B 6403:2020
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 精度······························································································································· 1
4.1 精度等級 ······················································································································ 1
4.2 精度検査 ······················································································································ 2
附属書A(参考)精度許容値のグラフ ······················································································ 8
B 6403:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本鍛圧機械工業会(JFMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産
業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産
業規格である。これによって,JIS B 6403:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
B 6403:2020
液圧プレス−精度等級及び精度検査
Hydaulic presses-Testing of the grades and the accuracy
1
適用範囲
この規格は,金属材料の打抜き,曲げ,成形,絞り加工などに用いる液圧プレス(以下,プレスという。)
の精度等級及び精度検査について規定する。ただし,横形プレス,スライドガイドをもたないコラム形プ
レス及び特殊構造のプレス1)には適用しない。
注1) 特殊構造のプレスとは,粉末成形用,熱間鍛造用のプレス,プレスブレーキ,ラム移動形プレ
ス,自動送り装置付き専用プレスなどをいう。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0111 プレス機械−用語
JIS B 6190-1 工作機械試験方法通則−第1部:幾何精度試験
JIS B 7440-2 製品の幾何特性仕様(GPS)−座標測定機(CMM)の受入検査及び定期検査−第2部:
長さ測定
JIS B 7440-8 製品の幾何特性仕様(GPS)−座標測定システム(CMS)の受入検査及び定期検査−第
8部:光学式距離センサ付き座標測定機
JIS B 7539 円筒スコヤ
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0111によるほか,次による。
3.1
ギブセット
スライドのガイド(ギブ)を生産稼働が可能な状態に調整した状態。
4
精度
4.1
精度等級
プレスの精度は,特級,1級,2級及び3級の4等級とする。
各等級に対する用途例を,表1に示す。
2
B 6403:2020
表1−用途例
等級
用途例
特級
ファインブランキング及び精密打抜き,冷間鍛造
1級
絞り成形,樹脂成形
2級
板金成形
3級
大形板金,長尺板金,ひずみ取り
4.2
精度検査
4.2.1
一般
精度検査は,無負荷の状態で,JIS B 6190-1,JIS B 7440-2,JIS B 7440-8及びJIS B 7539に基づく方法
で行う。
4.2.2
ボルスタ(又はベッド)上面及びスライド下面の真直度の精度検査
ボルスタ(又はベッド)上面及びスライド下面の真直度の精度検査は,機械の正面側を“前”とし,左
右方向及び前後方向について,次のとおり行う。
a) 測定方法 直定規を使用し,直定規の下に平行ブロックを置いて測定する。
平行ブロックは,直定規の自重によるたわみが最小となる2点に設置する。
測定は,マグネット付きダイヤルゲージを取付台上に置き,ダイヤルゲージの測定子をその法線上
で直定規に当てて,その取付台を直線(案内用直定規)に沿って動かして行う(図1参照)。
ボルスタ(又はベッド)上面の測定は,直定規をボルスタ(又はベッド)上面の中央及び両端の3
か所に置き,これに当てたダイヤルゲージをボルスタ(又はベッド)の上面に沿って移動させ,各箇
所におけるダイヤルゲージの読みの最大差を測定値とする(図2参照)。
スライドは,その加工後単体で測定し,スライド下面を上向きに置き,直定規をスライド下面の中
央及び両端の3か所に置き,これに当てたダイヤルゲージをスライド下面に沿って移動させて,各箇
所におけるダイヤルゲージの読みの最大差を測定値とする(図2参照)。測定長さL1は,全長Lの両
端から非測定長さL2を除いた寸法とする。全長Lと測定長さL1及び非測定長さL2との関係は,表2
による。全長Lは,ボルスタ(又はベッド)上面及びスライド下面の左右及び前後寸法を示す。
直定規を用いた測定方法に代えて,光学的手段による測長装置などを用いて真直度を測定してもよ
い。
図1−真直度測定方法例
3
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図2−真直度測定範囲
表2−測定長さの算出法
単位 mm
Lの範囲
測定長さL1
非測定長さL2
1 000以下
0.8L
0.1L
1 000超3 000以下
0.9L
0.05L
3 000超
L−300
150
この表は,左右方向の長さを表す。前後方向の長さは,この表の
L,L1及びL2を,それぞれL',L1'及びL2'とする。
b) 許容値 許容値は,表3による。
表3−ボルスタ(又はベッド)上面及びスライド下面の真直度の許容値
単位 mm
等級
許容値
特級
1
0.02
0.0101000L
+
1級
1
0.04
0.0121000L
+
2級
1
0.075
0.0151000L
+
3級
1
0.12
0.0201000L
+
この表は,左右方向の許容値を表す。前後方向の許容値
は,この表のL1をL1'として算出する
許容値グラフの参考例を,図A.1に示す。
4.2.3
スライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との平行度の精度検査
スライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との平行度の精度検査は,左右方向及び前後方向について,
4
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次のとおり行う。ただし,複動プレスでは,インナスライド及びアウタスライドのそれぞれについて測定
を行う。
a) 測定方法 ボルスタ(又はベッド)上面に立てた支え棒(インナスライドの場合は1本,アウタスラ
イドの場合は2本)でスライド下面のほぼ中央を支え,ボルスタ(又はベッド)上面とスライド下面
との間隔を,左右方向及び前後方向についてダイヤルゲージで測定し,読みの最大差を測定値とする。
ただし,対角線方向には測定しない(図3及び図4参照)。支え棒が受ける力は,スライドを含む可動
部の自重だけとする。支え棒のスライド下面に接触する端部の金具は,鋼球などによって自在に動く
ことができる構造とする。ただし,大形プレスなど,スライド寸法が大きいものに対しては固定構造
としてもよい。
なお,測定は,ストロークの下限及びストロークの下限から1/3以上,上方の2点においてギブセ
ットの状態で行う。測定長さL1は,左右方向及び前後方向の端面から非測定長さL2を除いた寸法と
する(図3参照)。全長Lと測定長さL1及び非測定長さL2との関係は,表2による。
図3−平行度測定位置
図4−平行度測定方法例
b) 許容値 許容値は,表4による。ただし,C形プレスの場合は,ボルスタ上面から測定し,前開きで
5
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あってはならない(前開きとは,図4においてLB>LAの状態を指す。)。
表4−スライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との平行度の許容値
単位 mm
等級
許容値
ボルスタ(又はベッド)の有効長さ(L)
1 000以下
1 000超2 000以下
2 000超
特級
1
0.05
0.0161000L
+
1
0.06
0.0241000L
+
1
0.07
0.0301000L
+
1級
1
0.06
0.0201000L
+
1
0.08
0.0301000L
+
1
0.10
0.0401000L
+
2級
1
0.09
0.0401000L
+
1
0.12
0.0601000L
+
1
0.15
0.0801000L
+
3級
1
0.12
0.0801000L
+
1
0.17
0.1201000L
+
1
0.20
0.1601000L
+
この表は左右方向の許容値を表す。前後方向の許容値は,この表のL1をL1'
として算出する。
許容値グラフの参考例を,図A.2に示す。
4.2.4
スライドの上下運動とボルスタ(又はベッド)上面との直角度の精度検査
スライドの上下運動とボルスタ(又はベッド)上面との直角度の精度検査は,左右方向及び前後方向に
ついて,次のとおり行う。
a) 測定方法 ボルスタ(又はベッド)上面に直角定規又は円筒スコヤを立て,スライドに取り付けたダ
イヤルゲージをこれに当てて,スライドを上下に移動させながら測定し,そのときのダイヤルゲージ
の読みの最大差を測定値とする(図5参照)。また,直角定規又は円筒スコヤを用いた測定に代えて,
光学的手段による測長装置などを用いて直角度を測定してもよい。
なお,測定は,ギブセットの状態で行い,測定ストロークはL3とし,その長さはスライドストロー
ク長さの下側1/2以下とする。ただし,測定長さは,20 mm以上とし,20 mm未満となる場合は,表
5の許容値を適用しない。
図5−直角度測定方法例
6
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b) 許容値 許容値は,表5による。
表5−スライドの上下運動とボルスタ(又はベッド)上面との直角度の許容値
単位 mm
等級
許容値
スライドのストローク長さ
1 000以下
1 000超2 000以下
2 000超
特級
3
0.008
0.008
100L
+
3
0.008
0.015
100L
+
3
0.008
0.025
100L
+
1級
3
0.015
0.010
100L
+
3
0.015
0.020
100L
+
3
0.015
0.030
100L
+
2級
3
0.025
0.030
100L
+
3
0.025
0.040
100L
+
3
0.025
0.050
100L
+
3級
3
0.03
0.090
100L
+
3
0.03
0.100
100L
+
3
0.03
0.110
100L
+
許容値グラフの参考例を,図A.3に示す。
4.2.5
偏心支持によるスライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との傾斜度の精度検査
偏心支持によるスライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との傾斜度の精度検査は,左右方向及び前
後方向について,次のとおり行う。ただし,複動プレスでは,インナスライド及びアウタスライドのそれ
ぞれについて測定を行う。
a) 測定方法 ボルスタ(又はベッド)上面の中心から1方向にL4又はL5ずれた位置に立てた支え棒(イ
ンナスライドの場合は,図6のa,b,c又はdのいずれか1か所,アウタスライドの場合は,e−f,g
−h,i−j又はk−lのいずれか2か所で受ける。)でスライド下面(スライド自重だけ)を支え,ボル
スタ(又はベッド)上面とスライド下面との間隔をダイヤルゲージでスライドの中心から左右±L4の
位置又は前後±L5の位置において測定し,読みの最大差を測定値とする。ただし,対角線方向には測
定しない。
測定は,ストロークの下限及びストロークの下限1/3以上,上方の2点において行う(図6参照)。
また,測定は,ギブセットの状態で行い,かつ,スライド案内部が十分油膜を保持できる状態で行う。
なお,L4及びL5は,中心から支持位置までの距離を表し,L4=L/3,L5=L'/3とする。
7
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インナスライド画面
アウタスライド画面
図6−傾斜度支持位置
b) 許容値 許容値は,表6による。
表6−偏心支持によるスライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との傾斜度の許容値
単位 mm
等級
許容値
特級及び
1級
4
1
3000L
2級
4
1
2000L
3級
4
1
1000L
この表は左右方向の許容値を表す。前後方向の許容値は,
表中L4をL5として算出する。
許容値グラフの参考例を,図A.4に示す。
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附属書A
(参考)
精度許容値のグラフ
A.1 ボルスタ(又はベッド)上面及びスライド下面の真直度の許容値グラフ
ボルスタ(又はベッド)上面及びスライド下面の真直度の許容値グラフを,図A.1に示す。
図A.1−ボルスタ(又はベッド)上面及びスライド下面の真直度の許容値
0
1 000
2 000
3 000
4 000
5 000
6 000
7 000
9
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A.2 スライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との平行度の許容値グラフ
スライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との平行度の許容値グラフを,図A.2に示す。
図A.2−スライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との平行度の許容値
0
1 000
2 000
3 000
4 000
5 000
6 000
7 000
10
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A.3 スライドの上下運動とボルスタ(又はベッド)上面との直角度の許容値グラフ
スライドの上下運動とボルスタ(又はベッド)上面との直角度の許容値グラフを,図A.3に示す。
図A.3−スライドの上下運動とボルスタ(又はベッド)上面との直角度の許容値
0
200
400
600
800
1 000
1 200
1 400
11
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A.4 偏心支持によるスライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との傾斜度の許容値グラフ
偏心支持によるスライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との傾斜度の許容値グラフを,図A.4に示
す。
図A.4−偏心支持によるスライド下面とボルスタ(又はベッド)上面との傾斜度の許容値
0
500
1 000
1 500
2 000
2 500
3 000