日本工業規格
JIS
B
1751
-1976
検査用親円筒歯車
Master Cylindrical Gears
1.
適用範囲 この規格は,JIS B 1701(インボリュート歯車の歯形及び寸法)に規定した歯形をもつ正
面モジュール (m) が 0.2∼10 の歯車を検査するための親円筒インボリュート歯車(以下,親歯車という。
)
について規定する。
引用規格
JIS B 1701
インボリュート歯車の歯形及び寸法
JIS B 1752
平歯車及びはすば歯車の測定方法
JIS G 4105
クロムモリブデン鋼鋼材
JIS G 4404
合金工具鋼鋼材
JIS G 4805
高炭素クロム軸受鋼鋼材
2.
等級 親歯車の等級は,精度により M00 級,M0 級及び M1 級とする。
3.
品質
(1)
外観 親歯車の各部には地きず,割れ,まくれ,さびなどの欠点がなく,仕上げの程度は良好であり,
表示は明りょうでなければならない。
(2)
精度 親歯車の各等級ごとの精度は,表 1∼表 8 による。
表 1 穴径の許容差
単位
µm
穴径区分
項目
等級
12mm
以上 32mm 以下 32mm を超え 60mm 以下
穴径
(d
1
)
M00
M0
M1
+3
0
+5
0
表 2 歯先円直径の許容差
単位
µm
歯先円直径区分
項目
等級
60mm
以下
60mm
を超え
130mm
以下
130mm
を超え
220mm
以下
歯先円直径
(d
k
)
M00
M0
M1
0
−20
0
−40
0
−80
2
B 1751-1976
表 3 歯幅の許容差
単位
µm
歯幅区分
項目
等級
9mm
以上 30mm 以下 30mm を超え 60mm 以下
歯幅
(b)
M00
M0
M1
±100
±200
表 4 歯先円周の振れの許容値
単位
µm
歯先円直径区分
項目
等級
60mm
以下
60mm
を超え
130mm
以下
130mm
を超え
220mm
以下
歯先円周の振れ
M00
M0
M1
10 20 25
表 5 基準面の振れの許容値
単位
µm
基準面直径区分
項目
等級
24mm
以上
40mm
以下
40mm
を超え
95mm
以下
95mm
を超え
170mm
以下
外周
M00
M0
M1
3 4 5
基準面
の
振れ
側面
M00
M0
M1
3 4 5
表 6 歯厚の許容差
単位
µm
モジュール区分
項目
等級
0.2
以上 1.0 以下 1.0 を超え 6.0 以下
6.0
を超え 10.0 以下
またぎ
歯厚
M00
M0
M1
±10
±15
±25
歯厚
オーバ
ピン寸法
M00
M0
M1
±25
±36
±56
表 7 歯すじ方向誤差の許容値
単位
µm
歯幅区分
項目
等級
9mm
以上
12mm
以下
12mm
を超え
30mm
以下
30mm
を超え
40mm
以下
40mm
を超え
60mm
以下
歯すじ方向誤差
M00
M0
M1
5
6
7
6
7
8
7
8
9
8
9
10
3
B 1751-1976
表 8 ピッチ誤差,歯形誤差及び歯みぞの振れの許容値
単位
µm
モジュール区分
等級
項目
0.2
以上
0.6
以下
0.6
を超え
1.0
以下
1.0
を超え
2.5
以下
2.5
を超え
4.0
以下
4.0
を超え
6.0
以下
6.0
を超え
10.0
以下
単一ピッチ誤差
2
3
3
4
4
5
隣接ピッチ誤差
2
3
3
4
4
5
累積ピッチ誤差
6
7
9
10
12
15
法線ピッチ誤差
2
3
4
4
5
7
歯形誤差
2
2
3
4
5
7
M00
歯みぞの振れ
5
5
6
7
9
11
単一ピッチ誤差
3
4
4
5
6
8
隣接ピッチ誤差
3
4
4
5
6
8
累積ピッチ誤差
9 10 12 15 17 21
法線ピッチ誤差
3
4
5
6
7
10
歯形誤差
3
3
4
5
7
9
M0
歯みぞの振れ
6
7
9
10
12
15
単一ピッチ誤差
5
5
6
7
9
11
隣接ピッチ誤差
5
5
6
7
9
11
累積ピッチ誤差
13 14 18 21 24 30
法線ピッチ誤差
5
5
7
9
10
14
歯形誤差
4
4
6
7
9
13
M1
歯みぞの振れ
9 10 12 15 17 21
4.
形状及び寸法 親歯車の形状及び寸法は,次による。
(1)
平歯車の場合は,
表 9 による。
なお,歯厚は原則として円ピッチの
2
1
にとり,歯底円直径は,次の式による。
f
r
h
d
d
2
0
−
=
ここに
d
r
:
歯底円直径
d
0
:
ピッチ円直径
h
f
:
歯元のたけ(
1.25m
n
以上とする)
(2)
はすば歯車の場合は測定歯車の正面モジュール
m
1
(
1
)
が,
表 9 のモジュール
m
に等しい場合はその諸元
を,等しくない場合は近くて小さい方の値に対応する諸元を選べばよい。ただし,ピッチ円直径,歯
先円直径及び歯底円直径は,原則として次の式による。
0
0
cos
β
n
zm
d
=
d
k
=d
0
+
2m
n
d
r
=d
0
−
2h
f
ここに
d
0
:
ピッチ円直径
d
k
:
歯先円直径
d
r
:
歯底円直径
m
n
:
親歯車の歯直角モジュール
z
:
歯数
h
f
:
歯元のたけ(
1.25m
n
以上とする。
)
β
0
:
親歯車のねじれ角
4
B 1751-1976
注(
1
)
0
cos
β
n
s
m
m
=
表 9 親歯車の形状及び寸法
5
B 1751-1976
単位 mm
モジュール
m
歯数
z
ピッチ円
直径
d
0
穴径
d
1
d
d
3
d
4
,
d
5
歯幅
b
b
1
b
2
b
3
歯先円
直 径
d
k
0.2 150 30 12
−
− 24 9 14 4 − 30.4
0.25 120 30 12
−
− 24 9 14 4 − 30.5
0.3 100 30 12
−
− 24 9 14 4 − 30.6
0.4
74 29.6
12
−
− 24 9 14 4 − 30.4
0.5
60 30 12
−
− 24 9 14 4 − 31.0
0.6
50 30 12
−
− 24 9 14 4 − 31.2
0.7
68 47.6
22
−
− 40 12 17 4 − 49
0.8
60 48 22
−
− 40 12 17 4 − 49.6
0.9
52 46.8
22
−
− 40 12 17 4 − 48.6
1.0
48 48 22
−
− 40 12 17 4 − 50
1.25
64 80 32
−
− 70 20 25 4 − 82.5
1.5
54 81 32
−
− 70 20 25 4 − 84
1.75
46 80.5 32
−
− 70 20 25 4 − 84
2.0
40 80 32
−
− 70 20 25 4 − 84
2.25
36 81 32
−
− 70 20 25 4 − 85.5
2.5
32 80 32
−
− 70 20 25 4 − 85
2.75
42 115.5 32
−
− 95 30 36 5 − 121
3.0
38 114 32
−
− 95 30 36 5 − 120
3.25
36 117 32
−
− 95 30 36 5 − 123.5
3.5
32 112 32
−
− 95 30 36 5 − 119
3.75
30 112.5
32
−
− 95 30 36 5 − 120
4.0
28 112 32
−
− 95 30 36 5 − 120
4.5
34 153 40 70 110 130 40 40 5 10
162
5.0
30 150 40 70 110 130 40 40 5 10
160
5.5
28 154 40 70 110 130 40 40 5 10
165
6.0
26 156 40 70 110 130 40 46 5 10
168
7.0
28
196 60 90 140
170 60 66 5 12
210
8.0
24
192 60 90 140
170 60 66 5 12
208
9.0
22
198 60 90 140
170 60 66 5 12
216
10.0
20
200 60 90 140
170 60 66 5 12
220
5.
材料 親歯車の材料は,表 10 に示すもの又は摩耗及び変形がこれと同じか,若しくはこれより少ない
ものを用いる。
表 10 材料及び硬さ
材料
熱処理後の硬さ(
2
)H
R
C
JIS G 4404
の SKS3,SKD11 60 以上
JIS G 4805
の SUJ2 60 以上
JIS G 4105
の SCM21 55 以上
注(
2
)
歯部の硬さを示す。
6.
検査 親歯車の検査は,次による。
(1)
外観検査 外観検査は,通常目視により行い,3.の(1)の規定に適合しなければならない。
(2)
形状・寸法検査 精度,形状及び寸法の検査は,表 11 の要領によって行い,3.の(2)及び 4.の規定に適
6
B 1751-1976
合しなければならない。
表 11 親歯車の形状・寸法の測定方法
検査項目
測定方法
図
測定器具
穴径
空気マイクロメータ又は内側測定
具で図に示す検査範囲内を測定する。
空気マイクロメータ
内側測定具
歯先円直径
外側マイクロメータで測定する。
外側マイクロメータ
歯幅
ノギス又は外側マイクロメータで
測定する。
ノギス
外側マイクロメータ
基準面の振れ
センタ台に取り付けて基準面の外
周及び外周から約 1∼2mm 中心側に
よった側面に測微器を当て,歯車が 1
回転したときの振れを測定する。
センタ台
測微器
取付軸
歯先円周の振れ
センタ台に取り付けて歯先円周に
ダイヤルゲージを当て,歯車が 1 回転
したときの振れを測定する。
センタ台
ダイヤルゲージ
取付軸
7
B 1751-1976
検査項目
測定方法
図
測定器具
歯厚
平行な平面で,Z
m
枚の歯をはさんで,その
間隔を歯厚マイクロメータ又は工具顕微鏡
により測定し,またぎ歯厚 (S
m
)
を求めるか,
又は二つのピン(玉)を直径上の相対する歯
みぞにそう入し,二つのピン(玉)の外側寸
法 を 測 定 す る こ と に よ り オ ー バ ピ ン 寸 法
(d
m
)
を求める。
〔
JIS B 1752
(平歯車及びはすば歯車の測
定方法)参照〕
歯厚マイク
ロメータ
工具顕微鏡
ピン(玉)
外側マイク
ロメータ
歯すじ方向誤差
親歯車のピッチ円筒又はこれに近い円筒
上で測定子を歯面に触れさせ,軸方向に親歯
車又は測定子を移動させるとともに,ねじれ
角に応じて親歯車を回転させて,理論上の歯
すじ方向と実際の歯すじ方向との差を円周
上約 90 度ごとに,1 枚の歯の左右両歯面につ
いて測定する。
(
JIS B 1752
参照)
歯すじ方向
測定器
取付軸
単一
ピッチ
誤差
隣接
ピッチ
誤差
親歯車の左右両歯面につき,それぞれ隣り
あった対応する歯面とピッチ円との 2 交点間
の直線距離の不同を測定するか,又はその 2
点が歯車中心に対してなす角度を測定し,そ
れらの測定値から,単一及び隣接ピッチ誤差
を求める。
(
JIS B 1752
参照)
ピ ッ チ 測 定
器
角度測定器
取付軸
ピッチ誤
差
累積
ピッチ
誤差
親歯車の左右両歯面につき,それぞれ基準
に決めた歯に対する各歯のピッチ円上での
進み・遅れを測定して累積ピッチ誤差を求め
る。
(
JIS B 1752
参照)
8
B 1751-1976
検査項目
測定方法
図
測定器具
法線
ピッチ
誤差
親歯車の左右両歯面につき,測定子及び固
定接触子を基礎円の接線上で隣りあう歯面
に接触させ,
その 2 点間の直線距離について,
その理論値との差を測定する。
(
JIS B 1752
参照)
法線ピッチ
測定器
取付軸
歯形誤差
親歯車の左右両歯面につき,歯幅の中央部
付近で,軸直角平面における歯形誤差を測定
する。
(
JIS B 1752
参照)
歯形測定器
取付軸
歯みぞの振れ
親歯車のピッチ円付近で,両歯面に接する
玉又はピンなどの測定子を全円周にわたっ
て,歯幅のほぼ中央部で歯みぞにそう入し,
測定子の半径方向の位置の変動を測微器に
より読み取るか,又は自動記録する。
(
JIS B 1752
参照)
センタ台
測微器
取付軸
備考 測定方法及び測定器具は,一例を示したものである。
参考 親歯車の検査に使用する取付軸の振れは,参考表 1 の値以内であることが望ましい。
参考表 1 取付軸の振れの許容値
単位
µm
取付軸直径区分
項目
親歯車の
等級
12mm
以上 32mm 以下 32mm を超え 60mm 以下
取付軸の振れ
M00
M0
M1
1
1.5
1.5
1
2
3
7.
製品の呼び方 製品の呼び方は,次の事項による。
9
B 1751-1976
規格番号又は規格名称
注(*) 特に紛らわしくない場合には記号を省略してもよい。
備考 平歯車の場合は,ねじれ角及びねじれ方向は除く。
例:
8.
表示 親歯車の側面には図 1 のように,ア,イ,ウ,エ,オ,カの位置に,次のことを横書きに表示
する。
図 1
10
B 1751-1976
機械要素部会 検査用親歯車専門委員会 構成表(昭和 44 年 3 月 1 日制定のとき)
氏名
所属
(委員会長)
会 田 俊 夫
京都大学工学部
石 川 二 郎
東京工業大学
上 野 拓
九州大学工学部
岡 本 隆
京都工芸繊維大学
仙 波 正 荘
工業技術院機械試験所
寺 内 喜 男
広島大学工学部
広 瀬 順 一
大阪府立工業奨励館
藤 井 康 治
東北大学工学部
堀 内 義 和
宇都宮大学工学部
武 藤 英 一
中央大学理工学部
出 雲 正 敏
三菱重工業株式会社京都製作所
田 口 英 彦
キャノンカメラ株式会社
渡 辺 真
株式会社日立製作所亀有工場
石 川 昌 一
株式会社長谷川歯車鉄工所
大 山 政 一
大久保歯車工業株式会社
小 熊 辰 照
大阪精密機械株式会社
田 中 昭
日本ギヤー工業株式会社
田 中 義 一
浜井産業株式会社
藤 野 哲 郎
大阪製鎖造機株式会社
松 川 安 一
工業技術院標準部
宇田川 鉦 作
工業技術院標準部
(事務局)
黒 田 武 夫
工業技術院標準部機械規格課
(事務局)
大 磯 義 和
工業技術院標準部機械規格課(昭和 51 年 11 月 1 日改正のと
き)