日本工業規格 JIS
B 7098-1988
(ISO 3028-1984)
写真−写真撮影用せん光イルミナント−
ISO分光分布指数 (ISO/SDI) の求め方
Photography−Camera Flash Illuminants−
Determination of ISO Spectral Distribution Index (ISO/SDI)
日本工業規格としてのまえがき
この規格は,1984年第2版として発行されたISO 3028 [Photography−Camera flash illuminants−Determination
of ISO spectral distribution index (ISO/SDI)] を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作
成した日本工業規格である。
なお,この規格で下線(点線)を施してある箇所は,参考であって原国際規格にはない事項である。
0. 序文 ISO 3028は,写真撮影用せん光イルミナントの色の質を数値化する方法について規定する。ISO
3028-1974を改正する必要が生じたのは,最近製造されているデイライトタイプカラーフィルムの分光感
度がISO 3028の制定時と変わってきたためである。
また,この規格は,最近制定されたISO標準カメラレンズの分光透過率(ISO 6728参照)の値を新たに
採用した。したがって,この規格のこの版によって求めた分光分布指数 (SDI) と,1974年版ISO 3028に
よって求めた分光分布指数とは比較できない。
写真撮影用せん光光源は,屋外の昼光下で撮影したときに最も良い写真が撮れるように設計されたフィ
ルム(デイライトタイプカラーフィルム)を用いて,室内でせん光撮影するときに用いるのが普通である。
したがって,せん光光源によって撮影する場合にも,昼光(ISO 7589参照)下で撮影するのと同じカラー
バランスの写真が撮れることが理想的である。この規格によるせん光イルミナントのISO/SDIは,せん光
光源を使用して撮影するカラー写真の色が,通常の屋外で撮影したカラー写真の色からどの程度ずれるか
を数値化したものである。この規格は,せん光光源の製造業者が,写真用せん光イルミナント光源の設計
及び管理を行うときに用いるべきものである。
この規格は,せん光電球などの使い捨て光源及びエレクトロニックフラッシュの光を数値化することが
目的である。しかし,デイライトタイプカラーフィルム露光用であれば,どのようなイルミナントに適用
してもよい。
1. 適用範囲 この規格は,デイライトタイプカラーフィルムを用いて,使い捨てせん光光源又はエレク
トロニックフラッシュの光で撮影したときの写真の色と,同じデイライトタイプカラーフィルムを用いて,
昼光下で撮影したときの写真の色の違いを数値化する分光分布指数 (SDI) の算出方法について規定する。
引用規格:
ISO 5/1 Photography−Density measurement−Part 1:Terms, symbols, and notations
2
B 7098-1988 (ISO 3028-1984)
≡JIS K 7651 (ISO 5/1-1984) 写真−濃度測定−第1部 用語,記号及び表記方法
ISO 6728 Photography−Camera lenses−Determination of ISO colour contribution index (ISO/CCI)
=JIS B 7097 ISO色特性指数 (ISO/CCI) による写真撮影用レンズの色特性の表し方
ISO 7589 Photography−Illuminants for sensitometry−Specifications for daylight and incandescent tungsten
=JIS K 7602 写真感度測定用イルミナント
CIE Publication No.15 Colorimetry, Official Recommendations of the International Commission of
Illumination
対応国際規格:
ISO 3028 Photography−Camera flash illuminations−Determination of ISO spectral distribution
index (ISO/SDI)
2. 引用規格
ISO 5/1 写真−濃度測定−第1部:用語,記号及び表記方法
ISO 6728 写真−写真撮影用レンズ−ISO色特性指数 (ISO/CCI) の求め方
ISO 7589 写真−センシメトリー用イルミナント−昼光及び白熱タングステンの仕様
CIE Publication No.15 測色,国際照明委員会 (CIE) 公式勧告集
3. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,ISO 5/1によるほか,次のとおりとする。
3.1
放射源 (Source) エネルギーの放射体
参考 原国際規格では“source : A physical emitter of energy”となっている。規格の中で“Source”は光
源という意味で使われているが,光源という翻訳では,エネルギーの放射体という語の定義か
らは,狭くなりすぎるので,より広い言葉ということで,放射源とした。したがって,この規
格中においては,光源と考えても誤りはない。JIS K 7602(写真感度測定用イルミナント)で
は,“光源”を電球のような人工のエネルギー放射体又は太陽及び天空のような天然のエネルギ
ー放射体”と定義している。
3.2
イルミナント ある分光分布をもつ光。イルミナントは,放射源(光源)から直接放射される光で
ある必要はなく,また,放射源を使って現実に作ることができなくともよい。
3.3
相対分光分布 放射量(放射束,放射強度)の相対分布を用いて,放射の分光特性を表したもの。
3.4
写真レスポンス (R) 写真感光材料の放射束に対する有効的なレスポンス。次の式で表す。
∫21
)
(
)
(
λ
λ
λ
λ
λ
τ
λ
d
s
S
R=
································································· (1)
ここに,
R: 写真レスポンス
Sλ: 放射束の相対分光分布
s (λ) : 写真感光材料の相対分光感度
τ (λ) : カメラレンズ(又は光学系)の光軸上での相対分光透過率
λ: 波長
λ1〜λ2: 写真感光材料が感光性をもつ波長範囲
参考 Sλは,ISO 31/6によれば,S (λ) と表記されるべきものである。
3.5
フィルムの分光感度 フィルムの現像後の濃度を,特定の濃度にするために必要な各波長ごとの放
射エネルギーの逆数。
3
B 7098-1988 (ISO 3028-1984)
3.6
重み付き分光感度 分光分布指数の算出を簡単にするために用いられる値で,カラー感光材料の相
対分光感度にISO標準カメラレンズの相対分光透過率を乗じて求めたもの。
3.7
分光分布指数 (SDI) ある光源からの光を用いて撮影した写真の全体的な色が,その感光材料の設
計基準にしたイルミナントを用いて撮影した写真の色と,どのように異なっているかを予測するための3
個一組の数値。この規格では,基準となるイルミナントとして写真昼光を用いる。
3.8
写真昼光 相関色温度が約5 500Kの,代表的な昼光。この光は,晴天の日に,太陽が地平線から約
40度の高度にあるときの,太陽光と天空光とが合わさった光の分光分布をもち,D55で表す。
4. 試験方法
4.1
試験方法 あるせん光イルミナントのSDIは,そのせん光イルミナントの相対分光分布と,この規
格に規定する重み付き分光感度値とを用いて算出する。
4.2
イルミナント
4.2.1
写真昼光 大部分のカラーフィルムは,写真昼光の下で撮影したときに,最もよい写真が写るよう
に設計している。昼光の分光分布は,時刻,地球上での(撮影地点の)位置,及び照射の向きによって異
なる。
通常に現れ得る五つの相関色温度の昼光について、広範囲にわたって放射測定が行われた。その結果,
相関色温度5 500K付近の昼光のイルミナントが写真撮影に最も適しているとして選ばれ,D55と命名され
た1)。写真昼光は,カラーフィルムに日光下での撮影に推奨されている時間帯の温帯地方における太陽光
及び天空光の状態を示すものである。D55の相対分光分布を表1に示す。この規格では,この値を基準に
用いる。
参考文献1) Judd, D. B., MacAdam, D. L., Wyszecki, G. Special distribution of typical daylight as a function of
correlated color temperature. Journal of the Optical Society of America 54 (8) 1964 : 1031-1040
参考 下線部分(実線)は,ISO 3028を翻訳したものであるが,事実関係は,“1962年初めにアメリ
カで,写真撮影に最も適した状態の昼光の分光分布の測定が行われた。また,これとほぼ同時
期に,アメリカとカナダの測色の技術委員会が,昼光の分光分布の調査を始めた1)。この二つ
の研究・調査の結果は,写真撮影に最適な昼光の分光分布が,相関色.温度5 500Kの光に対応
することを強く示唆していた。この相関色温度5 500Kの昼光は,後に,国際照明委員会 (CIE)
によって,D55と命名された。”ということである。
4.2.2
せん光イルミナント デイライトタイプカラーフィルム露光用せん光光源は,全波長域で写真昼光
(D55) と同じ相対分光分布をもつものであることが望ましい。このような光源は,元のせん光光源に何枚
かのフィルタをかけても実現できない。しかし,D55の照明で撮影したのと同等の写真を写せるようなイ
ルミナントを設計することはできる。どのような写真が写るかについて評価するときは,フィルムの分光
感度及びカメラレンズの分光透過率についても考慮しなければならない。
通常,せん光イルミナントは,波長選択性がない(灰色の)被写体を撮影したとき,写真昼光下で撮影
したときと同じ写真を得られるように設計する。このような設計をすれば,通常は,映りのよい写真が撮
れる。しかし,この場合においても,写真撮影に用いるせん光の分光分布のD55からのずれが大きくなる
と,波長選択性がある(有色の)被写体を撮影する場合には,色再現性に欠陥がでる可能性が大きくなる。
波長選択性がない被写体に対して,デイライトタイプ平均カラーフィルムに写真昼光下で撮影したときと
同じ写真を得られるようにせん光光源を調整しておいたとしても,この規格によるデイライトタイプ平均
カラーフィルムの相対分光感度と大幅に異なる分光感度をもつ特殊なフィルムに撮影する場合には,波長
4
B 7098-1988 (ISO 3028-1984)
選択性がない被写体であっても,カラーバランスに大きなずれが生じる可能性がある。
4.2.2.1
時間に関する考慮 せん光光源の分光特性は,時間の関数である。フィルムの露光時間は,カメ
ラのシャッターが閉じるまでの時間,又は光電素子が露光に十分なエネルギーの光が照射されたことを検
出してエレクトロニックフラッシュを消灯するまでの時間である。特に近接撮影のような場合では,露光
時間がせん光時間よりも極端に短いこともあり得る。したがって,この規格の適用に当たっては,せん光
のスペクトルの時間的な変化を考慮する必要がある。
4.2.2.2
分光分布の測定 せん光光源の相対分光分布は,360〜680nmの波長範囲にわたって,波長幅10nm
以下で,正確に測定しなければならない。ISO/SDIを求めるために使用するデータは,この規格(の表)
に規定する波長で測定したものでなければならない。
4.3
重み付き分光感度値
4.3.1
レンズの透過率 イルミナントの評価を行う場合には,撮影に用いるデイライトタイプカラーフィ
ルムが感光性をもつ全波長範囲にわたって,カメラのレンズ,鏡,フィルターなどの,光がフィルムに至
るまでの,全光学系(撮影光学系)の分光透過率を考慮しなければならない。しかし,大部分のカメラで
は,撮影光学系はレンズだけで構成されているので,レンズの分光透過率を明らかにすることが,重要と
なる。しかし,撮影光学系内に,レンズ以外に鏡などがある場合は,それらの分光特性も考慮しなければ
ならない。
1979年に,中級及び高級カメラ用の代表的なレンズ57本について,光軸上での相対分光透過率を求め,
この平均値をISO標準カメラレンズの相対分光透過率と呼ぶこととなった。この相対分光透過率を表1に
示す。この規格では,この値を基準として用いる。
表1 分光データ
波長λ
nm
ISO標準カメラ
レンズの相対分
光透過率
τ (λ)
写真昼光の相対
分光分布2)
D55
350
0.00
28
360
0.07
31
370
0.23
34
380
0.42
33
390
0.60
38
400
0.74
61
410
0.83
69
420
0.88
72
430
0.91
68
440
0.94
86
450
0.95
98
460
0.97
100
470
0.98
100
480
0.98
103
490
0.99
98
500
0.99
101
510
1.00
101
520
1.00
100
5
B 7098-1988 (ISO 3028-1984)
波長λ
nm
ISO標準カメラ
レンズの相対分
光透過率
τ (λ)
写真昼光の相対
分光分布2)
D55
530
1.00
104
540
1.00
102
550
1.00
103
560
1.00
100
570
1.00
97
580
1.00
98
590
0.99
91
600
0.99
94
610
0.99
95
620
0.98
94
630
0.98
90
640
0.97
92
650
0.97
89
660
0.96
90
670
0.95
94
680
0.94
90
690
0.94
80
参考文献 2) IE Publication No.15 (E-3.1.3)
4.3.2
カラーフィルムの分光感度 カラーフィルムは,それぞれ独自の分光感度をもつ複数の感光層から
なる。
そのうちの幾つかの層は,主に青い光に感じ(この層を青感層という。),他の層は,主に緑又は赤の波
長領域に感光性をもっている。カラーフィルムは種類によって相対分光感度が異なるので,イルミナント
を用いて撮影したときの写真の色は,試験に用いるカラーフィルムによって異なってくる。
1977年に,世界中のカラーフィルム製造業者に対し,各社の写真撮影用デイライトタイプカラーフィル
ムの平均的な分光感度データの提出を求めた。その結果,4社からデータが提供され,これらのデータを
平均した。この規格では,この平均値のデータを用いる。青,緑,赤のそれぞれの感光層に対する,それ
ぞれの分光感度の最大値を100として求めた平均相対分光感度s (λ) を表2に示す。
表2 デイライトタイプ平均カラーフィルムの相対分光感度s (λ)
(各層の分光感度の最大値を100に基準化した。)
波長λ
nm
青感層
Bs (λ)
緑感層
Gs (λ)
赤感層
Rs (λ)
350
2
360
5
370
12
380
26
390
49
1
400
71
1
410
87
1
420
97
1
430
100
1
440
87
1
6
B 7098-1988 (ISO 3028-1984)
波長λ
nm
青感層
Bs (λ)
緑感層
Gs (λ)
赤感層
Rs (λ)
450
80
1
460
68
1
470
47
2
480
25
3
490
11
6
500
4
9
510
3
14
520
1
20
530
31
1
540
60
1
550
100
2
560
51
3
570
54
5
580
39
7
590
11
12
600
2
19
610
26
620
34
630
54
640
83
650
100
660
70
670
17
680
2
備考 露光時間が変わるとカラーバランス及び写真スピードが変化する(フィルムの相反則不軌効果)
ことがある。フィルム製造業者は,この効果を小さくしようと努めている。しかし,通常のカ
ラーフィルムでは,この変化を克服する良い方法はないので,調光式エレクトロニックフラッ
シュで近接撮影をするときのような極端に短い時間の露光をする場合や,逆に長い時間の露光
をする場合には,このことに注意しなければならない。
参考 この規格では,この平均相対分光感度をもつデイライトタイプカラーフィルムをデイライトタ
イプ平均カラーフルムと呼んでいる。
4.3.3
重み付き分光感度値の求め方 イルミナントの分光特性は,そのイルミナントが,カラーフィルム
の青,緑,赤の各色の画像形成層(感光層)に対して,どのような効果を与えているかによって求めるこ
とができる。青感層に与える効果を,(撮影に用いたイルミナントに対する)青感層写真レスポンスと呼ぶ。
ISO標準カメラレンズを用いたときのD55イルミナントに対するデイライトタイプ平均カラーフィルムの
青感層写真レスポンスRBは,次の式によって表される。
∫21
55
B
)
(
)
(
λ
λ
λ
λ
λ
τ
d
s
D
R=
····························································· (2)
ここに,
D55: D55の相対分光分布
s (λ) : デイライトタイプ平均カラーフィルムの青感層の相対分
7
B 7098-1988 (ISO 3028-1984)
光感度
τ (λ) : ISO標準カメラレンズの光軸上での相対分光透過率
λ1〜λ2: 青感層が感光性をもつ波長範囲
参考 D55は,ISO 31/6によれば,D55 (λ) と表記されるべきものである。
写真昼光に対する青感層レスポンスを10 000にするために,式(2)に定数KBを乗じる。
000
10
)
(
)
(
2
1
55
B
B
=
=∫λ
λ
λ
λ
λ
τ
d
s
D
K
R
················································ (3)
式(3)は,次のように書ける。
∫21
55
B
B
)
(
λ
λ
λ
λ
d
D
W
R=
································································· (4)
ここに, WB (λ) =KBs (λ) τ (λ)
WB (λ) の値を,青感層の重み付き分光感度値という。同様に,緑感層の重み付き分光感度値WG (λ) と
赤感層の重み付き分光感度値WR (λ) を,写真昼光に対する各色の感光層の写真レスポンスが10 000にな
るようにして算出する。重み付け係数は,赤感層写真レスポンス,緑感層写真レスポンス及び青感層写真
レスポンスが,D55に関して,等しくなるようにするものである。WB,WG及びWRの値を表3に示す。
表3 重み付き分光感度値(1)W (λ)
(せん光の相対分光分布と共に用いる。)
波長λ
nm
青感層
WB (λ)
緑感層
WG (λ)
赤感層
WR (λ)
350
360
370
1
380
2
390
6
400
10
410
14
420
16
430
17
440
16
450
14
460
13
470
9
1
480
4
1
490
2
1
500
1
2
510
1
3
520
5
530
8
540
15
550
24
1
560
12
1
570
13
1
580
10
2
590
3
3
8
B 7098-1988 (ISO 3028-1984)
波長λ
nm
青感層
WB (λ)
緑感層
WG (λ)
赤感層
WR (λ)
600
1
5
610
7
620
8
630
14
640
21
650
25
660
17
670
4
注(1) この丸めた重み付き分光感度の値をD55の相対分光分布の値に乗じ,
これを加算して求めた青感層,緑感層及び赤感層の各写真レスポン
スの(丸めた)値はすべて10 000になり,したがって,ISO/SDIは
0/0/0になる。
4.4
せん光イルミナントに対する写真レスポンス せん光光源からの照射に対するデイライトタイプ平
均カラーフィルムの青感層写真レスポンスは,次の式によって算出できる。
∫λ
λ
λλ
λ
d
S
W
R
)
(
B
B=
···································································· (5)
ここに,
Sλ: せん光イルミナントによってデイライトタイプ平均カラーフ
ィルムを照射するときの,照射時間内での平均相対分光分布
W (λ) 及びSλは離散的な値であるから,青感層写真レスポンスは,次の式のようになる
RB=ΣWB (λ) Sλ
RG及びRRも同様にして算出される。
4.5
ISO/SDIの計算方法 せん光イルミナントの相対分光分布は,波長10nm間隔で測定する。測定値に,
対応する波長での青感層,緑感層,及び赤感層の重み付き分光感度値をそれぞれ乗じる。各感光層につい
て積をすべて加えると,それぞれの感光層の写真レスポンスRB,RG及びRRが算出できる。三つの写真レ
スポンスの10を底とした対数を,小数点以下2けたまで求める。それぞれの値から,三つの対数値のうち
の最小値を引く(最小値は,0となる)。
各数値に100を乗じて小数点を除去する。この3個の数値が,せん光イルミナントのISO/SDIである。
以上の計算例を附属書に示す。
5. 表示 この規格による方法によって算出したせん光イルミナントのISO/SDIをISO分光分布指数と呼
び,次のように表示する。
ISO/SDI 11/0/2
フィルムの分光感度及びカメラレンズの分光透過率が異なるので,この規格によって算出したSDIと
1974年版ISO 3028によって算出したSDIを比較してはならない。1974年版ISO 3028では,SDIは,11/0/2
という形式ではなく,11-0-2という形式で表示していた。
9
B 7098-1988 (ISO 3028-1984)
附属書
写真昼光を使って得た写真に比べてカラーバランスが青みがかった写真を与える
せん光イルミナントについてのISO分光分布指数の計算例
(この附属書は,この規定の一部ではない。)
波長
λ
nm
せん光イルミナ
ントの相対分光
分布
Sλ
青
緑
赤
WB (λ)
WB (λ) Sλ
WG (λ)
WG (λ) Sλ
WR (λ)
WR (λ) Sλ
360
18
370
35
1
35
380
49
2
98
390
61
6
366
400
73
10
730
410
86
14
1 204
420
97
16
1 552
430
106
17
1 802
440
114
16
1 824
450
122
14
1 708
460
129
13
1 677
470
128
9
1 152
1
128
480
123
4
492
1
123
490
121
2
242
1
121
500
120
1
120
2
240
510
117
1
117
3
351
520
113
5
565
530
108
8
864
540
102
15
1 530
550
100
24
2 400
1
100
560
99
12
1 188
1
99
570
99
13
1 287
1
99
580
100
10
1 000
2
200
590
103
3
309
3
309
600
106
1
106
5
530
610
110
7
770
620
113
8
904
630
108
14
1 512
640
97
21
2 037
650
91
25
2 275
660
86
17
1 462
670
86
4
344
680
88
10
B 7098-1988 (ISO 3028-1984)
波長
λ
nm
せん光イルミナ
ントの相対分光
分布
Sλ
青
緑
赤
WB (λ)
WB (λ) Sλ
WG (λ)
WG (λ) Sλ
WR (λ)
WR (λ) Sλ
写真レスポンスR=ΣW (λ) Sλ
13 119
10 212
10 641
写真レスポンスの常用対数 (log10R)
4.12
4.01
4.03
それぞれの値からlog10RG(最小値)
を減ずる。
0.11
0.00
0.02
それぞれの値を100倍する。
11
0
2
ISO分光分布指数ISO/SDI
11
/
0
/
2
この表の結果は,ISO標準カメラレンズを使用して,デイライトタイプ平均カラーフィルムに,試験に
用いたせん光イルミナントの照明で撮影した場合の写りは,D55の照明で撮影した場合に比べて,0.11
(log10R) の露光量分だけ青が強く,0.02 (log10R) の露光量分だけ赤が強いということを意味している。言い
替えれば,このせん光イルミナントで撮影したときの写真は,D55で撮影したときに比べて,特徴的に青
が強い。これを,補正するには,青感層の対数レスポンスを0.11,赤感層の対数レスポンスを0.02減らす
効果をもつフィルターをせん光装置に付ける必要がある。
ある特定のSDI値をもつせん光光源で撮影した写真のカラーバランスとD55の照明下で撮影したのとの
違いを描写するのには,3線座標(参考図参照)を使うとよい。せん光光源の色は,D55を中心にして,そ
のせん光光源の青,緑及び赤のSDIを,図に示した方向にプロットする。参考図には,この結果がプロッ
トしてある。このイルミナントによる効果は,D55イルミナントに色補正フィルター11B及び2Rをかけた
ものによる効果に等しい。
参考図 3線座標による例
11
B 7098-1988 (ISO 3028-1984)
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
○ 近 藤 英 樹
財団法人日本写真機光学機器検査協会
久 保 走 一
千葉大学工学部
武 田 満 昭
通商産業省機械情報産業局
保 積 英 治
東京工芸大学短期大学部
○ 三 嶋 泰 雄
工業技術院電子技術総合研究所
御 須 孝
工業技術院標準部
市 川 泰 憲
カメラ記者クラブ(写真工業出版社)
○ 大久保 斤 二
写真感光材料工業会(富士写真フイルム株式会社)
川 本 和 夫
全日本カラーラボ協会連合会(株式会社フジカラー
サービス)
島 根 保 治
全日本写真材料商組合連合会
○ 須 賀 恒 夫
写真感光材料工業会(小西六写真工業株式会社,現
コニカ株式会社)
三 堀 家 義
日本写真家協会
○ 阿 部 治 男
ミノルタカメラ株式会社
斎 藤 哲 夫
社団法人日本電球工業会
○ 嶋 谷 憲 二
日本写真用工業会(松下電器産業株式会社)
○ 匝 瑳 俊 雄
日本光学工業株式会社,現株式会社ニコン
○ 丹 野 正 邦
株式会社サンパック
○ 久 本 尚 弘
京セラ株式会社
○ 山 田 正 徳
キヤノン株式会社
(事務局)
○ 鈴 木 憲 章
日本写真機工業会
(○:小委員会委員)