2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 6517-1989
木工ボール盤の試験及び検査方法
Test Methods for Performance and Accuracy
of Single Spindle Wood Boring Machines
1. 適用範囲 この規格は,振り600mm以下で主軸端からテーブル面までの最大距離が500mm以下のJIS
B 0114(木材加工機械の名称に関する用語)の番号6511に規定する木工ボール盤の機能,運転性能及び剛
性に関する試験方法並びに静的精度及び工作精度の検査方法について規定する。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,参
考として併記したものである。
引用規格,対応国際規格及び関連規格:5ページに示す。
2. 機能試験方法 木工ボール盤の機能試験は,表1による。
表1 機能試験
番号
試験項目
試験方法
1
電気装置
運転試験の前後に,各1回絶縁状態を試験する。
2
主軸の始動,停止及び運
転操作
適当な一つの主軸回転速度で,始動及び停止を連続10回行い,作動の円滑さ及
び確実さを試験する。
3
主軸回転速度の変換操作
表示のすべての回転速度について主軸回転速度を変換し,操作装置の作動の円
滑さ及び指示の確実さを試験する。
4
送り量の変換操作
表示のすべての送り量について送り量を変換し,操作装置の作動の円滑さ及び
指示の確実さを試験する。
5
手送りの操作
手送りハンドルによって,動きの全長にわたって作動の円滑さ及び均一さを試
験し,また微動手送りハンドルを数回回転し,円滑さ及び均一さを試験する。
6
主軸頭の昇降及び締付け
の操作と自動停止装置の
操作
主軸頭を昇降させ,動きの全長にわたって作動の円滑さ及び均一さを試験し,
動きの両端及び中央において,締付けの確実さ及び締付装置の作動の円滑さを
試験する。また,動きの両端において,自動停止装置の作動の円滑さ及び確実
さを試験する。
7
テーブルの昇降及び締付
けの操作
テーブルを昇降させ,動きの全長にわたって作動の円滑さ及び均一さを試験す
る。また,動きの両端及び中央において,締付けの確実さ及び締付装置の作動
の円滑さを試験する。
8
工具の取付け及び取外し
工具の取付け,取外し及び締付けねじの確実さ及び円滑さを試験する。
9
工作物の取付け及び取外
し
工作物の取付け及び取外しの確実さ及び円滑さを試験する。
10
安全装置
作業者に対する安全機能及び機械防護機能の確実さを試験する[JIS B 6507(木
材加工機械の安全通則)参照]。
11
潤滑装置
油密,油量の適正な配分など,機能の確実さを試験する。
12
油圧装置
油密,圧力調整など,機能の確実さを試験する。
13
空気圧装置
気密,圧力調整など,機能の確実さを試験する。
14
附属装置
機能の確実さを試験する。
2
B 6517-1989
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考 その機能をもたない木工ボール盤では,表1中のこれに該当する試験項目を省略する。
3. 運転試験方法
3.1
無負荷運転試験 主軸を回転させ,30〜60分間運転を継続して軸受温度が安定した後,所要電力及
び騒音を測定し,表2の記録様式1に規定する各項について記録するとともに,異常振動がないことを感
触によって観察する。
なお,騒音の測定は,JIS B 6521(木材加工機械の騒音測定方法)による。
表2 記録様式1
備考1. 主軸回転速度の変速装置があるものは,最大回転速度を含む少なくとも2水準の回転速度について
記録する。
2. 騒音測定条件については,記事欄に記録する。
3.2
負荷運転試験 試験材に穴あけを行い,所要電力及び騒音を測定し,表3の記録様式2に規定する
各項について記録するとともに,異常振動がないこと及び切削面の状態を感触によって観察する。
所要電力の測定は,送り速度を一定とし,ドリルの直径を変えるか,又はドリルの直径を一定とし,送
り速度を変えて試験を行う。
表3 記録様式2
備考1. 騒音測定条件については,記事欄に記録する。
2. 刃形は,図示して主要寸法を記入する。
3. 手動のものについては,所要電力は測定しなくてよい。
4. 穴あけ深さは,30mm以上とする。
3
B 6517-1989
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.
剛性試験方法 木工ボール盤の剛性試験は,表4による。
表4 剛性試験
番号
試験項目
測定方法
測定方法図
1
主軸系の
曲げ剛性
定置したテストインジケータを主軸の先端部
(側面)に当てて,主軸に水平方向に互いに
向き合った荷重 (P) を加えて(1),主軸のたわ
みを測定する。この測定は,左右及び前後方
向のそれぞれについて行う。
2
主軸とテ
ーブルの
総合剛性
主軸(2)とテーブルとの間に,垂直方向に荷重
(P) を加えたときの主軸とテーブル上面との
間の相対変位の変化を,左右及び前後方向に
ついて測定する。
注(1) 荷重を加える位置は,できるだけ主軸端に近い位置とし,その主軸端からの距離を記録する。
(2) 主軸頭又は主軸スリーブを昇降するものについては,その動きの中央に固定して測定を行う。
備考1. 同一設計の機械の剛性試験は,代表的な1台について行った試験結果で代表させ,他のものについては省略
してもよい。
2. 荷重 (P) の大きさについては,製造業者の推奨する荷重 (P) を加えて行い,その荷重 (P) を記録する。
3. この測定は,主軸を回転させ,軸受温度が安定した後に行う。
5. 静的精度検査方法 木工ボール盤の静的精度検査は,表5による。
表5 静的精度検査
単位mm
番号
検査項目
測定方法
測定方法図
許容値
1
テーブル上
面の真直度
テーブル上面に500mmの直定規(3)を対
角線上に置き,すきまをすきまゲージで
測定し,その最大値を測定値とする。
500につい
て
0.05
2
主軸の振れ 主軸のチャック取付部にテストインジ
ケータを当てて,主軸を手動で回転し,
回転中におけるテストインジケータの
読みの最大差を測定値とする。
0.03
3
チャックの
振れ
チャックにテストバーを取り付け,その
口元及び先端にテストインジケータを
当てて,主軸を手動で回転し,回転中に
おけるテストインジケータの読みの最
大差を測定値とする。
テストバー
の口元で
0.12
テストバー
の口元から
100の位置
で
0.14
4
B 6517-1989
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位mm
番号
検査項目
測定方法
測定方法図
許容値
4
テーブ
ル上面
と主軸
の上下
運動と
の直角
度
左
右
方
向
テーブル上面に直角定規(4)を立て,主軸
頭に固定したテストインジケータをこ
れに当てて,主軸を上下に移動させ,テ
ストインジケータの読みの最大差を測
定値とする(5)。
100につい
て
0.05
前
後
方
向
100につい
て
0.05
5
主軸中
心線と
テーブ
ル上面
との直
角度
左
右
方
向
直定規をテーブル上面の左右及び前後
方向に置き,主軸に固定したテストイン
ジケータをこれに当てて,180°振り回
し,テストインジケータの読みの最大差
を測定値とする(5)。
振り回し直
径300につ
いて
0.10
前
後
方
向
振り回し直
径300につ
いて
0.10
6
主軸の軸方
向の動き
テーブル上面にテストインジケータを
定置し,主軸端面をこれに当てて,主軸
を軸方向に揺すり(6),テストインジケー
タの読みの最大差を測定値とする。
0.04
注(3) 測定距離が基準より小さい場合には,測定の許容値の数値を距離に比例させて換算する。
(4) 直角定規は,テーブルの左右又は前後の中央に置く。
注(5) 読みを取る際は,ひざを固く締める。
(6) 軸方向に揺する力は,約150N{約15kgf}とする。
備考 その機能をもたない木工ボール盤では,表5中のこれに該当する検査項目を省略する。
6. 工作精度検査方法 木工ボール盤の工作精度検査は,表6による。
5
B 6517-1989
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表6 工作精度検査
単位mm
番号
検査項目
測定方法
測定方法図
許容値
1
ドリ
ル穴
の直
角度
左
右
方
向
厚さ約50mmの試験材を12mmのドリ
ルで突抜け加工した後,テストバーを
差し込み,これに試験材上面に立てた
直角定規を左右及び前後方向でテスト
バー面に当てて,すきまをすきまゲー
ジで測定し,その最大値を測定値とす
る。
50につい
て
0.10
前
後
方
向
50につい
て
0.10
備考 試験材は,あらかじめ必要な前加工を行う。
引用規格:
JIS B 0114 木材加工機械の名称に関する用語
JIS B 6507 木材加工機械の安全通則
JIS B 6521 木材加工機械の騒音測定方法
対応国際規格:
ISO 7945 Woodworking machines−Single spingle boring machines−Nomenclature and acceptance
conditions
関連規格 JIS B 6501 木材加工機械の試験方法通則
JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
6
B 6517-1989
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
木材加工機械関係JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
福 井 尚
東京農業大学農学部
木 下 敍 幸
農林水産省林野庁林業試験場
中 田 哲 雄
通商産業省機械情報産業局(昭和62年11月まで)
桑 原 茂 樹
通商産業省機械情報産業局(昭和62年11月から)
鈴 木 茂 光
工業技術院標準部
喜多山 繁
東京農工大学農学部
池 田 順 一
財団法人日本規格協会
久保田 光 秋
マルクワ家具株式会社
佐 藤 久
社団法人全国家具工業連合会
神 馬 光 廣
株式会社神馬木工場
相 川 敏 正
全国建具組合連合会
児 玉 実
木材加工技術コンサルタント
谷 野 八 郎
庄田鉄工株式会社
川 端 宗 之
株式会社菊川鉄工所
後 藤 英 夫
株式会社東洋鉄工所
墨 岡 勇
株式会社平安鉄工所
植 田 千 秋
株式会社丸仲鉄工所
名 取 平 二
宮川工機株式会社
村 上 勝
社団法人全国木工機械工業会
(事務局)
佐久間 章 雄
社団法人全国木工機械工業会