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目 次
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1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 性能······························································································································· 2
4.1 視野径 ························································································································· 2
4.2 解像力 ························································································································· 2
4.3 耐衝撃性 ······················································································································ 2
4.4 耐高温高湿性 ················································································································ 2
5 構成・材質 ······················································································································ 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 視野径 ························································································································· 3
6.2 解像力 ························································································································· 3
6.3 衝撃試験 ······················································································································ 4
6.4 高温高湿試験 ················································································································ 5
7 表示······························································································································· 5
8 取扱説明書 ······················································································································ 5
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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携帯形微生物観察器
Portable microbe imaging scope
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適用範囲
この規格は,主に食品加工現場で細菌類などを光学顕微鏡の原理を用いて観察する携帯形微生物観察器
(以下,観察器という。)について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 60068-2-27:2011 環境試験方法−電気・電子−第2-27部:衝撃試験方法(試験記号:Ea)
JIS C 60068-2-78:2015 環境試験方法−電気・電子−第2-78部:高温高湿(定常)試験方法(試験記
号:Cab)
JIS Z 8120 光学用語
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用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8120によるほか,次による。
3.1
携帯形微生物観察器,観察器
細菌類などの微生物を,プレパラート作成などの前処理を必要とせず,簡易に即時観察できる光学機器。
観察器は受像装置を接続して観察することができ,かつ,観察器単体でも接眼レンズを通して目視で観
察できる。
3.2
試料ステージ
観察対象となる液体などの試料を置く固定された台。
3.3
視野径
観察器で観察できる対象の領域の直径。
3.4
対物ミクロメータ
観察対象物の大きさなどを測定するために用いる器具。ガラスなどの透明基板上に物差しのように目盛
が印刷されている。
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3.5
解像力
結像光学系の性能を表す指標の一つであり,近接した2本の平行な線状の物体の像が分離して見える最
小の間隔。解像力の数値は,2本の平行な線状の物体の中心間の間隔の逆数で表す。単位記号は,LP/mm
(Line Pair/mm)で表す(図2参照)。
3.6
解像力テストチャート
観察器の解像力を計測するために用いるパターン図が印刷されたもの。解像力テストチャートは,ガラ
スなどの透明基板上に幅をもった黒い平行線が描画されているものとし,黒線の幅と黒線の間の透明(白)
部との幅は同じとする。また,黒線は3本以上で一つのパターンを形成する(図3参照)。
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性能
4.1
視野径
視野径は0.20 mm以上とし,6.1によって試験を行ったとき,製造業者が指定する視野径の±5 %とする。
4.2
解像力
6.2で規定する5か所全てが1 000 LP/mm 以上とする。
4.3
耐衝撃性
6.3によって試験を行ったとき,構造的損傷がなく正常に作動し,更に4.1及び4.2を満足しなければな
らない。
4.4
耐高温高湿性
6.4によって試験を行ったとき,正常に作動し,更に4.1及び4.2を満足しなければならない。
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構成・材質
a) 構成 構成概念図を,図1に示す。
試料
試料ステージ
注a) 例として,カメラ機能を搭載したスマートフォンなど。
図1−観察器の構成概念図
対物レンズ
接眼レンズ
受像装置a)
観察器
照明
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b) 材質 外きょう(筐)部は,アルコールなどの殺菌剤に耐えられる材質とする。また,試料ステージ
は,サファイヤ以上の硬度をもつ材質とする。
c) 受像装置の接続 観察器は,受像装置が容易に接続できる構造とする。
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試験方法
6.1
視野径
試験手順は,対物ミクロメータを用いて計測し,次による。
a) 試料ステージ上に対物ミクロメータを載せ,必要に応じ焦点を合わせる。
b) 観察器の接眼レンズを通して,目視によって対物ミクロメータの目盛の範囲を読み取り,視野径とす
る。
6.2
解像力
試験手順は,次による。
a) 試料ステージ上に1 000 LP/mmまで測定できる解像力テストチャート(図3参照)を載せ,必要に応
じ焦点を合わせる。ただし,液中の被写体に限定して解像力を規定している場合は,試料ステージと
対物ミクロメータとの隙間を透明液体で満たしてもよい。
b) 観察器の接眼レンズを通して,白黒しま(縞)模様パターンを視野の中心位置で目視によって計測し,
白黒のしま(縞)模様が分離して見える,最も細かいパターンのしま(縞)の間隔を解像力とする。
c) 解像力fは図2によって,互いに隣り合う黒線の中心間の間隔の逆数で表す。例えば,1 000 LP/mmは,
黒線及び黒線の間の透明(白)部の幅はいずれも0.5 μm,隣り合う黒線の中心の間隔は1 μmとなる。
d) b)と同様の計測を,視野中心から80 %の位置,すなわち,視野の中心から視野の端までの半径をRと
したとき,視野中心から0.8Rの位置でも行う。計測位置は,視野の上下左右の4か所とする。計5か
所の解像力測定箇所は,図4による。
図2−パターン幅による解像力の計算式
解像力は,次の計算式によって求められる。
a
f
2
1
=
ここに, f: 解像力(LP/mm)
a: 黒線及び黒線の間の透明(白)部の幅(mm)
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図3−解像力テストチャートのパターン例
図4−解像力の測定箇所
6.3
衝撃試験
衝撃試験は,JIS C 60068-2-27によるほか,次による。
a) 試験条件は,ピーク加速度,パルス作用時間,パルスの波形並びに衝撃方向及び衝撃回数の組合せで,
次のように規定する。
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− ピーク加速度:100 gn
− パルス作用時間:6 ms
− パルスの波形:正弦半波
− 衝撃方向及び衝撃回数:相互に直角な3軸方向に,正逆方向各3回(計18回)
b) 試験実施前に,観察器の正常な外観,動作,視野径及び解像力を確認する。
c) 規定の衝撃方向及び回数だけ衝撃を加える。
d) 試験実施後に,観察器の正常な外観,動作,視野径及び解像力を確認する。
6.4
高温高湿試験
高温高湿試験は,JIS C 60068-2-78によるほか,次による。
a) 試験条件は,温度,相対湿度及び総試験保存時間の組合せで,次のように規定する。
− 温度:40 ℃±2 ℃
− 相対湿度:(93±3) %RH
− 総試験保存時間:48時間
b) 試験実施前に,観察器の正常な外観,動作,視野径及び解像力を確認する。
c) 次の手順で観察器に規定の温湿度を加える。
− 試験槽内に観察器を入れ,観察器が結露しないよう十分に注意しながら徐々に規定条件になるよう
に調節する。
− 規定の試験条件で,48時間観察器をさらす。試験時間は,規定条件に達した時点から保存時間の測
定を開始する。
− 48時間の保存が終了したら,観察器が結露しないよう十分に注意しながら徐々に常温常湿になるよ
うに調節する。
d) 試験実施後に,観察器の正常な外観,動作,視野径及び解像力を確認する。
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表示
この規格の全ての要求事項に適合した観察器には,見やすい箇所に次の事項を表示する。
a) 規格番号及び名称
b) 製造業者名若しくは販売業者名又はそれらの略号
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取扱説明書
取扱説明書には,次の事項を記載する。
a) 視野径
b) 解像力
c) 使用方法
d) 使用上の注意事項
e) 部品の名称
f)
使用前準備
g) メンテナンス
h) その他必要な事項
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参考文献
JIS B 7254:2007 顕微鏡−倍率
JIS C 60068-2-6:2010 環境試験方法−電気・電子−第2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号:Fc)
JIS C 60068-2-30:2011 環境試験方法−電気・電子−第2-30部:温湿度サイクル(12+12時間サイク
ル)試験方法(試験記号:Db)
JIS Z 8720:2012 測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源
ISO 9022-2,Optics and photonics−Environmental test methods−Part 2: Cold, heat and humidity
ISO 12233,Photography−Electronic still picture imaging−Resolution and spatial frequency responses