B 4217 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS B 4217-1988は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,国際整合化を図るため,ISO 3337 : 1978 T-slot cutters with plain or flatted parallel shanks
and with Morse taper shanks having tapped hole−Metric series(ストレートシャンク及びテーパシャンクT溝
フライス)を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 4217 : 1998
T溝フライス
Milling cutters−T-slot cutters
序文 この規格は,1978年に第2版として発行されたISO 3337 T-slot cutters with plain or flatted parallel
shanks and with Morse taper shanks having tapped hole−Metric seriesを基に作成した日本工業規格であり,対
応国際規格と対応する部分については,技術的内容を変更することなく作成しているが,対応国際規格に
は規定されていない規定項目(定義,品質,材料,試験方法,検査,製品の呼び方及び表示)及び規定内
容(形状及び寸法における呼びの16, 20, 25及び32)を追加している。
1. 適用範囲 この規格は,JIS B 0952に規定する呼び寸法が5〜54mmのT溝の加工に用いるT溝フラ
イス(以下,フライスという。)について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 3337 : 1978 T-slot cutters with plain or flatted parallel shanks and with Morse taper shanks
having tapped hole−Metric series
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0021 製品の幾何特性仕様 (GPS) 幾何公差表示方式−形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方
式
JIS B 0172 フライス用語
JIS B 0401-2 寸法公差及びはめあいの方式−第2部:穴及び軸の公差等級並びに寸法許容差の表
JIS B 0405 普通公差−第1部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差
JIS B 0601 表面粗さ−定義及び表示
JIS B 0659 比較用表面粗さ標準片
JIS B 0952 T溝
JIS B 1011 センタ穴
JIS B 1501 玉軸受用鋼球
JIS B 3301 モールステーパゲージ
JIS B 4003 モールステーパ部をもつシャンク及びソケット−形状・寸法
JIS B 4005 フライス用ストレートシャンク部−形状・寸法
JIS B 7503 ダイヤルゲージ
JIS B 7513 精密定盤
JIS B 7540 Vブロック
JIS B 7725 ビッカース硬さ試験−試験機の検証
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B 4217 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS B 7726 ロックウェル硬さ試験−試験機の検証
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 4403 高速度工具鋼鋼材
JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法
JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験方法
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 0172による。
4. 種類 フライスの種類は,シャンクの形状によって,(プレイン)ストレートシャンクT溝フライス(1),
フラット付きストレートシャンクT溝フライス及びテーパシャンクT溝フライスの3種類とする。
注(1) 紛らわしくない場合は,括弧を付けた文字は,省略してもよい。
5. 形状・寸法 フライスの形状及び寸法は,表1及び表2による。
表1 ストレートシャンクT溝フライスの形状及び寸法
3
B 4217 : 1998
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単位 mm
呼び
外径 D
幅 b
シャンク径 d
全長
L
首の
長さ
ln
+1
0
首径
dn
(最大)
参考
基準
寸法
許容差
h12
基準
寸法
許容差
h12
基準
寸法
許容差
f
(最大)
g
(最大)
刃数
Z
対応する
T溝の呼
び寸法
プレインストレ
ートシャンク
h8
フラット付きス
トレートシャン
ク h6
5
11
0
−0.18
3.5
0
−0.12
10
0
−0.022
0
−0.009
53.5 10
4
0.6
1.0
6
5
6
12.5
6
57
11
5
6
8
16
8
0
−0.15
62
14
7
8
10
18
12
0
−0.027
0
−0.011
70
17
8
10
12
21
0
−0.21
9
74
20
10
12
14
25
11
0
−0.18
16
82
23
12
1.6
14
(16) 29
12.5
85
24.5
13
(16)
18
32
0
−0.25
14
90
28
15
1.0
8
18
(20) 36
15.5
25
0
−0.033
0
−0.013
101
29.5
17
2.5
(20)
22
40
18
108
34
19
22
(24) 45
20
0
−0.21
112
36
21
10
(24)
28
50
22
32
0
−0.039
0
−0.016
124
42
25
28
(32) 57
0
−0.3
24
131
47
28
12
(32)
36
60
28
139
51
30
36
備考1. 外径D,幅b及びシャンク径dの許容差は,JIS B 0401-2による。
2. 全長Lの許容差は,JIS B 0405に規定する公差等級c(粗級)とする。
3. センタ穴は,JIS B 1011による。
4. プレインストレートシャンクの形状及び寸法は,JIS B 4005のR形による。
5. フラット付きストレートシャンクの形状及び寸法は,JIS B 4005による。
6. 呼びに括弧を付けたものは,なるべく用いない。
参考 量記号は,ISO 3337では,外径をb,幅をcと表示している。
表2 テーパシャンクT溝フライスの形状及び寸法
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B 4217 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
呼び
外径 D
幅 b
全長
L
モールステ
ーパ番号
首の長さ
ln
+1
0
首径
dn
(最大)
参考
基準
寸法
許容差
h12
基準
寸法
許容差
h12
f
(最大)
g
(最大)
刃数
Z
対応するT溝の
呼び寸法
10
18
0
−0.18
8
0
−0.15
82
1
17
8
0.6
1.0
6
10
12
21
0
−0.21
9
98
2
20
10
12
14
25
11
0
−0.18
103
23
12
1.6
14
(16)
29
12.5
106
24.5
13
1.0
(16)
18
32
0
−0.25
14
111
28
15
8
18
(20)
36
15.5
131
3
29.5
17
2.5
(20)
22
40
18
138
34
19
22
(24)
45
20
0
−0.21
142
36
21
10
(24)
28
50
22
173
4
42
25
28
(32)
57
0
−0.3
24
180
47
28
12
(32)
36
60
28
188
51
30
36
42
72
35
0
−0.25
229
5
58
36
1.6
4.0
14
42
48
85
0
−0.35
40
240
64
42
2.0
6.0
48
54
95
44
251
71
44
54
備考1. 外径D及び幅bの許容差は,JIS B 0401-2による。
2. 全長Lの許容差は,JIS B 0405に規定する公差等級c(粗級)とする。
3. センタ穴は,JIS B 1011による。
4. シャンクの形状及び寸法は,JIS B 4003に規定するねじ付きシャンクによる。
5. 呼びに括弧を付けたものは,なるべく用いない。
参考 量記号は,ISO 3337では,外径をb,幅をcと表示している。
6. 品質
6.1
外観 フライスの外観は,地きず及び割れ並びに有害なまくれ,きず,さび,接合不良などの欠点
がなく,仕上げは,良好でなければならない。
6.2
表面粗さ フライスの刃部の表面粗さは,8.1による試験を行ったとき,すくい面でJIS B 0601に規
定する1.60μmRa (6.3μmRy) 以下とする。
6.3
硬さ フライスの刃部の硬さは,8.2による試験を行ったとき,63HRC以上又は772HV以上とする。
シャンクは,有害な変形又は損傷を起こさないよう適切な熱処理を施さなければならない。
6.4
振れ フライスの刃部の振れは,8.3による試験を行ったとき,図1による。
備考 図示方法は,JIS B 0021による。
図1 フライスの刃部の振れの公差
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B 4217 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7. 材料 フライスの材料は,JIS G 4403に規定するSKH51又はこれと同等以上の性能をもつものとする。
なお,溶接フライスのシャンクの材料は,JIS G 4051に規定するS55C又はこれと同等以上の性能をも
つものとする。
8. 試験方法
8.1
表面粗さ フライスの刃部及びシャンクの表面粗さは,目視によってJIS B 0659に規定する比較用
表面粗さ標準片と比較測定する。
8.2
硬さ フライスの刃部の硬さは,JIS B 7726に規定するロックウェル硬さ試験機を用いて,JIS Z
2245に規定するロックウェル硬さ試験方法によって測定する。ただし,ロックウェル硬さ試験機によって
測定できない場合は,JIS B 7725に規定するビッカース硬さ試験機を用いて,JIS Z 2244に規定するビッ
カース硬さ試験方法によって測定してもよい。
なお,試験機による測定が困難な場合は,やすりによる比較測定を行ってもよい。
8.3
振れ フライスの刃部の振れは,図2のように精密定盤の上に置いたVブロックで支え,切れ刃に
垂直にダイヤルゲージを当て,矢の方向に回しながらダイヤルゲージの指針の動きを読む。読みの最大値
と最小値との差を測定値とする。
備考1. 精密定盤は,JIS B 7513に規定する1級とする。
2. ダイヤルゲージは,JIS B 7503に規定する目量0.01mmダイヤルゲージとする。
3. Vブロックは,JIS B 7540に規定する1級とする。
4. 測定用ゲージは,テーパ穴をもち,その精度は,JIS B 3301による。測定用ゲージの外周の
真円度及びテーパ部と外周との同軸度は,それぞれ2μm以下とする。
5. 鋼球は,JIS B 1501による。
図2 刃部の振れの測定方法
9. 検査 フライスの検査は,形状・寸法,外観,表面粗さ,硬さ及び振れについて行い,それぞれ5.及
び6.1〜6.4の規定に適合しなければならない。
10. 製品の呼び方 フライスの呼び方は,種類,呼び及び刃部の材料記号(2)による。
例1. ストレートシャンクT溝フライス 14
SKH51
例2. テーパシャンクT溝フライス
10
HSS-Co
注(2) 使用材料が,SKH51又はこれと同等の場合は,HSSと,また,SKH55又はこれと同等の場合に
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B 4217 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
はHSS-Coと呼んでもよい。
11. 表示
11.1 製品の表示 フライスには,シャンク又は首部に刃部を下又は左にして,次の事項を横書きに表示
する。
例
a) 呼び
:14
b) 刃部の材料記号(3)
:SKH51
c) 製造業者名又はその略号
注(3) 使用材料が,SKH51又はこれと同等の場合は,HSSと,また,SKH55又はこれと同等の場合に
はHSS-Coと表示してもよい。
11.2 包装の表示 フライスの包装には,種類及び11.1に規定する事項を表示する。
国際整合化調査研究委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
村 田 良 司
東京理科大学理工学部
中 嶋 誠
通商産業省機械情報産業局
本 間 清
工業技術院標準部
伊 藤 哲
工業技術院機械技術研究所
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会技術部
野 上 彰
株式会社不二越
羽 山 隆 貫
日立ツール株式会社
片 桐 泰 典
株式会社不二越
日下部 祐 次
神鋼コベルコツール株式会社
宮 林 光 行
株式会社彌満和製作所
倉 持 建
日本高周波鋼業株式会社
舞 田 靖 司
社団法人日本機械工業連合会
岡 安 英 雄
社団法人日本工作機械工業会
西 村 欣 也
社団法人日本歯車工業会
石 川 侑 男
社団法人日本金型工業会
安 武 昭 彦
社団法人日本工作機器工業会
手 取 正 輝
いすゞ自動車株式会社川崎工場
(関係者)
小 峰 武 夫
コベルコツールエンジニアリング株式会社
白 土 秀 明
オーエスジー株式会社
佐 藤 直 彦
理研製鋼株式会社
木 村 育 夫
株式会社三興製作所
(事務局)
平 野 武 治
日本工具工業会
西 垣 吉麻呂
日本工具工業会