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B 7615:2013  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 規格の原則 ······················································································································ 4 

4.1 一般 ···························································································································· 4 

4.2 周辺装置 ······················································································································ 4 

4.3 電源 ···························································································································· 4 

5 試験・判定 ······················································································································ 5 

5.1 試験 ···························································································································· 5 

5.2 確認 ···························································································································· 5 

5.3 判定 ···························································································································· 5 

6 試験方法························································································································· 5 

6.1 静電気放電試験 ············································································································· 5 

6.2 電磁波障害試験 ············································································································· 9 

6.3 衝撃性雑音試験 ············································································································ 13 

6.4 雷サージ試験 ··············································································································· 18 

6.5 伝導性イミュニティ試験 ································································································ 25 

6.6 電源電圧降下試験 ········································································································· 31 

6.7 電源電圧変動試験 ········································································································· 33 

附属書A(参考)特定計量器の電磁環境試験における補足事項····················································· 35 

附属書B(参考)試験名称の対応関係······················································································ 41 

附属書C(参考)参考文献 ···································································································· 42 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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電子化計量器−電磁環境試験方法 

Electronic measuring instruments- 

Electromagnetic environment test method 

序文 

この規格は,各分野の計量器における電磁環境試験について,その共通的な試験方法の部分を横断的に

まとめて作成した日本工業規格である。 

なお,この規格の作成に当たっては,計量法に規定された特定計量器の電磁環境試験の技術基準を,技

術的内容の基礎とした。 

この規格の目的は,統一的な試験方法として,電子化計量器の新たな技術基準の確立に際し,それら個

別規格などの引用規格又は参照規格となることである。 

適用範囲 

この規格は,日本国内において使用される計量器のうち,物象の状態の量を検出し,計量結果を表示す

る過程において電子的装置を使用する計量器(以下,電子化計量器という。)に対する電磁環境試験の手法,

及び詳細な条件設定などの試験方法について規定する。ただし,個別の電子化計量器の電磁環境試験方法

が法令,日本工業規格,その他の技術文書などによって確立されている場合は,その方法による。また,

電磁環境試験において使用する試験設備については,JIS C 61000-4の規格群による。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 60050-161 EMCに関するIEV用語 

JIS C 61000-4-4 電磁両立性−第4-4部:試験及び測定技術−電気的ファストトランジェント/バー

ストイミュニティ試験 

JIS C 61000-4-6 電磁両立性−第4-6部:試験及び測定技術−無線周波電磁界によって誘導する伝導

妨害に対するイミュニティ 

JIS Z 8103 計測用語 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8103及びJIS C 60050-161によるほか,次による。 

3.1 

周辺装置(peripheral device) 

計量器のインタフェース,計量器からの無線信号などによって,計量器と接続される機器及び/又はシ

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ステム。ただし,電磁環境試験において,計量器の計量状態を模擬するために接続する信号発生器(シミ

ュレータ)などの補助的な装置は含まない。 

3.2 

有意な誤り(significant fault) 

規定した許容誤差よりも大きな誤り。ただし,次の誤りは規定した許容誤差よりも大きな誤りであって

も,有意な誤りとはしない。 

− 計量結果として,その表示を認識,記憶又は伝達できないほど瞬間的に変化する過渡的な誤り。 

− 急激な温度変化など,電磁的な妨害以外の明らかな原因によって生じた誤り。 

3.3 

接続線等 

計量器のきょう(筐)体間及び計量器と周辺装置間の信号線(入出力信号・データ・制御)及び電源線

(交流・直流)。 

注記 この規格では,単に“信号線”及び“電源線”と限定して使用している場合がある。 

3.4 

基準グラウンド面(ground reference plane) 

共通の基準として使用される電位の,平たん(坦)な導電性の面(JIS C 60050-161の161-04-36)。 

3.5 

結合板(coupling plane) 

供試装置に近接している物体への静電気放電を模擬するために,放電が加えられる金属板又は金属面。 

 HCP:水平結合板(horizontal coupling plane) 

 VCP:垂直結合板(vertical coupling plane) 

3.6 

接触放電(contact discharge) 

静電気放電発生器の電極を供試装置に接触させた状態で,静電気放電発生器内の放電スイッチの作動に

より発生する放電。 

3.7 

気中放電(air discharge) 

静電気放電発生器の帯電した放電電極を供試装置に近づけていく過程で発生する,火花(アーク放電)

による供試装置への放電。 

3.8 

直接印加(direct application) 

供試装置への直接の放電。 

3.9 

間接印加(indirect application) 

供試装置の近くの物体への人体放電を模擬するための,供試装置に近接した結合板への放電。 

3.10 

振幅変調(amplitude modulation) 

搬送波の振幅を定められた法則に従って変化させる方法。 

3.11 

アンテナ(antenna) 

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信号源から空間に無線周波(RF)電力を放射するか,又は到来する電磁界を捕らえて,電気信号に変換

する変換器。 

3.12 

掃引(sweep) 

周波数を,連続的又は段階的に変化させる行為。 

3.13 

結合回路網(coupling network) 

一つの回路からほかの回路へエネルギーを伝達させる目的をもつ電気回路網。 

3.14 

減結合回路網(decoupling network) 

供試装置に印加するエネルギーが,試験対象外の機器,装置又はシステムに影響することを防止するた

めの電気回路網。 

3.15 

結合・減結合回路網,CDN(coupling/decoupling network) 

結合回路網及び減結合回路網の両方の機能を備える電気回路。 

3.16 

容量性結合クランプ(capacitive coupling clamp) 

直接通電結合せずに,被試験回路への妨害信号を容量性のコモンモード結合するための,決められた寸

法及び特性をもつデバイス。 

3.17 

コンビネーション波形発生器(combination wave generator) 

1.2/50 μs又は10/700 μsの開回路電圧波形,及び8/20 μs又は5/320 μsの短絡電流波形をそれぞれ備える

発生器。 

3.18 

(サージ発生器の)実効出力インピーダンス[effective output impedance(of a surge generator)] 

ピーク短絡電流に対するピーク開回路電圧の比。 

3.19 

対称線(symmetrical lines) 

ディファレンシャルモードからコモンモードへの変換損失が20 dBを超える,対称的に駆動される一対

の導体。 

3.20 

イミュニティ(immunity) 

電磁妨害が存在する環境で,機器,装置又はシステムが性能低下せずに動作することができる能力。 

(JIS C 60050-161の161-01-20) 

3.21 

擬似手(artificial hand) 

平均的な動作条件下での,大地と携帯用電気機器間の人体インピーダンスを模擬する電気回路網。 

(JIS C 60050-161の161-04-27) 

注記 この構造は,CISPR 16-1-2に従うことが望ましい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.22 

クランプ注入(clamp injection) 

次に示す電流注入デバイスをケーブルに取り付けることによって行う注入。 

− 電流クランプ:電流を注入するケーブルを二次巻き線とするトランス 

− 電磁クランプ(EMクランプ):容量結合及び誘導結合を組み合わせた注入デバイス 

3.23 

コモンモードインピーダンス(common-mode impedance) 

ある端子におけるコモンモード電流でコモンモード電圧を除した数値。 

3.24 

最小動作電圧(minimum operating voltage) 

計量器が動作中に自動的に電源断となる直前の動作可能な最小の電源電圧。 

3.25 

積算計量器(integrating measuring instrument) 

一定期間中の測定量を,時間の経過とともに積算して計量結果を得る計量器。 

例 ガスメーター,水道メーター,燃料油メーター,タクシーメーター,電力量計など。 

注記 積算計量器に対して,測定量を積算することなしに計量結果を得る計量器を非積算計量器とい

う場合もある(体重計など)。 

規格の原則 

4.1 

一般 

個別の計量器の試験方法が法令,日本工業規格,その他の技術文書などによって確立されている場合は,

その方法による(箇条1参照)。 

4.2 

周辺装置 

この規格は,通常の使用状態での計量結果への影響を配慮するため,計量器だけではなく計量器と周辺

装置とを接続して試験を行う場合の試験方法を規定する。また,配線の方法,及び計量器と周辺装置との

設置の条件についても最も妨害の影響を受けやすい場合を想定して規定する。 

周辺装置は電磁環境試験の対象となるが,周辺装置の誤動作は5.3の判定から除外し,周辺装置の誤動

作が計量器に影響を与えるかを計量器が示す計量結果によって判定する。 

注記1 特定計量器の電磁環境試験における周辺装置の取扱いについて,附属書Aに参考として補足

を示す(A.2及びA.3参照)。 

注記2 周辺装置と同様にシミュレータも5.3の除外対象になるため,静電気の放電及び電磁波の照

射など妨害信号による影響がないように,シミュレータと計量器との信号線にシールド材を

巻き付けるなど疎結合となる手法をとることが望ましい。 

4.3 

電源 

計量器の電源は,次に示すものとし,計量器の電源の種類に対応した試験1) を行う。電源の種類が複数

ある場合,それぞれの電源に対応した試験を行う。 

− 交流電源 

− 直流電源 

− 車両用蓄電池(バッテリ) 

− 内蔵電源(電池又は充電式電池) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 特定計量器の電磁環境試験における電源については,附属書Aに参考として補足を示す(A.4

参照)。 

注1) 交流電源を直流電源に変換するACアダプタの場合は,商用電源から交流電源を入力するため,

電源の種類を交流電源として,ACアダプタと計量器とを接続して試験する。 

試験・判定 

5.1 

試験 

計量器の電磁環境試験の種類のうち,6.1〜6.6の試験方法について規定する。 

試験は,対象の計量器における箇条6の各試験の設定(セットアップ)を行った後,計量器に対して妨

害を与えることによって行う。 

注記 特定計量器の電磁環境試験の種類は,附属書Aに参考として補足を示す(表A.1参照)。 

5.2 

確認 

計量器に妨害を与えた後,目視及び次のいずれかによる。 

a) 妨害を与える前と妨害を与えた後との計量結果を比較することによって確認する。妨害を与える前後

の計量においては,温度,湿度などの環境条件による計量結果への影響を取り除くため,環境条件の

変化を考慮する必要がある。 

計量状態での妨害の影響を試験する場合には,妨害を与えずに計量する測定量と妨害を与えながら

計量する測定量のそれぞれの測定量を同じとして,計量結果を比較する。例えば,積算計量器にあっ

ては,計量する時間を合わせることで,測定量を相互に比較可能なものとする。 

b) 妨害を与えて得られた計量結果によって確認する。 

注記 特定計量器の電磁環境試験における確認方法については,附属書Aに参考として補足を示す

(A.5参照)。 

5.3 

判定 

5.1の試験及び5.2の確認を行い,計量器が設計されたとおりに作動し,機能することを次によって判定

する。 

a) 妨害を与える前後の計量結果の差又は妨害を与えて得られた計量結果において,有意な誤りを生じな

い。 

b) 妨害を与える前後の計量結果の差又は妨害を与えて得られた計量結果において,計量器が有意な誤り

を検出し,対処されている。 

有意な誤りの検出には,計量器が使用不能になること,視覚上又は聴覚上の表示が与えられること

があり,使用者が何らかの処置を取るか又は誤りが消えるまで,その状態が続いていなければならな

い。また,有意な誤りを検出後,電源を再投入して通常の計量が可能になるなど機能が回復すれば,

その計量器は有意な誤りに対処したことになる。 

注記 特定計量器の電磁環境試験における有意な誤りについては,附属書Aに参考として補足を示す

(A.6参照)。 

試験方法 

6.1 

静電気放電試験 

6.1.1 

試験の適用 

計量器に対する静電気放電の印加は,次の放電法を適用する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 直接印加放電 

1) 接触放電 

2) 気中放電 

b) 間接印加放電 

6.1.2 

気象条件 

気象条件は,次による。 

− 周囲温度 : 15 ℃〜35 ℃ 

− 相対湿度 : 30 %〜60 % 

− 気圧   : 86 kPa〜106 kPa 

注記 気象条件は,JIS C 61000-4-2:1999では気中放電試験だけで規定しているが,計量器については

湿度の影響を考慮して,全ての静電気放電に適用することが望ましい。 

6.1.3 

試験条件の設定 

試験条件の設定は,次による。 

− 静電容量 : 150 pF±10 % 

− 放電抵抗 : 330 Ω±10 % 

− 極性   : 正及び負 

− 放電回数 : 10回(各極性) 

6.1.4 

試験レベル 

6.1.4.1 

試験レベルの区別 

静電気放電試験における試験レベルは,表1による。 

表1−試験レベル 

単位 kV 

レベル 

接触放電 

気中放電 

試験電圧 

試験電圧 

 2 

 4 

 8 

15 

6.1.4.2 

試験レベルの適用 

計量器における試験レベルは,いずれの印加放電においてもレベル3が望ましい。 

試験は,表1で決定した値よりも低い全てのレベルを満足しなければならず,例えば,試験レベル3を

適用する場合,下位の試験レベルであるレベル1から順にレベル2,レベル3と放電することになる。 

注記 特定計量器の静電気放電試験における試験レベルの適用については,附属書Aに参考として補

足を示す(A.7.1参照)。 

6.1.5 

計量器の配置 

6.1.5.1 

卓上形装置 

計量器及び周辺装置は,水平結合板が設置された高さ0.8 mのテーブル上に設置した絶縁板上に配置す

る。 

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6.1.5.2 

床置形装置 

計量器及び周辺装置は,高さ0.1 mの絶縁支持台上に配置する。 

注記 専ら床置きで使用する計量器を除き,自立,壁面及び天井設置可能な計量器は卓上形装置とし

て試験することが望ましい。 

6.1.6 

放電方法 

6.1.6.1 

直接印加放電 

計量器に対して,導電性の表面には接触放電,非導電性の表面には気中放電をそれぞれ適用する。各放

電方法の詳細は,次による。 

a) 接触放電 計量器の導電性の表面に対して,放電ガンの円すい形チップの先端部を放電箇所に接触さ

せておいて,6.1.9.1 a) に示す放電箇所に放電する。 

計量器が塗装されている場合,塗装を貫通して導電層に接触放電を行う。ただし,塗装が絶縁塗装

であることが判明している場合は気中放電を行う。 

b) 気中放電 計量器の非導電性の表面に対して,直前に帯電させた放電ガンの丸形チップを計量器と接

触するまで速やかに近づけて6.1.9.1 b) に示す放電箇所に放電する。 

6.1.6.2 

間接印加放電 

各結合板から次の距離だけ離れた位置に計量器を配置して,各結合板の6.1.9.2に示す放電箇所に接触放

電を行う(図1参照)。また,計量器の各面に間接印加放電を行う場合は,次による。 

− 垂直結合板にあっては,0.1 mの距離 

− 水平結合板にあっては,木製テーブル上に設置した水平結合板の端面(エッジ)から0.1 mの距離 

計量器

0.1 m

0.1 m

垂直結合板

水平結合板

絶縁板

周辺
装置

図1−各結合板の配置 

6.1.7 

放電間隔 

放電間隔は,少なくとも1秒2) とする。 

注記 特定計量器の静電気放電試験における放電間隔については,附属書Aに参考として補足を示す

(A.7.1.2参照)。 

注2) 接地された計量器の場合には,放電間隔は1秒以上とする。また,非接地の計量器の除電方法

は6.1.8によるが,自然に放電されると考えられるので10秒以上とする。 

6.1.8 

除電方法(非接地計量器) 

非接地の計量器の場合,帯電防止のため次のいずれかによる除電を行う必要がある。 

− 自然放電 

− 炭素繊維ブラシ(両端に470 kΩの抵抗が付いたケーブルにより接地したもの) 

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6.1.9 

放電箇所 

6.1.9.1 

直接印加放電 

直接印加放電は,次による。 

a) 接触放電 計量器への接触放電の箇所は,次に示す箇所とする。 

− 計量器の通常の使用で触れる可能性のある導電性の表面 

− 計量器の表面積が大きい場合は,手のひら程度の面積を目安に1か所 

b) 気中放電 計量器への気中放電の箇所は,次に示す箇所とする。 

− 計量器の通常の使用で触れる可能性のある非導電性の表面 

− 計量器の非導電性の操作部 

− 計量器の非導電性の表示機構部 

− きょう(筐)体のスリット部分(例 通風孔) 

注記1 計量器の通常使用の際に触れる可能性が低い箇所には,計量器の底部,壁面に設置する計量

器の背面,空き端子などがある。 

注記2 放電チップを接触させることによって表示値が安定しないなど,計量器への影響が静電気放

電による要因だけに限定できない場合には,有意な誤りではないと判断することになる。し

たがって,そのような箇所(例えば,体重計などのはかりの載せ台部など)への放電は実施

しないことがある。 

6.1.9.2 

間接印加放電 

間接印加放電の放電箇所は,次による。ただし,計量器が専ら床置形装置の場合は,水平結合板への間

接印加放電は必要ない。 

− 垂直結合板にあっては,垂直結合板の高さ方向の端面(エッジ)中央部分 

− 水平結合板にあっては,設置した計量器の正面位置中央の水平結合板の端面(エッジ) 

間接印加放電は,計量器の各面に対して行う。 

計量器の各面に間接印加放電を行うには,垂直結合板の位置を変えずに計量器を回転させる方法又は計

量器の位置を変えずに垂直結合板を計量器の該当する面の前に移動させる方法がある。また,計量器が垂

直結合板より大きい場合は,垂直結合板又は計量器を移動させることで,計量器の面全体に対して間接印

加放電を行う(図2及び図3参照)。 

注記 計量器の各面とは,前後左右の面に上下の面を含めた6面である。 

ここで,垂直結合板による間接印加放電にあっては,JIS C 61000-4-2にも記載があるように

計量器の前後左右からの間接印加放電に対応することとなり,一方,水平結合板による間接印

加放電にあっては計量器の下(底)側からの間接印加放電に対応している。計量器の上面にお

ける間接印加放電は,計量器を横にした状態での垂直結合板又は裏返した状態での水平結合板

によって試験の実施は可能であるが,通常使用の設置状態と異なる場合には省略してもよい。 

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垂直結合板

水平結合板

絶縁板

周辺
装置

計量器

図2−垂直結合板の配置1 

垂直結合板

水平結合板

絶縁板

周辺
装置

計量器

図3−垂直結合板の配置2 

6.1.10 

周辺装置 

通常の使用状態を模擬するために,計量器に周辺装置を接続して試験するが,周辺装置への静電気放電

試験は要求しない。 

注記 直接印加放電においては,計量器へ直接印加することが最も厳しい条件となる。 

6.1.11 

計量器の接地 

通常の使用において接地して使用する計量器は,基準グラウンド面に接地して試験する。 

6.2 

電磁波障害試験 

6.2.1 

試験条件の設定 

試験条件の設定は,次による。 

− 周波数範囲 :     80 MHz〜1 000 MHz 

− 搬送波信号の変調 :  1 kHzの正弦波で80 %の振幅変調 

− 周波数ステップ  :  直前の周波数の1 % 

− 各周波数の滞在時間 : 計量器が作動し,反応することができる時間以上。 

              ただし,滞在時間を0.5秒以下にしてはならない。 

− 偏波 :        垂直偏波及び水平偏波 

注記1 計量器が,妨害信号を関知して反応する時間を判断することは困難であることが多く,確実

な試験を行うためには各周波数の滞在時間を3秒以上とすることが望ましい。これはJIS C 

61000-4-3:1997で規定していた“周波数の掃引率は,1.5×10−3 decade/sを超えてはならない。”

及び“周波数範囲を増加して掃引する場合,ステップサイズは校正点間の線形補間で,元の

周波数の1 %を超えてはならない。”を満たすことにもなる。 

注記2 特定計量器の電磁波障害試験における周波数範囲については,附属書Aに参考として補足を

示す(A.7.2.1参照)。 

6.2.2 

試験レベル 

6.2.2.1 

試験レベルの区別 

電磁波障害試験における試験レベルは,表2による。 

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10 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−試験レベル 

レベル 

試験電界強度 

V/m 

10 

6.2.2.2 

試験レベルの適用 

計量器における試験レベルは,レベル2が望ましい。 

6.2.3 

試験セットアップ 

6.2.3.1 

照射距離 

照射距離は,電界校正時の距離と同じでなければならない。 

注記 電界校正における電界均一面とアンテナとの距離は,3 mが望ましい。 

6.2.3.2 

計量器の配置 

6.2.3.2.1 

卓上形装置 

計量器及び周辺装置は,高さ0.8 mの非導電性テーブル上に設置する。 

6.2.3.2.2 

床置形装置 

計量器及び周辺装置は,高さ0.1 mの絶縁支持台上に設置する。 

注記 専ら床置きで使用する計量器を除き,自立,壁面及び天井設置可能な計量器は卓上形装置とし

て試験することが望ましい。 

6.2.3.3 

接続線等の配線 

計量器の接続線等の配線は,次のように行う。 

− 接続線等が1 m以下の場合は,できる限り直線に配線できるように計量器を配置し,可能な限り電界

均一面に近づける(図4参照)。 

− 接続線等が3 m以下の場合は,電磁界にさらす長さは1 mとし,残りは無誘導になるように束ねる(図

5〜図9参照)。計量器の大きさによって配置する間隔が狭い場合は,図6及び図7のように計量器に

沿った配線としてもよい。 

− 接続線等が3 mを超える場合は,電磁界にさらす長さは1 mとし,残りはフェライトチューブ,フィ

ルタなどによって保護してもよい。 

照射方向を6.2.3.4によって変更した場合の接続線についても,6.2.3.3に従い配線する。 

なお,計量器の計量状態を模擬するために接続する信号発生器などの補助的な装置は,電界均一面

から後方に配置するなど電磁界の影響を受けないように考慮する。 

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11 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A

B

可能な限り電界
均一面に近づけて
平行に配線する。

電界均一面

電源

1

m

電界均一面

非導電性テーブル

非導電性テーブル

注記 計量器A,計量器Bとは,例えば表示部と 
 

計量部が分離している計量器を表す。 

図4−接続線等が1 m以下の場合の配線 

図5−接続線等が3 m以下の場合の配線 

A

1

 m

B

電界均一面

A

1

m

B

電界均一面

非導電性テーブル

非導電性テーブル

 図6−きょう(筐)体間が狭い場合の配線1 

図7−きょう(筐)体間が狭い場合の配線2 

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12 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A

電界均一面

1

m

B

1m

無誘導になる
ように束ねる。

A

1

m

B

電界均一面

非導電性テーブル

非導電性テーブル

 図8−きょう(筐)体間が広い場合の配線 

図9−周辺装置を接続した場合の配線 

6.2.3.4 

照射方向 

計量器及び周辺装置への電磁界の照射方向は,図10〜図13に示すとおりとし,計量器に対しては各面

に照射する。ただし,計量器の仕様としてきょう(筐)体間の信号線が短く,交換不可能3) であって,計

量器を個々に回転できない場合は除く。この場合,複数の計量器をシステムとして,システム全体を回転

させて試験する。 

注記1 周辺装置への電磁界の照射は各面に行う必要はなく,周辺装置の正面など1面だけで周辺装

置からの影響性を測定できると考える。 

注記2 計量器の各面とは,JIS C 61000-4-3において,装置を異なる向き(垂直又は水平)で用いる

場合,試験は全ての面で行うと規定しているように,基本的には前後左右の面に上下の面を

含めた6面となる。 

一方,JIS C 61000-4-3では通常使用の設置状態に近い状態に配置して行うともあり,計量

器を横にした状態又は裏返した状態では計量ができないような場合には,通常使用の設置状

態とは異なるため,計量器の上面及び下面への照射は省略してもよい。 

特定計量器の電磁波障害試験における照射方向については,附属書Aに参考として補足を

示す(A.7.2.2参照)。 

注3) 工具などによって計量器を分解しなければならないような状態。 

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13 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A

B

計量器

A

計量器

B

電界均一面

電界均一面

図10−計量器正面への照射 

図11−計量器左側面への照射 

電界均一面


A


B

計量

A

計量

B

電界均一面

図12−計量器背面への照射 

図13−計量器右側面への照射 

6.3 

衝撃性雑音試験 

6.3.1 

試験の適用 

計量器の衝撃性雑音試験には次の試験があるが,この規格ではJIS C 61000-4-4に規定があるバーストノ

イズ試験についての試験の方法を規定する。 

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14 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− バーストノイズ試験 

− インパルス雑音試験 

注記 特定計量器の衝撃性雑音試験の適用については,附属書Aに参考として補足を示す(A.7.3.1

参照)。 

6.3.2 

試験条件の設定 

試験条件の設定は,次による。 

− 極性       : 正及び負 

− バースト長    : 15 ms±20 % 

− バースト周期   : 300 ms±20 % 

− パルスの立上がり時間 : 5 ns±30 % 

− パルスの幅      : 50 ns±30 % 

− パルスの繰返し率   : 5 kHz 

− 試験負荷インピーダンス : 50 Ω±2 % 

− 印加時間        : 1分以上 

6.3.3 

試験レベル 

6.3.3.1 

試験レベルの区別 

バーストノイズ試験における試験レベルは,表3による。 

表3−試験レベル 

開回路出力試験電圧 

レベル 

電源線及び保護接地 

信号線 

電圧ピーク kV 

電圧ピーク kV 

0.5 

0.25 

0.5 

6.3.3.2 

試験レベルの適用 

計量器における試験レベルは,レベル2が望ましい。 

6.3.4 

計量器の配置 

卓上形機器,床置形機器,壁掛形機器及び天井設置形機器は全て,基準グラウンド面から0.1 m±0.01 m

の位置に配置する。 

6.3.5 

接続線等への試験電圧印加方法 

計量器の接続線等への試験電圧印加デバイスの選択は,次のように行う。 

− 接続線等が電源線の場合  結合・減結合回路網を用いる。 

− 接続線等が信号線の場合  容量性結合クランプを用いる。 

6.3.6 

結合・減結合回路網 

6.3.6.1 

結合・減結合回路網の適用 

計量器の電源線への試験電圧の印加は,結合・減結合回路網を使用する。 

6.3.6.2 

結合・減結合回路網の配置 

結合・減結合回路網を使用した代表的な配置を図14に示す。 

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15 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

結合・減結合回路網の配置は,次のように行う。 

− 計量器とその他の全ての導電性構造物(例えば,シールドルームの壁)との最小距離は,基準グラウ

ンド面を除いて0.5 m以上とする。 

− 結合・減結合回路網は,基準グラウンド面に配置し,結合・減結合回路網と基準グラウンド面との接

地線(板)は,できるだけ太く短く接続する。 

注記1 接地線(板)は幅30 mm以上,長さ50 mm未満が望ましい。 

− 計量器は,基準グラウンド面上から絶縁支持台を介して0.1 m±0.01 mの高さに配置する。 

− 全ての接続線等は,基準グラウンド面上から絶縁支持台を介して0.1 m±0.01 mの高さに配置する。 

− 計量器の仕様によって接地端子がある場合,接地端子を基準グラウンド面に接続する。 

− 結合・減結合回路網と計量器の電源線長は,0.5 m±0.05 mとする。 

注記2 計量器上部から電源線が引き出されていて,電源線長0.5 m±0.05 mを満足しない場合,最

短長となるように電源線を配線する。 

− 計量器の仕様によって,計量器から外せない電源線である場合,図15のように無誘導になるように電

源線を折り畳み,基準グラウンド面上に配置した絶縁支持台上に配置する。 

− 計量器の接続線等が複数ある場合,試験を行わない接続線等はできるだけ電源線から遠ざける。 

計量器

結合・減結合回路網

基準グラウンド面

衝撃性雑音発生器

(EFT/B)

電源線長

0.5 m±0.05  m

配線位置(高さ)

0.1 m±0.01  m

製造者の仕様
に基づく接地

絶縁支持台(高さ)

0.1 m±0.01 m

接地線又は板
(太く短く)

図14−結合・減結合回路網を使用した代表的な配置 

結合・

減結合回路網

絶縁支持台(高さ)

0.1 m±0.01 m

基準グラウンド面

0.5 m

無誘導になるように

折り畳む。

計量器

図15−計量器から取り外しできない電源線の処理 

16 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3.7 

容量性結合クランプ 

6.3.7.1 

容量性結合クランプの適用 

信号線への印加は容量性結合クランプを適用する。ただし,計量器から取り外しできない信号線であっ

て,その長さが3 m以下のものは試験を適用しない。 

注記 特定計量器の信号線へのバーストノイズ試験については,附属書Aに参考として補足を示す

(A.7.3.2参照)。 

6.3.7.2 

容量性結合クランプの配置 

容量性結合クランプを使用した代表的な配置を図16に示す。 

容量性結合クランプの配置は,次のように行う。 

− 計量器とその他の全ての導電性構造物(例えば,シールドルームの壁)との最小距離は,基準グラウ

ンド面を除いて0.5 m以上とする。 

− 容量性結合クランプを基準グラウンド面に配置する。その際,容量性結合クランプ底面と基準グラウ

ンド面との電気的接触が確実に取れていることに注意する。 

− 計量器は,基準グラウンド面から絶縁支持台を介して0.1 m±0.01 mの高さに配置する。 

− 計量器の仕様によって接地端子がある場合,接続端子を基準グラウンド面に接続する。 

− 全ての接続線等は,基準グラウンド面上から絶縁支持台を介して0.1 m±0.01 mの高さに配置する。 

− 容量性結合クランプと計量器の信号線長は,0.5 m±0.05 mとなるように容量性結合クランプを移動す

る(図16及び図17参照)。 

注記1 試験の対象としていない側の計量器と容量性結合クランプとの間の信号線に減結合回路を挿

入することで,不具合が発生した場合の妨害の影響を受ける計量器を明確にできる。 

− 図16及び図17のように,計量器に近い側の容量性結合クランプのコネクタに衝撃性雑音発生器を接

続する。 

− 容量性結合クランプと信号線の結合容量が最大となるように,結合板で信号線を圧着して固定する。 

− 計量器に接続する信号線が複数ある場合,試験を行わない信号線はできるだけ容量性結合クランプか

ら遠ざける。 

− 図18のように,周辺装置など試験電圧を印加することを意図しない装置と計量器間の信号線を試験す

る場合,試験電圧を印加することを意図しない装置を保護する意味で,減結合回路を挿入することが

望ましい。 

注記2 特定計量器に周辺装置を接続した場合のバーストノイズ試験については,附属書Aに参考と

して補足を示す(A.7.3.3参照)。 

− 信号線に使用する減結合回路は,JIS C 61000-4-6で使用される減結合クランプ(フェライトチューブ)

を使用することが望ましい。 

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17 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

計量器A

基準グラウンド面

計量器B

容量性結合クランプ

絶縁支持台(高さ)

0.1 m±0.01 m

配線位置(高さ)

0.1 m±0.01  m

信号線長

0.5 m±0.05  m

配線位置(高さ)

0.1 m±0.01  m

信号線長

(任意長)

絶縁支持台(高さ)

0.1 m±0.01 m

衝撃性雑音発生器

(EFT/B)

基準グラウンド面

接地線又は板
(太く短く)

試験を行う計量器側
の端子に接続する。

製造者の仕様
に基づく接地

製造者の仕様
に基づく接地

図16−容量性結合クランプを使用した代表的な配置(計量器Aに対する試験) 

計量器A

基準グラウンド面

計量器B

容量性結合クランプ

絶縁支持台(高さ)

0.1 m±0.01 m

配線位置(高さ)

0.1 m±0.01  m

信号線長

0.5 m±0.05  m

配線位置(高さ)

0.1 m±0.01  m

信号線長

(任意長)

絶縁支持台(高さ)

0.1 m±0.01 m

衝撃性雑音発生器

(EFT/B)

基準グラウンド面

接地線又は板
(太く短く)

試験を行う計量器側
の端子に接続する。

製造者の仕様
に基づく接地

製造者の仕様
に基づく接地

図17−容量性結合クランプを使用した代表的な配置(計量器Bに対する試験) 

計量器

基準グラウンド面

周辺装置

容量性結合クランプ

衝撃性雑音発生器

(EFT/B)

減結合回路

フェライトチューブに

よる減結合が望ましい。

基準グラウンド面

図18−周辺装置を接続した場合の代表的な配置 

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18 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.4 

雷サージ試験 

6.4.1 

試験の適用 

計量器に対するサージ印加は,接続線等に適用する。 

注記 特定計量器の雷サージ試験の適用については,附属書Aに参考として補足を示す(A.7.4.1参照)。 

6.4.2 

試験条件の設定 

試験条件の設定は,次による。 

− サージ回数    : 正5回,負5回。ただし,交流電源線の場合は,0°,90°,180°及び270°

で,それぞれ正5回,負5回とする。 

− サージ印加間隔  : 1分以下 

− サージ波形    : 1.2/50 μsのコンビネーション波形 

− コンビネーション波形発生器の実効出力インピーダンス : 2 Ω。ただし,電源線の各線−接地線の

場合は12 Ω,電話回線及びLAN回線以外の非シールド線の場合は42 Ωとする。 

注記1 特定計量器の雷サージ試験のサージ回数については,附属書Aに参考として補足を示す

(A.7.4.2参照)。 

注記2 1分間以下のサージ印加間隔で不具合が発生した場合,サージ印加間隔を1分間で再試験を

行い,不具合が発生しなければ,サージ印加間隔1分間の結果を優先する。 

6.4.3 

試験レベル 

6.4.3.1 

試験レベルの区別 

サージ試験における試験レベルは,表4による。 

表4−試験レベル 

レベル 

開回路試験電圧 ±10 % 

kV 

0.5 

1.0 

2.0 

4.0 

6.4.3.2 

試験レベルの適用 

計量器における試験レベルは,接続線等の線間はレベル1,電源線の各線−接地線ではレベル2が望ま

しい。 

試験は,表4で決定した値よりも低い全てのレベルを満足しなければならず,例えば,試験レベル3を

適用する場合,下位の試験レベルであるレベル1から順にレベル2,レベル3と印加することになる。 

注記1 接地線をもたない線路に対しては,電源線の各線−接地線への印加は行わない。 

注記2 特定計量器の雷サージ試験の試験レベルの適用については,附属書Aに参考として補足を示

す(A.7.4.3参照)。 

6.4.4 

計量器の配置 

6.4.4.1 

一般 

卓上形機器,床置形機器,壁掛形機器及び天井設置形機器は全て,同一の試験配置とする。 

計量器の配置の詳細は,接続線等の種類に応じて6.4.4.2又は6.4.4.3による。 

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19 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 シールド信号線にコンビネーション波形を印加する場合を除き,基準グラウンド面に対する要

求はない。 

6.4.4.2 

電源線にサージを印加する場合 

図19のように,計量器,コンビネーション波形発生器及び結合・減結合回路網を接続する。 

計量器と結合・減結合回路網間の電源線は,2 mを超えてはならない。 

注記 製造事業者の仕様によって計量器から外せない2 mを超える長さの電源線の場合であっても,

試験の意図を考慮して,電源線は2 m以下に切断する必要がある。 

計量器

結合・減結合回路網

コンビネーション

波形発生器

電源線は2 mを
超えないこと。

図19−電源線にサージを印加する場合の試験配置 

6.4.4.3 

信号線にサージを印加する場合 

6.4.4.3.1 

一般 

サージ試験が適用される,計量器に接続する信号線を,次に示す。 

− 屋外において30 m以上架設する信号線 

− 公共回線に直接又は中継器を介して接続する信号線 

− 公共回線に接続されていないが,屋内において30 m以上の公共回線,電源線及び屋外から屋内に引

き込まれたその他の接続線等と併設する信号線 

注記 本文で規定する公共回線は電力線及び電話回線を指す。ただし,屋外に架設される光回線で,

屋内にて光回線との変換が行われる回線は除外する。 

信号線にサージを印加する場合の詳細は,信号線の種類に応じて6.4.4.3.2〜6.4.4.3.5による。 

6.4.4.3.2 

電話回線 

図20に示す非シールド対称相互接続線用結合・減結合回路網を用い,計量器にコンビネーション波形を

印加する。 

非シールド対称相互接続線用結合・減結合回路網を,計量器と回線との間に挿入して,通信が確立する

ことを確認する。 

計量器と非シールド対称相互接続線用結合・減結合回路網との信号線は,2 mを超えてはならない。 

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20 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

コンビネーション 

波形発生器 

減結合回路網 

計量器 

RL 

接地線 

Rm2e 

保護 
装置 

周辺 
装置 

 Rm2eの計算例(ガスアレスタ4個の場合) 

1.2/50 μsコンビネーション波形発生器を用いるときのRm2eの計算 

Rm2e=4×40 Ω=160,最大250 Ω 

10/700 μsコンビネーション波形発生器を用いるときのRm2eの計算 
内部整合抵抗Rm2i (25 Ω) は,導体当たりの外部抵抗Rm2e=n×25 Ωに置き換えられる(nが2以上の導体に

対して)。 

Rm2e=4×25 Ω=100 Ω,Rm2eは,250 Ωを超えない。 

L=20 mH。コイルの電流補償は,4ラインを1組にする場合と,2ラインを1組にする場合とがある。 

RL:無視できる過渡信号の減衰に依存する値。 

ガスアレスタは,図23に示すようなクランプ回路に置き換えることができる。 

図20−非シールド対称相互接続線の試験セットアップ例 

(ライン−グラウンド間結合及びガスアレスタを介した結合) 

6.4.4.3.3 

シールドされていないLAN回線 

シールドされていないLAN回線については,結合・減結合回路網の技術的問題によって,LAN回線へ

のサージ印加は適用除外とする。ただし,計量器の仕様によってシールドされているLAN回線も接続可

能であれば,6.4.4.3.5の試験を実施する。 

注記 通信速度が早いLAN回線に対応できる結合・減結合回路網が存在しないことによる。 

6.4.4.3.4 

その他の非シールド線路 

コンデンサを介した結合で,計量器にコンビネーション波形を印加する。使用する結合・減結合回路網

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21 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

を図21,図22及び図23に示す。 

コンデンサを介した結合・減結合回路網を計量器と回線との間に挿入して通信が確立することを確認す

る。通信が確立できない場合は,規定した電圧でブレークダウン電流が流れる,ガスアレスタ又はアバラ

ンシェダイオードを使用することができる。 

計量器と結合・減結合回路網の信号線は2 mを超えてはならない。 

コンビネーション 

波形発生器 

減結合回路網 

計量器 

C = 0.5 μF 

RL 

S1 

S2 




1234

R = 40 Ω 

保護 
装置 

周辺 
装置 

接地線 

スイッチS1 
− ライン−グラウンド間:位置0 
− ライン−ライン間:位置1〜4 

スイッチS2 
− 印加相互接続線の選択:位置1〜4。ただし,スイッチS1と同じ位置ではない。 

L=20 mH,RLはLの抵抗成分を示す。 

図21−非シールド非対称相互接続線の試験セットアップ例 

(ライン−ライン間結合,ライン−グラウンド間結合及びコンデンサを介した結合) 

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22 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

コンビネーション 

波形発生器 

減結合回路網 

計量器 

RL 

接地線 

S1 

S2 




1 2 3 4 

R = 40 Ω 

保護 
装置 

周辺 
装置 

C a) 

スイッチS1 

− ライン−グラウンド間:位置0 

− ライン−ライン間:位置1〜4 

スイッチS2 

− 印加相互接続線の選択:位置1〜4。ただし,スイッチS1と同じ位置ではない。 

L=20 mH,RLはLの抵抗成分を示す。 

注a) Cの値は,ガスアレスタ又はアバランシェダイオードの仕様による。 

図22−非シールド非対称相互接続線の試験セットアップ例 

(ライン−ライン間結合,ライン−グラウンド間結合及びガスアレスタ 

又はアバランシェダイオードを介した結合) 

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23 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

コンビネーション 

波形発生器 

減結合回路網 

計量器 

RL 

接地線 

S1 

S2 




1 2 3 4 

R=40 Ω 

保護 
装置 

周辺 
装置 

スイッチS1 

− ライン−グラウンド間:位置0 

− ライン−ライン間:位置1〜4 

スイッチS2 

− 印加相互接続線の選択:位置1〜4。ただし,スイッチS1と同じ位置ではない。 

L=20 mH,RLは,Lの抵抗成分を示す。 

図23−非シールド非対称相互接続線の試験セットアップ例 

(ライン−ライン間結合,ライン−グラウンド間結合及びクランプ回路を介した結合) 

6.4.4.3.5 

全てのシールド信号線 

図24及び図25に示すような試験セットアップによって計量器の信号線にコンビネーション波形を印加

する。 

試験セットアップは,次の条件で選択する。 

− シールド信号線の両端の外皮が計量器又は周辺装置のグラウンドに接続される場合:図24を選択 

− シールド信号線の片端の外皮が計量器又は周辺装置のグラウンドに接続される場合:図25を選択 

試験は,次の手順で実施する。 

− 計量器,周辺装置及び全ての接続線等は,高さ0.1 mの絶縁支持台を介して基準グラウンド面上に配

置する。 

− 計量器の信号線は,製造事業者の定める最大長又は20 mのいずれか短い方の長さを採用する。 

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24 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 計量器の信号線が1 mを超える場合,信号線を無誘導になるように束ねる。 

− 計量器の電源と基準グラウンドとを電気的に切り離すため,安全絶縁トランス又はサージ試験電源用

結合・減結合回路網を接続する。 

− 計量器又は周辺装置に接地端子があれば,基準グラウンド面に接続する。 

− コンビネーション波形発生器の出力端子のグラウンド端子を,基準グラウンド面に接続する。 

− コンビネーション波形発生器の出力端子の高圧端子を,計量器のグラウンド端子に接続する。 

注記 計量器に接地端子がない場合,信号線に接続する信号線端子周辺のグラウンド回路から接続用

の線を引き出してもよい。 

この試験配置は,サージ電流が機器きょう体から信号線,基準グラウンド面を流れることを

意図しているので,それ以外の接続線等のグラウンド面に対する電気的接続は極力避ける。 

安全絶縁変圧器又は
結合・減結合回路網 

L

N

PE

周辺 
装置 

計量器 

信号線長L:計量器の仕様
で許容された最大値又は
20 mのいずれか短いほう 

PE 

発生器 

基準グラウンド面 

安全絶縁変圧器又は
結合・減結合回路網 

注記1 計量器及び/又は周辺装置への電源供給は,図に示すような安全絶縁変圧器を介するより,図26に

示すように減結合回路網を介したほうがよい。この場合,計量器の保護接地接続は,開放のままが望
ましい。 

注記2 このセットアップ例は,サージの印加部分に関しては,直流駆動の計量器にも適用する。 
注記3 図中の網掛け部分は,絶縁支持台を示す。 

図24−両端接地したシールド信号線へ印加する試験及び 

電位差を与える試験のセットアップ例 

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25 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

L

N

PE

周辺 
装置 

計量器 

信号線長L:計量器の仕様で
許容された最大値又は20 m
のいずれか短いほう 

PE 

発生器 

基準グラウンド面 

安全絶縁変圧器又は
結合・減結合回路網 

安全絶縁変圧器又は
結合・減結合回路網 

注記1 計量器及び/又は周辺装置への電源供給は,図に示すような安全絶縁変圧器を介するより,図26に示

すように減結合回路網を介したほうがよい。この場合,計量器の保護接地接続は,開放のままが望まし
い。 

注記2 このセットアップ例は,サージの印加部分に関しては,直流駆動の計量器にも適用する。 
注記3 図中の網掛け部分は,絶縁支持台を示す。 

図25−片端接地したシールド信号線へ印加する試験及び 

電位差を与える試験のセットアップ例 

L

N

PE

計量器

L

N

PE

減結合回路網

交流(直流)

電源

接地線

L

注記 図24及び図25のセットアップ例で示した,減結合回路網を介した電源供給の例 

図26−交流又は直流電源線への容量結合の試験セットアップ例 

(ライン−ライン間結合) 

6.5 

伝導性イミュニティ試験 

6.5.1 

試験の適用 

計量器に対する伝導妨害印加は,接続線等及び接地線に適用する。接続線等及び接地線を全くもたない

計量器には試験を適用しない。 

注記 特定計量器の伝導性イミュニティ試験の適用については,附属書Aに参考として補足を示す

(A.7.5.1参照)。 

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26 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.5.2 

試験条件の設定 

試験条件の設定は,次による。 

− 周波数範囲 :     150 kHz〜80 MHz 

− 搬送波信号の変調 :  1 kHzの正弦波で80 %の振幅変調 

− 周波数ステップ  :  直前の周波数の1 % 

− 各周波数の滞在時間 : 計量器が作動し,反応することができる時間以上 

              ただし,滞在時間を0.5秒以下にしてはならない。 

注記 計量器が,妨害信号を関知して反応する時間を判断することは困難であることが多く,確実な

試験を行うためには各周波数の滞在時間を3秒以上とすることが望ましい。これはJIS C 

61000-4-6:1999で規定していた“周波数の掃引率は,1.5×10−3 decade/sを超えてはならない。”

及び“周波数範囲を増加して掃引する場合,ステップサイズは校正点間の線形補間で,元の周

波数の1 %を超えてはならない。”を満たすことにもなる。 

6.5.3 

試験レベル 

6.5.3.1 

試験レベルの区別 

伝導性イミュニティ試験における試験レベルは,表5による。 

表5−試験レベル 

周波数範囲 150 kHz〜80 MHz 

レベル 

電圧レベル(e.m.f) 

Uo[dB(μV)] 

Uo(V) 

120 

130 

140 

10 

6.5.3.2 

試験レベルの適用 

計量器における試験レベルは,レベル2が望ましい。 

6.5.4 

結合・減結合回路網の選択 

計量器の接続線等及び接地線に接続する,結合・減結合回路網の選択を次に示す。 

− 接地ポート CDN-M1を用いる。 

− 電源ポート CDN-M2(単相2線),CDN-M3(単相3線)又はCDN-M4(三相3線及び接地線)を用

いる。 

− 非シールド平衡信号線 CDN-Txを用い,該当する結合・減結合回路網がない場合は,クランプ注入

法を用いる。 

− 非シールド不平衡信号線 クランプ注入法を用いる。 

− シールド信号線 CDN-Sxを用い,該当する結合・減結合回路網がない場合は,直接注入法を用いる。 

注記 非シールド平衡信号線の一例として電話回線及びLAN回線が挙げられる。 

6.5.5 

計量器の配置 

卓上形機器,床置形機器,壁掛形機器及び天井設置形機器は全て,同一の試験配置とし,次のように行

う。 

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27 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 基準グラウンド面の寸法は,計量器,周辺装置,接続線等,接地線,結合・減結合回路網,直接注入

器,クランプ及び付属物を配置した状態で投影した外形よりも全ての辺で0.2 m以上大きいこととす

る。 

− 計量器及び周辺装置は,基準グラウンド面から0.1 mの高さに絶縁支持台を介して配置する。 

− 全ての接続線等は,基準グラウンド面から30 mm〜50 mmの高さに絶縁支持台を介して配置する。 

− 結合・減結合回路網,直接注入器及びクランプは,基準グラウンド面に直接配置し,低インピーダン

スで基準グラウンド面に接続する。 

− 計量器にキーボードなど,常に人との接触がなされる部分については,擬似手を介して基準グラウン

ド面に接続する。 

注記 クランプオンタイプのフェライトチューブを用いた減結合回路は,基準グラウンド面への電気

的接続は行わない。 

6.5.6 

計量器の接続線等及び接地線の処理 

6.5.6.1 

一般 

計量器の全ての接続線等及び接地線に,結合・減結合回路網,直接注入器又はクランプを接続する。 

6.5.6.2 

結合・減結合回路網を用いた場合 

代表的な接続を,図27に示す。 

計量器及び結合・減結合回路網の配置は,次のように行う。 

− 計量器の該当する接続線等及び接地線に結合・減結合回路網を接続する。 

− 計量器と結合・減結合回路網との距離は,0.1 m〜0.3 mとする。 

− 計量器と結合・減結合回路網との接続線等の長さは,最短で結線する。 

注記1 計量器と結合・減結合回路網との接続線等の長さは最短で結線するので,多くの場合接続線

等の長さを最短に加工することが必要となる。 

注記2 結合・減結合回路網のAE端子から引き出された接続線等は,任意長でよい。 

結合・

減結合回路網

電源線又は信号線
(余長分は切除する。)

AE端子からの
配線は任意長

計量器

基準グラウンド面

絶縁支持台(高さ)

0.1 m

0.1 m〜0.3 m

絶縁支持台(高さ)

30 mm〜50 mm

RF信号発生器

試験信号発生器

電力減衰器(6 dB)

接地

図27−結合・減結合回路網を用いた場合の代表的な配置 

6.5.6.3 

直接注入法を用いた場合 

信号線に該当する結合・減結合回路網がないシールドされた信号線に適用する。 

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28 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

代表的な接続を,図28に示す。 

計量器及び直接注入器の配置は,次のように行う。 

− 計量器と直接注入器との距離は,0.1 m〜0.3 mとする。 

− 計量器に接続するシールドされた信号線を,直接注入器まで直線的に導き,直接注入器接続端子の位

置にあたるシールドされた信号線金属外皮に直接注入器を接続する。 

− 直接注入器から見て周辺装置側の信号線に,減結合回路(フェライトチューブ)を挿入する。 

注記 減結合回路(フェライトチューブ)から引き出された信号線は,任意長でよい。 

減結合回路

直接注入器

信号線

(余長分は切除する。)

計量器

基準グラウンド面

絶縁支持台(高さ)

0.1 m

0.1 m〜0.3 m

絶縁支持台(高さ)

30 mm〜50 mm

RF信号発生器

試験信号発生器

電力減衰器(6 dB)

接地

配線は任意長

図28−直接注入法を用いた場合の代表的な配置 

6.5.6.4 

クランプ法を用いた場合 

6.5.6.4.1 

一般 

非シールド不平衡信号線又は非シールド信号線に対して該当する結合・減結合回路網がない場合,クラ

ンプ法を用いることができる。 

クランプ法は,次に示す二つの印加回路があり,どちらの方法を採用するかは任意である。 

− EMクランプ法 

− 電流注入クランプ法 

注記 クランプ法は,計量器,周辺装置を介して高周波電流を流すことで,規定の試験レベルを満足

することができる。周辺装置側の非シールド線もできるだけ最短となるように加工することが

望ましい。特に,電流注入クランプ法は,EMクランプ法と比較して,ケーブル長によるイン

ダクタンス増加の影響が出やすい傾向が強いので注意が必要である。 

クランプ法を用いた場合の信号線の処理方法は,6.5.6.4.2又は6.5.6.4.3による。 

6.5.6.4.2 

EMクランプ法を用いた場合 

代表的な接続を,図29に示す。 

計量器及びEMクランプの配置は,次のように行う。 

− 計量器とEMクランプとの距離は,0.1 m〜0.3 mとする。 

− 計量器に接続する非シールド信号線をEMクランプまで直線的に導き,EMクランプに挿入する。 

注記 EMクランプには,EUT入力(ポート),AE入力(ポート)があるので接続の方向に注意する。 

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29 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EMクランプ

信号線(EMクランプ挿入位置の

調整により長さを調整する。)

計量器

基準グラウンド面

絶縁支持台(高さ)

0.1 m

0.1 m〜0.3 m

絶縁支持台(高さ)

30 mm〜50 mm

RF信号発生器

試験信号発生器

電力減衰器(6 dB)

接地

計量器

可能な限り
0.3 mまで

絶縁支持台(高さ)

0.1 m

絶縁支持台(高さ)

30 mm〜50 mm

信号線

(余長分は切除する。)

図29−EMクランプ法を用いた場合の代表的な配置 

6.5.6.4.3 

電流注入クランプ法を用いた場合 

代表的な接続を,図30に示す。 

計量器及び電流クランプの配置は,次のように行う。 

− 計量器と電流注入クランプとの距離は,0.1 m〜0.3 mとする。 

− 計量器に接続する非シールド信号線を電流注入クランプまで直線的に導き,電流注入クランプに挿入

する。 

注記 電流注入クランプに非シールド信号線を挿入する際に,電流注入クランプの中心部に非シール

ド信号線が固定されるよう配置する。 

クランプ

信号線(電流クランプ挿入位置の

調整により長さを調整する。)

計量器

基準グラウンド面

絶縁支持台(高さ)

0.1 m

0.1 m〜0.3 m

絶縁支持台(高さ)

30 mm〜50 mm

RF信号発生器

試験信号発生器

電力減衰器(6 dB)

接地

計量器

可能な限り
0.3 mまで

絶縁支持台(高さ)

0.1 m

絶縁支持台(高さ)

30 mm〜50 mm

信号線

(余長分は切除する。)

信号線はクランプ

の中心を通す。

図30−電流注入クランプ法を用いた場合の代表的な配置 

信号線(EMクランプ挿入位置の 
調整によって長さを調整する。) 

信号線(電流クランプ挿入位置の 
調整によって長さを調整する。) 

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30 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.5.7 

妨害信号の注入手順及び終端手順 

6.5.7.1 

一般 

この試験では,結合・減結合回路網に接続する計量器及び周辺装置のコモンモードインピーダンスを150 

Ωに近づけることによって生じる一定高周波電流を接続線等及び接地線に流すことで,妨害信号の注入を

行っている。そのため,どの結合・減結合回路網に終端抵抗(50 Ω)を接続するかが試験の要点となる。 

妨害信号の注入及び終端の手順は,6.5.7.2又は6.5.7.3による。 

6.5.7.2 

結合・減結合回路網及び直接注入法を用いる場合 

結合・減結合回路網及び直接注入法を用いた場合,高周波信号は,注入用結合・減結合回路網又は直接

注入器,計量器,終端した結合・減結合回路網,基準グラウンドの経路を流れる(図31参照)。 

接続線等に接続した結合・減結合回路網から妨害信号を注入する手順を次に示す。 

− 計量器に接続する全ての接続線等及び接地線に結合・減結合回路網を接続する。 

− 妨害信号を印加する結合・減結合回路網の妨害信号入力端子に妨害信号発生器を接続する。 

− その他の結合・減結合回路網の一つに終端抵抗(50 Ω)を接続する。 

終端する結合・減結合回路網の優先順位を次に示す。 

a) CDN-M1 

b) 注入箇所に近いCDN-Sx(シールド信号線用CDN) 

c) CDN-Mx(電源用CDN) 

d) a)〜c) 以外のCDN 

図31に妨害信号注入及び終端手順の一例を示す。 

計量器A

CDN

M1

CDN

M2

CDN

S1

計量器B

CDN

T2

周辺装置

印加CDN

終端CDN

M1

S1

M2

M1

S1

M1

T2

M1

妨害信号注入及び終端手順は,次による。 
− 計量器Aの接続線等及び接地線に妨害信号を注入する。 
− 接地線(CDN-M1)に妨害を注入する場合,終端CDNは順位が2番目であるCDN-S1を終端する。 
− CDN-M2,CDN-S1又はCDN-T2に妨害信号を注入する場合,順位が1番目であるCDN-M1を終端する。 
− 計量器Bに妨害信号を注入する場合,CDN-S1のEUT端子とAE端子とを付け換えて妨害信号を注入する。 

図31−妨害信号注入及び終端手順の一例 

6.5.7.3 

クランプ法を用いて妨害信号を注入する場合 

クランプ法を用いた場合,高周波信号は,クランプ,計量器,終端した結合・減結合回路網,基準グラ

ウンド,終端した結合・減結合回路網,周辺装置の経路を流れる(図32参照)。 

接続線等及び接地線に接続したクランプから妨害信号を注入する手順を次に示す。 

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31 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 計量器及び周辺装置に接続する全ての接続線等及び接地線に結合・減結合回路網を接続する。 

− 妨害信号を印加するクランプの妨害信号入力端子に妨害信号発生器を接続する。 

− 計量器に接続した結合・減結合回路網の一つに終端抵抗(50 Ω)を接続する。 

− 周辺装置に接続した結合・減結合回路網の一つに終端抵抗(50 Ω)を接続する。 

終端する結合・減結合回路網の優先順位を次に示す。 

a) CDN-M1 

b) 注入箇所に近いCDN-Sx(シールド信号線用CDN) 

c) CDN-Mx(電源用CDN) 

d) a)〜c) 以外のCDN 

注記 計量器及び周辺装置に結合・減結合回路網が接続できない場合(コモンモードインピーダンス

が150 Ωとならない場合)は,電流注入クランプを使用して高周波電流を監視しながら注入す

る。 

図32に妨害信号注入及び終端手順の一例を示す。 

電流注入
クランプ

周辺装置

CDN

M3

計量器B

CDN

M3

計量器A

CDN

T2

妨害信号

注入

高周波が流れるルート

注入クランプ

終端CDN

電流注入
クランプ

M3

終端CDN

M3

妨害信号注入及び終端手順は,次による。 
− 計量器A,B間の接続線等及び接地線に妨害信号を注入する。 
− 計量器A側の終端CDNは順位が3番目であるCDN-M3を終端する。 
− 計量器B側の終端CDNは順位が3番目であるCDN-M3を終端する。 
− 2個のCDNを終端することで,高周波が流れるルートができる。 

図32−妨害信号注入及び終端手順の一例 

6.6 

電源電圧降下試験 

6.6.1 

試験の適用 

計量器の電源電圧降下試験は,交流回路に接続される計量器に対して適用する。交流電源線を全くもた

ない計量器には試験を適用しない。 

電源電圧降下試験は,次の試験とする。 

− 電圧ディップ 

− 短時間停電 

6.6.2 

試験条件の設定 

試験条件の設定は,次による。 

− 試験間隔 : 最小10秒 

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32 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 繰返し数 : 3回 

注記 特定計量器の電源電圧降下試験の試験間隔及び繰返し数については,附属書Aに参考として補

足を示す(A.7.6.1参照)。 

− 開始位相角 : 0° 

6.6.3 

試験レベル 

6.6.3.1 

試験レベルの区別 

電源電圧降下試験における試験レベルは,表6及び表7による。 

表6−試験レベル 

レベル 

電圧ディップ及び継続時間 

振幅(%) 

計量器の分野に応じて設定 

継続時間 

(サイクル) 

振幅(%) 

0 a) 

0 a) 

70 

継続時間 

(サイクル) 

0.5 

25/30 b) 

振幅(%) 

0 a) 

0 a) 

40 

70 

80 

継続時間 

(サイクル) 

0.5 

10/12 b) 

25/30 b) 

250/300 b) 

注a) 振幅が0 %とは,停電に相当する。 

b) 例えば,“10/12”の表記は,“50 Hzの試験に対しては10サイクル”及び“60 Hzの試験に対

しては12サイクル”の継続時間を適用することを意味している。 

表7−試験レベル 

レベル 

短時間停電及び継続時間 

振幅(%) 

計量器の分野に応じて設定 

継続時間 

(サイクル) 

振幅(%) 

0 a) 

継続時間 

(サイクル) 

250/300 b) 

注a) 振幅が0 %とは,停電に相当する。 

b) 例えば,“250/300”の表記は,“50 Hzの試験に対しては250サイクル”及び“60 Hzの試験

に対しては300サイクル”の継続時間を適用することを意味している。 

注記 特定計量器の電源電圧降下試験の試験レベルについて,附属書Aに参考として補足を示す

(A.7.6.2参照)。 

6.6.3.2 

試験レベルの適用 

計量器における試験レベルは,電圧ディップにおいてはレベル3,短時間停電ではレベル2が望ましい。 

6.6.4 

計量器の配置 

卓上形機器,床置形機器,壁掛形機器及び天井設置形機器は全て,同一の試験配置とする。 

6.6.5 

電圧ディップ及び短時間停電 

図33のように,計量器,周辺装置及び試験装置を接続する。試験は,50 Hz又は60 Hzで6.6.2の試験

条件で行う。ただし,計量器の仕様で周波数が規定されている場合には,その周波数で試験を行う。 

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33 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

計量器

電圧ディップ及び

短時間停電試験装置

計量器の仕様の範囲で最小の長さとする。

周辺装置

基準グラウンド面への配置は特に必要がない。

図33−電圧ディップ及び短時間停電試験の代表的な配置 

6.7 

電源電圧変動試験 

6.7.1 

試験の適用 

計量器の電源電圧変動試験は,交流回路に接続される計量器に対して適用する。交流電源線を全くもた

ない計量器には試験を適用しない。 

電源電圧変動試験は,次の試験とする。 

− 電圧変動 

− 周波数変動 

注記 特定計量器の電源電圧変動試験の適用について,附属書Aに参考として補足を示す(A.7.7参

照)。 

6.7.2 

試験レベル 

6.7.2.1 

試験レベルの区分 

電源電圧変動試験における試験レベルは,表8による。 

表8−試験レベル 

電圧変動及び周波数変動 

レベル 

区分 

適用 

定格が単一の場合 

定格が範囲をもつ場合 

電圧 

上限 

1.10×Vnom a) 

1.10×Vmax c) 

下限 

0.85×Vnom a) 

0.85×Vmin d) 

周波数 

上限 

1.02×fnom b) 

1.02×f60 e) 

下限 

0.98×fnom b) 

0.98×f50 f) 

電圧 

上限 

1.20×Vnom a) 

1.20×Vmax c) 

下限 

最小動作電圧 

最小動作電圧 

周波数 

上限 

1.02×fnom b) 

1.02×f60 e) 

下限 

0.98×fnom b) 

0.98×f50 f) 

注a) 定格電圧 

b) 定格周波数 

c) 定格電圧に範囲がある場合の上限値 

d) 定格電圧に範囲がある場合の下限値 

e) 周波数が50 Hz/60 Hzの場合,60 Hz 

f) 周波数が50 Hz/60 Hzの場合,50 Hz 

6.7.2.2 

試験レベルの適用 

計量器における試験レベルは,レベル1が望ましい。ただし,汎用の外部電源を使用する場合は,レベ

ル2が望ましい。 

34 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 インバータ,AC/DCコンバータなどの外部電源であって,計量器の一部となる専用の外部電源

を使用する場合の試験の適用は,レベル1が望ましい。 

6.7.3 

計量器の配置 

卓上形機器,床置形機器,壁掛形機器及び天井設置形機器は全て,同一の試験配置とする。 

6.7.4 

外部電源(交流又は直流)を使用する場合の試験 

計量器がインバータ,AC/DCコンバータなどの外部電源を使用する場合は,その仕様によって,次のよ

うに試験を適用する。 

− 外部電源を計量器の一部とする仕様の場合 : 外部電源の入力に対して試験を行う。 

− 汎用の外部電源を使用する仕様の場合   : 計量器本体の入力に対して試験を行う。 

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35 

B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

特定計量器の電磁環境試験における補足事項 

A.1 一般 

特定計量器の電磁環境試験においては,4.1にあるように個別の特定計量器の技術基準における試験方法

によるが,その取扱いに関する補足事項を参考として示す。 

計量法における特定計量器のうち,電磁環境試験の技術基準を規定している特定計量器及びその対象試

験を,表A.1に示す。 

表A.1−各特定計量器の対象となる電磁環境試験項目 

機種 

技術基準 

















































タクシーメーター 

JIS D 5609 
:2005 

○ 

○ 

○ 

○ 

非自動はかり 

JIS B 7611-2 
:2009 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

水道メーター 

JIS B 8570-2 
:2007 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

温水メーター 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

燃料油メーター 
(自動車等給油メーター) 

JIS B 8572-1 
:2008 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

燃料油メーター 
(小型車載燃料油メーター) 

検則第8章 

○ 

○ 

○ 

○ 

燃料油メーター 
(大型車載燃料油メーター) 

○ 

○ 

○ 

○ 

燃料油メーター 
(簡易燃料油メーター) 

○ 

○ 

○ 

○ 

燃料油メーター 
(微流量燃料油メーター) 

○ 

○ 

○ 

○ 

燃料油メーター 
(定置燃料油メーター) 

○ 

○ 

○ 

○ 

液化石油ガスメーター 

検則第9章 

○ 

○ 

○ 

○ 

ガスメーター 

検則第10章 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

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B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.1−各特定計量器の対象となる電磁環境試験項目(続き) 

機種 

技術基準 

















































アネロイド型圧力計 
(電気式) 

検則第13章 

○ 

○ 

○ 

○ 

アネロイド型血圧計 
(電気式) 

JIS T 1115 
:2005 

○ 

○ 

○ 

積算熱量計 

JIS B 7550 
:2010 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

最大需要電力計 

JIS C 1283-2 
:2009 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

電力量計(単独計器) 

JIS C 1211-2 
:2009 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

電力量計(変成器付計器) 

JIS C 1216-2 
:2009 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

無効電力量計 

JIS C 1263-2 
:2009 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

注記1 検則とは,特定計量器検定検査規則のことをいう。 
注記2 表中の“○”は,試験が適用されていることを表す。 

A.2 周辺装置 

周辺装置の取扱いの違いは,計量器の構成によって表A.2に示すような試験の厳しさに分類されると考

えられるが,個々の特定計量器における電磁環境試験の対象としての範囲を考慮して試験を行う必要があ

る。 

注記1 周辺装置を接続しての試験の実施は,通常の使用状態での計量結果への影響を確認するため

であって,周辺装置の表示又は動作に影響する場合には,その影響を考慮した適合性の判断

が必要である。 

注記2 周辺装置の中でも,計量結果を表示するものにあっては,特定計量器との表示の一致を確認

する必要がある。 

注記3 汎用品であるPC(パーソナルコンピュータ)などを周辺装置として使用する計量器にあって

は,周辺装置を限定できない。しかし,代表例として一つの機種のPCを周辺装置として特

定計量器と接続して試験を実施することで特定計量器の電磁環境性能を評価することが可能

である。 

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B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.2−計量器の構成例と周辺装置の考え方 

試験の 
厳しさ 

計量器 

信号線 

周辺装置 

低 

○ 

× 

× 

中 

○ 

○ 

× 

高 

○ 

○又は× 

○ 

注記 ○は試験を適用することを示し,×は試験を適用しないことを示す。 

A.3 接続線等 

特定計量器に周辺装置を接続して試験を行う場合は,通常使用する接続線等を用いることが基本である

が,その用途などによって試験が困難なほど長い場合は,電磁波障害試験などの試験テーブルへの配置を

考慮して,1 mを下回らない長さであって同仕様の接続線等を用いてもよい。 

A.4 電源 

特定計量器の種類によっては,交流電源だけを試験の対象としているものがあり,内蔵電源である電池

については,該当する特定計量器の有効期間内の電池寿命を十分に保証すること,交換の時期を明確にす

ることなどの規定を設けている。 

A.5 試験・判定 

A.5.1 一般 

特定計量器の電磁環境試験の判定における確認方法は5.2によるが,その確認方法を詳細に示すとA.5.2

及びA.5.3のように計量状態又は非計量状態での妨害試験に分かれる。また,主な特定計量器の試験方法

は,表A.3のように分類する。 

注記 特定計量器の種類によっては,計量状態及び非計量状態の両方について妨害試験を行う場合が

ある。 

A.5.2 計量状態での電磁環境試験 

計量状態又は計量状態を模擬した計量器について,次のいずれかの方法で電磁環境試験の確認を行う。 

a) 積算計量器にあっては,妨害を与えずに計量する場合の積算時間(量)と,妨害を与えながら計量す

る場合の積算時間(量)とを同じにして,それぞれの計量結果を比較する。 

注記 計量状態を模擬したとは,例えば,計量器の演算部と計量検出部の代わりとなる計測原理に基

づいた擬似的な信号発生装置とを接続して,送信された信号から計量データを演算後,通常の

計量状態のように計量値を表示させることである。 

b) 積算計量器以外にあっては,同じ測定量(例えば,非自動はかりでは同一の分銅を荷重する。)におい

又は 

計量器 

計量器 

計量器 

周辺装置 

計量器 

周辺装置 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

て,妨害を与える前後の計量結果を比較する。 

A.5.3 非計量状態での電磁環境試験 

次のいずれかの方法で,計量状態ではない計量器に妨害を与えて電磁環境試験の確認を行う。 

a) 妨害を与えずに計量した結果と,計量状態ではない計量器に妨害を与えて,その後,計量器を計量状

態にして計量を行った結果とを比較する。 

なお,妨害を与える前後の計量における測定量は同じとする。 

b) 計量状態ではない計量器に妨害を与えて,その後,計量器を計量状態にして計量を行った結果によっ

て行う。 

表A.3−特定計量器の電磁環境試験における確認方法 

計量器の状態 

確認方法 

確認方法(対比) 

該当する主な特定計量器(その規格など) 

計量状態 

A.5.2 a) 

5.2 a) 

自動車等給油メーター(JIS B 8572-1:2008) 
水道メーター(JIS B 8570-2:2007) 
電力量計(JIS C 1211-2:2009) 

A.5.2 b) 

非自動はかり(JIS B 7611-2:2009) 

非計量状態 

A.5.3 a) 

ガスメーター(特定計量器検定検査規則) 
電力量計(JIS C 1211-2:2009) 

A.5.3 b) 

5.2 b) 

タクシーメーター(JIS D 5609:2005) 

A.6 有意な誤り 

特定計量器における有意な誤りは,3.2に定義したとおり許容誤差よりも大きな誤りである。ただし,面

前による取引に用いるような特定計量器では,計量結果を利用する全ての人々によって認識されるほどの

重大な誤りにあっては,間違った取引がされる蓋然性は低いことから有意な誤りとはしない場合もある。 

A.7 試験方法 

A.7.1 静電気放電試験 

A.7.1.1 試験レベルの適用 

特定計量器における静電気放電試験では,印加する試験電圧を限定して±4 kVなどと規定しており,下

位の試験レベルまでの実施を規定していないものが多い。 

A.7.1.2 放電間隔 

特定計量器における静電気放電試験の放電間隔は,一部の分野を除いて10秒と規定されていることが多

い。これは,接地,非接地の区別なしに試験中に炭素繊維ブラシなどを用いることなく除電が可能な自然

放電を意図したものと考えられる。 

A.7.2 電磁波障害試験 

A.7.2.1 周波数範囲 

特定計量器における電磁波障害試験の周波数下限は,26 MHzを採用している分野が多い。これは,一

般規格において伝導性イミュニティ試験で補われている80 MHz未満の周波数範囲における電磁的妨害試

験を行っていることにもなる。したがって,伝導性イミュニティ試験を採り入れる又は周波数範囲の下限

を26 MHzとすることが望ましい。 

A.7.2.2 照射方向 

特定計量器における電磁波障害試験の照射方向は,6.2.3.4の注記2のとおり通常の設置状態を考慮して,

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

計量器の前後左右の4面への照射を行うものが多い。 

A.7.3 衝撃性雑音試験 

A.7.3.1 試験の適用 

一部の分野の特定計量器では,インパルス雑音試験を適用している。 

例 タクシーメーター,電力量計 

A.7.3.2 容量性結合クランプ 

容量性結合クランプによる衝撃性雑音の印加は,信号線が3 mを超える場合と規定していることが多い

が,特定計量器においては使用状況を考慮した適合性試験であることから,容量性結合クランプに設置可

能な1 mを超える長さの信号線に対して試験を実施する場合がある。 

A.7.3.3 周辺装置 

衝撃性雑音の印加を意図しない周辺装置と計量器間の信号線を試験する場合には,その周辺装置を保護

する意味で減結合回路を挿入することを推奨しているが,周辺装置の誤動作は5.3の判定から除外される

こともあり,特定計量器の衝撃性雑音試験では,減結合回路の挿入をしていないことが多い。 

A.7.4 雷サージ試験 

A.7.4.1 試験の適用 

電源線への試験の適用について,電力線に誘導するサージ電圧を考慮すれば全ての計量器への適用が望

ましいが,特定計量器の分野によっては試験が適用されていない。 

一部の分野の特定計量器では,雷に対する安全性能を確認することを目的とした,雷インパルス耐電圧

試験を適用している。 

例 電力量計 

A.7.4.2 サージ回数 

特定計量器の雷サージ試験においては,サージ回数が3回となっている分野がある。 

例 ガスメーター,非自動はかり 

A.7.4.3 試験レベルの適用 

特定計量器の分野によって,安全を考慮して,適用する試験レベルを“特別”と規定しているものがあ

る。 

例 ガスメーター 

A.7.5 伝導性イミュニティ試験 

A.7.5.1 試験の適用 

伝導性イミュニティ試験において,接続線等及び接地線を全くもたない計量器は,試験を適用しないと

JIS C 61000-4-6において規定しているが,特定計量器では伝導性イミュニティ試験を採り入れている分野

が少なく,電磁波障害試験の周波数範囲の下限を26 MHzとして伝導性イミュニティ試験での周波数範囲

を部分的に補っている分野が多い。 

A.7.6 電源電圧降下試験 

A.7.6.1 試験の繰返し数 

特定計量器の電源電圧降下試験における試験間隔は1秒,繰返し数は10回としている分野がある。 

A.7.6.2 試験レベルの適用 

特定計量器における電源電圧降下試験は,表A.4の試験振幅及び継続時間を適用している分野が多い。 

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B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.4−試験 

試験内容 

振幅(%) 

継続時間(サイクル) 

短時間停電 

0.5 

電圧ディップ 

50 

A.7.7 電源電圧変動試験 

特定計量器の電源電圧変動試験について,非充電式電池及び計量器の作動時に充電不可能な充電式電池

を仕様とした計量器に対して,最小動作電圧での試験を適用している分野がある。また,直流を主電源と

している計量器は,計量性能試験の一部として電源電圧変動試験を適用している分野がある。 

A.8 追加要求事項 

特定計量器の電磁環境試験は,他の法令等の規制,又は使用環境によって,更に多くの試験項目が課せ

られている分野,また独自の試験方法を採用している分野がある。例えば,電気式のアネロイド型血圧計

及び非自動はかりの中の体組成計(体重計)では,医療関連法令等の規制によって,イミュニティだけで

なく,エミッションの試験も適用されている。また,タクシーメーターでは,電源電圧変動試験は車両用

に特化した試験方法になっている。 

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B 7615:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

試験名称の対応関係 

B.1 

対応関係 

この規格の箇条,基本規格(JIS C 61000-4の規格群)の名称及び通商産業省告示第四百九十四号電子回

路を有する特定計量器の試験方法について(以下,告示という。)の項目との対応関係は,表B.1による。 

表B.1−この規格の箇条,基本規格及び告示項目の対応表 

箇条 

基本規格群名称 

告示項目 

6.1 静電気放電試験 

JIS C 61000-4-2 
静電気放電イミュニティ試験 

四 “静電気放電試験” 

6.2 電磁波障害試験 

JIS C 61000-4-3 
放射無線周波電磁界イミュニティ試験 

六 “電磁波障害試験” 

6.3 衝撃性雑音試験 

JIS C 61000-4-4 
電気的ファストトランジェント/バースト
イミュニティ試験 

五 “衝撃性雑音試験” 
    (バーストノイズ試験) 

6.4 雷サージ試験 

JIS C 61000-4-5 
サージイミュニティ試験 

七 “雷サージ試験” 

6.5 伝導性イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-6 
無線周波電磁界によって誘導する伝導妨害
に対するイミュニティ 

該当なし 

6.6電源電圧降下試験 

JIS C 61000-4-11 
電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に
対するイミュニティ試験 

三 “電源電圧降下試験” 

6.7電源電圧変動試験 

該当なし 

二 “電源電圧変動試験” 

42 

B 7615:2013  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 
参考文献 

この附属書は,試験の実施に伴い参考とする文献を記載したものである。 

JIS C 61000-4-2:1999 電磁両立性−第4部:試験及び測定技術−第2節:静電気放電イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-3:1997 電磁両立性−第4部:試験及び測定技術−第3節:放射無線周波電磁界イミュニ

ティ試験 

JIS C 61000-4-3:2005 電磁両立性−第4-3部:試験及び測定技術−放射無線周波電磁界イミュニティ試

験 

JIS C 61000-4-5:2009 電磁両立性−第4-5部:試験及び測定技術−サージイミュニティ試験 

JIS C 61000-4-6:1999 電磁両立性−第4部:試験及び測定技術−第6節:無線周波電磁界によって誘導

された伝導妨害に対するイミュニティ 

JIS C 61000-4-11:2008 電磁両立性−第4-11部:試験及び測定技術−電圧ディップ,短時間停電及び電

圧変動に対するイミュニティ試験 

CISPR 16-1-2:2006 Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods−Part 

1-2: Radio disturbance and immunity measuring apparatus−Ancillary equipment−Conducted disturbances 

JIS D 5609:2005 タクシーメーター 

JIS B 7611-2:2009 非自動はかり−性能要件及び試験方法−第2部:取引又は証明用 

JIS B 8570-2:2007 水道メーター及び温水メーター 第2部:取引又は証明用 

JIS B 8572-1:2008 燃料油メーター 取引又は証明用 第1部:自動車等給油メーター 

JIS T 1115:2005 非観血式電子血圧計 

JIS B 7550:2010 積算熱量計 

JIS C 1283-2:2009 電力量,無効電力量及び最大需要電力表示装置(分離形)−第2部:取引又は証明

用 

JIS C 1211-2:2009 電力量計(単独計器)−第2部:取引又は証明用 

JIS C 1216-2:2009 電力量計(変成器付計器)−第2部:取引又は証明用 

JIS C 1263-2:2009 無効電力量計−第2部:取引又は証明用