B 2803:2007
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人 日本産業
機械工業会(JSIM)/財団法人 日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき
との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これ
によって,JIS B 2803:1996は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS B 2803には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定)使用荷重10 t以上のフックの使用荷重及びプルーフロード
附属書2(規定)アイフック
附属書3(規定)ロッキングフック
附属書4(参考)フックの使用基準
附属書5(参考)フックの点検基準
附属書6(参考)JISと対応する国際規格との対比表
̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲
主 務 大 臣:経済産業大臣 制定:昭和35.3.1 改正:平成×.×.×
官 報 公 示:平成×.×.×
原 案 作 成 者:社団法人日本産業機械工業会
(〒105-0011 東京都港区芝公園3丁目5-8 機械振興会館 Tel. 03-3434-6821)
財団法人日本規格協会
(〒107-8440 東京都港区赤坂4丁目1-24 Tel. 03-5770-1573)
審 議 部 会:日本工業標準調査会 機械要素技術委員会(部会長 大園 成夫)
この規格についての意見又は質問は,上記原案作成者又は経済産業省産業技術環境局 基準認証ユニット産業基盤標準
化推進室(〒100-8901 東京都千代田区霞が関1丁目3-1)にご連絡ください。
なお,日本工業規格は,工業標準化法第15条の規定によって,少なくとも5年を経過する日までに日本工業標準調査
会の審議に付され,速やかに,確認,改正又は廃止されます。
B 2803:2007
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 種類 ······························································································································ 1
5. 性能 ······························································································································ 2
5.1 使用荷重 ······················································································································ 2
5.2 プルーフロード ············································································································· 2
5.3 静的強さ ······················································································································ 2
5.4 疲れ強さ ······················································································································ 3
6. 形状及び主要寸法 ············································································································ 3
6.1 形状 ···························································································································· 3
6.2 主要寸法 ······················································································································ 6
7. 外観 ······························································································································ 7
8. 材料 ······························································································································ 7
9. 製造方法 ························································································································ 7
10. 試験 ···························································································································· 7
10.1 プルーフロード試験 ······································································································ 8
10.2 静的強さ試験 ··············································································································· 9
10.3 疲れ強さ試験 ··············································································································· 9
11. 検査 ···························································································································· 9
11.1 形状,主要寸法及び外観 ································································································ 9
11.2 プルーフロード及び静的強さ ·························································································· 9
11.3 疲れ強さ ····················································································································· 9
12. 製品の呼び方 ················································································································ 9
13. 表示 ···························································································································· 9
附属書1(規定)使用荷重10 t以上のフックの使用荷重及びプルーフロード ··································· 11
附属書2(規定)アイフック ·································································································· 12
附属書3(規定)ロッキングフック ························································································· 18
附属書4(参考)フックの使用基準 ························································································· 24
附属書5(参考)フックの点検基準 ························································································· 26
附属書6(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ·································································· 28
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 2803:2007
フック
Hooks
序文 この規格は,シャンクフック,アイフック及びロッキングフックについて規定した日本工業規格で
ある。
アイフックに関するISO 7597:1987の規定内容については,1987年に第1版として発行されたISO
7597:1987,Forged steel lifting hooks with point and eye for use with steel chains of grade T(8)を技術的内容を変
更することなく翻訳し,附属書2(規定)として規定する。
なお,この規格で点線の下線を施している箇所は,現国際規格にない事項である。また,改正された日
本工業規格を元に国際規格には規定のない,シャンクフック及びロッキングフックについて提案を行い,
将来的には一本化する予定である。
1. 適用範囲 この規格は,巻上機,クレーン,つり具などに使用する片フックのシャンクフック,アイ
フック及びロッキングフック(以下,フックという。)について規定する。
この規格の対応国際規格ISO 7597に規定するアイフックは,附属書2による。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 7597:1987 Forged steel lifting hooks with point and eye for use with steel chains of grade
T(8)(MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0148 巻上機−用語
JIS G 0565 鉄鋼材料の磁粉探傷試験方法及び磁粉模様の分類
JIS Z 2343-1 非破壊検査−浸透探傷試験−第1部:一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の
分類
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 0148による。
4. 種類 フックの種類は,次による。
a) フックは,形状によって,シャンクフック (S) 及びアイフック (E) とする。
b) フックの種類は,フックの形状,フック番号及び等級によって,表1による。
c) 等級8のロッキングフックは附属書3による。
2
B 2803:2007
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表 1 フックの種類
フック番号
等級
4
5
6
8
10
1
○
○
○
○
○
2
○
○
○
○
○
3
○
○
○
○
○
4
○
○
○
○
○
5
○
○
○
○
○
6
○
○
○
○
○
7
○
○
○
○
○
8
○
○
○
○
○
9
○
○
○
○
○
10
○
○
○
○
○
11
○
○
○
○
○
12
○
○
○
○
○
13
○
○
○
○
○
14
○
○
○
○
○
15
○
○
○
○
○
16
○
○
○
○
○
17
○
○
○
○
○
18
○
○
○
○
○
19
○
○
○
○
○
20
○
○
○
○
○
21
○
○
○
○
○
22
'○
○
○
○
○
23
○
○
○
○
○
24
○
○
○
○
○
25
○
○
○
○
○
26
○
○
○
○
−
27
○
○
○
−
−
28
○
○
−
−
−
29
○
−
−
−
−
備考 シャンクフックは,上記の太線の範囲内とし,アイフックは,点線と下の太線との範囲とする。
5. 性能
5.1
使用荷重 使用荷重は,表2又は附属書1による(1)。
注(1) 使用する頻度が高い場合,衝撃力が作用する場合,及び低温度,高温度,腐食雰囲気など特殊
な状態で使用する場合は,安全性を考慮した荷重で使用しなければならない。
備考 フックの使用荷重が10 t以上のフックでは,フックの使用荷重及びプルーフロードについて表
2の代わりに,附属書1表1のものを適用してもよい。
5.2
プルーフロード フックは,表2又は附属書1に規定するプルーフロードを加えた状態で,異常が
あってはならない。プルーフロードを加えた後のフックの口の開きの永久変形量は,10.1に規定する方法
によって試験したとき,0.25 %以下で,フックの各部に,き裂及び永久変形があってはならない。
5.3
静的強さ フックは10.2に規定する方法によって試験したとき,表2のプルーフロードの2倍以上
の引張荷重に耐えなければならない。
3
B 2803:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.4
疲れ強さ フックは10.3に規定する方法によって試験したとき,繰返し数20 000回に耐えなければ
ならない。
備考 疲れ強さは,使用荷重10 t以下のフックに適用する。
表 2 フックの使用荷重及びプルーフロード
フック番号
使用荷重 t
プルーフロード kN
等級4
等級5
等級6
等級8
等級10
等級4
等級5
等級6
等級8 等級10
1
0.1 以下 0.13 以下 0.16 以下 0.2 以下 0.25 以下
2.0
2.6
3.2
4.0
5.0
2
0.13 以下 0.16 以下 0.2 以下 0.25 以下 0.32 以下
2.6
3.2
4.0
5.0
6.3
3
0.16 以下 0.2 以下 0.25 以下 0.32 以下 0.4 以下
3.2
4.0
5.0
6.3
8.0
4
0.2 以下 0.25 以下 0.32 以下 0.4 以下 0.5 以下
4.0
5.0
6.3
8.0
10
5
0.25 以下 0.32 以下 0.4 以下 0.5 以下 0.63 以下
5.0
6.3
8.0
10
12.5
6
0.32 以下 0.4 以下 0.5 以下 0.63 以下 0.8 以下
6.3
8.0
10
12.5
16
7
0.4 以下 0.5 以下 0.63 以下 0.8 以下 1
以下
8.0
10.
12.5
16
20
8
0.5 以下 0.63 以下 0.8 以下 1
以下 1.25 以下
10
12.5
16
20
25
9
0.63 以下 0.8 以下 1
以下 1.25 以下 1.6 以下
12.5
16
20
25
31.5
10
0.8 以下 1
以下 1.25 以下 1.6 以下 2
以下
16
20
25
31.5
40
11
1
以下 1.25 以下 1.6 以下 2
以下 2.5 以下
20
25
31.5
40
50
12
1.25 以下 1.6 以下 2
以下 2.5 以下 3.2 以下
25
31.5
40
50
63
13
1.6 以下 2
以下 2.5 以下 3.2 以下 4
以下
31.5
40
50
63
80
14
2
以下 2.5 以下 3.2 以下 4
以下 5
以下
40
50
63
80
100
15
2.5 以下 3.2 以下 4
以下 5
以下 6.3 以下
50
63
80
100
125
16
3.2 以下 4
以下 5
以下 6.3 以下 8
以下
63
80
100
125
160
17
4
以下 5
以下 6.3 以下 8
以下 10 以下
80
100
125
160
200
18
5
以下 6.3 以下 8
以下 10 以下 12.5 以下
100
125
160
200
250
19
6.3 以下 8
以下 10 以下 12.5 以下 16 以下
125
160
200
250
315
20
8
以下 10 以下 12.5 以下 16 以下 20 以下
160
200
250
315
400
21
10 以下 12.5 以下 16 以下 20 以下 25 以下
200
250
315
400
500
22
12.5 以下 16 以下 20 以下 25 以下 31.5 以下
250
315
400
500
630
23
16 以下 20 以下 25 以下 31.5 以下 40 以下
315
400
500
630
800
24
20 以下 25 以下 31.5 以下 40 以下 50 以下
400
500
630
800
1000
25
25 以下 31.5 以下 40 以下 50 以下 63 以下
500
630
800
1000
1250
26
31.5 以下 40 以下 50 以下 63 以下
−
630
800
1000
1250
−
27
40 以下 50 以下 63 以下
−
−
800
1000
1250
−
−
28
50 以下 63 以下
−
−
−
1000
1250
−
−
−
29
63 以下
−
−
−
−
1250
−
−
−
−
6. 形状及び主要寸法
6.1
形状 フックの形状は,次による。
a) フックは,図1(2)及び図2(2)のように,本体とシャンク部又はアイ部からなる。
b) フックの主要断面の形状は,図3による。
注(2) 図1〜図3の形状は一例であり,フックの形状はフックの機能及び性能を満足するものでなけ
ればならない。
なお,Rの値は規定しない。
4
B 2803:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注(3) フックには,一般に外れ止めを付ける。
図 1 フックの形状(シャンクフック)
5
B 2803:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図 2 フックの形状(アイフック)
図 3 フックの主要断面形状
6
B 2803:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.2
主要寸法 フックの主要寸法は,表3及び表4によって,フックの性能を満足するものでなければ
ならない。
表 3 シャンクフックの主要寸法
単位 mm
フック番号
最小寸法
D
O
B
A(4)
Hh(4)
Hv(4)
d1(4)
d2
1
22
18
25
34
16
13
14
6
2
24
19
27
36
17
14
15
6.5
3
25
20
28
38
19
16
16
7
4
27
21
30
40
20
17
17
8
6
30
24
34
45
24
20
19
9
7
32
25
36
48
26
22
20
10
8
34
27
38
50
28
24
21
11
9
36
28
40
53
31
26
22
12
10
38
30
43
56
34
28
24
13
11
40
32
45
60
37
31
25
14
12
43
34
48
63
40
34
27
16
13
45
36
50
67
44
37
28
17
14
48
38
54
71
48
40
30
19
15
50
40
57
75
52
44
32
20
16
53
43
60
80
56
48
34
22
17
60
48
68
90
60
50
38
24
18
67
53
76
100
67
56
43
26
19
75
60
85
112
75
63
48
28
20
85
67
95
125
85
71
53
31
21
95
75
107
140
95
80
60
34
22
106
85
120
160
106
90
67
38
23
118
95
134
180
118
100
75
43
24
132
106
151
200
132
112
85
48
25
150
118
170
224
150
125
95
53
26
170
132
191
250
170
140
106
60
27
190
152
215
285
190
162
120
67
28
212
170
240
318
212
180
134
74
29
237
190
267
356
237
201
149
83
注(4) A, Hh, Hv, d1は,参考値で,フックの性能を満足するものでなければならない。
7
B 2803:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 4 アイフックの主要寸法
単位 mm
フック番号
最小寸法
D
O
B
A(4)
Hh(4)
Hv(4)
E
F(最大)
5
28
22
32
43
22
19
7
8
6
30
24
34
45
24
20
8
9
7
32
25
36
48
26
22
9
10
8
34
27
38
50
28
24
10
11
9
36
28
40
53
31
26
11
12
10
38
30
43
56
34
28
12
13
11
40
32
45
60
37
31
14
15
12
43
34
48
63
40
34
15
16
13
45
36
50
67
44
37
17
18
14
48
38
54
71
48
40
19
20
15
50
40
57
75
52
44
22
23
16
53
43
60
80
56
48
24
25
17
60
48
68
90
60
50
28
29
18
67
53
76
100
67
56
31
32
19
75
60
85
112
75
63
35
36
20
85
67
95
125
85
71
39
40
21
95
75
107
140
95
80
44
45
22
106
85
120
160
106
90
49
50
23
118
95
134
180
118
100
56
58
24
132
106
151
200
132
112
63
65
25
150
118
170
224
150
125
70
72
26
170
132
191
250
170
140
79
81
27
190
152
215
285
190
162
88
90
28
212
170
240
318
212
180
98
101
29
237
190
267
356
237
201
110
113
7. 外観 フックは,き裂,著しいさびなどの有害な欠陥があってはならない。
8. 材料 フックの材料は,りんの含有量0.030 %以下,硫黄の含有量0.035 %以下のキルド鋼で,フック
の性能を満足するものでなければならない。
備考 材料の分析方法は,溶鋼分析とする。
9. 製造方法 フックの製造方法は,次による。
a) フックは,鍛造によって成形する。
b) シャンク部及びアイ部は,鍛造によって成形するか,又は鍛造後切削加工若しくは塑性加工によって
成形する。
c) フックは,鍛造後,適切な熱処理を施さなければならない。
10. 試験
8
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10.1 プルーフロード試験 フックは,図4のように,フック本体に標点を付け,初標点距離を測定し,
次に引張試験機の取付具に固定し,表2のプルーフロードを加え,更に荷重をゼロに戻したときの標点距
離を測定し,次の式によって,フックの開きの永久変形量を求める。
Eh= (lhʼ−lh) /lh×100 (%)
ここに, Eh: フックの開きの永久変形量 (%)
lh: フックの口の初標点距離 (mm)
lhʼ: プルーフロードを加え,更に荷重をゼロに戻したときのフッ
クの口の標点距離 (mm)
また,プルーフロードを加えた後,フックの各部分のき裂及び変形の有無を調べる(5)。
注(5) き裂の試験は,目視によるが,必要に応じてJIS G 0565又はJIS Z 2343-1の規定によって試験
する。
また,外れ止めがあるフックでは,試験後,外れ止めについて,異常の有無を調べる。
図 4 フックの荷重試験
9
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10.2 静的強さ試験 フックは,プルーフロード試験後,図4のように引張試験機で静的引張試験荷重を
加え,フックが伸びて荷重が最高値を超えるまで負荷する。このときのフックが耐え得る最高荷重を静的
強さとする。
10.3 疲れ強さ試験 フックは,引張力が表2に規定する使用荷重に相当する力の0.5倍(最小値)〜1.5
倍(最大値),周波数は1〜10 Hzの間による部分片振り疲れ試験を行う。
11. 検査
11.1 形状,主要寸法及び外観 フックの形状,主要寸法及び外観の検査は,ロット(6)ごとにサンプリン
グした試料について検査し,合否を判定する(7)。
注(6) 溶解チャージごとの材料と熱処理が同じものをいう。
(7) サンプリング及び抜取方式は,受渡当事者間の協定による。
11.2 プルーフロード及び静的強さ プルーフロード及び静的強さの検査は,次による。
a) プルーフロード及び静的強さの検査は,ロット(6)ごとにサンプリングした試料について10.1及び10.2
によって試験して検査を行い,合否を判定する(7)。
b) 使用荷重が大きく,プルーフロード及び静的強さ検査が困難なフック(8),又は製造数が極めて少ない
フックでは,10.1及び10.2の試験の代わりに,次の強さ計算法で検査してもよい。
図4のフックの危険断面において,最大応力の発生する引張り側の引張応力σtを次の式で求める。
)
mm
/
N
(
)
(
2
A
W
Z
R
W
M
t
+
×
=
σ
ここに,
W : 使用荷重に相当する力 (N)
RM : フックの中心から危険断面図心までの距離(図4参照) (mm)
Z : 危険断面の断面係数(図4参照) (mm3)
A : 危険断面の面積(図4参照) (mm2)
σtがフックに使用されている材料の引張強さ(9)の31以下であればよい。
注(8) 例えば,使用荷重12.5 t以上のフック。
(9) フックに使用されているものと同じ鋼の種類で,フックと同じ条件で熱処理を施した,材料の
引張強さでなければならない。
11.3 疲れ強さ フックの疲れ強さは,フックの形式検査などで行う。
12. 製品の呼び方 フックの呼び方は,kg単位で表示してもよい。ただし,単位表示は,省略してはなら
ない。
例 使用荷重(10) 0.1 t シャンクフック・フック番号1・等級4
使用荷重(10) 1 t アイフック・フック番号8・等級8
注(10) 使用荷重1 t未満の場合は,kg単位で表示してもよい。ただし,単位表示は,省略してはなら
ない。
13. 表示 表示は,フックの性能を低下させないように,フック本体の適切な箇所(11)に,次の事項を表示
しなければならない。
a) 使用荷重
10
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b) フックの種類又はその等級(12)
c) 製造業者名又はその略号(13)
d) ロット番号又は略号(14)
使用荷重,種類及び等級の表示の例
例1. 使用荷重1 t, フック番号11, 等級4のシャンクフックの場合:1S11(4)(15)
例2. 使用荷重1t, 等級4のアイフックの場合(12):1E(4)
注(11) フックブロック,タグなどに表示したものでは,フック本体の表示は省略してもよい。
(12) フック番号,シャンク (S) , アイフック (E) の記号は,省略してもよい。
(13) フックと巻上機などとの製造業者が同じときは,省略してもよい。
(14) フックの製造業者と巻上機などの製造業者間との協定によって,省略してもよい。
(15) ( ) の中の数字は,等級を示す。
11
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附属書1(規定)使用荷重10 t以上のフックの使用荷重及びプルーフロード
使用荷重が10 t以上のフックについて,使用荷重及びプルーフロードは,本体表2の代わりに附属書1
表1のものを適用してもよい。
附属書1表 1 フックの使用荷重及びプルーフロード
フック番号
使用荷重 t
プルーフロード kN
等級4
等級5
等級4
等級5
19
10 以下
12.5 以下
200
250
20
12.5 以下
16 以下
250
315
21
16 以下
20 以下
315
400
22
20 以下
25 以下
400
500
23
25 以下
31.5 以下
500
630
24
31.5 以下
40 以下
630
800
25
40 以下
50 以下
800
1000
26
50 以下
63 以下
1000
1250
27
63 以下
−
1250
−
備考 主要寸法については,本体表3及び表4のD・O・Bを規定し,その他寸法は参考とする。
12
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附属書2(規定)ISO 7597に規定するアイフック
1. 適用範囲 この附属書は,1987年に第1版として発行されたISO 7597,Forged steel lifting hooks with
point and eye for use with steel chains of grade T(8)を技術的内容を変更することなく翻訳したつり具用アイフ
ック(以下,アイフックという。)について規定する。
2. 種類 アイフックの種類は,形状・等級によって,次による。
a) フックは,形状によって,アイフックとする。
b) アイフックは,等級Tとする。
3. 形状及び主要寸法
3.1
形状 アイフックの形状は,附属書2図1のように,本体とアイ部からなる。
3.2
主要寸法 アイフックの主要寸法は,附属書2表1によって,アイフックの性能を満足するもので
なければならない。
Bs寸法は,同じアイフックのO寸法より大きくなければならない。
13
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附属書2図 1 アイフックの形状(例)(1)
注(1) 形状は,ISO 7597による。
14
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附属書2表 1 アイフックの主要寸法
単位 mm
チェーン公称線径
使用荷重
(t)
D
最小
O
最小
OI
最小
E
最小
F
最大
Hm
最大
L
最大
Lm
最大
6
1.1 以下
22.8
17.4
16.2
10.5
10.8
25.8
93
17.4
7
1.5 以下
26.6
20.3
18.9
12.3
12.6
30.1
108.5
20.3
8
2 以下
30.4
23.2
21.6
14
14.4
34.4
124
23.2
10
3.2 以下
38
29
27
17.5
18
43
155
29
13
5.4 以下
49.8
37.7
35.1
22.8
23.4
55.9
201.5
37.7
16
8 以下
60.8
46.4
43.2
28
28.8
68.8
248
46.4
18
10 以下
68.4
52.2
48.6
31.5
32.4
77.4
279
52.2
19
11.5 以下
72.2
55.1
51.3
33.3
34.2
81.7
294.5
55.1
20
12.5 以下
76
58
54
35
36
86
310
58
22
15.5 以下
83.6
63.8
59.4
38.5
39.6
94.6
341
63.8
23
16.9 以下
87.4
66.7
62.1
40.3
41.4
98.9
356.5
66.7
25
20 以下
95
72.5
67.5
43.8
45
107.5
387.5
72.5
26
21.6 以下
98.8
75.4
70.2
45.5
46.8
111.8
403
75.4
28
25 以下
106.4
81.2
75.6
49
50.4
120.4
434
81.2
32
32 以下
121.6
92.8
86.4
56
57.6
137.6
496
92.8
36
40 以下
136.8
104.4
97.2
63
64.8
154.8
558
104.4
40
50 以下
152
116
108
70
72
172
620
116
45
63 以下
171
130.5
121.5
78.8
81
193.5
697.5
130.5
4. 機械的性質
4.1
使用荷重 使用荷重は,附属書2表2による。
4.2
プルーフロード アイフックは,附属書2表2に規定するプルーフロードを加えた状態で異常があ
ってはならない。プルーフロードを加えた後のアイフックの口の開きの永久変形量は,7.2に規定する方法
によって試験したとき,0.5 %又は0.2 mm以下で,アイフックの各部にき裂,永久変形があってはならな
い。
4.3
静的強さ アイフックは,7.3に規定する方法によって試験したとき,附属書2表2の規定に適合し
なければならない。
4.4
疲れ強さ アイフックは,7.4に規定する方法によって試験したとき,繰返し数10 000回に耐えなけ
ればならない。
備考 疲れ強さは,使用荷重10 t以下のアイフックに適用する。
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附属書2表 2 機械的性質
チェーン公称線径
mm
使用荷重
t
プルーフロード
kN
静的強さ
kN
6
1.1 以下
22.7
45.4 以上
7
1.5 以下
30.8
61.6 以上
8
2 以下
40.3
80.6 以上
10
3.2 以下
63
126 以上
13
5.4 以下
107
214 以上
16
8 以下
161
322 以上
18
10 以下
204
408 以上
19
11.5 以下
227
454 以上
20
12.5 以下
252
504 以上
22
15.5 以下
305
610 以上
23
16.9 以下
333
666 以上
25
20 以下
393
786 以上
26
21.6 以下
425
850 以上
28
25 以下
493
986 以上
32
32 以下
644
1288 以上
36
40 以下
815
1630 以上
40
50 以下
1006
2012 以上
45
63 以下
1273
2546 以上
5. 材料 アイフックの材料は,合金成分として,Ni, Cr及びMoのうちの2成分以上を含有し,また,P
及びSの含有量は,附属書2表3によるキルド鋼で,アイフックの機械的性質を満足するものでなければ
ならない。
附属書2表 3 アイフックの材料のP・Sの含有量
化学成分
最大含有量 %
溶鋼分析
製品分折
P
0.035
0.04
S
0.035
0.04
6. 製造方法
a) アイフックは,熱間鍛造によって成形する。アイフックは,有害な表面欠陥及び割れがあってはなら
ない。
b) アイフックは,鍛造後適切な熱処理を施さなければならない。焼戻し温度は,400 ℃以上でなければ
ならない。
7. 形式試験
7.1
概要 形式試験は,製造業者が,この国際規格の規定に適合していることを証明したアイフックが,
この国際規格に規定した機械的性質を満足することを示すものである。この試験の目的は,種々の大きさ
のアイフックの完成品について,設計,材料,熱処理及び製造方法を分析することにある。4.に規定した
機械的性質の変更を招く可能性のある設計,材料の仕様,熱処理,製造方法の変更又は正常の製作公差の
範囲を超える寸法変更があった場合は,その変更後のアイフックについて,7.2〜7.4に規定する形式試験
が必要である。
16
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形式試験を行うアイフックはすべて,この国際規格に規定する他のあらゆる項目も遵守していなければ
ならない。寸法の異なるアイフックについて,その設計,材料,熱処理及び製造ごとに7.2〜7.4に規定す
る試験を実施しなければならない。
7.2〜7.4に規定する試験では,実際のアイフックのD寸法の32に相当の直径をもつ金具を使用して,衝
撃力を与えることなく軸方向の引張力を加えなければならない。
7.2
変形試験 3個の試料を試験する。各々の資料は,アイフックの口の開きを幅方向に測定した場合に,
アイフックの開きの実測寸法の0.5 %又は0.2 mmのいずれか大きい方を超える永久変形を生じることなく,
附属書2表2に規定するプルーフロードに耐えなければならない。
備考 必要があれば,すべてのアイフックの保証試験について,8.を参照。
7.3
静的強さ試験
備考 この試験は,変形試験を行ったものと同一のアイフックについて実施する場合がある。
3個の試料を試験する。各試料は,附属書2表2に規定するアイフックの静的強さの最小値に相当する
静的強さがなければならない。
試験することが規定されている機械的性質について,アイフックをその実際に破断するまで試験する必
要はない。規定した最小静的強さを上回っており,かつ,アイフックが試験した最大引張力で,著しく変
形することが分かればよい。
7.4
疲れ試験 10 t以下の使用荷重のアイフックは,疲れ試験を行わなければならない。疲れ試験は,3
個の試料で試験する。
疲れ試験サイクル中に加わる引張力の範囲は,附属書2表2に規定するプルーフロードの0.75倍相当と
する。サイクルの最小引張力は,3 kN以下とする。周波数は,5〜25 Hzの間とする。試験を行った試料は,
上記の規定範囲の引張力を,10 000サイクル加えても,荷重の保持不能に陥ることなくそれに耐えなけれ
ばならない。
7.5
形式試験についての受入れ基準
7.5.1
形式試験(7.2を参照) 形式試験を行った寸法のアイフックが,この国際規格に適合するために
は,試験を行った3個の試料のいずれもが,変形試験に合格しなければならない。
7.5.2
静的強さ試験及び疲れ試験(7.3及び7.4を参照)3個の試料すべてが試験に合格すれば,形式試験
を行った寸法のアイフックは,この国際規格に適合している。
試料の中の1個が不合格となった場合,さらに2個の試料を試験して,形式試験を行った寸法のアイフ
ックが,この国際規格に適合するためには,この2個の試料が,試験に合格しなければならない。
3個の試料のうち2個又は3個とも,試験に不合格となった場合は,形式試験を行った寸法のアイフッ
クは,この国際規格に不適合である。
8. 保証試験 購入者から要求があった場合,又は国内規制基準又は他の規格,規則若しくは試験によっ
て必要となった場合は,完成品の各アイフック(保護塗装を行った場合はそれも含めて,製造,熱処理及
び機械加工後)について附属書2表2に規定するプルーフロードの試験を行わなければならない。各アイ
フックは,アイフックの口の開きを幅方向に測定した場合に,アイフックの口の開きの実測寸法の0.5 %
又は0.2 mmのいずれか大きい方を超える永久変形を生じることなく,プルーフロードに耐えなければな
らない。
参考 ISO 4778又はISO 7593に適合する等級T(8)のチェーンスリングの金具の一部としてアイフッ
クを使用する場合は,それらの国際規格に規定する保護試験項目を適用する。
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9. 製造業者の証明書 7.に規定する形式試験で満足のいく結果を得た場合は,製造業者は試験を行った
アイフックと同一の公称諸元,寸法,材料,熱処理及び製造方法のフックに対する適合証明書を発行して
もよい。
製造業者は,形式試験に合格したアイフックについて,最新の適合証明書を発行後,少なくとも10年間
は,材料仕様書,熱処理,寸法,試験結果及びこのアイフックに関連するあらゆるデータに関する記録を
保管しなければならない。この記録には,後続の生産に適用しなければならない製造仕様書も,含まれる
ものとする。
4.に規定した機械的性質の変更を招く可能性のある,材料の仕様,熱処理,製造方法の変更,又は正常
の製作公差の範囲を超える寸法の変更は設計変更とみなす。設計変更について,適合証明書を発行する許
可を得る前に,7.に規定する試験が必要である。
10. 製品の呼び方 アイフックの呼び方は,使用荷重及び等級による。
例 使用荷重2 t・アイフック・等級T
2 t ET−ISO(2)
注(2) ISO 7597に規定するフックであることを示す。
11. 表示 表示は,アイフックの機械的性質を低下させないように,アイフック本体の適切な箇所に,次
の事項を表示しなければならない。
a) アイフックに対応するチェーンの線径(3)
b) 等級,T又は8
c) 製造業者名又はその略号
d) 国家規格,規則又は受渡当事者間の協定によって必要とする表示。
注(3) アイフックの使用荷重に対応するチェーンの線径でなければならない。
備考 表示は,アイフックの使用荷重についての誤認が起こらないように,十分注意しなければなら
ない。
関連規格 JIS B 8802 チェーンブロック
JIS B 8813 電動ウインチ
JIS B 8815 電気チェーンブロック
JIS B 8816 巻上用チェーンスリング
JIS B 8817 ワイヤロープスリング
JIS B 8818 ベルトスリング
JIS B 8819 チェーンレバーホイスト
JIS C 9620 電気ホイスト
JIS Z 8601 標準数
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附属書3(規定)ロッキングフック
1. 適用範囲 この附属書は,等級8のロッキングフックについて規定する。
備考 ロッキングフックとは,荷重がかかると,ラッチが閉まり,ロック装置が働く片かぎ形のフッ
クをいう。
2. 種類 フックの種類は,次による。
a) フックは,形状によって,シャンク形ロッキングフック (SL),及びアイ形ロッキングフック (EL) と
する。
b) フックの種類は,フックの形状,フック番号,等級によって,附属書3表1による。
附属書3表 1 フックの種類
フック番号
等級
フック番号
等級
8
8
9
○
16
−
10
−
17
○
11
○
18
−
12
−
19
−
13
○
20
○
14
−
21
−
15
○
22
○
3. 性能
3.1
使用荷重 使用荷重は,附属書3表2による(1)。
注(1) 使用頻度が高い場合,衝撃力が作用する場合,又は低温度,高温度,腐食雰囲気など特殊な状
態で使用する場合には,安全を考慮した荷重で使用しなければならない。
3.2
プルーフロード フックは,附属書3表2に規定するプルーフロードを加えた状態で,異常があっ
てはならない。プルーフロードを加えた後のフックの口の開きの永久変形量は,本体10.1に規定する方法
によって試験したとき,0.25 %以下で,フックの各部にき裂,永久変形量があってはならない。
3.3
静的強さ フックは,本体10.2に規定する方法によって試験したとき,附属書3表2に規定するプ
ルーフロードの2倍以上の引張荷重に耐えなければならない。
3.4
疲れ強さ フックは,本体10.3に規定する方法によって試験したとき,繰返し20 000回に耐えなけ
ればならない。
備考 疲れ強さは,使用荷重10 t以下のフックに適用する。
3.5
ロッキング性能 ロック装置は附属書3図1に示す方法によって試験したときに,使用荷重に相当
する力の20 %以上の引張荷重に耐えなければならない。
19
B 2803:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考 hはロードピン中心と,ラッチ先端の距離を示す。
附属書3図 1
3.3
ロードピンの抜け力 ロードピンは附属書3図2に示す方法によって試験したときに,使用荷重に
相当する力の33 %以下の抜け力で抜けてはならない。
附属書3図 2
附属書3表 2 ロッキングフックの使用荷重及びプルーフロード
フック番号
使用荷重 t
プルーフロード kN
等級8
等級8
9
1.25
25
10
−
−
11
2
40
12
−
−
13
3.2
64
14
−
−
15
5
100
16
−
−
17
8
160
18
−
−
19
−
−
20
16
320
21
−
−
22
25
500
20
B 2803:2007
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4. 形状及び主要寸法
4.1
形状 フックの形状は,次による(2)。
a) フックは,附属書3図3及び附属書3図4のように,本体,ラッチ及びロック装置からなる。
b) ラッチの負荷側は,附属書3図3及び附属書3図4のように,シャンク部及びアイ部からなる。
注(2) 附属書3図3及び附属書3図4の形状は一例であり,フックの形状は,フックの性能を満足す
るものでなければならない。
4.2
主要寸法 フックの主要寸法は,附属書3表3及び附属書3表4によって,フックの性能を満足す
るものでなければならない。
附属書3図 3 シャンク形ロッキングフックの形状
21
B 2803:2007
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附属書3表 3 シャンク形ロッキングフックの主要寸法
単位 mm
フック番号
最小寸法
D
O
Bs
A(3)
Hh(3)
Hv・(3)
d1(3)
d2
9
34
28
20
52
22
19
20
11
10
−
−
−
−
−
−
−
−
11
43
36
30
68
26
23
24
13
12
−
−
−
−
−
−
−
−
13
55
44
38
80
34
29
29
17
14
−
−
−
−
−
−
−
−
15
70
50
45
100
43
38
34
20
16
−
−
−
−
−
−
−
−
17
80
63
55
120
58
49
37
26
18
−
−
−
−
−
−
−
−
19
−
−
−
−
−
−
−
−
20
−
−
−
−
−
−
−
−
21
−
−
−
−
−
−
−
−
22
−
−
−
−
−
−
−
−
注(3) A, Hh, Hv, d1は,参考値で,フックの性能を満足するものでなければならない。
附属書3図 4 アイ形ロッキングフックの形状
22
B 2803:2007
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附属書3表 4 アイ形ロッキングフックの主要寸法
単位 mm
フック番号
最小寸法
D
O
Bs
AL
Hh
Hv
E
F(最大)
9
34
28
20
109
22
19
10
10
10
−
−
−
−
−
−
−
−
11
43
36
30
134
26
23
11
11
12
−
−
−
−
−
−
−
−
13
55
44
38
167
34
29
16
16
14
−
−
−
−
−
−
−
−
15
70
50
45
196
43
38
20
20
16
−
−
−
−
−
−
−
−
17
80
63
55
254
58
49
27
27
18
−
−
−
−
−
−
−
−
19
−
−
−
−
−
−
−
−
20
90
80
63
320
72
62
32
32
21
−
−
−
−
−
−
−
−
22
120
100
78
400
95
80
38
38
5. 外観 本体7.の規定に適合しなければならない。
6. 材料 本体8.の規定に適合しなければならない。
7. 製造方法 ロッキングフックの製造方法は,次による。
a) フックの本体及びラッチは,鍛造によって成形する。
b) フックの本体及びラッチは,鍛造後切削加工又は塑性加工によって成形する。
c) フックの本体,ラッチ及びロードピンは,適切な熱処理を施さなければならない。
d) フックの本体及びラッチはロードピンによって,適切に組み合わせて製造する。
e) ロック装置は,適切に作動するように装着しなければならない。
8. 試験
8.1
プルーフロード試験 本体10.1の規定に適合しなければならない。
8.2
静的強さ試験 本体10.2の規定に適合しなければならない。
8.3
疲れ強さ試験 本体10.3の規定に適合しなければならない。
9. 検査
9.1
形状,主要寸法及び外観 本体11.1の規定に適合しなければならない。
9.2
プルーフロード及び静的強さ プルーフロード及び静的強さの検査は,ロッドごとにサンプリング
した試料につき,受渡当事業間の協定による。8.1及び8.2の規定によって試験を行い,合否を判定する。
サンプリングと検査方法は,受渡当事者間の協定による。
9.3
疲れ強さ 本体11.3の規定に適合しなければならない。
10. 製品の呼び方 フックの呼び方は,使用荷重,種類及び等級による。
23
B 2803:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
例 使用荷重2 t・アイ形ロッキングフック・等級8
2 t EL(8)
11. 表示 表示は,本体13.の規定に適合しなければならない。
24
B 2803:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書4(参考)フックの使用基準
この参考は,フックの使用基準について記述するものであり,規格の一部ではない。
1. 使用基準 フックの使用に際しては,安全のために適切に使用する必要があり,下記に示すような使
用をしてはならない。
a) 改造の禁止 フックは,改造による強度低下及び安全の低下を防止するため,下記に示すような改造
は行ってはならない。
1) 機械加工などの追加
2) 溶接
3) 熱処理
4) 電気めっき
5) 外れ止めの撤去
b) 使用の禁止 フックの損傷などを防止するため,下記に示すような使用をしてはならない。
1) フックの先端に負荷した使用方法(附属書4図1参照)。
2) フックを固定するなどして,横方向の力が加わる使用方法(附属書4図2参照)。
3) 荷にチェーンを巻き付け,フックで固定する方法(附属書4図3参照)。
4) フックを溶接作業(1)のアース代わりに使用する。
5) 常に水中に浸せき又は冠水する使用又は外れ止めの機能をなくすような使用。
6) 外れ止めがない状態での使用。
注(1) 絶縁スイベルフックは除く。
25
B 2803:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書4図 1
附属書4図 2
附属書4図 3
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B 2803:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書5(参考)フックの点検基準
この参考は,フックの点検基準について記述するものであり,規格の一部ではない。
1. 点検基準 点検整備は,次による。
1.1
作業区分 点検整備は,使用の実地に応じ,適切に行う。作業区分は次による。
a) 軽作業 通常は,定格荷重の50 %未満の荷重の荷をつる。
b) 中作業 通常は,定格荷重の50 %以上63 %未満の荷重の荷をつる。
c) 重作業 通常は,定格荷重の63 %以上80 %未満の荷重の荷をつる。
d) 超重作業 定格荷重の80 %以上の荷重の荷をつる。
1.2
点検整備区分 フックの点検は,次の区分と周期で行う。
a) 日常点検 目視による外観,異常の有無の点検は,作業開始前に必ず行う。
b) 通常点検 特に記録は必要としないが,使用者又は定められた者が,次によって行う。
1) 軽作業:1回/月
2) 中作業:1回/週〜月
3) 重作業:1回/日〜週
4) 超重作業:1回/日〜週
c) 定期点検 定められた者が,次の周期で行う。必ず点検記録を取り,継続使用の可否を判断するよう
にする。
1) 軽作業:1回/年
2) 中作業:1回/6か月
3) 重作業:1回/3か月
4) 超重作業:1回/1か月
2. 点検基準
2.1
日常点検 日常点検では,目視によって外観,フック各部の異常の有無を点検する。
2.2
通常点検 通常点検は,次の項目について点検する。
a) フックの変形及び損傷
b) フックの結合部分の緩み
c) スイベルフックでは,スイベルの円滑な回転
d) ねじ部のき裂及び摩耗
e) 外れ止めの効果
2.3
定期点検 定期点検は,次の項目について実施し,記録する。
a) 口の開き部分の寸法(標点距離)測定。
b) つり具と接触する部分 (Hv) の摩耗量の測定。
上記に加え,磁粉探傷試験,浸透探傷試験などによって,微少なき裂の検査を行うことが望ましい。
3. 判定基準 点検したフックに,次の状態が観察された場合,フックは使用してはならない。
27
B 2803:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) き裂があるもの。
b) 目視可能な変形のあるもの。
c) シャンク部の回転が円滑でないもの。
d) 口の開きの変化(永久変形)が観察されたもの。
e) つり具と接触する部分の摩耗量が製造業者の指定値を超えたもの(指定値のないものは,原寸の5 %
の摩耗量を超えた場合)。
f)
アイ部と,他のつり具との接触部分など摩耗,変形があるもの。
g) シャンク部のねじの摩耗があるもの。
h) 外れ止めの効果がないもの。
4. 記録 定期点検については,少なくとも次の項目を含む記録を記入し,それを保存する。
a) 使用開始と使用開始寸法
b) 点検の日付,結果及び処置
c) 交換の日付
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書6(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS B 2803-2007 フック
ISO 7597 等級T(8)チェーンに使用する巻上げ用鍛造アイフック
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの評価
及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線
(V)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
1.適用範囲 シャンクフック,ア
イフック
ISO 7597 1.
アイフック(等級
T(8)だけ)
MOD/追加 ・ISOはアイフックだけ
・JISはシャンクフック,ロッキング
フックを追加。
・ISOシャンクフックは廃止規格。ロッキ
ングフックはISO規格が存在しない。こ
のため現市場に流通しているこれらのフ
ックに対してJIS規格として定めた。
・今後時期を見てISOに提案する予定であ
る。
2.引用規格 JIS B 0148
JIS G 0565
JIS Z 2341-1
2.
ISO 643
ISO 3076
ISO 4778
ISO 7597
ISO 8593
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/削除
MOD/削除
MOD/削除
MOD/削除
MOD/削除
JISではオーステナイト結晶粒度は規
定しない。
・用語の規定がないため追加した。
・非破壊検査の規定がないため追加した。
・今後時期をみてISOに提案する予定であ
る。
3.定義
JIS B 0148による
3.
WLL, WL, ブルー
フフォースなど
IDT
4.種類
シャンクフック,ア
イフック,ロッキン
グフック,等級4,5,
6,8,10,形状,フック
番号,等級
ISO 7597 1.
アイフック(等級
T(8)だけ)
MDO/追加 ISOはアイフック(等級T(8)だけ)
・ISOはアイフックだけであるが現市場に
流通しているこれらのフックを追加した。
2
8
B
2
8
0
3
:
2
0
0
7
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの評価
及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線
(V)JISと国際規格との技術的差異の理由及び
今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
5.性能
等級4,5,6,8,10
5.1使用荷重
5.2ブルーフロー
ド
5.3静的強さ
5.4疲れ強さ
5.
5.2
5.3
5.4
等級だけ
使用荷重(表記載)
プルーフロード
静的強さ
疲れ強さ
MOD/追加
MOD/追加
MOD/変更
IDT
MOD/変更
ISOでは等級4,5,6,10の規定はない。
JISはISOより細分化した。
JISとISOは使用荷重の2倍と一致す
るが永久変形量に違いがある。
・JISは0.25%以下
・ISOは0.5%又は0.2mm以下
繰返し数に違いがある。
・JISは20 000回
・ISOは10 000回
・ISO規格が古く技術の陳腐化のため,JIS
規格では種類を増加した。
・今後時期を見てISOに提案する予定である。
・需要構造の変化により細分化が必要である。
・今後時期をみてISOに提案する予定である。
・製品安全基準を強化した。
・今後時期をみてISOに提案する予定である。
6.形状及び
寸法
6.1形状
6.2主要寸法
4.2
4.1
形状
寸法
MOD/追加
MOD/追加
ISOはアイフックだけ。JISはシャンク
フックを追加。
ISOはアイフックだけ。JISはシャンク
フックを追加。
7.外観
き裂,さび
7.
き裂,さび
IDT
8.材料
Pの含有量
Sの含有量
キルド銅
6.1
合金成分の規定
Pの含有量
Sの含有量
キルド銅
MOD/削除
MOD/変更
MOD/削除
IDT
MOD/削除
IDT
ISOは,Ni, Cr, Moの内2成分以上含有。
JISは,規定なし。
・JISは0.030%以下
・ISOは0.035%以下
JISでは製品分析値は削除した。
溶鋼分析値は一致。
製品分析値は削除。
技術開発を阻害するおそれがあるので規定の
必要はない。また,機会を見てISOに提案。
9.製造方法 a)鍛造成形
c)熱処理
6.2
鍛造成形
熱処理
IDT
MOD/削除
ISOでは焼戻し温度を400 ℃と規定し
ているがJISでは規定していない。
性能を満足すれば熱処理の規定の必要はな
い。
2
9
B
2
8
0
3
:
2
0
0
7
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規
格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの評価
及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線
(V)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
10.試験
10.1プルーフロー
ド試験
10.2静的強さ試験
10.3疲れ強さ試験
9
8.3
8.4
プルーフロード試験
静的強さ試験
疲れ試験
MOD/変更
MOD/削除
IDT
MOD/変更
JIS項目5.(5.2)と同じ。
ISOでは試験試料数を3個と定めてい
るがJISでは試験数を定めていない。
JIS項目5.(5.4)と同じ。
単品の製品試験の場合もあり試験数は定め
ない。
11.検査
11.1形状,主要寸法
及び外観
8.5
形式試験
MOD/変更
ISOでは試験試料数を3個と定めてい
るが,JISでは試験数を定めていない。
単品の製品試験の場合もあり試験数は定め
ない。
11.2プルーフロー
ド及び静的強さ
8.3
8.4
8.5
静的強さ試験
疲れ試験
評価基準
IDT
MOD/変更
MOD/削除
JIS項目5.(5.4)と同じ。
JISでは試験・検査項目に記述。
10
製造業者の証明書
MOD/削除 ISOでは製造業者がフックに対する適
合証明書の発行を認めているが,JISで
は定めていない。
フック単独の製品とはならない場合があり,
受渡当事者間の協議による。
12.製品の呼
び方
使用荷重,種類,番
号,等級
MOD/追加 ISOでは呼び方は規定していない。
13.表示
a)使用荷重
b)フックの種類又は
その等級
c)製造業者又はその
略号
d)ロット番号又は略
号
11
a)対応するチェーン
公称線形
b)等級
c)製造業者又はその
略号
d)国家規格等の表示
MOD/変更
MOD/追加
IDT
MOD/追加
MOD/削除
ISOでは使用荷重に対応するチェーン
径を表示するが,JISでは使用荷重を表
示する。
JISではISOに規定のない種類のフッ
クを規定しているので種類の表示をす
る。
ISOには規定がないがJISでは管理の
ため規定した。ただし受渡当事者間の
協定で省略してもよい
ISOでは受渡当事者間の協定によるも
のであり規格として必要ない。
・ISOでは等級T(8)の規定しかなくチェーン
径で表示できるが,JISでは種々等級に対応
しているため使用荷重での表示とする。
・機会を見てISOに提案する。
3
0
B
2
8
0
3
:
2
0
0
7
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規
格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの評価
及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線
(V)JISと国際規格との技術的差異の理由及び
今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
附属書1
(規定)
使用荷重10 t以上の
フックの使用荷重及
びプルーフロード
ISOには規定なし。
破断荷重の大きいフックについては本体以外
の寸法の小さいフックを認めた。
附属書2
(規定)
アイフック
IDT
附属書3
(規定)
ロッキングフック
MOD/追加 ISOに規定のない新しいフックを規定
化した。
市場流通量の増大により規格化の必要があ
る。
また,機会を見てISOに提案する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
−IDT………………技術的差異がない。
−MOD/削除………国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
−MOD/追加………国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
−MOD/変更………国際規格の規定内容を変更している。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
−MOD……………国際規格を修正している。
3
1
B
2
8
0
3
:
2
0
0
7