及び材料
6.1
構成 試験機は,試験槽と試験槽内中央に取り付けた発光部,アーク安定装置,試験片保持装置,
試験片表面への噴霧装置,冷却装置,温度調節装置,湿度調節装置(7),デューサイクル試験装置(8),計測
機器などから構成する。試験機の例を参考付図2に示す。
注(7) 湿度調節装置を備えた試験機の場合に適用する。
(8) DW形に適用する。
6.2
試験槽 試験槽は,次による。
a) 構造 試験槽は,試験片に光の照射及び水の噴霧を行うための室で,発光部,噴霧ノズル,ラックな
どを組み込み,温度又は温度・湿度を調節できる構造でなければならない。
b) 材料 試験槽内壁の材料は,JIS G 4305に規定するSUS 304若しくはこれと同等以上の耐食性をもつ
もの,又は耐食処理を施したものでなければならない。
6.3
発光部 発光部は,交流点灯のサンシャインカーボンアーク灯で,カーボン,カーボンホルダ,ガ
ラス製フィルタ,アーク調節装置,排気装置などからなる。概要を参考付図3に示す。
a) カーボン カーボンは,しん(芯)材にセリウム化合物を含有し,表面に銅などの金属被覆を施した
もので,上部及び下部に1対又は複数対にして用い,常に上下の一対が放電できなければならない。
b) カーボンホルダ カーボンホルダは,上部カーボン用及び下部カーボン用があり,それぞれ上下対の
カーボンを正しい位置に保持できるもので,JIS G 5501に規定するFC 150又はこれと同等以上の耐熱
性及び耐食性が優れた金属材料を用い,熱変形を生じない構造でなければならない。
c) ガラス製フィルタ ガラス製フィルタは,カーボンアークの不必要な光を遮断する目的,及びその周
囲を囲む目的をもつもので,耐熱性のものでなければならない(表2参照)。
d) アーク調節装置 アーク調節装置は,まず,アークを発生させ,その電流・電圧などの変化に応じて,
電流リレー若しくは電圧リレー又はサーボアンプが作動し,カーボンの上下移動駆動装置によって上
下カーボンの位置を自動的に調節し,アークからの熱及び灰分の影響に対して十分に耐えるものでな
ければならない。
e) 排気装置 排気装置は,発光部上方に排気口を設け,これに排気ダクトなど適切な装置を接続したも
ので,アークによる熱気,発生ガスなどを十分に排出できる構造で,耐熱性及び耐食性が優れた材料
を用いなければならない。
f)
その他の部分の材料 使用される部分に従って,耐熱性,耐食性,耐湿性又は電気絶縁性が優れた材
料を用い,熱変形を生じない構造でなければならない。
6.4
アーク安定装置 アーク安定装置は,磁気漏れ変圧器,安定器などからなり,アーク電流を60±2 A,
アーク電圧を50±2 Vに制限して,放電を安定させるものでなければならない。
なお,交流200±20 Vの電源電圧範囲に調整できるものでなければならない。
6.5
温度調節装置 温度調節装置は,次による。
a) 構造 温度調節装置は,ブラックパネル温度を一定にするため,試験槽内の空気温度,ブラックパネ
ル温度などを検知して,循環風路中に設けられた空気調節弁を,温度調節器の信号によって自動的に
切り換え,試験槽内の空気を循環させる作用,及び外気を吸入し熱気を排出させる作用を行い,試験
槽内の空気温度を調節するものとする。
なお,外気の取入れ口には,必要に応じて防じん用のエアフィルタを設ける。
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b) ブラックパネル温度計 ブラックパネル温度計は,次による。
1) ブラックパネル温度計は,バイメタル,白金抵抗体,サーミスタ,熱電対などの感熱体を金属板の
中心に一致させて取り付け,感熱体保護管を密着して固定した構造のものとする。
2) 金属板は,JIS G 4305に規定するSUS 304を用い,感熱体保護管はJIS G 3459に規定するSUS 304
TPを用いて,焼付形耐候性黒色エナメルの塗装仕上げを行わなければならない。
3) 温度表示部は,ダイヤル式,ディジタル式などがある。目幅は,1 ℃のものとする。
4) ブラックパネル温度計は,これを取付けできるように加工したホルダに取り付け,ラックに試験片
と並べて取り付ける。
5) ブラックパネル温度計の構造の例及び寸法は,付図1による。
6) ブラックパネル温度計の黒板の分光反射率は,JIS Z 8722に規定する照明及び受光の幾何学的条件
dによって測定したとき,波長範囲380〜780 nmで10 %以下(正反射光も含む。)とし,5 %以下
であることが望ましい。
備考 ブラックパネル温度計のほかに白金抵抗体,サーミスタなどの感熱体を金属板の裏面(照射面
の反対側)の中心に一致させて取り付け,金属面にPVDF(充てん材を含まないポリふっ化ビ
ニリンデン)を密着して固定した構造のブラックスタンダード温度計がある。ただし,感熱体
とPVDFとの間に約1 mmの間げきを設ける。ブラックスタンダード温度計の構造の例及び寸
法は,付図2による。
c) 温度調節器 温度調節器は,送風機構と組み合わせて用いる。検出方式によって次のものがあり,い
ずれかを用いる。
1) 空気温度調節器 液体膨張式,電気式などがあって,感熱部は試験槽空気の出口付近で発光部から
の直射光を避けて取り付けるのが望ましい。
2) ブラックパネル形温度調節器 ブラックパネル温度を検知して試験槽内空気温度を調節するもので,
金属板の中心に感熱体の中心を一致させて取り付け,感熱体保護管を密着して固定した構造のもの
とする。感熱部の構造の例及び寸法は,付図3による。
備考 ブラックパネル温度の代わりに,ブラックスタンダード温度を検知する方式がある。
6.6
湿度調節装置 湿度調節装置は,試験槽内の湿度を調節するものであって,温度調節器又は湿度調
節器によって電気加湿器又はその他の湿度発生器を制御して,湿度を調節するものでなければならない。
湿度の測定個所は,試験槽空気の出口付近で光源からの直射光を避けた位置とする。
6.7
試験片保持装置 試験片保持装置は,試験片ホルダを取り付けるラック,ラック回転機構及び試験
片ホルダからなり,次による。
なお,主要部の構造を,参考付図4に示す。
a) ラック ラックは,試験片が光の照射及び水の噴霧を均等に受けるために,光源の周囲を回転できる
ものでなければならない。回転速度は約1 min−1とする。
材料は,耐食性に優れるものを用いなければならない。
b) ラック回転機構 ラック回転機構は,電動機及び減速機によって駆動する。これには,停止時におい
て手動によってラック回転させることができ,また,運転時において手でラックの回転を停止させる
ことができるスリップ機構を備えていなければならない。
c) 試験片ホルダ 試験片ホルダは,試験片を固定し,かつ,ラックに取付けできる構造でなければなら
ない。
材料は,JIS G 4305に規定するSUS 304又はJIS H 4000に規定するA 1100 Pに耐食処理を施したも
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のでなければならない。例を参考付図5及び参考付図6に示す。
6.8
試験片表面への噴霧装置 試験片表面への噴霧装置は,試験片に一定周期で一定時間水を均等に噴
霧する装置で,次による。噴霧ノズルと試験片との相対位置の概略を,参考付図4に示す。
a) サイクルメータ サイクルメータは,所定の時間ごとに電磁弁を開閉することができなければならな
い。時間設定精度は±0.5分とする。
b) 減圧弁 減圧弁は,供給された水圧を所定の圧力に減圧できなければならない。
c) 水圧計 水圧計は,噴霧圧を示すものとする。
d) 電磁弁 電磁弁は,サイクルメータの信号によって噴霧用の水路を開閉できなければならない。
e) 噴霧ノズル 噴霧ノズルは,円すい状に均等,かつ,連続して試験片に噴霧でき,耐食性が優れた材
料を用いなければならない。例を,参考付図5及び参考付図6に示す。
f)
給水経路の配管 噴霧装置の給水経路に使用する配管材料は,給水中に試験結果に有害な影響を与え
るような成分,さびなどを出さない材料でなければならない。一般にJIS G 3459,JIS K 6742に規定
する管又はプラスチックなどの管を用いることが望ましい。
6.9
冷却装置 冷却装置は,次による。
a) 構造 冷却装置の構造は,光源から出る放射熱によって試験片又は試験槽内壁の温度が上昇し,試験
片への影響を与えることを防ぐためのもので,必要に応じて試験片の裏面又は試験槽内壁面に向けて
2個以上のノズルで水を噴霧することができるものでなければならない。ただし,噴霧水が試験片に
悪影響を及ぼさない構造でなければならない。
b) 材料 材料は,耐食性が優れた材料を用いなければならない。
6.10 デューサイクル試験装置 デューサイクル試験装置は,サンシャインカーボンアーク灯の点灯・消
灯を制御し,暗黒時試験片裏面に冷水を噴霧する装置で,次による。試験片保持装置,発光部及び冷水噴
霧ノズルの相対位置(9)を,参考付図7に示す。
a) デューサイクル試験用タイムスイッチ 自動的に,サンシャインカーボンアーク灯を繰り返し点滅で
きるもので,少なくとも30分単位で設定できなければならない。
b) 冷水噴霧ノズル 冷水噴霧ノズルは,冷水を円すい状に均等,かつ,連続して噴霧でき,耐食性が優
れた材料を用いなければならない。一例を,参考付図8に示す。
c) 冷水供給装置 冷水供給装置は,5.4 b)(試験片冷却)に規定の冷水が供給できるものとする。
注(9) ガラス板に張り付けたフィルム試験片などを試験する場合に,暗黒時,ガラス面側(フィルム
を張り付けた面と反対側の面)に冷水を噴射する装置を設けてもよい。この場合,参考付図7
の冷水噴霧ノズルは,ラックの内側から試験片に水を噴射する配置になる。
6.11 計測機器 計測機器は,次による。
a) 積算時間計 積算時間計は,運転時間を積算表示できるもので,少なくとも9 999.9時間以上の表示が
できなければならない。
b) タイムスイッチ タイムスイッチは,所定の運転時間を任意に設定できるもので,目幅は,0.1時間以
下とする。
c) 放射照度又は放射露光量指示器(10) 放射照度又は放射露光量指示器は,試験片面の放射照度又は放射
露光量を指示できるものとする。
d) 電圧計(11) 電圧計は,スイッチなどによる切換えで,アーク電圧及び入力電圧を指示できるもので,
JIS C 1102-2に規定する2.5級又はこれと性能が同等以上のものとする。目幅は,アーク電圧測定範囲
で2 V以下とする。
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e) 電流計(11) 電流計は,アーク電流を指示できるもので,JIS C 1102-2に規定する2.5級又はこれと性
能が同等以上のものとする。目幅は,アーク電流測定範囲で2 A以下とする。
f)
温度指示又は記録計(10) 温度指示又は記録計は,ブラックパネル温度,試験槽内温度(乾球又は湿球),
試験槽内相対湿度などを指示又は記録できるものとする。
g) 水質計(10) 水質計は,噴霧用の水などの電気伝導率を指示できるものとする。
注(10) 計測機器を備えたものに適用する。
(11) 実効値を示すもの。
7. 試験機の絶縁抵抗 試験機の絶縁抵抗は,1 MΩ以上でなければならない。
8. 安全装置 安全装置は,試験機の操作における安全確保,並びに試験機及び試験片の保全のため,断
水,水圧の異常低下,アーク過電流,試験槽温度過上昇,電動機過電流,又はカーボン電極の過消耗のと
きに電源を遮断し,これらが回復しても自動的に運転を再開しないものでなければならない。
また,必要に応じて停電に対応する安全装置,電気回路の安全装置などを設けることが望ましい。
9. 表示 試験機には,見やすい箇所に次の事項を表示しなければならない。
a) 名称又はその略号(例:サンシャインカーボン耐侯試験機)
b) 製造業者名又はその略称
c) 製造年月日
d) 製造番号
e) 電源電圧(V)
f)
周波数(Hz)
g) 電源容量(A又はkVA)
10. 取扱い上の注意事項
10.1 設置条件 試験機設置場所の電気設備,給排水設備及び環境状態は,表4による。
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表 4 設置条件
項目
内容
電気設備
a) 電源 電圧変動が少ない給電設備とし,その電圧は,AC 200±20 Vとする。ただ
し,受渡当事者間の協定によって特定の電圧を選んでもよい。
b) 容量 試験機に表示された電源容量を満足しなければなない。
c) 接地 試験機は,第3種の接地を行う。
d) 漏電遮断器 必要に応じて設けなければならない。
給排水設備
a) 配管材料及び配管方法 給水管は,試験結果に有害な影響を与えるような成分,さ
びなどを給水中に出さない材料で施工する。一般にJIS K 6742,JIS K 6762又は
JIS G 3442に規定する管を用いることが望ましい。
配水管は,詰まりなどの起こらないように配管の内径,長さ,こう配などに注意
して施工する。
また,試験機の給排水口接続は,水漏れをしないよう確実に行わなければならな
い。
b) 給水圧 0.10〜0.20 MPaで,変動が少ないようにしなければならない。
c) 水質 使用する水のpHは6.0〜8.0とし,用途に応じて,次に規定する水を用いる。
1) 噴霧用の水 試験片に付着物が生じない水で,電気伝導率5 μS・cm−1以下,かつ,
全固形分1 ppm以下であることが望ましい(12)。
2) 試験槽冷却用の水 試験槽内壁などに,さびを生じさせない程度の清浄な水。
3) 加湿器用の水 水あか又はさびを生じさせない水。
d) 水温 10〜20 ℃とするのが望ましい。
e) 排水 試験機から排出される水が,滞留及び逆流しないような適切な排水設備を備
えていなければならない。
環境状態
a) 温度 設置場所の温度は,JIS Z 8703に規定する標準温度状態23 ℃ 5級(23±
5 ℃)とするのが望ましい(13)。
b) 湿度 設置場所の湿度は,JIS Z 8703に規定する標準湿度状態65 % 10級[相対
湿度(65±10)%]とするのが望ましい。
e) 排気設備 試験機から排出する熱気及び発生ガスは,屋外に排出する。
f) その他 ちり及びほこりが少ない場所,並びに外部からの有害ガスの影響がない場
所でなければならない。
注(12) シリカ成分は,試験結果に影響するので取り除くことが望ましい。
(13) 規定した環境条件が得られず,また,規定した温度条件が保てない場合に,試験条件に影響を及ぼ
さないように,吸気の温度調節などの適切な配慮をしなければならない。
10.2 運転操作 運転に伴う注意事項は,表5による。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 5 運転操作
項目
内容
発光部の点検
運転前に各部品及び絶縁物の異常の有無を点検し,異常があれば修理を行わなければな
らない。
ガラス製フィルタの取
扱い
a) ガラス製フィルタは,カーボンを交換するごとに磨き洗いをし,十分に乾燥させて
から使用する。焼付きを防ぐため,手あか(垢),指紋などが付着したまま点灯し
てはならない。
b) ガラス製フィルタは,使用に伴い,主としてその紫外線透過率が低下していくので,
使用時間限度(2 000時間)以上使用してはならない。
また,試験片への放射量を平均化するために,ガラス製フィルタはすべてを同時
に取り替えず,時期をずらして,順次取り換えねばならない (14)。
c) ガラス製フィルタに,破損があってはならない。
カーボンの取扱い
a) カーボンは,乾燥した場所に保管し,割れ,曲がりなどがないものを使用しなけれ
ばならない。
b) カーボンの取付けは,確実に固定する。運転中に緩むことがあってはならない。
c) 上下カーボンホルダに付着した灰分及び発光部底部にたまった灰分,残さなどは,
使用の都度清掃しなければならない。
アーク電圧,アーク電
流の調整
アーク電圧,アーク電流は,アーク点灯後確認し,必要に応じて調整しなければならな
い。12時間以上連続して運転する場合は,2回以上点検することが望ましい。
特に夜間には,入力電圧が上昇する場合が多いので,注意しなければならない。
噴霧圧の調整
水圧が変わったときは,減圧弁を調整しなければならない。特に夜間など特定時間に水
圧変動が起きる場合があるので,注意しなければならない。
試験片の取扱い
試験片取付け位置による差をより少なくするために,適時試験片取付け位置を変えるこ
とが望ましい。
その他
試験機の運転開始時には,特に,発光部,ラック,送風機などの作動状態を確認しなけ
ればならない。
注(14)
一例としてガラス製フィルタ8枚使用の場合では,8枚のうち2枚ずつの使用時間を0,500,1 000,1 500
時間とし,これを500時間使用すると,それぞれ,500,1 000,1 500,2 000時間使用したことになり,
この時点で2 000時間使用したものを取り出し,新品と交換する。以後この操作を繰り返すとよい。
なお,管理のためにガラス製フィルタの端部に油性フェルトペンなどで照合No.を付しておくと便利で
ある。
10.3 ブラックパネル温度計の取扱い ブラックパネル温度計の取扱いは,次による。
10.3.1 バイメタル式の場合
a) ブラックパネル温度計は,測定用及び校正用の2本を用意し,少なくとも6か月に1回以上の頻度で
比較校正して正確さを確認する。
b) ブラックパネル温度計の取付け又は取外すときは,衝撃を加えたり,きずを付けたり,水をかけたり
しないよう注意する。また,測定終了後,直ちに格納する。
c) ブラックパネル温度計の読取りは,ブラックパネル温度計をラックに取り付け,その指示温度が安定
した時点で,ラック1回転ごとに少なくとも連続3回読み取り,平均値を求め,ブラックパネル温度
計の指示温度とする。
なお,SW形では噴霧をしていない状態で,この操作を行う。
10.3.2 電子式の場合 校正用機器を用いて少なくとも6か月に1回以上の頻度で正確さを確認する。
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単位 mm
付図 1 ブラックパネル温度計
(構造は一例を示す。)
付図 2 ブラックスタンダード温度計
(構造は一例を示す。)
単位 mm
付図 3 ブラックパネル形温度調節器の感熱部
(構造は一例を示す。)
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参考付図 1 サンシャインカーボンアーク灯の分光放射照度
[試験片面(発光部中心から480 mm)]
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B
7
7
5
3
:
2
0
0
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a) 放射照度が通常形
参考付図 2 試験機の概要の例
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b) 放射照度が通常形で300時間連続点灯形
参考付図 2 試験機の概要の例(続き)
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c) 高照度形
参考付図 2 試験機の概要の例(続き)
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参考付図 3 発光部の一例
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単位 mm
a) 例1 参考付図5の試験片ホルダ使用の場合
参考付図 4 試験片保持装置,発光部及び噴霧ノズルの相対位置
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単位 mm
b) 例2 参考付図6の傾斜形試験片ホルダ使用の場合
参考付図 4 試験片保持装置,発光部及び噴霧ノズルの相対位置(続き)
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単位 mm
c) 例3 300時間連続点灯形
参考付図 4 試験片保持装置,発光部及び噴霧ノズルの相対位置(続き)
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単位 mm
d) 例4 放射照度が高照度形のもの(カーボンが3対の例)
参考付図 4 試験片保持装置,発光部及び噴霧ノズルの相対位置(続き)
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単位 mm
a) 試験片ホルダ
b) 噴霧ノズル
参考付図 5 試験片ホルダ及び噴霧ノズルの一例
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
a) 試験片ホルダ
b) 噴霧ノズル
参考付図 6 傾斜形試験片ホルダ及び噴霧ノズルの一例
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単位 mm
参考付図 7 試験片保持装置,発光部及び冷水噴霧ノズルの相対位置
(デューサイクル試験の場合)
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単位 mm
参考付図 8 デューサイクル試験装置の冷水噴霧ノズルの一例
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附属書(規定)放射照度及び放射露光量の測定方法
1. 適用範囲 この附属書は,試験機の放射照度及び放射露光量の測定方法について規定する。
2. 概要 発光部からの放射は短時間的には安定しているが,長時間的にはガラス製フィルタなどの劣化
及び汚染によって低下するため,定期的に放射照度を測定する必要がある。最近では,試験時間を放射露
光量で管理する方法も行われている。これらの測定には,次のような方法がある。
a) 放射照度計を用いて,放射照度(W・m−2)又は特定波長における分光放射照度[W・m−2・nm−1]を測
定する。
b) 任意の時間内の放射照度の積分値を測定して,放射露光量(J・m−2)を求める。
c) 分光放射計を用いて分光放射照度[W・m−2・nm−1]を測定するとともに放射照度(W・m−2)を求める。
備考1. ガラス製フィルタを透過するサンシャインカーボンアーク灯の放射のスペクトルは,約250
〜3 000 nmの広範囲にわたっているが,試験機用の測定では,通常その中から紫外部(300
〜400 nm),紫外可視部(300〜700 nm又は300〜800 nm)又は特定波長(340 nm,420 nmな
ど)を選び出して測定する。そのために放射測定器の受光器の前に紫外用フィルタ,紫外可
視用フィルタ又は特定波長用フィルタを取り付けて測定を行う。
2. 特定波長は,試験する材料の光劣化作用波長を考慮して受渡当事者間で協定する。特定波長
として使用するフィルタの透過極大波長を選び,フィルタ透過率の半値幅を測定波長幅とみ
なす。
3. 分光放射照度を求める方法としてJIS K 7363に規定する方法を用いてもよい。ただし,この
方法は,太陽光を測定する場合を主体に規定がなされているので,試験機に用いるには修正
して用いる必要がある。
3. 測定器 放射照度及び放射露光量の測定には,次に示す光電効果及び熱電効果応用の放射測定器又は
分光放射計を用いる。
a) 光電式測定器 光電式測定器は,シリコン光電池などの光電式受光器を用い,発光部からの放射を光
電変換し,その出力を直接表示する放射照度計及び積算表示する放射露光量指示器がある。
放射照度計は,附属書参考図1に示すように受光器の光電流を増幅して測定するもので,1目盛の
値を(W・m−2)又は(W・m−2・nm−1)で付する。
放射露光量は,附属書参考図2に示すように受光器の光電流を増幅した後,パルス変換器によって
パルスに換え,規定時間内のパルス数を計数するもので,1カウント当たりの校正値を J・m−2又はJ・
m−2・nm−1で付する。
測定器には,紫外部(300〜400 nm),紫外可視部(300〜700 nm又は300〜800 nm),特定波長用(340
nm,420 nm)などの波長範囲別があり,それぞれ受光器の前に紫外用,紫外可視用,特定波長用など
のフィルタを取り付けて放射照度又は放射露光量を測定する。
附属書参考図1〜2の入射光補正器は,これらのフィルタ,減光器,拡散器などを意味する。
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附属書参考図 1
附属書参考図 2
b) 熱電式測定器 熱電式測定器は,附属書参考図1〜2に示す光電式受光器の代わりに,熱電式受光器を
用いたものであり,紫外部−可視部−赤外部の全波長(300〜3 000 nm)にわたる放射照度又は放射露
光量を測定する。
c) 分光放射計 分光放射照度を測定し,これから必要な波長の放射照度を求める方法であり,附属書参
考図3〜5に示すように,発光体の分光分布が測定できる分光放射計を使用し,積分球又は拡散板を介
して測定する。
附属書参考図 3
附属書参考図 4
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附属書参考図 5
4. 測定方法
4.1
発光部の放電条件 発光部の放電条件は,本体の表1(発光部の条件)に示すアーク電圧,アーク電
流とする。また,ガラス製フィルタを用いる場合は,本体の表2(ガラス製フィルタの仕様)に示すフィ
ルタごとに測定を行う。
4.2
測定位置 参考付図5の試験片ホルダを使用する試験機では,試験片ホルダの中央部,参考付図6
の傾斜形試験片ホルダを使用する試験機では,試験片ホルダの上側試験片の中央部近辺の位置とする。
なお,この測定位置の放射照度を試験片面の放射照度とする。
4.3
測定時のラックの状態 ラックは,JIS G 4305に規定するステンレス鋼板の表面仕上げがNO.2Bの
もの又はそれと同等の表面仕上げの板を固定した試験片ホルダで満たさなければならない。
4.4
測定 測定は,次による。
a) 光電式測定器の場合 受光器をラックに取り付け,光源の周囲を回転させて測定するか,又は試験に
影響を及ぼさない位置に固定して測定し,放射照度(W・m−2),分光放射照度(W・m−2・nm−1),放射
露光量(J・m−2)を求める。また,放射露光量を測定した場合には,必要に応じて,その値を点灯時
間で徐し,放射照度(W・m−2)を求める。
なお,受光器は放射による熱の影響を受けないような構造とする。
b) 熱電式測定器の場合 測定は,a)に準じる。
c) 分光放射計の場合
1) 分光放射照度標準電球を用いて,受光器の分光感度補正を行う。この補正は,最大の放射照度をも
つ波長の値を,相対値で100 %を超えない値にするため,並びに受光器が波長による感度特性をも
っているため,精密測定した波長ごとの相対値が,標準電球の各波長ごとの分光放射照度値と相対
的に合うようにするためで,例えば附属書参考図6に示す形になる。
なお,分光放射計の波長幅は,受渡当事者間の協定による。
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附属書参考図 6
2) 発光部からの光を入射し,各波長ごとの分光放射照度を測定し,1)で測定した標準電球の相対値と
絶対値との関係から,附属書参考図7のように発光部の測定値を絶対値に値付けして分光放射照度
[W・m−2・nm−1]を求める。
附属書参考図 7
3) 2)で求めた分光放射照度を,附属書参考図8で示すように所定の波長領域で積分し,測定した位置
における放射照度(W・m−2)を計算によって求める。
附属書参考図 8
4) 3)で求めた放射照度の値を4.2の測定位置における放射照度に換算する。
なお,分光放射照度標準電球と1)〜4)の操作を自動的に行う分光放射計とを用いて,直接分光放射照度
を求めてもよい。
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5. 校正値の管理 放射測定器の校正値の経時変化に対する管理は,校正値付測定器及び校正用光源装置
を使用して次の方法で行う。
a) 測定用及び校正用の2台を用意し,校正には二つの受光器を光源に向けて並べて設置し,任意の時間
露光して,その結果の測定を比較する。
b) 校正用光源装置(校正用光源,安定光源及び点灯装置)を用意し,測定受光器と校正用光源装置とを
一定の間隔で設置して受光させ,使用前と使用後との測定値を比較する。
なお,a)及びb)の管理は,適切な頻度で行う。
備考 放射測定器に付けられた校正値は,特定波長用を除きサンシャインカーボンアーク灯の測定に
だけ有効であって,その他の光源への流用はできない。
参考 光源の校正を行う実用的な方法として,JIS K 7200[耐光(候)試験機の照射エネルギー校正
用標準試験片]による方法などがある。
関連規格 JIS A 1415 高分子系建築材料の実験室光源による暴露試験方法
JIS A 5759 建築用窓ガラス用フィルム
JIS B 7751 紫外線カーボンアーク灯式の耐光性試験機及び耐候性試験機
JIS B 7754 キセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機
JIS D 0205 自動車部品の耐候性試験方法
JIS H 8685-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の着色陽極酸化皮膜の促進耐光性試験方法
−第1部:光堅ろう度試験
JIS H 8685-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の着色陽極酸化皮膜の促進耐光性試験方法
−第2部:紫外光堅ろう度試験
JIS K 5600-7-5 塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第5節:耐光性
JIS K 7102 着色プラスチック材料のカーボンアーク燈光に対する色堅ろう度試験方法
JIS K 7200 耐光(候)試験機の照射エネルギー校正用標準試験片
JIS K 7350-1 プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 第1部:通則
JIS K 7350-4 プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 第4部:オープンフレームカ
ーボンアークランプ
JIS Z 8203 国際単位系(SI)及びその使い方