B 7026:2012
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 時計の電池寿命の求め方 ···································································································· 2
4.1 一般 ···························································································································· 2
4.2 計算式を用いる方法 ······································································································· 3
4.3 理論上の電池寿命(LT) ································································································· 3
4.4 計算式を用いない方法 ···································································································· 3
5 表示方法························································································································· 3
5.1 時計の電池寿命の表示 ···································································································· 3
5.2 付加機能の使用条件の表示 ······························································································ 4
附属書A(規定)自己放電電流 ······························································································· 5
附属書JA(規定)電池の自己放電が定量的であるとの条件の場合の計算方法 ·································· 6
附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 7
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
時計協会(JCWA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正す
べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS B 7026:1997は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格
JIS
B 7026:2012
時計−電池寿命の表示
Methods of evaluation of the battery life of a battery-powered watch
序文
この規格は,2009年に第2版として発行されたISO 12819を基に,一次電池の自己放電量を定率的(電
池の残存容量に比例して進行する)とする考え方が主体になるように変更して作成した日本工業規格であ
る。この規格は,対応国際規格の附属書Bを4.2.1に移し,対応国際規格の本体を,附属書JAに移した。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。
1
適用範囲
この規格は,一次電池を動力源とする時計の電池寿命の表示を行う場合の,電池寿命の求め方及び表示
方法について規定する。
この規格は,製造業者又は販売業者が時計の電池寿命を適正に表示するための指針となるものであり,
次の時計については適用しない。
a) タイマー,ストップウオッチなどの特定用途のもの。
b) 他の製品に組み込まれた時計。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 12819:2009,Methods of evaluation of the battery life of a battery-powered watch(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7010 時計部品名称
JIS C 8515 一次電池個別製品仕様
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 7010及びJIS C 8515によるほか,次による。
3.1
時計の電池寿命,L(battery life)
所定の電池を時計に組み込み駆動を開始してから,標準使用状態において時計が停止又は時刻表示が判
読不可能となるまでの期間。
2
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注記 付加機能を作動したことによって,時計が停止又は時刻表示が判読不可能となる場合,及び付
加機能が作動しない場合も含める。
3.2
標準的使用状態
大多数の使用者が日常使用する状態。付加機能の使用条件は,5.2に規定する表示の範囲とする。
3.3
時計の電池寿命の平均値,▔▔L(practical battery life)
時計及び電池の試験データから推定する時計の電池寿命の分布の平均値。
3.4
時計の電池寿命の最低値,Lmin(minimum battery life)
電池により作動する時計の99.7 %が作動し続ける時計の電池寿命の最低値。
3.5
理論上の電池寿命,LT(theoretical battery life)
電池の自己放電が全くないと想定した電池寿命。
3.6
ムーブメントの平均消費電流,Im(mean current consumed)
水晶振動子,集積回路,ステップモーター,液晶パネルなどが定常的に消費する電流で,全ての付加機
能を除いた一日の時刻表示に消費された電流の平均値。
3.7
付加機能の平均消費電流,If(current consumption of additional function)
付加機能の作動における平均消費電流。
3.8
所定の電池
時計の製造業者又は販売業者が取扱説明書などで指定した未使用の電池で,直射日光及び高温多湿を避
け,室温(10〜25 ℃)で保存されたもの。
3.9
電池容量,C(capacity of the battery)
使い始めから使い終わるまでに電池から取り出し放電する電気の総量で,電池製造業者と時計製造業者
との協定によって決定されたもの。
3.10
電池の自己放電(self-discharge current)
外部回路に電流が取り出されることなく電池の容量が減少する現象。
注記 電池は,保存中に自己放電を起こし容量を失っていく。
4
時計の電池寿命の求め方
4.1
一般
時計の電池寿命は,時計に組み込んだ電池の容量・自己放電率,時計の消費電流,付加機能の使用頻度
によって定まる。電池寿命を決定するこれらのパラメータの値は,個々の時計,電池及び使用者ごとにば
らつく。電池の容量・自己放電率の値は,破壊試験によって求める。このため,時計に組み込んだ電池自
体のこれらの値を直接求めることはできず,同じ形式の電池の試験データから推定することになる。した
3
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がって,次の方法によって時計及び電池の試験データから,時計の電池寿命の平均値を推定する。
4.2
計算式を用いる方法
4.2.1
電池の自己放電は定率的であるとの条件の場合の計算方法
時計の電池寿命を計算によって求める場合は,時計及び電池の個々のパラメータの値の平均値を求め,
次の式(1)によって時計の電池寿命の平均値▔▔Lを求める。
(
)
∆
∑
1
76
.8
)
5.0
(
ln
1
f
m
s+
+
−
=
I
I
C
C
L
β
β
························································ (1)
ここに,
▔▔L: 時計の電池寿命の平均値(年)
C: 電池容量(mAh)
Im: ムーブメントの平均消費電流(μA)
If: 付加機能の平均消費電流(µA)
β: 自己放電の比例係数
ΔCs: 1年当たりの自己放電電流(mAh)
C−0.5・ΔCs: 電池0.5年(6か月)保管後の電池容量
1年当たりの自己放電電流(ΔCs)は,電池製造業者から与えられる。
自己放電電流の情報のない場合は,附属書Aによる。
付加機能の平均消費電流(If)は,次の式(2)によって求める。
400
86
f
f
t
i
I =
(μA) ···································································· (2)
ここに,
if: 付加機能作動時の消費電流(μA)
t: 1日当たりの付加機能作動時間(秒)
ここに,βは自己放電の比例係数で,次の式(3)によって求める。
n′
)
1(
ln
α
β
−
=−
·········································································· (3)
ここに,
n': 自己放電率αを求めた年数
α: n'年間の自己放電率の平均値
上記の各パラメータは,温度23 ℃±3 ℃,湿度65 %±5 %における値とする。
4.2.2
電池の自己放電は定量的であるとの条件の場合の計算方法
時計の電池の自己放電は定量的であり,電池容量の減少も一定であるとの条件で電池寿命を求める方法
については,附属書JAで示す。
4.3
理論上の電池寿命(LT)
電池の自己放電が全くない場合の理論上の電池寿命は,次の式(4)によって求める。
(
)
∑
f
m
T
76
.8
I
I
C
L
+
=
································································· (4)
4.4
計算式を用いない方法
実際の時計を使った試験データによって時計の電池寿命の平均値を推定する。
5
表示方法
5.1
時計の電池寿命の表示
式(5)及び式(6)の条件を満足する場合,時計の電池寿命“約n年”と表示する。nは,1,1.5,2,2.5,
4
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又は3以上の整数とする。ただし,n<2の場合は,時計の電池寿命“約○か月”と月単位で表示してもよ
い。
▔▔L≧n ······················································································· (5)
Lmin≧0.9n,n=1の場合 Lmin≧1 ··················································· (6)
ここに,
n: 時計の電池寿命表示値(年)
5.2
付加機能の使用条件の表示
使用頻度によって時計の電池寿命に影響を及ぼす付加機能の作動時間は,取扱説明書に表示する。ただ
し,別電源によって作動する付加機能は除く。
5
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附属書A
(規定)
自己放電電流
A.1 一般
保存時における自己放電電流を求める場合において,電池製造業者からΔCsの情報のない場合,及び使
用中における平均的な自己放電電流を求める場合の,係数Kの情報が電池製造業者から与えられない場合
は,次の値を使用する。
A.2 値ΔCs
保存時における自己放電電流Ias=ΔCs/8.76(μA)を求める場合において,値ΔCsの情報がない場合は次
の値を使用する。
ΔCs=0.05C 酸化銀電池
ΔCs=0.02C リチウム電池
ここに,
C: 電池容量(mAh)
A.3 値K
使用中の平均的な自己放電電流Iad=K・Ias(μA)を求める場合において,値Kの情報がない場合は,次
の値を使用する。
K=1 未使用の時計又は23 ℃以下で保存されている時計の場合
K=2 使用中の時計すなわち28 ℃〜30 ℃の温度になったことのある時計の場合
6
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附属書JA
(規定)
電池の自己放電が定量的であるとの条件の場合の計算方法
JA.1 適用範囲
この附属書は,電池の自己放電が定量的であり,電池の残存容量に関係なく電池容量の減少も常に一定
の割合で進行していくとの条件で電池寿命を求める方法について規定する。
JA.2 計算方法
時計の電池寿命の平均値を求める計算式は,次による。
(
)
∑
∆
f
ad
m
s
76
.8
)
(
I
I
I
C
n
C
L
+
+
−
=
ここに,
▔▔L: 時計の電池寿命の平均値(年)
C: 電池容量(mAh)
Im: ムーブメントの平均消費電流(μA)
If: 付加機能の平均消費電流(μA)
Iad: 使用中の平均的な自己放電電流(μA)
n: 時計組込み前の電池保管期間で,年で表す。
上記の各パラメータは,温度28 ℃±2 ℃,湿度50 %±10 %における値とする。
JA.3 計算条件
計算に伴うそれぞれの値は,次による。
a) 使用中の平均的な自己放電電流(Iad)は,次の式によって求める。
Iad=K・Ias(µA)
値Kは,電池の種類,サイズ,温度などの使用条件で決まり,通常,電池製造業者から提供される
が,電池製造業者からの情報がない場合は,附属書Aに記載された値を使用する。
b) 保存時における自己放電電流(Ias)は,次の式によって求める。
Iasは,保存時における自己放電電流を表す。
8.76
s
as
C
I
∆
=
(μA)
ここに,8.76は,年間の時間数(8 760時間)とmAからμAへの換算値(1 000)との比である。
また,ΔCsは1年当たりの自己放電電流で,電池製造業者から与えられ,ミリアンペアアワー(mAh)
で表すが,情報のない場合は附属書Aの値を使用する。
附属書JB
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS B 7026 :2012 時計−電池寿命の表示
ISO 12819:2009 Methods of evaluation of the battery life of a battery-powered
watch
(I)JISの規定
(II)
国際規格番
号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1適用範
囲
時計の電池寿命の
求め方及び表示方
法について規定
1
JISとほぼ同じ
変更
附属書JAに,ISO規格の計算方法
を追加規定したので技術的差異は
ない。
なお,JISでは,特殊な用途のも
のには適用しない。
2引用規
格
2
3 用語及
び定義
3
追加
技術的差異はない。
ISO規格の3.3の電池の自己放電
がない場合の理論上の電池寿命の
定義は,JISでは4.3に記載した。
4時計の
電池寿命
の求め方
4.1 一般
追加
JISとISO規格とで,本体と附属
書とで規定を入れ替えた。
ISO規格で規定した電池寿命を決
定する式を導く過程を削除した。
また,記号の違いはある。環境条
件を日本の実情に合わせた。技術
的差異はない。
4.2.1 自己放電が定
率的な場合
B.4 方法II
温度(28±2 ℃)
湿度(50±10 %)
変更
4.2.2 自己放電が定
量的な場合
(附属書JA)
6
一致
4.3理論上の電池寿
命
6.2
一致
4.4 計算式を用い
ない方法
追加
技術的差異はない。
ISO規格に追加する考えは
ない。
2
B
7
0
2
6
:
2
0
1
2
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格番
号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5表示方
法
5.1 時計の電池寿
命の表示
7
B.2
JISにほぼ同じ
追加
1年寿命は99.7 %以上が1年以上
もつように規定した。
B.1は,規定でなくJISには記載し
ていない。
ISO規格の定期見直しで追
加申し入れをする。
5.2付加機能の使用
条件の表示
5.4
A.4 表A.1
変更
ISO規格の表A.1で規定している
付加機能使用条件を参考にして,
JISでは取扱説明書に,使用条件を
明記することとした。
技術的差異はない。
附属書A
(規定)
附属書A
削除
表A.1を削除。上に同じ。
附属書JA
(規定)
電池の自己放電が
定量的であるとの
条件の場合の計算
方法
6
5.3.1
5.3.2
4.4
一致
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 12819:2009,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致……………… 技術的差異がない。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
2
B
7
0
2
6
:
2
0
1
2
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。