2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 7433-1989
ニュートンゲージ
Newton Gauges
1. 適用範囲 この規格は,光学部品の表面の真球度及び曲率半径の基準として用いるニュートンゲージ
について規定する。
備考 光学部品の平面の基準として用いるニュートンゲージは,平面を曲率半径が無限大 (∞) の球
面として扱う。
引用規格:
JIS B 7430 オプチカルフラット
JIS B 7541 標準尺
2. 種類 ニュートンゲージは,その使用区分によって,次の3種類とする。
(1) 校正用ニュートンゲージ 校正用ニュートンゲージ(以下,校正用ゲージという。)は,3.(1),4.1(1)
及び4.2(1)に規定する形状及び寸法,真球度及び曲率半径をもつ凹凸一対のニュートンゲージであっ
て,基本ニュートンゲージの真球度及び曲率半径の比較測定又は測定器の校正の基準として用いる。
なお,校正用ゲージの呼び (R0) は,曲率半径によって,10,20,50,100,200,500,1000及び∞
の8通りとする。
(2) 基本ニュートンゲージ 基本ニュートンゲージ(以下,基本ゲージという。)は,校正用ゲージとの比
較測定によって又は校正用ゲージを用いて校正した測定器によって真球度及び曲率半径が測定され,
かつ,曲率半径の値の測定精度が明示されている凹凸一対のニュートンゲージであって,常用ニュー
トンゲージの製作又は検査のための基準として用いる。
備考 基本ゲージは,2.(1)の条件が満たされる場合には校正用ゲージとして使用してもよい。
(3) 常用ニュートンゲージ 常用ニュートンゲージ(以下,常用ゲージという。)は,検査の対象となる光
学部品の表面に適合した大きさをもち,真球度及び曲率半径の値を基本ゲージによって校正したニュ
ートンゲージであって,光学部品の製作及び検査に際し使用する。
3. 形状及び寸法 ニュートンゲージの外周形状は円形とし,各部の寸法は,ニュートンゲージの種類に
よって次のとおりとする(図1参照)。ただし,常用ゲージの形状及び寸法については,特に規定しない。
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B 7433-1989
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図1 形状
(1) 校正用ゲージ 校正用ゲージの寸法は,表1による。
表1 校正用ゲージの寸法
単位mm
呼び
R0
曲率半径R
の設定範囲
外周の直径及び
凸面の有効径
D
凹面の有効径
D1
厚さ
t
10
9.8〜10.2
2R
18以上
12±0.5
20
19.6〜20.4
32
5.00
−
30以上
20±1
50
49〜51
56
7.00
−
53以上
25±1
100
98〜102
80
7.00
−
76以上
200
196〜204
11210
−
108以上
500
490〜510
150
5.10
−
145以上
32±1
1 000
980〜1 020
∞
∞
−
備考 R0が10の校正用ゲージは,凸面を過半球形状とする。
(2) 基本ゲージ 基本ゲージの寸法は,表2による。ただし,曲率半径が12.5mm以下の基本ゲージは,
凸面を過半球形状とする。
表2 基本ゲージの寸法
単位mm
曲率半径
R
外周の直径及び
凸面の有効径
D
凹面の有効径
D1
厚さ
t
12.5以下
2R
1.8R以上
1.2R
12.5 を超え 16以下
25
23以上
16
16 を超え 22以下
32
30以上
20
22 を超え 32以下
40
38以上
32 を超え 63以下
56
53以上
25
63 を超え 130以下
80
76以上
130 を超え 300以下
112
108以上
300 を超えるもの
150
145以上
32
3
B 7433-1989
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4. 精度
4.1
真球度 ニュートンゲージの真球度は,次による。
(1) 校正用ゲージの真球度は,幾何学的に正しい球面からの偏差が0.025μm以内でなければならない。
備考 R0が∞の校正用ゲージは,外径の大きさを除き,JIS B 7430(オプチカルフラット)による片
面0級のオプチカルフラットに該当する。
(2) 基本ゲージの真球度は,校正用ゲージとの比較によって,球面からの見掛け上の偏差が,0.025μm以
内であり,かつ,基本ゲージの凸面と凹面を比較したとき,両者の間に0.05μmを超える差異があっ
てはならない。
また,基本ゲージの凸面と凹面との比較に際し,有効径の21の大きさをもつ任意の領域内で0.025μm
を超える差異があってはならない。
備考 Rが∞の基本ゲージは,外径の大きさを除き,JIS B 7430による片面1級のオプチカルフラッ
トに該当する。
(3) 常用ゲージの真球度は,基本ゲージとの比較によって,常用ゲージ及び基本ゲージのうちいずれか小
さい方の有効径内の差異が0.05μm以内であって,かつ,その有効径の21の大きさをもつ任意の領域内
で0.025μmを超える差異があってはならない。
備考 Rが∞の常用ゲージは,その平面度がJIS B 7430による片面2級又は3級のオプチカルフラッ
トに該当する。
4.2
曲率半径 ニュートンゲージの曲率半径は,温度23℃における値とし,次による。
(1) 校正用ゲージの曲率半径は,表3を満足していなければならない。
表3 校正用ゲージの曲率半径
単位mm
呼び
R0
曲率半径
R
許容差
△R
10
9.8〜10.2
±0.000 5
20
19.6〜20.4
±0.001
50
49〜51
±0.001 5
100
98〜102
±0.003
200
196〜204
±0.006
500
490〜510
±0.02
1 000
980〜1 020
±0.1
(2) 基本ゲージの曲率半径は,表4を満足していなければならない。
表4 基本ゲージの曲率半径
単位mm
曲率半径
R
許容差(1)
△R
16以下
±0.003
16 を超え
300以下
±2×10-4R
300 を超え
750以下
±3×10-4R
750 を超えるもの
±4×10-7R2
注(1) △Rの計算値は,下けたを切り捨てて有効
数字1けたの値で表す。
(3) 常用ゲージの曲率半径は,有効径 (D) に応じて表5を満足していなければならない。
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表5 常用ゲージの曲率半径
単位mm
曲率半径
R
許容差(1)
△R
16以下 ±0.005D
R
と±0.003のうち,絶対値の大きい方の値
16を超え 32以下 ±0.007D
R
と±2×10-4Rのうち,絶対値の大きい方の値
32を超え130以下 ±0.015D
R
130を超え300以下 ±0.025D
R
300を超え750以下 ±0.05D
R
と±3×10-4Rのうち,絶対値の大きい方の値
750を超えるもの
±6×10-5D
R2
と±4×10-7R2のうち,絶対値の大きい方の値
5. 材料及び外観 ニュートンゲージに用いる材料は,内部ひずみを十分除去した透明な高品質のガラス
とし,ニュートンゲージの種類に応じ,使用上差し支えがある泡,脈理,きず,着色などがあってはなら
ない。
(1) 校正用ゲージ及び基本ゲージ 校正用ゲージ及び基本ゲージの材料は,着色が少なく膨張係数が小さ
いガラスを用いる。ただし,線膨張係数が明示されており,使用時に測定値を補正することができる
場合には石英ガラス,クラウンガラス又はこれらと同等の品質をもつガラスを使用してもよい。
(2) 常用ゲージ 常用ゲージの材料は,校正用ゲージ及び基本ゲージと同等の材料を使用する。ただし,
対象とする光学部品の表面の所要精度によって白板ガラス,青板ガラスなどを用いてもよい。
6. 真球度の測定方法 ニュートンゲージの真球度の測定は,次による。
なお,曲率半径が∞のニュートンゲージについては,真球度に代えてJIS B 7430に規定される方法によ
って平面度を測定する。
(1) 測定装置及び測定条件
(1.1) 測定装置の構成 ニュートンゲージの真球度の測定は,フィゾー形干渉計を用いる。装置は,光軸
に沿って配置した光源系,ビームスプリッタ,参照面をもつ集光レンズ及び被測定ニュートンゲー
ジ用架台,並びにビームスプリッタを介して配置した干渉じま観測用光学系(以下,観測系という。)
から構成し,次による(図2参照)。
図2 測定装置の構成
(a) 光源系は,光源にレーザを用い,出射ビームを集光レンズのひとみを十分満たす大きさの平面波に
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変換するための光学系(ビームエキスパンダなど)を含むものとする。
(b) 集光レンズは,最後面の曲率半径がバック焦点距離と等しくなるように設計され,測定に際し,最
後面が干渉計の参照面の役割を果たす構造のものを使用する。
なお,集光レンズは,被測定ニュートンゲージの種類によって,種々の開口数及び作動距離をも
つものを交換して用いる。
(c) 架台は,被測定ニュートンゲージを取り付け,光軸に沿った位置及び被測定ニュートンゲージの姿
勢の微調整が可能な構造とする。
(d) 観測系は,観測対物レンズの移動若しくは交換又は検出面の移動によって,被測定ニュートンゲー
ジの位置及び姿勢の調整のための光源系の点像及び真球度測定のための干渉図形の両方の観測が可
能な構造とする。
(1.2) 測定条件 測定条件は,次による。
(a) 測定は,空気の流れなどによる干渉じまの揺らぎがない温度23±1℃の環境で行う。
(b) 測定に使用する集光レンズは,開口数が表6を満足していなければならない。
なお,凸面ニュートンゲージの測定の場合には,集光レンズの作動距離が,被測定ニュートンゲ
ージの曲率半径よりも大きいことが必要である。
表6 集光レンズの開口数
曲率半径
R (mm)
開口数
曲率半径
R (mm)
開口数
12.5 以下 0.9 以上
63 を超え 130以下
0.4以上
12.5 を超え 22 以下 0.8 以上
130 を超え 300以下
0.28以上
22 を超え 32 以下 0.63 以上
300を超えるもの
R
75以上
32 を超え 63 以下 0.56 以上
(c) 架台の構造は,被測定ニュートンゲージを集光レンズに正対させて取り付けたとき,ニュートンゲ
ージの外径の中心がほぼ測定装置の光軸上にくるようになっており,かつ,架台の回転又は横ずら
しによってニュートンゲージの姿勢を集光レンズの焦点に関して任意の方向に調節できる必要があ
る。
備考 被測定ニュートンゲージを架台に取り付ける際,測定値に影響を与える変形が生じないように
注意しなければならない。
参考 被測定ニュートンゲージの姿勢の調節量は,曲率半径Rによって集光レンズの焦点に関し任意
の方向に,次の大きさが必要である。
Rが22mm以下の場合
30°以上
Rが22mmを超え,100mm以下の場合
20°以上
Rが100mmを超えるもの
10°以上
(2) 校正用ゲージ 校正用ゲージの真球度の測定は,集光レンズがもつ参照面の真球度と併せて行い,手
順は,次による。
(a) 集光レンズの参照面に正対して被測定ニュートンゲージを架台に取り付け,観測系によって光源の
点像を観測して,被測定面の位置及び姿勢を調節することによって,被測定面の曲率中心を参照面
の曲率中心(集光レンズの焦点)に一致させる。
(b) 観測系を干渉図形観測状態に切り換え,被測定面と参照面による干渉じまがなるべく同心円状で,
かつ,しま数が最少となるように被測定面の位置及び姿勢を調整する。
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(c) (b)の状態で,被測定面又は参照面を任意の方向にわずかに傾けることによって現れる平行干渉じま
の中心間隔a及び平行干渉じまの直線からのずれの大きさ(以下,干渉じまの曲がり量という。)b
を測定する[図3(A)参照]。
測定光源の波長がλであるとき,この測定方向での被測定面及び参照面の真球度Sは,次の式で
求める。
a
b
S
×
=2λ
なお,測定は,直交する2方向を含む少なくとも4方向に被測定面又は参照面をわずかに傾けて
現れる平行干渉じまについて行う。
図3 干渉じまの測定
(d) 次に,図3(B)に示すように,被測定ニュートンゲージの外径の中心を測定装置の光軸から任意量ず
らせた上で,改めて,(a)に準じて被測定面の曲率中心が参照面の曲率中心に一致するように被測定
面の位置及び姿勢を調節し,(b)及び(c)と同様の操作によって測定される干渉じまの中心間隔a及び
曲がり量bから真球度Sを求める。
なお,この測定は,被測定ニュートンゲージの外径の中心を,測定装置の光軸から少なくとも互
いに直角な4方向にずらした場合のそれぞれについて行う。
備考 被測定ニュートンゲージの姿勢をずらすことによって,測定は,被測定面の全域を網羅しなけ
ればならない。
(e) さらに,被測定ニュートンゲージを架台上で測定装置の光軸の周りに90°回転した姿勢で取り付け,
(a),(b),(c)及び(d)の手順によって同様に真球度Sを求める。
(f) 被測定面及び参照面の真球度は,(c),(d)及び(e)によるすべての場合の測定結果から,両者とも,そ
の最大値以内と評価する。
(3) 基本ゲージ及び常用ゲージ 基本ゲージ及び常用ゲージの真球度の測定方法は,次による。
(a) 測定装置における参照面は,(2)の方法によって真球度が0.025μm以内と評価されたものを使用する。
(b) 測定の手順は,(2)の(a),(b)及び(c)によって干渉じまの中心間隔a及び曲がり量bから真球度Sを
求める。
備考 被測定ニュートンゲージの大きさによって,この操作だけで被測定面の全域についての評価が
できないときは,更に,(2)(d)に準じて被測定面の姿勢をずらして測定し,被測定面の全域を網
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羅しなければならない。
(c) 被測定面の真球度は,(b)におけるすべての方向の測定結果から,被測定面全域での最大値及び有効
径の21の大きさをもつ任意の領域内での最大値を用いて表す。
7. 曲率半径の測定方法 ニュートンゲージの曲率半径の測定は,次による。
なお,曲率半径が∞のニュートンゲージを除き,ニュートンゲージの曲率半径は,その真球度が4.1の
規定を満足しているものについて測定する。
(1) 測定方法の種類 測定方法の種類は,次のとおりとし,ニュートンゲージの種類及び曲率半径の範囲
によって選択する。
(a) 測定方法I(直径測定による方法) この方法は,過半球形状をもつ凸面ニュートンゲージの測定
に用いる。
(b) 測定方法II(オートコリメーション顕微鏡系を用いる方法) この方法は,主として基本ゲージ及
び常用ゲージの測定に用いる。
なお,校正用ゲージの測定は,R0が100以上のものについて,この方法によることができる。
(c) 測定方法III(フィゾー形干渉計を用いる方法) この方法は,主として曲率半径が10mm以上のす
べてのニュートンゲージの測定に用いる。
(2) 測定方法I(直径測定による方法) 測定は,十分良好な平面度をもつ定盤と,これに平行な端面を
もち,定盤面に垂直に駆動する測定子を用いる。定盤面と測定子の間に,被測定ニュートンゲージを
その大円が定盤に垂直となる姿勢で挿入し,測定子の測定端面の変位によってニュートンゲージの直
径Dを求める(図4参照)。
図4 直径の測定
被測定ニュートンゲージの曲率半径Rは,
2
D
R=で与えられる。この場合の測定条件は,次による。
(a) 測定の温度は,原則として23±1℃とする。
(b) 測定に用いる定盤面及び測定子の端面の平面度は,それぞれ0.05μm以内とし,それらの間の平行
度は5秒以内に保たれていなければならない。
(c) 測定子の駆動量は25mm以上とし,その変位は光波干渉測長機又は機械電子式測長機によって,校
正用ゲージでは0.2μm以内,基本ゲージ及び常用ゲージでは1μm以内の正確さで読み取る。
(d) 測定力は1N以下とし,定盤,測定子及び被測定ニュートンゲージに生じる変形が測定値に影響を
与えないように,注意しなければならない。
(e) 測定は,被測定ニュートンゲージの大円の少なくとも4方向について行い,その平均値を求める。
なお,測定に際し,測定精度に影響を及ぼすきずなどのある箇所は避ける。
(3) 測定方法II(オートコリメーション顕微鏡系を用いる方法)
(3.1) 測定条件 測定条件は,次による。
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(a) 測定装置は,オートコリメーション顕微鏡系(以下,顕微鏡という。)及びその光軸に沿って配置し
たベンチから構成され,ベンチ上で架台をしゅう(摺)動したとき,その移動量を読み取ることが
できる構造とする(図5参照)。
図5 測定装置の構成
(b) ベンチに使用する読取系による測長精度は,被測定ニュートンゲージの曲率半径によって表7のと
おりとする。
なお,測定の温度は,原則として23±1℃とする。
表7 測長精度
曲率半径
R (mm)
測長精度
(μm)
摘要
300以下
000
1
2
2+
R以内
JIS B 7541 0級相当
300を超え 750以下
000
1
5
5+
R以内
JIS B 7541 1級相当
750を超えるもの
000
1
15
15+
R以内
JIS B 7541 3級相当
(c) ベンチの架台は,少なくともφ150mmまでの大きさの被測定ニュートンゲージを取り付けることが
でき,かつ,架台上で被測定ニュートンゲージの姿勢が調節可能な構造とする。
(d) 顕微鏡対物レンズは,球面収差が十分小さく,開口数は曲率半径 (R) の範囲によって表8を満足し
ていなければならない。
なお,凸面のニュートンゲージの曲率半径を測定するためには,顕微鏡対物レンズの作動距離が
被測定ニュートンゲージの曲率半径よりも大きいことが必要である。
表8 対物レンズの開口数
曲率半径
R (mm)
開口数
(NA)
16以下
0.44以上
16を超え 300以下
R
4.1以上
300を超え 750以下
R
2.1以上
750を超えるもの
R
31以上
校正用ゲージの種類
R0
開口数
(NA)
100
0.44 以上
200
0.27 以上
500
0.15 以上
1 000
0.065 以上
備考 顕微鏡による観測倍率は,表8による開口数の値の190倍程度とするのが望ましい。
(3.2) 測定手順 測定手順は,次による。
(a) 被測定ニュートンゲージを顕微鏡対物レンズに正対して架台に取り付け,顕微鏡で観測しながら架
台をベンチ上でしゅう動させることによって,ニュートンゲージの表面による反射像が最も鮮明に
なる位置(顕微鏡の像点がニュートンゲージの表面に合致する位置)を見いだす。
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(b) 観測視野内で反射像にけられがあるときは,視野の中心に関してけられの範囲がなるべく対称にな
るように,架台上でニュートンゲージの姿勢を調節する。
(c) 被測定ニュートンゲージが凹面であるか凸面であるかによって,ベンチ上で架台を顕微鏡から遠ざ
け又は近付ける。観測視野内で再び反射像が鮮明になる位置(顕微鏡の像点がニュートンゲージの
曲率中心に合致する位置)を見いだし,ニュートンゲージの姿勢を調節して反射像を観測視野の中
心に合致させた上で,改めて架台のしゅう動によって反射像が最も鮮明となる位置Z1を読み取る。
(d) 架台をベンチ上で移動することによって,(a)で得られた反射像と同様の反射像が最も鮮明に観測さ
れる位置Z2を読み取る。
(e) 被測定ニュートンゲージの曲率半径の絶対値Rは,(c)及び(d)で求めた読取り位置Z1及びZ2の差で
与えられる(図6参照)。
図6 曲率半径の絶対値R
(4) 測定方法III(フィゾー形干渉計を用いる方法)
(4.1) 測定条件 測定条件は,次による。
(a) 測定装置は,6.(1.1)に規定するフィゾー形干渉計(以下,干渉計という。)及びその光軸に沿って配
置したベンチから構成され,ベンチ上で架台をしゅう動したとき,その移動量を読み取るための測
距機構を備えた構造とする(図7参照)。
(b) 測定は,空気の流れなどによる干渉じまの揺らぎがない温度23±1℃の環境で行う。
(c) 測定に使用する集光レンズは,十分に収差が除かれており,その開口数は,ニュートンゲージの種
類によって表9を満足していなければならない。
なお,凸面ニュートンゲージの測定に際しては,集光レンズの作動距離が被測定ニュートンゲー
ジの曲率半径よりも大きいことが必要である。
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図7 測定装置の構成
備考 集光レンズの収差は,干渉計において図8に示すように,その集光レンズの直前に,有効口径を
十分に覆う大きさのオプチカルフラット(JIS B 74301級相当)を挿入して確認する。オプチカル
フラットと集光レンズがもつ参照面との干渉によって現れる干渉じまのしま数が最少になるよう
に調整した場合に観測されるしま数は,光源としてヘリウム・ネオンレーザー(波長0.633μm)
を用いた場合,校正用ゲージの測定に使用するものでは2本以内,その他のニュートンゲージに
使用するものでは5本以内に収まるものとする。
図8 集光レンズの収差確認のための構成
表9 集光レンズの開口数
校正用ゲージ
基本ゲージ・常用ゲージ
呼びR0
開口数
曲率半径R (mm)
開口数
10及び20 0.6 以上
16以下
0.4以上
50
0.5 以上
16を超え 300以下
R
3以上
100
0.4 以上
200
0.3 以上
300を超え 750以下
R
2以上
500
0.15 以上
1 000
0.07 以上
750を超えるもの
R
7.
38以上
(d) 測距機構による測長精度は,R0が10,20及び50の校正用ゲージの測定の場合には,0.02R0 (μm) 以
内の正確さとし,これ以外の校正用ゲージ及び基本ゲージ並びに常用ゲージの測定の場合には被測
定ニュートンゲージの曲率半径によって(3.1)(b)表7の規定を満足していなければならない。
(e) 架台の条件は,(3.1)(c)の規定による。
(4.2) 測定手順 測定手順は,次による。
(a) 集光レンズの参照面に正対して被測定ニュートンゲージを架台に取り付け,観測系によって光源の
点像を観測し,被測定面の位置及び姿勢を調節することによって,被測定面の曲率中心を集光レン
ズの焦点(参照面の曲率中心)に一致させる。
(b) 観測系を干渉図形観測状態に切り換え,被測定面と参照面による干渉じまがなるべく同心円状で,
かつ,しま数が最少となるように被測定面の姿勢及び位置を調節した状態で,測距機構によってそ
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の位置Z1を読み取る。
(c) 被測定ニュートンゲージが凹面であるか凸面であるかによって,ベンチ上で架台を参照面から遠ざ
け,又は近付け,観測系によって干渉じまが再び最少となる位置(集光レンズの焦点が被測定面の
頂点に一致する位置)を求め,測距機構によってその位置Z2を読み取る。
(d) 被測定ニュートンゲージの曲率半径の絶対値Rは(b)及び(c)で求めた読取り位置Z1及びZ2の差で与
えられる(図6参照)。
8. 測定値の記録 ニュートンゲージの真球度及び曲率半径の測定値の記録には,次の事項を付記する。
(1) 製造業者名,製造番号及び製造年月日
(2) 検査員名及び検査年月日
(3) 材料及び線膨張係数
(4) 測定時の温度
(5) 真球度の測定方法(測定器の名称及び測定に用いた光の波長)
(6) 曲率半径の測定方法(測定器の名称)
(7) 常用ゲージの場合には,形状及び寸法
(8) その他,記録に残す必要がある付記事項
備考 ニュートンゲージの使用者は,校正用ゲージの測定値及び付記事項を記載した検査記録を保管
する。
9. 製品の呼び方 ニュートンゲージの呼び方は,規格の名称又は番号,種類及び呼びによる。ただし,
基本ゲージ及び常用ゲージは,校正用ゲージの呼びR0の代わりに曲率半径Rを用いる。
例1: ニュートンゲージ 校正用ゲージR0 50
又はJIS B 7433 校正用ゲージR0 50
例2: ニュートンゲージ 基本ゲージR 63
又はJIS B 7433 基本ゲージR 63
例3: ニュートンゲージ 常用ゲージR 90
又はJIS B 7433 常用ゲージR 90
備考 Rが∞の常用ゲージで,形状及び寸法がJIS B 7430に適合するものでは,その製品の呼び方は
JIS B 7430による。
10. 表示
10.1 校正用ゲージ 校正用ゲージには,使用上差し支えがない箇所(側面など)に,次の事項をその順
序に表示するとともに,8.に規定する検査記録を添付する。
(1) 校正用ゲージであることを示すための識別記号 0
(2) 凸凹の区別を表すための+又は−の記号
(3) 呼びR0
例: R0=50の校正用凸面ゲージの場合
0+50
R0=200の校正用凹面ゲージの場合 0−200
10.2 基本ゲージ 基本ゲージには,使用上差し支えがない箇所(側面など)に,次の事項を表示すると
ともに,材料及び線膨張係数,真球度及び曲率半径の測定値(測定誤差を含む。)などの記録を添付する。
12
B 7433-1989
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(1) 曲率半径R
(2) 製造業者名又はその略号
10.3 常用ゲージ 常用ゲージには,使用上差し支えがない箇所(側面など)に,曲率半径Rを表示する。
備考 曲率半径が∞の常用ゲージで,形状及び寸法がJIS B 7430に適合するものでは,その表示は,
JIS B 7430による。
精密機械部会 光学測定機器専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
桜 井 好 正
千葉工業大学
後 藤 充 夫
工業技術院計量書研究所
松 田 浄 史
工業技術院機械技術研究所
余 田 幸 雄
通商産業省機械情報産業局
吉 田 藤 夫
工業技術院標準部
金 木 昭
ユニオン光学株式会社技術本部
鈴 木 正 根
富士写真光機株式会社
武 田 晴 海
東京光学精機株式会社
松 居 吉 哉
キヤノン株式会社製品技術研究所
水 谷 寛
株式会社ミツトヨ研究開発本部開発研究所
桜 井 国 雄
コニカ株式会社
鈴 木 憲 章
日本写真機工業会総務部
関 根 靖 雄
社団法人日本オプトメカトロニクス協会技術部
柳 沢 剛
オリンパス光学工業株式会社生産開発技術部
(関係者)
中 條 義 道
日本光学測定機工業会
(事務局)
大 磯 義 和
工業技術院標準部機械規格課
縄 田 俊 之
工業技術院標準部機械規格課