B 7751:2007
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本試験機工業会
(JTM)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があ
り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS B 7751:1990は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS B 7751には,次に示す附属書がある。
附属書(規定)放射照度及び放射露光量の測定方法
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 2
4. 種類 ······························································································································ 2
5. 性能 ······························································································································ 2
5.1 光照射 ························································································································· 2
5.2 温度及び湿度 ················································································································ 3
5.3 試験片表面への噴霧 ······································································································· 3
6. 構造及び材料 ·················································································································· 3
6.1 構成 ···························································································································· 3
6.2 試験槽 ························································································································· 3
6.3 発光部 ························································································································· 4
6.4 アーク安定装置 ············································································································· 4
6.5 温度調節装置 ················································································································ 4
6.6 湿度調節装置 ················································································································ 5
6.7 試験片保持装置 ············································································································· 5
6.8 試験片表面への噴霧装置 ································································································· 6
6.9 ドラム冷却装置 ············································································································· 6
6.10 計測機器 ····················································································································· 6
7. 試験機の絶縁抵抗 ············································································································ 7
8. 安全装置 ························································································································ 7
9. 表示 ······························································································································ 7
10. 取扱い上の注意事項 ······································································································· 7
10.1 設置条件 ····················································································································· 7
10.2 運転操作 ····················································································································· 8
10.3 ブラックパネル温度計の取扱い ······················································································· 9
附属書(規定)放射照度及び放射露光量の測定方法 ··································································· 17
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 7751:2007
紫外線カーボンアーク灯式の
耐光性試験機及び耐候性試験機
Light-exposure and light-and-water-exposure apparatus
(Enclosed carbon-arc type)
1. 適用範囲 この規格は,各種工業材料及び工業製品の耐光性(1)及び耐候性(2)を試験するために用いる,
紫外線カーボンアーク灯式の耐光性試験機及び耐候性試験機(以下,試験機という。)について規定する。
警告
この試験装置の発光部から発する光には,紫外線が多量に含まれているので,試験運転中やむを得ず,
試験機槽内を観察するときには,紫外線遮断ガラスの眼鏡を用いるなど,安全に十分注意する必要がある。
(表5参照)
注(1) 光の照射を受けて生じる物質の物理的・化学的変化に耐える性質。
(2) 光だけでなく,熱,温度,湿度,風雨などの影響によって生じる,物質の物理的・化学的変化
に耐える性質。
備考 耐光性試験機とは,短時間に耐光性の一部の性質を調べるために,太陽光に近似した人工光源
の照射を行うことができる試験装置をいう。また,耐候性試験機とは,短時間に耐候性の一部
の性質を調べるために,太陽光に近似した人工光源の照射を行い,断続した水の噴射を行うこ
とができる試験装置をいう。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS C 1102-2 直動式指示電気計器 第2部:電流計及び電圧計に対する要求事項
JIS G 3442 水配管用亜鉛めっき鋼管
JIS G 3459 配管用ステンレス鋼管
JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS H 3100 銅及び銅合金の板並びに条
JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS K 6742 水道用硬質塩化ビニル管
JIS K 6762 水道用ポリエチレン二層管
JIS K 7200 耐光(候)試験機の照射エネルギー校正用標準試験片
JIS K 7363 プラスチック−耐候性試験における放射露光量の機器測定−通則及び基本的測定方法
JIS L 0841 日光に対する染色堅ろう度試験方法
2
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a) ブラックパネル温度 ラック又はドラムに取り付けたブラックパネル温度計が指示する温度で,試験
片の表面温度を代表する温度。
4. 種類 試験機の種類は,試験片への噴霧装置が装備されていないもの及び装備されているものによっ
て区分し,次の2種類とする。
a) 紫外線カーボンアーク灯式耐光性試験機(以下,F形という。)
b) 紫外線カーボンアーク灯式耐候性試験機(以下,W形という。)
なお,この2種類の試験機の主な仕様は,表1による。
表 1 試験機の主な仕様
種類
発光部灯数
試験片保持装置
噴霧装置
送風機構
温度調節
湿度調節
F形
1
ラック方式
なし
断続又は連続
送風式
あり
自動制御式又は加湿用ウイ
ック式(以下,ウイックと
いう。)
W形(3)
2
ドラム方式
あり
断続又は連続
送風式
あり
自動制御式
又はなし
注(3) W形に装備した2灯のうち1灯を取り外して,他の1灯を中央に懸垂し,かつ,ドラムをF形用ラックに
交換し,噴霧装置及びドラム冷却装置を作動させずに耐光性試験ができるようにしたものもある。
5. 性能
5.1
光照射 試験機の光照射は,次による。
a) 発光部の分光特性 紫外線カーボンアーク灯は,表2に示す条件の下で,表3に示すガラスグローブ
との組合せによって規定の立ち上りをもった光を放射しなければならない。その例を,参考付図1に
示す。
表 2 発光部の条件
項目
内容
発光部の形式
密閉式
灯数
1(F形)又は2(W形)
アークの電圧・電流
交流電圧 許容範囲 125 〜145 V
中心値
135 V(±2 %)
交流電流 許容範囲 15〜17 A
中心値
16 A(±2 %)
ただし,入力電圧が一定のときとする。
3
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 3 ガラスグローブの仕様
項目
内容
使用前分光透過率
275 nmで2 %以下
400〜700 nmで90 %以上
膨張率
約3×10−6K−1
全使用時間
2 000時間
b) 試験片面放射照度(4) F形では,ラックの試験片ホルダ表面の位置又はアーク中心から水平方向に254
±1 mmの位置で, 500±100 W/m2(波長範囲300〜700 nm)[表2のアークの電圧・電流の中心値を
基準とした値]の放射照度をもっていなければならない。W形では,この放射照度をもったカーボン
アーク灯を2灯用いる。放射照度の表示は,出荷時の検査成績書などに記載する。
なお,測定方法は,附属書による。
注(4) 表2の条件のときとする。
5.2
温度及び湿度
5.2.1
一般 温度及び湿度は,紫外線カーボンアーク灯の点灯時におけるブラックパネル温度計に指示す
る温度及び試験槽内空気出口付近における相対湿度で示す。
5.2.2
温度(ブラックパネル温度) 温度は,次による。
a) 設定可能範囲 60〜70 ℃又は60〜93 ℃。
b) 変動許容範囲 設定値 63 ℃において±3 ℃。ただし,外気条件がJIS Z 8703に規定する標準温度状
態 23 ℃ 5級(23±5 ℃)で,W形では更に水温20 ℃以下のときとする。
5.2.3
湿度 湿度は,次による。
a) 自動制御式では,相対湿度(50±5)%とする。
b) ウイック式(非制御)では,相対湿度約20〜50 %となっている。ただし,周囲湿度が JIS Z 8703に
規定する標準湿度状態 65 % 10級[(65±10)%]で,ブラックパネル温度が 63±3 ℃ のときとす
る。
5.3
試験片表面への噴霧 試験片表面への噴霧は,次による。
a) 照射及び噴霧の方法 少なくとも,次の3種類が設定できなければならない。
1) 120分サイクル:102分間の照射,続いて18分間の照射及び噴霧(5)。
2) 60分サイクル:48分間の照射,続いて12分間の照射及び噴霧(5)。
3) 噴霧なし:照射だけを行う。
注(5) 照射及び噴霧で開始して,照射で終了するサイクルもできることが望ましい。
b) 噴霧圧力及び噴霧水量 噴霧圧力 0.1 MPa に対して,ノズル1個当たり0.53±0.10 L・min−1の噴霧
水量とする。ただし,受渡当事者間の協定によってこれを変えてもよい。
6. 構造及び材料
6.1
構成 試験機は,試験槽,試験槽内中央に取り付けた発光部,アーク安定装置,試験片保持装置,
試験片表面への噴霧装置,冷却装置,温度調節装置,湿度調節装置(6),計装機器などから構成する。試験
機の例を,参考付図2に示す。
注(6) 湿度調節装置を備えた試験機の場合に適用する。
6.2
試験槽 試験槽は,次による。
a) 構造 試験槽は,試験片に光の照射又は光の照射及び水の噴霧を行うための槽で,発光部,ラック又
4
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
はドラムを備え,温度又は温度及び湿度が調節でき,W形では更に噴霧ノズルなどを組込んだ構造で
なければならない。
b) 材料 試験槽内壁の材料は,JIS G 4305に規定するSUS304若しくはこれと同等以上の耐食性をもつ
もの,又は耐食処理を施したものでなければならない。
6.3
発光部 発光部は,密閉されたガラスグローブの内部でアークを発生させる交流点灯のカーボンア
ーク灯で,カーボン,ガラスグローブ,アーク電流(又は電圧)調節装置,カーボンホルダなどからなる。
概要を,参考付図3に示す。
a) カーボン カーボンは,試験機用に作られたカーボン棒で有心及び無心の2種類があり,異なった種
類のものを上下対にして用い,灰分は有心が3 %以下,無心が0.5 %以下でなければならない。
参考 カーボンは,通常,48時間用として,上部用有心が長さ約115 mm,外径約23 mm,下部用無
心が長さ約105 mm,外径約18.5 mmのものがあり,また,20時間及び24時間用として,上部
用及び下部用が,長さ約305 mm,外径約13 mmのものがある。
b) ガラスグローブ ガラスグローブは,カーボンアークの封入を目的とした耐熱ガラス製フィルタでな
ければならない。
なお,ガラスグローブの仕様を表3,ガラスグローブの形状を,参考付図4に示す。
c) アーク電流(又は電圧)調節装置 アーク電流(又は電圧)調節装置は,アークを発生させ,その電
流(又は電圧)の変化に応じて,上部カーボン位置を自動的に調整し,アークの電流(又は電圧)を
規定値に維持できるもので,アークからの熱及び灰分の影響に対し十分に耐えるものでなければなら
ない。
d) カーボンホルダ カーボンホルダは,上部カーボン用及び下部カーボン用があり,カーボンが確実に
固定できるもので,耐熱性及び耐食性が優れた金属材料を用い,熱変形を生じない構造でなければな
らない。
6.4
アーク安定装置 アーク安定装置は,安定したアークを連続維持するためのもので,アーク回路に
設けた抵抗器,チョーク変圧器,磁気漏れ変圧器などからなり,更に入力電流の変化に対し,常にアーク
電流を規定の範囲に入れるため,アーク電流調節器を備えていなければならない。
6.5
温度調節装置 温度調節装置は,次による。
a) 構造 温度調節装置の構造は,ブラックパネル温度計の指示を一定にするため,温度調節器によって
作動する送風機構によって試験槽内の空気温度を調節するもので,空気の流れを調整するため,エア
デフレクタを設けるか,又はこれと同等の性能をもつ構造としなければならない。送風機構は,次の
いずれかによる。
1) 断続送風式 温度調節器の信号によって,送風機が作動して温度を調節する方式であって,試験槽
内の空気は試験槽上方から排出する。外気の取入口には,必要に応じて防じん用のエアフィルタを
設けることが望ましい。
2) 連続送風式 送風機を連続的に作動させ,温度調節器の信号によって空気調節弁を自動的に調節し,
温度を調節する方式である。外気の取入口には,必要に応じて防じん用のエアフィルタを設けるこ
とが望ましい。
備考 冷凍機などの冷却装置,加熱器などの加熱装置を用い,試験槽内の空気温度を調節する方法も
ある。
b) ブラックパネル温度計
1) ブラックパネル温度計は,バイメタル,白金抵抗体,サーミスタ,熱電対などの感熱体を金属板の
5
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
中心に一致させて取り付け,感熱体保護管を密着して固定した構造のものとする。
2) 金属板は,JIS G 4305に規定するSUS 304を用い,感熱体保護管はJIS G 3459に規定するSUS 304
TPを用いて,焼付形耐候性黒色エナメルの塗装を2回,吹付けを行って仕上げたものでなければな
らない。
3) 温度表示部は,ダイヤル式,デジタル式などがある。目幅は,1 ℃のものとする。
4) ブラックパネル温度計は,これを取付けできるように加工したホルダに取り付け,ラックに試験片
と並べて取り付ける。
5) ブラックパネル温度計の構造の例及び寸法は,付図1による。
6) ブラックパネル温度計の黒板の分光反射率は,JIS Z 8722に規定する照明及び受光の幾何学的条件
d によって測定したとき,波長範囲380〜780 nmで10 %以下(正反射光も含む。)とし,5 %以下
であることが望ましい。
c) 温度調節器 温度調節器は,空気温度調節器及びブラックパネル形温度調節器とがあり,それぞれ断
続送風式又は連続送風式の送風機構と組み合わせて用い,次による。
1) 空気温度調節器 液体膨張式,電気式などであって,感熱部は試験槽内空気の出口付近に光源から
の直射光を避けて取り付けるのが望ましい。
2) ブラックパネル形温度調節器 ブラックパネル温度を検知して試験槽内空気温度を調節するもので,
金属板中心に感熱部の中心を一致させて取り付け,感熱体保護管を密着して固定した構造のものと
する。感熱部の構造の例及び寸法を,参考付図5に示す。ラック又はドラムヘの取付方法は,ブラ
ックパネル温度計と同じとする。
6.6
湿度調節装置 湿度調節装置は,試験槽内の湿度を調節するもので,自動制御式では,湿度を試験
槽空気の出口付近で光源からの直射光を避けて検知し,その設定値の信号に従って,加湿器又はその他の
湿度発生器を制御して,試験槽内の湿度を調節するものでなければならない。
また,ウイック式では,枠に張り付けたウイックを試験槽底部の水槽に浸し,水分の蒸発を促進させて
試験槽内を加湿するようにしなければならない。
6.7
試験片保持装置 試験片保持装置は,試験片ホルダを取り付けるラック又はドラム,それらの回転
機構及び試験片ホルダからなり,次による。
なお,主要部の構造及び発光部並びに噴霧ノズルとの相対位置を,参考付図6に示す。
a) ラック(F形用) ラックは,リング状の回転ラックで,試験片ホルダ18個以上(ブラックパネル温
度計などを含む。)を取り付けることができ,試験片が光の照射を均等に受けるために,発光部の周囲
を回転できるものでなければならない。回転速度は,約3 min−1又は1 min−1とする。材料は,JIS G 4305
に規定するSUS 304,JIS H 3100に規定するC 2600 Rに耐食処理を施したもの又はこれと同等以上の
材料を用いなければならない。
b) ドラム(W形用) ドラムは,円筒形の回転ドラムで,試験片ホルダを30個(ブラックパネル温度
計などを含む。)を取り付けることができ,試験片が光の照射及び水の噴霧を均等に受けるために,発
光部の周囲を回転できるものでなければならない。回転速度は,約1 min−1とする。材料は,JIS G 4305
に規定するSUS 304,JIS H 4000に規定するA 1100 Pに耐食処理を施したもの又はこれと同等以上の
材料を用いなければならない。
c) 回転機構 回転機構は,ラック又はドラムを回転させる機構で,電動機によって駆動する。停止時に
は,手でラック又はドラムを回転させることができ,また,運転時では,手で回転を停止させること
ができるようなスリップ機構をもっていなければならない。
6
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 試験片ホルダ 試験片ホルダは,試験片を固定し,かつ,ラック又はドラムに取り付けできる構造で
なければならない。材料は,JIS G 4305に規定するSUS 304,JIS H 4000に規定するA 1100 Pに耐食
処理を施したもの又はこれと同等以上の材料を用いなければならない。試験片ホルダの例を,参考付
図7に示す。
6.8
試験片表面への噴霧装置 試験片表面への噴霧装置は,試験片に一定周期で一定時間,規定の水量
を均等に噴霧する装置で,次による。
なお,噴霧ノズル及び試験片との相対位置の概略を,参考付図6に示す。
a) サイクルメータ サイクルメータは,所定の時間ごとに電磁弁を開閉することができなければならな
い。時間設定精度は,± 0.5分とする。
b) 減圧弁 減圧弁は,供給された水圧を所定の圧力に減圧できるものでなければならない。
c) 水圧計 水圧計は,噴霧圧力を示すものとする。
d) 電磁弁 電磁弁は,サイクルメータの信号によって噴霧用の水路を開閉できなければならない。
e) 噴霧ノズル 噴霧ノズルは,試験片に対し円すい状に,かつ,連続して噴霧でき,耐食性の優れた材
料を用いなければならない。また,噴霧が発光部へはね返るのを防ぐ金網を設ける。例を参考付図8
に示す。
f)
給水経路の配管 噴霧装置の給水経路に使用する配管材料は,給水中に試験片に有害な影響を与える
成分,さびなどを出さない材料でなければならない。一般にJIS G 3459,JIS K 6742に規定する管又
はプラスチック,ゴムなどの管を用いることが望ましい。
6.9
ドラム冷却装置 ドラム冷却装置は,光源からの放射熱でドラムの温度が上昇し,試験片へ影響を
与えることを防ぐためのもので,ドラムの外側から2個以上のノズルで水を噴霧することができるもので
なければならない。その際,噴霧水が試験片に悪影響を及ぼさない構造でなければならない。
なお,噴射水量は,ブラックパネル温度に影響するので,適宜,調整できなければならない。
6.10 計測機器 計測機器は,次による。
a) 積算時間計 積算時間計は,運転時間を積算表示できるもので,少なくとも9 999.9時間以上の表示が
できなければならない。
b) タイムスイッチ タイムスイッチは,所定の運転時間を任意に設定できるもので,目幅は,0.1時間以
下とする。
c) 放射照度又は放射露光量指示器(7) 放射照度又は放射露光量指示器は,試験片面の放射照度又は放射
露光量を指示できるものとする。
d) 電圧計(8) 電圧計は,スイッチなどによる切換えで,アーク電圧及び入力電圧を指示できるもので,
JIS C 1102-2に規定する2.5級,又はこれと性能が同等以上のものとする。スイッチなどによる切り換
えで,アーク電圧及び入力電圧を測定できることが望ましい。
また,アーク電圧の許容範囲を有彩色の線などで示すことが望ましい。
e) 電流計(8) 電流計は,アーク電流を指示できるもので,JIS C 1102-2に規定する2.5級又はこれと性能
が同等以上のものとする。
また,許容範囲を有彩色の線などで示すことが望ましい。
f)
温度指示又は記録計(7) 温度指示又は記録計は,ブラックパネル温度,試験槽内温度(乾球又は湿球),
試験槽内相対湿度などを指示又は記録できるものとする。
g) 水質計(7) 水質計は,噴霧用の水などの電気伝導率を指示できるものとする。
注(7) 計測機器を備えたものに適用する。
7
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(8) 実効値を示すもの。
7. 試験機の絶縁抵抗 試験機の絶縁抵抗は,1 MΩ以上でなければならない。
8. 安全装置 安全装置は,試験機の操作における安全確保,並びに試験機及び試験片の保全のため,ア
ーク過電流のとき,W形では更に断水又は水圧の異常低下時に電源を遮断し,これが回復しても自動的に
運転が再開しないものでなければならない。
また,試験槽温度過上昇及び電動機過電流に対応する安全装置,停電に対応する安全装置,電気回路に
ヒューズ,遮断器などを設けることが望ましい。
9. 表示 試験機には,見やすい箇所に次の事項を表示しなければならない。
a) 名称又は略称(例:紫外線カーボン耐光試験機)
b) 製造業者名又はその略称
c) 製造年月
d) 製造番号
e) 電源電圧(V)
f)
周波数(Hz)
g) 電源容量(A又はkVA)
10. 取扱い上の注意事項
10.1 設置条件 試験機設置場所の電気設備,給排水設備及び環境状態は,表4による。
表 4 設置条件
項目
内容
電気設備
a) 電源 電圧変動が少ない給電設備とし,その電圧は,AC 200±20 Vとする。ただし,
受渡当事者間の協定によって,特定の電圧を選んでもよい。
b) 容量 試験機に表示された電源容量を十分に満足しなければならない。
c) 接地 試験機は,D種の接地を行う。
d) 漏電遮断器 必要に応じて設けなければならない。
給排水設備
a) 配管材料及び配管方法 給水管は,試験結果に有害な影響を与えるような成分,さびな
どを給水中に出さない材料で施工する。一般にJIS K 6742,JIS K 6762,JIS G 3442又
はJIS G 3459に規定する管を用いることが望ましい。
配水管は,詰まりなどが起こらないように配管の内径,長さ,こう配などに注意して
施工する。
また,試験機の給排水口接続は,水漏れをしないよう確実に行わなければならない。
b) 給水圧 0.10〜0.20 MPaで,変動が少ないようにしなければならない。
c) 水質 使用する水のpHは6.0〜8.0とし,用途に応じて,次に規定する水を用いる。
1) 噴霧用の水 試験片に付着物が生じない水で,電気伝導率5 μS・cm−1以下,かつ,
全固形分1 ppm以下であることが望ましい(9)。
2) ドラム冷却用の水 ドラムなどに,さびを生じさせない程度の清浄な水。
3) 加湿器用又はウイックの水 水あか又はさびを生じさせない水。
d) 水温 10〜20 ℃とするのが望ましい。
e) 排水 試験機から排出される水が,滞留・逆流しないような適切な配管を施していなけ
ればならない。
8
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 4 設置条件(続き)
項目
内容
環境状態
a) 温度 設置場所の温度は,JIS Z 8703に規定する標準温度状態23 ℃ 5級(23±5 ℃)
とするのが望ましい(10)。
b) 湿度 設置場所の湿度は,JIS Z 8703に規定する標準湿度状態65 % 10級[相対湿度
(65±10)%]とするのが望ましい。
c) 排気設備 試験機から排出する熱気は,屋外に排出する。
d) その他 ちり及びほこりが少ない場所,並びに外部からの有害ガスの影響がない場所で
なければならない。
その他
a) 水平に設置する。
b) 振動が少ない場所に置く。
注(9)
シリカ成分は,試験結果に影響するので取り除くことが望ましい。
(10) 規定した環境条件が得られず,また,規定した温度条件が保てない場合に,試験条件に影響を及ぼさな
いように,吸気の温度調節などの適切な配慮をしなければならない。
10.2 運転操作 運転に伴う注意事項は,表5による。
表 5 運転操作
項目
内容
操作者の安全確保
a) 発光部から発する光には,紫外線が多量に含まれているので,やむを得ず発光させた
まま試験槽内を観察したりするときは,紫外線遮断ガラスの眼鏡を用い,裸眼で見た
り,また,皮膚に照射を受けたりしないようにしなければならない。
b) 運転中,発光部周辺は通電しており,また,高熱になっているので,直接又は金属な
どを介して間接にも触れてはならない。
c) 送風機などの回転部は,運転中,点検などのために手を触れないようにする。
アークを点灯して10分以上経過後消灯し,再点灯するときは,ガラスグローブを十
分に冷却させるか,又はガラスグローブを取り外して中の空気を入れ換えてから点灯
しなければならない。
発光部の点検
運転前に各部品及び絶縁物の異状の有無を点検し,異状があれば修理を行わなければなら
ない。
カーボンの取扱い
a) カーボンは乾燥した場所に保管し,割れ,曲がりなどがないものを用いなければなら
ない。
b) カーボンの取付けは,確実に固定する。運転中に緩むことがあってはならない。
c) カーボンの残長が短いとき,ガラスグローブヘの灰分の付着が激しいとき,又はカー
ボンの異常燃焼が起こったときは,ガスチェックプレート,ガラスグローブなどの発
光部の点検及び電気系統の点検・整備を行わなければならない。
グローブの取扱い
a) ガラスグローブは,使用するごとに磨き洗いをし,十分乾燥させてから使用する。焼
付きを防ぐため,手あか,指紋などが付着したまま点灯してはならない。
b) ガラスグローブの紫外線透過率は,最初の100時間ぐらいまでに急激に低下するので,
短時間の試験では,100時間経過したものを用いることが望ましい。
c) ガラスグローブは,破損があってはならない。特にガスチェックプレートとの密着面
には割れ及び欠けがあってはならない。
d) 使用時間は,2 000時間を超えてはならない。
なお,発光部が2灯のものは,試験片面への照射量を平均化するために,ガラスグ
ローブは2個同時に取り換えず,交換時期をずらして,1 000時間ごとに1個ずつ取り
換えることが望ましい。管理のために個々のガラスグローブには,使用開始日,照合
No.などを油性フェルトペンなどで明記しておくとよい。
9
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 5 運転操作(続き)
項目
内容
アークの電圧・
電流の調整
a) アークの電圧及び電流は,アーク点灯後15分以上経過してから確認し,必要に応じて
調整する。
b) 20時間又は24時間ごとに,2回以上点検することが望ましい。特に夜間には,入力電
圧が上昇する場合が多いので,注意しなければならない。
噴霧圧力の調整
水圧が変わったときは,減圧弁を調整しなければならない。特に夜間など特定時間に水圧
変動が起きる場合があるので,注意しなければならない。
ウイックの取扱い
F形に用いるウイック又は湿度検出に用いるウイックは,新しいものは柔軟性があり,十
分に水分を含んでいるが,使用中にほこり,水あかが付着して硬化し,吸水能力が低下す
るので,ときどき目視観察及び手ざわりによってウイックの状態を調べ,必要に応じて洗
濯したり新しいものと交換しなければならない。
その他
試験機の運転開始時には,特に発光部,ラック又はドラム回転機構,送風機などの作動状
態を確認しなければならない。
10.3 ブラックパネル温度計の取扱い ブラックパネル温度計の取扱いは,次による。
10.3.1 バイメタル式の場合
a) ブラックパネル温度計は,測定用及び校正用の2本を用意し,少なくとも6か月に1回以上の頻度で
比較校正して正確さを確認する。
b) ブラックパネル温度計の取付け又は取外しのときは,衝撃を加えたり,きずを付けたり,水をかけた
りしないように注意する。
c) ブラックパネル温度計の読取りは,ブラックパネル温度計をラック又はドラムに取り付け,その指示
温度が安定した時点で,ラック又はドラム1回転ごとに少なくとも連続3回読み取り,平均値を求め,
ブラックパネル温度計の指示温度とする。W形では,噴霧をしていない状態でこの操作を行う。
10.3.2 電子式の場合 校正用機器(11)を用いて,少なくとも6か月に1回以上の頻度で比較校正して正確
さを確認する。
注(11) バイメタル式ブラックパネル温度計(校正用)を含む。
10
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
付図 1 ブラックパネル温度計
a)F形用
b)W形用
11
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考付図 1 紫外線カーボンアーク灯の分光放射照度
参考付図 2 試験機の概要
a)F形(断続送風機)
b)F形(連続送風機)
12
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考付図 2 試験機の概要(続き)
参考付図 3 発光部
c)W形(連続送風式)
13
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
参考付図 4 ガラスグローブ
単位 mm
参考付図 5 ブラックパネル形温度調節器
14
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
参考付図 6 試験片保持装置と発光部及び噴霧ノズルとの相対位置
a)F形
b)W形
15
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
参考付図 7 試験片ホルダの一例
a)垂直形
b)傾斜形
F形用
W形用
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
16
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
参考付図 8 噴霧ノズル
a)
b)
17
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(規定)放射照度及び放射露光量の測定方法
1. 適用範囲 この附属書は,試験機の放射照度及び放射露光量の測定方法について規定する。
2. 種類 放射照度の測定は,次のいずれかによる。
a) 放射照度計を用いる方法
b) 分光光度計を用いる方法
3. 測定方法 測定方法は,次による。
a) 放射照度計を用いる場合 放射照度計を用いる方法は,カーボンアーク灯を点灯し,光電管又は光電
池による受光器を試験片と並べてラックに取り付け,試験片とともに光源の周囲を回転させるか,又
はアーク中心から254±1 mmの位置に受光器を固定して放射露光量(J/m2)を測定し,その値を測定
時間で除し,平均放射照度(W/m2)を求めるか,又は直接放射照度(W/m2)を測定する。
b) 分光光度計を用いる場合 分光光度計を用いる方法は,カーボンアーク灯を点灯し,分光光度計の受
光部を熱などの影響を受けない位置に固定して,相対分光分布を測定する。測定後,分光放射照度標
準電球を用いて補正し,更に試験片面の位置における放射照度(W/m2)に換算して求める。
備考1. 分光放射照度を求める方法としてJIS K 7363などに規定する方法を用いてもよい。ただし,
これらの方法は,太陽光を測定する場合を主体に規定がなされているので,試験機に用いる
には修正して用いる必要がある。
2. 光源の校正を行う実用的な方法として,JIS K 7200に規定する試験片,JIS L 0841に規定す
るブルースケールなどの基準材料を用いる方法がある。
18
B 7751:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
関連規格 JIS A 1415 高分子系建築材料の実験室光源による暴露試験方法
JIS B 7753 サンシャインカーボンアーク灯式の耐光性試験機及び耐候性試験機
JIS B 7754 キセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機
JIS D 0205 自動車部品の耐候性試験方法
JIS K 0101 工業用水試験方法
JIS K 5600-7-5 塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第5節:耐光性
JIS K 7102 着色プラスチック材料のカーボンアーク燈光に対する色堅ろう度試験方法
JIS L 0842 紫外線カーボンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法
ISO 9370 Plastics−Instrumental determination of radiant exposure in weathering tests−General
guidance and basic test method
ASTM D 5031 Practice for Conducting Tests on Paint and Related Coatings and Materials Using
Enclosed Carbon-arc Exposure Apparatus
ASTM G 23 Practice for Operating Light Exposure Apparatus (Carbon-Arc Type) Without Water For
Exposure of Nonmetallic Materials
ASTM G 153 Standard Practice for Operating Enclosed Carbon Arc Light Apparatus for Exposure of
Nonmetallic Materials
AATCC Test Method 16 Colorfastness to Light