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B 7554 : 1997  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS B 7554 : 1993は改正され,この規格に置き換えられる。 

JIS B 7554には,次に示す附属書がある。 

附属書1(規定) 性能試験方法 

附属書2(規定) 簡易な性能試験方法 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 7554 : 1997 

電磁流量計 

Electromagnetic flowmeters 

序文 この規格は,1992年に第1版として発行されたISO 6817 Measurement of conductive liquid flow in 

closed conduits−Method using electromagnetic flowmeters及び1991年に第1版として発行されたISO 9104 

Measurement of fluid flow in closed conduits−Methods of evaluating the performance of electromagnetic 

flowmeters for liquidsを元に,対応する部分については技術的内容を変更することなく作成した日本工業規

格であるが,対応する国際規格には規定していない項目(検査,選定,測定及び保守点検並びに簡易な性

能試験方法)を追加している。 

1. 適用範囲 この規格は,工業用電磁流量計(1)(以下,流量計という。)の原理,構成及び機能,性能,

性能試験方法並びに使用方法について規定する。ただし,医療用,液体金属測定用及び開水路流量測定用

の流量計には適用しない。 

注(1) 流体の流れの方向と直角に磁界を発生させ,その磁界内を導電性液体が移動することによって

発生する起電力から流量を求める流量計。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 6817 Measurement of conductive liquid flow in closed conduits−Method using electromagnetic 

flowmeters 

ISO 9104 Measurement of fluid flow in closed conduits−Methods of evaluating the performance of 

electromagnetic flow-meters for liquids 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによってこの規格の一部を構成する。これ

らの引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS B 2238 鋼製管フランジ通則 

JIS B 2239 鋳鉄製管フランジ通則 

JIS C 0903 一般用電気機器の防爆構造通則 

JIS C 0920 電気機械器具の防水試験及び固形物の侵入に対する保護等級 

JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材 

JIS G 3451 水輸送用塗覆装鋼管の異形管 

JIS G 4303 ステンレス鋼棒 

JIS G 5527 ダクタイル鋳鉄異形管 

JIS H 4553 ニッケル及びニッケル合金棒 

JIS H 4650 チタン棒 

B 7554 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS H 4701 タンタル展伸材 

JIS Z 8103 計測用語 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8103によるほか,次による。 

a) 電磁流量計 電磁流量計は,次に示す検出器と変換器とで構成される。 

1) 検出器 被測定流量となる導電性液体と電気的に絶縁された測定管,測定管の直径上で対向し液体

中で発生した信号を測定する一対以上の電極,及び測定管内で磁界を発生させる励磁コイルとコア

とで構成される装置。検出器は,流量に比例した信号を出力する。 

2) 変換器 検出器の電極電圧から流量信号だけを検出し,流量に比例した出力信号に変換するための

回路をもつ機器。変換器には検出器と一体に取り付けられるものもある。 

b) 測定管 被測定流体が流される検出器の管部。管部の内面は通常電気的に絶縁されている。測定管の

口径及び面間寸法は,次による。 

1) 口径 検出器を接続する相手配管の呼び径。接続フランジの呼び径で表すこともある。 

2) 面間寸法 検出器の管軸方向のフランジ接続面間の寸法。ライニング又は接液リング付きの場合は,

その厚さを含む。 

c) 電極 信号起電力を取り出すための一対以上の導電体又は容量結合導電板。 

d) ライニング 検出器において,測定流体と直接接する測定管内面に被覆した比較的厚い絶縁性皮膜。

絶縁性測定管を含む。 

e) 接液リング 検出器と測定流体とを同電位にするための環状の導電体。 

f) 

電極電圧 流量信号及び同相ノイズ,磁束微分ノイズ(直角位相ノイズ),コモンモードノイズなどの

流量に無関係の信号を含む電極間の全電位差。 

1) 信号起電力 電極間に生じる流量に比例した電圧。 

2) 同相ノイズ 流量信号と同相ではあるが,流量によって変化しない電極電圧成分。 

3) 磁束微分ノイズ 磁束の微分によって生じる電極電圧成分で,流量信号と90°の位相差がある。商

用周波数励磁では直角位相ノイズと呼ぶ。 

4) コモンモードノイズ 各電極と基準電位との間に等しく存在する電圧。 

g) 出力信号 流量に比例し,変換器から伝送する信号。 

h) 検出器定数 流速1m/sにおいて,励磁電流を一定とした場合の信号起電力,又は一定起電力を発生す

る励磁電流に相当する検出器固有の定数。 

i) 

フルスケール流量 最大出力信号に相当する流量。 

j) 

フルスケール流速 最大出力信号に相当する流速。 

k) 精度定格 基準動作条件の下で,電磁流量計の形式によって許容される,誤差の限界。 

4. 測定原理 

4.1 

概要 磁界内を液体が移動すると,ファラデーの電磁誘導の法則によって起電力が発生する(図1

参照)。もし,磁界が電気的に絶縁された測定管に直角で,流れている液体の導電率が低すぎなければ,内

面の一対の電極間から電圧が測定できる。この電圧は磁界の強さ,流体の平均流速及び電極間距離に比例

する。この原理によって,流速及び流量が測定できる。 

4.2 

量記号及び単位 量記号及び単位は,次による。 

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量記号 

物理量 

単位 

磁束密度 

測定管の内径 

平均軸方向流体速度 

m/s 

信号起電力 

定数 

− 

体積流量 

m3/s 

4.3 

基本式 ファラデーの法則に従って,誘導電圧の大きさは,次の式で示される。 

E=kBDv ················································································· (1) 

体積流量は円形測定管の場合は,次の式となる。 

v

D

Q =

4

2

π

 ·············································································· (2) 

この関係があるので,式(1)は式(3)のように表される。 

E

kB

D

Q

=4π

 ·············································································· (3) 

ここで,磁束密度Bを一定とすると,管内の流量は,信号起電力を測定することによって求められる。 

図1 測定原理 

5. 構成及び機能 

5.1 

基本構成 流量計は,検出器と変換器との構成によって,図2に示すような分離形と一体形の二通

りに分類できる。分離形は,検出器と変換器とを各々独立に設置し,その間をケーブルで接続したもので,

ケーブルの長さは,測定する流体の導電率によって制限を受ける。一体形は,検出器と変換器とを一体と

して設置するもので,流体温度及び周囲温度に関して分離形に比べて適用温度範囲が制限される。 

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図2 検出器と変換器との組合せ方式 

5.2 

検出器の構造及び機能 

5.2.1 

主要部分の名称及び機能 流量計の主要部分の名称及び機能は,次による(図3参照)。 

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図3 検出器の構造図の例 

a) ケース 検出器内部の励磁コイル,コア,電極リード線などの機械的な損傷を防ぎ,周囲の環境から

保護する。機械的に十分な強度をもち,水,ほこりなどの侵入,内部の損傷を防ぎ,設置場所の雰囲

気に耐える構造でなければならない。 

b) 測定管 測定流体を流す導管を形成し,液体の圧力に対して機械的に耐える構造でなければならない。 

c) ライニング 測定管に内張りされた絶縁物で,信号起電力を電気的に短絡するのを防止する。ライニ

ング材料は測定流体に接するため,摩耗,腐食に十分耐えるものでなければならない。表1にその材

料を示す。 

なお,ライニングは,その材料によって流体温度の上限がある。 

d) 電極 測定管の管壁に取り付けて,電極電圧を取り出す。電極材料は測定流体の摩耗,腐食に十分耐

えるものでなければならない。表1にその材料を示す。 

e) 接液リング 検出器と測定流体とを同電位にする。フランジ面のライニングを保護する役割をするこ

ともある。材料は摩耗,腐食に十分耐えるものでなければならない。表1にその材料を示す。 

f) 

励磁コイル及びコア 測定管内に,変換器からの励磁電流に比例した磁束密度を作る。 

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表1 接液部の材料 

名称 

材料 

ライニング ふっ素樹脂 

  PTFE (Poly tetra fluoro ethylene)  

  PFA (Per fluoro alkoxyether)  

  FEP (Fluorinated ethylene propylene)  

クロロプレンゴム 

ポリウレタンゴム 

セラミックス 

電極 

ステンレス鋼 SUS316, SUS316L  (JIS G 4303による。) 

白金 (Pt)  

白金・イリジウム (Pt−Ir)  

タンタル (Ta)  

(JIS H 4701による。) 

チタン (Ti)  

(JIS H 4650による。) 

ハステロイB,ハステロイC 

(JIS H 4553による。) 

モネル 

(JIS H 4553による。) 

接液リング 一般構造用圧延鋼SS400 

(JIS G 3101による。) 

ステンレス鋼 

  SUS304, SUS316, SUS316L 

(JIS G 4303による。) 

白金 (Pt)  

白金・イリジウム (Pt−Ir)  

タンタル (Ta)  

(JIS H 4701による。) 

チタン (Ti)  

(JIS H 4650による。) 

ハステロイB,ハステロイC 

(JIS H 4553による。) 

モネル 

(JIS H 4553による。) 

導電性ふっ素樹脂 

5.2.2 

用途 流量計の用途及び構造の分類は,表2による。 

表2 用途及び構造 

種類 

用途 

構造 

一般用 

通常の使用環境下で使用する(排水流量測定用

を含む。)。 

JIS C 0920による。 

サニタリ用 通常の使用環境で使用し,食品関係に用いる。 食品衛生上無害な材料を使用し,接液部に残留

部がないこと。 

防爆用 

爆発性雰囲気で使用する。 

JIS C 0903による。 

水中用 

水中に没して使用する。 

JIS C 0920に規定する水中形による。 

5.2.3 

配管接続 流量計を配管接続するための方式による分類は,表3による。 

表3 接続方式 

種類 

構成 

フランジ接続方式 

検出器のフランジと配管フランジとを接続するもの[図4a)] 

フランジ挟込み方式 

フランジをもたない検出器を配管フランジ管に挟み込むもの[図4b)] 

サニタリ接続方式 

IDF(2)クランプをもつ検出器を,IDFクランプをもつ配管に専用のクラン

プで接続するもの[図4c)] 

ねじ接続方式 

ねじをもつ検出器をねじをもつ配管にねじ込んで接続するもの[図4d)] 

注(2) 国際酪農規格 

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図4 流量計を接続するための方式 

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図4 流量計を接続するための方式(続き) 

5.2.4 

口径 検出器の口径は,表4による。 

表4 検出器の口径 

単位mm 

口径 

口径 

口径 

 10 

300 

1 350 

 15 

350 

1 500 

 20 

400 

1 600 

 25 

500 

1 800 

 40 

600 

2 000 

 50 

700 

2 200 

 80 

800 

2 400 

100 

900 

2 600 

150 

1 000 

200 

1 100 

250 

1 200 

5.3 

変換器の構成及び機能 

5.3.1 

機能 変換器の主な機能は,次による。 

a) 検出器のコイルに流す励磁電流を作る。 

b) 信号起電力を増幅,変換し,表示・出力する。 

c) フルスケール流量(又は流速)を設定し,ゼロ点を調整する。 

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d) 電極電圧中の同相ノイズ,磁束微分ノイズ及びコモンモードノイズによる影響を除去する。 

e) 電源電圧及び周波数の変動による影響を除去する。 

f) 

磁界の変動による影響を除去する。 

5.3.2 

構成 変換器は,5.3.1の機能を達成するために,図5のようなブロック図で構成されているもの

とする。 

図5 変換器のブロック図の例 

5.3.3 

励磁 検出器のコイルに流す励磁方式は,商用周波数励磁及び方形波励磁が一般的である。表5

にその例を示す。商用周波数励磁方式は,商用電源によって,直接コイルを励磁する方式で応答性に優れ,

低周波の同相ノイズの影響を受けにくい。一方,方形波励磁方式は,変換器で商用周波数の偶数分の1の

方形状のパルスを作り,検出器のコイルを励磁する方式で,サンプリング区間を商用誘導ノイズの周期に

合わせているため,ゼロ点の安定性に優れ,低消費電力化が実現できる。 

表5 励磁方式の種類の例 

商用周波数励磁 

方形波励磁 

・ 商用周波数 
・ 正弦波 

・ 商用周波数の偶数分の1の周波数 
・ 方形波 

5.3.4 

出力信号 変換器の出力信号としては,次のもののうち,一つ以上を選択できる。 

a) アナログ直流電流信号 

b) アナログ直流電圧信号 

c) スケール化された又はスケール化されないパルス信号 

d) ディジタル通信信号 

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6. 性能試験方法 この流量計の性能評価は,附属書1又は附属書2の性能試験方法によって行う。附属

書1は詳細な試験方法であり,附属書2は簡易な試験方法である。これらの性能試験方法は,いずれも流

量計の総合的な評価を目的とする際に適用し,製造業者が実施する一般的な出荷検査の試験方法としては

適用しない。 

7. 測定誤差及び流量特性 

7.1 

測定誤差 電磁流量計の測定誤差は,指示値に対する誤差(指示値誤差)又はフルスケール流量に

対する誤差(フルスケール誤差)によって表す。 

指示値に対する誤差eは,次の式によって定める。 

(%)

100

×

=

Q

Q

I

e

ここに, 

e: 指示値に対する誤差 

I: 流量計の指示値 

Q: 基準校正器又は基準校正装置によって求めた実流量 

また,フルスケール流量に対する誤差eFは,次の式によって表す。 

(%)

100

max

×

=IQ

I

eF

ここに 

eF: フルスケール流量に対する誤差 

Imax: 流量計のフルスケール流量 

7.2 

流量特性 6.に示す実流校正試験の場合,次のような流量特性を定義する。横軸を流速とし,縦軸を

指示値誤差として測定結果を表す例を図6に示す。 

流量計の流量特性は,各流量測定点における指示値誤差の平均値を結ぶ曲線によって表される。フルス

ケール誤差を使用する場合においても,指示値誤差に換算して流量特性を求めることが望ましい。 

図6 流量特性の例 

8. 検査 流量計の検査は,次による。 

a) 外観 目視によって外観を検査し,5.2.1の規定に適合しなければならない。 

b) 寸法 寸法測定はノギス,巻尺などによって行う。面間など主要な部位の寸法は,製造業者の指定に

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よる。 

c) 精度定格 実流試験を行い,定められた精度定格に適合しなければならない。ただし,実流校正検査

を行うフルスケール流速は,使用者の指定する値又は2m/sとし,流量値はその0%,50%及び100%

付近の3点とする。また,50%より小さい値まで指示値誤差の精度定格を表示する流量計は,その流

量値においても測定を行う。 

d) 検出部の耐水圧性 最高使用圧力の1.5倍又は最高使用圧力+0.5MPaのいずれか大きな水圧を5分間

加え,漏れがあってはならない。 

e) 絶縁性 電源端子と接地端子との間の絶縁抵抗値は,10MΩ以上とする。 

f) 

構造 目視によって5.2.1の規定に適合していることを確認する。 

g) こん(梱)包 検査に合格した流量計は運搬保管の条件を考慮して,ライニング,電極,配管接続面

を保護するためビニル袋,ふた,木枠などによって適切なこん包を行うことが望ましい。 

9. 表示 流量計の見やすい箇所に,次の事項を表示しなければならない。 

a) 検出器 

1) 製造業者の定める型式と製造番号 

2) 定格圧力と温度 

3) 電源:電圧,周波数,電力(検出器に独立に電源が供給される場合,又は一体形の場合) 

検出器には,更に次の事項も表示することが望ましい。 

4) 保護構造等級 

5) 公称口径 

6) ライニング材質 

7) 電極材質 

8) 流れの方向 

9) 検出器定数 

10) 質量 

b) 変換器 

1) 製造業者の定める型式と製造番号 

2) 電源:電圧,周波数,電力 

3) 出力信号 

4) 制限負荷インピーダンス 

なお,一体形の流量計については,a)の表示項目のほかに,b)の3)及び4)を表示しなければならな

い。 

10. 選定 流量計は,使用条件に応じて,次の一般事項を考慮して選定する。 

a) フルスケール流量 予想される流量の最大値を下回らないようにフルスケール流量を選ぶ。常用流量

は,フルスケール流量の50%を超えることが望ましい。 

b) 口径 一般に管路と同じ口径のものを選ぶ。さらに,次の条件を考慮し,必要に応じて口径を変える

ことが望ましい。 

1) 摩耗 摩耗のおそれがある場合には,流速を小さくする。 

2) 沈殿物及び異物の付着 沈殿物のたい積及び異物の付着が生じるおそれがある場合は,流速を大き

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くする。 

c) フランジ規格 流量計の検出器と配管との接続がフランジ結合の場合,一般には,次の規格のいずれ

かに適合する管フランジを用いる。また,フランジ挟込み形検出器の場合も,配管側の管フランジは

次による。 

1) JIS G 3451によるもの。 

2) JIS G 5527によるもの。 

3) JIS B 2238及びJIS B 2239によるもの。 

d) 接液部の材質 ライニング,電極,接液リングなど接液部の材質は,測定流体の温度・圧力及び測定

流体による腐食・摩耗に耐えるものを選ぶ。 

e) 構造 防水性,防爆などを考慮して,5.2.2に従って使用場所に適した構造のものを選ぶ。 

f) 

電源 供給電源の電圧及び周波数を考慮して選ぶ。 

g) 応答性 脈動流及び過渡的な流れを測定する場合には,必要な応答性を考慮する。 

11. 設置 

11.1 設置環境 

11.1.1 測定液体 測定液体についての条件は,次による。 

a) 液体は,測定に必要な導電率をもち,かつ,導電率の分布はほぼ均一とみなせること。 

b) 測定中,液体は常に検出器の測定管を満たして流れていること。 

c) 混入物がある場合,混入物の分布は,ほぼ均一とみなせること。 

d) 液体は接地されていること。 

11.1.2 設置場所 流量計の設置に当たっては,次の点を注意する。 

a) 混相流体を測定するときは,相の分離が起こらない場所を選ぶ。 

b) 測定管内が負圧になる場所はなるべく避ける。 

c) 誘導電流が測定管内に生じるおそれがある場所は避ける。 

d) 測定に障害を起こすおそれがある電気機器の付近を避ける。 

e) 振動の少ない場所を選ぶ。 

f) 

直射日光を受ける場所はなるべく避ける。 

g) 腐食性雰囲気の場所はなるべく避ける。 

h) 浸水のおそれがある場所はなるべく避ける。 

i) 

保守の容易な場所を選ぶ。 

j) 

一体形の場合は,特に振動,直射日光及び流体温度に注意が必要である。 

k) 検出器及び変換器の周囲温度,湿度の条件は,表6による。 

表6 周囲温度及び湿度 

検出器 

変換器 

周囲温度 

分離形 

−10〜60℃ 

−10〜45℃ 

一体形 

−10〜50℃ 

湿度 

分離形 

95%以下 

90%以下 

一体形 

90%以下 

11.2 検出器の取付け 

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11.2.1 必要な直管の長さ 検出器電極の上流には,流速分布の均一性を確保し精度よく測定するため,検

出器の測定管を含めて直管部分を設ける(図7参照)。 

a) 収縮管は直管の一部とみなすことができる。また,拡大管は気泡がたまりやすいので避けたほうがよ

い。 

b) 測定管やそのすぐ下流部に磁界,起電力,及び流速分布を乱すものを,挿入又は設置してはならない。

一例として,検出器の下流側にちょう形弁を直結すると,バルブ開度によって大きな誤差を生じるこ

とがある。 

なお,ちょう形弁を開いたときに,バルブが検出器の中に入らないようにする必要がある。 

備考 Lは,測定管の呼び口径Dの倍数で表す。 

図7 流量計の直管長 

11.2.2 取付け姿勢 検出器の取付け姿勢は,次による。 

a) 検出器は,図8に示すように水平,垂直,又はその他の姿勢で取り付けることができる。 

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図8 流量計の取付け姿勢 

b) 取付け姿勢を定めるに当たっては次の点を考慮し,これらが問題になる場合は,検出器を垂直に取り

付ける。 

1) 電極面への気泡及び異物の付着。 

2) 測定管内部の混入物の沈殿。 

3) 混入物によるライニングの部分的摩耗。 

c) 電極は,図9に示すように,水平方向に取り付けることが望ましい。 

図9 流量計の取付け方法 

d) 水平姿勢以外に取り付ける場合には,液体を下方から上方へ流すことが望ましい。 

e) 一体形の場合は,表示機能の有無及び保守性も考慮に入れて決定する。 

11.2.3 配管上の注意 配管上の注意は,次による。 

a) 流量計出力信号のゼロ点の確認・調整のために,配管にバルブを設けるなどによって,検出器に液体

が充満,かつ,静止できなければならない。 

b) 取付けに当たっては,配管の質量及び外力が異常に検出器に加わらないように注意する。 

c) 検出器内部の点検又は清掃のため,図10に示すようにバイパス配管を設けることが望ましい。また,

取付け,取外しを容易にするためにルーズ短管を付設する方がよい。 

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15 

B 7554 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図10 バイパス配管 

d) 検出器の点検,又は検出器を取り外す場合は,内部の液が完全に抜けるように考慮する。 

e) 流量制御弁は検出器の下流側に設置し,上流側への設置は避けるのが望ましい。 

11.3 電気接続 電気接続をするに当たっては,次の点を考慮する。 

a) 検出器・変換器の電気接続及び設置は,推奨された導線及び方法で行う。 

b) 分離形においては,検出器と変換器との間の配線距離には制約があるので注意する。この距離は,測

定液体の導電率によっても変化する。また,誘導障害を避けるため,この距離は短くする方が望まし

い。 

c) 検出器と測定流体とを同電位にすることが望ましい。このためには,電気的に接続している隣接管又

は接液リングと検出器を接続する。 

d) 流量計の電源は,測定に影響を与えるおそれがある電気機器と,分離することが望ましい。また,使

用する流量計に定められている電源の波形,消費電力,及び励磁電流について考慮する。 

e) 配管の腐食防止のために,配管に微小電流を流しているような場合には,電極,接液リングへの流出

入のノイズを避けるため,流量計と配管を電気的に絶縁する必要がある。 

12. 測定及び保守点検 

12.1 測定 流量計の測定操作は,次による。 

a) 測定管に液体を充満させる。 

b) 流量計の電源を投入する。 

c) 流れを止め,測定管内の液体を静止させる。 

d) 流量計の指示の安定後,ゼロ点を確認する。 

なお,必要によってゼロ点を調整する。 

e) 液体を流して,測定を開始する。 

12.2 保守点検 流量計の保守点検は,必要に応じて次の項目について行う。 

a) 測定管内若しくは電極が汚染された場合又はそれらに沈殿物がたい積した場合,必要に応じて洗浄,

除去する。また,これらが予測される場合,定期的に,洗浄,除去を行うことが望ましい。 

b) 配管接続部に液体の漏れがないことを確認する。 

c) 検出器又は変換器の端子部に緩み,腐食がないこと。また,浸水による障害がないことを確認する。 

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B 7554 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(規定) 性能試験方法 

序文 この附属書で規定する評価方法は,製造業者が製品の性能を決定するため,また使用者又は独立し

た試験機関が製造業者の性能仕様を検証し,アプリケーションへの適合性を証明するためのものである。 

この附属書で規定する試験条件,例えば,周囲温度範囲や電源は,一般に使用する条件を示している。

したがって,ここで規定した値は,別途製造業者の指定がない限り使用しなければならない。 

この附属書で規定する試験は,極端な状態で使用できるように,特に設計された計器に対しては必ずし

も十分ではない。逆に,これらは限定した試験であっても,限られた条件内で動作するように設計された

計器に対しては適合する。 

なお,この規格は,ISO 9104 : 1991による。 

1. 適用範囲 

1.1 

この附属書は,閉じた管路の中を流れる液体に対する電磁流量計の性能を評価する試験方法を推奨

するものである。これは,流量計が性能の測定結果を表す方法や特定の影響量に依存する場合,その性能

特性を保証する一定の試験手順を規定する。 

備考 この附属書に従うすべての評価が必要でない場合においても,必要とされる試験についてはこ

の附属書の関連項目に従って実行され,結果が報告されることが望ましい。 

1.2 

この附属書は,配管に取り付けられる工業用の電磁流量計だけに適用される。挿入型流量計,液体

金属流量計,医療用流量計には,たとえ述べられている試験の幾つかが製造業者と使用者又は評価機関の

間で合意されたものであっても,この規格は適用しない。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この附属書で引用されることによって,この附属書の一部を構成する。

発行された時点において,明示された版は正式なものである。すべての規格は改正することがあり,この

附属書に基づいて合意した団体は次の規格の最新版が適用される可能性について調査することが望ましい。

IECとISOのメンバーは,最新の国際規格を保存している。 

ISO 3966 : 1977, Measurement of fluid flow in closed conduits−Velocity area method using Pitot static tubes 

ISO 4006 : 1991, Measurement of fluid flow in closed conduits−Vocabulary and symbols 

ISO 4185 : 1980, Measurement of liquid flow in closed conduits−Weighing method 

ISO 5168 : −1), Measurement of fluid flow−Evaluation of uncertainties 

ISO 6817 : −2), Measurement of conductive liquid flow in closed conduits−Method using electromagnetic 

flow -meters  

ISO 7066-1 : 1989, Assessment of uncertainty in the calibration and use of flow measurement devices−Part 1 : 

Linear calibration relationships  

ISO 7066-2 : 1988, Assessment of uncertainty in the calibration and use of flow measurement devices− Part 

2 : Non-linear calibration relationships  

ISO 8316 : 1987, Measurement of liquid flow in closed conduits−Method by collection of the liquid in a 

volumetric tank  

IEC 68-2-3 : 1969, Basic environmental testing procedures−Test Ca : Damp heat, steady state 

IEC 68-2-4 : 1960, Basic environmental testing procedures−Test D : Accelerated damp heat 

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B 7554 : 1997  

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IEC 68-2-6 : 1982, Basic environmental testing procedures−Test Fc and guidance : Vibration (sinusoidal)  

IEC 68-2-27 : 1972, Basic environmental testing procedures−Test Ea : Shock 

IEC 770 : 1984, Methods of evaluating the performance of transmitters for use in industrial-process control 

systems 

3. 定義 この附属書で用いる主な用語の定義は,ISO 4006によるほか,次による。 

3.1 

電磁流量計 流れに対して垂直に磁界を発生させて,磁界の中を導電性流体が動くことによってつ

くられた誘導起電力から流量を求めることができる流量計。電磁流量計は検出器と変換器で構成されてい

る。 

3.2 

検出器 次の要素を含んでいる装置である。 

− 測定される導電性流体が,その中を流れる電気的に絶縁された測定管。 

− 流体中で発生した信号を測定する対向位置に設けられた一対以上の電極。 

− 測定管内で磁界を発生させる励磁コイル。 

検出器は流量に比例した信号,ある場合にはそれと参照信号を発生する。 

3.3 

変換器 検出器の電極電圧から流量信号だけを検出し,流量に比例した出力信号に変換するための

回路をもつ機器。変換器には,検出器と一体に取り付けられるものもある。 

3.4 

測定管 被測定流体が流される検出器の管部。管部の内面は,通常電気的に絶縁されている。 

3.5 

電極 信号起電力を検出するための一対以上の導電体又は容量結合導電板。 

3.6 

低レンジ値 装置で測定できる最も低い値。 

3.7 

高レンジ値 装置で測定できる最も高い値。 

3.8 

スパン 高レンジ値と低レンジ値の差。例えば,レンジが4mAから20mAであるときに,スパンは

16mAに相当する。 

3.9 

コモンモード電圧 各々の電極と基準電位との間に等しく存在する電圧。 

3.10 参照信号 検出器で作られる磁界の連続的変化に比例した信号であり,変換器で流量信号と比較さ

れる。 

3.11 出力信号 流量に比例し,変換器から出力される信号。 

3.12 フルスケール流量 最大出力信号に相当する流量。 

3.13 基準測定 周囲条件に対し敏感なパラメータを基準雰囲気の値に調整するための補正係数が不明で

あり,かつ,推奨の周囲条件の許容範囲下での測定ができない場合に,厳密に制御された周囲条件下で繰

り返し行われる測定。 

4. 一般試験条件 ほとんどの電磁流量計の評価試験は,流量計と標準校正装置,又は基準流量計を流れ

る液体で実施される。試験管路は,工業的な流体条件に特有なレイノルズ数の範囲で常に生じる乱れによ

る局所流速の急速な変動がない,平均した定常流が保証されなければならない。更に,被試験電磁流量計

の不確かさを予想するときには,基準流量計や,校正装置の測定の不確かさが,考慮されることが望まし

い。 

試験機関と製造業者は,密接な関係であることが望まれる。試験内容を決めるときは,機器の製造業者

の仕様書に注意を払い,製造業者は試験内容とその結果に意見を出すことが望ましい。 

4.1 

一般要件 

4.1.1 

流れは安定している。 

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B 7554 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.1.2 

上流側直管の入り口では,流れは軸対称で大きな脈動や旋回がないことが望ましい。 

4.1.3 

流速又は流量測定のための基準流量計又は校正基準器(1)は,ISO 4185,ISO 8316,又は液体流量測

定に関連する今後の国際規格に適合していなければならない。 

注(1) 流量測定に使われる基準器には様々な種類があることが知られている。質量,長さ,時間の基

本単位を直接測定する機器は一般に一次基準器と呼ばれる。一次基準器で校正された流量計を

含む機器は,よい再現性を示せば,校正目的の流量測定に使用することができる。これらの基

準器は,一般に二次基準器と呼ばれる。 

液体流量測定の将来の開発は高精度の基準器を作り出すかもしれない。基準器の精度が基本測定にトレ

ーサビリティをもち,基準器がその不確かさと被試験機器の校正に与える影響に関して十分に研究されれ

ば,新しい基準器の開発は認められる。 

4.1.4 

基準流量計や,校正基準器は,被試験流量計の流量範囲を満たす範囲をもたなければならない。流

量計が二つ以上の試験装置で試験されるときは,そのすべての設置方法は記述されなければならない。 

基準装置の精度定格は,被試験機器の精度定格の少なくとも3倍以上であることが望ましい。 

4.1.5 

設置方法及び基準器は詳細に記述されなければならない。それは,基準器のトレーサビリティ及び

基準器の一部をなす機器や表示の不確かさの範囲が含まれる。流量測定における不確かさの評価は,ISO 

5168,ISO 7066-1及びISO 7066-2に従うこと。 

4.1.6 

液体が流れる配管内は常に満たされていなければならない。液体は4.3で定義された条件に適合し

なければならない。 

4.1.7 

試験中の流量計に対する調整は記録されなければならず,基準条件下での性能に対する調整の影響

が決められ,出力スパンのパーセント (%) で表されるのがよい。 

4.1.8 

電磁流量計の性能に影響する条件が幾つかある場合は,一度に一つの条件だけを変えて試験を行う

のがよい。このとき他の条件は変えてはならない。適当な方法によって相互に作用するパラメタの変化を

制限する必要がある。 

4.2 

設置 

4.2.1 

配管接続 電磁流量計の検出器及び変換器は,製造業者の取扱要領又はISO 6817に従って設置す

るのがよい。試験中は測定管を液体で満たす。液体を満たすことは,検出器が接続される配管路にある気

泡の除去を正しく行うことを含む。 

製造業者が接液リングの使用を推奨するならば,それを適用し,記録することが望ましい。 

製造業者から接続配管材料に対する推奨がない場合は,異種配管材料を使用し性能への影響を測定する

必要がある。 

材料の例を,次に示す。 

− プラスチック管(電気的に絶縁性であり,非磁性である。) 

− 鋼管(電気的に導電性であり,磁性がある。) 

− ステンレス管(電気的に導電性であるが,非磁性である。) 

影響は,出力スパンのパーセント (%) で表す。 

すべての場合において,測定装置に対する製造業者の接続要領を確認しなければならない。 

製造業者の推奨がない場合には,公称口径又は上下流配管の公称口径に合う公称内径をもつ配管に流量

計を設置すること。流量計に接続する配管の内径は,流量計の内径より小さくなく,3%以上大きくてはな

らない。 

検出器は,上流側障害物から公称口径の少なくとも10倍の長さと下流側に5倍の長さの距離をもつ直管

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B 7554 : 1997  

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に配管されなければならない。必要に応じて,整流器を旋回流防止に使用するのがよい。試験は,絞り機

構(例:バルブ又は一部開かれたゲート)の下流で実施しないほうがよい(5.2.3.2を参照のこと。)。 

配管と流量計の接続では,シール材が流れの中に突出しないようにしなければならない。 

フランジをもたない検出器,すなわち,フランジ間に接続される検出器の場合には,できる限り同心で

設置するように注意する。 

周囲の材料が,測定管の磁界に影響する可能性がある場合には,製造業者の助言を求めるのがよい。 

4.2.2 

電気接続 測定液体と検出器はできるだけ接地電位において同電位であることが望ましい。液体と

検出器ケースとの接続は,隣接の導電性配管に直接に接続するか,又は検出器両端の接液リングによって

接続してもよい。 

検出器と変換器との間の接続は,製造業者の要領書に注意して従わなければならない。電源への接続も

要領書に従う。 

4.3 

試験液体 試験液体の特性は,流量特性への影響があるので,影響を無視できる条件で水を使用す

るのが一般的である。水の温度は,4℃〜35℃で,気泡や,磁性粉がなく,目で見える混入物が少ないこと

が望ましい。他の液体では,その種類(商標を含む。),粘度,密度及び導電率が,試験前後で分かり,決

められなければならない。 

4.3.1 

気泡混入 試験液体には,気泡混入があってはならない。試験圧力は,液体を維持するようにその

液体の蒸気圧以上とし,配管装置のいかなる箇所でも液体中への溶存気体の放出がないように,十分に高

くしなければならない。 

4.3.2 

導電率の範囲 試験液体の導電率は,5mS/m (50μS/cm) 〜500mS/m (5 000μS/cm) の範囲か,又は

製造業者が指定したものが望ましい。 

4.4 

環境試験条件 この附属書の中で規定された試験条件は,IEC 160に合致している。 

試験と校正は,特に記載しない限り,この基準条件において行わなければならない。 

この附属書の中に与えられたすべての仕様は,これらの基準条件に従っている。 

4.4.1 

基準周囲条件 この附属書の目的を達成するためには,基準周囲条件は,次の条件に合致していな

ければならない。 

温度 

:20℃ 

相対湿度 

:65% 

大気圧 

:101.3kPa (1 013mbar)  

この基準周囲条件は,他の周囲条件の下で測定された値が計算で補正される場合の基準となるものであ

る。多くの場合,湿度に対する補正は不可能であると考えられる。そのような場合は,基準周囲条件とし

て温度及び大気圧だけが考慮される。 

この周囲条件は,通常,製造業者によって規定される基準動作条件と同等である。 

4.4.2 

試験測定のための周囲条件の許容範囲 試験測定のための周囲条件の許容範囲は,附属書1表1

による。 

附属書1表1 周囲条件の許容範囲 

条件 

許容範囲 

温度 

4℃〜35℃ 

相対湿度 

35%〜75% 

大気圧 

86kPa (860mbar)  

〜106kPa (1 060mbar)  

電磁界 

関係ある場合は,許容範囲を定義する 

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B 7554 : 1997  

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いかなる試験中であっても,許容される温度の最大変化率は1時間当たり5℃でなければならない。 

4.4.3 

基準測定のための標準周囲条件 周囲条件に対して敏感なパラメタをそれらの基準雰囲気の値に

対し調整する補正係数が不明であり,かつ,4.4.2で定義された周囲条件の許容範囲の下で測定ができない

場合には,厳密に制御された周囲条件の下で繰返し測定を行わなければならない。 

この附属書の目的を達成するため,附属書1表2に示した周囲条件を基準測定のために規定する。 

附属書1表2 標準周囲条件 

条件 

公称値 

許容差 

温度 

20℃ 

±2℃ 

相対湿度 

65% 

±5% 

大気圧 

86kPa (860mbar)  

〜106kPa (1060mbar)  

熱帯,亜熱帯又は特別な要求事項に対しては,別の基準周囲条件がIEC 160に与えられている。 

4.5 

電気的試験条件 

4.5.1 

基準値 基準値は,製造業者によって規定されたものでなければならない。 

4.5.2 

許容差 使用者と製造業者間でより厳しい許容差が合意される場合を除き,附属書1表3に与えら

れた電源に関する許容差が適用されなければならない。 

附属書1表3 電源の許容差 

変数 

許容差 

定格電圧 

±1% 

定格周波数 

±1% 

高調波ひずみ 

5%以下(交流電源) 

リップル 

0.1%以下(直流電源) 

4.5.3 

接続用ケーブルの基準条件 検出器を変換器に接続するためのケーブルは,必要以上に長くなく,

また,製造業者の要求事項に合致していなければならない。 

4.6 

信号出力 

4.6.1 

アナログ出力 負荷インピーダンスは,最大値と最小値との算術平均か,又は製造業者によって規

定された基準値でなければならない。 

4.6.2 

周波数出力 負荷インピーダンスは,変換器に最大の負荷を与えるため,許容される最小値としな

ければならない。 

4.7 

ゼロ点の確認 流量計のゼロ点を確認するためには,静止した液体を満たしたまま,検出器を通る

流れを止める手段を提供しなければならない。 

4.8 

その他の条件 測定に影響を与える脈動圧及び/又は脈動流があってはならない。 

4.9 

流量計の校正−必要事項及び方法 被試験流量計と関連する試験機器は,安定化してよいものとす

る(すなわち,いかなる試験を開始する前であっても,安定した環境条件の下で少なくとも15分間のウォ

ームアップ時間が許容される。)。このウォームアップ期間中,出力はその範囲の概略中央の値にしなけれ

ばならない。試験結果に影響を与えると思われる環境条件は,観察し,かつ,記録しなければならない。 

特に規定しない限り,流量計は試験の前に最小レンジ及び最大レンジにおいて,最小誤差となるように

調整しなければならない。 

規定された流量レンジにおける流量計システムの性能を評価するために,試験ポイントはスパン(附属

書1図1参照)の約10%,25%,50%,75%及び100%の流量に設定しなければならない。各試験ポイント

において,少なくとも3回の測定を行うことが望ましい。 

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B 7554 : 1997  

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附属書1図1 測定ポイントにおけるばらつきを示す校正例 

各流量における読み値から,平均出力の読み値を計算しなければならない。この値と基準システムの対

応する値との差を,この基準に対する誤差とする。この偏差は,出力スパン又は指示値のいずれかに対す

る百分率として表現しなければならない。 

流量測定の不確かさは,ISO 5168及びISO 7066に合致するように評価しなければならない。 

レンジ切換機能が機器に組み込まれているときには,上の試験手順が各々の流量レンジに対し個別に適

用されなければならないが,各レンジの適当な範囲内の読み値の一致度がレンジを切り換えることによっ

て相互に確認されなければならない。 

5. 影響量の評価 

5.1 

一般 検出器のパイプ内の液体に与える影響及び外部からの影響の二つを影響量として考慮しなけ

ればならない。 

内的な影響には,液体温度の変化,流速分布の変化,液体の導電率の変化などが含まれる。 

外的な影響には,温度,湿度,大気圧の変化,電源電圧・電流,周波数の変化などが含まれる。 

特に指定しない限り,これらの影響量は,基準条件における流量計の出力からの変化によって評価され

るべきである。それ以外の使用条件は,試験中は基準条件で一定に保たなければならない。 

特に指定しない限り,評価試験は流速1m/sで,検出器及び変換器を共通の電源に接続して行う。変換器

の流速を設定できる場合には,流速を2m/sにしなければならない。変換器の(アナログ)出力の負荷抵抗

は,製造業者が推奨する値の最大とする。 

5.2 

内部の影響 

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B 7554 : 1997  

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5.2.1 

液体温度 液体温度の変化に対する影響は,一定の周囲温度下で液体温度を変化させることによっ

て決定される。温度の影響をはっきりさせるために,温度は十分な値だけ基準条件から変化させる必要が

あり,それぞれの条件下で定常状態に達するのに十分な時間を取らなければならない。試験は,低レンジ

とスパンとで,液体温度の変化によって起こる定常的な変化を測定することによって行う。結果は,出力

スパンに対するパーセント (%) で示す。試験の詳細については製造業者の同意を得なければならない

(4.3.1参照)。 

5.2.2 

液体の導電率 液体の導電率変化に対する影響は,製造業者の仕様上の限界値を含む3点の異なる

値で決定される。結果は出力スパンに対するパーセント (%) で示す。 

備考 この試験は,流体の導電率が5mS/m (50μS/cm) 未満で必要とされる場合にだけ行われる。 

5.2.3 

流速分布の影響 元々の校正と明らかに異なる流速分布が電極の面にあると,それは校正時に出力

のシフトとして現れる。上流側の配管は,流速分布に影響を与える要因の一つである。以下の試験は実際

に見受けられる一般的な配管構成の幾つかから発生する流速分布の流量計の出力への影響を調べるために

考案された。 

試験で流量計の直上流の実際の流速分布を確立するためにISO 3966に従った確認を行うことを推奨す

る。 

5.2.3.1〜5.2.3.3までの試験結果は,各測定点で基準条件下での流量からの変化として表される。基準条

件での試験は,長い滑らかな直管での実流量試験による。 

5.2.3.1 

レジューサ 試験は,同心円状のレジューサを使用し,a)流量計の上流側のフランジにじかに隣

接して取り付ける,b)流量計の電極を含む面から5Dだけ上流に取り付ける,の条件で行う。レジューサ

の内径は,2Dから1Dへのテーパをもつものとする。小口径配管では,レジューサの長さは3Dが推奨さ

れているが,関係者の合意があれば入手できる他の長さのものを使用してもよい。 

レジューサの出口及び流量計の入り口の内径は,少なくとも互いに直交する2か所以上で測定する。こ

の目的は,レジューサの出口の内径が許容公差内で流量計の内径と一致していることを確認するためであ

る(4.2.1参照)。 

測定は流量計のレンジ内の推奨された位置で行う(4.9参照)。 

特殊な場合,偏心レジューサ(又は段差付レジューサ)については,実際によく使用できるならば,そ

れらを使って試験してもよい。 

これらの場合には,レジューサの設計を明らかにし,その寸法を測定し,記録に残すこと。 

5.2.3.2 

上流のバルブ 一連の試験は,ゲート弁を使用し,a)電極を含む面から2Dだけ上流(流量計の

面間寸法が4Dよりも長い場合は流量計の上流側フランジにじかに隣接して取り付ける。),b)電極を含む

面から5Dだけ上流,に取り付けて行う(附属書1図2参照)。 

両者について,二つの電極を結ぶ直線に対して,a)垂直,b)平行の条件で行う。 

流れの障害として上流側バルブを使って流量を制御した場合と,バルブを25%及び50%の一定に閉じた

状態の場合とについて行う。後者の場合,流量は,下流側の実流装置のバルブで調整する。 

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B 7554 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1図2 上流ゲート弁の試験のための配管例 

試験中,配管内の圧力はキャビテーションを防ぐに十分な圧力を保持しなければならない。 

すべての試験において,測定点は,試験装置の能力の許す流量のレンジを代表する少なくとも4点から

得る(附属書1図3a及び附属書1図3b参照)。 

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B 7554 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1図3 口径500mmの三つの電磁流量計の上流に置いたゲート弁の効果を示す例 

備考 上流側は,流量の乱れの結果を評価するのに便利な配管構成であること。上流側に流量制御弁

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B 7554 : 1997  

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を使用することは推奨しない。実流校正時の変化は,制御弁の下流の流速分布の乱れによって

も起こる。乱れは概してひどく,それは流速とバルブ開度との両方の関数である。制御弁を流

量計の近くに設置せざるを得ない場合は,実流校正に与える影響が無視できる下流側に設置す

ること。 

5.2.3.3 

曲管 上流側に1個又は2個の曲管を使用した配管構成を附属書1表4に示し,次に若干の内容

を示す。試験のための配管構成は,関係する流量計の製造業者,使用者及び校正機関の間の合意による。 

備考 特に指定しない限り,電極面とは,管軸に垂直で一対の電極を含む平面のこととする。 

附属書1表4 曲管の配管構成 

テスト配管 

内容 

曲管出口から 

電極面までの距離 

注 

配管の概念図* 

電極軸に平行な一つの曲管 

じか付け 

電極軸に垂直な一つの曲管 

じか付け 

配管1に同じ 

5D 

配管2に同じ 

5D 

同一平面内にある 

二つの隣接する曲管 

じか付け 

直交する平面内にある 

二つの隣接する曲管 

じか付け 

配管5に同じ 

5D 

配管6に同じ 

5D 

配管5に同じ 

じか付け 

配管5に対し電極面が垂直 

10 

配管6に同じ 

じか付け 

配管6に対し電極面が垂直 

11 

配管7に同じ 

5D 

配管7に対し電極面が垂直 

12 

配管8に同じ 

5D 

配管8に対し電極面が垂直 

注* 

a) 一つの曲管 試験は,曲率半径1.5Dの曲管を,1)流量計の上流側のフランジにじかに取り付けた場合,

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2)電極を含む面から5Dだけ上流に取り付けた場合,で行う。 

b) 二つの曲管 二つの互いに直角な曲管が分離することなく設置される場合については,1)流量計の上

流側のフランジにじかに取り付けた場合,2)電極を含む面から5Dだけ上流,の条件について更に一

連の試験を行う。 

各試験においては,流量計の測定レンジ内の各推奨される測定点で結果を記録する。すべての試験

において,電極同志を結ぶ仮想線に対する曲管の向きを,できれば適切に表現されたスケッチで試験

結果データとして記録する。 

備考 口径の大きいものを配管する場合には,これらの試験に多額の費用が発生する。口径100mmよ

り大きいものを試験する場合には,使用者と製造業者との合意の上で,例えば,環状又は半月

状の障害板を使用するなど他の安価なものを使用してもよい(附属書1図4参照)。 

附属書1図4 入り口の流速分布の乱れが流量計の出力に及ぼす効果を測定する環状又は半月状の障害板 

5.2.4 

液体圧力 実際に行うことができるときには,最高使用圧力範囲を超えて流体の圧力変化の影響を

調べる。最大影響量は出力スパンに対するパーセント (%) で記述する。 

5.3 

外部の影響 

5.3.1 

電源異常 

5.3.1.1 

主電源の変動 この試験は,低レンジ値の変化及び次の値に対する電源変動によって発生するス

パンの変化を測定することによって行う。負荷インピーダンスは,5.1に指定されたとおりとする。 

a) 電圧 

1) 定格値 

2) 定格値+10%,又は製造業者による制限値(少ない場合) 

3) 定格値−15%,又は製造業者による制限値(少ない場合) 

b) 周波数 

1) 定格値 

2) 定格値+2%及び定格値−10%,又は製造業者による制限値(少ない場合) 

低電圧/低周波数の条件で,高レンジ値近辺の入力に対して,出力が高レンジの制限値には到達しない

ことを確認する。この影響は,出力スパンのパーセント (%) で表す。 

5.3.1.2 

瞬時停電 この試験は,正規の指定電源からスタンドバイ電源への切換え時における電磁流量計

の動作を調べることを目的とする。流量は,スパンの50%で一定に維持されるものとする。 

電源は,供給DC電源に対し5ms,20ms,100ms,200ms及び500msで中断され,また,供給AC電源

に対してクロスオーバーポイントで1サイクル,5サイクル,10サイクル及び25サイクルで中断されなけ

ればならない。次の値を記録する。 

a) 出力における最大変化の正負変化量 

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b) 電源再接続後に出力が定常値の99%に達するために要する時間 

c) 出力における恒久的変化 

正確度を高めるために,この試験は10回繰り返して行うものとし,各試験の時間間隔は,試験時間の少

なくとも10倍とする。 

5.3.1.3 

電源ひずみ 可変位相で5%の3次高調波ひずみを電源電圧に重畳すること。流量信号の最大変

化量をスパンのパーセント (%) として測定し,記録する。 

5.3.2 

電気的干渉 この項目でのすべての試験中,流量は,スパンの50%で一定に維持されるものとする。 

5.3.2.1 

主電源のトランジェント過電圧 主電源に電圧スパイクを重畳する。スパイクエネルギーは0.1J

とし,スパイク幅は過電圧の100%,200%及び500%とする[公称実効値(以下,r. m. s. と記す。)電圧の

パーセント値]。 

コンデンサの放電によるスパイク,又は同等の波形によるスパイクを使用すること。電源ラインは,適

当なサプレッションフィルタで保護されるものとし,このフィルタはライン電流を通電できる500μHのチ

ョークから構成されなければならない。 

主電源ピーク電圧に位相を合わせた各振幅をもつパルスを2個印加するか,又は主電源に対し無作意に

位相を合わせたパルスを少なくとも10個印加する。機器の出力に現れる変化又はDC出力の変化を記録す

る。 

5.3.2.2 

妨害電圧の影響 変換器を調整して正負の変化を検出できるようにすることが必要となる。附属

書1図5に代表的な回路例を示す。各試験の結果を,誤差と誤差を引き起こした妨害電圧と比率で表す。 

附属書1図5 一般的な試験結線図 

5.3.2.2.1 

コモンモード電圧−検出器,及び変換器のアース間のAC電圧の影響[疑似誘導コモンモード

電圧(附属書1図6a)参照)] 

検出器のアースと変換器のアースとの電位差によって,測定電極にコモンモード電圧が発生する。この

電位差は,多くの場合,電源周波数で発生する。次の試験は,電源周波数のコモンモード電圧が電磁流量

計の性能に与える影響を測定するためのものである。検出器と変換器とのアース端子間に,電源周波数の

50V (r. m. s. ) AC電圧を印加し,次の2種類の試験を行う。妨害電圧と主電源の位相とを一致させた試験,

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及び妨害電圧と主電源の位相とを90度ずらした試験。 

上の試験において,検出器及びその内部の流体をアースから確実に絶縁させなければならない。誤差は,

出力スパンのパーセント (%) で表す。 

注a) 検出器,変換器のアース間のAC電圧の影響 

b) ニュートラルと検出器アースとの間のAC電圧の影響 

附属書1図6 コモンモード電圧の影響試験 

5.3.2.2.2 

アースと主電源との間のAC電圧の影響[高圧ニュートラルライン電圧(附属書1図6b)参照]] 

検出器のニュートラルライン及びアース間端子に,電源周波数に合った0V〜50V (r. m. s. ) 間の調整可

能な電位差を印加する。試験手順は,5.3.2.2.1と同様とする。 

a) 電源周波数コモンモード電圧(検出器と変換器とのアース間のAC電圧)の影響を測定する試験 

b) ニュートラルと一次アースとの間の電源周波数電圧の影響を測定する試験(可能ならば,アースと主

電源との間に電圧を印加する。) 

5.3.2.2.3 

アースと出力端子との間のAC電圧の影響(附属書1図7参照) 

アースと出力端子間に,電源周波数に合った0V〜50V (r. m. s. ) の調整可能な電位差を印加し,次の2

種類の試験を行う。妨害電圧と主電源の位相とを一致させた試験,及び妨害電圧と主電源の位相とを90

度ずらした試験。 

備考 変換器の出力が絶縁されていない場合,製造業者と協議することが望ましい。 

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附属書1図7 アースと変換器出力端子との間のAC電圧の影響試験 

5.3.2.2.4 

検出器−変換器間の電流の影響(附属書1図8参照) 

この場合,妨害電圧を0A〜20Aで調整可能な電流と取り替えることによって,5.3.2.2.1に示すプロセス

が変更される。誤差は,電流のアンペア値に対する出力スパンのパーセント (%) で表す。 

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附属書1図8 検出器アースと変換器アースとの間のAC電流の影響試験 

5.3.2.2.5 

シリーズモード干渉の影響(附属書1図9参照) 

次の試験は,方形波励磁電磁流量計又は電源周波数以外の周波数で動作する電磁流量計に対してだけ適

用できる。電磁流量計は,ある程度電源周波数でのシリーズモード干渉を防ぐことができるため,追加の

試験で電源周波数のシリーズモード妨害電圧の影響を測定することができる。これらの試験を行うために

種々の方法があるが,ほとんどの場合,変圧器を利用して電極間に電源周波数と同相のシリーズモード妨

害電圧を発生させることができる。誤差は,妨害電圧のミリボルト値に対する出力スパンのパーセントで

表す。 

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附属書1図9 電源周波数シリーズモード干渉の影響試験 

5.3.2.2.6 

アース接続の影響 次の試験は,電気的入力及び出力がアースから絶縁されている変換器に対

してだけ適用できる。これらの試験は,各入力端子及び出力端子を交互にアース接続することによって引

き起こされる低レンジ値/スパンの定常状態の変化を測定する。 

この際,トランジェント変化を記録しなければならない。試験信号源のアース接続による影響が発生し

ないように注意する。 

5.3.3 

周囲温度 検出器及び変換器が一体化された電磁流量計について,可能ならばトータルユニットと

して試験を行う。4時間の最小温度安定化時間が温度設定に適用される。この試験における温度レンジは,

電磁流量計に想定された動作条件によって決定される。分離形変換器の試験は,IEC 770に従い次のよう

に行うこと。出力信号値の変化は,製造業者によって指定された最大及び最小動作温度で測定する。この

動作レンジにある場合,次の各周囲温度で変化を測定する。 

+20℃,+40℃,+55℃,0℃,−10℃,−25℃,+20℃ 

電磁流量計に,温度を上の順でステップごとに変化させる。最初の温度サイクルと同様に,電磁流量計

を再調整せずに,2回目の温度サイクルを行う。 

各温度に対する許容差は±2℃とする。電磁流量計の各部での温度が安定するように十分な時間をとる。

影響の程度は,周囲温度変化に対する出力スパンのパーセント (%) で表す。 

備考 上の温度は周囲の空間温度に関連し,また,流体は正常な基準温度とする。 

5.3.4 

湿度(変換器だけに限る。) この一連の試験は,IEC 68-2-3及びIEC 68-2-4に規定された手順に

よる。 

周囲条件で24時間放置後,0%〜100%の間の約20%のスパンの間隔で,直ちに誤差を求める。周囲条件

での初期測定値からの誤差の変化を示す。 

5.3.5 

機械的振動 一般的手順は,IEC68-2-6に記載されている。ただし,これらの試験は,大口径電磁

流量計に対し費用がかかりすぎる場合,又は不可能な場合がある。試験の終わりに,校正値の変化を示す。 

5.3.6 

機械的衝撃(変換器だけに限る。) この試験は,IEC 68-2-27の手順による。 

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6. 他の影響量に関する評価試験 

6.1 

磁界の影響 流量計の周囲に存在する強磁性の材料又は電磁界の発生源からの影響を受ける可能性

がある場合,製造業者は適切な試験を実施する。これらの試験結果は,提示しなければならない。 

6.2 

出力負荷インピーダンス この試験は,製造業者によって定められた最大流量における負荷インピ

ーダンスの最大値及び最小値の変動によって生じる変化を測定する。 

この出力変化は,出力スパンに対するパーセント (%) で表す。 

6.3 

長時間ドリフト 電磁流量計の測定管は,周囲温度の状態において水で満たされていなければなら

ない。この測定を実施する前には,満たされた水をかくはんして液温の均一性を確保しておくことを推奨

する。 

このような条件下において,まず電磁流量計の電源を入れないで24時間放置し,その後電源を投入し,

適当な時間ウォーミングアップした後,ゼロ点の変動を測定する。この変動値は出力スパンに対するパー

セント (%) で表し,記録しておく。さらに引き続いて4週間の間,毎週ゼロ点を測定し,何らかの変化が

あるかどうかを記録する。 

6.4 

液体中の迷走電流 電磁流量計の測定管内部の液体中を流れる迷走電流は,流量計の出力に影響を

及ぼす。液体中を流れる迷走電流を流すには,附属書1図10に示すようなシステムを用いる。この試験で

は,まず電源電圧に対して同位相の妨害電圧を両端のフランジ間に印加する場合と,さらに90度移相させ

た妨害電圧を印加する場合の二つの試験を実施する。 

この誤差は,電流に対するスパンのパーセント (%) で表す。 

附属書1図10 液体中の迷走電流の影響試験 

6.5 

電磁波障害 無線干渉の出力への影響試験は,製造業者と使用者との間の協定に基づき行う。 

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附属書2(規定) 簡易な性能試験方法 

この附属書は,電磁流量計の簡易な性能試験方法を規定する。使用者が取り扱う流体,電源及び出力にか

かわる主要な性能項目として,精度定格,耐水圧性,流体の導電率,電源変動,負荷変動及び応答性を取

り上げ,それぞれの試験方法を規定する。 

1. 精度定格 流量計の精度定格の試験は,次の校正方法及び基準動作条件のもとで行う。 

a) 校正方法 校正は,検出器に液体を流して行う。液体は通常,清水を使用し,その条件は附属書2表

1に示す。実流校正には,ひょう量法,体積法,及び比較法があり,次にその方法を示す。 

1) ひょう量法 例えば,附属書2図1の例に示すように,校正する流量計の目盛に対応して選んだ適

当な大きさの容器をはかりに載せ,校正する流量計を通して水を流し込み,所定時間に流れ込んだ

水の質量を測定するか,又は容器内にたまる水の質量が所定の値に達するまでの時間を測定し,水

の温度に対応した水の密度を用いて体積流量を算出するか,又は流量計の積算値と容器内にたまる

水の質量から換算して求めた体積と比較する。 

附属書2図1 ひょう量法の例 

2) 体積法 例えば,附属書2図2に示すように,あらかじめ校正した基準となるタンクに,校正する

流量計を通して水を流し込み,所定時間に基準となるタンクに流した水の体積を測定するか,又は

タンク内にたまる水の体積が所定の値に達するまでの時間を測定し,これによって流量を算出する

か,又は流量計の積算値とタンク内にたまる水の体積とを比較する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2図2 体積法の例 

3) 比較法 例えば,附属書2図3の例に示すように,あらかじめ校正した基準となる流量計(電磁流

量計に限らない。)と校正する流量計の検出器とを直列に接続し,水を通して基準となる流量計の指

示値又は積算値と,校正する流量計の指示値又は積算値とを比較する。 

附属書2図3 比較法の例 

b) 変換器の倍率目盛による方法 変換器の倍率目盛を1.a)の実流校正方法によって流すことができる最

大流量付近に設定し,実流校正した後,変換器の倍率を変えて必要とする最大目盛に設定する。この

方法による校正誤差は,実流校正から得た誤差に,変換器の倍率変更に起因する誤差を加えたもので

ある。 

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c) 基準動作条件 流量計の基準動作条件を,附属書2表1に示す。 

附属書2表1 基準動作条件 

基準動作条件 

配管配置 

製造業者の指定による。 

流体 

気泡及び固形物を含まない水 

流れの条件 

旋回流及び脈動の少ない軸対称流 

必要直管長 

口径 1 500mm以下:上流5D(1),下流側は規定しない。 
口径 1 500mmを超える場合:製造業者の指定による。 

流体温度 

4〜40℃ 

導電率 

5〜100mS/m (50〜1 000μS/cm)  

圧力 

最大1MPa 

周囲温度 

4〜35℃ 

電源電圧 

定格±1% 

電源周波数 

定格±1% 

電源波形ひずみ 

ひずみ率5%以内 

接地 

製造業者の指定による。 

注(1) Dは口径を表す。 

d) 流量値 試験を行う流量値は,フルスケール流速の0%,10%,25%,50%,75%及び100%付近の6

点とする。フルスケール流速は,1m/s及び10m/s又は校正装置の最大流速の小さい方の値,の二つの

場合について実施することが望ましい。一つの流量測定点において,少なくとも3回の測定を行う。 

参考 ドライキャリブレーションによる方法を,次に示す。この方法は,検出器に水を流さず,磁界

の分布を測定し計算によって校正する方法で,実流校正が困難な大口径流量計に用いる。 

a) 原理 測定管内の磁界が,ほぼ均一で,かつ,管軸方向に十分な長さをもち,更に電極の大

きさが無視できる場合には,電極間の信号起電力Eは,次の式で示される。 

E=kBWDv 

ここに, 

k: 補正係数 

BW: 電極を含み,管軸に垂直な管断面内の実効的な磁束密度 

D: 管の内径 

v: 平均流速 

なお,kは校正すべき流量計と電磁気的に相似な流量計とを用いて,実流校正によって確定

されているとみなす。 

b) 標準偏差 ドライキャリブレーションの標準偏差σは,次の式で求める。 

2

2

2

+

+

=

D

D

Bw

Bw

k

k

σ

ここに, 

⊿k: 口径の異なるもの及び同一口径のものにおけるkの標準偏

差 

⊿BW: BWの測定値の標準偏差 

⊿D: Dの測定値の標準偏差 

2. 耐水圧性 最高使用圧力の1.5倍又は最高使用圧力+0.5MPaのいずれか大きな水圧を5分間加え,漏

れの有無を調べる。 

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B 7554 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3. 流体の導電率 流速約1m/sで約2mS/m (20μS/cm) ,約20mS/m (200μS/cm) 及び約200mS/m 

(2000μS/cm) の3点で測定を行い,約20mS/m (200μS/cm) を基準として他の条件の誤差をフルスケール%

で確認する。 

4. 電源変動 

4.1 

電源電圧 フルスケール流速1m/sにおいて,電源電圧の定格値,定格値+10%及び定格値−10%,

の三つの値において,1.で示した校正方法によって定格値を基準として,ゼロ点及び100%付近の誤差をフ

ルスケール%で確認する。 

4.2 

電源周波数 フルスケール流速1m/sにおいて,電源周波数の定格値,定格値+2Hz及び定格値−2Hz

の三つの値について,1.で示した校正方法によって定格値を基準として,ゼロ点及び100%付近の誤差をフ

ルスケール%で確認する。 

5. 負荷変動 電流出力を100%とし,負荷抵抗が0Ω付近及び製造業者の指定する最大値の二つの場合の

出力の差をフルスケール%で確認する。この試験においては,変換器単体での模擬入力による方法でよい。

また,フルスケール流速は,特に指定しない。 

6. 応答性 変換器の信号入力部に,流量計出力換算で0%〜100%のステップ状の模擬入力を加えた場合

の,出力の63.2%に到達するまでの時間を確認する。また,フルスケール流速は,特に指定しない。 

JIS改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

本 多   敏 

慶応義塾大学理工学部 

本 間   清 

工業技術院標準部 

馬 場 秀 俊 

通商産業省機械情報産業局 

高 本 正 樹 

工業技術院計量研究所 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

長 倉 祐 之 

社団法人日本水道協会 

田 中 孝 明 

東京ガス株式会社 

藤 原 弘 教 

紙パルプ技術協会 

宮 本   明 

昭和電工株式会社 

北 見 大 一 

株式会社オーバル 

筆 保 隆 弘 

株式会社島津製作所 

久保田 洋 介 

株式会社東芝 

斉 藤 功 治 

株式会社日立製作所 

山 本 俊 宏 

富士電機株式会社 

根 本 敦 之 

山武ハネウエル株式会社 

黒 森 健 一 

横河電機株式会社 

(事務局) 

渡 部 庄 吾 

社団法人日本電気計測器工業会