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B 6912 : 2002  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本金属熱処理工

業会 (HTTAJ) /財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと

の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これに

よってJIS B 6912 : 1996は改正され,この規格に置き換えられる。 

今回の改正では,加工材料,加工方法などが改正され,新たに加工の種類及び記号,熱処理油などに対

する環境の保全,附属書(規定)鉄系焼結材料の履歴,加工品の品質及び試験方法が規定された。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS B 6912には,次に示す附属書がある。 

附属書(規定) 鉄系焼結材料の履歴,加工品の品質及び試験方法 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 6912 : 2002 

鉄鋼の高周波焼入焼戻し加工 

Process of induction hardening and tempering of iron and steel 

1. 適用範囲 この規格は,鉄鋼の高周波焼入焼戻し加工又は高周波焼入れ加工(以下,加工という。)に

ついて規定する。 

2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成

する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 6905によるほか,次による。 

a) 高周波焼入焼戻し 鉄鋼製品の表面全体又は部分の表面硬化を目的として,誘導加熱によってAc3点

又はAc1点以上の適切な温度に加熱した後,適切な冷却剤で冷却し(焼入れ),更に硬さを調節し,じ

ん(靭)性を増すために,Ac1点以下の適切な温度に通常の焼戻炉中で加熱した後,冷却する(焼戻

し)処理。焼戻しは高周波焼戻しも含む。 

b) 加工材料 加工の対象となる部品及び材料であって,部品とは,機械器具,ジグ,装置又はそれらの

部品で,ほぼ完成若しくはそれに近い状態の鉄鋼製品。材料とは,圧延,鋳造,鍛造などによる鉄鋼

材料及び半成品。 

c) 加工品 加工材料につき,この規格による加工を終了したもの。 

d) 変形 加工材料に対する加工品の形状又は寸法の狂い。変形のうち,長手方向に対して直角方向の狂

いを曲がりという。狂いは各方向についてそれぞれの最大値で示す。 

e) 単体 1個又は一組の加工品。 

4. 加工の種類及び記号 加工の種類及び記号は,加工の方法によって,表1のとおりとする。 

表1 加工の種類及び記号 

加工の種類 

記号(1) 

高周波焼入焼戻し(2) 
高周波焼入れ・高周波焼戻し 
高周波焼入れ 

HQI-HT 
HQI-HTI 
HQI 

注(1) 記号は,JIS B 0122に準拠する。 

(2) 焼戻炉による通常の焼戻しをいう。 

5. 加工材料 

5.1 

加工材料の種類 加工材料の種類は,表2に規定するもの,又は加工品の品質が,8.及び附属書の

5.の規定に適合するものでなければならない。 

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B 6912 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 加工材料の種類 

規格番号 

種類の記号 

a) 機械構造用炭素鋼・合金鋼 

JIS G 4051 S20C, S22C, S25C, S28C, S30C, S33C, S35C, S38C, S40C, S43C, 

S45C, S48C, S50C, S53C, S55C, S58C 

JIS G 4052 SMn433H, SMn438H, SMn443H 

 SMnC443H 
 SCr430H, SCr435H, SCr440H 
 SCM435H, SCM440H, SCM445H 
 SNC631H 

JIS G 4102 SNC236, SNC631, SNC836 
JIS G 4103 SNCM240, SNCM431, SNCM439, SNCM447, SNCM625, SNCM630 
JIS G 4104 SCr430, SCr435, SCr440, SCr445 
JIS G 4105 SCM430, SCM432, SCM435, SCM440, SCM445 
JIS G 4106 SMn433, SMn438, SMn443 

SMnC443 

b) 特殊用途鋼 

JIS G 4303 SUS403, SUS420J1, SUS420J2 

JIS G 4311 SUH1, SUH3, SUH4 

JIS G 4401 SK1, SK2, SK3, SK4, SK5, SK6, SK7 
JIS G 4404 SKS2, SKS5, SKS51, SKS4, SKS41, SKS43, SKS44, SKS3, SKS31 
JIS G 4410 SKC3, SKC11, SKC24, SKC31 
JIS G 4801 SUP3, SUP6, SUP7, SUP9, SUP9A, SUP10, SUP11A 
JIS G 4805 SUJ1, SUJ2, SUJ3, SUJ4, SUJ5 

c) 鋳鍛造品 

JIS G 3201 SF440A, SF490A, SF540A, SF590A, SF540B, SF590B, SF640B 
JIS G 5101 SC410, SC450, SC480 

JIS G 5111 SCC3, SCC5 

SCMn1, SCMn2, SCMn3, SCMn5 

SCSiMn2 

SCMnCr2, SCMnCr3, SCMnCr4 

SCMnM3 

SCCrM1, SCCrM3 

SCMnCrM2, SCMnCrM3 

SCNCrM2 

JIS G 5121 SCS2 
JIS G 5501 FC200, FC250, FC300, FC350 
JIS G 5502 FCD400, FCD450, FCD500, FCD600, FCD700, FCD800 
JIS G 5704 FCMP440, FCMP490, FCMP540, FCMP590, FCMP690 

d) 機械構造部品用焼結材料 

JIS Z 2550 SMF4030, SMF4040, SMF5030 

5.2 

加工材料の履歴 加工材料の履歴については,表3の項目が明らかにされたものでなければならな

い。 

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表3 加工材料の履歴 

項目 

備考 

a) 加工材料の材料試験成績 

加工材料の種類 

化学成分(3) 

溶鋼番号(3) 

引張試験成績(3) 

硬さ試験成績(3) 

焼入性試験成績(3) 

金属組織試験成績(3) 

結晶粒度,脱炭層,非金属介在物,ミクロ組織及びマクロ組織 

焼結密度試験成績(3) 

b) 加工材料の製造方法の区別 

鋳造 

焼結(4) 

鍛造 

熱間,冷間の区別を含む。 

圧延 

熱間,冷間の区別を含む。 

押出し 

熱間,冷間の区別を含む。 

プレス加工 

熱間,冷間の区別を含む。 

引抜き 

熱間,冷間の区別を含む。 

転造 

熱間,冷間の区別を含む。 

圧入 

熱間,冷間の区別を含む。 

焼ばめ 

溶接 

肉盛り修正を含む。 

機械加工 

c) 加工材料の前処理の有無及び方法の区別 

必要なときは,加熱温度,保持時間及び冷却方法も明らかにす
る。 

焼ならし 
鍛造焼入れ 
完全焼なまし 
球状化焼なまし 
応力除去焼なまし 
焼入焼戻し 
浸炭(5) 
軟窒化(5) 

d) 加工材料の表面仕上げ条件及び矯正の度合い(3) 

切削方法及びその条件 

矯正の度合い 

熱間,冷間の区別を含む。 

注(3) 加工に支障がないときは,省略してもよい。 

(4) 鉄系焼結材料については,附属書(規定)による。 
(5) 浸炭焼入焼戻し,浸炭窒化焼入焼戻しも含む。 

5.3 

加工材料の外観,形状及び寸法 加工材料の外観,質量,形状,寸法などについては,表4の項目

が明らかにされたものでなければならない。 

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表4 加工材料の外観,形状及び寸法 

項目 

備考 

a) 加工材料の外観 

割れ,きず,さび,黒皮など。 

b) 加工材料の質量(3) 

c) 加工材料の形状(3) 

特異形状 

肉厚の不同 

穴部の形状と位置 

d) 加工材料の寸法と精度(3) 

寸法 

加工の範囲 

全体の加工代 

加工の範囲の表面粗さ 

寸法精度 

形状偏差(6) 

(参考) 形状偏差とは,真直度,平面度,真円度,円筒度,線の輪郭 
     度及び面の輪郭度をいう。 

姿勢偏差(6) 

(参考) 姿勢偏差とは,平行度,直角度及び傾斜度をいう。 

位置偏差(6) 

(参考) 位置偏差とは,位置度,同軸度,同心度及び対称度をいう。 

e) 加工材料のブラスト仕上げ 

サンドブラスト 

ショットブラスト 

f) 防せい(錆)油の種類(3) 

注(6) 各偏差の定義は,JIS B 0621による。 

5.4 

加工材料の確認 加工材料の受入れに際しては,5.1〜5.3に規定する加工に必要な項目を,受渡当事

者間で確認し,必要があれば,JIS G 0565,JIS G 0566及びJIS Z 2343による方法,その他適切な方法に

よって,加工材料の品質を明らかにしなければならない。 

6. 加工設備 

6.1 

誘導加熱装置 高周波焼入れに使用する誘導加熱装置は,次による。 

a) 高周波発振装置は,電動発電機式,真空管式,サイリスタ式,トランジスタ式などの種類の別を問わ

ず,常用の作業条件で,加熱目的に適した出力及び周波数を発生できるもので,出力側又は入力側に

制御装置をもち,設定された電圧又は電力の変動は,定常状態において,表5の精度に制御できる設

備でなければならない。 

b) 加熱時間を制御できる時限装置(7)をもち,表6に規定する総合精度に,保持又は調整できなければな

らない。 

注(7) 時限装置とは,タイマ,開閉器などを含む装置全体をいう。 

参考 誘導加熱装置は,効率の高い装置であることが望ましい。 

表5 高周波発振装置の精度 

単位 % 

高周波発振装置の種類 

精度 

電圧 

電力 

電動発電機式,真空管式,その他 

±2.5 

±5 

サイリスタ式,トランジスタ式 

±2 

±4 

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表6 時限装置の総合精度 

単位 s 

時間範囲 

総合精度 

1以下 

0.1 

1を超えるもの 

0.15 

6.2 

冷却装置 冷却装置は,次による。 

a) 冷却剤の種類は,加工材料の種類,形状,寸法によって,水,熱処理油(8),水溶液焼入剤などとし,

各冷却系ごとに,焼入れに必要な量の冷却剤を,表7の使用温度許容値に保持し供給できなければな

らない。 

注(8) JIS K 2242の1種1号若しくは1種2号又はこれと同等以上の品質とする。 

表7 冷却剤の使用温度許容値 

単位 ℃ 

冷却剤 

水 

熱処理油 

水溶液焼入剤 

使用温度許容値 

目的温度±10 

目的温度±20 

目的温度±10 

b) 冷却剤の圧力及び流量は,常用の作業条件において,加工材料の冷却に著しい差異を生じないように

調整できなければならない。また,浸せき冷却の場合は,冷却剤を適切な流速でかくはんすることが

できなければならない。 

c) 冷却装置は,所定どおり冷却時間を制御できる時限装置をもち,かつ,冷却開始のリレー作動後速や

かに冷却を開始するものとし,焼入成績に著しい影響を与えてはならない。 

6.3 

焼入機械 焼入機械は,定置焼入機械,移動焼入機械,その他加工部の形状に適したものを使用し,

表8に規定する精度に,保持又は調整できなければならない。 

備考 高周波焼戻機械は,焼入機械に準じる。 

表8 焼入機械の精度 

項目 

精度 

軸心の振れ 
面の振れ(9) 
移動速度(mm/s)の変動範囲(10) 

0.5mm 
0.3mm 

±5% 

注(9) 直径300mm以上の円板を装着して,半径150mmの

ところで,円板上の面の振れを測定した場合とす
る。 

(10) 直径50mm,長さ500mmの丸棒を装着して測定し

た場合とする。ただし,長さ500mmの試験片が装
着できない機械であるときは,これに準じた試験
片による。 

6.4 

焼戻加熱設備 

a) 通常の焼戻しに使用する焼戻加熱設備(焼戻炉)は,次による。 

b) 加熱設備は,熱源の種類,熱浴使用の有無,作業形式の連続・非連続の別を問わず,JIS B 6901に規

定する有効加熱帯内で加工材料を加熱するとき,加工の目的のための保持温度が,目的温度に対し,

表9の許容範囲に保持又は調整できなければならない。 

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表9 焼戻炉の温度許容値 

単位 ℃ 

目的温度 

加工品の品質の区分 

1号 

2号 

400以下 

±10 

±15 

400を超えるもの 

±15 

±20 

c) 加熱炉又は熱浴槽内における加熱帯ごとに,加工工程中の加工温度を追跡表示できる自動温度記録装

置をもたなければならない。 

d) 熱電温度測定設備(11)の指示計器に表される温度指示総合誤差は,加工に必要な指示目盛範囲において

表示計器の読みを補正した後,表10の規定に適合しなければならない。 

注(11) 熱電温度測定設備とは,検出器,伝送器,表示計器及び調節器からなる一連の組み合わせた設

備をいう。 

表10 熱電温度測定設備の温度指示総合誤差 

単位 ℃ 

設定温度 T 

温度指示総合誤差 

400以下 

±4 

400を超えるもの 

±100

e) 高周波焼戻しに使用する誘導加熱装置は,6.1による。 

6.5 

設備の保全 加工設備は,6.1〜6.4に規定するそれぞれの許容範囲の性能を保持できるように適切な

方法で管理し,その記録を保有しなければならない。 

7. 加工方法 

7.1 

加工方法の設定 加工に際しては,加工材料及び目的とする加工品の品質に応じて使用する加工設

備,誘導子(コイル)の確認,及び加工材料の装着,高周波焼入れ,通常の焼戻し・高周波焼戻しの作業

方法,並びに作業条件,加工後の処理など,必要とする加工方法は,次による。 

a) 誘導子の確認 冷却環及びジグの点検,誘導子の変形,破損及びコアの状態などを確認する。冷却環

の水穴を点検清掃し,ジグの作動が正常に行われるかを確認する。 

b) 加工材料の装着 加工材料と誘導子との相対位置を常に正しく保持できるように装着する。特に,偏

心及び傾斜に注意し,加熱温度及び冷却速度がほぼ均一で,かつ,加工材料が局部加熱されることに

よって起こる膨張や,変形のために誘導子と加工材料との間に放電接触その他の支障が発生しないよ

うにする。 

c) 加工材料の焼入加熱及び冷却 焼入れの加熱に際しては,設定した条件,特に出力変成器の巻線比を

正確に設定し,加熱時間を確認する。冷却に際しては,冷却剤の種類,温度,濃度,流量,圧力,冷

却時間などを確認する。 

なお,必要があれば,加工品が変形しないよう適切な方法で,加工材料を押さえる。 

d) 加工材料の焼戻加熱及び冷却 焼戻加熱及び冷却に際しては,加熱及び冷却の条件を確認し,割れ,

変形その他の欠陥を発生しないように焼入れ後,速やかに焼戻しを行う。 

e) 加工後の処理 加工後,必要によって,曲がりを矯正する場合は,矯正による加工品の残留応力が,

以後の機械加工及び使用上,支障を生じない程度とし,必要なときには応力除去焼なましを行う。 

備考1. 加工品の使用目的によっては,焼戻しを省略することがある。 

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2. 焼戻しを省略する場合,又は高周波焼戻しを行う場合には,割れなど加工品の品質に有害な

欠陥が生じないように,加工材料・形状・加工条件などを考慮して,加工しなければならな

い。 

7.2 

加工方法の記録 加工工程の作業方法及び作業条件のうち,必要事項を記録して,保持し,必要な

ときには受渡当事者間で確認する。焼戻しを省略する場合は,このことを記録しなければならない。 

8. 加工品の品質(3) 

8.1 

外観 外観は,9.1の規定によって試験したとき,加工品の表面に,割れ,有害なきずなどの欠陥が

あってはならない。 

8.2 

表面硬さのばらつき 表面硬さのばらつきは,9.2の規定によって試験したとき,表11,表12又は

表13の許容値を超えてはならない。この加工品の品質の区分の選定は,受渡当事者間の協定による。 

表11 表面硬さのばらつきの許容値(ビッカース硬さ又はヌープ硬さ) 

単位 HV又はHK 

加工品の品質の区分 

表面硬さのばらつき 

単体内 

同一ロット内 

500以下 500を超えるもの 500以下 500を超えるもの 

1号 

55 

85 

75 

105 

2号 

75 

105 

95 

125 

表12 表面硬さのばらつきの許容値(ロックウエルCスケール硬さ) 

単位 HRC 

加工品の 

品質の区分 

表面硬さのばらつき 

単体内 

同一ロット内 

50以下 

50を超え60以下 60を超えるもの 

50以下 

50を超え60以下 60を超えるもの 

1号 

4.5 

5.5 

2号 

5.5 

6.5 

表13 表面硬さのばらつきの許容値(ショア硬さ) 

単位 HS 

加工品の品質の区分 

表面硬さのばらつき 

単体内 

同一ロット内 

80以下 

80を超えるもの 

80以下 

80を超えるもの 

1号 

10 

2号 

10 

10 

12 

備考1. HV・HK, HRC又はHSの数値は,加工品の品質に適したそれぞれの硬さ試験

機によって測定した値で,各表中の硬さ間には直接の関連性はない。 

ビッカース硬さの試験力は,受渡当事者間の協定による。 

2. 単体内のばらつきの値は,一つの加工材料内で,同等な焼入焼戻し又は焼入

れ条件にあると考えられる形状,寸法の均一な部位で,目的とする硬化部範
囲(12)で,焼入境界部を除いた範囲における測定値とする。 

3. 同一ロットとは,同じロットの加工材料を用いて同一作業条件で加工された

と認められる加工品の一群をいう。 

注(12) 硬化部範囲については,受渡当事者間の協定による。 

8.3 

硬化層深さのばらつき(4) 硬化層深さのばらつきは,9.3の規定によって試験したとき,加工品の規

定範囲の中央値について,表14の許容値を超えてはならない。 

なお,硬化層深さは,有効硬化層深さ又は全硬化層深さのいずれかによる。 

備考 硬化部範囲のばらつきについては,受渡当事者間の協定による。 

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表14 硬化層深さのばらつきの許容値 

単位 mm 

硬化層深さ(13) 

硬化層深さのばらつき 

単体内 

同一ロット内 

有効硬化層深さ 

1.5以下 

0.2 

0.4 

1.5を超え2.5以下 

0.4 

0.6 

2.5を超え3.5以下 

0.6 

0.8 

3.5を超え5以下 

0.8 

1.0 

5を超えるもの 

1.0 

1.5 

全硬化層深さ 

1.5以下 

0.3 

0.5 

1.5を超え3以下 

0.5 

0.8 

3を超え4以下 

0.8 

1.2 

4を超え6以下 

1.2 

1.5 

6を超えるもの 

1.5 

2.0 

注(13) 加工品について,硬化層深さが,仕様による範囲で規定されている場合

は,範囲の中央値による。 

8.4 

金属組織 金属組織は,9.4の規定によって試験したとき,加工材料の種類によって,それぞれの使

用目的に適合する正常な組織であり,結晶粒度の著しい成長,表層の脱炭その他有害な欠陥があってはな

らない。 

8.5 

変形 変形は,9.5の規定によって試験したとき,加工後の機械加工及び使用上,支障を及ぼさない

範囲内になければならない。 

なお,変形の許容値については受渡当事者間の協定による。 

9. 加工品の試験方法(3) 

9.1 

外観試験 外観試験は,目視又はJIS G 0565及びJIS Z 2343のいずれかの試験方法によって行う。 

9.2 

硬さ試験 硬さ試験は,JIS B 7725,JIS B 7726,JIS B 7727及びJIS B 7734のいずれかの硬さ試験

機を用いて,JIS Z 2244,JIS Z 2245,JIS Z 2246及びJIS Z 2251のいずれかの試験方法によって行う。 

9.3 

硬化層深さ試験 硬化層深さ試験は,JIS G 0559によって行う。 

9.4 

金属組織試験 金属組織試験は,JIS G 0551,JIS G 0552及びJIS G 0558のいずれかの試験方法に

よって行う。 

なお,金属顕微鏡は,50倍以上に拡大できるもので,写真撮影装置付きのものを用いる。 

9.5 

変形の測定 変形の測定は,JIS B 7503,JIS B 7514及びJIS B 7524のいずれかの測定器又は適切な

器具を用いて測定する。 

10. 加工品の検査 加工品の検査は,外観,表面硬さのばらつき,硬化層深さのばらつき,金属組織及び

変形について行い,8.,9.並びに附属書の5.,6.の規定に適合しなければならない。 

なお,硬化層深さの検査は,加工品のロットを代表する試験片によっても差し支えない。 

備考 金属組織の検査は,受渡当事者間の協定によって,省略してもよい。 

11. 加工の呼び方 加工の呼び方は,次による。 

a) 加工の種類又は記号 

b) 加工品の品質の区分 

B 6912 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

例 高周波焼入焼戻し,品質の区分2号の場合 

高周波焼入焼戻し2号 

又はHQI-HT-2 

12. 表示 送り状(納品書を含む。)又は荷札に,次の事項を表示する。 

a) 加工の種類又は記号 

b) 加工品の品質の区分 

c) 数量又は質量 

d) 加工業者名又はその略号 

e) 加工年月日 

付表1 引用規格 

JIS B 0122 加工方法記号 

JIS B 0621 幾何偏差の定義及び表示 

JIS B 6901 金属熱処理設備−有効加熱帯及び有効処理帯試験方法 

JIS B 6905 金属製品熱処理用語 

JIS B 7503 ダイヤルゲージ 

JIS B 7514 直定規 

JIS B 7524 すきまゲージ 

JIS B 7725 ビッカース硬さ試験−試験機の検証 

JIS B 7726 ロックウェル硬さ試験−試験機の検証 

JIS B 7727 ショア硬さ試験−試験機の検証 

JIS B 7734 ヌープ硬さ試験−試験機の検証 

JIS G 0551 鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法 

JIS G 0552 鋼のフェライト結晶粒度試験方法 

JIS G 0558 鋼の脱炭層深さ測定方法 

JIS G 0559 鋼の炎焼入及び高周波焼入硬化層深さ測定方法 

JIS G 0565 鉄鋼材料の磁粉探傷試験方法及び磁粉模様の分類 

JIS G 0566 鋼の火花試験方法 

JIS G 3201 炭素鋼鍛鋼品 

JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材 

JIS G 4052 焼入性を保証した構造用鋼鋼材(H鋼) 

JIS G 4102 ニッケルクロム鋼鋼材 

JIS G 4103 ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材 

JIS G 4104 クロム鋼鋼材 

JIS G 4105 クロムモリブデン鋼鋼材 

JIS G 4106 機械構造用マンガン鋼鋼材及びマンガンクロム鋼鋼材 

JIS G 4303 ステンレス鋼棒 

JIS G 4311 耐熱鋼棒 

JIS G 4401 炭素工具鋼鋼材 

10 

B 6912 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS G 4404 合金工具鋼鋼材 

JIS G 4410 中空鋼鋼材 

JIS G 4801 ばね鋼鋼材 

JIS G 4805 高炭素クロム軸受鋼鋼材 

JIS G 5101 炭素鋼鋳鋼品 

JIS G 5111 構造用高張力炭素鋼及び低合金鋼鋳鋼品 

JIS G 5121 ステンレス鋼鋳鋼品 

JIS G 5501 ねずみ鋳鉄品 

JIS G 5502 球状黒鉛鋳鉄品 

JIS G 5704 パーライト可鍛鋳鉄品 

JIS K 2242 熱処理油 

JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法 

JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験−試験方法 

JIS Z 2246 ショア硬さ試験−試験方法 

JIS Z 2251 ヌープ硬さ試験−試験方法 

JIS Z 2343 浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類 

JIS Z 2501 焼結金属材料−密度,含油率及び開放気孔率試験方法 

JIS Z 2550 焼結金属材料−仕様 

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11 

B 6912 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書(規定) 鉄系焼結材料の履歴,加工品の品質及び試験方法 

1. 適用範囲 この附属書は,鉄系焼結材料の履歴,加工品の品質及び試験方法について,規定する。 

2. 引用規格 引用規格は,本体2.による。 

3. 定義 用語の定義は,本体3.による。 

4. 加工材料 

4.1 

加工材料の種類 加工材料の種類は,本体5.1による。 

4.2 

加工材料の履歴 加工材料の履歴については,本体5.2によるほか,次による。 

a) 焼結密度 加工材料は,焼結密度を明らかにしたものでなければならない。 

b) 気孔の大きさ及び分布状態 加工材料は,気孔の大きさ及び分布状態について,明らかにしたもので

あることが望ましい。 

c) 密度差 複雑な形状の加工材料及びサイジング・コイニングの工程を経た加工材料は,単体内におけ

る密度を明らかにすることが望ましい。 

d) 組織の均質さの度合い 加工材料は合金成分の,ミクロ的な組織の均質さの度合いを明らかにするこ

とが望ましい。 

e) 含油率 焼結材料は油脂分が付着している場合は,付着した油脂分の種類と含油率を明らかにするこ

とが望ましい。 

5. 加工品の品質 

5.1 

表面硬さのばらつき 表面硬さのばらつきは,附属書の6.1の規定によって試験したとき,附属書表

1の許容値又は受渡当事者間の協定による硬さの許容値を超えてはならない。 

附属書表1 表面硬さのばらつきの許容値(ビッカース硬さ) 

単位 HV 

加工品の品質の区分 

表面硬さのばらつき 

単体内 

同一ロット内 

1号 

150 

250 

2号 

200 

300 

備考 同一ロットとは,本体表11〜13の備考3.と同じものをい

う。 

5.2 

硬化層深さのばらつき 硬化層深さのばらつきは,有効硬化層深さを附属書の6.2の規定によって試

験したとき,目標とする深さの位置について,有効硬化層深さの限界硬さ550 HV0.1又は受渡当事者間の

協定による硬さを超えていなければならない。 

6. 加工品の試験方法 

6.1 

硬さ試験 硬さ試験は,JIS B 7725の試験機を用いて,JIS Z 2244の試験方法で行うか,又は受渡当

事者間の協定による方法で行う。 

12 

B 6912 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なお,JIS Z 2244による試験方法の詳細は,次による。 

a) 試験力 ビッカース硬さ試験に用いる測定の試験力は,0.980 7N(硬さ記号HV0.1)又は受渡当事者

間の協定による方法とする。 

なお,試験力は硬さ記号で明示する。 

b) 測定部 加工品の硬化面を研磨し,気孔部分,及び焼入れで硬化しない合金相を避けて,鉄を主成分

とする相を測定部とする。 

c) 測定値 加工品については,気孔部分及び合金相の影響を受けていると思われる測定値を除いて,5

回の測定を行い,最大値及び最小値を除いた数値の3点の平均値を測定値とする。 

6.2 

硬化層深さ試験 硬化層深さ試験は,加工品を硬化面に垂直に切断し,切断面を研磨仕上げして,

被検面として行う。試験は,JIS B 7725の試験機を用いて,JIS Z 2244の試験方法で行うか,又は受渡当

事者間の協定による方法で行う。 

なお,JIS Z 2244による試験方法の詳細は,次による。 

a) 試験力 試験力は,附属書の6.1a)による。 

b) 測定部 被検面の,硬化面から目標とする硬化層深さの位置で,気孔部分及び焼入れで硬化しない合

金相を避けて,鉄を主成分とする相を測定部とする。 

c) 測定値 複数の測定を行った中から,気孔部分及び合金相の影響を受けていると思われる測定値を取

り除き,残った測定値の平均値を目標とする硬化層深さにおける硬さとする。 

JIS B 6912 改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

金 武 典 夫 

金属技術研究所 

(幹事) 

鎌 田 正 彦 

日本電子工業株式会社 

村 上 博 充 

オリエンタルエンヂニアリング株式会社 

(委員) 

山 本 克 己 

経済産業省製造産業局産業機械課 

橋 本   進 

財団法人日本規格協会 

藤 木   栄 

東京都城南地域中小企業振興センター 

内 藤 武 志 

社団法人日本熱処理技術協会(内藤技術士事務所) 

三 宮 好 史 

社団法人日本鉄鋼連盟 

中 村 英 紀 

株式会社日立製作所 

小 高 敏 幸 

三菱重工業株式会社 

石 毛 健 吾 

石川島播磨重工業株式会社 

浜 坂 直 治 

株式会社小松製作所 

高 村 元 雄 

高周波熱錬株式会社 

巳之上 潤 二 

富士電子工業株式会社 

鈴 木 健 司 

株式会社オーネックス 

辻   隆 治 

同和鉱業株式会社 

(オブザーバ) 

穐 山 貞 治 

経済産業省産業技術環境局標準課 

(事務局) 

山 口 弘 造 

日本金属熱処理工業会 

13 

B 6912 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS B 6912 改正原案作成分科会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

金 武 典 夫 

金属技術研究所 

(幹事) 

鎌 田 正 彦 

日本電子工業株式会社 

(委員) 

小 高 敏 幸 

三菱重工業株式会社 

石 毛 健 吾 

石川島播磨重工業株式会社 

高 村 元 雄 

高周波熱錬株式会社 

巳之上 潤 二 

富士電子工業株式会社 

小 杉 文 明 

日本粉末冶金工業会(三菱マテリアル株式会社) 

(オブザーバ) 

穐 山 貞 治 

経済産業省産業技術環境局標準課 

(事務局) 

山 口 弘 造 

日本金属熱処理工業会