2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 7601-1983
上皿天びん
Trip Balances
1. 適用範囲 この規格は,上皿天びん及びこれに附属して使用する分銅について規定する。
備考 この規格の上皿天びんとは,支点を中心にして力点と重点が等距離にあり,かつ,皿が力点及
び重点の上部にあって,指針と度表とにより釣合いを判定するはかりで,計量器検定検査令(昭
和42年政令第152号)で規定された質量計の種類では皿手動はかりに該当する。
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS Z 8103(計測用語)によるほか,次による。
(1) ひょう量 計ることができる最大質量。
(2) 感量 度表の目幅の2分の1以上の変位を生じさせるに足りる質量。
(3) 度表 質量を表さない目盛を付けた板で,指針と組み合わせて釣合いを判定するもの。
(4) 使用範囲 感量の20倍からひょう量までの有効測定範囲。
(5) 力点 分銅による荷重の作用点。
(6) 重点 被計量物による荷重の作用点。
(7) 器差 支点に対する重点及び力点の距離が異なることにより生じる誤差。
(8) 偏置誤差 荷重を皿の中央から外れた位置に載せたときに生じる誤差。
引用規格:
JIS B 0205 メートル並目ねじ
JIS G 3522 ピアノ線
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 4303 ステンレス鋼棒
JIS G 4307 冷間圧延ステンレス鋼帯
JIS G 4401 炭素工具鋼鋼材
JIS H 3100 銅及び銅合金の板及び条
JIS H 3110 りん青銅及び洋白の板及び条
JIS H 3250 銅及び銅合金棒
JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS Z 8103 計測用語
2
B 7601-1983
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3. 主要部の名称 上皿天びんの主要部の名称は,図1による。
図1 主要部の名称
備考 図1は,単に名称を示すためのものであって,形状の基準を示すものではない。
4. 種類 上皿天びんの種類は,ひょう量及び感量によって,表1のとおりとする。
3
B 7601-1983
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表1
ひょう量
感量
精密形
普通形
50g
50mg 未満
50mg
100g
100mg 未満
100mg
200g
200mg 未満
200mg
500g
500mg 未満
500mg
1kg
1g 未満
1g
2kg
2g 未満
2g
5kg
5g 未満
5g
10kg
10g 未満
10g
備考 精密形は感量がひょう量の1 000分の1未満のも
の,普通形は感量がひょう量の1 000分の1のもの
をいう。
5. 性能及び検査方法 上皿天びんの性能及び検査方法は,次による。
(1) 左右の皿に使用範囲内の同一の質量を加えた状態において,片方の皿に感量を加えたとき,指針の
先端が度表の目幅の2分の1以上変位しなければならない。
なお,検査は,空掛け及び左右の皿にひょう量を加えた状態で行う。
(2) 器差は測定量がひょう量の4分の1を超えるときは感量以下,ひょう量の4分の1以下のときは感
量の2分の1以下でなければならない。
なお,検査は,ひょう量及びひょう量の約4分の1の質量について,左右の皿の中央に同一質量
の分銅を載せたときの静止点と空掛けのときの静止点との差を測定して行う。検査に用いる分銅は,
質量の許容差が検査しようとする上皿天びんの器差の許容値の5分の1以下のものとする。
(3) 偏置誤差は,感量を超えてはならない。
なお,検査は,ひょう量の約4分の1の質量の分銅を左右の皿の中央に載せたときの静止点と図
2のように載せたときの静止点との差を測定して行う。
図2 偏置誤差の測定
4
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(4) 測定の前と後とにおいて,空掛けにおける静止点の差が感量の2分の1を超えてはならない。
6. 構造及び寸法 上皿天びんの構造及び寸法は,次による。
(1) 皿の転覆防止機構として,さお及び副さおを備えていなければならない。
(2) 皿受けは,力点又は重点のそれぞれの2箇所で支えられていなければならない。
(3) 力点と重点は,支点を中心にして等距離になければならない。
(4) 指針は,度表の中央線を中心にして振れなければならない。
(5) 指針の先端は,度表の目盛範囲以上動かなければならない。
(6) 指針の指示部分の太さは,目幅の5分の1以下でなければならない。
(7) 指針と度表との間隔は,ひょう量が1kg以下のものは1mm以下,ひょう量が1kgを超えるものは
2mm以下でなければならない。
(8) 皿の寸法は,表2による。
表2 皿の寸法
単位mm
寸法
ひょう量
D
d
50g
70± 1
10±2
100g
70± 1
10±2
200g
80± 1
12±2
500g
105± 1
16±2
1kg
125± 2
18±2
2kg
155± 5
20±2
5kg
190±10
25±5
10kg
240±15
25±5
(9) 左右の皿の質量の差は,感量を超えてはならない。
(10) 調子ねじは,表3による。
表3 調子ねじ
ひょう量
調子ねじ(1)
50g
M2.3
100g
M2.3
200g
M2.3
500g
M3
1kg
M3
2kg
M4
5kg
M5
10kg
M8
注(1) JIS B 0205(メートル並目ねじ)によ
る。
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(11) 調子玉は,作動中に容易に遊動するものであってはならない。
(12) 度表の目盛線の数は,中央線の左右各3本以上とする。
(13) 度表の目幅は,1mm以上とし,各目幅の差は,最小目幅の10分の1以下でなければならない。
(14) 度表の目盛線の太さは,0.1mm以上で,かつ,目幅の6分の1以下でなければならない。
7. 材料及び硬さ 上皿天びんの主要部の材料及び硬さは,表4に示すもの又はこれと同等以上のものと
する。
表4 主要部の材料及び硬さ
主要部
材料
硬さ
刃
JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)のSK3
HV633又はHRC57以上
刃受
JIS G 4401のSK4
HV633又はHRC57以上
刃ぶた
JIS G 4051(機械構造用炭素鋼鋼材)のS45C
HV633又はHRC57以上
副さおピン
JIS G 3522(ピアノ線)のSWP-A
−
8. 分銅
8.1
種類 上皿天びんに用いる分銅の種類は,形状によりJ形及びO形の2種類とする。
8.2
表示質量 分銅の表示質量は,表5による。
表5 分銅の表示質量
50mg, 100mg, 200mg, 500mg,
1g, 2g, 5g, 10g, 20g, 50g,
100g, 200g, 500g, 1kg, 2kg, 5kg
備考 1g未満の分銅は,特に指定があ
る場合,gによる数値で表示して
もよい。
8.3
質量の許容差 分銅の質量の許容差は,表6による。
なお,分銅の質量の検査は,天びん(2)及び分銅(3)を用い,置換法によって行う。
注(2) 感量が,測定しようとする分銅の質量の許容差(表6)に相当する質量以下のものであること。
(3) 質量の許容差が,測定しようとする分銅の質量の許容差(表6)の5分の1以内のものである
こと。
表6 分銅の質量の許容差
表示質量
許容差
表示質量
許容差
50mg
±0.7mg
20g
± 20mg
100mg
±1.0mg
50g
± 30mg
200mg
±1.5mg
100g
± 30mg
500mg
± 3 mg
200g
± 50mg
1g
± 5 mg
500g
±100mg
2g
± 5 mg
1kg
±200mg
5g
±10 mg
2kg
±400mg
10g
±20 mg
5kg
±800mg
8.4
形状,寸法及び構造 分銅の形状,寸法及び構造は,次のとおりとする。
(1) 分銅の形状及び寸法は,種類により図2又は図3及び表7又は表8のとおりとする。ただし,1g未満
の分銅については寸法を規定しない。
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図3 J形分銅の形状
備考 1g未満は,つまみやすいように一辺を適当に折り曲げる。
7
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表7 J形分銅の寸法
C 3602 Bの場合
単位mm
表示質量
A
B
C
D
E
F
G
寸法許容差
1g
9.5
1.3
3.5
4.8
3.5
2.5
1.5
±0.2
2g
9.8
2.7
4.0
6.7
4.0
2.5
1.5
±0.2
5g
12.7
3.9
5.0
8.9
5.5
3.5
1.5
±0.2
10g
12.8
8.5
5.0
13.5
5.5
3.5
1.5
±0.2
20g
14.9
12.7
6.5
19.2
6.5
4.0
2.5
±0.3
50g
19.8
18.3
8.0
26.3
8.0
5.0
2.5
±0.3
100g
24.8
22.3
12.0
34.3
11.0
8.5
3.0
±0.3
200g
31.8
27.5
14.0
41.5
14.0
10.0
4.0
±0.3
500g
41.5
40.5
20.0
60.5
17.0
14.0
5.0
±0.5
1kg
51.5
54.9
23.0
77.0
20.0
16.0
6.0
±0.5
2kg
64.5
63.3
29.0
97.5
27.0
22.0
8.0
±0.5
5kg
91.0
91.0
50.0
141.0
33.0
25.0
15.0
±1.0
SUS 304の場合
単位mm
表示質量
A
B
C
D
E
F
G
寸法許容差
1g
9.8
1.2
3.8
5.0
4.0
3.5
1.0
±0.2
2g
9.8
2.9
3.9
6.8
4.0
3.5
1.0
±0.2
5g
12.7
4.3
4.7
9.0
5.5
4.5
1.5
±0.2
10g
12.8
9.2
4.8
14.0
5.5
4.5
1.5
±0.2
20g
14.8
13.7
6.3
20.0
6.5
5.0
1.5
±0.5
50g
19.8
19.6
7.7
27.3
8.0
7.0
2.0
±0.5
100g
24.8
24.0
11.4
35.4
12.0
10.0
2.5
±0.5
200g
31.8
30.0
13.0
43.0
14.0
11.0
3.0
±1.0
500g
42.0
43.0
19.0
62.0
18.0
15.0
5.0
±2.0
1kg
52.0
57.0
23.0
80.0
21.0
17.0
8.0
±2.0
2kg
65.0
71.0
29.0
100.0
28.0
23.5
9.0
±2.0
5kg
91.0
92.0
50.0
142.0
33.0
25.0
15.0
±2.0
8
B 7601-1983
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図4 O形分銅の形状
表8 O形分銅の寸法
単位mm
表示質量
A
B
C
D
E
F
G
寸法許容差
1g
6
5.5
3
材料に
よる
1
0.9
0.5
±0.2
2g
6
5.5
3
1
0.9
0.5
±0.2
5g
8
7
4.5
1.4
1.25
0.5
±0.2
10g
10
9
6
1.6
1.5
0.5
±0.2
20g
13
11.5
7.5
2
1.8
0.5
±0.5
50g
18
16
10
3
2.5
1
±0.5
100g
22
20
13
4
3.5
1
±1.0
200g
28
25
16
4.5
4
1.5
±2.0
500g
38
34
22
6
5.5
1.5
±2.0
1kg
48
43
27
8
7
2
±2.0
2kg
60
54
36
10
9
2
±2.0
5kg
80
72
46
13
12
2
±2.0
(2) 分銅には,調整孔を設けることができる。
(3) 分銅の質量は,材料の密度が8g/cm3(アルミニウム及びアルミニウム合金の場合は2.7g/cm3)である
ものとして調整すること。
8.5
材料 分銅に用いる材料は,表9に示すもの,又は硬さ及び耐食性がこれらと同等以上のものとす
る。
表9 分銅に用いる材料
表示質量
材料
1g未満
JIS H 3110(りん青銅及び洋白の板及び条)の C7351P
JIS H 3100(銅及び銅合金の板及び条)の C2801P
JIS G 4307(冷間圧延ステンレス鋼帯)の SUS430
JIS H 4000(アルミニウム及びアルミニウム合金の板及
び条)の A5052P
1g以上
JIS H 3250(銅及び銅合金棒)の C3602B
JIS G 4303(ステンレス鋼棒)の SUS304
9
B 7601-1983
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9. 検査 検査は,上皿天びんの性能,構造及び寸法,材料及び硬さ並びに分銅の質量の許容差,形状,
寸法及び構造,材料について行い,5.〜7.及び8.3〜8.5の規定に適合しなければならない。
10. 表示
10.1 上皿天びん 上皿天びんには,次の事項を表示する。
なお,基台とさおには合番号を付ける。
(1) ひょう量又は使用範囲
(2) 感量
(3) 製造業者名又はその略号
(4) 製造番号
10.2 分銅 分銅には,表示質量を頭部又は本体の上面に刻印により表示する。ただし,O形分銅の1g未
満は,質量の表示を必要としない。
10
B 7601-1983
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
精密機械部会 上皿天びん専門委員会 構成表
氏 名
所 属
(委員会長)
大 山 勲
東洋大学工学部
内 川 恵三郎
工業技術院計量研究所
永 瀬 好 治
社団法人日本計量士会
森 本 修
通商産業省機械情報産業局
小 柳 武 昭
工業技術院標準部
芹 澤 清 介
国家公務員共済組合連合会三宿病院
永 井 曻
東京厚生年金病院
榎 本 貞一郎
社団法人東京医薬品工業協会
乾 忠 義
第一製薬株式会社中央研究所
青 嶋 博
山之内製薬株式会社
道 浦 末 春
大阪医薬品協会
森 酉三郎
株式会社森貞
中 村 久 良
中村理科工業株式会祉
内 田 富 勅
株式会社丸茂衡機製作所
村 上 和 雄
株式会祉村上衡器製作所
渡 辺 芳 郎
株式会社飯島製衡所
玉 木 忠 彦
大和製衡株式会社
吉 木 聿 二
株式会社石田衡器製作所
白 井 三 郎
白井精工株式会祉
長 利 雄
株式会社長計量器製作所
松 村 正 勝
社団法人日本計量機器工業連合会
(事 務 局)
横 溝 眞一郎
工業技術院標準部機械規格課
岡 島 弘 二
工業技術院標準部機械規格課