B 7552:2011
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 設備······························································································································· 3
4.1 構成 ···························································································································· 3
4.2 機能 ···························································································································· 3
4.3 試験液の種類 ················································································································ 4
5 校正······························································································································· 4
5.1 一般 ···························································································································· 4
5.2 標準流量計による校正 ···································································································· 4
5.3 体積管による校正 ········································································································· 12
5.4 ひょう量法による校正 ··································································································· 15
5.5 繰返し測定及び校正結果の計算 ······················································································· 18
5.6 第三者認定を受けた校正事業者による校正 ········································································· 19
5.7 校正結果の報告 ············································································································ 19
6 器差試験························································································································ 20
6.1 試験設備の機能 ············································································································ 20
6.2 試験の手順 ·················································································································· 20
6.3 器差の計算 ·················································································································· 27
附属書A(規定)標準流量計の校正値の補間方法 ······································································ 30
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本計量
機器工業連合会(JMIF)及び独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)から,工業標準原案を具して日本
工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
工業規格である。
これによって,JIS B 7552:1993は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象になっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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液体用流量計の校正方法及び試験方法
Procedures for calibration and testing for liquid flowmeter
1
適用範囲
この規格は,液体用流量計の校正方法及び器差試験の方法について規定する。校正は,被試験流量計に
対してトレーサビリティのとれた校正値及びその不確かさを求めるために行う。また,器差試験は,被試
験流量計の器差を求める作業であり,不確かさは付与しない。この規格では,液体で満たされた閉管路に
設置される流量計を対象とし,気体又は固体が混合している混相流を測定するための流量計及び開水路に
設置される流量計は対象としない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7505-1:2007 アネロイド型圧力計−第1部:ブルドン管圧力計
JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
JIS Z 8103 計測用語
JIS Z 8762-1 円形管路の絞り機構による流量測定方法−第1部:一般原理及び要求事項
JIS Z 8762-2 円形管路の絞り機構による流量測定方法−第2部:オリフィス板
JIS Z 8762-3 円形管路の絞り機構による流量測定方法−第3部:ノズル及びノズル形ベンチュリ管
JIS Z 8762-4 円形管路の絞り機構による流量測定方法−第4部:円すい形ベンチュリ管
ISO 4185:1980,Measurement of liquid flow in closed conduits−Weighing method
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8103によるほか,次による。
3.1
偏差(器差)(measurement error)
標準器と被試験流量計に同一の流量を流し,このときの被試験流量計の指示値から標準器の指示値を引
いた値を,標準器の指示値に対する百分率(%)で表した値。
3.2
補正係数(correction factor)
標準器と被試験流量計に同一の流量を流し,このときの標準器の指示値を被試験流量計の指示値で除し
た値。
2
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3.3
Kファクタ(K factor)
パルス出力形の流量計が出力するパルスの周波数を,流量計を通過する流量で除した値。
注記 通常,体積流量に対してはpulse/L,質量流量に対してはpulse/kgの単位が用いられる。
3.4
流出係数(discharge coefficient)
絞り流量計で測定される差圧及び試験液の密度と,流量とを結び付ける値。式(9)によって定義される。
3.5
不確かさ(uncertainty)
測定の結果に付随した,合理的に測定量に結び付けられ得る値のばらつきを特徴付けるパラメータ。測
定された結果がどの程度確かなのかを示す指標で,計量トレーサビリティが確保できていることを証明す
るものでもある。
3.6
JCSS(Japan Calibration Service System)
計量法に基づく校正事業者登録(認定)制度。
3.7
(液体用流量計の)校正(calibration)
上位の標準(この規格では,標準流量計,体積管及びひょう量タンク)を用いて,被試験流量計のKフ
ァクタ,流出係数,補正係数又は偏差(器差)とその不確かさを求める作業。
3.8
器差試験(proving)
被試験流量計の器差を求める作業。不確かさは付与しない。
3.9
標準器(measurement standard)
液体用流量計の校正又は器差試験を行うときに用いられ,基準となる値を発生するもの。校正において
は,標準流量計,体積管,ひょう量タンクシステムのいずれかが用いられる。また,器差試験においては,
タンク,体積管,はかりと密度計との組合せ又は流量計が用いられる。
3.10
標準流量計(standard flowmeter)
校正・試験における流量値の標準値を与える参照標準として用いられ,校正・試験の流量値の不確かさ
を明記した校正証明書又は試験報告書を備えている流量計。
3.11
被試験流量計(device under test)
校正・試験の対象になる流量計で,流量値又はそれに関係する量を与える計測器。
3.12
質量流量(mass flow rate)
管路内を流れる液体の単位時間当たりの質量。
3.13
体積流量(volume flow rate)
管路内を流れる液体の単位時間当たりの体積。
3
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3.14
積算体積(integrated volume)
通過した流体の体積を次々に加算した累計値。
3.15
体積管(prover)
ある体積(基準体積)をもつループの中を運動子(以下,ピストンなどという。)が移動することによっ
て基準体積を表す構造をもつ体積標準器。
3.16
スモールボリュームプルーバ(small volume prover)
基準体積の小さい体積管。
3.17
ひょう量タンク(weighing tank)
液体を蓄積し,その質量を測定することができるタンク。
3.18
転流器(diverter)
標準器とバイパス管路との間で,その流量を乱すことなく流れを切り換える装置。
3.19
指示量(indicated quantity)
被試験流量計又は標準器が表す量で,測定終了時の指示値から測定開始時の指示値を減じた量。
3.20
実量(corrected quantity)
器差試験において真の値とみなす量(体積又は質量)で,標準器の指示量にその器差を補正し,かつ,
必要に応じて測定条件に補正をした量。
3.21
メータラン(meter run)
流量計に流入・流出する液体の流れの状態を整えるために必要な整流器,上流・下流の直管及び流量計
を含む配管部分。
4
設備
4.1
構成
校正及び試験のための設備は,標準器,被試験流量計取付部,流量発生装置及びこれらを接続する配管,
バルブ類,温度計,圧力計などの補助測定器,必要に応じてストレーナ,気体分離器などの補助機器によ
って構成する。
4.2
機能
設備の機能は,次による。
a) 被試験流量計に応じて,所定の体積又は質量の試験液を,所定の流量で流すことができる。
b) 試験・校正結果に影響を及ぼすような流量変動がなく,安定した流量が得られる。
c) 試験・校正結果に影響を及ぼすような配管などの振動,流れの脈流,旋回流又は偏流が生じるおそれ
がない。
d) 試験・校正結果に影響を及ぼすような試験液の温度変化が生じるおそれがない。特に,被試験流量計,
4
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標準器及びその間の配管において,極端な温度変化が生じないように配慮されている。
e) 試験液は,気体又は固体が混入していない単層流である。また,運転中にじんあい及び気泡が混入す
るおそれがない。必要な場合は,ストレーナ,気体分離器を設置する。
f)
被試験流量計,標準器及びその間の配管から試験液が漏れ出たり,枝管などから試験液が流入したり
するおそれがない。また,継手部分から気泡を吸い込んだり,配管内に気泡だまりを形成したりする
おそれがない。
g) 環境に害を及ぼすおそれのある試験液を使用する場合は,被試験流量計を取り外したときに排出され
る試験液を適切に回収できるように,排液受け等を設置する。
4.3
試験液の種類
校正及び器差試験に使用する液体の種類は,被試験流量計に表記された液,又は被試験流量計に実際に
流される液(以下,実液という。)とする。ただし,実液又は表記された液のいずれも用いることが困難な
場合は,粘度及び密度が実液と類似した液を用いる。
5
校正
5.1
一般
5.1.1
校正の種類
校正は,標準流量計による校正,体積管による校正,及びひょう量タンクによる校正に分けられる。標
準流量計による校正及び体積管による校正では,試験液は限定されないが,ひょう量タンクによる校正で
は試験液は水に限定される。
5.1.2
校正の手順
校正は,次の手順で行う。
a) 被試験流量計を校正設備に取り付け,管路を試験液で満たす。
b) エア抜き弁を開放する,最大流量で試験液を循環するなどの手段によって,残留している空気を取り
去る。
c) 被試験流量計の取付部又はその他の管路に漏れがないことを確認する。
d) 校正を行う予定の流量の最大値で試験液を循環させ,試験液及び管路の温度を安定させる。
e) 温度の安定を確認した後,予備測定を行い,流量計の信号が確実に取り込まれていること,設備に異
常がないことを確認する。
f)
測定を開始する。ある流量での測定が完了し,他の流量点での測定を行う場合は,流量を変えたこと
によって試験液の温度が変動することがあるので,温度の安定を確認した後に次の測定を開始する。
5.2
標準流量計による校正
5.2.1
設備
設備が備えるべき要件は,次による。また,概略図を図1に示す。
a) 標準流量計,被試験流量計共に,上流側及び下流側に十分な長さの直管を備える。直管の長さについ
てJISなどの規格に規定がある場合又は製造業者の推奨値がある場合はそれに従う。それ以外の場合
も,上流側及び下流側の流れ場の影響が流量計測に影響を与えない十分な直管長さを確保する。十分
な直管長さを確保できない場合は,整流管などを用いて流量計に流入する流れ場をできるだけ均等な
ものにする。
b) 標準流量計と被試験流量計との間の管路長は,管路内の流体質量変化が無視できる程度の長さとする。
c) 図1では標準流量計が被試験流量計の上流に設置されているが,被試験流量計を標準流量計の上流側
5
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に設置することもできる。
d) 標準流量計,被試験流量計共に温度計,圧力計を備える。ただし,標準流量計と被試験流量計との間
で流体の密度が変化しないとみなされる場合又は標準流量計,被試験流量計共に質量流量計である場
合は,校正設備の適切な1か所に温度計を備えるだけでよい。
e) 標準流量計に対して,次のいずれかの方法で定期的な校正を行う。また,校正周期は出力の経年変化
が校正の不確かさに比べて無視できる程度に設定する。
1) 計量法に基づく登録校正事業者(JCSS事業者)による登録範囲の校正,又は第三者によってJIS Q
17025に適合していることを認定された校正事業者が行う校正
2) 独立行政法人産業技術総合研究所による校正
注記 独立行政法人産業技術総合研究所が実施する依頼試験のうち,不確かさを付与しないで試
験結果を報告するもの,及び独立行政法人産業技術総合研究所又は都道府県が実施する基
準器検査は,この規定に該当しない。
3) 箇条5の規定に基づく校正
f)
標準流量計の校正に使用する試験液は,被試験流量計の校正で使用するものと同じ種類とする。
g) 標準流量計の校正を行う流量範囲は,被試験流量計の校正に使用する流量範囲を含む。また,標準流
量計の校正を行うときの試験液の温度と,被試験流量計の校正に使用するときの試験液の温度とが大
きく異なる場合は,管レイノルズ数を計算し,標準流量計の校正を行うときの管レイノルズ数が,被
試験流量計の校正に使用するときの管レイノルズ数を含むように,流量範囲を設定する。
h) 被試験流量計内の液温(T)と標準流量計内の液温(TS)との差は,表1に示す値以下とする。
図1−標準流量計による校正設備の概略図
表1−許容される温度差の最大値
試験液
温度差(|T−TS|)
水
水以外
7 ℃
1.4 ℃
5.2.2
校正方法
この規格で取り扱う標準流量計と被試験流量計との組合せ,及び校正値として得られる数値は,表2に
よる。表中で“−”で示されている組合せは,この規格で取り扱わない。流量出力をもつ標準流量計とは,
デジタル表示,アナログ表示,デジタル信号出力,電圧出力,電流出力など,流量に応じた出力をもつも
のである。
6
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表2−標準流量計と被試験流量計との組合せ及び校正値
標準流量計
被試験流量計
流量出力
パルス出力
絞り流量計
流量出力
補正係数Cf
又は偏差E
−
−
パルス出力
補正係数Cf
又は偏差E
KファクタKf
流出係数 Cd
5.2.3
校正値の計算
5.2.3.1
流量出力をもつ標準流量計で,流量出力をもつ流量計を校正する場合
流量出力をもつ標準流量計で,流量出力をもつ流量計を校正する場合,校正値は補正係数又は偏差(器
差)で表される。
補正係数Cfは,次の式(1)によって求める。
ρ
ρ
Q
Q
C
S
DUT
S
f=
············································································ (1)
ここに, QDUT,QS: 被試験流量計及び標準流量計の流量出力の時間平均値
(m3/s)
ρ,ρS: 被試験流量計内及び標準流量計内の試験液の密度
(kg/m3)。ただし,ρ及びρSを個別に求めることはせず,
5.2.6で得られる
Sρ
ρの逆数を用いる。
偏差(器差)Eは,次の式(2)によって求める。
100
1
S
S
DUT
×
−
=
ρ
ρ
Q
Q
E
(%) ························································ (2)
偏差(器差)Eは,簡略化した次の式(3)でも算出できる。
(
)
(
)
100
1
S
L
S
L
S
DUT
×
P
P
F
T
T
α
Q
Q
E
−
+
−
+
−
=
(%) ······························ (3)
ここに,
αL: 試験液の熱膨張係数(K−1)
FL: 試験液の圧縮係数(Pa−1)
T,TS: 被試験流量計内及び標準流量計内の試験液の平均温度
(℃)
P,PS: 被試験流量計内及び標準流量計内の試験液の圧力(Pa)
被試験流量計及び標準流量計の流量出力の平均値(QDUT,QS)の計測時間は,30 s以上とする。
5.2.3.2
パルス出力をもつ標準流量計で,流量出力をもつ流量計を校正する場合
パルス出力をもつ標準流量計で,流量出力をもつ流量計を校正する場合,図2に示すように標準流量計
の出力パルスは周波数計(又は,カウンタと計時装置との組合せ)に入力し,その周波数を測定する。被
試験流量計の出力は,出力形態に応じて測定又は読取りを行う。
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図2−流量出力をもつ流量計の校正
校正値は,補正係数又は偏差(器差)で表される。
補正係数Cfは,次の式(4)によって求める。
ρ
ρ
K
f
Q
C
S
fS
S
DUT
f
000
1
1
=
································································ (4)
ここに,
QDUT: 被試験流量計の流量出力の時間平均値(m3/s)
fS: 標準流量計が発生するパルスの周波数の時間平均値
(Hz)
ρ,ρS: 被試験流量計内及び標準流量計内の試験液の密度
(kg/m3)。ただし,ρ及びρSを個別に求めることはせず,
5.2.6で得られる
Sρ
ρの逆数を用いる。
KfS: 標準流量計のKファクタ(Pulse/L)
偏差(器差)Eは,次の式(5)によって求める。
100
1
000
1
S
S
fS
DUT
×
−
=
ρ
ρ
f
K
Q
E
(%) ············································· (5)
偏差(器差)Eは,簡略化した次の式(6)でも算出できる。
(
)
(
)
100
1
000
1
S
L
S
L
S
fS
DUT
×
P
P
F
T
T
α
f
K
Q
E
−
+
−
+
−
=
(%) ················· (6)
ここに,
αL: 試験液の熱膨張係数(K−1)
FL: 試験液の圧縮係数(Pa−1)
T,TS: 被試験流量計内及び標準流量計内の試験液の温度
(℃)
P,PS: 被試験流量計内及び標準流量計内の試験液の圧力
(Pa)
被試験流量計流量出力の平均値(QDUT)及び標準流量計が発生するパルスの周波数の時間平均値fSの計
測時間は,30 s以上とする。
5.2.3.3
パルス出力をもつ標準流量計で,パルス出力をもつ流量計を校正する場合
パルス出力形の流量計を校正する場合,図3に示すように標準流量計の出力パルスと被試験流量計の出
力パルスとを積算する2台のカウンタは,同一のゲート信号で積算の開始及び停止を行う。
8
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図3−パルス出力形の流量計の校正
標準流量計,被試験流量計が共に体積流量計の場合の校正値は,KファクタKfで表され,次の式(7)によ
って求める。
fS
S
S
f
K
I
I
ρ
ρ
K=
··········································································· (7)
ここに,
Kf: 被試験流量計のKファクタ(Pulse/L)
KfS: 標準流量計のKファクタ(Pulse/L)
ρ,ρS: 被試験流量計内及び標準流量計内の試験液の密度
(kg/m3)。ただし,ρ及びρSを個別に求めることはせ
ず,5.2.6で得られる
Sρ
ρを用いる。
I,IS: パルスカウンタによって積算された被試験流量計
及び標準流量計の出力パルスの数
標準流量計,被試験流量計が共に質量流量計の場合校正値は,質量流量に関するKファクタKfmで表さ
れ,次の式(8)によって求める。
fmS
S
fm
K
I
I
K=
············································································ (8)
ここに,
Kfm: 被試験流量計の質量流量に関するKファクタ(Pulse/kg)
KfmS: 標準流量計の質量流量に関するKファクタ(Pulse/kg)
I,IS: パルスカウンタによって積算された被試験流量計及び
標準流量計の出力パルスの数
なお,被試験流量計に対して,あらかじめ公称Kファクタが与えられているときは,5.2.3.1に準じて補
正係数及び偏差が算出できる。この場合は,式(1)又は式(2)において,QDUTを公称Kファクタで,QSをKf
でそれぞれ置き換える。
5.2.3.4
パルス出力をもつ標準流量計で,絞り流量計を校正する場合
絞り流量計を校正する場合,図4に示すように標準流量計の出力パルスは周波数計(又はカウンタと計
時装置との組合せ)に入力し,その周波数を測定する。絞り流量計が発生する差圧は,差圧計によって測
定する。絞り流量計の構造,取付け及び密度の決定は,JIS Z 8762-1〜JIS Z 8762-4による。
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図4−絞り流量計の校正
校正値は,流出係数Cdで表され,次の式(9)によって求める。
ρ
ρ
P
ρ
D
d
d
K
f
C
S
4
2
fS
S
d
2
1
π
4
000
1
∆
−
=
·········································· (9)
ここに,
Cd: 被試験流量計(絞り機構)の流出係数
fS: 標準流量計が発生するパルスの周波数の時間平均値
(Hz)
KfS: 標準流量計のKファクタ(Pulse/L)
ΔP: 絞り機構が発生する差圧の時間平均値(Pa)
d: 絞り孔径(m)
D: 管内径(m)
ρ,ρS: 被試験流量計内及び標準流量計内の試験液の密度
(kg/m3)。ただし,ρはJIS Z 8762-1〜JIS Z 8762-4によ
って決定し,ρ
ρSには5.2.6で得られる
S
ρ
ρの逆数を用い
る。
標準流量計が発生するパルスの周波数の時間平均値fS及び絞り機構が発生する差圧の時間平均値ΔPの
計測時間は,30 s以上とする。
なお,被試験流量計に対して,あらかじめ公称流出係数が与えられているときは,5.2.3.1に準じて補正
係数及び偏差が算出できる。この場合は,式(1)又は式(2)において,QDUTを公称流出係数で,QSをCdで,
それぞれ置き換える。
5.2.4
標準流量計に対する温度補正
標準流量計が容積流量計(PDメータ)又はタービン流量計の場合は,式(10)及び式(11)によって温度補
正を行う。その他の温度及び粘度に関して補正が必要な流量計は,製造業者の指定する方法によって補正
を行う。
容積流量計に対し,
KfS=Kf,cal[1−3αFM(TS−Tcal)]························································ (10)
ここに,
αFM: 標準流量計を構成する材料の線膨張係数(K−1)
KfS,Kf,cal: 標準流量計の使用時のKファクタ及び校正証明書に
記載されたKファクタ(pulse/L)
TS,Tcal: 標準流量計使用時の温度及び校正証明書に記載され
たKファクタKf,calに対応する温度(℃)
タービン流量計に対し,
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B 7552:2011
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KfS=Kf,cal[1−(2βH+βR)(TS−Tcal)] ················································· (11)
ここに,
βH: 標準流量計ハウジング材料の線膨張係数(K−1)
βR: 標準流量計ロータ材料の線膨張係数(K−1)
5.2.5
標準流量計に対する流量の補間
標準流量計の校正を行った流量点と,被試験流量計の校正のために標準流量計を使用する流量点とが一
致していない場合には,附属書Aによって補間を行う。
5.2.6
密度差の補正
被試験流量計内及び標準流量計内の試験液の密度(kg/m3)ρとρSとの差の補正には,次によって求める
密度比を用いる。
試験液が水で被試験流量計内の試験液の温度Tと標準流量計内の試験液の温度TSとの差(|T−TS|)が,
0.8 ℃以内の場合は,ρ/ρSを1とする。
温度差(|T−TS|)が0.8 ℃を超える場合又は試験液が水以外の場合は,次の式(12)を使用する。
(
)
[
]
(
)
[
]
S
L
S
L
S
1
1
P
P
F
T
T
α
ρ
ρ
−
+
−
−
=
················································ (12)
ここに,
αL: 試験液の熱膨張係数(K−1)
FL: 試験液の圧縮係数(Pa−1)
T,TS: 被試験流量計内及び標準流量計内の試験液の温度(℃)
P,PS: 被試験流量計内及び標準流量計内の試験液の圧力(Pa)
5.2.7
校正値の不確かさ
5.2.3で求めた補正係数Cf,KファクタKf及び偏差(器差)Eの相対標準不確かさは,次の式(13)〜式(15)
によって求める。
()∑
i
iu
C
C
u
2
f
f=
······································································ (13)
()∑
i
iu
K
K
u
2
f
f=
······································································ (14)
()
100
2×
∑
i
iu
E
u
=
(%)·························································· (15)
ここに,
iuは,表3において“○”で示された不確かさの相対値(相対標準不
確かさ)を表す。
また,5.2.3.4で求めた絞り流量計の流出係数の不確かさは,次の式(16)によって求める。
()
()
(
)
()
()
()
()
(
)2
S
S
2
2
2
D
2
d
2
fS
fS
2
S
S
2
1
2
1
∆
∆
ρ
ρ
ρ
ρ
u
ρ
ρ
u
P
P
u
D
D
u
d
d
u
K
K
u
f
f
u
Cd
Cd
u
+
+
+
+
+
+
=
ε
ε
···························································································· (16)
ここに, εd及びεDは感度係数であり,次の式(17)及び式(18)によって求める。
4
d
1
2
Dd
−
=
ε
·········································································· (17)
4
4
D
1
2
D
d
D
d
−
=
ε
·········································································· (18)
11
B 7552:2011
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表3−不確かさの要素
不確かさ要素
ui
標準流量計と被試験流量計との組合せ
標準流量計,
被試験流量計
共に流量出力
標準流量計がパルス出力
被試験流量計
が流量出力
被試験流量計
がパルス出力
被試験流量計
が絞り流量計
a)
被試験流量計の出力
u(QDUT)
○
○
−
−
b)
標準流量計の出力
u(QS)
○
−
−
−
c)
標準流量計のKファクタ
u(KfS, cal)
−
○
○
○
d)
標準流量計のパルス周波数
u(fS)
−
○
−
−
e)
被試験流量計のパルス計数
u(I)
−
−
○
−
標準流量計のパルス計数
u(IS)
−
−
○
−
f)
密度差の補正
u(ρ/ρS)
○
○
○
○
g)
絞り孔径
u(d)
−
−
−
○
管内径
u(D)
−
−
−
○
h)
試験液の密度
u(ρ)
−
−
−
○
i)
差圧測定
u(ΔP)
−
−
−
○
各不確かさ要素の見積りは,次による。
a) u(QDUT)(被試験流量計の出力の標準不確かさ)は,次の要素を合成して求める。
1) 最小分解能に起因する標準不確かさ:
12
/
α
(αは最小分解能)
2) 電圧又は電流出力に対して校正するときは,電圧測定又は電流測定の不確かさ
b) u(QS)(標準流量計の出力の標準不確かさ)は,次の要素を合成して求める。
1) 校正証明書に記載されている標準不確かさ
2) 最小分解能に起因する標準不確かさ:
12
/
α
(αは最小分解能)
3) 電圧又は電流出力を用いて校正するときは,電圧測定又は電流測定の不確かさ
4) 標準流量計の取扱いに伴う標準不確かさ(0.05 %)
c) u(KfS, cal)(標準流量計のKファクタの標準不確かさ)は,校正証明書に記載されている標準不確かさ
に標準流量計の取扱いに伴う標準不確かさ(0.05 %)を合成して求める。
d) u(fS)(標準流量計のパルス周波数測定の標準不確かさ)は,周波数計の校正証明書に記載されている
標準不確かさに流量計の経年変化を合成して求める。又は,周波数計の仕様から求める。
e) u(I)及びu(IS)(被試験流量計又は標準流量計のパルス計数の標準不確かさ)は,±1パルスの三角分布
としてu(I)=u(IS)=
6
/1
=0.41(パルス)である。ただし,いずれか一方のパルス(通常は,周波数
の低い側のパルス)に同期するようにゲート信号を発生させた場合は,同期しているパルスの計数の
不確かさは0としてよい。
12
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
f) u(ρ/ρS)(密度差の補正の標準不確かさ)は,5.2.6において,ρ/ρSを1とした場合は無視できる。また,
標準流量計及び被試験流量計が質量流量計の場合は,この不確かさ要素は算入しない[すなわち,い
ずれの場合も,u(ρ/ρS)=0とみなす。]。
一方,5.2.6において,式(12)を用いて密度の補正を行った場合,密度補正の相対標準不確かさは,
次の式(19)による。
(
)
2
S
2
L
2
2
L
S
S
)
(
)
(
/
/
T
u
T
u
ρ
ρ
ρ
ρ
u
α
α
+
=
·················································· (19)
ここに, u(T)及びu(TS)(流体の温度の標準不確かさ)は,温度計の校正証明書
に記載された不確かさと温度計の経年変化とを合成して求める。又は,
温度計の仕様よって求める。さらに,温度計と流量計との位置が離れ
ている場合には,温度計の位置と流量計の位置との推定される温度差
を不確かさとして付加する。
例 試験中に想定される温度計位置と流量計位置との最大温度差がΔTFMと推定される場合,この
温度差の標準不確かさとして
3
/
FM
T
∆
を付加する。
g) u(d)及びu(D)(絞り孔径及び管内径の標準不確かさ)は,測定方法及び測定寸法を考慮して見積もる。
ただし,絞り流量計を上下流管に装着したままで実流校正して使用する場合,これらの不確かさは0
としてよい。
h) u(ρ)(試験液の密度の標準不確かさ)は,算出方法並びに算出に用いた温度測定及び圧力測定の不確
かさを考慮して求める。
i)
u(ΔP)(差圧測定の標準不確かさ)は,差圧計の校正証明書に記載されている標準不確かさに差圧計の
周囲温度などによるドリフトを合成して求める。又は,差圧計の仕様から求める。
5.3
体積管による校正
5.3.1
設備
設備が備えるべき要件は,次による。また,概略図を図5に示す。
a) 被試験流量計の上流側及び下流側に十分な長さの直管を備える。直管の長さについてJISなどに規定
がある場合又は製造業者の推奨値がある場合はそれに従う。それ以外の場合も,上流側及び下流側の
流れ場の影響が流量計測に影響を与えない十分な直管長さを確保する。十分な直管長さを確保できな
い場合は,整流管などを用いて流量計に流入する流れ場をできるだけ均等なものにする。
b) 体積管の上流及び下流に温度計を備える。ただし,体積管内の試験液の温度が均一とみなせる場合は,
一つの温度計だけとしてもよい。また,被試験流量計内の試験液の温度を推定するための温度計を備
える。これらの温度計は,定期的に校正する。
c) 被試験流量計内の試験液の温度(TFM)と体積管内の試験液の温度(TPV)との温度差は,1.4 ℃以下
とする(|TFM−TPV |≦1.4 ℃)。
d) 体積管内の試験液の温度(TPV)と体積管の校正証明書に記載されている基準温度(TREF)との温度差
は,33 ℃以下とする(|TPV−TREF |≦33 ℃)。
e) 体積管内及び被試験流量計内の試験液の圧力を推定するために,それぞれ圧力計を備える。これらの
圧力計は,定期的に校正する。
注記 体積管の圧力計は,ボール,ピストンなどに対して被試験流量計が設置されている側に設け
ることが望ましい。
f)
体積管による校正設備は,その体積に連動する信号出力をもち,被試験流量計の出力パルスとの比較
が可能である。
13
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g) 体積管式校正設備は,計量法に基づく登録校正事業者(JCSS事業者)によって定期的に校正されてい
る。その校正周期は,補正係数(又は体積値)の経年変化が校正の不確かさに比べて無視できる程度
に設定する。
h) 体積管の校正に使用する試験液は,被試験流量計の校正で使用するものと同じ種類とする。
i)
体積管の校正を行う流量範囲は,被試験流量計の校正に使用する流量範囲を含む。
注記 図5では被試験流量計が体積管の上流に設置されているが,体積管を被試験流量計の上流側
に設置することもできる。
図5−体積管(例 パイププルーバ)による校正設備の概略図
5.3.2
校正値の計算
校正結果はKファクタ(Kf)で表され,次の式(20)によって求める。
PV
FM
PV
P
f
000
1
ρ
ρ
V
I
K=
·································································· (20)
ここに,
Kf: 被試験流量計のKファクタ(Pulse/L)
IP: 計時されたパルス数(Pulse)
VPV: 被試験流量計校正時の条件での体積管の体積(m3)
ρFM: 被試験流量計での試験液の密度(kg/m3)
ρPV: 体積管での試験液の密度(kg/m3)
被試験流量計の指示値と標準との偏差(器差)を算出する場合には,校正されたKファクタ(Kf),及
び指示値に使われる公称Kファクタ(Kf, nom)で,次の式(21)によって算出できる。
100
nom
f,
nom
f,
f
×
K
K
K
E
−
=
(%) ························································ (21)
5.3.3
密度差の補正
被試験流量計と体積管との試験液の密度差を,次の式(22)によって補正する。
(
)
[
]
(
)
[
]
PV
FM
L
PV
FM
L
PV
FM
1
1
P
P
F
T
T
α
ρ
ρ
−
+
−
−
=
······································ (22)
ここに,
αL: 試験液の温度による熱膨張係数(K−1)
FL: 液の圧力による圧縮係数(Pa−1)
TFM: 被試験流量計でのパルス計数中の平均温度(℃)
TPV: パルス計数終了時の体積管上流温度と下流温度との平
均温度(℃)。ただし,体積管が被試験流量計の上流に
14
B 7552:2011
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ある場合には,パルス計数開始時の体積管上流温度と下
流温度との平均温度(℃)
PFM: 被試験流量計でのパルス計数中の平均圧力(ゲージ圧)
(Pa)
PPV: パルス計数終了時の体積管での圧力(ゲージ圧)(Pa)。
ただし,体積管が被試験流量計の上流にある場合には,
パルス計数開始時の体積管での圧力(ゲージ圧)(Pa)
5.3.4
体積管の補正
流量計校正時の体積管の体積値VPVは,校正証明書に記載された値並びに試験時の温度及び圧力から算
出される。校正証明書の校正値が補正係数KPPで示されている場合,次の式(23)を使用する。ただし,これ
以外の補正式が適切となる仕様の体積管の場合には,製造業者の推奨する式とする。
VPV=KPP Vnom [1−αPV (TPV−TREF)] (1+FPVPPV) ································ (23)
ここに,
KPP: 体積管校正装置が校正された条件での補正係数で,基準
温度TREF及び大気圧条件での体積管の標準体積値を公
称体積値Vnom(設計体積値など)で除したもの(無次元
数)
Vnom: 補正係数の定義に使われた公称体積値(設計体積値な
ど)(m3)
αPV: 体積管の温度による熱膨張係数(K−1)
FPV: 体積管の圧力による膨張係数(Pa−1)(ただし,二重管
式体積管など,体積管の圧力による膨張補正を必要とし
ない構造である場合には,FPV=0として,この補正を省
略してもよい。)
校正証明書に校正結果として流量範囲などのさまざまな校正条件について共通の体積値VST(基準温度
TREF及び大気圧条件)が記載されている場合には,次の式(24)を使用する。
VPV=VST [1+αPV (TPV−TREF)] (1+FPVPPV) ······································ (24)
体積管の校正を行った流量点と,被試験流量計の校正のために体積管を使用する流量点とが一致してい
ない場合には,附属書Aによって補間を行う。
5.3.5
校正値の不確かさ
Kファクタの校正の相対標準不確かさは,主要な不確かさ要因を考慮し,次の式(25)で評価する。
()
()
(
)
(
)
(
)
(
)2
PV
2
PV
2
L
2
FM
2
L
2
PP
2
P
P
2
f
f
∆
V
DV
u
T
u
T
u
K
u
I
I
u
K
K
u
+
+
+
+
=
α
α
·· (25)
校正証明書に記載されている不確かさが体積値の不確かさu(VST)で示されている場合には,式(25)の
u(KPP)2を相対不確かさ(
)2
nom
ST
VV
u
に置き換える。
各不確かさ要素は,次によって見積もる。
a) u(IP)は,二重計時法を使っていない場合には,±1パルスの三角分布としてu(IP)=
6
/1
=0.41 (pulse)
とする。二重計時法を使っている場合には,パルス数IPの有効数字が小数点以下を含めて5桁以上あ
る場合,u(IP)は無視する。
b) u(KPP)(体積管校正装置の補正係数の標準不確かさ)又は,u(VST)(体積管の体積値の標準不確かさ)
は,校正証明書に記載されている拡張不確かさから標準不確かさを算出して使用する。
c) u(TFM)(流量計内の試験液の温度計測値の標準不確かさ)は,温度計の校正証明書に記載された不確
かさ(部署内校正する場合には温度計の校正の不確かさ)と温度計の経年変化とを合成して求める。
15
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又は,温度計の仕様から求める。さらに,温度計と流量計との位置が離れている場合には,温度計の
位置と流量計の位置との推定される温度差を不確かさとして付加する。
例 試験中に想定される温度計位置と流量計位置との最大温度差がΔTFMと推定される場合,この
温度差の標準不確かさとして
3
/
FM
T
∆
を付加する。
d) u(TPV)(体積管における流体の温度計測値の標準不確かさ)は,温度計の校正証明書に記載された不
確かさ(部署内校正する場合には温度計の校正の不確かさ)と温度計の経年変化とを合成して求める。
又は,温度計の仕様から求める。さらに,体積管の上流と下流との温度差が大きい場合(0.8 ℃以上
の場合)には,温度分布のひずみの不確かさを付加する。
例 試験中に想定される上流と下流との最大温度差がΔTPVと推定される場合,温度分布のひずみの
標準不確かさとして
6
2
/
PV
T
∆
を付加する。
e) u(ΔDV)(被試験流量計と体積管との間の管路内デッドボリュームの流体質量変化による標準不確か
さ)は,次の式(26)で評価する。
(
)
3
DV
L
nom
DV
PV
T
α
V
V
V
DV
u
∆
≈
∆
···························································· (26)
ここに,
u(ΔDV): デッドボリュームの試験液の質量変化による標準不確
かさ
VDV: デッドボリュームの体積(m3)
ΔTDV: デッドボリューム平均温度のパルス計数開始と終了時
との最大変化量(℃)
上記の不確かさ評価に加えて,技術的に必要と思われる不確かさがある場合は,式(25)に対して更に付
加する。
例 体積管に付随するバルブの動作によって流量変動が発生する場合は,被試験流量計に対する流量
変動の影響を調査し,必要に応じて不確かさを付加する。
5.4
ひょう量法による校正
5.4.1
設備
設備が備えるべき要件は,次による。また,概略図を図6に示す。
a) 試験液は水とする。
b) 被試験流量計の上流側及び下流側に十分な長さの直管を備える。直管の長さについてJISなどに規定
がある場合又は製造業者の推奨値がある場合はそれに従う。それ以外の場合も,上流側及び下流側の
流れ場の影響が流量計測に影響を与えない十分な直管長さを確保する。十分な直管長さを確保できな
い場合は,整流管などを用いて流量計に流入する流れ場をできるだけ均等なものにする。
c) 被試験流量計内の試験液の温度を推定するための温度計を備えている。温度計は,定期的に校正する。
d) 被試験流量計における圧力が0.3 MPaを超える場合には,試験液の圧力を測定するための圧力計を備
える。この場合,圧力計は定期的に校正する。
e) ひょう量計は,定期的に校正する。
f)
校正設備は,標準流量計によって校正する。校正は,少なくともひょう量タンクに流すことができる
最大・最小流量及び試験ラインの最大流量に対して実施されていなければならない。
なお,標準流量計の補正に関しては,5.2.4及び5.2.5を参照する。
g) 被試験流量計と転流器との間の管路長は,管路内の流体質量変化が無視できる程度の長さとする。
16
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図6−ひょう量法による校正設備の概略図
5.4.2
校正値の計算及び校正値の不確かさの計算
校正結果はKファクタで表され,次の式(27)によって求める。
fL
k
f
K
C
K=
(
)
(
)
i
f
S
T
air
S
P
fL
/
1
000
1
M
M
k
ρ
ρ
ρ
I
K
−
−
=
×
·························································· (27)
ここに,
Kf: 体積流量に対するKファクタ(Pulse/L)
KfL: 校正設備によって校正したときに得られるKファクタ
(Pulse/L)
Ck: 校正設備の補正係数
IP: 計時パルス数
Mi,Mf: 計測開始前及び計測終了後のひょう量計の指示値(kg)
kS: ひょう量計の補正計数(−)
ρair: ひょう量タンク周辺の空気密度(kg/m3)
ρS: 被試験流量計における水の密度(kg/m3)
ρT: ひょう量タンクにおける水の密度(kg/m3)
Kファクタ(Kf)の相対標準不確かさは,補正係数の不確かさ及び校正設備によって得られるKファク
タの不確かさから,次の式(28)によって求める。
()
()
(
)
2
fL
fL
2
k
k
f
f
K
K
u
C
C
u
K
K
u
+
=
··················································· (28)
校正設備によって校正したときに得られるKファクタ(KfL)に対する相対標準不確かさは,次の式(29)
によって求める。
(
)
()
()
(
)
(
)
()2
D
Dc
2
T
air
T
air
2
i
f
i
f
2
S
S
2
P
P
fL
fL
C
/
1
/
1
t
t
u
ρ
ρ
ρ
ρ
u
M
M
M
M
u
ρ
ρ
u
I
I
u
K
K
u
+
−
−
+
−
−
+
+
=
(29)
ここに,
tDc: 転流器の流路切替によって生じる補正時間(s)
tD: 1回の計測でのひょう量タンクへの流入時間(s)
式(29)の右辺各項に示される各不確かさ要素の相対標準不確かさについては,その値が最大となるよう
に,各項の分母を実使用時に想定される最小の値に設定しなければならない。
なお,質量流量に対するKファクタ(Pulse/kg)に関する相対標準不確かさは,式(29)から密度に関する
項を省略することによって算出できる。
被試験流量計における試験液の密度は,圧縮性を考慮して,次の式(30)によって求める。
ρS=CpρP ················································································· (30)
ここに,
Cp: 試験液の圧縮係数(−)
ρP: 大気圧下における試験液の密度(kg/ m3)
17
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試験液の密度の標準不確かさは,次の式(31)によって求める。
u(ρS)=Cpu[ρP(TS)] ····································································· (31)
質量計測の標準不確かさは,次の式(32)によって求める。
(
)
(
)
(
)2
i
2
f
i
f
M
u
M
u
M
M
u
+
=
−
·················································· (32)
また,ひょう量計の補正係数は,次の式(33)によって求める。
なお,この補正係数の不確かさについては無視することができるので,ここでは取り扱わない。
C
weight
air
S
1
k
ρ
ρ
k
−
=
····································································· (33)
ここに,
ρair: 校正時におけるはかり周囲の空気密度(kg/m3)
ρweight: 分銅の密度(kg/m3)
浮力補正に関する標準不確かさは,次の式(34)によって推定する。
(
)
T
air
T
air
1
ρ
ρ
u
ρ
ρ
u
=
−
··································································· (34)
各不確かさ要素の見積りは,次による。
a) 校正設備の補正係数の不確かさ 校正設備の補正係数は,次のいずれかによって算出する。
1) 標準流量計を当該校正設備によって校正することから得られた補正係数を,当該校正設備における
校正結果に乗じる。補正係数は,次の式(35)によって求める。
RM
fL
fR
k
−
K
K
C=
··········································································· (35)
ここに,
KfR: 標準流量計のKファクタ(Pulse/L)
KfL−RM: 標準流量計を当該校正設備において校正したときのK
ファクタ(Pulse/L)
校正設備の補正係数の相対標準不確かさは,次の式(36)によって推定する。
()
(
)
(
)
2
RM
fL
RM
fL
2
fR
fR
k
k
1
−
−
+
=
K
K
s
n
K
K
u
C
C
u
·········································· (36)
ここに, s(KfL−RM): 標準流量計を校正したときのKファクタの実験標準偏差
n: 繰返し測定回数
2) 補正係数を1として,次の式(37)によって不確かさを算出する。まず,標準流量計のKファクタと
標準流量計を当該設備によって校正することから得られたKファクタとの偏差を算出する。
ΔK=|KfR−KfL−RM| ···································································· (37)
上記の偏差を標準流量計の全校正点において求め,このうち最大の偏差∆Kmaxによる不確かさと
標準流量計のKファクタの不確かさとを合成し,次の式(38)によって校正設備の補正係数の相対標
準不確かさを推定する。
()
(
)
2
fR
max
2
fR
fR
k
k
∆
K
K
K
K
u
C
C
u
+
=
·················································· (38)
b) 標準流量計のKファクタに関する不確かさ 校正証明書に記載されている標準不確かさと標準流量
計の取扱いに伴う標準不確かさ(0.05 %)とを合成して推定する。
18
B 7552:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) パルス計数に関する不確かさ u(IP)(パルス計数の標準不確かさ)は,±1パルスの三角分布とし,
次の式(39)によって推定する。
()
0.41
6
1
P
=
=
I
u
······································································ (39)
d) 被試験流量計における密度に関する不確かさ 密度の不確かさは,計測中に常時密度を計測している
のであれば密度計の不確かさから推定する。密度計の不確かさは,校正証明書に記載されている不確
かさと経時変化とを合成して推定するか,又は仕様書から推定する。
計測している水温から計算式を用いて密度を算出している場合は,温度計測の不確かさと,用いて
いる式の不確かさ及び計算式と実際の密度との間の系統的な偏差から生じる不確かさとを合成して推
定する。
温度計の不確かさは,校正証明書に記載されている不確かさ,分解能及び経時変化を合成して推定
するか,又は仕様書から推定する。また,被試験流量計と温度計との設置位置における温度差が0.8 ℃
以上の場合には,この温度差にく(矩)形分布を仮定して,不確かさに合成する。同様に試験中(ひ
ょう量タンクに入水中)の被試験流量計の温度変化が0.8 ℃以上の場合には,この温度変化量にく(矩)
形分布を仮定して,不確かさに合成する。
計算式と実際の密度との間の系統的な偏差については,実使用される試験液(水)のサンプルの密
度を計測し,計算式との偏差を算出する。算出された値を補正値として使用する場合には,密度計測
の不確かさと試験液の密度の補正値の経時変化とを合成して,不確かさを推定する。補正しない場合
には,生じた偏差に対してく(矩)形分布を仮定して不確かさを算出し,この値と密度の補正値の経
時変化とを合成して不確かさを推定する。
e) 質量計測に関する不確かさ ひょう量計の標準不確かさu(M)は,校正の不確かさ,ひょう量計の分解
能,経時変化及び実使用環境条件(温度特性)による影響を合成して推定する。
f)
浮力補正 空気密度の標準不確かさu(ρair)は,校正環境の条件範囲における空気密度からく(矩)形
分布を仮定して算出する。例えば,空気密度が1.10〜1.34 kg/m3の範囲にあると仮定されれば,次の
式(40)によって推定する。
(
)
0.069
3
2/4
0.2
air
=
=
ρ
u
(kg/m3) ···················································· (40)
気圧・気温・湿度の実計測から不確かさを算出する場合は,式の不確かさ,各計測機器の校正証明
書・仕様書から推定される不確かさと各計測機器の経時変化とを合成して推定する。
g) 転流器の補正時間 ISO 4185に従って全校正流量範囲に対して転流器評価を実施し,tDc /tDが最大と
なるときの補正時間(tDc)を転流器の補正時間の標準不確かさu(tDc)とする。
5.5
繰返し測定及び校正結果の計算
校正に当たり,5.2.3,5.3.2又は5.4.2に規定された手順を,各流量において5回以上繰り返し,得られ
た結果から,校正結果 ¯R 及び相対合成標準不確かさuC(¯R)/¯Rを求める。
∑
1
1
1
n
i
iR
n
R
=
=
············································································ (41)
()
(
)
1
1
1
2
2
−
−
==n
R
R
R
s
n
i
i
i
∑
·································································· (42)
19
B 7552:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
()
()
n
R
s
R
u
i
2
=
δ
······································································· (43)
ここに,
n: 繰返し測定数
Ri: 5.2.3,5.3.2又は5.4.2で求められた校正値[補正係数
Cf,偏差(器差)E,KファクタKf,流出係数Cd,質量
に関するKファクタKfm]のいずれかで,繰返しのi番
目に求められたもの
¯R: 繰返し測定で求められた測定値の平均(校正結果)
s2(Ri): 測定値の実験分散
u(δ¯R): 平均値の偶然効果による標準不確かさ
2
2
C
)
(
)
(
)
(
R
R
u
R
R
u
R
R
u
δ
+
=
···················································· (44)
被試験流量計の偶然効果による標準不確かさが形式ごとにあらかじめ求められている場合は,そのあら
かじめ求めた値を用いてもよい。この場合,繰返しの回数を減少させることができる。また,有効自由度
の計算結果から十分な繰返しの回数が求められる場合においても繰返しの回数を減少させることができる。
評価された相対合成標準不確かさに包含係数k(通常はk=2)を乗じることで相対拡張不確かさ
R
R
U
)
(
を
算出する。演算に使用した包含係数の表記は,不確かさの報告と同時にする。
R
R
u
k
R
R
U
)
(
)
(
C
×
=
····································································· (45)
5.6
第三者認定を受けた校正事業者による校正
計量法に基づく登録校正事業者(JCSS事業者)による液体流量計の校正,又はその他のJIS Q 17025に
基づく第三者認定を受けた校正事業者による液体流量計の校正は,その校正設備及び手順にかかわらず,
この規格に適合した校正とみなす。
5.7
校正結果の報告
校正結果の報告には,次の各項目を含む。
a) 校正を実施した機関の名称及び所在地,並びに校正がその所在地以外で行われた場合はその場所
b) 報告書又は校正証明書の識別(例えば,一連番号)
c) 依頼者の名称及び所在地
d) 被試験流量計を識別するために必要な製造業者名,形名,製造番号など
e) 使用した標準器の名称,並びにその標準器の校正方法及び校正実施日
f)
使用した液種及び液温,並びに使用した液種が水以外の場合はその粘度及び密度
g) 校正を実施した年月日
h) 校正結果(流量点ごとの校正結果,拡張不確かさ及び繰返し測定回数,並びに拡張不確かさに適用し
た包含係数を含む。また,表記された不確かさに対して有効自由度を評価した場合は,拡張不確かさ
に対応する測定の信頼水準を記述することが望ましい。)
i)
校正を実施したときの環境条件(例えば,室温,湿度,大気圧など)のうち,必要なもの
j)
その他校正結果に影響を与えると思われる事項(例えば,上流側に特殊な配管を設置した場合はその
配管形状)
k) 校正方法がこの規格に適合していることの表明
例 “ここで用いられた校正方法は,JIS B 7552:2011に定める“標準流量計による校正”の規定に
20
B 7552:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
適合している。”
注記 被試験流量計の性能が規格に適合していると解釈できるような表記は避ける。
6
器差試験
6.1
試験設備の機能
6.1.1
一般
試験設備の機能は,4.2に加えて,次による。
a) 流量の設定及び調節ができるよう,被試験流量計の出口側に流量調節弁を設置する。
b) 試験設備の運転を管理し,試験条件を明らかにするため,温度計を設置する。
なお,標準器・試験液の温度による補正が必要な場合は,被試験流量計の近接部・標準器の必要箇
所に温度計を設置する。
c) 試験設備の運転を管理し,試験条件を明らかにするため,被試験流量計の入口側に必要に応じて圧力
計を設置する。
なお,標準器が体積管の場合で,体積管の圧力による補正が必要なときは,その入口側及び出口側
に圧力計を設置する。
d) 被試験流量計取付部は,できるだけ標準器に近い位置とし,被試験流量計などの着脱が容易にできる
よう,周囲に十分な空間を設ける。
6.1.2
補助測定器
温度・圧力による補正が必要な場合は,それぞれ次の測定器を用いる。
a) 温度計 目量(一目盛の値)が0.2 ℃以下,又は最小一間隔の値が0.1 ℃以下であって,温度標準器
によって校正されたもの。
b) 圧力計 JIS B 7505-1:2007に定める圧力計1.6級,又はこれと同等以上の性能をもつものであって,
圧力標準器によって校正されたもの。
6.2
試験の手順
6.2.1
共通事項
試験は,試験方法の種類に応じて,それぞれ6.2.2〜6.2.4によって行う。いずれの場合も次に示す手順に
よる。ただし,特別な定めがある場合については,それによる。
a) 試験液の選定 試験液の選定は,4.3に従う。ただし,実液を用いることが困難な場合は,粘度が実液
と類似した液1)を用いる。また,実液における器差が合理的に推定できるときは,水を用いてもよい。
注1) 被試験流量計が容積流量計以外の場合は,密度も近いことが望ましい。
注記 被試験流量計が容積流量計の場合は,実液の粘度を挟む,粘度の近似した2液を用いて試験
を行い,実液の粘度における器差を推定する方法もある。
b) 取込量及び標準器の容量 取込量及び標準器の容量は,次による。ただし,スモールボリュームプル
ーバの場合には,適用しない。
1) 取込量は,試験流量ごとに被試験流量計の目量の100倍以上とする。
なお,被試験流量計の指示量をパルスの積算によって読み取る場合は,1 000パルス以上とする。
2) タンク(ひょう量タンクを含む。)の容量は,被試験流量計の試験最大流量における1分間に相当す
る量以上が望ましい。
3) 体積管の容量は,表記された全量が被試験流量計の試験最大流量における1時間に相当する量の
0.5 %以上とする。
21
B 7552:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) 被試験流量計の取付け 被試験流量計は,流入方向を合わせ,取扱説明書などに示された姿勢に取り
付ける。
なお,容積流量計及び質量流量計以外の場合は,メータランを確保する。
d) 予備運転 予備運転は,被試験流量計の試験最大流量で被試験流量計が安定するまで試験液を流し,
試験条件を安定させる。
なお,この間試験液の漏れ,配管などの振動及び流れの脈流の有無を点検し,必要な場合は対策を
施す。
e) 試験流量 試験は,被試験流量計に定められた流量範囲の上限及び下限に近い2流量を含む2〜5流量
で行う。ただし,使用流量が明らかな場合は,それに近い1流量で行ってもよい。
なお,流量の設定及び調節は,被試験流量計の下流側に設置された流量調節弁で行い,通液中に流
量を確認する。
f)
温度及び圧力の測定 試験条件を明らかにしておくため,試験液の温度を測定し,必要に応じて圧力
を測定する。
g) 密度の測定 一般に,試験液の温度と密度との関係は明らかな場合が多い。しかし,この関係が未知
であるときには,その都度,密度を測定する。
6.2.2
体積法
6.2.2.1
タンクによる方法
タンクによる方法の手順は,指示値の読取方法に応じて,次による。
a) 停止法による方法 標準器にタンクを用い,停止法によって試験を行う場合は,次の手順による。
なお,代表的な試験装置の配管例を図7に示す。
1) タンクを試験液で満たした後,下部基準点(一般に,ゲージグラス)まで排出する。
2) 被試験流量計の指示値(I1)及びタンクの指示値(Q1)を読み取る。
3) 所定の流量で通液する。
4) 試験液の温度による補正が必要な場合は,通液中に被試験流量計近接部の温度計の指示値を2回以
上読み取る。
5) 所定の量を取り込んだ後,通液を止め,被試験流量計の指示値(I2)及びタンクの指示値(Q2)を
読み取る。
6) タンクの温度による補正が必要な場合は,タンクの温度計の指示値を読み取る。
7) 質量流量計の場合は,タンクの温度計の指示値を読み取る。
22
B 7552:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図7−体積法(タンクによる方法:停止法)の試験装置配管例
b) 通液法による方法 標準器にタンクを用い,転流器で,通液法によって試験を行う場合は,次の手順
による。
なお,代表的な試験装置の配管例を図8に示す。
1) 転流器の流れをバイパス側に切り換える。
2) 被試験流量計,転流器及びその間の配管を試験液で充満させる。
3) 転流器の流れをタンク側に切り換えて,タンクを試験液で満たす。再び転流器の流れをバイパス側
に切り換えた後,タンク内の試験液を下部基準点まで排出する。
4) 被試験流量計の流量を所定の流量に設定し,定常的流れになったことを確認する。
5) タンクの指示値(Q1)を読み取る。
6) 被試験流量計の指示値(I1)を読むと同時に転流器の流れをタンク側に切り換える。
7) 試験液の温度による補正が必要な場合は,通液中に被試験流量計近接部の温度計の指示値を2回以
上読み取る。
8) 所定の量を取り込んだ後,転流器の流れを再びバイパス側に切り換えると同時に被試験流量計の指
示値(I2)を読み取る。
9) タンクの指示値(Q2)を読み取る。
10) タンクの温度による補正が必要な場合は,タンクの温度計の指示値を読み取る。
11) 質量流量計の場合は,タンクの温度計の指示値を読み取る。
23
B 7552:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図8−体積法(タンクによる方法:通液法)の試験装置配管例
c) 器差の計算は,式(46)又は式(50)によって行う。
6.2.2.2
体積管による方法
体積管による試験の手順は,次による。
a) 通液法による方法 標準器に体積管を用い,通液法によって試験を行う場合は,次の手順による。代
表的な試験装置の配管例を,図9及び図10に示す。
1) 所定の流量で通液する。
2) ピストンなどを発射する。
3) 試験液の温度・圧力による補正が必要な場合は,通液中に被試験流量計近接部の温度計及び体積管
の温度計・圧力計の指示値を読み取る。
4) 質量流量計の場合は,通液中に体積管の温度計・圧力計の指示値を読み取る。
5) 体積管の全量(Q)に相当するカウンタの指示値(IP)を読み取る。
24
B 7552:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図9−体積法(体積管による方法)の試験装置配管例
図10−体積法(スモールボリュームプルーバによる方法)の試験装置配管例
b) 器差の計算は,式(47)又は式(51)によって行う。
6.2.3
ひょう量法(はかりによる方法)
ひょう量法による手順は,指示値の読取方法に応じて,次による。
a) 停止法による方法 標準器にはかりを用い,停止法によって試験を行う場合は,次の手順による。代
表的な試験装置の配管例を,図11に示す。
1) 被試験流量計とひょう量タンクとの間の配管を試験液で充満する。
2) 被試験流量計の指示値(I1)及びはかりの指示値(m1)を読み取る。
3) 所定の流量で通液する。
25
B 7552:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4) 必要な場合は,通液中に被試験流量計近接部の温度計の指示値を2回以上読み取る。
5) 所定の量を取り込んだ後,通液を止め,被試験流量計の指示値(I2)及びはかりの指示値(m2)を
読み取る。
図11−ひょう量法(はかりによる方法:停止法)の試験装置の配管例
b) 通液法による方法 標準器にはかりを用い,転流器で通液法によって試験を行う場合は,次の手順に
よる。代表的な試験装置の配管例を,図12に示す。
1) 転流器の流れをバイパス側に切り換える。
2) 被試験流量計と転流器との間の配管を試験液で充満させる。
3) 転流器の流れをタンク側に切り換え,ひょう量タンクを試験液で満たし,再び転流器の流れをバイ
パス側に切り換えた後,ひょう量タンク内の試験液を排出する。
4) 被試験流量計の流量を所定の流量に設定し,定常的流れになったことを確認する。
5) はかりの指示値(m1)を読み取る。
6) 被試験流量計の指示値(I1)を読むと同時に,転流器の流れをひょう量タンク側に切り換える。
7) 必要な場合は,通液中に被試験流量計近接部の温度計の指示値を2回以上読み取る。
8) 所定の量を取り込んだら,転流器の流れを再びバイパス側に切り換えると同時に,被試験流量計の
指示値(I2)を読み取る。
9) はかりの指示値(m2)を読み取る。
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図12−ひょう量法(はかりによる方法:通液法)の試験装置の配管例
c) 器差の計算は,式(48)又は式(52)によって行う。
6.2.4
比較法(流量計による方法)
比較法の試験の手順は,次による。
a) 通液法又は停止法による場合 標準器となる流量計(以下,標準流量計という。)を用い,次の手順に
よる。代表的な試験装置の配管例を,図13に示す。
1) 所定の流量で通液する。
2) 被試験流量計の指示値(I1)及び標準流量計の指示値(IS1)を同時に読み取る。
なお,停止法による場合は,被試験流量計の出口側のバルブを閉じて読み取る。
3) 所定の量を通液した後,被試験流量計の指示値(I2)及び標準流量計の指示値(IS2)を同時に読み
取る。
なお,停止法による場合は,被試験流量計の出口側のバルブを閉じて読み取る。
4) 必要な場合は,通液中に標準流量計の温度計の指示値を,2回以上読み取る。
注記1 この図は,同一種類の流量計を比較する場合の配管例を示す。
なお,被試験流量計と標準流量計との順序を換えてもよい。
注記2 タービン流量計,渦流量計など流れの変化の影響を受けやすい流量計と容積流量計とを
比較する場合の配管例を,図14に示す(いずれが標準流量計となってもよい。)。
図13−比較法(流量計による方法)の試験装置配管例
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B 7552:2011
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図14−流れの影響を受けやすい流量計の試験装置配管例
b) 器差の計算は,式(49)又は式(53)によって行う。
6.3
器差の計算
6.3.1
積算体積を指示する流量計の場合
6.3.1.1
体積法
体積法による器差の計算は,標準器の種類に応じて,次による。ただし,補正項α(tQ−tI),β(tS−tQ)及び
K×PQは,必要に応じて適用する。
a) タンクによる方法を用いた場合の器差は,次の式(46)によって求める。
)
(
)
(
100
)
(
)
(
Q
S
I
Q
t
t
β
t
t
α
q
Q
q
Q
I
E
−
+
−
+
−
−
−
=
×
······································ (46)
b) 体積管による方法を用いた場合の器差は,次の式(47)によって求める(スモールボリュームプルーバ
による方法を含む。)。
)
(
)
(
)
(
100
)
(
)
(
Q
I
Q
Q
S
I
Q
P
P
F
P
K
t
t
β
t
t
α
q
Q
q
Q
I
E
−
+
−
−
+
−
+
−
−
−
=
×
×
············ (47)
ただし,二重管方式の場合は,K×PQ項を除く。また,試験液の圧力が1 MPa程度以下の場合は,
K×PQ項を省略してもよい。PI−PQが0.2 MPa以下の場合は,F(PI−PQ)項を省略してもよい。
なお,式に用いた記号は,表4による。
6.3.1.2
ひょう量法(はかりによる方法)
ひょう量法による器差は,次の式(48)によって求める。ただし,補正項eは,必要に応じて適用する。
e
ρ
m'
m
ρ
m'
m
I
E
+
−
−
−
=
100
×
··························································· (48)
なお,式に用いた記号は,表4による。
6.3.1.3
比較法(流量計による方法)
比較法による器差は,次の式(49)によって求める。
S
S
S
100E
I
I
I
E
+
−
=
×
·································································· (49)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なお,式に用いた記号は,表4による。
6.3.2
質量流量計又は積算質量を指示する流量計の場合
6.3.2.1
体積法
体積法による器差の計算は,標準器の種類に応じて,次のとおりとする。ただし,補正項β(tS−tQ)及び
K×PQは,必要に応じて適用する。
a) タンクによる方法を用いた場合の器差は,次の式(50)によって求める。
)
(
100
)
(
)
(
Q
S
Q
Q
m
t
t
β
ρ
q
Q
ρ
q
Q
I
E
−
+
−
−
−
=
×
×
×
············································· (50)
b) 体積管による方法を用いた場合の器差は,次の式(51)によって求める(スモールボリュームブルーバ
による方法を含む。)。
Q
Q
S
Q
Q
m
)
(
100
)
(
)
(
P
K
t
t
β
ρ
q
Q
ρ
q
Q
I
E
×
×
×
×
−
−
+
−
−
−
=
··································· (51)
ただし,二重管方式の場合は,K×PQ項を除く。また,試験液の圧力が1 MPa程度以下の場合は,K×
PQ項を省略してもよい。
なお,式に用いた記号は,表4による。
6.3.2.2
ひょう量法(はかりによる方法)
ひょう量法による器差の計算は,次の式(52)によって求める。ただし,補正項eは,必要に応じて適用
する。
e
m'
m
m'
m
I
E
+
−
−
−
=
100
)
(
)
(
m
×
··························································· (52)
なお,式に用いた記号は,表4による。
6.3.2.3
比較法(流量計による方法)
比較法による器差の計算は,次の式(53)によって求める。
S
Q
S
Q
S
m
100E
ρ
I
ρ
I
I
E
+
−
=
×
×
×
··························································· (53)
なお,式に用いた記号は,表4による。
29
B 7552:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表4−記号
記号
表す量
単位
E 被試験流量計の器差
%
I
被試験流量計の指示量I=I2−I1
ただし,I1及びI2をパルスの積算によって読み取る場合は,
I=k (I2−I1)=k・Ip
ここに,k:パルス係数(l/パルス)
l又はL
Im
質量流量計の場合の被試験流量計の指示量 Im=I2−I1
kg
Q
タンク又は体積管の指示量
タンク Q=Q2−Q1
体積管 表記された全量
l又はL
q
タンク又は体積管の器差
l又はL
m はかりの指示量 m=m2−m1
kg
m' はかりの器差
kg
ρ
被試験流量計通過時の試験液の平均密度
kg/m3
ρQ 標準器における試験液の平均密度
kg/m3
IS
標準流量計の指示量IS=IS2−IS1
l又はL
ES 標準流量計の器差
%
tI
被試験流量計通過時の試験液の平均温度
℃
tQ
タンク又は体積管の試験液の平均温度
℃
tS
タンク又は体積管の標準温度
℃
α 試験液の温度による膨張係数
%・K−1
β
タンク又は体積管材料の温度による体膨張係数
%・K−1
e
空気の浮力による補正値
%
K
体積管の圧力による膨張率
100
(cm)
(MPa)
(cm)
×
×管の肉厚
管材料の縦弾性係数
管の内径
=
K
%・MPa−1
PQ 体積管通過時の試験液の圧力(ゲージ圧)
MPa
PI
被試験流量計通過時の試験液の圧力(ゲージ圧)
MPa
F
液の圧縮係数
%・MPa−1
6.3.3
2液試験による器差の内挿計算
被試験流量計が容積流量計の場合で,実液の粘度を挟む,粘度の近似した2液を用いた試験によって,
実液の粘度における器差を推定する場合は,次の式(54)によって求める。
(
)(
)
(
)
2
1
2
1
2
1
2
μ
μ
μ
μ
μ
μ
E
E
E
E
−
−
−
+
=
························································ (54)
ここに,
E: 実液の粘度における器差
E1: 実液の粘度より大きい粘度の試験液を用いたときの器差
(%)
E2: 実液の粘度より小さい粘度の試験液を用いたときの器差
(%)
μ: 実液の粘度(mPa・s)
μ1: 実液の粘度より大きい試験液の粘度(mPa・s)
μ2: 実液の粘度より小さい試験液の粘度(mPa・s)
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B 7552:2011
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附属書A
(規定)
標準流量計の校正値の補間方法
A.1 一般
標準流量計を校正した流量点と,標準流量計を使用して被試験流量計を校正するときの流量点とが一致
していない場合は,A.2〜A.4に従って校正値(Kファクタ又は補正係数)の補間を行う。ここでは,Kフ
ァクタの補間方法を例示するが,補正係数に対しても同様の方法が適用できる。また,体積管による校正
において,体積管の補正係数に対しても同様の方法が適用できる。
A.2 比較的近接した2点の補間
比較的近い2点の流量(Q1,Q2)に対して標準流量計のKファクタ(Kf1,Kf2)が求められており,そ
の2点間の流量Qで標準流量計を使用する場合には,2点間で直線近似を行い,次の式(A.1)で求められる
Kfを用いる。
2
1
2
f1
1
f2
2
1
f2
f1
f
Q
Q
Q
K
Q
K
Q
Q
Q
K
K
K
−
−
+
−
−
=
··················································· (A.1)
求められたKファクタの相対標準不確かさは,次の式(A.2)によって求める。
()
(
)(
)(
)(
)(
)
[
]
f2
1
f1
2
2
1
f
f
f
1
K
u
Q
Q
K
u
Q
Q
Q
Q
K
K
K
u
−
+
−
−
=
·························· (A.2)
ここに, u(Kf1),u(Kf2)は,Kf1及びKf2の標準不確かさを表す。
A.3 校正値の定数近似
ある流量範囲の複数の流量点で標準流量計のKファクタKfiが求められており,この範囲でKファクタ
がほぼ一定とみなせる場合には,算術平均によって求めた値¯¯
Kfを近似として使用する。このときのKファ
クタの相対標準不確かさは,次の式(A.3)によって求める。
()
()
2
f
f
fi
2
fi
fi
f
f
−
MAX
K
K
K
K
K
u
K
K
u
+
=
······································· (A.3)
ここに, MAX( )は,括弧内の値の最大値を示す。
標準流量計のKファクタを測定した流量点は,できる限り均等な間隔であることが望ましい。
A.4 広い流量範囲の校正値の直線近似
ある流量範囲の複数の流量点Qiで標準流量計のKファクタKfiが求められており,この範囲でKファク
タと流量との間に直線的な関係があるとみなせる場合には,最小自乗法によって求めた近似式(A.4)〜式
(A.6)を使用する。
Kf, fit=b1Q+b2 ········································································ (A.4)
()
2
1
i
1
2
i
1
fi
1
i
1
fi
i
1
∑
∑
∑
∑
∑
N
i
N
i
N
i
N
i
N
i
Q
Q
N
K
Q
K
Q
N
b
=
=
=
=
=
−
−
=
······················································ (A.5)
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B 7552:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
()
(
)
()
2
1
i
1
2
i
1
fi
i
1
i
1
fi
1
2
i
2
∑
∑
∑
∑
∑
∑
N
i
N
i
N
i
N
i
N
i
N
i
Q
Q
N
K
Q
Q
K
Q
b
=
=
=
=
=
=
−
−
=
············································· (A.6)
このときのKファクタの相対標準不確かさは,次の式(A.7)によって求める。
(
)
()
()
[
]2
1
2
fi
fit
f,
fi
2
fi
fi
fit
f,
fit
f,
−
MAX
Q
u
b
K
K
K
K
K
u
K
K
u
+
+
=
······················· (A.7)
ここに,
N: Kファクタが求められている流量点の数
∑
N
i1
=
: 全ての流量点に対する総和
標準流量計のKファクタを測定した流量点は,できる限り均等な間隔であることが望ましい。