B 1859:2020
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 分類······························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
3.1 一般用語 ······················································································································ 2
3.2 歯付ベルト ··················································································································· 3
3.3 歯付ベルトの歯形 ·········································································································· 4
3.4 歯付ベルトのタイプ ······································································································· 4
3.5 歯付ベルトの構造 ·········································································································· 4
3.6 歯付ベルトの歯 ············································································································· 5
3.7 歯付プーリ ··················································································································· 7
3.8 歯付プーリの歯溝 ········································································································· 10
3.9 歯付プーリの創成工具 ··································································································· 13
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 16
B 1859:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,日本ベルト工
業会(JBMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を改正す
べきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格である。
これによって,JIS B 1859:2009は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
B 1859:2020
歯付ベルト伝動−用語
Synchronous belt drives-Vocabulary
序文
この規格は,2017年に第3版として発行されたISO 5288を基とし,技術的内容を変更して作成した日
本産業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,動力伝動及び同期伝動に使用する歯付ベルト及び歯付プーリに関する用語及び定義につい
て規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 5288:2017,Synchronous belt drives−Vocabulary(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
分類
歯付ベルト伝動の用語の分類は,次による。
a) 一般用語
b) 歯付ベルト
c) 歯付ベルトの歯形
d) 歯付ベルトのタイプ
e) 歯付ベルトの構造
f)
歯付ベルトの歯
g) 歯付プーリ
h) 歯付プーリの歯溝
i)
歯付プーリの創成工具
3
用語及び定義
歯付ベルト伝動に関する主な用語及び定義は,次による。
なお,参考として対応英語を示す。
2
B 1859:2020
3.1
一般用語
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.1.1
歯付ベルト伝動
1本の歯付ベルト及び少なくとも1個以上の歯付プーリで構成
する機構。
注記1 ベルトの歯とプーリの歯とのかみ合いによって,同期運
動及び/又は動力を伝達する。
注記2 このベルト伝動は,“タイミングベルト伝動(timing belt
drives)”,“ポジティブベルト伝動(positive belt drives)”,
“ギアベルト伝動(gear belt drives)”などともいう。
−
synchronous
belt drives
3.1.2
中心間距離
2個の歯付プーリにベルトを掛け,所定の測長用荷重を与えたと
きの歯付プーリ軸の中心距離(図1参照)。
図1
C
centre distance
3.1.3
エンドレス歯付
ベルト伝動
エンドレス歯付ベルトを用いた歯付ベルト伝動(図2参照)。
図2
−
endless
synchronous
belt drive
3.1.4
オープンエンド
歯付ベルト伝
動
オープンエンド歯付ベルトを用いた歯付ベルト伝動(図3参照)。
図3
−
open
synchronous
belt drive
3
B 1859:2020
3.2
歯付ベルト
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.2.1
歯付ベルト
幅方向の断面は長方形で,ピッチライン(3.2.3)の内側(片側)
又は両側に幅方向の歯を等間隔に配列したベルト(図4参照)。
図4
−
synchronous
belt
3.2.2
歯ピッチ
所定の測長用荷重をベルトに与えたときの隣り合う二つの歯の
中心間距離(図5参照)。
図5
Pb
tooth pitch
3.2.3
ピッチライン
ベルトを回転方向に曲げても同じ長さを保つベルト中の円周方
向の基準線(図6参照)。
図6
−
pitch line
3.2.4
ベルトピッチ長
さ
ベルトのピッチラインの全周の長さ。
Lp
belt pitch length
3.2.5
ベルト幅
ベルトの背面の幅方向の寸法(図7参照)。
図7
bs
width
3.2.6
ベルト厚さ
片面歯付ベルトの厚さ(図8参照)又は両面歯付ベルトの総厚
さ(図9参照)。
図8
hs
hd
height
図9
4
B 1859:2020
3.3
歯付ベルトの歯形
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.3.1
台形歯形
歯面及び歯先が直線で形成された歯形(図10参照)。
図10
−
trapezoidal
profile
3.3.2
円弧歯形
歯面及び/又は歯先が円弧で形成された歯形(図11参照)。
図11
−
curvilinear
profile
3.4
歯付ベルトのタイプ
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.4.1
エンドレス歯付
ベルト
環状の歯付ベルト(図12参照)。
図12
−
endless
synchronous
belt
3.4.2
オープンエンド
歯付ベルト
二つの端をもつ帯状の歯付ベルト(図13参照)。
図13
−
open
synchronous
belt
3.5
歯付ベルトの構造
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.5.1
片面歯付ベルト
ピッチライン(3.2.3)の内側(片側)に幅方向の歯を等間隔に
配列した歯付ベルト(図14参照)。
図14
−
single-sided
synchronous
belt
5
B 1859:2020
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.5.2
両面歯付ベルト
ピッチライン(3.2.3)の内側及び外側(両側)に幅方向の歯を
等間隔に配列した歯付ベルト(図15参照)。千鳥配置及び対称
配置がある。
a) 両面歯付ベルト(千鳥配置)
b) 両面歯付ベルト(対称配置)
図15
−
double-sided
synchronous
belt
3.6
歯付ベルトの歯
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.6.1
歯
歯付ベルトにおいて歯付プーリとかみ合うために必要な形状を
もった歯底から突き出た部位(図16参照)。
図16
−
tooth
3.6.2
歯先線
ベルト歯の先端を結ぶ線(図17参照)。
図17
−
tip line
3.6.3
歯底線
ベルト歯の底を結ぶ線(図18参照)。
図18
−
root line
3.6.4
歯高さ
歯先線と歯底線との間の距離(図19参照)。
図19
ht
tooth height
6
B 1859:2020
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.6.5
歯面
歯元丸み半径(3.6.9)及び歯先丸み半径(3.6.8)を含むその間
の線と幅とによって構成する面,又は歯先丸み半径がない場合
は,歯先線(3.6.2)及び歯元丸み半径(3.6.9)を含むその間の
線と幅とによって構成する面(図20参照)。
図20
−
flank
3.6.6
伝動歯面
伝動するときにプーリ歯面と接触する歯付ベルトの歯面(図21
参照)。
図21
−
working flank
3.6.7
非伝動歯面
伝動歯面と反対側の歯面(図22参照)。
図22
−
non-working
flank
3.6.8
歯先丸み半径
歯先線につながる歯面の曲線部分の丸みの半径(図23参照)。
図23
ra
radius at tooth
tip
3.6.9
歯元丸み半径
歯底線につながる歯面の曲線部分の丸みの半径(図24参照)。
図24
rr
radius at tooth
root
3.6.10
歯元幅
ベルトが直線状態であるとき,歯底線の延長と一つの歯の両側
の歯面を延長した線との理論的な交点間の直線距離(図25参
照)。
図25
S
width at tooth
root
7
B 1859:2020
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.6.11
圧力角
一つの歯の両側の歯面間の角度(図26参照)。
図26
2β
tooth angle
3.7
歯付プーリ
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.7.1
歯付プーリ
外周に沿って均等な間隔で通常横方向の歯を配置したプーリ
(図27参照)。
図27
−
synchronous
pulley
3.7.2
ピッチ円筒
使用する歯付ベルトのピッチラインと等しいプーリのピッチ円
の部位に位置するプーリと同軸の仮想円筒面(図28参照)。
図28
−
pitch reference
cylinder
3.7.3
ピッチ円
ピッチ円筒のプーリ軸と直角の断面(図29参照)。
図29
−
pitch circle
8
B 1859:2020
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.7.4
ピッチ円直径
ピッチ円の直径(図30参照)。
図30
d
pitch diameter
3.7.5
歯先円直径
歯先円の直径(図31参照)。
図31
do
outside diameter
3.7.6
PLD
ピッチ円と歯先円との径方向の距離(図32参照)。
図32
a
pitch line
differential
3.7.7
歯ピッチ
隣接する歯の同じ部位間のピッチ円上の円弧長さ(図33参照)。
図33
Pb
pitch
9
B 1859:2020
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.7.8
最小歯幅
フランジ(3.7.11)付きプーリのフランジ内面間,片側フランジ
の場合はフランジ内面とプーリ端面との最小距離(図34参照),
又は指定幅のベルトが使用可能なプーリの歯幅の最小値(図35
参照)。
フランジ付きプーリ
図34
フランジなしプーリ
図35
bf
b'f
b''f
minimum pulley
width
3.7.9
測長プーリ
歯付ベルトのベルトピッチ長さを正確に測定するために,厳密
に加工又は選別された歯付プーリ。
−
measuring
pulley
3.7.10
測長プーリ歯溝
クリアランス
ベルトと測長プーリの伝動面とが接するときにベルトと測長プ
ーリの非伝動面間との間の最小距離。ベルト歯先と測長プーリ
歯溝底との最小距離(図36参照)。
図36
Cm1
Cm2
measuring
pulley groove
clearance
3.7.11
フランジ
ベルトがプーリから外れることなく動力を伝動するためにプー
リの伝動外周部の端に設けるラッパ状の輪。通常,プーリの両
側に設ける。
−
flange
10
B 1859:2020
3.8
歯付プーリの歯溝
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.8.1
溝
ベルトとプーリとの間で動力伝達ができるようにベルト歯がプ
ーリとかみ合えるようにプーリに設けたくぼみ。通常,横方向
に均等に配置する(図37参照)。
図37
−
grooves
3.8.2
歯先円筒
各歯の頂点で構成されるプーリ軸を中心とする円筒(図38参
照)。
図38
−
tip cylinder
3.8.3
歯先円
歯先円筒のプーリ軸に直角な断面部分(図39参照)。
図39
−
tip circle
3.8.4
歯溝底円筒
各歯溝底で構成されるプーリ軸を中心とする円筒(図40参照)。
図40
−
root cylinder
11
B 1859:2020
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.8.5
歯溝底円
歯溝底円筒のプーリ軸に直角な断面部分(図41参照)。
図41
−
root circle
3.8.6
歯溝底深さ
歯先円と歯溝底円との径方向の距離(図42参照)。
図42
hg
groove depth
3.8.7
歯面
歯先丸み半径(3.8.10)と歯元丸み半径(3.8.11)とを含むその
間の線と幅とによって構成する面,又は歯元丸み半径がない場
合は,歯溝底円(3.8.5)と歯先丸み半径(3.8.10)とを含むその
間の線と幅によって構成する面(図43参照)。
図43
−
flank
3.8.8
伝動歯面
伝動するときに歯付ベルトの歯面と接触する歯面(図44参照)。
図44
−
working flank
3.8.9
非伝動歯面
伝動するときの伝動歯面と反対側の歯面(図45参照)。
図45
−
non-working
flank
12
B 1859:2020
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.8.10
歯先丸み半径
歯先円につながる歯面の曲線部分の丸みの半径(図46参照)。
図46
rt
radius at the
groove crest
3.8.11
歯元丸み半径
歯溝底円に接する歯面の曲線部分の丸みの半径(図47参照)。
図47
rb
radius at the
groove root
3.8.12
歯溝底幅
歯溝底円と一つの溝の両側の歯面を延長した線との理論的な交
点間の直線距離(図48参照)。
図48
bw
width at groove
root
3.8.13
歯溝先幅
歯先円と一つの溝の両側の歯面を延長した線との理論的な交点
間の直線距離(図49参照)。
図49
br
width at groove
crest
3.8.14
(プーリ溝の)
圧力角
一つの溝の両側の歯面間のなす角度(図50参照)。
図50
2φ
groove angle
13
B 1859:2020
3.9
歯付プーリの創成工具
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.9.1
ラック歯形状
歯付プーリの歯を加工するための歯形状及び寸法を規定する基
準となるラックの歯形(図51参照)。
図51
−
rack form
3.9.2
基準ラック
歯数ごとに規定した標準ラック形状をもつラック。
−
reference rack
3.9.3
(基準ラックの)
ピッチライン
ラック歯のピッチを定義するための基準となる線(図52参照)。
図52
−
reference rack
pitch line
3.9.4
(基準ラックの)
歯底線
基準ラックの歯底をつないだ線(図53参照)。
図53
−
reference rack
root line
3.9.5
(基準ラックの)
歯先線
基準ラックの歯先をつないだ線(図54参照)。
図54
−
reference rack
tip line
3.9.6
(基準ラックの)
歯側面
基準ラックの歯先丸み半径(3.9.13)と基準ラックの歯元丸み半
径(3.9.14)とを含むその間の線と幅とによって構成する面,又
は基準ラックの歯先丸み半径がない場合は,基準ラックの歯先
線(3.9.5)と基準ラックの歯元丸み半径(3.9.14)とを含むその
間の線と幅によって構成する面。(図55参照)
図55
−
reference rack
flank
14
B 1859:2020
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.9.7
(基準ラックの)
ピッチライン
の位置
基準ラックのピッチラインと基準ラックの歯底線間との距離
(図56参照)。
図56
a
reference rack
pitch line
location
3.9.8
(基準ラックの)
歯ピッチ
基準ラックの隣接する歯の中心間距離(図57参照)。
図57
P'b
reference rack
pitch
3.9.9
(基準ラックの)
圧力角
基準ラックの一つの歯の歯側面間のなす角度(図58参照)。
図58
2A
reference rack
tooth angle
3.9.10
(基準ラックの)
歯高さ
基準ラックの歯先線と歯底線間との距離(図59参照)。
図59
hr
reference rack
tooth height
3.9.11
(基準ラックの)
歯先幅
基準ラックの歯先線と両側の歯側面を延長した線との理論的な
交点間の直線距離(図60参照)。
図60
bg
reference rack
width at tooth
tip
3.9.12
(基準ラックの)
歯元幅
基準ラックの歯底線と両側の歯側面を延長した線との理論的な
交点間の直線距離(図61参照)。
図61
bt
reference rack
width at tooth
root
P'b
15
B 1859:2020
番号
用語
定義
量記号
対応英語
(参考)
3.9.13
(基準ラックの)
歯先丸み半径
基準ラックの歯先線につながる歯側面の曲線部分の丸みの半径
(図62参照)。
図62
r1
reference rack
radius at
tooth tip
3.9.14
(基準ラックの)
歯元丸み半径
基準ラックの歯底線につながる歯側面の曲線部分の丸みの半径
(図63参照)。
図63
r2
reference rack
radius at
tooth root
16
B 1859:2020
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS B 1859:2020 歯付ベルト伝動−用語
ISO 5288:2017,Synchronous belt drives−Vocabulary
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
2 分類
歯付ベルト伝動の用語
の分類を記載
−
−
追加
分類を追加した。技術的差異はな
い。
使用者の利便性を考慮して追加し
た。
3 用語及び
定義
3.2 歯付ベルト
3.2.1.4
歯付ベルトのPLD(pitch
line differential)
削除
対応国際規格では,3.2.1.4で歯付ベ
ルトのPLDを,及び3.3.1.6で歯付
プーリのPLDを定義しているが,
3.2.1.4での定義を不採用とした。
PLDは,本来,歯付プーリについ
ての用語であり,歯付ベルトに適
用するのは間違いであるため,
ISOに修正提案する。
3.7.10 測長プーリ歯溝
クリアランス
3.3.1.10 measuring pulley groove
clearance
追加
歯溝クリアランスの量記号Cmは位
置に限らず規定されているが,Cm1
とCm2として識別した。
使用者の利便性を考慮して追加し
た。
3.9.8(基準ラック)の
歯ピッチ
3.3.3.8
reference rack pitch
追加
ピッチの量記号をP'bとした。歯創
成具の歯ピッチはベルトの歯ピッ
チと同じとは限らないため,両者の
量記号を変えて識別した。
使用者が認識を間違えないよう考
慮して追加した。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 5288:2017,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
B
1
8
5
9
:
2
0
2
0