B 7080-2:2015 (ISO 9211-2:2010)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 分光光学特性の規定 ·········································································································· 1
5 測定条件························································································································· 2
6 分光光学特性の数値による規定及びグラフ表現 ······································································ 2
6.1 一般 ···························································································································· 2
6.2 分光測定の数値による規定 ······························································································ 2
6.3 分光光学特性のグラフ表現に関する規定············································································· 3
6.4 主な光学機能のグラフ表現 ······························································································ 3
附属書A(規定)フィルタ機能及び波長選択機能の補助用語及び定義 ············································· 8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本光学硝子工業会(JOGMA)
及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS B 7080の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 7080-1 第1部:用語
JIS B 7080-2 第2部:分光光学特性
JIS B 7080-3 第3部:環境耐久性試験方法
JIS B 7080-4 第4部:特定試験方法
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日本工業規格 JIS
B 7080-2:2015
(ISO 9211-2:2010)
光学及びフォトニクス−光学コーティング−
第2部:分光光学特性
Optics and photonics-Optical coatings-Part 2: Optical properties
序文
この規格は,2010年に第2版として発行されたISO 9211-2を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本工業規格である。
1
適用範囲
JIS B 7080の規格群は,光学コーティングによる光学部品及び光学基板(眼鏡レンズを除く。)の表面処
理の性質を明らかにし,仕様書のための標準書式について規定している。必要に応じて,一般的特性,試
験方法及び測定方法を明示するが,製造工程を限定するものではない。
この規格は,光学コーティングの分光光学特性について規定する。また,この規格は,グラフで分光光
学特性を示す方法についても規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 9211-2:2010,Optics and photonics−Optical coatings−Part 2: Optical properties(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7080-1 光学及びフォトニクス−光学コーティング−第1部:用語
注記 対応国際規格:ISO 9211-1:2010,Optics and photonics−Optical coatings−Part 1: Definitions
(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 7080-1による。
4
分光光学特性の規定
分光光学特性を規定する場合,入射媒質及び出射媒質の屈折率を与えなければならない。入射角θがゼ
ロでない場合又は入射角の幅がある場合には,入射放射束の偏光状態についても与えられなければならな
い。指示がない場合には,非偏光とする。
コーティングの分光光学特性を表すτ(λ),ρ(λ),α(λ),D(λ)及びΔΦ(λ)は,コーティングの特性を分かりや
2
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すく表現するために,それらの分光光学特性の最小組合せにおいて,6.2に規定する式を用いる。散乱又は
測色パラメータなど,その他の分光光学特性については,受渡当事者間の協定による。
注記 D(λ)は,JIS B 7080-1の2.2.2の注記参照。
5
測定条件
分光測定での評価における測定条件は,受渡当事者間の協定による。この条件は,入射角,偏光状態,
測定光の分光範囲,バンド幅など,測定方法の原理及び使用する機器に依存しており,測定の検証をする
ために,十分詳細な記録をとらなければならない。
6
分光光学特性の数値による規定及びグラフ表現
6.1
一般
この規格は,光学コーティングの分光測定での評価方法について規定する。
6.2
分光測定の数値による規定
分光光学特性の数値による規定に関する一般的な構成についてグラフ規定と区別して,次の不等式で規
定する。
(下限値)<(又は≦)(分光光学特性)<(又は≦)(上限値)
例1 (下限値)<(分光光学特性)≦(上限値)
分光光学特性が片側にしか制限をもたない場合には,不等式が二つの項で表される場合もある。
例2 (分光光学特性)≦(上限値)又は(分光光学特性)>(下限値)
表1は,表2に示す分光光学特性の数値による規定に必要な要素の式による表現である。
注記 特に記載がない限り,記号τ及びρは,直進透過率及び正反射率を表す。
表1−分光光学特性の数値による規定に関する要素表
下限値
(下付き文字L)
i=1, 2, …
比較符号
分光
光学
特性
波長幅(又は波数幅),
単一波長(又は単一波数)
又は入射角a)
i=1, 2, …
比較符号
上限値
(下付き文字U)
i=1, 2, …
Zは,次のいず
れかを表す。
ZLi
<又は≦
Z
(λi〜λi+1, θ)又は(λi, θ)
<又は≦
ZUi
τ,ρ,α,D,ΔΦ
又はδΦ
ZLi→ZLi+1 b)
<又は≦
Z
(λi〜λi+1, θ)
<又は≦
ZUi→ZUi+1 b)
τ,ρ,α,D,ΔΦ
又はδΦ
Zave, Li
<又は≦
Zave
(λi〜λi+1, θ)
<又は≦
Zave, Ui
τ,ρ,α,D,ΔΦ
又はδΦ
Zs, Li
<又は≦
Zs
(λi〜λi+1, θ)又は(λi, θ)
<又は≦
Zs, Ui
τ,ρ,α又はD
Zs, ave, Li
<又は≦
Zs, ave
(λi〜λi+1, θ)
<又は≦
Zs, ave, Ui
τ,ρ,α又はD
Zp, Li
<又は≦
Zp
(λi〜λi+1, θ)又は(λi, θ)
<又は≦
Zp, Ui
τ,ρ,α又はD
Zp, ave, Li
<又は≦
Zp, ave
(λi〜λi+1, θ)
<又は≦
Zp, ave, Ui
τ,ρ,α又はD
注a) それぞれの分光光学特性は,異なる波長幅(又は波数幅),異なる単一波長(又は単一波数)に対して規定さ
れ,必要に応じて,次のとおりに扱う。
入射角θが明示されていない場合,入射角は0°とする。
特殊用途の場合,一つの入射角ではなく,入射角の幅θ1〜θ2を用いる。
入射角θが0°でない場合又は入射角の幅が与えられている場合で,s偏光及びp偏光ともに定義されてい
ないときには,非偏光とする。
b) 矢印“→”は,許容限界がλiでの値ZLiから,λi+1での値ZLi+1へ(λiでの値ZUiから,λi+1での値ZUi+1へ)線
形で変化することを意味する。
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表2−数値の例
略号a)
分光光学特性(数値による規定)
AB
0.75→0.60<α(500 nm〜600 nm)<0.90→0.75
RE
ρ(400 nm〜700 nm)>0.98
ρave(400 nm〜700 nm)≧0.995
FI-BP
0.85≦τ(535 nm〜565 nm)≦0.95
τ(400 nm〜515 nm)≦0.05
τ(585 nm〜720 nm)≦0.15
PC
89°≦ΔΦ(10.6 μm, 45°)≦91°
ρ(10.6 μm, 45°)>0.97
PO
ρs(450 nm〜650 nm, 45°)>0.95
ρp(450 nm〜650 nm, 45°)<0.05
注a) 略号は,JIS B 7080-1の表1による。
6.3
分光光学特性のグラフ表現に関する規定
6.3.1
分光測定での評価は,グラフの中に次の内容を示さなければならない。
a) 横軸は,特性が波長λ(単位は,nm又はμm),又は波数σ(単位はcm−1)の関数として明記される分
光領域
b) 縦軸は,個々の分光光学特性(τ,ρ,α,D又はΔΦ)の値
6.3.2
分光光学特性の中で,許容限界の上限及び/又は下限(それぞれ下付き文字U,Lで示す。)が位
置すべき場所は,グラフの中で許容幅の外側を斜線で示すことで表現できる。代わりに,三角のマーキン
グ(許容下限を▲,許容上限を▼)で許容幅の両端を示すこともできる。このマーキング方法は,特に単
一波長の許容限界に適している。平均値を示す場合には,グラフ上に,例えば,τave, L<τave(λ1〜λ2)<τave, U
などの文字で示さなければならない。
6.3.3
コーティングが複数の分光領域で使われる場合,この異なる領域での機能の評価は,同じグラフ表
現の中で行われる。必要な場合だけ,異なる尺度を使用してもよい。
6.4
主な光学機能のグラフ表現
6.4.1
一般
次に示す主な光学機能のグラフ表現は,規定及び実際の測定に使用しなければならない。可能ならば,
規定及び測定の上限,下限及び/又は平均の値を一つのグラフ表現にまとめるのがよい。図1〜図11に記
載した曲線,限界及び数値は,あくまでも図解の例である。これらを代表値又は標準値及び限界としては
ならない。
6.4.2
反射機能(RE)
反射機能は,分光反射率の下限許容限界ρLによって評価する。上限許容限界ρUは,必要に応じて表示
することが望ましい。
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一般指定:
RE ρ(λ2i−1〜λ2i, θ)>ρi, …; i=1, 2, …
数値の例:
RE ρ(400 nm〜700 nm, 25°〜35°)>0.98
ρ(730 nm〜770 nm, 25°〜35°)>0.96
ρave(400 nm〜700 nm, 25°〜35°)>0.995
図1−反射機能
6.4.3
反射防止機能(AR)
反射防止機能は,分光反射率の上限許容限界ρUによって評価する。分光透過率は,下限許容限界τLと
ともに必要に応じて表示することが望ましい。
一般指定:
AR ρ(λi〜λi+1, θ)<ρi[→ρi+1], …; i=1, 2, …
数値の例:
AR ρ(410 nm〜420 nm, 0°〜30°)<0.01→0.005
ρ(420 nm〜600 nm, 0°〜30°)<0.005
ρ(600 nm〜640 nm, 0°〜30°)<0.005→0.015
ρ(905 nm, 0°〜30°)<0.01
図2−反射防止機能
6.4.4
ビームスプリット機能(BS)
ビームスプリット機能は,分光透過率及び分光反射率の上限及び下限許容限界(τU,τL,ρU,ρL)によっ
て評価する。二つの表現は,別々のグラフで表示してもよい。
一般指定:
BS τLi<τ(λ2i−1〜λ2i, θ)<τUi, …,
ρLi<ρ(λ2i−1〜λ2i, θ)<ρUi, …; i=1, 2, …
数値の例:
BS 0.25<τ(400 nm〜700 nm, 40°〜50°)<0.35
0.45<τ(905 nm, 40°〜50°)<0.55
0.65<ρ(400 nm〜700 nm, 40°〜50°)<0.75
図3−ビームスプリット機能
6.4.5
減衰機能(AT)
減衰機能は,分光透過率の上限及び下限許容限界(τU,τL),又は光学濃度の上限及び下限許容限界(DU,
DL)によって評価する。
注記 分光光学濃度は,分光透過率との間に式D(λ)=−log τ(λ)の関係がある。
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一般指定:
AT DLi<D(λ2i−1〜λ2i, θ)<DUi, …; i=1, 2, …
数値の例:
AT D(400 nm〜700 nm, 5°)<0.1
3.0<D(905 nm, 5°)<0.35
図4−減衰機能
6.4.6
フィルタ機能(FI)
フィルタ機能は,次の二つの異なるグループに細分化する。
a) バンドパス形のフィルタ機能(FI-BP) バンドパス形のフィルタ機能は,透過帯における分光透過率
の上限及び下限許容限界(τU,τL),並びに阻止帯における分光透過率の上限許容限界(τUi)によって
評価する。
一般指定:
FI-BP τL<τ(λ1〜λ2, θ)<τU
τ(λ2i+1〜λ2i+2, θ)<τUi, …; i=1, 2, …
数値の例:
FI-BP 0.85<τ(535 nm〜565 nm, 0°〜5°)<0.95
τ(400 nm〜515 nm, 0°〜5°)<0.1
τ(585 nm〜700 nm, 0°〜5°)<0.15
図5−バンドパス形のフィルタ機能
注記 分光光学特性の評価は,必要な場合に限り附属書Aに規定する追加条件及び定義を用いて拡張
してもよい。
b) バンド阻止形のフィルタ機能(FI-BR) バンド阻止形のフィルタ機能は,阻止帯における分光透過率
の上限及び下限許容限界(τU,τL),並びに透過帯における分光透過率の下限許容限界(τLi)によって
評価する。
一般指定:
FI-BR τL<τ(λ1〜λ2, θ)<τU
τLi<τ(λ2i+1〜λ2i+2, θ)…; i=1, 2, …
数値の例:
FI-BR 0.05<τ(535 nm〜565 nm)<0.15
τ(400 nm〜515 nm)>0.90
τ(585 nm〜700 nm)>0.85
図6−バンド阻止形のフィルタ機能
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6.4.7
波長選択又は波長結合機能(SC)
波長選択機能は,次の二つの異なるグループに細分化する。
a) ロングパス形の波長選択機能(SC-LP) ロングパス形の波長選択機能は,長波長側の透過帯における
分光透過率の上限及び下限許容限界(τU,τL),並びに短波長側の阻止帯における分光透過率の上限許
容限界(τUi)によって評価する。
一般指定:
SC-LP τL<τ(λ1〜λ2, θ)<τU
τ(λ2i+1〜λ2i+2, θ)<τUi,…; i=1, 2, …
数値の例:
SC-LP 0.85<τ(560 nm〜700 nm, 8°)<0.95
τ(400 nm〜540 nm, 8°)<0.1
図7−ロングパス形の波長選択機能
注記 分光光学特性の評価は,必要な場合に限り附属書Aに規定する追加条件及び定義を用いて拡張
してもよい。
b) ショートパス形の波長選択機能(SC-SP) ショートパス形の波長選択機能は,短波長側の透過帯にお
ける分光透過率の上限及び下限許容限界(τU,τL),並びに長波長側の阻止帯における分光透過率の上
限許容限界(τUi)によって評価する。
一般指定:
SC-SP τL<τ(λ1〜λ2, θ)<τU
τ(λ2i+1〜λ2i+2, θ)<τUi,…; i=1, 2, …
数値の例:
SC-SP 0.85<τ(400 nm〜540 nm)<0.95
τ(560 nm〜700 nm)<0.1
図8−ショートパス形の波長選択機能
注記 分光光学特性の評価は,必要な場合に限り附属書Aに規定する追加条件及び定義を用いて拡張
してもよい。
6.4.8
偏光機能(PO)
s偏光及びp偏光に対する分光透過率の上限許容限界・下限許容限界(τsU,τsL,τpU,τpL),及び/又はs
偏光及びp偏光に対する分光反射率の上限許容限界・下限許容限界(ρsU,ρsL,ρpU,ρpL)によって評価す
る。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
一般指定:
PO τsL<τs(λ1〜λ2, θ)<τsU
τpL<τp(λ1〜λ2, θ)<τpU
ρsL<ρs(λ1〜λ2, θ)<ρsU
ρpL<ρp(λ1〜λ2, θ)<ρpU
数値の例:
PO ρs(450 nm〜650 nm, 45°〜50°)>0.95
ρp(450 nm〜650 nm, 45°〜50°)<0.05
図9−偏光機能
6.4.9
位相変化機能(PC)
位相変化機能は,位相遅延の上限及び下限許容限界(ΔΦU,ΔΦL)によって評価する。
一般指定:
PC ΔΦL<ΔΦ(λ1〜λ2, θ)<ΔΦU
数値の例:
PC 89°<ΔΦ(10.5 μm〜10.7 μm, 45°)<97°
図10−位相変化機能
6.4.10 吸収機能(AB)
吸収機能は,分光吸収率の上限及び下限許容限界(αU,αL)によって評価する。
一般指定:
AB αL2i−1[→αL2i]<α(λ2i−1〜λ2i, θ)<αU2i−1[→αU2i], …;
i=1, 2, …
数値の例:
AB 0.75→0.60<α(500 nm〜600 nm, 0°)<0.90→0.75
図11−吸収機能
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(規定)
フィルタ機能及び波長選択機能の補助用語及び定義
A.1 バンドパス形のフィルタ機能
バンドパス形のフィルタ機能は,次の条件及び定義を使うことによって追加的に評価できる(図A.1参
照)。
a) τAは,透過帯における上限及び下限許容限界の算術平均として,次の式で定義する。
2
L
U
A
τ
τ
τ
+
=
b) τMは,測定された透過帯における分光透過率の最大値である。
c) λMは,分光透過率がτMとなる波長である。
次のd)〜n) の条件及び定義では,τA又はτMのどちらを用いたかを明記する必要がある。上付き記号 '
は,バンドパスの短波長側を,上付き記号 ''は,長波長側を意味する。
d) λ'0.5及びλ''0.5(エッジ波長λ'E及びλ''E)は,分光透過率が0.5τA又は0.5τMとなる波長である。
e) Δλ0.5(半値全幅,FWHM: full width at half maximum)は,Δλ0.5=λ''0.5−λ'0.5で定義するバンド幅である。
f) λC(中心波長)は,λ'0.5及びλ''0.5の算術平均である。
g) λ'0.8及びλ''0.8は,分光透過率が0.8τA又は0.8τMとなる波長である。
h) Δλ0.8は,Δλ0.8=λ''0.8−λ'0.8で定義するバンド幅である。
i)
λ'0.05及びλ''0.05は,分光透過率が0.05τA又は0.05τMとなる波長である。
j)
Δλ0.05は,Δλ0.05=λ''0.05−λ'0.05で定義するバンド幅である。
k) S'A又はS'M,及びS''A又はS''Mは,エッジの傾斜で,次の式で定義する。
A
05
.0
A
8.0
A
A
A
05
.0
8.0
λ'
λ'
τ
τ
S'
−
−
=
又は
M
05
.0
M
8.0
M
M
M
05
.0
8.0
λ'
λ'
τ
τ
S'
−
−
=
A
8.0
A
05
.0
A
A
A
05
.0
8.0
λ''
λ''
τ
τ
S''
−
−
=
又は
M
8.0
M
05
.0
M
M
M
05
.0
8.0
λ"
λ"
τ
τ
S"
−
−
=
l)
λ'(0.05)及びλ''(0.05)は,分光透過率の絶対値が0.05となる波長である。
m) Γ'A又はΓ'M,及びΓ''A又はΓ''Mは%で表される相対変化幅で,次の式で定義する。
100
)
05
.0(
)
05
.0(
0.8A
A
×
−
=
λ'
'λ
λ'
Γ'
又は
100
)
05
.0(
)
05
.0(
0.8M
M
×
−
=
λ'
'λ
λ'
Γ'
100
)
05
.0(
)
05
.0(
0.8A
A
×
−
=
λ"
λ"
"
λ
Γ"
又は
100
)
05
.0(
)
05
.0(
0.8M
M
×
−
=
λ"
λ"
"
λ
Γ"
注記 この規格が制定される以前までは,上記の定義の代わりに,傾斜(Slope)又は%傾斜(%Slope)
が使われてきた。しかし,これらの呼び方を使用すると,フィルタの分光位置に関する阻止
帯及び透過帯の波長幅の尺度という,式の正しい意味を誤解する可能性がある。この値が小
さくなるほど,フィルタの透過率曲線は急傾斜になる。
n) 短波長及び長波長の阻止帯は,6.4.6 a) の定義による。
注記 τAを除く全ての項目を,それらの許容値とともに,バンドパス形のフィルタ機能の評価に使用
する。
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図A.1−フィルタ機能(バンドパス形,τMを用いた。)
A.2 ロングパス形及びショートパス形の波長選択機能
ロングパス形及びショートパス形の波長選択機能は,次の条件及び定義を使うことによって追加的に評
価できる(図A.2参照)。
a) τAは,透過帯における上限及び下限許容限界の算術平均として,次の式で定義する。
2
L
U
A
τ
τ
τ
+
=
b) τMは,測定された透過帯における分光透過率の最大値である。
次のc)〜i) の条件及び定義では,τA又はτMのどちらを使用したかを明記する必要がある。
c) λ0.5(エッジ波長λE)は,分光透過率が0.5τA又は0.5τMとなる波長である。
d) λ0.8は,分光透過率が0.8τA又は0.8τMとなる波長である。
e) λ0.05は,分光透過率が0.05τA又は0.05τMとなる波長である。
f) SA又はSMは,エッジの傾斜であり,次の式で定義する。
A
05
.0
A
8.0
A
A
A
05
.0
8.0
λ
λ
τ
τ
S
−
−
=
又は
M
05
.0
M
8.0
M
M
M
05
.0
8.0
λ
λ
τ
τ
S
−
−
=
g) λ(0.05)は,分光透過率の絶対値が0.05となる波長である。
h) ΓA又はΓMは,%で表される相対変化幅であり,次の式で定義する。
100
)
05
.0(
)
05
.0(
0.8A
A
×
−
=
λ
λ
λ
Γ
又は
100
)
05
.0(
)
05
.0(
0.8M
M
×
−
=
λ
λ
λ
Γ
注記 この規格が制定される以前までは,上記の定義の代わりに,傾斜(Slope)又は%傾斜(%Slope)
が使われてきた。しかし,これらの呼び方を使用すると,フィルタの分光位置に関する阻止
帯及び透過帯の波長幅の尺度という,式の正しい意味を誤解する可能性がある。この値が小
10
B 7080-2:2015 (ISO 9211-2:2010)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
さくなるほど,フィルタの透過率曲線は急傾斜になる。
i)
阻止帯は,6.4.7 a) 又は6.4.7 b) の定義による。
注記
A
τを除く全ての項目を,それらの許容値とともに,ロングパス形及びショートパス形の波長選
択機能の評価に使用する。
図A.2−波長選択機能(ロングパス形の例,τAを用いた。)