2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 6599-1991
スライサ−試験及び検査方法
Veneer slicers−Test and inspection methods
1. 適用範囲 この規格は,刃物取付面の長さが1 200mm以上6 000mm以下,行程が750mm以上2 200mm
以下のスライサの機能及び運転性能に関する試験方法並びに静的精度及び工作精度検査方法について規定
する。
備考1. スライサとは,刃物又はフリッチを往復運動させて切削し,所定の厚さの単板を製造する機
械をいう(JIS B 0114参照)。
2. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 0114 木材加工機械の名称に関する用語
JIS B 6507 木材加工機械の安全通則
JIS B 6521 木材加工機械の騒音測定方法
3. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 機能試験方法 スライサの機能試験は,表1による。
表1 機能試験
番号
試験項目
試験方法
1
電気装置
運転試験の前後に,各1回絶縁状態を試験する。
2
かんな台又はフリッチテ
ーブルの始動,停止及び運
転操作
適当な一つの速度で,かんな台又はフリッチテーブルの始動及び停止を繰返し
10回行い,作動の円滑さ及び確実さを試験する。
3
かんな台又はフリッチテ
ーブルの速度の変換操作
操作装置の作動の円滑さ及び指示の確実さを試験する。
4
フリッチテーブルの昇降
操作
フリッチテーブルを昇降させ,動きの全長にわたって作動の円滑さ及び均一さ
を試験する。
5
刃物及びノーズバーの取
付け及び取外し
刃物及びノーズバーの取付け及び取外し並びに締付けねじの締付けの円滑さ
及び確実さを試験する。
6
工作物の取付け及び取外
し
工作物の取付け及び取外し並びに締付けねじの締付けの円滑さ及び確実さを
試験する。
7
歩出し操作
機能の円滑さ及び確実さを試験する。
8
刃物スライド装置
機能の円滑さ及び確実さを試験する。
9
単板搬出装置
機能の円滑さ及び確実さを試験する。
10
安全装置
作業者に対する安全機能及び機械防護機能の確実さを試験する(JIS B 6507参
照)。
11
潤滑装置
油密,油量の適正な配分など,機能の確実さを試験する。
12
油圧装置
油密,圧力調整など,機能の確実さを試験する。
13
空気圧装置
気密,圧力調整など,機能の確実さを試験する。
2
B 6599-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
試験項目
試験方法
14
附属装置
機能の確実さを試験する。
備考 その機能をもたないスライサでは,表1中のこれに該当する試験項目を省略する。
3. 運転試験方法
3.1
無負荷運転試験 かんな台又はフリッチテーブルを作動させ,30〜60分間運転を継続して軸受温度
が安定した後,所要電力及び騒音を測定し,表2の記録様式1に規定する各項について記録するとともに,
異常振動がないことを感触によって観察する。
なお,騒音の測定は,JIS B 6521による。
表2 記録様式1
備考1. かんな台又はフリッチテーブルの回転速度に変速装置があるものは,最大回転速度を含む少なくとも2
条件の回転速度について記録する。
2. 所要電力の測定は,フリッチテーブルを昇降した時の所要電力も測定する。
3. 騒音測定条件は,記事欄に記録する。
3.2
負荷運転試験 試験材の切削を行い,所要電力及び騒音を測定し,表3の記録様式2に規定する各
項について記録するとともに,異常振動がないこと及び切断面の状態を感触によって観察する。
所要電力の測定は,送り速度を一定とし,試験材の厚さを変えるか,又は試験材の厚さを一定とし,送
り速度を変えて試験を行う。
なお,騒音の測定は,JIS B 6521による。
表3 記録様式2
注(1) かんな台の運動方向に直交する線に対するナイフ刃先線のなす角をいう。
備考1. 試験材,刃物及び切削条件は,製造業者が選択する。
2. 試験材の前処理条件(方法,温度及び時間)及び騒音測定条件は,記事欄に記載する。
3. 刃物及びノーズバーの形状は,図示して主要寸法を記入する。
4. 切削条件説明図
3
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5. 切削直後の試験材の温度及び含水率を測定し,記事欄に記載しておくことが望ましい。
4. 静的精度検査方法 スライサの静的精度検査は,表4による。
表4 静的精度検査
単位 mm
番号
検査項目
測定方法
測定方法図
許容値
1
刃物取
付面の
真直度
水平面
刃物取付面上の長手方向及び
対角線上に直定規を置き,すき
まをすきまゲージで測定し,そ
の最大値を測定値とする。
1 000につい
て0.03
垂直面
(2)
刃物取付面上の長手方向に直
定規を置き,すきまをすきまゲ
ージで測定し,その最大値を測
定値とする。
1 000につい
て0.03
2
ノーズバー取付面
の真直度(2)
ノーズバー取付面の水平面上
の長手方向に直定規を置き,す
きまをすきまゲージで測定し,
その最大値を測定値とする。
1 000につい
て0.03
3
かんな台滑り面の
真直度(3)
かんな台滑り面(4)上に精密水
準器を置き,少なくとも1
000mmごとに精密水準器の読
みを取り,その最大差を測定値
とする。
0.04/m
4
左右かんな台滑り
面の平行度(水平
面で)
左右かんな台滑り面上に直定
規を置き,その上に精密水準器
を載せて,それぞれの精密水準
器の読みを取り,その差を測定
値とする(5)。
0.04/m
5
刃物取付面とノー
ズバー取付面との
平行度(垂直面内
で)
テストバーを刃物取付面に定
置し,ノーズバー取付面の両端
から200mmの位置にハイトゲ
ージをノーズバー取付面の水
平面に密着させ,それぞれの刃
物取付面とテストバーとの距
離を測定し,その差を測定値と
する。
0.05
4
B 6599-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
番号
検査項目
測定方法
測定方法図
許容値
6
フリッチテーブル
の昇降ねじの累積
誤差(6)
適当な歩出し量に設定してフ
リッチテーブルを昇降させた
とき,フリッチテーブルが移動
すべき距離と,実際に移動した
距離とを一定の長さの端度器
及びテストインジケータで測
定し,その差を測定値とする。
この測定は,昇降ねじ部の中央
及び両端(7)の3か所について
行う。
100について
0.05
7
フリッチテーブル
の下降運動の平行
度
フリッチテーブル上面の前後
及び左右方向にそれぞれ精密
水準器を置き,フリッチテーブ
ルを最上位置から30mm下降
させた位置から最下降位置(8)
までの移動距離におけるそれ
ぞれの精密水準器の読みの最
大差を測定値とする。
0.06/m
注(2) 機種によって,その精度を必要としないものは,この検査を省略することができる。
(3) この測定は,左及び右かんな台滑り面について行う。
(4) かんな台滑り面がV形溝の場合は,テストバーを用い,テストバー上に精密水準器を載せて測定す
る。
(5) かんな台滑り面がV形溝の場合は,V形に合った同寸法のブロックの上に直定規を載せて測定する。
(6) この測定は,左及び右昇降ねじについて行う。
(7) 不完全ねじ部を避けて測定する。
(8) 最下降位置とは,フリッチテーブルがかんな台に当たる直前とする。
備考 その機能をもたないスライサでは,表4中のこれに該当する検査項目を省略する。
5. 工作精度検査方法 スライサの工作精度検査は,表5による。
5
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表5 工作精度検査
番号
検査項目
測定方法
測定方法図
許容値
1
厚さの精度
試験材(9)から10枚以上(10)連続
切削した単板の測定点の厚さ
を外側マイクロメータで測定
(11)し,各測定点別の最大差を
それぞれの平均値で除した値
のうちで最小の値を測定値と
する。
0.15
注(9) 試験材は,機能に応じた長さで,厚さ約200mm,幅約300mmのフリッチ材とする。
(10) 切削始め及び切削終わりの数枚を除く。
(11) 測定点は,測定方法図による。
関連規格 JIS B 6501 木材加工機械の試験方法通則
JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
JIS原案作成委員会委員 構成表
氏名
所属
(委員長)
林 大九郎
東京農業大学農学部
木 下 敍 幸
林野庁森林総合研究所
伊佐山 建 志
通商産業省機械情報産業局
吉 田 藤 夫
工業技術院標準部
池 田 順 一
財団法人日本規格協会
可 西 忠 雄
ユアサ建材工業株式会社
田 中 哲 郎
ホクヨープライウッド株式会社
小田嶋 輝 夫
日本合板工業組合連合会
櫻 井 昭
開成産業株式会社
大 友 静 正
株式会社ウロコ製作所
川 端 宗 之
株式会社菊川鉄工所
高 井 正 弘
株式会社太平製作所
大 川 勝
橋本電機工業株式会社企画室
正 木 康 夫
南機械株式会社製造部
坂 本 晋 一
株式会社名南製作所
村 上 勝
社団法人全国木工機械工業会
(事務局)
雨 宮 礼 一
社団法人全国木工機械工業会業務部技術課
佐久間 章 雄
社団法人全国木工機械工業会業務部業務課