2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 1352-1988
テーパピン
Taper Pins
1. 適用範囲 この規格は,一般に用いるテーパ501の鋼製テーパピン(以下,鋼ピンという。)及びステ
ンレス鋼製テーパピン(以下,ステンレスピンという。)について規定する。
なお,この規格で鋼ピン及びステンレスピンを総称する場合は,単にピンという。
備考1. この規格の本体は,あみかけ (
) を施した部分を除きISO 2339-1986 (Taper pins, unhardened)
によっている。
2. ピンの形状・寸法,テーパ精度及び表面粗さがISO 2339によらないものは,附属書に規定す
る。
引用規格:
JIS B 0031 面の肌の図示方法
JIS B 0401 寸法公差及びはめあい
JIS B 0601 表面粗さの定義と表示
JIS B 1071 ねじ部品の精度測定方法
JIS G 3123 みがき棒鋼
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 4303 ステンレス鋼棒
JIS G 4804 硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材
JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験方法
JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験方法
対応国際規格:
ISO 2339-1986 Taper pins, unhardened
2. 種類 ピンの種類は,テーパ部の表面粗さによって区分し,表1の2種類とする。
表1
種類
テーパ部の表面粗さ(1)
備考
A種
Ra=0.8μm
主として研削によるもの。
B種
Ra=3.2μm
主として旋削によるもの。
注(1) Raは,JIS B 0601(表面粗さの定義と表示)に規定する中心線
平均粗さによる。
3. 硬さ ピンの硬さは,表2による。
2
B 1352-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2
区分
硬さ
ビッカース硬さ
ロックウェル硬さ
鋼ピン
熱処理しない
もの
HV 125〜245
HRB 70〜HRC 21
焼入焼戻しを
施したもの
HV 255〜327
HRC 23〜33
ステンレスピン
HV 208〜280
HRB 93〜HRC 27
4. 形状・寸法 ピンの形状・寸法は,付表による。
5. 外観 ピンの外観は,テーパ部の表面粗さが表1に適合するほか,焼割れ,かえり及び使用上有害な
きず,打こん,さびなどの欠陥があってはならない。
6. 熱処理及び材料 ピンの熱処理及び材料は,原則として表3による。
表3
区分
熱処理
材料
鋼ピン
施さない
JIS G 4804(硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材)の SUM 22
〜SUM 24L若しくは
JIS G 3123(みがき棒鋼)のSGD 41−D 又は
JIS G 4051(機械構造用炭素鋼鋼材)の S 43 C(2)〜
S 45 C(2)
焼入焼戻し(3)
JIS G 4051のS 43 C〜S 50 C
ステンレスピン
施さない
JIS G 4303(ステンレス鋼棒)の SUS 303
注(2) この材料は,焼ならしを施したものとする。
(3) 調質鋼を用いた場合は,焼入焼戻しを省略してよい。
7. 表面処理 ピンの表面処理は,一般に施さない。ただし,鋼ピンの場合は,供給時にさび止め油を塗
布する。
なお,めっきその他の表面処理を必要とする場合は,注文者が指定する。
8. 検査
8.1
硬さ検査 ピンの硬さ検査は,JIS Z 2244(ビッカース硬さ試験方法)又はJIS Z 2245(ロックウェ
ル硬さ試験方法)に規定する試験方法によって行い,ピンの端部又はテーパ部の硬さが3.の規定に適合し
なければならない。
なお,ピンの硬さは,ビッカース硬さ又はロックウェル硬さのいずれによってもよいが,硬さの測定値
に疑義が生じた場合は,ビッカース硬さによって合否を決める。
8.2
形状・寸法検査 ピンの形状・寸法検査は,直接測定,限界ゲージその他の方法によって行い,4.
の規定に適合しなけれはならない。
8.3
外観検査 ピンの外観検査は,目視によって行い,5.の規定に適合しなければならない。ただし,テ
ーパ部の表面粗さは,JIS B 1071(ねじ部品の精度測定方法)に規定する表面粗さの測定方法又はこれに
代わる方法によって行う。
8.4
受渡検査 受渡時のロットに対する抜取検査方式は,受渡当事者間の協定による。
3
B 1352-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9. 製品の呼び方 ピンの呼び方は,規格番号又は規格名称,種類(4),呼び径×呼び長さ,材料(5)及び指
定事項(6)による。
注(4) 種類のA種はA,B種はBとしてもよい。
(5) 材料は,日本工業規格で規定する材料記号による。ただし,熱処理しない鋼ピンの材料は,St
の記号で表してもよい。
なお,焼入焼戻しを施した鋼ピンの材料は,その記号の後にQの記号を付ける。
また,調質鋼を用いた場合もこれに準じる。
(6) 指定事項としては,表面処理の種類,呼び径 (d) の許容値を表す記号などを必要に応じて示す。
例:
10. 包装の表示 ピンの包装には,次の事項を表示する。
(1) 名称
(2) 種類
(3) 呼び径×呼び長さ
(4) 材料(7)
(5) 数量
(6) 指定事項
(7) 製造業者名又はその略号(8)
注(7) 材料の表示は,注(5)のように扱う。ただし,焼入焼戻しを施した鋼ピンの材料は,Qの記号の
代わりに(焼入)としてもよい[例:S 45 C(焼入)]。
(8) 略号には,なるべく登録商標を用いる。
付表 テーパピンの形状・寸法
4
B 1352-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
呼び径
0.6 0.8 1 1.2 1.5 2 2.5 3
4
5
6
8 10 12 16 20 25 30 40 50
d
基準寸法
0.6 0.8 1.0 1.2 1.5 2.0 2.5 3.0 4.0 5.0 6.0 8.0 10 12 16 20 25 30 40 50
許容差(h10)(10)
0
−0.040
0
−0.048
0
−0.058
0
−0.070
0
−0.084
0
−0.100
a
約
0.08 0.1 0.12 0.16 0.2 0.25 0.3 0.4 0.5 0.63 0.8 1 1.2 1.6 2 2.5 3
4
5 6.3
l
呼び
長さ 最小
最大
2
1.75
2.25
3
2.75
3.25
4
3.75
4.25
5
4.75
5.25
6
5.75
6.25
8
7.75
8.25
10
9.75 10.25
12
11.5
12.5
14
13.5
14.5
16
15.5
16.5
18
17.5
18.5
20
19.5
20.5
22
21.5
22.5
24
23.5
24.5
26
25.5
26.5
28
27.5
28.5
30
29.5
30.5
32
31.5
32.5
35
34.5
35.5
40
39.5
40.5
45
44.5
45.5
50
49.5
50.5
55
54.25 55.75
60
59.25 60.75
65
64.25 65.75
70
69.25 70.75
75
74.25 75.75
80
79.25 80.75
85
84.25 85.75
90
89.25 90.75
95
94.25 95.75
100
99.25 100.75
120 119.25 120.75
140 139.25 140.75
160 159.25 160.75
180 179.25 180.75
200 199.25 200.75
注(10) h10に対する数値は,JIS B 0401(寸法公差及びはめあい)による。
備考1. ピンの呼び径に対して推奨する長さ (l) は,太線の枠内とする。ただし,この表以外のlを必要と
する場合は,注文者が指定する。
なお,200mmを超える呼び長さは,20mmとびとするのがよい。
5
B 1352-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2. 小端側の径 (d) に対して,h10以外の許容差を必要とする場合は,注文者が指定する。ただし,そ
の許容差は,JIS B 0401によるものとする。
3. テーパ部の許容限界は,dに与えた許容差とテーパ501の基準円すい及び長さ (l) によって決まる
幾何学的に正しい二つの円すいによる(下図参照)。
図(dの公差位置がhの場合)
4. この表の許容差は,表面処理を施す前のものに適用する。
6
B 1352-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書 ISO 2339によらないテーパピン
1. 適用範囲 この規格は,一般に用いるテーパ501の鋼製テーパピン(以下・鋼ピンという。)及びステ
ンレス鋼製テーパピン(以下,ステンレスピンという。)で,形状・寸法,テーパ精度及び表面粗さが,ISO
2339によらないものについて規定する。
なお,この規格で鋼ピン及びステンレスピンを総称する場合は,単にピンという。
備考 この附属書で規定するピンは,JIS B 1352-1975(テーパピン)に準拠したものであるが,国際
性確保のため,ピンの形状・寸法,テーパ精度及びテーパ部の表面粗さは,本体の規定による
のがよい。
なお,この附属書は,将来廃止する。
2. 等級 ピンの等級は,テーパの許容差によって,1級及び2級に区分する。
3. 硬さ ピンの硬さは,本体の表2による。
なお,表2の硬さは,あみかけの有無に関係なく適用する。
4. 形状・寸法及びテーパ精度 ピンの形状・寸法は,附属書付表による。ただし,テーパ精度は次の附
属書表による。
附属書表
長さ(l)の区分
mm
テーパの許容差
1級
2級
12以下
000
10
7
±
000
10
14
±
12を超え25以下
000
10
5
±
000
10
9
±
25を超え50以下
000
10
3
±
000
10
6
±
50を超えるもの
000
10
3
±
000
10
5
±
5. 外観 ピンには,焼割れ,かえり及び使用上有害なきず,打こん,さびなどの欠陥がなく,テーパ部
の表面粗さは,1級のものは,JIS B 0601(表面粗さの定義と表示)の3.2S,2級のものは,6.3Sとする。
6. 熱処理及び材料 ピンの熱処理及び材料は,原則として本体の表3による。
なお,表3の熱処理及び材料は,あみかけの有無に関係なく適用する。
7. 表面処理 ピンの表面処理は,本体の7.による。
7
B 1352-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8. 検査 ピンの検査は,次による。ただし,ロット検査における抜取検査方式は,受渡当事者間の協定
による。
(1) 硬さ検査 硬さ検査は,本体の8.1に規定する方法によって行い,ピンの端部又はテーパ部の硬さが,
3.の規定に適合しなければならない。
(2) 形状・寸法及びテーパ検査 形状・寸法及びテーパ検査は,本体の8.2に規定する方法によって行い,
4.の規定に適合しなければならない。
(3) 外観検査 外観検査は,本体の8.3に規定する方法によって行い,5.の規定に適合しなければならない。
9. 製品の呼び方 ピンの呼び方は,規格番号又は規格名称,等級,呼び径×呼び長さ及び材料(1)による。
ただし,特に指定事項がある場合は,その後に付け加える。
注(1) 材料は,日本工業規格で規定する材料記号による。
なお,焼入焼戻しを施した鋼ピンの材料は,その記号の後にQの記号を付ける。
また,調質鋼を用いた場合もこれに準じる。
例:
10. 包装の表示 ピンの包装には,次の事項を表示する。
(1) 規格名称
(2) 等級
(3) 呼び径×呼び長さ
(4) 材料(2)
(5) 数量・指定事項
(6) 製造業者名又はその略号(3)
注(2) 材料の表示は,注(1)のように扱う。ただし,焼入焼戻しを施した鋼ピンの材料は,Qの記号の
代わりに(焼入)としてもよい[例,S 45 C(焼入)]。
(3) 略号には,なるべく登録商標を用いる。
附属書付表 テーパピンの形状・寸法
8
B 1352-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
呼び径
0.6 0.8
1
1.2 1.6
2
2.5
3
4
5
6
8
10 13 16 20 25 30 40 50
d
基準寸法 0.6 0.8
1
1.2 1.6
2
2.5
3
4
5
6
8
10 13 16 20 25 30 40 50
許容差
+0.018
0
+0.025
0
+0.030
0
+0.036
0
+0.043
0
+0.052
0
+0.062
0
呼
び
長
さ
(l)
及
び
そ
の
許
容
差
4
±0.25
5
±0.25
6
±0.25
8
±0.25
10
±0.25
12
±0.25
14
±0.25
16
±0.25
18
±0.25
20
22
25
±0.25
28
±0.5
±0.5
±0.5 ±0.5 ±0.5 ±0.5
32
36
±0.5
40
45
±0.5
50
56
±1 ±1 ±1
±1 ±1 ±1
63
70
±1
80
±1
90
100
±1 ±1 ±1 ±1
110
125
140
160
180
200
225
250
280
備考1. 長さ (l) は,太線の枠内とし,枠内の数値は,その許容差を示す。ただし,この表以外のlを特に必要と
する場合は,注文者が指定する。
2. 図中の仕上げ記号は,JIS B 0031(面の肌の図示方法)の附属書によっている。
3. 端部の丸み(r1及びr2)は,ほぼ両端の径に等しくする。
4. テーパの許容差は,附属書表による。
5. この表の許容差は,表面処理を施す前のものに適用する。
9
B 1352-1988
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS 改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
益 田 亮
相模工業大学名誉教授
鈴 木 茂 光
工業技術院標準部
桑 原 茂 樹
通商産業省機械情報産業局
美和島 和 夫
東京通商産業局
池 田 順 一
財団法人日本規格協会
宇田川 鉦 作
日本ねじ研究協会
小 林 正 彦
社団法人日本工作機械工業会
田 中 英 夫
社団法人日本電機工業会
堀 越 和 義
東急車輛製造株式会社本社工場
松 園 愃
三菱重工業株式会社技術本部
姫 野 貞 夫
株式会社姫野精工所
大 槻 俊 彦
株式会社大塚工場業務部
岡 田 弘 之
日東精工株式会社ファスナー事業部
金 技 新 太
株式会社鋲定本店
(事務局)
中 村 智 男
日本ねじ研究協会