(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS B 4623-1995は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,日本工業規格と国際規格との整合を図ることに重点を置き,対応国際規格の技術的内
容を変更することなく採用し附属書に規定した。さらに,旧JISの内容の一部を改正し,本体に規定した。
また,JIS Z 8301(規格票の様式)が1996年7月に改正されたのに伴い,それに従って規格票の様式も
変更した。
JIS B 4623には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定) I形ペンチ
附属書1-1(規定) I形ペンチの寸法及び品質
附属書1-2(規定) I形ペンチの一般的な技術的要求事項
附属書1-3(規定) I形ペンチの試験方法
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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日本工業規格 JIS
B 4623 : 1998
ペンチ
Cutting pliers
序文 この規格は,備考に示す国際規格を元に,本体には,従来日本工業規格で規定していた種類・等級
とこれらの形状・寸法,品質,検査,製品の呼び方及び表示を規定し,附属書には,対応国際規格を翻訳
し,技術的内容を変更することなく規定した日本工業規格であるが,対応国際規格にはない規定項目(検
査,製品の呼び方及び表示)を日本工業規格として追加している。
なお,附属書のうち,点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にない事項である。
備考 この規格の対応国際規格を次に示す。
ISO 5743 : 1988, Pliers and nippers−General technical requirements
ISO 5744 : 1988, Pliers and nippers−Methods of test
ISO 5746 : 1988, Pliers and nippers−Engineerʼs and linemanʼs pliers−Dimensions and test values
1. 適用範囲 この規格は,主に銅線類及び鉄線類の切断に用いる一般用ペンチ(以下,ペンチという。)
について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 7726 ロックウェル硬さ試験−試験機の検証
JIS G 3532 鉄線
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 4401 炭素工具鋼鋼材
JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験方法
3. 形状及び寸法 ペンチの形状及び寸法は,次のとおりとする。
a) ペンチの形状は,図1によるのがよい。
b) ペンチの寸法は,表1による。
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B 4623 : 1998
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図1 形状
表1 寸法
単位 mm
呼び寸法
a1
a2
b
L
寸法
許容差
寸法
許容差
最大
寸法
許容差
150
22又は23
±0.7
12.5
±0.7
50
160
±4
175
24又は25
13.5
52
185
200
26又は27
14.5
54
210
備考 dの寸法は,a1の寸法よりも2mmの範囲で小さくする。
4. 品質
4.1
外観 ペンチの外観は,割れ,有害なきず,まくれ,さび,その他使用上有害な欠点がなく,仕上
げの程度は良好でなければならない。
4.2
機能
4.2.1
接合部 ペンチの結合部の滑り接触面は,すきまが少なく,開閉が円滑でなければならない。
4.2.2
切れ味 ペンチの刃部のほぼ中央に,表2の試験用鉄線(1)を挟み,柄部に荷重を加えたとき,試験
用鉄線を表2の荷重以下で切断できなければならない。
注(1) 試験用鉄線は,JIS G 3532のSWM-Nとする。
表2 試験用鉄線及び荷重
単位 mm
呼び寸法
試験用鉄
線の線径
試験用鉄線をくわえる点の荷重
(N)
150
2.15
3 140
175
2.75
4 120
200
3.40
6 370
4.3
機械的性質
4.3.1
変形 ペンチの永久ひずみは,6.1によって試験を行ったとき,柄部最大幅の1%以下でなければな
らない。
4.3.2
耐衝撃性 ペンチの耐衝撃性は,6.2によって試験を行ったとき,刃部に抜け,割れ,著しい圧こ
んなどの異常があってはならない。
4.3.3
硬さ ペンチの刃部の硬さは,6.3によって試験を行ったとき,56〜64HRCとする。
3
B 4623 : 1998
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5. 材料 ペンチ本体の材料は,JIS G 4401のSK7,JIS G 4051のS15CK,又は4.に規定する品質と同等
以上の材料とする。
6. 試験方法
6.1
変形試験 ペンチの変形試験は,くわえ部の先端から約2mmの箇所に,直径3.4mmの試験用鉄線
を挟み,柄部最大幅のところに荷重を加えて表3のトルクを約1分間加え,荷重を加える前の寸法の読み
と荷重を除いた後の寸法の読みとの差を測定する。
表3 変形試験のトルク
呼び寸法
mm
トルク
N・m
150
58.8
175
88.3
200
123.0
6.2
衝撃試験 ペンチの衝撃試験は,ペンチを図2に示すように衝撃装置に固定し,刃部のほぼ中央に
表4に示す衝撃を与え,刃部に異常があるかどうかを調べる。このときの試験棒は,硬さが50HRC以上
の鋼材とする。
図2 衝撃装置
4
B 4623 : 1998
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表4 衝撃値
呼び寸法 mm
衝撃値 J
150
6.86
175
8.83
200
9.81
備考 1J=1N・m
6.3
硬さ試験 ペンチの刃部の硬さは,JIS B 7726に規定する試験機を用いて,JIS Z 2245に規定する試
験方法によって測定する。
7. 検査 ペンチの検査は,次による。
a) 形状及び寸法の検査 ペンチの形状及び寸法の検査は,直尺,ノギスなどを用いて行い,3.に適合し
なければならない。
b) 外観の検査 ペンチの外観の検査は,目視によって行い,4.1に適合しなければならない。
c) 接合部の検査 ペンチの接合部の検査は,適切な用具又は感触によって行い,4.2.1に適合しなければ
ならない。
d) 切れ味検査 ペンチの切れ味検査は,4.2.2に適合しなければならない。
e) 変形検査 ペンチの変形検査は,4.3.1に適合しなければならない。
f)
耐衝撃性検査 ペンチの耐衝撃性検査は,4.3.2に適合しなければならない。
g) 硬さ検査 ペンチの硬さ検査は,4.3.3に適合しなければならない。
8. 製品の呼び方 ペンチの呼び方は,規格番号又は規格の名称,及び呼び寸法による。
例1. JIS B 4623 150
例2. ペンチ 175
9. 表示 ペンチには,適切な箇所に,製造業者名又はその略号を表示する。
なお,材料記号を表示することが望ましい。
5
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附属書1(規定) I形ペンチ
1. 適用範囲 この附属書は,I-1形ペンチ及びI-2形ペンチ(以下,ペンチという。)について規定する。
この附属書は,活線作業のための絶縁工具及び帯電防止工具には適用しない。プラスチックコーティング
又はプラスチックスリーブは,握りやすさを意図するものに限る。
2. 寸法及び品質
2.1
寸法 寸法は,附属書1-1による。
2.2
品質 品質は,附属書1-1による。
2.3
技術的要求事項 技術的要求事項は,附属書1-2による。
3. 試験方法 試験方法は,附属書1-3による。
4. 検査 ペンチの検査は,次による。
a) 形状及び寸法の検査 ペンチの形状及び寸法の検査は,直尺,ノギスなどを用いて行い,附属書1-1
の2.に適合しなければならない。
b) 外観の検査 ペンチの外観の検査は,目視によって行い,附属書1-2の4.に適合しなければならない。
c) 接合部の検査 ペンチの接合部の検査は,適切な用具又は感触によって行い,附属書1-2の3.1に適
合しなければならない。
d) 切れ味検査 ペンチの切れ味検査は,附属書1-1の2.及び附属書1-3の5.に適合しなければならない。
e) 変形検査 ペンチの変形検査は,附属書1-1の2.に適合しなければならない。
f)
ねじり検査 ペンチのねじり検査は,附属書1-1の2.に適合しなければならない。
g) 硬さ検査 ペンチの硬さ検査は,附属書1-2の3.2に適合しなければならない。
5・ 製品の呼び方 ペンチの呼び方は,規格番号又は規格名称,この附属書に基づいて製作されたことを
示す“I”,形式及び呼び寸法による。
例1. JIS B 4623I-1形 160
例2. ペンチI-2形 200
6. 表示 ペンチには,適切な箇所に,次の事項を表示する。
なお,材料記号を表示することが望ましい。
a) 形式を表す記号(1形又は2形)
b) 製造業者名又はその略号及びこの附属書に基づいて製作されたことを示すために“I”を表示する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書1-1(規定) I形ペンチの寸法及び品質
1. 適用範囲 この附属書は,I形ペンチの寸法及び品質について規定する。
2. 寸法及び試験値 ここに図示しているペンチは,例として示す。したがって,製造業者の設計に影響
を与えるものではない。
2.1
I-1形ペンチ
附属書1-1図1 形状
附属書1-1表1 寸法
単位 mm
L
L3
W3
最大
W4
最大
T1
最大
160± 8
32±4
24
6.3
11
180± 9
36±4
28
7.1
12
200±10
40±4
32
8
14
I-1形ペンチには,ジョイントカッタを付けてもよい。
I-1形ペンチは,附属書1-3に従って試験する。
変形試験の後,永久変形Sは,附属書1-1表2に示す値を超えてはならない。
距離L1が変形試験に適していない場合は,次の式によってF'を求める。
'
'
1
1
L
L
F
F
×
=
ここに, Fは,附属書1-1表2に示す荷重である。
L1は,かしめ部の中心から附属書1-1表2に示す荷重を加える位置ま
での距離である。
L1'は,かしめ部の中心から荷重を加える位置までの測定値である。
7
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切断力F1及び試験用ワイヤの直径Dは,附属書1-1表2に示す値を超えてはならない。
附属書1-1表2 試験値
単位 mm
L
L1
L2
切れ味試験
ねじり試験2)
変形試験
試験用ワイ
ヤやの直径
D1)
最大切断力
F1.max
N
トルク
T
N・m
最大ねじれ
角
αmax
゜
荷重
F
N
最大永久
変形
Smax3)
160
80
16
1.6
580
20
±15
1 120
1
180
90
18
1.6
580
25
±15
1 260
1
200
100
20
1.6
580
25
±15
1 400
1
1) 試験用ワイヤのデータは,附属書1-3に示す。
2) 試験は,附属書1-3 に示すペンチのねじり試験に従って実施する。
3) S=W1−W2(附属書1-3)参照
附属書1-1表2に示す値と異なるレバー比をもつペンチの切断力F'は次の式による。
'
'
6.1
'
1
2
2
L
L
F
F
×
×
=
ここに, F2は,試験用ワイヤの切断力である(附属書1-3参照)。
1.6は,試験用ワイヤの補正係数である。
L1'は,かしめ部の中心から荷重を加える位置までの測定距離である。
L2'は,かしめ部の中心から試験用ワイヤの位置までの測定距離である。
2.2
1-2形ペンチ
附属書1-1図2 形状
8
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附属書1-1表3 寸法
単位 mm
L
L3
W3
最大
W4
最大
T1
最大
160± 8
28±4
25
6.3
11
180± 9
32±4
28
7.1
12
200±10
36±4
32
8
14
I-2形ペンチには,ジョイントカッタを付けてもよい。
I-2形ペンチは,附属書1-3に従って試験する。
変形試験の後,永久変形Sは,附属書1-1表4に示す値を超えてはならない。
距離L1が変形試験に適していない場合は,次の式によってF'を求める。
'
'
1
1
L
L
F
F
×
=
ここに, Fは,附属書1-1表4に示す荷重である。
L1は,かしめ部の中心から附属書1-1表4に示す荷重を加える位置ま
での距離である。
L1'は,かしめ部の中心から荷重を加える位置までの測定値である。
切断力F1及び試験用ワイヤの直径Dは,附属書1-1表4に示す値を超えてはならない。
附属書1-1表4 試験値
単位 mm
L
L1
L2
切れ味試験
変形試験
試験用
ワイヤの直径
D1)
最大切断力
F1max
N
荷重
F
N
最大永久変形
Smax2)
160
80
16
1.6
580
1 120
1
180
90
18
1.6
580
1 260
1
200
100
20
1.6
580
1 400
1
1) 試験用ワイヤのデータは,附属書1-3に示す。
2) S=W1−W2(附属書1-3参照)
附属書1-1表4に示す値と異なるレバー比をもつペンチの切断力F'は,次の式による。
'
'
6.1
'
1
2
2
L
L
F
F
×
×
=
ここに, F2は,試験用ワイヤの切断力である(附属書1-3参照)。
1.6は,試験用ワイヤの補正係数である。
L1'は,かしめ部の中心から荷重を加える位置までの測定距離である。
L2'は,かしめ部の中心から試験用ワイヤの位置までの測定距離である。
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附属書1-2(規定) I形ペンチの一般的な技術的要求事項
1. 適用範囲 この附属書は,I形ペンチの一般的な技術的要求事項について規定する。
2. 柄部 柄部は,違和感なく握ることができるように形づくられ,手の偶発的な挟みを防止し,かつ,
次の仕上げの一つに該当していなければならない。
2.1
滑らかな仕上げ
2.2
黒染め酸化鉄仕上げ
2.3
りん酸塩皮膜仕上げ
2.4
ラッカー仕上げ
2.5
電気めっき仕上げ
2.6
プラスチックコーティング又はプラスチックスリーブ仕上げ
2.7
ローレット仕上げ
3. 頭部
3.1
接合部 接合部は,閉じた位置から開いた位置まで円滑に動かなければならない。また,どの位置
においても,ペンチの機能を損なうような遊び(がた)があってはならない。
3.2
あご すべてのペンチについて,あごは閉じたときに,ペンチの機能を損なうような左右のくい違
いがあってはならない。
寸法の規定において,別の仕様が定められているペンチは除外する。
すべてのペンチについて,くわえ面の硬さは440HV (≒44HRC) 以上でなければならない。
硬さは,附属書1-3に従って測定する。
4. 外観及び仕上げ ペンチには,きず,さび及び非機能的な鋭い突起があってはならない。また,ペン
チが確実に良好な状態で使用者に届くようにするため,保護表面処理を施す。
保護表面処理は,製造業者が決めることが望ましい。
典型的な表面仕上げ又は表面処理は,次のとおりである。
4.1
化学合成酸化物皮膜
4.2
化学合成りん酸塩皮膜
4.3
磨き
4.4
電着金属皮膜
4.5
ラッカー塗り
10
B 4623 : 1998
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附属書1-3(規定) I形ペンチの試験方法
1. 適用範囲 この附属書は,I形ペンチの試験方法について規定する。
2. 変形試験
2.1
概要 試験は,規定事項との比較による検査に適する装置を使用して実施する。
2.2
試験方法 ペンチのタイプとサイズ別に,かしめ部の中心から距離L1のところにある柄部に荷重を
加える位置を定め,くわえ部に適切な試験片を挿入する(2.3参照)。
荷重50Nを加え,柄部の幅W1を測定する。荷重Fを指定値まで増やし,次いで50Nまで減らす。
荷重Fを4回かけ,次いで柄部の幅W2をもう一度同じ距離L1で測定する。
最初の読取値と2番目の読取値との差 (W1−W2) は,永久変形の最大値Smaxを超えてはならない。
試験後,ペンチに,使用に支障をきたすような変形があってはならない。
ペンチのタイプ及びサイズについては,対応する附属書1-3図1を参照。
附属書1-3図1 変形試験
かしめ部の中心から距離L1で変形試験を規定したように実施できない場合は,かしめ部の中心からL1'
で荷重を加える,より適切な位置を選択する。
かしめ部の中心から距離L1'で加える荷重F'は,次の式による。
'
'
1
1
L
L
F
F
×
=
ここに, Fは,距離L1における荷重である(附属書1-3図1参照)。
2.3
試験片 試験片は,硬さが30〜40HRCとし,くわえ部の先端から8mm±1mmの長さにわたり,く
わえ部と接触するような寸法及び輪郭をもたなければならない。
試験片が挿入された状態で,くわえ部の先端の開きは3mm±1mmとする。
11
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3. ワイヤ切断試験
3.1
試験用ワイヤの確認 切断試験に使用するワイヤは,まず,規定事項との比較によって検査できる
装置で確認しなければならない。
試験装置に二つの超硬合金刃を組み立てる。この場合,刃部角度60°±1°,刃部の半径が0.3mmにな
るように研磨し,刃部が互いに平行になるようにし,また,試験用ワイヤと直角をなすようにする(附属
書1-3図2参照)。
ワイヤの切断に必要な力を記録する。
三つの読取値の平均値は,3.2に示す値を満足していなければならない。
附属書1-3図2 試験装置
3.2
切断力
附属書1-3表1 試験用ワイヤ
ワイヤの直径
D
mm
近似引張強さ1)
N/mm2
切断力
F2
N
1.6
1 600
1 800±90
1) 引張強さは,参考として示す。
3.3
切れ味試験 確認済みの試験用ワイヤを使用し,ペンチを規定事項との比較によって検査できるよ
うに試験装置に配置する。
試験用ワイヤをペンチの刃部に挿入し,ペンチのタイプとサイズに従ってL1及びL2で定めた柄部の位
置に力F1を加える。
切れ味試験がL1及びL2で定めた位置で規定したように実施できない場合は,L1'及びL2'で定められる,
より適切な位置を選択する。この場合,切断力F1´は,次の式による。
'
'
6.1
'
1
2
2
L
L
F
F
×
×
=
ここに, F1'は,寸法の規定で規定されていない最大切断力である。
F2は,附属書1-3表1に従っている切断力である。
1.6は,補正係数である。
試験用ワイヤの切断に必要な力F1を測定する。この力は,ペンチのタイプとサイズに対して規定されて
いる最大切断力F1maxの値を超えてはならない。
試験終了時,刃部にペンチの切断性能に悪影響を与えるような目に見える圧こん又は変形があってはな
らない。
ペンチは,使用に支障をきたすような損傷を受けてはならない。
12
B 4623 : 1998
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この試験の後に,軟ワイヤ切断試験を,5.に従って実施する。
4. ねじり試験
4.1
一般 ペンチを,規定事項との比較によって検査できるように装置に配置する。
ペンチのサイズによるが,4.2に従って適切な試験片をくわえ部の適切な位置に挿入する。
かしめ部の中心から距離L1のところで荷重50Nを柄部に加え,柄部をクランプして,ねじりモーメン
トを支えるようにする。両方向にトルクTを加える。
角移動量αは,サイズに対して指定されている値を超えてはならない。
試験の結果,発生するくわえ部の永久変形及び結合部の緩みが,ペンチの効率的な機能を損なってはな
らない。
4.2
試験片 ペンチの場合,試験片は厚さが3mm,幅が12mm,硬さが45〜50HRCとする。
試験片は,ペンチのくわえ部の間に深さ6mm±1mmまで挿入する(附属書1-3図3参照)。
附属書1-3図3 ねじり試験
5. 軟ワイヤ切断試験 切れ味試験の終了後,ペンチは,次に示す要領で軟ワイヤを切断できなければな
らない。
試験用ワイヤを附属書1-3図4に示す例に従ってペンチの刃部の間に位置決めする。
附属書1-3表2に示す試験用ワイヤは,切断試験を容易にするため,曲げ又は引張り応力を与えること
なく,完全に切断する。
最大長さが25mmの試験用ワイヤ片を,ペンチの刃部の間に位置決めする。
このワイヤ片は,ペンチの刃部だけで保持し,柄部に手で力を加えるだけで切断する。
附属書1-3表2 軟試験用ワイヤの材料及び直径
ワイヤ材及び対応国際規格
近似引張強さ
MPa
ワイヤの直径
D
mm
青銅
CuSn6
ISO 427 (JIS H 3270)
740〜830
1
13
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附属書1-3図4 軟試験用ワイヤの位置の例
ペンチは,刃部の全長にわたり軟試験用ワイヤを切断する。
6. くわえ部の表面の硬さ くわえ部の表面,又はくわえ部の表面から1mm以下の距離にある隣接側面
の硬さを測定する。
14
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JIS B 4623(ペンチ)改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(主査)
竹 原 康
東京都立科学技術大学
(委員)
杉 上 孝 二
通商産業省機械情報産業局
高 橋 孝 一
通商産業省製品評価技術センター
本 間 清
工業技術院標準部
菅 谷 伸 夫
トヨタ自動車株式会社
鷹 野 武 次
日産アルティア株式会社
徳 田 憲 暁
財団法人鉄道総合技術研究所
豊 島 国 男
株式会社日立製作所
中 西 忠 雄
防衛庁装備局調達補給室
中 村 智 男
日本ねじ研究協会
三 沢 彰
東日本旅客鉄道株式会社
森 浩 一
東京ガス株式会社
森 部 幸 男
社団法人日本自動車整備振興会連合会
吉 田 育 夫
株式会社東芝
岡 田 正 之
北陽産業株式会社
兼 古 耕 一
株式会社兼古製作所
小 山 喜一郎
株式会社スリーピークス技研
佐 藤 浩 輔
京都機械工具株式会社
田 口 一 重
株式会社ベッセル工業
田 中
花園工具株式会社
野 崎 誠 二
フジ矢株式会社
○ 長谷川 直
株式会社マルト長谷川工作所
前 田 英 治
前田金属工業株式会社
松 塚 允 宏
旭金属工業株式会社
室 本 治
室本鉄工株式会社
涌 井 伸 市
株式会社涌井製作所
渡 辺 鉄太郎
全国作業工具工業組合
(事務局)
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
三 塚 隆 正
財団法人日本規格協会
備考 ○印は,WG主査を示す。