B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS B 2290 : 1968は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS B 2290には,次に示す附属書がある。
附属書(参考) 保守用フランジ
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 2290 : 1998
(ISO 1609 : 1986)
真空装置用フランジ
Vacuum technology−Flange dimensions
序文 この規格は,1986年に第1版として発行されたISO 1609, Vacuum technology−Flange dimensionsを
基に技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない
項目(保守用フランジ)を日本工業規格の附属書(参考)として追加している。
1. 適用範囲 この規格は,次の組合せのフランジに互換性をもたせるため,真空技術に使用するフラン
ジ及びカラーの寸法を規定し,ボルト締めフランジ,クランプ締めフランジ及び回転フランジに適用する。
a) 組み立てられるフランジが同種(例えば,ボルト締めフランジ同士,クランプ締めフランジ同士など),
又は異種(例えば,ボルト締めフランジがボルト又はクランプを用いてクランプフランジと組み立て
られている場合,ボルト締めフランジがボルトと回転フランジを用いてクランプフランジと組み立て
られている場合など)のいずれでもよい。
b) フランジのシールリングは,4.のシール線荷重に適合するものであればエラストマーOリング又はメ
タルシールリングのいずれでもよい。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 1256 平座金
JIS B 8365 真空装置用クランプ形継手の形状及び寸法
JIS Z 8601 標準数
ISO 273 Fasteners−Clearance holes for bolts and screws
ISO 1127 Stainless steel tubes−Dimensions, tolerances and conventional masses per unit length
ISO 4200 Plain end steel tubes, welded and seamless−General tables of dimensions and masses per unit
length
3. 寸法
3.1
一般
3.1.1
フランジ及びカラーの寸法は,表1〜3による。これらの寸法は,仕上がり製品に対するもので加
工上の許容差は含まれていない。表1〜3に規定する呼び径10〜40のフランジ又はカラーは,JIS B 8365
に規定するクランプ継手に一致している。関連寸法及び公差は,5.に規定する。
3.1.2
材料は,真空技術で使用するフランジ,カラーの必要条件及び表1〜3の寸法が両立するように選
定する。
2
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.1.3
フランジ面のボルト穴位置は,真空部品の互換性を保証するために,中心線に対して穴が対称で,
かつ,中心線上に穴がないものとする。
3.2
呼び径
3.2.1
表1〜3は,規定するフランジ又はカラーの呼び径の数列を示す。
3.2.2
これらの値は,12.5だけを除いたJIS Z 8601のR10数列に従う。
3.2.3
標準数R5数列に従う呼び径の値は,次による。
10, 16, 25, 40, 63, 100, 160, 250, 400, 630, 1 000
3.2.4
表1〜3の呼び径63及び160は,実寸法直径がそれぞれ70mm(又は65mm)及び153mmに相当
する。
3.3
ボルト穴径 C
ボルト穴径Cの値は,ISO 273の中シリーズに従ってボルト径Dから決めている。
3.4
ボルト径 D
任意の呼び径のフランジに対するボルト径Dの値は,ボルト締めフランジ及び回転フランジのいずれの
場合も同じとする。
3.5
合わせ面
3.5.1
定義 フランジの合わせ面は,環状面積とし,継手の気密が保たれるような表面仕上げと平面度と
をもつものとする。
3.5.2
許容範囲 最小合わせ面は,表1の直径E,表2のS並びに表1及び表2の内径Fによって規定す
る。
3.5.3
形状 フランジのシール面は,平らでフランジのどの部分もこの面から出てはならない。
3.6
クランプがかかるカラーの幅 G
カラーの幅Gは,使用するクランプ系にもよるが,2.5mmを超えてはならない。
3.7
ボルト締めフランジ及び回転フランジの外径 H
外径寸法は,JIS B 1256に規定する座金がフランジ外周から突き出さないという必要条件に適合してい
る。
3.8
ボルト穴数 n
4.の表4に示したシール線荷重は,一定のボルト応力に対し,ボルトの穴数nを基に算出されたもので
ある。
3.9
クランプの接触面積に関する内径 U
クランプ機構の多用性(例えば,溶接ネック付きカラーの使用など)を考慮し,クランプとの環状接触
部の最大の内径は,Uで定義される。
3
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1 ボルト締めフランジ寸法
注*
3.2参照。
1 000を超える呼び径の推奨値は,1 250, 1 600, 2 000及び2 500とする。
**
3.5.2参照。
4
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2 クランプ締めフランジ又は回転フランジのカラー寸法
注*
3.2参照。
630を超える呼び径の推奨値は,800, 1 000, 1 250, 1 600, 2 000及び2 500とする。
**
3.5.2参照。
*** 3.9参照。
5
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3 リテーナリング付き回転フランジの寸法
注*
3.2参照。
630を超える呼び径の推奨値は,800, 1 000, 1 250, 1 600, 2 000及び2 500とする。
**
リテーナリング用のワイヤーに対しては,規格がないため,次の公差とする。
K=2 mmに対し
±0.02mm
K=3.5 mm及び5 mmに対し
±0.025mm
K=8 mmに対し
±0.03mm
*** 回転フランジの表面は,組み立てたときにカラー面以上に出ないものとする。
備考 リテーナリングの直径は,V寸法と適合する。
4. シール線荷重 図1は,Oリングを用いたボルト締めの例を示し,表4の値は,次の使用条件のもと
で各ボルト締めフランジについて計算されたものである。
6
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
σはn本のボルトの応力が200N/mm2になるまで一様に締めた場合,エラストマーOリングに及ぼす線荷
重をN/mmで表したものである。圧縮前のシールリングの平均直径は, (d1+d2) に等しいものとする。
シール線荷重は,次の式によって算出する。
(
)
2
1
200
d
d
ns
+
=π
σ
ここに,
s: ボルトの有効断面積 (mm2)
d1: シールリングの内径 (mm)
d2: 締付前のシールリング断面の直径 (mm)
図1 Oリングを用いたボルト締めの例
表4 シール線荷重
7
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5. 真空フランジの口径及び適合管外径 真空フランジの口径及びそれらに使用される管の呼び径は,表
5及び表6による。表5は真空フランジの口径を示し,表6はざぐりをもった真空フランジの口径を示す。
表5 真空フランジの口径
表6 ざぐりをもった真空フランジの口径
8
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6. 真空フランジの配管方法 表7に示す値は,ISO 1127による。ただし,600以上の大きい径は,ISO 4200
による。
表7 真空フランジの配管
9
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(参考) 保守用フランジ
序文 この附属書は,これまで使用していたJIS B 2290 : 1968(真空装置用フランジ)が産業に深く浸透
していることを考慮し,保守用として用いる真空フランジの寸法について記述したものであり,規定の一
部ではない。
1. 寸法
1.1
基準寸法 フランジの基準寸法は,附属書表1による。
1.2
寸法許容差 フランジの寸法許容差は,附属書表2による。
1.3
ガスケットの種類,形状及び寸法 ガスケットの種類,形状及び寸法は,附属書表3による。
10
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書表1 フランジの基準寸法
単位 mm
呼び径 適用する
鋼管の
直径
d
フランジ
の径
D
フランジの各部寸法
ボルト穴
ガスケットの溝
フランジの厚さ T
f
g
中心円
の径
C
数
径
h
ボルト
の呼び
内径
G1
外径
G2
深さ
S
鋳造
フランジ
その他の
フランジ
10
17.3
70
10
8
1
38
50
4
10
M8
24
34
3
20
27.2
80
10
8
1
48
60
4
10
M8
34
44
3
25
34.0
90
10
8
1
58
70
4
10
M8
40
50
3
40
48.6
105
12
10
1
72
85
4
10
M8
55
65
3
50
60.5
120
12
10
1
88
100
4
10
M8
70
80
3
65
76.3
145
12
10
1
105
120
4
12
M10
85
95
3
80
89.1
160
14
12
2
120
135
4
12
M10
100
110
3
100
114.3
185
14
12
2
145
160
8
12
M10
120
130
3
125
139.8
210
14
12
2
170
185
8
12
M10
150
160
3
150
165.2
235
14
12
2
195
210
8
12
M10
175
185
3
200
216.3
300
18
16
2
252
270
8
15
M12
225
241
4.5
250
267.4
350
18
16
2
302
320
12
15
M12
275
291
4.5
300
318.5
400
18
16
2
352
370
12
15
M12
325
341
4.5
350
355.6
450
−
20
2
402
420
12
15
M12
380
396
4.5
400
406.4
520
−
20
2
458
480
12
18.5
M16
430
446
4.5
450
457.2
575
−
20
2
511
535
16
18.5
M16
480
504
7
500
508.0
625
−
22
2
561
585
16
18.5
M16
530
554
7
550
558.8
680
−
24
2
616
640
16
18.5
M16
585
609
7
600
609.6
750
−
24
2
672
700
16
23
M20
640
664
7
650
660.4
800
−
24
2
722
750
20
23
M20
690
714
7
700
711.2
850
−
26
2
772
800
20
23
M20
740
764
7
750
762.0
900
−
26
2
822
850
20
23
M20
790
814
7
800
812.8
955
−
26
2
877
905
24
23
M20
845
869
7
900
914.4
1 065
−
28
2
983
1 015
24
25
M22
950
974
7
1 000 1 016.0
1 170
−
28
2
1 088 1 120
24
25
M22
1 055 1 079
7
備考1. 適用する管の外径dは,表中のもの又はこれに近いものを使用する。
2. フランジの連結面は,破線で示したようにすることができる。
3. フランジのボルト締付面は,フランジ連結面に平行に仕上げる。
4. ボルトの材料は,JIS G 3101のSS400とする。
5. ガスケットにOリングを使用する場合は,溝の面取りを上の寸法より小さくすることができる。
11
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書表2 フランジの寸法許容差
単位 mm
フランジの部分
表面の状態
基準寸法の部分
寸法許容差
外径 D
黒皮
70〜235
+3
0
300〜575
+4
0
625〜1 170
+6
0
仕上げ
70〜235
+1
0
300〜575
+1.5
0
625〜1 170
+2
0
厚さ T
片面仕上げ
8〜18
+1.5
0
20〜28
+2
0
両面仕上げ
8〜18
+1
0
20〜28
+1.5
0
ボルト穴
中心円の径 C
−
50〜210
±0.5
270〜585
±0.6
640〜1 120
±0.8
穴のピッチ
−
(39.25〜146.53)*
±0.5
ガスケットの溝
内径 G1
−
24〜325
+1.0
0
380〜640
+1.5
0
690〜1055
+2
0
幅
−
(5〜12)*
+0.1
0
深さ S
−
3〜7
0
−0.2
注*
数値は,附属書表1の基準寸法から求めたものである。
備考1. この表は,附属書表1の基準寸法に対する寸法許容差を示す。
2. この表で規定していない附属書表1のf,g及びhの寸法許容差は,それぞれ
の基準寸法に対して,実用上差しさわりのないように任意に定める。
12
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書表3 ガスケットの種類及び形状・寸法
単位 mm
ガスケット
フランジ
内径G'1
角形
甲丸形
Oリ
ング
呼び径 適用する
鋼管の外
径
溝
形式1
形式2
形式1
形式2
幅
e
深さ
S
呼び
寸法
a
b
a
b
a
b
a
b
a
24
23.5±0.24
4
±0.1
4
±0.1
5
±0.1
5
±0.1
4
±0.1
4
±0.1
5
±0.1
5
±0.1
4
±0.1
10
17.3
5
3
34
33.5±0.33
20
27.2
40
39.5±0.37
25
34.0
55
54.5±0.49
40
48.6
70
69.0±0.61
50
60.5
85
84.0±0.72
65
76.3
100
99.0±0.83
80
89.1
120
119.0±0.97
100
114.3
150
148.5±1.18
125
139.8
175
173.0±1.36
150
165.2
225
222.5±1.70
6
±0.1
6
±0.1
8
±0.2
8
±0.2
6
±0.1
6
±0.1
8
±0.2
8
±0.2
6
±0.15
200
216.3
8
4.5
275
272.0±2.02
250
267.4
325
321.5±2.34
300
318.5
380
376.0±2.68
350
355.6
430
425.5±2.99
400
406.4
480
475.0±3.30
8
±0.2
10
±0.3
12
±0.3
12
±0.3
8
±0.2
10
±0.3
12
±0.3
12
±0.3
10
±0.3
450
457.2
12
7
530
524.5±3.60
500
508.0
585
579.0±3.92
550
558.8
640
633.5±4.24
600
609.6
690
683.0±4.54
650
660.4
740
732.5±4.83
700
711.2
790
782.0±5.12
750
762.0
845
836.5±5.44
800
812.8
950
940.5±6.06
900
914.4
1 055
1 044.0±6.67
1 000
1 016.0
備考 ガスケットの寸法許容差は,JIS B 2401におけるOリングの種類1〜3種の許容差であって,4種Cの場合は,
上の許容差の1.5倍,4種Dの場合は,上の許容差の1.2倍である。
関連規格 JIS B 0022 幾何公差のためのデータム
JIS B 0601 表面粗さ−定義及び表示
JIS B 0621 幾何偏差の定義及び表示
JIS B 2401 Oリング
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS G 3459 配管用ステンレス鋼管
13
B 2290 : 1998 (ISO 1609 : 1986)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS G 4314 ばね用ステンレス鋼線
ISO 3 Preferred numbers−Series of preferred numbers
ISO 286 ISO system of limits and fits
ISO 887 Plain washers for metric bolts, screws and nuts−General plan
ISO 2861-1 Vacuum technology−Quick-release couplings−Dimensions−Part 1 : Clamped type
ISO 3601-1 Fluid systems−Sealing devices−O-rings−Part 1 : Inside diameters, cross-sections,
toler-ances and size identification code
JIS B 2290(真空装置用フランジ)改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
堀 越 源 一
高エネルギー物理学研究所名誉教授
岡 野 達 雄
東京大学生産技術研究所
門 芳 生
株式会社芝浦製作所
金 戸 成
株式会社大阪真空機器製作所
川 原 文 雄
アネルバ株式会社
小 林 正 典
高エネルギー物理学研究所
榊 原 正 二
日本酸素株式会社
寺 沢 寿 浩
日本真空技術株式会社
(長 岡 隆 司) 株式会社日立製作所
成 田 潔
日本真空工業会(株式会社島津製作所)
平 田 正 紘
工業技術院電子技術総合研究所
福 山 泰 弘
神港精機株式会社
古 畑 達 雄
ライボルト株式会社
裵 碩 喜
理化学研究所
本 間 清
工業技術院標準部
柳 橋 輝 雄
大亜真空株式会社
山 村 修 蔵
財団法人日本規格協会
(事務局)
石 川 三 郎
日本真空協会