B 7080-3:2015 (ISO 9211-3:2008)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 使用区分························································································································· 2
3.1 使用区分の定義 ············································································································· 2
3.2 使用条件及び試験条件 ···································································································· 2
3.3 基板の影響 ··················································································································· 2
3.4 接合面のコーティング ···································································································· 2
4 環境耐久性試験の仕様 ······································································································· 3
附属書A(参考)使用区分A,B,C及びDに対する試験順序の例 ················································ 6
B 7080-3:2015 (ISO 9211-3:2008)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本光学硝子工業会(JOGMA)
及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS B 7080の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 7080-1 第1部:用語
JIS B 7080-2 第2部:分光光学特性
JIS B 7080-3 第3部:環境耐久性試験方法
JIS B 7080-4 第4部:特定試験方法
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 7080-3:2015
(ISO 9211-3:2008)
光学及びフォトニクス−光学コーティング−
第3部:環境耐久性試験方法
Optics and photonics-Optical coatings-Part 3: Environmental durability
序文
この規格は,2008年に第2版として発行されたISO 9211-3を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
JIS B 7080の規格群は,光学コーティングによる光学部品及び光学基板(眼鏡レンズを除く。)の表面処
理の性質を明らかにし,仕様書のための標準書式について規定している。必要に応じて,一般的特性,試
験方法及び測定方法を明示するが,製造工程を限定するものではない。
この規格は,光学コーティングに対する使用区分を規定し,光学コーティングが満たさなければならな
い各々の仕様について,それらを立証するための環境耐久性試験方法について規定する。用語の定義及び
試験範囲は,ISO 9022-1による。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 9211-3:2008,Optics and photonics−Optical coatings−Part 3: Environmental durability(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7080-4 光学及びフォトニクス−光学コーティング−第4部:特定試験方法
注記 対応国際規格 ISO 9211-4:2012,Optics and photonics−Optical coatings−Part 4: Specific test
methods(IDT)
ISO 9022-1,Optics and photonics−Environmental test methods−Part 1: Definitions, extent of testing
ISO 9022-2,Optics and optical instruments−Environmental test methods−Part 2: Cold, heat and humidity
ISO 9022-4,Optics and photonics−Environmental test methods−Part 4: Salt mist
ISO 9022-6,Optics and optical instruments−Environmental test methods−Part 6: Dust
ISO 9022-9:1994,Optics and optical instruments−Environmental test methods−Part 9: Solar radiation
ISO 9022-11,Optics and optical instruments−Environmental test methods−Part 11: Mould growth
2
B 7080-3:2015 (ISO 9211-3:2008)
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ISO 9022-12,Optics and optical instruments−Environmental test methods−Part 12: Contamination
ISO 9022-14,Optics and optical instruments−Environmental test methods−Part 14: Dew, hoarfrost, ice
3
使用区分
3.1
使用区分の定義
使用区分は,次に示す定義によって,五つに区分する。いずれの使用区分も,異なる環境耐久性試験,
又は異なる試験の厳しさの程度を基準とする。これらの使用区分を,要求の厳しさの順に次に示す。
使用区分A
この使用区分は,密封ユニット内だけで使用するコーティング部品に適用する。部品の取扱いは,厳密
に管理された環境の中で細心の注意を払って行うことが望ましい。光学コーティング表面に物理的に接触
することは極力避ける。
使用区分B
この使用区分は,管理された環境下で使用され,慎重な軽い拭きによるクリーニングが行われるコーテ
ィング部品に適用する。
使用区分C
この使用区分は,通常の屋外環境下で使用され,激しい摩擦によるきず及び引っかきによるきずが生じ
ないクリーニングが行われるコーティング部品に適用する。
使用区分D
この使用区分は,過酷な屋外環境下で使用され,激しい摩擦によるきず及び引っかきによるきずが生じ
るおそれのあるクリーニングが行われるコーティング部品に適用する。
使用区分O
上記の使用区分に分類できないコーティング部品に適用する。この区分が,使用区分A〜Dに必ずしも
正確に適合しないので,この使用区分の指定方法は,まず最も多くの要件を満たす使用区分を指定し,加
えて,その使用区分に属しない要件については,他の使用区分又は試験の厳しさの程度を付記する。
例 “使用区分C, 摩耗及び高温高湿:使用区分B, 密着:03”
3.2
使用条件及び試験条件
表1に示す温度仕様値は,試験条件である。ある種のコーティング,例えば,バンドパスフィルタ及び
高精度なエッジフィルタについては,スペクトル仕様の許容値がある温度範囲内で指定されることがある。
使用条件は,その要件に応じて別に記載するのがよい。
3.3
基板の影響
使用区分は,コーティングだけでなくコーティング付き基板として考えて決定するのがよい。
例えば,ガラス基板上のコーティング部品は,普通使用区分Cだが,きずがつきやすい又は不安定な基
板に施された部品にとっては使用区分Cは適切でない。これは,降雨,溶解性,高温・高湿,高温及び塩
水噴霧試験を行って明らかにしなければならない。
3.4
接合面のコーティング
この規格は,接合面コーティングには適用しない。基板−コーティング−接着剤−基板の組合せの環境
安定性は,接着剤の性質はもちろん,貼り合わせる基板の相対的な性質すなわち熱膨張係数に大きく依存
する。
3
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4
環境耐久性試験の仕様
コーティング部品の機械的性質及び化学的性質,並びに環境耐久性は,さまざまな方法で評価できる。
表1に示す試験方法は,光学部品を実際の使用環境にさらす代わりに,有意義な結果を与えるように選ん
だものである。試験の厳しさの程度の適用は,基板によって制約されることがある。
表1に示す試験は,一般に試験ごとにサンプルを用意して(1サンプル1試験)行い,累積試験をしな
い。
表1の試験は,厳しさの程度で細分化されており,数字が大きいほど厳しい。試験概要は,試験方法の
要約である。試験の詳細手順は,表1に示す引用規格を使用するか,又は受渡当事者間の協定に基づいて
決めてもよい。
1サンプル1試験の基本に基づいて行う個々の試験結果は,その試験項目に対してだけの光学コーティ
ングの環境耐久性の情報が得られ,製造業者にとって特に有益である。実際に使用される光学コーティン
グは,さまざまな環境にさらされるので,それを再現するには一連の試験を組むことができる。使用区分
に応じて,表1の“×”の全ての項目の試験を行うが,試験順序は附属書Aの例を参考として,受渡当事
者間による。この場合は,一連の試験は,必然的に累積試験となる。表1に示した以外の試験は,使用区
分Oに用いられた自由選択と考え,受渡当事者間の協定が必要となる。
4
B 7080-3:2015 (ISO 9211-3:2008)
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表1−光学コーティングに対する環境耐久性試験
No
試験項目
厳しさ
の程度
試験概要
使用区分
引用規格a)
A
B
C
D
O
1
摩耗
01
チーズクロスで50ストローク摩擦
×
JIS B 7080-4
条件方法01
02
チーズクロスで100ストローク摩擦
×
03
消しゴムで20ストローク摩擦
×
04
消しゴムで40ストローク摩擦
2
密着
01
ゆっくりとしたテープ引き剝がし
×
JIS B 7080-4
条件方法02
条件方法03
02
早いテープ引き剝し
× ×
03
非常に早いテープ引き剝がし(スナップ)
−
クロスハッチ試験
3
粉じん
又は砂付
着(厳し
さの程度
は,ISO
9022-6に
よる。)
01〜03
温度18〜28 ℃,湿度25 %RH未満の8〜10 m/sの
風速の粉じんを含んだ空気に6時間さらす。粉じ
ん濃度は5〜15 g/m3,粉じん粒子の粒度分布は次
による。
− サイズ140〜100 μm:2 %(質量分率)
− サイズ100〜71 μm:8 %(質量分率)
− サイズ71〜45 μm:15 %(質量分率)
− サイズ45 μm以下:75 %(質量分率)
SiO2の含有量は,97 %(質量分率)以下とする。
ISO 9022-6
条件方法52
4
溶解性
01
23±2 ℃の蒸留水又は脱イオン水に6時間浸せき
×
JIS B 7080-4
条件方法04
02
23±2 ℃の蒸留水又は脱イオン水に24時間浸せ
き
×
03
23±2 ℃の蒸留水又は脱イオン水に96時間浸せ
き
04
23±2 ℃の塩水(45 gNaCl/L)に6時間浸せき
05
23±2 ℃の塩水(45 gNaCl/L)に24時間浸せき
06
23±2 ℃の塩水(45 gNaCl/L)に96時間浸せき
×
07
沸騰した蒸留水又は脱イオン水に5分間浸せき
08
沸騰した蒸留水又は脱イオン水に15分間浸せき
×
09
沸騰した塩水(45 gNaCl/L)に5分間浸せき
10
沸騰した塩水(45 gNaCl/L)に15分間浸せき
×
11
沸騰した塩水(45 gNaCl/L)に60分間浸せき
12
沸騰した蒸留水又は塩水(45 gNaCl/L)に2分間
浸せき,その後室温の蒸留水に1分間浸せき
×
5
高温・
高湿
06
55±2 ℃,90〜95 %RHの大気に6時間さらす。
×
ISO 9022-2
条件方法12
07
55±2 ℃,90〜95 %RHの大気に16時間さらす。
×
03
40±2 ℃,90〜95 %RHの大気に10日間さらす。
×
6
低温
05
−25±3 ℃の大気に16時間さらす。
×
ISO 9022-2
条件方法10
07
−35±3 ℃の大気に16時間さらす。
× ×
09
−55±3 ℃の大気に16時間さらす。
(温度変化速度は,1分当たり3 ℃以下とする。)
×
7
高温
03
55±2 ℃,40 %RH未満の大気に16時間さらす。 ×
ISO 9022-2
条件方法11
05
70±2 ℃,40 %RH未満の大気に6時間さらす。
× ×
06
85±2 ℃,40 %RH未満の大気に6時間さらす。
(温度変化速度は,1分当たり5 ℃以下とする。)
×
5
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表1−光学コーティングに対する環境耐久性試験(続き)
No
試験項目
厳しさ
の程度
試験概要
使用区分
引用規格a)
A
B
C
D
O
8
緩やかな
温度変化
02
−25±3 ℃〜+55±2 ℃
×
ISO 9022-2
条件方法14
05
−35±3 ℃〜+63±2 ℃
×
07
−50±3 ℃〜+70±2 ℃
試験容器の温度変化速度:1分当たり0.2〜2 ℃
×
9
塩水噴霧
−
35±2 ℃の塩水噴霧されたミスト中に24時間さ
らす。
塩水(濃度:5±1 %,pH:6.5〜7.2)は圧縮空気
(0.4〜1.7×105Pa)によって,80 cm2につき噴射
速度0.5〜3.0 m L/時間で噴霧する。
×
ISO 9022-4 b)
条件方法40
10
太陽照射
01
25±2 ℃から55±2 ℃のオゾン除去した大気中
で,72時間照射
サンプル表面の照射強度は1±0.1 kW/m2
発光源及び波長強度分布はISO 9022-9:1994の表1
による。
ISO 9022-9
条件方法20
11
凍結
又は霜
01
及び
02
次の大気に連続してさらす。
段階1 初期温度:−15±3 ℃
段階2 凍結・霜の温度:−5±2 ℃
段階3 解凍温度と湿度:30±2 ℃,
80〜95 %RH
ISO 9022-14
条件方法77
12
化学的
耐久性
それぞれの試験に対し,次の薬品に浸せき
ISO 9022-12
条件方法87
12-1
酸腐食
01〜04
a) 硫酸(H2SO4)
b) 硝酸(HNO3)
12-2 アルカリ
腐食
01〜04
水酸化カリウム(KOH)
12-3 溶剤によ
る溶解性
01
アセトン(CH3COCH3)
× × ×
01
エタノール(C2H5OH)
× × ×
02〜04
アセトン(CH3COCH3)
02〜04
エタノール(C2H5OH)
13
かび成長c)
01
胞子の入った懸濁液の吹付け
胞子の数:1 000 000±200 000/mL
温度,湿度条件:29±1 ℃,96±2 %RH
試験品表面の胞子数:15 000±3 000/cm2
試験期間:28日
試験菌を指定する。
ISO 9022-11
条件方法85
14
その他d)
注記 この表の“×”は,各使用区分で行う試験項目を示し,“×”のない項目は,使用区分Oに用いられる自由選択
又は受渡当事者間の協定のために用意した項目である。
注a) 他の方法が指示されていない場合は,引用規格が基準の試験方法となる。条件方法はISO 9022-1で規定する。
b) ISO 9022-4の厳しさの程度と暴露時間が異なる。
c) かび成長による損傷に対するコーティングの耐久性が規定されており,かび成長を阻止するものではない。
d) 特別な用途に対するその他の耐久性試験として,雨の衝撃・浸食,砂の懸濁液による摩耗,腐食性ガス,腐食
性液体などに関する試験がある。
6
B 7080-3:2015 (ISO 9211-3:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
使用区分A,B,C及びDに対する試験順序の例
表A.1−使用区分Aに対する試験順序の例(一つの試験サンプルを使用する。)
試験
ステップ
No.
(表1から)
試験項目
厳しさ
の程度
試験サンプル1
1
6
低温
05
×
2
7
高温
03
×
表A.2−使用区分Bに対する試験順序の例(二つの試験サンプルを使用する。)
試験
ステップ
No.
(表1から)
試験項目
厳しさ
の程度
試験サンプル1
試験サンプル2
1
2
密着
01
×
×
2
1
摩耗
01
×
3
6
低温
07
×
4
7
高温
05
×
5
5
高温・高湿
06
×
6
8
緩やかな温度変化
02
×
7
12-3
溶剤による溶解性
01
×
8
2
密着
01
×
×
表A.3−使用区分Cに対する試験順序の例(三つの試験サンプルを使用する。)
試験
ステップ
No.
(表1から)
試験項目
厳しさ
の程度
試験サンプル1
試験サンプル2
試験サンプル3
1
2
密着
02
×
×
×
2
1
摩耗
02
×
3
4
溶解性
01
×
4
6
低温
07
×
5
7
高温
05
×
6
5
高温・高湿
07
×
7
8
緩やかな温度変化
05
×
8
12-3
溶剤による溶解性
01
×
9
2
密着
02
×
×
×
7
B 7080-3:2015 (ISO 9211-3:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.4−使用区分Dに対する試験順序の例(四つの試験サンプルを使用する。)
試験
ステップ
No.
(表1から)
試験項目
厳しさ
の程度
試験
サンプル1
試験
サンプル2
試験
サンプル3
試験
サンプル4
1
2
密着
02
×
×
×
×
2
1
摩耗
03
×
3
4
溶解性
02
×
4
05
×
5
08
×
6
09
×
7
6
低温
09
×
8
7
高温
06
×
9
5
高温・高湿
03
×
10
8
緩やかな温度変化
07
×
11
9
塩水噴霧
−
×
12
12-3
溶剤による溶解性
01
×
13
2
密着
02
×
×
×
×