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B 4624 : 1998  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS B 4624-1995は改正され,この規格に置き換えられる。 

今回の改正では,日本工業規格と国際規格との整合を図ることに重点を置き,対応国際規格の技術的内

容を変更することなく採用し附属書に規定した。さらに,旧JISの内容の一部を改正し,本体に規定した。 

また,JIS Z 8301(規格票の様式)が1996年7月に改正されたのに伴い,それに従って規格票の様式も

変更した。 

JIS B 4624には,次に示す附属書がある。 

附属書1(規定) I形丸ペンチ 

附属書1-1(規定) I形丸ペンチの寸法及び品質 

附属書1-2(規定) I形丸ペンチの一般的な技術的要求事項 

附属書1-3(規定) I形丸ペンチの試験方法

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 4624 : 1998 

丸ペンチ 

Round nose pliers 

序文 この規格は,備考に示す国際規格を元に,本体には,従来日本工業規格で規定していた種類・等級

とこれらの形状・寸法,品質,検査,製品の呼び方及び表示を規定し,附属書には,対応国際規格を翻訳

し,技術的内容を変更することなく規定した日本工業規格であるが,対応国際規格にはない規定項目(検

査,製品の呼び方及び表示)を日本工業規格として追加している。 

なお,附属書のうち,点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にない事項である。 

備考 この規格の対応国際規格を次に示す。 

ISO 5743:1988, Pliers and nippers−General technical requirements 

ISO 5744:1988, Pliers and nippers−Methods of test 

ISO 5745:1988, Pliers and nippers−Pliers for gripping and manipulating−Dimensions and test values 

1. 適用範囲 この規格は,主に電気通信機器,ラジオ,テレビなどの配線及び組立・修理のとき,銅線

類又は鉄線類の曲げ加工などに用いる丸ペンチについて規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材 

JIS G 4401 炭素工具鋼鋼材 

JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験方法 

3. 形状及び寸法 丸ペンチの形状及び寸法は,次のとおりとする。 

a) 丸ペンチの形状は,図1によるのがよい。 

b) 丸ペンチの寸法は,表1による。 

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B 4624 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 形状 

表1 寸法 

単位mm 

呼び寸法 

a1 

a2 

a3 

寸法 

許容差 

最大 

寸法 

許容差 

最大 

寸法 

許容差 

125 

13 

±0.7 

1.8 

10 

±0.7 

50 

130 

±4 

150 

14 

2.2 

11 

52 

155 

4. 品質 

4.1 

外観 丸ペンチの外観は,割れ,有害なきず,まくれ,さび,その他使用上有害な欠点がなく,仕

上げの程度は良好でなければならない。 

4.2 

機能 

4.2.1 

接合部 丸ペンチの結合部の滑り接触面は,すきまが少なく,開閉が円滑でなければならない。 

なお,先端部の内側は,先端から約5mmの間が密着しなければならない。 

4.3 

機械的性質 

4.3.1 

変形 丸ペンチのくわえ部の先端から約2mmの箇所に,直径3.4mmの試験用鉄線を挟み,柄部最

大幅のところに荷重を加えて,表2のトルクを約1分間加えた後の柄部最大幅の永久ひずみ(1)は2%以下,

くわえ部先端の永久ひずみは0.3mm以下であり,左右の遊び(がた)の動きは,くわえ部の先端で0.5mm

以下でなければならない。 

注(1) 永久ひずみは,荷重を負荷する位置において,荷重を加える前の寸法の読みと荷重を除い

た後の寸法の読みとの差から求める。 

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B 4624 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 変形のトルク 

呼び寸法 

mm 

トルク 

N・m 

125 

24.5 

150 

29.4 

4.3.2 

硬さ 丸ペンチのくわえ部の硬さは,40〜50HRCとする。 

5. 材料 丸ペンチ本体の材料は,JIS G 4401のSK7,JIS G 4051のS15CK,又は4.に規定する品質と同

等以上の材料とする。 

6. 検査 丸ペンチの検査は,次による。 

a) 形状及び寸法の検査 丸ペンチの形状及び寸法の検査は,直尺,ノギスなどを用いて行い,3.に適合

しなければならない。 

b) 外観の検査 丸ペンチの外観の検査は,目視によって行い,4.1に適合しなければならない。 

c) 接合部の検査 丸ペンチの接合部の検査は,適切な用具又は感触によって行い,4.2.1に適合しなけれ

ばならない。 

d) 変形検査 丸ペンチの変形検査は,4.3.1に適合しなければならない。 

e) 硬さ検査 丸ペンチの硬さ検査は,JIS Z 2245によって行い,4.3.2に適合しなければならない。 

7. 製品の呼び方 丸ペンチの呼び方は,規格番号又は規格名称,及び呼び寸法による。 

例1. JIS B 4624 125 

例2. 丸ペンチ 150 

8. 表示 丸ペンチには,適切な箇所に,製造業者名又はその略号を表示する。 

なお,材料記号を表示することが望ましい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(規定) I形丸ペンチ 

1. 適用範囲 この附属書は,I形丸ペンチ(以下,丸ペンチという。)について規定する。また,この附

属書は,活線作業のための絶縁工具及び帯電防止工具には適用しない。プラスチックコーティング又はプ

ラスチックスリーブは,握りやすさを意図するものに限る。 

2. 寸法及び品質 

2.1 

寸法 寸法は,附属書1-1による。 

2.2 

品質 品質は,附属書1-1による。 

2.3 

技術的要求事項 技術的要求事項は,附属書1-2による。 

3. 試験方法 試験方法は,附属書1-3による。 

4. 検査 丸ペンチの検査は,次による。 

a) 形状及び寸法の検査 丸ペンチの形状及び寸法の検査は,直尺,ノギスなどを用いて行い,附属書1-1

の2.に適合しなければならない。 

b) 外観の検査 丸ペンチの外観の検査は,目視によって行い,附属書1-2の4.に適合しなければならな

い。 

c) 接合部の検査 丸ペンチの接合部の検査は,適切な用具又は感触によって行い,附属書1-2の3.1に

適合しなければならない。 

d) 変形検査 丸ペンチの変形検査は,附属書1-1の2.に適合しなければならない。 

e) ねじり検査 丸ペンチのねじり検査は,附属書1-1の2.に適合しなければならない。 

5. 製品の呼び方 丸ペンチの呼び方は,規格番号又は規格名称,この附属書に基づいて製作されたこと

を示す“I”,呼び寸法による。 

例1. JIS B 4624 I形 125 

例2. 丸ペンチ I形 160 

6. 表示 丸ペンチには,適切な箇所に,次の事項を表示する。 

なお,材料記号を表示することが望ましい。 

製造業者名又はその略号及びこの附属書に基づいて製作されたことを示すために“I”を表示する。 

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B 4624 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1-1(規定) Ⅰ形丸ペンチの寸法及び品質 

1. 適用範囲 この附属書は,I形丸ペンチの寸法及び品質について規定する。 

2. 寸法及び試験値 附属書1-1図1に図示している丸ペンチは,例として示す。したがって,製造業者

の設計に影響を与えるものではない。 

附属書1-1図1 形状 

附属書1-1表1 寸法 

単位mm 

ノーズの長さ 

L3 

D1 

最大 

W3 

最大 

最大 

ショートノーズ 

125±6 

25

5

0

− 

16 

ロングノーズ 

140±7 

40±4 

2.8 

17 

160±8 

50±5 

3.2 

19 

10 

180±9 

63±6.3 

3.6 

20 

10 

丸ペンチは,附属書1-3に従って試験する。 

変形試験の後,永久変形Sは,附属書1-1表2に示す値を超えてはならない。 

距離L1が変形試験に適していない場合は,次の式によってF-′を求める。 

'

'

1

1

L

L

F

F

×

ここに, Fは,附属書1-1表2に示す荷重である。 
 

L1は,かしめ部の中心から附属書1-1表2に示す荷重を加える

位置までの距離である。 

L1′は,かしめ部の中心から荷重を加える位置までの測定値で

ある。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1-1表2 試験値 

単位mm 

ノーズの長さ 

L1 

ねじり試験 

変形試験 

トルク 

(N・m) 

最大ねじれ角 

αmax 

(°) 

荷重 

 (N) 

最大永久変形 

Smax1) 

ショートノーズ 

125 

63 

±20 

630 

0.5 

ロングノーズ 

140 

63 

0.5 

±25 

630 

160 

71 

±25 

710 

180 

80 

1.25 

±25 

800 

1) S=W1−W2(附属書1-3参照) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1-2(規定) I形丸ペンチの一般的な技術的要求事項 

1. 適用範囲 この附属書は,I形丸ペンチの一般的な技術的要求事項について規定する。 

2. 柄部 柄部は,違和感なく握ることができるように形づくられ,手の偶発的な挟みを防止しなければ

ならない。柄部は,次の仕上げの一つに該当していなければならない。 

2.1 

滑らかな仕上げ 

2.2 

黒染め酸化鉄仕上げ 

2.3 

りん酸塩皮膜仕上げ 

2.4 

ラッカー仕上げ 

2.5 

電気めっき仕上げ 

2.6 

プラスチックコーティング又はプラスチックスリーブ仕上げ 

2.7 

ローレット仕上げ 

3. 頭部 

3.1 

接合部 接合部は,閉じた位置から開いた位置まで円滑に動かなければならない。また,どの位置

においても,丸ペンチの機能を損なうような遊び(がた)があってはならない。 

3.2 

くわえ部 すべての丸ペンチについて,くわえ部は先端で合わなければならない。 

寸法の規定において,別の仕様が定められている丸ペンチは除外する。 

4. 外観及び仕上げ 丸ペンチには,きず,さび及び非機能的な鋭い突起があってはならない。また,丸

ペンチが確実に良好な状態で使用者に届くようにするため,保護表面処理を施す。 

保護表面処理は,製造業者が決めることが望ましい。 

典型的な表面仕上げ又は表面処理は,次のとおりである。 

4.1 

化学合成酸化物皮膜 

4.2 

化学合成りん酸塩皮膜 

4.3 

磨き 

4.4 

電着金属皮膜 

4.5 

ラッカー塗り 

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附属書1-3(規定) I形丸ペンチの試験方法 

1. 適用範囲 この附属書は,I形丸ペンチの試験方法について規定する。 

2. 変形試験 

2.1 

一般 試験は,規定事項との比較による検査に適する装置を使用して実施する。 

2.2 

試験方法 丸ペンチのサイズ別に,かしめ部の中心から距離L1のところにある柄部に荷重を加える

位置を定め,くわえ部に適切な試験片を挿入する(2.3参照)。 

荷重50Nをかけ,柄部の幅W1を測定する。荷重Fを指定値まで増やし,次いで50Nまで減らす。 

荷重Fを4回かけ,次いで柄部の幅W2をもう一度同じ距離L1で測定する。 

最初の読取値と2番目の読取値との差 (W1−W2) は,永久変形の最大値Smaxを超えてはならない。 

丸ペンチのサイズについては,対応する附属書1-3図1を参照。 

附属書1-3図1 変形試験 

試験後,丸ペンチに,使用に支障をきたすような変形があってはならない。 

かしめ部の中心から距離L1で変形試験を規定したように実施できない場合は,かしめ部の中心からL1′

で荷重を加える,より適切な位置を選択する。 

かしめ部の中心から距離L1′でかける荷重F′は,次の式による。 

B 4624 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

'

'

1

1

L

L

F

F

×

ここに, Fは,距離L1における荷重である(附属書1-3図2参照)。 

2.3 

試験片 試験片は,硬さが30〜40HRCとし,くわえ部の先端から8mm±1mmの長さにわたりくわ

え部と接触するような寸法及び輪郭をもっていなければならない。 

試験片が挿入された状態で,くわえ部の先端の開きは3mm±1mmとする。 

3. ねじり試験 

3.1 

一般 丸ペンチを,規定事項との比較によって検査できるように装置に配置する。 

丸ペンチのサイズによるが,3.2に従って適切な試験片をくわえ部の適切な位置に挿入する。 

かしめ部の中心から距離L1のところで荷重50Nを柄部に加え,柄部をクランプして,ねじりモーメン

トを支えるようにする。両方向にトルクTを加える。 

角移動量/α/は,サイズに対して指定されている値を超えてはならない。 

試験の結果,発生するくわえ部の永久変形及び結合部の緩みが,丸ペンチの効率的な機能を損なっては

ならない。 

3.2 

試験片 丸ペンチのくわえ部の先端は,二つの穴をもつ試験片で保持する。 

穴は,直径が3.6mm,深さが3mmの平底とし,内部端面で4mmの寸法が得られるように中心線上に間

隔をとる。 

試験片の硬さは,45〜50HRCとする(附属書1-3図2参照)。 

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10 

B 4624 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1-3図2 ねじり試験 

11 

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JIS B 4624(丸ペンチ)改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(主査) 

竹 原   康 

東京都立科学技術大学 

(委員) 

杉 上 孝 二 

通商産業省機械情報産業局 

高 橋 孝 一 

通商産業省製品評価技術センター 

本 間   清 

工業技術院標準部 

菅 谷 伸 夫 

トヨタ自動車株式会社 

鷹 野 武 次 

日産アルティア株式会社 

徳 田 憲 暁 

財団法人鉄道総合技術研究所 

豊 島 国 男 

株式会社日立製作所 

中 西 忠 雄 

防衛庁装備局調達補給室 

中 村 智 男 

日本ねじ研究協会 

三 沢   彰 

東日本旅客鉄道株式会社 

森   浩 一 

東京ガス株式会社 

森 部 幸 男 

社団法人日本自動車整備振興会連合会 

吉 田 育 夫 

株式会社東芝 

岡 田 正 之 

北陽産業株式会社 

兼 古 耕 一 

株式会社兼古製作所 

小 山 喜一郎 

株式会社スリーピークス技研 

佐 藤 浩 輔 

京都機械工具株式会社 

田 口 一 重 

株式会社ベツセル工業 

田 中   

花園工具株式会社 

野 崎 誠 二 

フジ矢株式会社 

○ 長谷川   直 

株式会社マルト長谷川工作所 

前 田 英 治 

前田金属工業株式会社 

松 塚 允 宏 

旭金属工業株式会社 

室 本   治 

室本鉄工株式会社 

涌 井 伸 市 

株式会社涌井製作所 

渡 辺 鉄太郎 

金属作業工具工業組合 

(事務局) 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

三 塚 隆 正 

財団法人日本規格協会 

備考 ○印は,WG主査を示す。