2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 7309-1982
転倒ます形雨量計
Tipping Bucket Rain Gauges
1. 適用範囲 この規格は,直径200mmの雨量受水器を用い,雨量0.5mmごとにパルス信号を発する構
造の転倒ます形雨量計(以下,雨量計という。)について規定する。
引用規格:6ページに示す。
2. 名称 雨量計の主要部の名称は,図1による。
図1
備考 この図は,単に名称を示すものであって,設計の詳細を示すものではない。
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B 7309-1982
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3. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次による。
(1) 受水器 口金,胴体,ろ過網(大),漏斗,ろ過網(小)及び通気孔で構成し,雨水を受けるとともに
計量部を保護する部分。
(2) 計量部 ろ水器,転倒ます,基板,軸受,つり合いおもり,転倒止め受石,転倒ますストッパねじ,
排水筒,防虫網,水準器,基台,通気孔,取付け脚などで構成し,受水器から滴下した雨水量を測定
する部分。
4. 性能 雨量計は,受水器で受けた雨水が,雨量0.5mmに相当する量だけたまったとき転倒するが,パ
ルス信号により指示器又は自記器に雨量を表示又は記録できるものでなければならない。
なお,雨量が50mmに達したとき,転倒ますの転倒回数は100±3回でなければならない。
5. 機能 雨量計の機能は,次による。
(1) 受水器及び計量部の各部は,屋外での長期間の使用に耐えるように十分なさび止め処理を施し,かつ
堅固で耐久性がある構造であること。
(2) 受水器の口金は,上面が水平になるように,胴体の下端を基台に取り付ける構造であること。
(3) ろ水器は,胴体に取り付けられた漏斗から滴下する雨水を確実に受け,雨水中に含まれている細じん
を沈殿除去して,雨水を転倒ますに滴下でき,ろ水器内に滞留する水量を最少限にとどめる構造で,
かつ取外しが容易であること。
(4) 転倒ますは,左右に各1個のますと,中央下部に回転軸を備え,転倒ますの転倒回数を計数するため
の電気回路のスイッチを作動させる機構をもち,ろ水器から滴下する雨水を確実に受け,雨水が残留
しない構造であること。
(5) 転倒ますの左右の受水量のつり合いは,転倒ますストッパねじにより調整し,総量調整は,つり合い
おもりを上下して行う構造であること。
(6) 排水筒は,転倒ますの雨水を確実に外部に排出し,転倒ますが転倒するとき,水が跳ね返らない構造
であり,排水筒の下部には防虫と排水の飛散防止のため着脱容易な防虫網を備えること。
(7) 基板は,ろ水器,転倒ます,回転軸,軸受及び転倒ますストッパねじを取り付けるためのもので,そ
の底部は,基台上に取り付けができる構造であること。
(8) 基台は,排水筒及び丸形水準器を取り付けられる構造であり,通気孔及びリード線取出し用の穴を設
け,通気孔には防虫網を備えること。
(9) 取付け脚は,雨量計を固定するもので,基台の下部に3個取り付け,脚の下面にはボルト穴を設ける
こと(図3参照)。
(10) 電気回路のスイッチは,容量が電圧3V,電流0.2A以上の水銀スイッチ又はリードスイッチなどを使
用し,リード線取付け用端子を設け,スイッチの作動時間は0.1秒以上0.2秒以内とし,その作動は確
実であること。
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6. 主要部の寸法 雨量計の主要部の寸法は,図2及び図3に示すとおりとする。
図2
図3
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7. 材料 雨量計の各部の材料は,次の表に示すもの,又はこれと同等以上の品質をもつものとする。
表
部 品 名 称
材料
口 金
JIS H 5101(黄銅鋳物)
胴 体
JIS H 3100(銅及び銅合金の板及び条)又はJIS G 3302(亜鉛鉄板)
ろ過網(大,小)
JIS H 3100及びJIS H 3260(銅及び銅合金線)
漏 斗
JIS H 3100又はJIS G 3302
ろ 水 器
JIS H 3100及びJIS H 3300(銅及び銅合金継目無管)
転倒ます
JIS H 3100
基 板
JIS H 3100,JIS H 5101, JIS H 5202(アルミニウム合金鋳物),又は
JIS H 5302(アルミニウム合金ダイカスト)
つり合いおもり
JIS H 3250(銅及び銅合金棒)
軸受,転倒止め受石 めのう,サファイヤ
転倒ますストッパねじ
の受石に当たる部分
ステンレス鋼
排 水 筒
JIS H 3100及びJIS H 3300
防 虫 網
JIS H 3100及びJIS H 3260
基 台
JIS H 5101,JIS H 5202,又はJIS H 5302
取付け脚
JIS H 5302,JIS G 3131(熱間圧延軟鋼板及び鋼帯),
JIS G 3141(冷間圧延鋼板及び鋼帯)又はJIS H 5202
8. 試験方法 雨量計の試験方法は,次による。
(1) 雨量計の受水器を外し,基台の上面が水平になるように計量部を試験台の上に置き,上方に設置した
ガラス製の雨量試験具(図4)から,ろ水器に水が滴下できるように設置する。
図4
(2) 転倒ますの左右のますの受水量を,1目盛0.1mlのビュレット(図5)により測定する。
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図5
(3) 転倒ますの電気回路のスイッチに接点時間測定器を接続し,ろ水器から水を滴下し,ますの転倒時に
おけるスイッチの作動時間を測定する。かつ,1転倒で2回以上スイッチが作動することがないかを
調べる。
(4) 雨量試験具の水の滴下速度は,タンク下部にある滴定コックの開度を調整するか,又は適当な太さの
細管を使い,毎時20mm及び80mmの降雨に相当するように設定する。
(5) 転倒ますのリード線取付け用端子に計数器を接続し,雨量50mmに相当する水量を雨量試験具から滴
下して,転倒ますの転倒回数を測定する。
9. 検査 雨量計の検査は,性能,機能,寸法,材料について行い,4.〜7.の規定に適合しなければならな
い。
10. 表示 雨量計には適当な箇所に,次の事項を表示しなければならない。
(1) 1転倒雨量0.5mm
(2) 製造番号
(3) 製造年月
(4) 製造業者名又はその略号
参考 雨量計の取付け及び使用上の注意
1. 雨量計の取付け場所は降水捕捉に影響するので,場所の選定に当たっては次の事項に注意す
る。
(1) 付近に建物,立木,他の測器などがある場合には,それらからなるべく離れた場所を選ぶ
こと。障害物の高さの4倍以上離すことが望ましい。
(2) 地面が平たんで,気流ができるだけ水平になるような場所を選び,くぼんだり,高くなっ
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ている所や傾斜地は避けること。
(3) 風が吹き上げる所,又は吹きだまる所などは避けなければならない。
2. 雨量計の取付け方法は次による。
(1) 取付けは,コンクリート基礎に基礎ボルトを埋め込み,固定することが望ましい。コンク
リート基礎は,地表より5cm程度高くし,口金の地上高さは50cm位が適当である。
(2) 雨量計が水平になるように取り付けなければならない。
3. 使用上の注意 雨量計の使用には,次のようなことに注意する必要がある。
(1) 受水器やろ水器内のごみ,砂,転倒ます内面の汚れなどは,測定誤差の原因となるので,
月に1回位点検を行い,清浄にする必要がある。
(2) 転倒ますストッパねじ及びつり合いおもりなどを動かすと左右のますの受水量が狂うので,
動かしてはならない。
(3) 冬期にはろ水器や転倒ますにたまっている水が凍結すると雨量計をいためるので,内部の
水を抜き取り 金部にふたをしておくことが望ましい。
(4) 凍結する地域の観測には,凍結防止を施した雨量計の使用が望ましい。
引用規格:
JIS G 3131 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯
JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯
JIS G 3302 亜鉛鉄板
JIS H 3100 銅及び銅合金の板及び条
JIS H 3250 銅及び銅合金棒
JIS H 3260 銅及び銅合金線
JIS H 3300 銅及び銅合金継目無管
JIS H 5101 黄銅鋳物
JIS H 5202 アルミニウム合金鋳物
JIS H 5302 アルミニウム合金ダイカスト
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精密機械部会 気象計器専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
今 井 一 郎
東海大学海洋学部
大 村 昌 弘
通商産業省機械情報産業局
吉 沢 均
工業技術院標準部
鹿 野 到
気象庁観測部
毛 利 茂 男
財団法人日本気象協会東京本部
大 内 清 助
株式会社玉屋商店
金 子 慶 尚
カネコ計測工業株式会社
五十嵐 順 作
株式会社大田計器製作所
池 田 嘉 夫
株式会社池田計器製作所
小 松 常 男
株式会社小松製作所
竹 田 司
竹田計器工業株式会社
登 石 弘
中浅測器株式会社
矢 亀 紀 一
株式会社小笠原計器製作所
伴 野 登
気象研究所
木 下 武 雄
国立防災科学技術センター
谷 信 輝
農業技術研究所
千 秋 鋭 夫
財団法人電力中央研究所
石 崎 勝 義
建設省土木研究所
(専門委員)
渡 辺 清 光
財団法人日本気象協会技術部
(事務局)
横 溝 眞一郎
工業技術院標準部機械規格課
富 永 潤 一
工業技術院標準部機械規格課