2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 1455-1988
ゴム軸継手
Rubber Shaft Couplings
1. 適用範囲 この規格は,一般の機械に用いるゴム軸継手(以下,継手という。)について規定する。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,参
考として併記したものである。
引用規格:
JIS B 0401 寸法公差及びはめあい
JIS B 0405 削り加工寸法の普通許容差
JIS B 0407 鋳鉄品普通許容差
JIS B 0903 円筒軸端
JIS B 0904
10
1円すい軸端
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS G 3506 硬鋼線材
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 5501 ねずみ鋳鉄品
JIS K 6385 防振ゴムの試験方法
JIS K 6386 防振ゴムのゴム材料
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次による。
(1) 軸心間の狂い 継手によって結合される両軸の中心線(軸心)間の偏心及び偏角の総称。
(2) 偏心 軸心間の平行誤差(図のδ)。
(3) 偏角 軸心間の角度誤差(図のα)。
図
(4) 静的ねじりばね定数 ゴム部に単位の静的たわみ角を与えるのに必要なトルク[7.2(5)の (kt) によっ
て示したもの]。
(5) 常用トルク 常用される変動しない一方向の回転力(付表のT)。
2
B 1455-1988
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3. 種類 継手の種類は,表1に示す軸心間の狂いの許容値の記号と静的ねじりばね定数の記号との組合
せによる。
表1 種類
軸心間の狂いの許容値(1)
静的ねじりばね定数
記号
許容値の区分
記号
ばね定数の区分
E1
小さいもの
K2
かなり小さいもの
K4
小さいもの
E2
やや大きいもの
K8
大きいもの
E4
かなり大きいもの
K16
かなり大きいもの
注(1) 表2による。
4. 品質
4.1
継手には,使用上有害な鋳巣,きず,割れ,ひびなどの欠陥があってはならない。
4.2
継手は,付表の常用トルク (T) を伝えるものとし,寿命を十分保持するものでなければならない。
4.3
軸心間の狂いの許容値及び継手の静的ねじりばね定数は,表2による。
表2 軸心間の狂い・静的ねじりばね定数
軸心間の狂いの許容値
静的ねじりばね定数の許容値
記号
偏心
偏角(度)
記号
許容値 N・m/rad {kgf・m/rad}
E1
付表による。
1以下
K2
2T以上4T未満
K4
4T以上8T未満
E2
2以下
K8
8T以上16T未満
E4
4以下
K16
16T以上
4.4
継手の釣合いは,振動の原因とならない程度に良好でなければならない。
5. 寸法及び構造
5.1
継手の主要寸法は,付表による。
5.2
継手の軸穴直径は,付表の最大直径以下とし,原則としてJIS B 0903(円筒軸端)又はJIS B 0904
(101円すい軸端)による。この場合継手軸穴の寸法許容差は,原則としてJIS B 0401(寸法公差及びはめ
あい)のH7とする。
備考 軸穴直径は,受渡当事者間の協定によって粗仕上げ加工のままとすることができる。
5.3
はめあい部分以外の寸法許容差は,次による。
削り加工部分
JIS B 0405(削り加工寸法の普通許容差)の中級
鋳造のままの部分
JIS B 0407(鋳鉄品普通許容差)の精級
5.4
継手には軸心間の狂いが測定できる部分を設ける。この部分の振れの許容値は,表3による。
3
B 1455-1988
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表3 振れ
単位 mm
記号
測定部外径
振れの許容値(2)
E1
E2
E4
250以下
0.04以下
0.08以下
0.16以下
250を超えるもの
0.06以下
0.12以下
0.25以下
注(2) 測定部外径の半径方向の振れ及び軸方向の振れの許容値とす
る。
5.5
ゴム部の寸法は,取付け及び使用に悪影響を及ぼさない精度とする。
5.6
継手に使用するボルトは,ばね座金その他の方法による緩み止めを行う。
5.7
継手は,これを使用する機械の運転に支障がないように,軸方向の遊びを吸収できる構造とする。
6. 材料 継手各部に使用する材料は,表4に示すもの又は品質がこれと同等以上のものとする。
表4 各部の材料
主要部品(3)
材料
ゴム部
JIS K 6386
フランジ及び圧力リング
JIS G 5501のFC 20又はJIS G 4051のS 20 C
ボルト,ナット及び座金
JIS G 3101のSS 41
ばね座金
JIS G 3506のSWRH 62 A又はSWRH 62 B
注(3) 主要部品の名称を,参考図1〜6に示す。ただし,参考図は,構造の一例を示
したものである。
7. 検査
7.1
検査の種類 継手の検査は,形式検査(4)と受渡検査(5)とに区分する。
なお,形式検査及び受渡検査の抜取検査方式は,受渡当事者間の協定による。
注(4) 形式検査とは,製品の品質が設計で示されたすべての特性を満足するかどうかを判定するため
の検査。
(5) 受渡検査とは,既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造にかかわる製品の受渡しに際し
て必要と認められる特性が満足するものであるかどうかを判定するための検査。
7.2
形式検査 形式検査は,次による。
(1) 外観検査は,目視によって継手各部について行い,4.1の規定に適合しなければならない。
(2) 寸法及び構造は,5.の規定に適合しなければならない。
(3) 継手は,付表の常用トルクの5倍のトルクを静的に3分間負荷したとき,各部に異状があってはなら
ない。
(4) 継手は,表2の偏心及び偏角の許容値を同時に与えた状態で,かつ,無負荷で106回転したとき,表4
の各部に異状があってはならない。
なお,試験回転速度は,表5による。
4
B 1455-1988
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表5 試験回転速度
常用トルク
T
(N・m) {kgf・m}
10
{1}
20
{2}
40
{4.1}
80
{8.2}
160
{16.3}
315
{32.1}
630
{64.2}
1 250
{127}
2 500
{255}
5 000
{510}
7 100
{724}
10 000
{1 020}
14 000
{1 428}
20 000
{2 040}
試験回転速度
(最低)
(S−1) {rpm}
41.6 {2 500}
26.6 {1 600}
16.6 {1 000}
10.5 {630}
6.6 {400}
(5) 静的ねじりばね定数は,JIS K 6385(防振ゴムの試験方法)のばね定数試験の規定に準じて測定し,
次の式によって計算した値が,表2の規定に適合しなければならない。
)
(
)
(
1
2
1
2
T
T
T
T
kt
θ
θ
−
−
=
ここに,
kt: 静的ねじりばね定数 (N・m/rad) {kgf・m/rad}
T2: 静的試験トルクの上限 [T2= (1.25〜1.5) TN・m {kgf・m}]
T1: 静的試験トルクの下限 [T1= (0.5〜0.75) TN・m {kgf・m1]
T:静的常用トルク (N・m) {kgf・m}
θ (T2): T2における角変位 (rad)
θ (T1): T1における角変位 (rad)
7.3
受渡検査 受渡検査は,7.2の(1)及び(2)による。
8. さび止め 継手には,石油系溶剤で容易に取り除くことのできるさび止め剤の塗布又はこれに代わる
方法によって,さび止めを施す。
9. 製品の呼び方 継手の呼び方は,規格番号(又は規格名称),呼び,(軸心間の狂いの許容値の記号,
静的ねじりばね定数の記号),継手外径×継手全長及び(軸穴の仕上がり状態)による。ただし,軸心間の
狂いの許容値の記号,静的ねじりばね定数の記号及び軸穴の仕上がり状態は,必要がない場合は省略して
もよい。
例: JIS B 1455 250 (E4, K16)−630×400(穴径80キー溝付)
ゴム軸継手 250−630×400
10. 表示 継手の適当な箇所に,次の事項を表示する。
(1) 呼び
(2) 製造業者名又はその略号
5
B 1455-1988
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付表 ゴム軸継手
備考 寸法を説明するための図であって,実際の構造を示すものではない。
単位 mm
呼び
常用トルク
T
(N・m) {kgf・m}
軸穴d
軸穴
長さ
l
全長
L
外径(最大)
D
偏心の許容値
最大
直径
(参考)
最小
直径
E1
E2
E4
10
10
{ 1}
16
−
25
−
−
56
63
71
80
63
100
0.2
以下
0.5
以下
1
以下
20
20
{ 2}
20
12
31.5
−
−
71
80
90
100
80
125
0.3
以下
0.6
以下
1.2
以下
40
40
{ 4.1}
25
16
40
−
−
90
100
112
125
100
160
80
80
{ 8.2}
32
20
50
−
−
112
125
140
160
125
200
160
160
{16.3}
40
25
56
−
−
140
160
180
200
160
250
0.4
以下
0.8
以下
1.6
以下
315
315
{32.1}
50
32
63
−
160
180
200
224
−
200
315
630
630
{64.2}
63
40
80
−
200
224
250
280
−
250
400
1 250
1 250
{127}
80
50
100
−
250
280
315
355
−
315
500
0.5
以下
1
以下
2
以下
2 500
2 500
{255}
100
63
125
−
315
355
400
450
−
400
630
5 000
5 000
{510}
125
80
140
355
400
450
500
−
−
500
800
7 100
7 100
{724}
140
90
160
400
450
500
560
−
−
560
900
0.6
以下
1.2
以下
2.5
以下
10 000 10 000 {1 020}
160
100
180
450
500
560
630
−
−
630
1000
14 000 14 000 {1 428}
180
110
200
500
560
630
710
−
−
710
1120
20 000 20 000 {2 040}
200
125
224
560
630
710
800
−
−
800
1250
6
B 1455-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考図1
番号
名称
1
ゴム部
2
フランジ
3
ボルト
4
ばね座金
5
圧力リング
7
B 1455-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考図2
番号
名称
1
ゴム部
2
フランジ
3
ボルト
4
ばね座金
8
B 1455-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考図3
番号
名称
1
ゴム部
2
ハブ
3
フランジ
4
六角穴付きボルト
5
スプリングピン
9
B 1455-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考図4
番号
名称
番号
名称
1
ゴム部
4
ばね座金
2
フランジ
5
溝付きナット
3
ボルト
6
割りピン
参考図5
番号
名称
1
ゴム部
2
フランジ
3
止めねじ
10
B 1455-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考図6
番号
名称
1
ゴム部
2
フランジ
11
B 1455-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
機械要素部会 軸継手専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
和 田 稲 苗
早稲田大学
藤 原 孝 誌
工業技術院機械技術研究所
桑 原 茂 樹
通商産業省機械情報産業局
鈴 木 茂 光
工業技術院標準部
大 滝 光
大泉工業株式会社
金 田 光 夫
鍋屋工業株式会社
浜 田 義 友
全国伝動機工業協同組合
平 井 英 雄
三ツ星ベルト株式全社
増 田 進 彦
金光産業株式会社
宮 里 幸 雄
伊藤鋳工株式会社
渡 辺 春 義
石川島播磨重工業株式会社
通 地 登
社団法人日本電機工業会
谷 脇 政 一
久保田鉄工株式会社枚方製造所
蛭 川 康 男
株式会社川本製作所
前 原 利 昭
三菱電機株式会社名古屋製作所
丸 山 勝
株式会社荏原製作所
(事務局)
松 本 大 治
工業技術院標準部機械規格課
江 頭 豊
工業技術院標準部機械規格課