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B 7547-2:2020  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 設備及び測定器 ················································································································ 2 

4.1 設備及び測定器の要件 ···································································································· 2 

4.2 設備及び測定器の設置環境 ······························································································ 2 

5 特性試験方法 ··················································································································· 2 

6 校正方法及び校正の不確かさ評価 ························································································ 2 

6.1 一般 ···························································································································· 2 

6.2 校正方法の選択 ············································································································· 2 

6.3 校正方法の共通要件 ······································································································· 3 

6.4 気体圧力による校正方法 ································································································· 3 

6.5 液体圧力を気体圧力に変換する校正方法············································································· 5 

6.6 液体圧力による校正方法(1種類の液体を用いる場合) ························································ 8 

6.7 液体圧力による校正方法(2種類の液体を用いる場合) ························································ 9 

附属書A(規定)標準器と被校正器とで異なる圧力媒体を用いる場合の 

  ヘッド差補正及びその不確かさ ························································································ 13 

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(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本計量機器工業連合会(JMIF),

国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原

案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣

が制定した日本産業規格である。これによって,JIS B 7547:2008は廃止され,その一部を分割して制定し

たこの規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS B 7547の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS B 7547-1 第1部:一般用 

JIS B 7547-2 第2部:高圧気体用 

日本産業規格          JIS 

B 7547-2:2020 

圧力計の特性試験方法及び校正方法− 

第2部:高圧気体用 

Procedures of characterization and calibration for pressure gauges- 

Part 2: High-pressure gases 

適用範囲 

この規格は,圧力計の校正,試験,検査などにおいて標準器として使用する高圧気体用圧力計の特性試

験方法及び校正方法のうち,液体圧力で校正を受けた標準器を用いる方法について規定する。ただし,高

圧気体用圧力計には重錘形圧力天びんを含めない。 

注記 この規格における高圧気体とは,一般に7 MPaを超えるような圧力の気体をいう。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7547-1 圧力計の特性試験方法及び校正方法−第1部:一般用 

JIS B 7610 重錘形圧力天びん 

JIS Z 8103 計測用語 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 7547-1,JIS B 7610及びJIS Z 8103によるほか,次による。 

3.1 

圧縮機 

気体の増圧を目的として設置する装置。増圧器,ブースタ又はコンプレッサともいう。 

3.2 

液体潤滑型重錘形圧力天びん 

シリンダ側面の穴を通じてピストンとシリンダとの隙間につながる液槽に,発生圧力が加わり,ピスト

ンとシリンダとの隙間が液体で満たされる構造をもつ重錘形圧力天びん(図1参照)。 

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図1−液体潤滑型重錘形圧力天びん 

3.3 

圧力媒体変換装置 

内部で2種類の圧力媒体を直接接触させることによって,校正システムで用いる圧力媒体を変換する装

置。互いに容易に混ざり合わない2種類の圧力媒体が装置内部で界面を形成して接する。 

3.4 

隔膜式圧力媒体変換装置 

内部の隔膜を介して校正システムで用いる2種類の圧力媒体を変換する装置。通常は,2種類の液体に

対して用いる。 

設備及び測定器 

4.1 

設備及び測定器の要件 

必要な設備及び測定器は,JIS B 7547-1の4.1.1(配管)〜4.1.10(角度の測定器)によるほか,次による。 

4.1.1 

圧縮機 圧縮機は,試験又は校正を行う最大圧力以上に加圧ができるものとする。 

4.2 

設備及び測定器の設置環境 

設備及び測定器の設置環境は,JIS B 7547-1の4.2(設備及び測定器の設置環境)による。 

特性試験方法 

特性試験方法は,JIS B 7547-1の箇条5(特性試験方法)による。 

校正方法及び校正の不確かさ評価 

6.1 

一般 

液体圧力で校正を受けた標準器による高圧気体用圧力計の校正方法及び校正の不確かさ評価について規

定する。依頼者によって特別な要求がある場合には,その要求を満足する内容で校正を実施する。 

6.2 

校正方法の選択 

校正方法は,利用できる設備,測定器などに応じて,a)〜d) の四つの方法から選択する。四つの方法の

共通要件は,6.3による。それぞれの校正方法を利用する場合の要件は,6.4〜6.7による。 

a) 気体圧力による校正方法 標準器及び被校正器の両方で気体を用いて校正を行う。 

b) 液体圧力を気体圧力に変換する校正方法 標準器に液体を用い,被校正器に気体を用いて校正を行う。

液体圧力を気体圧力に変換するために圧力媒体変換装置又は差圧計を利用する。 

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c) 液体圧力による校正方法(1種類の液体を用いる場合) 標準器及び被校正器の両方で液体を用いて

校正を行い,校正後に被校正器内の液体を除去する。 

d) 液体圧力による校正方法(2種類の液体を用いる場合) 標準器及び被校正器で別種の液体を用いて

校正を行う。媒体の変換に圧力媒体変換装置,隔膜式圧力媒体変換装置又は差圧計を利用する。校正

後に被校正器内の液体を除去する。 

6.3 

校正方法の共通要件 

液体圧力で校正を受けた標準器による高圧気体用圧力計の校正方法は,次の要件を満たさなければなら

ない。 

a) 校正環境は,JIS B 7547-1の6.3(校正環境)による。 

b) 装置の設置及び点検は,JIS B 7547-1の6.5(装置の設置及び点検)による。 

c) 校正圧力点及び測定回数は,JIS B 7547-1の6.7(校正圧力点及び測定回数)による。 

d) 校正結果の報告は,JIS B 7547-1の6.11(校正結果の報告)による。 

6.4 

気体圧力による校正方法 

6.4.1 

一般 

標準器及び被校正器の両方で気体を用いる校正方法を規定する。 

6.4.2 

使用する気体の選択 

使用する気体は,JIS B 7547-1の4.1.11(圧力媒体)のa)(気体)による。 

6.4.3 

標準器 

標準器は,JIS B 7547-1の6.2.2(標準器の要件)によるほか,次のa) 及びb) の要件を満たさなければ

ならない。 

a) 液体潤滑型重錘形圧力天びんを標準器として用いる場合 

1) 液体を用いて校正を受けたときと同じ液体を液槽に入れる。 

2) ピストン・シリンダの特性(高さ位置依存性,回転状態依存性など)が液体で使用した場合と同じ

である。 

3) 気体を用いたときの動作感度などの特性を,あらかじめ評価しておく[動作感度については,JIS B 

7610の5.9(重錘形圧力天びんの動作感度)及びA.3.1.4(重錘形圧力天びんの動作感度の測定)を

参照]。 

4) ピストン降下速度は,JIS B 7610の5.8(ピストン降下速度)の圧力媒体が液体の場合の規定を満た

すものとする。ピストン降下速度は,圧力調整方法及び測定圧力到達後の待ち時間に依存し,液体

を用いた場合と異なることがあるため,実際の測定手順に応じてピストン降下速度をあらかじめ評

価しておく。 

5) 液体が気体の配管内に混入しないように,ピストンとシリンダとの隙間から圧力天びんの装置内に

滴下した液体を受けた(溜)める機構を設置する。 

b) その他の圧力計を標準器として用いる場合 

1) 液体を用いて校正を受けた後,液体を完全に除去し,液体が校正装置内に混入しないようにする。

液体の除去方法は,6.6.7による。 

2) 圧力計の感圧部の形状及び姿勢によっては,圧力媒体の密度の違いによって校正値が異なる場合が

あるため,校正を受けたときと異なる圧力媒体を用いる場合は,校正値への影響量を評価する。そ

の影響量が大きい場合には補正を行う(参考文献[2]を参照)。 

3) 重錘形圧力天びんを標準器として用いる場合,液体専用の重錘形圧力天びんを気体で動作させては

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ならない。 

6.4.4 

装置の構成 

気体圧力による装置の構成例を,図2に示す。6.4.2に規定する気体の入ったボンベを圧力源として使用

する。また,圧力源の圧力が校正に必要な圧力とならない場合は,圧縮機を装置内に導入する。標準器及

び被校正器に印加する圧力は,圧力調整器,圧力調整バルブ及び開放バルブで制御する。高圧気体を扱う

設備は,安全が確認されたものを使用する。 

図2−気体圧力による校正の装置例 

6.4.5 

校正の準備 

校正の準備は,JIS B 7547-1の6.6(校正の準備)によるほか,a)〜d) による。 

a) 配管及び使用する装置内から液体を全て除去する。 

b) 配管及び使用する装置に対し,それらの使用最大圧力を超える圧力が印加されることを防ぐため,装

置内に圧力逃し弁などを設置することが望ましい。ただし,被校正器と標準器との間には配置しない。 

c) 液体潤滑型重錘形圧力天びんを標準器として用いる場合には,使用前に液槽に液体を充塡する。 

d) 液体潤滑型重錘形圧力天びんを標準器として用いる場合には,ピストンとシリンダとの隙間から滴下

した(溜)まった液体を排出する。 

6.4.6 

測定 

測定は,JIS B 7547-1の6.8(測定)によるほか,次による。 

a) 圧力調整の際に,急激な加圧及び減圧は行わない。特に,液体潤滑型重錘形圧力天びんを標準器とし

て用いる場合は,急激な減圧を行うと,液槽内の液体が配管内に飛散するおそれがあるため,注意す

る。 

b) 圧力調整を行った後は,気体の断熱変化によって温度が変化している可能性があるため,圧力媒体の

温度が安定するまで待ち時間を設ける(参考文献[3]を参照)。 

c) 液体潤滑型重錘形圧力天びんを標準器として用いる場合は,圧力調整後にピストン降下速度が測定に

適した値になっていることを確認してから測定を行う。 

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6.4.7 

記録 

記録は,JIS B 7547-1の6.9(記録)による。 

6.4.8 

校正値の算出 

校正結果の算出は,JIS B 7547-1の6.10(校正値の算出)による。 

6.4.9 

不確かさ評価 

不確かさ評価は,JIS B 7547-1の箇条7(校正の不確かさ評価)による。 

6.5 

液体圧力を気体圧力に変換する校正方法 

6.5.1 

一般 

標準器に液体を用い,被校正器に気体を用いる場合の校正方法について規定する。液体圧力を気体圧力

に変換するために圧力媒体変換装置を利用する場合と差圧計を利用する場合がある。 

6.5.2 

使用する圧力媒体の選択 

使用する圧力媒体は,a) 及びb) の要件を満たさなければならない。 

a) 標準器で用いる液体は,JIS B 7547-1の4.1.11(圧力媒体)のb)(液体)による。 

b) 被校正器で用いる気体は,JIS B 7547-1の4.1.11(圧力媒体)のa)(気体)による。 

6.5.3 

標準器 

標準器は,JIS B 7547-1の6.2.2(標準器の要件)によるほか,液体を用いて校正を受けていなければな

らない。 

6.5.4 

装置の構成 

圧力媒体変換装置を利用する場合の装置構成例を図3に,差圧計を利用する場合の装置校正例を図4に

示す。標準器と被校正器との間に,圧力媒体変換装置又は差圧計を設置する。6.5.2に規定する圧力媒体を

圧力源として使用する。また,被校正器側における圧力源の圧力が校正に必要な圧力とならない場合は,

圧縮機を装置内に導入する。標準器及び被校正器に印加する圧力は,それぞれの圧力媒体に適した圧力調

整器などで制御する。被校正器側の高圧気体を扱う設備は,安全が確認されたものを使用する。 

図3−圧力媒体変換装置(液体−気体)を利用した校正の装置例 

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図4−差圧計を利用した校正の装置例 

6.5.5 

校正の準備 

校正の準備は,JIS B 7547-1の6.6(校正の準備)によるほか,次による。 

a) 圧力媒体変換装置を利用する場合 

1) 圧力媒体変換装置の内部において,下側から液体が,上側から気体が供給されるように,二つの接

続口を標準器側及び被校正器側にそれぞれ適切に配置する。 

2) 圧力媒体変換装置に圧力媒体を入れる際は,まず,被校正器側の圧力を大気開放しておき,液体を

目標とする界面の高さまで導入する。その後,圧力媒体変換装置内の残りの空間に被校正器側で使

用する気体を満たす。 

3) 圧力媒体変換装置が一方の圧力媒体で完全に満たされて逆側の配管まで侵入することがないように

注意する。圧力媒体変換装置の標準器側の配管に遮断バルブを設け,圧力媒体の導入時及び加圧・

減圧時にこの遮断バルブを閉めることによって,圧力媒体の混入を防ぐことが望ましい。 

4) 被校正器のゼロ点測定のための圧力開放口は,被校正器側の配管に設置する。 

5) 圧力媒体変換装置内の,気体と液体との界面の高さを測定する。 

b) 差圧計を利用する場合 

1) 差圧計を利用し,液体圧力と気体圧力とが均圧になる状態を実現して校正を行う場合,差圧計のゼ

ロ点が圧力(ライン圧力)に依存することがあるため,事前に評価する。ゼロ点のライン圧力依存

性の評価は,差圧計を校正システムに設置する前に行う。差圧計の二つの圧力接続口に接続した配

管を導通させ,二つの圧力室に等しい圧力を印加したときの差圧計の出力値からライン圧力依存性

を評価する[JIS B 7547-1の5.3.4(ライン圧力による影響)も参照。]。 

2) 差圧計の出力値を用い,液体圧力と気体圧力との差を補正して校正を行う場合,使用する差圧計の

ゼロ点のライン圧力依存性及びスパンのライン圧力依存性,並びに出力値の直線性について事前に

評価をしておく。 

3) 二つの圧力室の大きさが異なる場合,大きい圧力室に液体による圧力を,小さい圧力室に気体によ

る圧力を印加することが望ましい。 

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4) 差圧計に液体を入れる際は,内部に気泡が残らないように注意する。二つの圧力室が上下に配置さ

れている場合は,内部の気泡を除去しやすくするため,上側の圧力室に液体を入れることが望まし

い。 

6.5.6 

測定 

校正作業は,JIS B 7547-1の6.8(測定)によるほか,次による。 

a) 圧力媒体変換装置を利用する場合 

1) 圧力調整の際には,二つの圧力媒体の界面の位置をあらかじめ設定した範囲内に保つように,液体

及び気体の両方をそれぞれの圧力調整器を用いて加圧する。圧力媒体変換装置と標準器との間に遮

断バルブを設置している場合は,遮断バルブを閉じた状態で標準器側及び被校正器側の圧力をそれ

ぞれ調整し,両者が目的の圧力に到達した後で遮断バルブを開く。 

2) 圧力調整の際は,急激な加圧及び減圧は行わない。特に,圧力媒体変換装置内の液体が気体用配管

内に飛散するため,急激な減圧は行わない。 

3) 液体と気体との界面では気体の一部が圧力に応じて液体に溶け込み,測定システム全体の圧力が安

定するまでに通常よりも長い時間がかかることがあるため,圧力調整を行った後,圧力が安定する

まで待ち時間をおいてから測定を行う。 

4) 標準器として重錘形圧力天びんを用いる場合は,ピストン降下速度が測定に適した値になっている

ことを確認してから測定を行う。 

b) 差圧計を利用する場合 

1) 圧力調整の際には,差圧計に過大な差圧がかからないように,液体及び気体の両方をそれぞれの圧

力調整器を用いて加圧する。差圧計の特性変化を避けるため,加圧及び減圧の際,可能な限り同じ

側を高く保つように操作を行う。液体圧力の側を高く保つことが望ましく,加圧時は先に標準器側

の圧力を上昇させ,減圧時は先に被校正器側を減圧する。 

2) 測定を開始する前に,標準器側及び被校正器側の開放バルブを大気に開放し,差圧計のゼロ点を調

整しておく。 

3) 差圧計内部の圧力室が数立方センチメートルなどと小さい場合は,特に気体の温度変化に伴う圧力

変化が大きいため,圧力が安定するまで待ち時間をおいてから測定を行う。 

4) 差圧計の出力値を用いて液体圧力と気体圧力との差を補正して校正を行う場合,補正する圧力差は,

目標とする不確かさに対して無視できる値とする。一般的には1/10以下が望ましい。 

6.5.7 

記録 

記録は,JIS B 7547-1の6.9(記録)によるほか,次による。 

a) 圧力媒体変換装置を利用する場合は,圧力媒体変換装置内の液体と気体との界面の高さを記録する。 

b) 差圧計を利用する場合は,差圧計の受圧面の高さを記録する。 

6.5.8 

校正値の算出 

校正結果の算出は,JIS B 7547-1の6.10(校正値の算出)による。ただし,ヘッド差の補正値について

は,圧力媒体変換装置を利用する場合はA.1を,差圧計を利用する場合はA.2を用いる。 

6.5.9 

不確かさ評価 

不確かさ評価は,JIS B 7547-1の箇条7(校正の不確かさ評価)によるほか,次による。 

a) 圧力媒体変換装置を利用する場合 ヘッド差補正の不確かさを,A.1によって求める。 

b) 差圧計を利用する場合 差圧計を利用する場合は,1)〜5) の不確かさを評価する。 

1) ヘッド差補正の不確かさ ヘッド差補正の不確かさを,A.2によって求める。 

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2) ライン圧力依存性に起因する不確かさ JIS B 7547-1の7.2.9(ライン圧力による不確かさupl)によ

って求める。 

3) 差圧計の分解能に起因する不確かさ JIS B 7547-1の7.2.5(読取り分解能又は表示安定性による不

確かさud)によって求める。 

4) 均圧状態と判断する圧力範囲に起因する不確かさ 均圧状態を実現して校正を行う場合,均圧状態

と判断する圧力範囲に起因する不確かさは,次の式によって求める。 

3

pe

pe

δ

u=

ここに, 

δpe: 均圧状態と判断する圧力範囲の幅 

5) 差圧計の直線性に起因する不確かさ 差圧計の出力値によって補正を行う場合,差圧計の直線性に

起因する不確かさは,次の式によって求める。 

3

pc

d

pc

δ

l

u=

ここに, 

ld: 差圧計の出力値の直線性 

δpc: 補正する圧力差 

6.6 

液体圧力による校正方法(1種類の液体を用いる場合) 

6.6.1 

一般 

標準器及び被校正器の両方で液体を用いて校正を行い,校正後に被校正器内の液体を除去する方法を規

定する。 

6.6.2 

使用する液体の選択 

使用する液体は,被校正器の種類及び構造,並びに校正後の使用方法に応じて選択し,JIS B 7547-1の

4.1.11(圧力媒体)によるほか,次の要件を満たさなければならない。 

a) 校正環境下で高い揮発性をもつ。液体の常温での蒸気圧が絶対圧力1 kPa以上であることが望ましい。 

b) 使用する液体及び校正後の除去方法については,受渡当事者間で合意を得る。 

6.6.3 

標準器 

標準器は,JIS B 7547-1の6.2.2(標準器の要件)によるほか,次の要件を満たさなければならない。 

a) 重錘形圧力天びんを標準器として用いる場合 

1) 校正を受けたときと異なる圧力媒体を用いる場合には,液体の粘性の違いなどによって,動作感度,

ピストン降下速度,自由回転時間などが異なる場合があるため,使用する媒体においてそれらの特

性が評価されている。 

2) 校正を受けたときと異なる圧力媒体を用いる場合は,ピストン・シリンダの有効断面積への影響が

評価されている。その影響量が大きい場合には補正を行う。 

b) その他の圧力計を標準器として用いる場合 

1) 校正を受けたときと異なる圧力媒体を用いる場合は,元の液体を完全に除去し,液体が混合しない

ようにする。 

2) 圧力計の感圧部の形状及び姿勢によっては,液体の密度の違いによって校正値が異なる場合がある

ため,校正を受けたときと異なる液体を用いる場合は,校正値への影響量が評価されている。その

影響量が大きい場合には補正を行う[JIS B 7547-1の7.2.2(印加した圧力の不確かさus)b) 参照]。 

6.6.4 

装置の構成 

液体圧力用の装置は,図2に示した各機器及びバルブを液体用に変更する。圧力源(気体),圧縮機,及

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び圧力調整バルブは,圧力源(液体)に置き換える。 

6.6.5 

校正の準備 

校正の準備は,JIS B 7547-1の6.6(校正の準備)によるほか,次による。 

a) 配管及び使用する装置内に液体を満たし,内部に気泡が残らないように注意する。特に,揮発性の高

い液体を用いる場合は,未使用期間中に液体が気化することがあるため,配管及び装置内に液体が満

たされていることを確認する。 

b) 液体の揮発性が高く,配管及び装置内へ充塡することが難しい場合は,配管内を真空ポンプで真空引

きしておき,その後バルブの切り替えなどによって液体を配管内に充塡する。 

c) 重錘形圧力天びんを標準器として用いる場合は,液体を満たした状態でピストンの設置を行い,ピス

トンとシリンダとの隙間に液体が満たされるようにする。 

6.6.6 

測定 

校正作業は,JIS B 7547-1の6.8(測定)による。ゼロ点の測定を行う場合は,液体の蒸発によって液面

の高さが変化する場合があるため注意する。 

6.6.7 

校正後の液体の除去 

校正終了後に被校正器内部の液体を除去する場合,除去方法の主な例をa)〜e) に示す。圧力計の構造,

液体の種類などに応じて,これらの方法を組み合わせて利用し,被校正器内部に残留した液体の除去を確

認する。 

a) 圧力計の接続口に真空ポンプを接続し,使用した液体の蒸気圧の1/10の絶対圧力まで,15分間以上

真空引きを行う。必要に応じて,この真空引きと大気への開放とを数回繰り返す。 

b) 使用した液体の蒸気圧が20 kPa以上の場合は,内部の液体を排出した後,接続口を大気圧に開放し,

乾燥させる。 

c) 内部の液体を排出した後,乾燥空気などの気体を勢いよく内部に送り込むことによって内部の液体を

蒸発飛散させて除去する。 

d) 別の溶媒液体を圧力計内部に入れることによって,使用した液体を溶解させて排出する。その後,溶

媒の液体をa)〜c) の方法で除去する。 

e) a)〜d) 以外の方法で内部の液体を除去するときは,除去方法について依頼者からの了解を得る。 

注記 圧力計の接続口と感圧部との間に細長い配管が存在する場合及び装置内部が複雑な形状で液

だま(溜)りが生じる可能性がある場合は,除去方法について特別な注意が必要である。 

6.6.8 

記録 

記録は,JIS B 7547-1の6.9(記録)による。 

6.6.9 

校正値の算出 

校正結果の算出は,JIS B 7547-1の6.10(校正値の算出)による。 

6.6.10 

不確かさ評価 

不確かさ評価は,JIS B 7547-1の箇条7(校正の不確かさ評価)による。 

6.7 

液体圧力による校正方法(2種類の液体を用いる場合) 

6.7.1 

一般 

標準器と被校正器とで別種の液体を用いる場合の校正方法のうち,媒体の変換に圧力媒体変換装置を用

いる場合,及び隔膜式圧力媒体変換装置を利用する場合の要件について規定する。 

なお,媒体の変換に差圧計を利用する場合は,6.5の差圧計を利用する場合の規定に従う。 

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6.7.2 

使用する液体の選択 

使用する液体は,被校正器の種類及び構造,並びに校正後の使用方法に応じて選択し,次の要件を満た

さなければならない。 

a) 標準器で用いる液体は,JIS B 7547-1の4.1.11(圧力媒体)のb)(気体)による。 

b) 被校正器で用いる液体は,6.6.2の要件を満足する。 

c) 圧力媒体変換装置を利用する場合には,標準器で用いる液体と被校正器で用いる液体は密度に差があ

り,互いに溶解することなく上下2層に分離する。 

6.7.3 

標準器 

標準器は,JIS B 7547-1の6.2.2(標準器の要件)によるほか,液体を用いて校正を受けているものとす

る。 

6.7.4 

装置の構成 

圧力媒体変換装置を利用する場合の装置構成例を図5に,隔膜式圧力媒体変換装置を利用する場合の装

置構成例を図6に示す。標準器と被校正器との間に,圧力媒体変換装置又は隔膜式圧力媒体変換装置を設

置する。6.7.2に規定する圧力媒体を圧力源として使用する。標準器及び被校正器に印加する圧力は,それ

ぞれの圧力媒体に適した圧力調整器で制御する。 

図5−圧力媒体変換装置(液体−液体)を利用した校正の装置例 

図6−隔膜式圧力媒体変換装置を利用した校正の装置例 

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6.7.5 

校正の準備 

校正の準備は,6.6.5によるほか,次による。 

a) 圧力媒体変換装置を利用する場合 

1) 圧力媒体変換装置の配管接続口は,2種類の液体の密度の大小関係に応じて,標準器側及び被校正

器側へ適切に配置する。 

2) 必要に応じて,圧力媒体変換装置の接続口の直前に開放用のバルブを設置し,各々の圧力媒体を排

出できることが望ましい。 

3) 圧力媒体変換装置に液体を充塡する際は,圧力媒体変換装置が一方の液体で完全に満たされて逆側

の配管まで侵入することがないように注意する。 

4) 被校正器のゼロ点測定のための圧力開放口は,被校正器側の配管に設置する。 

5) 圧力媒体変換装置内の2種類の液体の界面の高さを測定する。 

b) 隔膜式圧力媒体変換装置を利用する場合 

1) 被校正器側に圧力調整器を設置しない場合は,被校正器側の配管を短くするなどして,被校正器側

の圧力媒体の容量をできる限り小さくする。 

2) 隔膜式圧力媒体変換装置に液体を充塡する際は,内部に気泡が残らないように注意する。また,充

塡中に隔膜に過大な圧力がかからないように注意する。 

3) 被校正器のゼロ点測定のための圧力開放口は,被校正器側の配管に設置することが望ましい。 

4) 隔膜式圧力媒体変換装置の隔膜の高さを測定する。 

6.7.6 

測定 

校正作業は,JIS B 7547-1の6.8(測定)によるほか,次による。 

a) 圧力媒体変換装置を利用する場合 

1) 被校正器のゼロ点測定を行う際は,被校正器側の圧力開放バルブを開ける。このとき,液体の蒸発

によって液面の高さが変化しないように注意する。 

2) 圧力調整の際には,二つの圧力媒体の界面の位置をあらかじめ設定した範囲内に保つように,それ

ぞれの圧力調整器を用いて加圧する。圧力媒体変換装置と標準器との間に遮断バルブを設置してい

る場合は,遮断バルブを閉じた状態で標準器側及び被校正器側の圧力をそれぞれ調整し,両者が目

的の圧力に到達した後に遮断バルブを開く。 

b) 隔膜式圧力媒体変換装置を利用する場合 

1) 被校正器側に圧力開放バルブが設置されている場合は,ゼロ点の測定を行う際に被校正器側の圧力

開放バルブを開ける。このとき,液体の蒸発によって液面の高さが変化しないように注意する。 

2) 圧力調整の際には,隔膜が過大に変位しないように注意する。 

6.7.7 

校正後の液体の除去 

校正終了後に,被校正器内部の液体を除去する。除去方法は,6.6.7による。 

6.7.8 

記録 

記録は,JIS B 7547-1の6.9(記録)によるほか,次による。 

a) 圧力媒体変換装置を利用する場合は,2種類の液体の界面の高さを記録する。 

b) 隔膜式圧力媒体変換装置を利用する場合は,隔膜の高さを記録する。 

6.7.9 

校正値の算出 

校正結果の算出は,JIS B 7547-1の6.10(校正値の算出)による。ただし,ヘッド差の補正値について

は,圧力媒体変換装置を利用する場合はA.1を,隔膜式圧力媒体変換装置を利用する場合はA.2を用いる。 

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6.7.10 不確かさ評価 

不確かさ評価は,JIS B 7547-1の箇条7(校正の不確かさ評価)によるほか,次による。 

a) 圧力媒体変換装置を利用する場合 ヘッド差補正の不確かさを,A.1によって求める。 

b) 隔膜式圧力媒体変換装置を利用する場合 隔膜式圧力媒体変換装置を利用する場合は,次の1) 及び

2) の不確かさを評価する。 

1) ヘッド差補正の不確かさ ヘッド差補正の不確かさを,A.2によって求める。 

2) 隔膜の復元力に起因する不確かさ 測定中に隔膜が中心位置から変位すると,隔膜の復元力によっ

て,二つの圧力媒体の圧力に僅かな差が生じる。隔膜の位置を測定中に検知することはできないた

め,材質などに応じた,隔膜の復元力に起因する不確かさを考慮する。通常,この不確かさは圧力

によらない定数であり,製造業者によって与えられる。 

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附属書A 

(規定) 

標準器と被校正器とで異なる圧力媒体を用いる場合の 

ヘッド差補正及びその不確かさ 

A.1 圧力媒体変換装置を利用する場合のヘッド差補正の不確かさ 

ゲージ圧力測定の場合,被校正器の圧力基準高さにおける圧力値ptは,標準器の圧力基準高さにおける

圧力値psにヘッド差補正phを加算し,式(A.1)によって求める。 

(

)

(

)

t

s

h

s

s

b

s

t

b

t

p

ρ

H

ρ

H

p

p

p

ρ

ρ

=

+

=

+

+

g

g

 ··········································· (A.1) 

ここに, 

pt: 被校正器の圧力基準高さにおける圧力値 

ps: 標準器の圧力基準高さにおける圧力値 

ph: ヘッド差補正 

ρs: 標準器側の圧力媒体の密度 

ρt: 被校正器側の圧力媒体の密度 

ρb: 周囲空気の密度 

g: 重力加速度 

Hs: 標準器の圧力基準高さと圧力媒体の界面

の高さとの差(標準器の圧力基準高さの方
が高い場合,Hsを正とする。) 

Ht: 被校正器の圧力基準高さと圧力媒体の界

面の高さとの差(圧力媒体の界面の高さの
方が高い場合,Htを正とする。) 

次に,ヘッド差補正の不確かさuphは,各校正点ごとに,式(A.2)によって求める。 

()

()

()(

)

()(

)

(

)

{

}

(

)(

)

(

)(

)

2

ph

2

s

s

2

t

t

2

b

s

t

2

s

b

s

t

b

t

2

s

s

b

2

t

t

b

u

ρ

H

H

H

H

H

u

ρ

ρ

ρ

H

ρ

u

ρ

u

ρ

ρ

H

H

=

+

+

+

+

+

+

+

g

g

g

g

g

g

 ·········································· (A.2) 

ここに, 

uph: ヘッド差補正の不確かさ 

u(ρs): 標準器側の圧力媒体の密度の不確かさ 

u(ρt): 被校正器側の圧力媒体の密度の不確かさ 

u(ρb): 周囲空気の密度の不確かさ 

u(g): 重力加速度の不確かさ 

u(Hs): 標準器の圧力基準高さと圧力媒体の界面

の高さとの差の不確かさ 

u(Ht): 被校正器の圧力基準高さと圧力媒体の界

面の高さとの差の不確かさ 

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A.2 差圧計又は隔膜式圧力媒体変換装置を利用する場合のヘッド差補正の不確かさ 

式(A.1)及び式(A.2)において,圧力媒体の界面の高さを差圧計の受圧面の高さ又は隔膜の高さと置き換え

ることによって求める。 

参考文献  

[1] JIS B 7616 重錘形圧力天びんの使用方法及び校正方法 

[2] H. Iizumi, H. Kajikawa, T. Kobata, Effect of the kind of gas medium on calibration values of high gas pressure 

transducers, Measurement 131 (2019) pp.358-361 

[3] H. Iizumi, H. Kajikawa, T. Kobata, A high gas pressure calibration system using a liquid-lubricated pressure 

balance, Measurement 102 (2017) pp.106-111