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B 7095 : 1997  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS B 7095-1978は改正され,この規格に置き換えられる。 

JIS B 7095には,次に示す附属書がある。 

附属書1(参考) Tナンバの測定方法 

附属書2(参考) 有効Fナンバの測定方法 

附属書3(参考) 有効Tナンバの測定方法 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 7095 : 1997 

写真レンズ−有効口径,Fナンバ 

及び口径比の測定方法 

Photographic lenses−Methods for the measurement 

of the effective aperture, F-number and relative aperture 

序文 この規格は,1996年に第2版として発行されたISO 517 (Photography-Apertures and related properties 

pertaining to photographic lenses-Designations and measurements) を元に,対応する部分については,技術的内

容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない項目(Tナン

バの測定方法,有効Fナンバの測定方法及び有効Tナンバの測定方法)を日本工業規格の附属書(参考)

として追加している。 

なお,ISO 517の規定は,日本工業規格では3分割し,JIS B 7094,JIS B 7095及びJIS B 7106に規定して

いる。 

1. 適用範囲 この規格は,写真レンズの有効口径,Fナンバ及び口径比の測定方法について規定する。 

備考1. ISO 517では“f-number”と記述しているが,この規格では,業界の過去からの経緯及び現状

に従って,Fナンバを採用している。 

2. レンズを有限の物体距離で使用する場合に有効なFナンバ及び有効なTナンバを,それぞれ

有効Fナンバ及び有効Tナンバという。Tナンバについては附属書1,有効Fナンバについ

ては附属書2,有効Tナンバについては,附属書3による。 

3. この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 517 : 1996 Photography−Apertures and related properties pertaining to photographic lenses−

Designations and measurements 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。 

この引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS B 7094 写真レンズ−焦点距離の測定方法 

JIS Z 8120 光学用語 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8120によるほか,次による。 

a) 開口絞り (aperture stop)  レンズを通して軸上の像の中心へ到達できる光線束の断面積を制限する物

理的な絞り。 

b) 入射ひとみ (entrance pupil)  物体空間における光軸上の1点から見た開口絞りの像(開口絞りより前

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B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

側のレンズによってつくられる開口絞りの像)。 

c) 射出ひとみ (exit pupil)  レンズの光軸上の像点から見た開口絞りの像(開口絞りより後側のレンズに

よってつくられる開口絞りの像) 

d) 有効口径 レンズの光軸上の無限遠物点から出て,与えられた絞り目盛に相当する開口をもつレンズ

を通過すべき平行光線束の,光軸に垂直な断面積と等しい面積をもつ円の直径。 

備考 レンズの有効口径は,式(1)によって表す(図1参照)。 

S

S

d

13

.1

2

=

=

π

 ···································································  (1) 

ここに, d: 有効口径 (mm) 
 

S: 平行光線束の断面積 (mm2) 

図1 有効口径 

e) Fナンバ レンズの焦点距離と有効口径との比 

備考 レンズのFナンバは,式(2)で表す。 

d

f

F=

 ··················································································  (2) 

ここに, F: Fナンバ 
 

f: 焦点距離 (mm) 

d: 有効口径 (mm) 

f) 

口径比 Fナンバの逆数 

備考1. Fナンバ(F)を用いて,次のとおり表す。 

1 : F 

2. ISO 517では口径比を定義し,これを用いてFナンバを定義しているが,この規格と記述の

順番が逆になっているだけで,技術的内容は同一である。 

4. 有効口径の測定方法 

4.1 

測定方法の種類 測定方法の種類は,次の3種類とする。ただし,同等の結果が得られるならば,

他の測定方法を用いてもよい。 

a) 測定方法1(入射ひとみの直径を直接測定する方法) 

b) 測定方法2(テレセントリック投影光学系による方法) 

c) 測定方法3(焦点面上のピンホールによる方法) 

4.2 

測定条件 測定条件は,次による。 

a) 被験レンズの撮影距離目盛は,無限遠に合わせる。 

B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 測定に用いるピンホールの直径は,被験レンズの焦点距離の1501以下でなるべく小さいことが望まし

い。 

c) 測定に用いるテレセントリック投影光学系の投影レンズは,その開口が被験レンズの開口よりも十分

大きく,かつそのスクリーン側の焦点面に絞り(テレセントリック絞り)を備えていなければならな

い。 

d) 測定に用いるテレセントリック投影光学系は,収差,特にディストーション及びひとみの球面収差が

十分に補正されていなければならない。 

e) 測定に際し,スクリーン上に投影される開口又は開口像の面積は,誤差率±2%で求める必要がある。 

f) 

拡大像をつくることを目的としたレンズなどは,測定に際しそれぞれのレンズで指定される側を物体

側とみなす。 

g) 測定に用いる顕微鏡は,光軸に対して直交する方向に被験レンズの入射ひとみの径の全域を移動可能

な機構を備え,物体側から被験レンズの開口部に合焦させるに足る十分長い作動距離をもち,観測用

十字線を備えたものでなければならない。 

4.3 

測定方法1(入射ひとみの直径を直接測定する方法) 測定の手順は,次による。 

a) 顕微鏡を拡散面光源に正対させて配置し,拡散面光源と顕微鏡との間に被験レンズを置く。この場合,

被験レンズの姿勢は,その像側を拡散面光源に向け,光軸が顕微鏡の光軸に平行となるように調節す

る。 

b) 見掛け上最も小さい開口部の縁に,顕微鏡の焦点を合わせる。 

c) 顕微鏡を移動し,その移動量を測定することによって,入射ひとみの直径を決定する。 

備考 レンズの開口(絞り又はレンズの縁)の形が円形でない場合には,被験レンズの入射ひとみと

同じ面積をもつ円の直径を有効口径とする。 

4.4 

測定方法2(テレセントリック投影光学系による方法) 測定の手順は,次による(図2参照)。 

a) 拡散面光源に正対させてテレセントリック投影光学系(投影レンズ,テレセントリック絞り及びスク

リーンから成る。以下,投影系という。)を配置し,拡散面光源と投影レンズとの間に被験レンズを置

く。この場合,被験レンズの姿勢は,その像側を拡散面光源に向け,光軸が投影系の光軸に平行とな

るように調節する。 

b) 投影系の光軸に沿って被験レンズを移動することによって,被験レンズの入射ひとみの全周の像がス

クリーン上で最も鮮明になる位置でのスクリーン上の開口像の面積を測定する。この場合,テレセン

トリック絞りは,被験レンズの入射ひとみの全周の像が十分鮮明に得られる大きさに調節しておく。 

c) 被験レンズの代わりに大きさの分かっている物体を用い,b)と同様にその像をスクリーン上に投影す

ることによって,投影系の投影倍率を校正する。ただし,物体の大きさはなるべく被験レンズの有効

口径に近いものを用いることが望ましく,また,テレセントリック絞りの大きさはb)の状態をそのま

ま保つ。 

d) 被験レンズの有効口径は,b)におけるスクリーン上の開口像の面積及びc)における投影系の投影倍率

を用い,式(3)によって表す。 

S

M

S

M

d

=

=

13

.1

2

π

 ································································ (3) 

ここに, 

d: 有効口径 (mm) 

S': 開口像の面積 (mm2) 

M: 投影系の投影倍率 

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B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考 レンズの開口(絞り又はレンズの縁)の形が円又は円に十分近い場合には,開口像の面積を測

定することなく,その直径又は平均直径を測定し,投影系の投影倍率を用いて,式(4)によって

有効口径を算出してもよい。この場合,直径又は平均直径の測定誤差率は,±1%とする。 

M

d

d

=

 ···················································································· (4) 

ここに, 

d: 有効口径 (mm) 

d': 直径又は平均直径 (mm) 

M: 投影系の投影倍率 

図2 有効口径の測定方法2 

4.5 

測定方法3(焦点面上のピンホールによる方法) 測定の手順は,次による(図3参照)。 

a) 被験レンズの焦点面にピンホールを置き,その位置を焦点に一致させる。 

b) ピンホールを被験レンズと反対の側から照明し,ピンホールを通った光線が被験レンズの開口を満た

すようにする。 

c) 被験レンズの物体側に,なるべく被験レンズに近づけてその光軸に垂直スクリーンを置き,被験レン

ズを通った平行光線束の断面を投影する。 

d) 被験レンズの有効口径(d)は,c)におけるスクリーン上の平行光線束の断面積(S)を測定し,3.d)の式(1)

から求める。 

備考 レンズの開口(絞り又はレンズの縁)の形が円又は円に十分近い場合には,平行光線束の断面

積を測定することなく,直接その直径又は平均直径を測定して有効口径(d)を求めてもよい。こ

の場合,直径又は平均直径の測定誤差率は,±1%とする。 

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B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図3 有効口径の測定方法3 

5. Fナンバ及び口径比の測定方法 被験レンズのFナンバは,有効口径を4.に規定する方法によって,

また,焦点距離をJIS B 7094に規定する方法によってそれぞれ測定し,3.e)の式(2)によって求める。 

口径比は,3.f)によって表す。 

6. 測定値の記録 レンズの有効口径,Fナンバ及び口径比の測定値を記録する場合には,次の事項を付

記する。 

a) 被験レンズの名称,その他(最大口径比の呼び,焦点距離の呼び,製造番号など) 

b) 測定方法の種類 

c) 測定時の絞り目盛 

d) 測定時の焦点距離目盛(焦点距離が可変のレンズの場合) 

関連規格 JIS B 7096 写真レンズの開口効率及び比像面照度の測定方法 

JIS B 7106 写真レンズ−絞り目盛 

JIS B 7107 写真−カメラレンズ−ISO分光透過率の測定方法 

B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(参考) Tナンバの測定方法 

序文 この附属書は,Tナンバについて説明するものであって,規定の一部ではない。 

1. Tナンバの定義 Tナンバは,Fナンバにレンズの透過率を考慮し,レンズの光軸上の像面の明るさ

を与えるための値。 

一定のFナンバに対応するレンズのTナンバは,式(1)で表す。 

10

×

F

T

 ·············································································· (1) 

ここに, 

T: Tナンバ 

F: Fナンバ 

τ: レンズの透過率 (%) 

備考 レンズの透過率 レンズの光軸上の無限遠物点から出てレンズを通過すべき放射束のうち,レ

ンズを通過して像面に達する放射束の割合(記号τで表す)。 

レンズの透過率は,そのレンズと同じFナンバをもつ理想レンズ(反射及び吸収による放射

束損失が全くない無収差レンズ)の像面における放射束に対する百分率 (%) で表す。 

2. Tナンバの測定方法 

2.1 

測定方法の種類 測定方法は,次の2種類とする。 

a) 測定方法1(白色拡散面光源による方法) 

b) 測定方法2(分光透過率による方法) 

2.2 

測定方法1(白色拡散面光源による方法) 

2.2.1 

測定条件 測定条件は,次による。 

a) 被験レンズの撮影距離目盛は,無限遠に合わせる。 

b) 拡大像をつくることを目的としたレンズなどでは,測定に際しそれぞれのレンズで指定される側を物

体側とみなす。 

c) 測定に用いる面光源は,被験レンズの開口及び基準開口板の開口を覆うに十分な大きさをもつ相関色

温度約3 200Kの均等拡散面とする。 

面光源の各部分での放射輝度むらは,面光源内の最大放射輝度の5%以内とし,測定中の放射輝度

の変動を±2%に保つ。 

d) 受光器の比分光感度は,標準比視感度にできるだけ合致するものとする。 

e) 受光器は,被験レンズ又は基準開口板を通過して受光器開口に入るすべての放射束を,測定時の最大

目盛の3%以内の誤差で評価できることが必要であり,また受光器の開口は,被験レンズの焦点距離
の501以下のなるべく小さな直径をもつ円形とする。 

f) 

基準開口板の開口の形状は円形であって,その周縁はできるだけ薄く仕上げる。 

なお,開口の直径は被験レンズの有効口径と同程度であることが望ましく,その値は誤差率±1%と

する。 

g) 基準開口板と受光器の開口面との間隔は,被験レンズの焦点距離と同程度にとるのが望ましく,その

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B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

値は誤差率±1%とする。 

h) 測定に際して,被験レンズの開口又は基準開口板の開口を通過した光以外の光が受光器開口に入らな

いように適切な遮光を施す。 

2.2.2 

測定手順 測定の手順は,次による。 

a) 面光源と受光器開口との間に,面光源の中央部に正対させて被験レンズを置き,受光器開口の中心が

被験レンズの焦点に合致するように調節した状態で,受光器の出力を測定する(附属書1図1参照)。 

b) a)の測定の被験レンズの代わりに,面光源に密着して開口の直径の基準開口板を置き,その開口の中

心から開口面に立てた垂線が受光器開口の中心を通るように調節する。この垂線に沿って受光器開口

を移動し,基準開口板と受光器の開口面との間隔が一定の値となる位置で受光器の出力を測定する(附

属書1図2参照)。 

c) 被験レンズのTナンバは,a)及びb)で測定された受光器のそれぞれの出力を用い,式(2)によって求め

る。 

E

E

d

l

T

0

2

0

2

4

1

2

1

+

=

 ·······························································  (2) 

ここに, 

T: Tナンバ 

d0: 基準開口板の開口の直径 (mm) 

l: 基準開口板と受光器の開口面との間隔 (mm) 

E: 被験レンズを通過した放射束による出力 

E0: 基準開口板を通過した放射束による出力 

附属書1図1 Tナンバの測定方法1の配置(被験レンズを通過した放射束による出力の測定) 

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附属書1図2 Tナンバの測定方法1の配置(基準開口板を通過した放射束による出力の測定) 

2.3 

測定方法2(分光透過率による方法) 測定方法は,次による。 

a) 被験レンズのFナンバを本体5.に規定する方法によって求める。 

b) JIS B 7107(写真−カメラレンズ−ISO分光透過率の測定方法)に規定する方法によって,被験レンズ

の分光透過率を測定する。ただし,測定波長間隔は,20nmとする。 

c) レンズの透過率は,b)で求めた分光透過率の値と附属書1表1に示す重み係数とから,式(3)で求める。 

=

λ

λ

λ

τ

τ

W

)

(

 ········································································· (3) 

ここに, 

τ: レンズの透過率 (%) 

τ (λ): 波長λでの被験レンズの透過率 (%) 

Wλ: 波長λでの透過率に対する重み係数(附属書1表1参

照) 

附属書1表1 分光透過率の重み係数 (Wλ) 

波長 (nm) 

重み係数 (Wλ) 

360 

0.000 0 

380 

0.000 0 

400 

0.000 0 

420 

0.000 2 

440 

0.001 6 

460 

0.005 3 

480 

0.014 8 

500 

0.040 8 

520 

0.104 1 

540 

0.159 5 

560 

0.186 8 

580 

0.180 8 

600 

0.143 3 

620 

0.093 6 

640 

0.046 0 

660 

0.017 0 

680 

0.005 0 

700 

0.001 3 

d) 被験レンズのTナンバは,a)によるFナンバ及びc)によるレンズの透過率を用い,1.の式(1)で求める。 

3. 測定値の記録 レンズの有効口径,口径比及びTナンバの測定値を記録する場合には,次の事項を付

記する。 

a) 被験レンズの名称,その他(最大口径比の呼び,焦点距離の呼び,製造番号など) 

b) 測定方法の種類 

c) 測定時の絞り目盛 

d) 焦点距離が可変のレンズでは,測定時の焦点距離目盛 

B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2(参考) 有効Fナンバの測定方法 

序文 この附属書は,有効Fナンバについて説明するものであって,規定の一部ではない。 

1. 有効Fナンバは,式(1)で表す。 

m

m

F

α′

=

sin

2

1

 ·········································································· (1) 

ここに, 

Fm: 有効Fナンバ 

α'm: 撮影倍率mに相当する共役条件において,レンズの光軸

上の像点から射出ひとみの直径を見込む角の21である。

射出ひとみの形状が円形でない場合には,これと等しい
面積をもち射出ひとみ位置にある円の直径を見込む角の

21とする。 

2. 有効Fナンバの測定方法 

2.1 

測定方法の種類 測定方法は,次の2種類とする。 

a) 測定方法1(物体面上のピンホールによる方法) 

b) 測定方法2(像面上のピンホールによる方法) 

2.2 

測定条件 測定条件は,次による。 

a) 被験レンズの撮影距離目盛は,測定時の共役条件に相当する撮影距離に合わせる。 

b) 拡大像をつくることを目的としたレンズなどでは測定に際し,それぞれのレンズで指定される側を物

体側とみなす。 

c) 測定に使用するピンホールの直径は,測定方法1による場合には0.5mm,測定方法2による場合には,

被験レンズの焦点距離の1501以下で,なるべく小さいことが望ましい。 

d) 測定方法2で使用する拡散板は,被験レンズの開口を覆うのに十分な大きさをもつ。 

e) 測定に際し,スクリーンの移動距離は,その値が誤差率±1%で,また,スクリーン上の光線束の断面

積は,誤差率±2%とする。 

2.3 

測定方法1(物体面上のピンホールによる方法) 測定の手順は,次による(附属書2図1参照)。 

a) 被験レンズの物体面にピンホールを置き,その位置を光軸上の物点に一致させる。 

b) ピンホールを被験レンズと反対の側から照明し,ピンホールを通った光線束が被験レンズの開口を十

分満たすようにする。 

c) 被験レンズの像側に,光軸に垂直にスクリーンを置き,これを光軸に沿って被験レンズにできるだけ

近づけた位置Aにおいてスクリーン上に投影される光線束の断面積を測定する。 

d) 次に,光軸に沿って被験レンズから遠ざかる向きに,位置Aからlだけ離れた位置Bにスクリーンを

移動し,スクリーン上に投影される光線束の断面積を測定する。この場合,位置A及び位置Bは,被

験レンズによるピンホールの像に対してほぼ対称となるようにする。 

e) c)及びd)で測定した光線束の断面積と等しい面積をもつ円(等価円)の直径を,式(2)及び式(3)で求め

る。 

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10 

B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A

A

A

S

S

d

13

.1

2

=

=

π

 ······························································· (2) 

ここに, dA: 等価円の直径 (mm) 
 

SA: 位置Aでの光線束の断面積 (mm2) 

B

B

B

S

S

d

13

.1

2

=

=

π

 ······························································· (3) 

ここに, dB: 等価円の直径 (mm) 
 

SB: 位置Bでの光線束の断面積 (mm2) 

f) 

被験レンズの光軸上の像点から射出ひとみの直径を見込む角の21の正弦 (sinα'm) は,d)におけるスク

リーンの移動距離及びe)における等価円の直径(dA及びdB)を用いて式(4)によって求める。 

2

2

)

(

4

sin

B

A

B

A

m

d

d

l

d

d

+

+

+

=

α

·························································· (4) 

ここに, 

l: 位置AとBとの距離 (mm) 

dA及びdB: 等価円の直径 (mm) 

g) 被験レンズの有効Fナンバは,f)で求めたsinα'mを用い,1.の式(1)で求める。 

備考 この測定方法において,ピンホールの直径が測定上無視できない場合には,f)におけるdA及び

dBの代わりに式(5)及び式(6)による値d'A及びd'Bを用いる。 

d'A=dA−md (mm) ······································································ (5) 

d'B=dB−md (mm) ······································································ (6) 

ここに, dA及びdB: 等価円の直径 (mm) 
 

m: 測定時の共役条件に相当する撮影倍率 

d: ピンホールの直径 (mm) 

附属書2図1 有効Fナンバの測定方法1 

2.4 

測定方法2(像面上のピンホールによる方法) 測定の手順は,次による(附属書2図2参照)。 

a) 被験レンズの測定時の共役条件に相当する像面にピンホールを置き,その位置を光軸上の像点に一致

させる。 

b) 被験レンズの物体側に被験レンズにできるだけ近づけて拡散板を置き,これを被験レンズと反対の側

から照明して,拡散板を通過した光が被験レンズの開口を十分満たすようにする。 

background image

11 

B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) ピンホールに対し,被験レンズと反対の側に光軸に垂直にスクリーンを置き,被験レンズから遠ざか

る向きに,ピンホールから適当な距離の位置Aにおいてスクリーンに投影される光線束の断面積を測

定する。この場合,ピンホールと位置Aとの距離は,被験レンズとピンホールとの距離と同程度又は

それ以上にとることが望ましい。 

d) 次に,光軸に沿って被験レンズから遠ざかる向きに,位置Aからlだけ離れた位置Bにスクリーンを

移動し,スクリーン上に投影される光線束の断面積を測定する。この場合,位置Aと位置Bとの距離

はなるべく大きい値にとるものとする。 

e) c)及びd)において測定した光線束の等価円の直径(dA及びdB)を式(7)及び式(8)によって求める。 

A

A

A

S

S

d

13

.1

2

=

=

π

 ······························································· (7) 

ここに, dA: 等価円の直径 (mm) 
 

SA: 位置Aでの光線束の断面積 (mm2) 

B

B

B

S

S

d

13

.1

2

=

=

π

 ······························································· (8) 

ここに, dB: 等価円の直径 (mm) 
 

SB: 位置Bでの光線束の断面積 (mm2) 

f) 

被験レンズの光軸上の像点から射出ひとみの直径を見込む角の21の正弦 (sinα'm) は,d)におけるスク

リーンの移動距離及びe)における等価円の直径(dA及びdB)を用いて式(9)によって求める。 

2

2

)

(

4

sin

A

B

A

B

m

d

d

l

d

d

+

=

α

·························································· (9) 

ここに, 

l: 位置Aと位置Bとの距離 (mm) 

dA及びdB: 等価円の直径 (mm) 

g) 被験レンズの有効なFナンバは,f)で求めたsinα'mを用い,式(1)によって求める。 

附属書2図2 有効Fナンバの測定方法2 

12 

B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3. 測定値の記録 レンズの有効Fナンバの測定値を記録する場合には,本体6.に規定する事項のほかに

次の事項も付記する。 

a) 測定時の共役条件(撮影倍率又は撮影距離目盛) 

b) 測定に使用したピンホールの直径(2.4に規定する方法で有効Fナンバを測定した場合) 

13 

B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書3(参考) 有効Tナンバの測定方法 

序文 この附属書は,有効Tナンバについて説明するものであって,規定の一部ではない。 

1. 有効Tナンバは,式(1)によって表す。 

10

×

=

m

m

m

F

T

τ

 ·········································································· (1) 

ここに, 

Tm: 有効Tナンバ 

Fm: 有効Fナンバ 

τm: 撮影倍率mに相当する共役条件で,レンズの透過率に対応

する値 (%) 

2. 有効Tナンバの測定方法 

2.1 

測定方法の種類 測定方法は,次の2種類とする。 

a) 測定方法1(白色拡散面光源による方法) 

b) 測定方法2(分光透過率による方法) 

備考 測定方法2は,1.の式(1)に示されたレンズの透過率 (τm) が,附属書1の1.の備考に規定するτ

(物体距離が無限遠の場合)に等しいとみなされるレンズについて適用する。 

2.2 

測定方法1(白色拡散面光源による方法) 

2.2.1 

測定条件 測定条件は,附属書1の2.2.1の規定による。ただし,被験レンズの撮影距離目盛は,

測定時の共役条件に相当する撮影距離に合わせる。 

2.2.2 

測定手順 測定の手順は,附属書1の2.2.2による。ただし,被験レンズを通過した放射束による

出力の測定に際し,受光器開口の中心の位置を被験レンズの測定時の共役条件に相当する光軸上の像点に

合致させる。被験レンズの有効Tナンバは式(2)によって求める。 

E

E

d

l

Tm

0

2

0

2

4

1

2

1

+

=

 ······························································· (2) 

ここに, Tm: 有効Tナンバ 
 

d0: 基準開口面の開口の直径 (mm) 

l: 基準開口板と受光器の開口面との間隔 (mm) 

E: 被験レンズを通過した放射束による出力 

E0: 基準開口板を通過した放射束による出力 

2.3 

測定方法2(分光透過率による方法) 測定の手順は,附属書1の2.3による。ただし,Fナンバは,

附属書2の2.に規定する方法によって求めた有効Fナンバを用いるものとし,被験レンズの有効Tナンバ

は,式(3)によって求める。 

10

×

m

m

F

T

 ············································································ (3) 

ここに, Tm: 有効Tナンバ 
 

Fm: 有効Fナンバ 

14 

B 7095 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

τ:  附属書1の2.3c)の式(3)によるレンズの透過率 (%) 

3. 測定値の記録 レンズの有効Tナンバの測定値を記録する場合には,本体6.に規定する事項のほかに

次の事項も付記する。 

a) 測定時の共役条件(撮影倍率又は撮影距離目盛) 

b) 測定に使用したピンホールの直径(附属書2の2.4に規定する方法で有効Fナンバを測定した場合) 

JIS B 7095 改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

一 色 真 幸 

東京工芸大学工学部 

(委員) 

大 頭   仁 

早稲田大学理工学部 

久 保 走 一 

東京工芸大学芸術学部 

近 藤 英 樹 

日本大学芸術学部 

◎ 横 田 英 嗣 

東海大学工学部 

中 嶋   誠 

通商産業省機械情報産業局 

本 間   清 

通商産業省工業技術院標準部 

山 村 修 蔵 

財団法人日本規格協会 

青 野 康 廣 

株式会社ニコン 

菊 池 寿 郎 

オリンパス光学工業株式会社 

○ 北 岸   望 

キヤノン株式会社 

工 藤 吉 信 

ミノルタ株式会社 

河 本 眞 介 

旭光学工業株式会社 

○ 鈴 木 憲 章 

元日本写真機工業会 

池 田   稔 

写真流通商社連合会 

市 川 泰 憲 

株式会社写真工業出版社 

岩 本   啓 

全日本写真材料商組合連合会 

鎌 田   環 

国民生活センター 

古 川 哲 夫 

財団法人日本消費者協会 

松 下 百合子 

社団法人日本写真協会 

(事務局) 

竹 田 尚 義 

日本写真機工業会 

(◎印は小委員会委員長,○印は小委員会委員を兼ねる。)