B 4651 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日本
工業規格である。これによってJIS B 4651 : 1995は改正されこの規格に置き換えられる。
今回の改正では日本工業規格と国際規格との整合を図ることに重点を置き,対応国際規格の技術的内容
を変更することなく採用し附属書に規定した。さらに,国際規格の差異を必要最小限とするため,JIS B
4651 : 1995の規定内容の一部を改正して本体に規定した。
また,JIS Z 8301(規格票の様式)が1996年7月に改正されたのに伴い,これに従って規格票の様式も
変更した。
JIS B 4651には,次に示す附属書がある。
附属書(規定) I形コンビネーションスパナ
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 4651 : 1998
コンビネーションスパナ
Combination wrenches
序文 この規格は,備考に示す国際規格を元に,本体には,従来日本工業規格で規定していた種類・等級
とこれらの形状・寸法,品質,検査,製品の呼び方及び表示を規定し,附属書には,対応国際規格を翻訳
し,技術的内容を変更することなく規定した日本工業規格であるが,対応国際規格にはない規定項目(外
観,検査,製品の呼び方及び表示)を日本工業規格として追加している。
なお,附属書のうち,点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にない事項である。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO/DIS 691 : 1996 Assembly tools for screws and nuts−Wrench and socket openings−Tolerances
for general use
ISO 1703 : 1983 Assembly tools for screws and nuts−Nomenclature
ISO 1711 : 1975 Hand operated wrenches and sockets−Technical specifications
ISO 3318 : 1990 Assembly tools for screws and nuts−Double-headed open-ended wrenches,
double-headed ring wrenches and combination wrenches−Maximum widths of heads
ISO 7738 : 1990 Spanners and wrenches−Combination wrenches−Minimum length and thickness of
heads
1. 適用範囲 この規格は,主にボルト,ナットの組付け又はその取外しに用いるスパナ及びめがねレン
チを組み合わせたコンビネーションスパナについて規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の版だけがこの規格
の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。
JIS B 1002-1985 二面幅の寸法
3. 形状及び寸法 コンビネーションスパナの形状は,図1によるのがよい。寸法は,表1及び表2によ
る。
なお,めがね側の傾きは,受渡当事者間の協議によって,図1の逆向きでもよい。
2
B 4651 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1 形状
表1 二面幅の許容差
単位mm
呼び
許容差
最小
最大
5.5
+0.02
+0.12
6, 7, 8, 9
+0.03
+0.15
10, 11
+0.04
+0.19
12, 13
+0.04
+0.24
14, 15, 16
+0.05
+0.27
17, 18
+0.05
+0.30
19, 21, 22, 23, 24
+0.06
+0.36
26, 27, 29, 30, 32
+0.08
+0.48
35, 36, 38, 41, 46, 50
+0.10
+0.60
54, 55
+0.12
+0.72
表2 寸法
単位mm
呼び
外幅S1
外径D
厚さT1
厚さT2
全長L
スパナ最大
めがね最大
スパナ最大
めがね最大
参考
5.5
17
10.5
3.2
6
70
6
18
11
3.5
6.5
75
7
20
13
4
6.5
85
8
22
15
4.5
7
90
9
24
16
4.5
7.5
100
10
26
17
5
8
110
11
29
18.5
5.5
8.5
120
12
30
20
6
9
130
13
33
22.5
6.5
10
145
14
35
23
7
11
155
15
37
25
7.5
11
165
16
39
26
8
11.5
175
17
41
27
8
12
185
18
43
29
8.5
12.5
215
19
45
30
9
13
230
21
50
33
10
15
250
22
52
34.5
10
15.5
265
23
54
36
11
16
275
24
56
37.5
11
16.5
290
3
B 4651 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位mm
呼び
外幅S1
外径D
厚さT1
厚さT2
全長L
スパナ最大
めがね最大
スパナ最大
めがね最大
参考
26
60
39
12
17
310
27
62
40
12
18
325
29
66
45
13
18
350
30
68
47
13
20
360
32
73
50
14
20
385
35
80
54
15
22
420
36
81
55
15
23
430
38
86
59
16
24
455
41
91
64
17
24
490
46
102
71
19
25.5
550
50
110
77
20
28
600
54
118
83
21
30
650
55
121
85
21
31
660
4. 品質
4.1
外観 外観は,使用上有害な欠点がなく,仕上げの程度は良好でなければならない。
4.2
硬さ 硬さは,39HRC以上とする。
4.3
強さ 強さは,5.の試験を行った後に,使用性能に影響するような永久変形,その他の損傷を示して
はならない。
5. 強さ試験 強さ試験は,図2に示すように,口及びソケット部に六角の試験棒をくわえ,表3に示す
試験トルクを加える。
六角試験棒の二面幅寸法は,Sの最小寸法に対して表4のとおりとし,硬さは50HRC以上とする。ただ
し,六角試験棒は,附属書表3によるものを使用してもよい。
図2 強さ試験
4
B 4651 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3 試験トルク
単位N・m
呼び
5.5
6
7
8
9
10 11 12
13
14
15
16
17
18
19
21
スパナ側
4.9
6.9
9.8 15 23 30 39 50
62
76
94
115
132
153
169
226
めがね側 14.7
18
25
29 44 59 78 98
118
157
186
216
255
275
314
382
呼び
22
23
24
26 27 29 30 32
35
36
38
41
46
50
54
55
スパナ側 255
280
319 394 439 539 588 706
912
981 1090 1270 1600 1890 2210 2290
めがね側 422
451
471 579 588 706 765 883 1090 1170 1320 1580 2070 2510 3010 3140
表4 六角試験棒の寸法
単位mm
基準寸法の区分
Sの最小寸法に対する許容差
10以下
0
−0.040
10を超え 18以下
0
−0.043
18を超え 30以下
0
−0.052
30を超え 50以下
0
−0.062
50を超えるもの
0
−0.074
6. 検査 検査は,形状,寸法及び品質について行い,それぞれ3.及び4の規定に適合しなければならな
い。
7. 製品の呼び方 コンビネーションスパナの呼び方は,規格番号又は規格の名称及び呼びによる。
例1. JIS B 4651 13
例2. コンビネーションスパナ 16
8. 表示 コンビネーションスパナには,適切な箇所に次の事項を表示する。
a) 呼び
b) 製造業者名又はその略号
さらに,スパナの二面幅に適応するボルト・ナットの呼びを表示してもよい。
例 呼び M8mmの場合 M8
5
B 4651 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(規定) I形コンビネーションスパナ
1. 適用範囲 この規格は,I形コンビネーションスパナの寸法及び技術仕様について規定する。
なお,品質,検査,製品の呼び方及び表示についても規定する。
2. 形状及び寸法 形状は,附属書図1,附属書図2及び附属書図3によるが,例として挙げている。し
たがって,コンビネーションスパナの設計に影響を与えるものではない。
二面幅の基準寸法Sの許容差は,附属書表1による。その他の寸法は附属書表2による。
附属書図1 スパナ側形状
附属書図2 めがね側形状
附属書図3 形状
6
B 4651 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書表1 二面幅許容差
単位mm
呼び
切削加工品
非切削加工品(1)
許容差
許容差
最小
最大
最小
最大
3.2
+0.02
+0.08
−
−
4, 5, 5.5
+0.02
+0.12
−
−
6, 7
+0.03
+0.15
−
−
8, 9
+0.03
+0.15
+0.03
+0.18
10, 11
+0.04
+0.19
+0.04
+0.24
12, 13
+0.04
+0.24
+0.04
+0.30
14, 15, 16
+0.05
+0.27
+0.05
+0.35
17, 18
+0.05
+0.30
+0.05
+0.40
19, 21, 22, 24
+0.06
+0.36
+0.06
+0.46
27, 30, 32
+0.08
+0.48
+0.08
+0.58
34, 36, 41, 46, 50
+0.10
+0.60
+0.10
+0.70
注(1) めがね側の非切削加工品に適用する。
附属書表2 寸法
単位 mm
二面幅
S
外幅
外径
全長
厚さ
b1(2)
b2(3)
L(4)
e1(5)
e2(6)
スパナ最大
めがね最大
最小
スパナ最大
めがね最大
3.2
14
7
45
−
−
4
15
8
55
−
−
5
18
10
65
−
−
5.5
19
10.5
70
−
−
6
20
11
75
4.5
6.5
7
22
12.5
85
5
7
8
24
14
90
5
8
9
26
15.5
100
5.5
8.5
10
28
17
110
6
9
11
30
18.5
120
6.5
9.5
12
32
20
125
7
10
13
34
21.5
135
7
11
14
36
23
145
7.5
11.5
15
39
24.5
150
8
12
16
41
26
160
8
12.5
17
43
27.5
165
8.5
13
18
45
29
180
9
14
19
47
30.5
190
9
14.5
21
51
33.5
215
10
15.5
22
53
35
230
10.5
16
24
57
38
250
11
17.5
27
64
42.5
275
12.5
19
30
70
47
300
13.5
20
32
74
50
315
14.5
21
34
78
53
330
15
22.5
36
83
56
345
15.5
23.5
41
93
63.5
385
17.5
26.5
7
B 4651 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
二面幅
S
外幅
外径
全長
厚さ
b1(2)
b2(3)
L(4)
e1(5)
e2(6)
スパナ最大
めがね最大
最小
スパナ最大
めがね最大
46
104
71
425
19.5
29.5
50
112
77
455
21
32
注(2) b1max≒2.1S+7
(3) b2max≒1.5S+2
(4) Lmin=18.2S0.78 3.2≦S≦17
Lmin=4.8S1.25 18≦S≦22
Lmin=18S0.825 24≦S≦50
(5) e1=0.4S+2 6≦S≦15
e1=0.4S+1.5 16≦S≦34
e1=0.4S+1 36≦S≦50
(6) e2=1.5e1 6≦S≦15
e2=1.55e1 16≦S≦27
e2=1.55e1−1 30≦S≦34
e2=1.55e1−0.5 36≦S≦50
3. 品質
3.1
外観 外観は,使用上有害な欠点がなく,仕上げの程度は良好でなければならない。
3.2
硬さ 硬さは,二面幅が32mm以下のものは,最小39HRC,32〜60mmのものは,最小35HRCとす
る。
3.3
トルク試験
3.3.1
手順
a) コンビネーションスパナの口又はソケット部に六角試験棒をくわえ,附属書表3によるトルクを加え
る。
b) 試験中は,コンビネーションスパナに急激に力を加えたり,たたいたりしてはならない。荷重を次第
に増していき,最小試験トルクを加える。トルクは,荷重の大きさと,荷重を加えた位置から試験棒
の中心までの測定距離の積として計算する。
c) 六角試験棒の二面幅の基準寸法は,公差がh8の基準寸法Sに等しくする。試験棒の硬さは55HRC以
上に熱処理する。六角試験棒の寸法を,附属書表4に示す。
d) また,決められたトルク値に対して±2.5%の範囲で試験棒を回転できる装置を用いて,この試験を行
ってもよい。
e) 最小試験トルクを加えた後に,コンビネーションスパナは,使用性能に影響するような永久変形,そ
の他の損傷を示してはならない。
3.3.2
試験
a) 六角試験棒は,スパナ側は口の開きの底に当て,めがね側はソケット部の厚さの底まで挿入する。
b) 荷重をコンビネーションスパナ軸に沿ってできるだけ遠くに,コンビネーションスパナの長手軸に垂
直に加える。大形コンビネーションスパナを試験するときには,エクステンションチューブを使用す
る。
c) コンビネーションスパナの両方向(正方向及び逆方向)に1回ずつ荷重を加えて試験する。
8
B 4651 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書表3 最小試験トルク
単位N・m
呼び
3.2
4
5
5.5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
スパナ側
1.02
1.90 3.55 4.64 5.92 9.12
13.3
18.4
24.8
32.3
41.2 51.6 63.5 77.0 92.3
めがね側
4.04
6.81 11.5
14.4
17.6
25.2
34.5
45.4
58.1
72.7
89.1
107
128
150
175
呼び
17
18
19
21
22
24
27
30
32
34
36
41
46
50
スパナ側
107
128
149
198
225
287
399
536
643
761
894
1 154
1 453
1 716
めがね側
201
230
261
330
368
451
594
760
884
1 019
1 165
1 579
2 067
2 512
4. 検査 検査は,寸法及び品質について行い,それぞれ2.及び3.の規定に適合しなければならない。
5. 製品の呼び方 製品の呼び方は,規格番号又は規格の名称,この附属書に基づいて製作されたことを
示す “I”,及び呼びによる。
6. 表示 コンビネーションスパナには,適切な箇所に,呼び及び製造業者の商標又はその略号及び附属
書に基づいて製作されたことを示すために “I” を表示する。
附属書表4 六角試験棒の寸法
単位mm
基準寸法の区分
基準寸法に対する許容差
3を超え 6以下
0
−0.018
6を超え 10以下
0
−0.022
10を超え 18以下
0
−0.027
18を超え 30以下
0
−0.033
30を超え 50以下
0
−0.039
50を超え 80以下
0
−0.046
9
B 4651 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS B 4651(コンビネーションスパナ)改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(主査)
竹 原 康
東京都立科学技術大学
(委員)
杉 上 孝 二
通商産業省機械情報産業局
高 橋 孝 一
通商産業省製品評価技術センター
本 間 清
工業技術院標準部
菅 谷 伸 夫
トヨタ自動車株式会社
鷹 野 武 次
日産アルティア株式会社
徳 田 憲 暁
財団法人鉄道総合技術研究所
豊 島 国 男
株式会社日立製作所
中 西 忠 雄
防衛庁装備局調達補給室
中 村 智 男
日本ねじ研究協会
三 沢 彰
東日本旅客鉄道株式会社
森 浩 一
東京ガス株式会社
森 部 幸 男
社団法人日本自動車整備振興会連合会
吉 田 育 夫
株式会社東芝
相 田 明 雄
相伍工業株式会社
岡 田 正 之
北陽産業株式会社
兼 古 耕 一
株式会社兼古製作所
川 上 平八郎
東邦工機株式会社
○ 佐 藤 浩 輔
京都機械工具株式会社
田 口 一 重
株式会社ベツセル工業
長谷川 直
株式会社マルト長谷川工作所
前 田 英 治
前田金属工業株式会社
松 塚 允 宏
旭金属工業株式会社
室 本 治
室本鉄工株式会社
吉 川 明
株式会社スーパーツール
渡 辺 鉄太郎
全国作業工具工業組合
(事務局)
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
三 塚 隆 正
財団法人日本規格協会
備考 ○印は,WG主査を示す。