B 1193-1:2013
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 量記号···························································································································· 2
5 種類及び等級 ··················································································································· 2
6 特性······························································································································· 3
6.1 溝ねじれ ······················································································································ 3
6.2 スプライン軸の精度 ······································································································· 3
6.3 外筒の取付部の精度 ······································································································· 4
6.4 スプライン軸の支持部の軸線に対するスプライン部の外径の全ラジアル振れ ····························· 4
6.5 硬さ ···························································································································· 4
7 形状及び寸法 ··················································································································· 8
8 試験方法························································································································· 8
8.1 試験環境 ······················································································································ 8
8.2 スプライン軸の溝ねじれ ································································································· 8
8.3 スプライン軸の各部の精度 ······························································································ 8
8.4 外筒の取付部の精度 ······································································································ 10
8.5 スプライン軸の支持部軸線に対するスプライン部外径の全ラジアル振れ ·································· 11
8.6 硬さ ··························································································································· 11
9 検査······························································································································ 11
10 製品の呼び番号 ············································································································· 11
11 表示 ···························································································································· 12
附属書A(規定)ボールスプラインの外筒の代表的な形状及び寸法··············································· 13
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 18
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(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本工作機器工業会(JMAA)
及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。これによって,
JIS B 1193:2004は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS B 1193の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 1193-1 第1部:一般特性及び要求事項
JIS B 1193-2 第2部:動定格荷重,静定格荷重及び定格寿命
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日本工業規格 JIS
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ボールスプライン−第1部:一般特性及び要求事項
Ball splines-Part 1: General characteristics and requirements
序文
この規格は,2009年に第1版として発行されたISO 23848-1を基に,技術的内容は変更しないが,量記
号を加えるなど,構成を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,ボールスプラインの特性及び次の事項について規定する。
− 形状及び寸法
− 試験方法
− 検査
− 製品の呼び番号
− 表示
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 23848-1:2009,Machine tools−Ball splines−Part 1: General characteristics and requirements
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7725 ビッカース硬さ試験−試験機の検証及び校正
注記 対応国際規格:ISO 6507-2,Metallic materials−Vickers hardness test−Part 2: Verification and
calibration of testing machines(MOD)
JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法
注記 対応国際規格:ISO 6507-1,Metallic materials−Vickers hardness test−Part 1: Test method(MOD)
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
注記 対応国際規格:ISO 554,Standard atmospheres for conditioning and/or testing−Specifications
(MOD)
2
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3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による(図1参照)。
3.1
ボールスプライン(ball spline)
回転動力の伝達又は回り止めの機能を果たしながら滑らかな軸方向の相対運動を行う転がり機械要素。
スプライン軸,外筒本体,玉,循環機構,及びシールで構成する。
3.2
スプライン部有効長さ(effective spline length)
スプライン軸上で外筒が軸方向に移動することができる,実際の長さ。
3.3
溝ねじれ(groove twist of the ball spline)
外筒がスプライン部有効長さを移動したときの,軸に対する外筒の回転方向の変位量。
3.4
呼び径(nominal diameter of the spline shaft)
公差をもたないスプライン軸のスプライン部の外径又は公差をもたないピッチ円径で表す直径。
注記1 スプライン部とは,スプライン溝が付与されている軸部分。
注記2 ピッチ円径とは,スプライン軸及び外筒本体が,玉と理論的な接触点で接触している場合の
玉中心を包含する円筒の直径。
3.5
スプライン溝(spline groove)
スプライン軸と外筒との組立品において,玉が滑らかに転動できるように,スプライン軸の外周面及び
外筒本体の内面に軸方向に研削,転造等によって直線状に設けた凹状の軌道。
3.6
外筒(spline outer race)
内部にスプライン溝を設けた外筒本体,玉,循環機構(保持器,側板及びエンドキャップ)などからな
る集合体。
3.7
スプライン軸(spline shaft)
循環する多数の玉を介して外筒の溝と軸方向にかん合することができる,スプライン溝をもつ軸。
4
量記号
この規格で用いる主な量記号は,次による。
D1 :ボールスプライン外筒の外径
d0 :ボールスプライン軸の呼び径
5
種類及び等級
ボールスプラインの種類は,図1及び表1に示すように,AI形1),AII形2) 及びR形3) に区分する。そ
れぞれの種類は,特性によってC1,C3及びC5の三つの等級に分け,次に示す記号によって表す。
− P:等級C1
− H:等級C3
3
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− 無記号:等級C5
注1) 丸軸形アンギュラコンタクトボールスプライン
2) 異形軸形アンギュラコンタクトボールスプライン
3) 丸軸形ラジアルコンタクトボールスプライン
AI形
AII形
R形
注記 図は,構造の一例である。
図1−ボールスプラインの各部の名称
表1−ボールスプラインの種類及び記号
名称
種類
外筒のフランジの有無
シールの有無
ボールスプライン
AI形
AII形
R形
なし
なし
あり
片側(U)a)
両側(UU)a)
あり(F)a)
なし
あり
片側(U)a)
両側(UU)a)
注a) 表中の括弧内文字は表示記号であるが,その使用方法は箇条10による。
6
特性
6.1
溝ねじれ
スプライン軸の溝ねじれの許容値は,8.2の方法によって測定したとき,スプライン軸のスプライン部有
効長さの間に任意にとった100 mmについて,表2の許容値に適合しなければならない。
8.2の方法による測定で,スプライン軸と外筒との相対移動量が100 mm以上とれない場合には,測定で
きる最大移動量に比例して表2の許容値から換算した値を適用する。換算した値の丸め方は,JIS Z 8401
による。
表2−スプライン軸のスプライン部有効長さに対する溝ねじれの許容値(図3参照)
単位 μm
等級
C1
C3
C5
溝ねじれの許容値(最大)
6
13
33
6.2
スプライン軸の精度
スプライン軸の支持部の軸線に対する,スプライン溝及び部品取付部外径のラジアル振れ並びに支持部
端面のアキシアル振れは,8.3.1〜8.3.3の方法によって測定したとき,各々,表3〜表5の振れ公差に適合
しなければならない(図2及び図4〜図6を参照)。
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.3
外筒の取付部の精度
スプライン軸のスプライン部の軸線に対する外筒の基準端面又はフランジ取付面のアキシアル振れ及び
外筒の外周面のラジアル振れは,8.4.1及び8.4.2によって測定したとき,表6及び表7の振れ公差に適合
しなければならない(図2,図7及び図8を参照)。
注記 図2〜図9は,一例としてAI形の例を示す。
注a) 支持部は,軸受などを取り付け,スプライン軸を支持する部分をいう。
b) 部品取付部は,歯車など,他の機械部品を取り付ける部分をいう。
c) 支持部及び/又は部品取付部のないものには,適用しない。
図2−ボールスプラインの精度
6.4
スプライン軸の支持部の軸線に対するスプライン部の外径の全ラジアル振れ
スプライン軸の支持部の軸線に対するスプライン部の外径の全ラジアル振れは,8.5によって測定したと
き,表8の振れ公差に適合しなければならない(図2及び図9を参照)。
6.5
硬さ
ボールスプラインの硬さは,8.6の方法によって測定したとき,653HV(58HRC)以上とする。
5
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表3−スプライン軸の支持部の軸線に対するスプライン溝面のラジアル振れ(図4参照)
呼び径d0
mm
振れ公差(最大)a)
μm
等級
を超え
以下
C1
C3
C5
−
8
8
14
33
8
12
10
17
41
12
20
12
19
46
20
32
13
22
53
32
50
15
25
62
50
80
17
29
73
80
125
20
34
86
注a) この振れ公差には,スプライン軸の軸線の振れの影響が含まれるので,その補
正が必要となる。その補正方法としては,スプライン軸の全長と,支点から測
定点間までの距離との比によって,表8のスプライン軸の支持部軸線の全ラジ
アル振れ公差から補正値を求め,表3の公差に加えて,適用する。
表4−スプライン軸の支持部の軸線に対する部品取付部外径のラジアル振れ(図5参照)
呼び径d0
mm
振れ公差(最大)
μm
等級
を超え
以下
C1
C3
C5
−
8
8
14
33
8
12
10
17
41
12
20
12
19
46
20
32
13
22
53
32
50
15
25
62
50
80
17
29
73
80
125
20
34
86
表5−スプライン軸の支持部の軸線に対する支持部端面のアキシアル振れ(図6参照)
呼び径d0
mm
振れ公差(最大)
μm
等級
を超え
以下
C1
C3
C5
−
8
6
9
22
8
12
6
9
22
12
20
8
11
27
20
32
9
13
33
32
50
11
16
39
50
80
13
19
46
80
125
15
22
54
6
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表6−スプライン軸のスプライン部軸線に対する外筒基準端面
又はフランジ取付面のアキシアル振れ(図7参照)
外筒の外径D1
mm
振れ公差(最大)
μm
等級
を超え
以下
C1
C3
C5
−
18
8
11
27
18
30
9
13
33
30
50
11
16
39
50
80
13
19
46
80
120
15
22
54
120
180
18
25
63
180
250
20
29
72
表7−スプライン軸のスプライン部軸線に対する外筒外周面のラジアル振れ(図8参照)
外筒の外径D1
mm
振れ公差(最大)
μm
等級
を超え
以下
C1
C3
C5
−
18
5
11
27
18
30
6
13
33
30
50
7
16
39
50
80
8
19
46
80
120
10
22
54
120
180
12
25
63
180
250
14
29
72
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表8−スプライン軸の支持部の軸線に対するスプライン部外径の全ラジアル振れ(図9参照)
等級
C1
C3
C5
呼び径d0
mm
を超え
−
8
12
20
32
50
80
−
8
12
20
32
50
80
−
8
12
20
32
50
80
以下
8
12
20
32
50
80
125
8
12
20
32
50
80
125
8
12
20
32
50
80
125
スプライン軸の
呼び全長mm
振れ公差(最大)
μm
振れ公差(最大)
μm
振れ公差(最大)
μm
を超え
以下
−
200
26
20
18
18
16
16
16
46
36
34
32
32
30
30
72
59
56
53
53
51
51
200
315
57
32
25
21
19
17
17
89
54
45
39
36
34
32
133
83
71
58
58
55
53
315
400
82
41
31
25
21
19
17
126
68
53
44
39
36
34
185
103
83
70
63
58
55
400
500
108
51
38
29
24
21
19
163
82
62
50
43
38
35
236
123
95
78
68
61
57
500
630
−
65
46
34
27
23
20
−
102
75
57
47
41
37
−
151
112
88
74
65
60
630
800
−
85
58
42
32
26
22
−
130
92
68
54
45
40
−
190
137
103
84
71
64
800
1000
−
−
75
52
38
30
24
−
−
115
83
63
51
43
−
−
170
124
97
79
69
1000
1250
−
−
−
65
47
35
28
−
−
−
102
76
59
48
−
−
−
151
114
90
76
1250
1600
−
−
−
85
59
43
33
−
−
−
130
93
70
55
−
−
−
190
139
106
86
1600
2000
−
−
−
−
77
54
40
−
−
−
−
118
86
65
−
−
−
−
173
128
99
2000
2500
−
−
−
−
−
68
49
−
−
−
−
−
106
78
−
−
−
−
−
156
117
2500
3150
−
−
−
−
−
88
61
−
−
−
−
−
134
96
−
−
−
−
−
190
143
4
B
1
1
9
3
-1
:
2
0
1
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8
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7
形状及び寸法
ボールスプラインのスプライン軸の呼び径,並びに外筒の代表的な形状及び寸法は,附属書Aによる。
8
試験方法
8.1
試験環境
ボールスプラインの試験場所は,JIS Z 8703に規定する標準温度状態を20 ℃とし,標準温度状態の許
容差は,15級とする。
8.2
スプライン軸の溝ねじれ
図3に示すように,スプライン軸をその支持部で固定する。外筒には適切な一方向のねじりモーメント
を与えて,外筒に取り付けた沈みキーの側面又は外筒にかぶせて固定した測定用ジグの切欠部の側面に,
スプライン軸と垂直になる方向に測定子を当てる。外筒と測定子とをスプライン軸の有効スプライン部上
の任意の位置で,軸方向に同時に100 mm移動したときの回転方向の変位量を測定し,この値をスプライ
ン軸の溝ねじれとする。ただし,測定子は,できるだけ外筒外周面の近傍に当てる。
スプライン軸と外筒との相対移動量が100 mm以上とれない場合は,測定できる最大移動量に対する測
定を行う。
図3−スプライン軸の溝ねじれ
8.3
スプライン軸の各部の精度
8.3.1
スプライン軸の支持部軸線に対するスプライン溝のラジアル振れ
図4に示すように,二つのVブロックなどを用いて,スプライン軸をその支持部で支える。次のいずれ
かの状態で軸を1回転したときの測定値の最大差を求め,この値をスプライン軸の支持部軸線に対するス
プライン溝のラジアル振れとする。
− 使用する玉と同径のピンをスプライン溝に当てて固定し,ピンの外周面に測定子を当てる。
− スプライン溝に使用する玉と同径のピン又は玉を当てる専用の円筒形ジグを用いて,その外周面に測
定子を当てる。
9
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図4−スプライン軸の支持部軸線に対するスプライン溝面のラジアル振れ
8.3.2
スプライン軸の支持部軸線に対する部品取付部外径のラジアル振れ
図5に示すように,スプライン軸をその支持部において二つのVブロックなどを用いて水平に支え,両
端の部品取付部の外周面に測定子を当て,スプライン軸を1回転したときの振れを測定し,この値をスプ
ライン軸の支持部軸線に対する部品取付部外径のラジアル振れとする。
図5−スプライン軸の支持部軸線に対する部品取付部外径のラジアル振れ
8.3.3
スプライン軸の支持部軸線に対する支持部端面のアキシアル振れ
図6に示すように,スプライン軸の片端の中心に玉を介して固定面に突き当てながら,支持部を二つの
Vブロックなどを用いて水平に支える。支持部端面に,図6に示すように測定子を当て,スプライン軸を
1回転したときの振れを測定し,この値をスプライン軸の支持部軸線に対する支持部端面の軸方向のアキ
シアル振れとする。
図6−スプライン軸の支持部軸線に対する支持部端面のアキシアル振れ
10
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8.4
外筒の取付部の精度
8.4.1
スプライン軸のスプライン部軸線に対する外筒基準端面又はフランジ取付面のアキシアル振れ
図7に示すように,外筒を固定用ジグを用いてスプライン部上に固定し,外筒の両端面からスプライン
軸の呼び径の2倍(2d0)の位置のスプライン部外径を,直接又はスプライン溝を基準にする適当な回転用
ジグを介して二つのVブロックなどで支える。次に,スプライン軸の片端を玉を介して固定面に突き当て,
次のいずれかの状態でスプライン軸と外筒とを同時に回転させたときの振れを測定する。この測定値をス
プライン軸のスプライン部軸線に対する外筒の基準端面又はフランジ取付面のアキシアル振れとする。
− 外筒の基準側端面に直接又は適切な測定用ジグを介して外筒の外径の近傍に測定子を当てる。
− フランジ取付面のフランジの外径の近傍に測定子を当てる。
なお,受渡当事者間の協定によって,スプライン軸を両センタ支持で測定してもよい。
図7−スプライン軸のスプライン部軸線に対する外筒基準端面又はフランジ取付面のアキシアル振れ
8.4.2
スプライン軸のスプライン部軸線に対する外筒外周面のラジアル振れ
図8に示すように,外筒を固定用ジグを用いてスプライン部上に固定し,外筒の両端面からスプライン
軸の呼び径の2倍(2d0)の位置のスプライン部外径を,直接又はスプライン溝を基準にする適当な回転用
ジグを介して,二つのVブロックなどで支える。次に,外筒外周面の数箇所に測定子を当てて,スプライ
ン軸と外筒とを同時に回転させたときの振れの最大値を測定する。この測定値をスプライン軸のスプライ
ン部軸線に対する外筒外周面のラジアル振れとする。
なお,受渡当事者間の協定によって,スプライン軸を両センタ支持で測定してもよい。
図8−スプライン軸のスプライン部軸線に対する外筒外周面のラジアル振れ
11
B 1193-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8.5
スプライン軸の支持部軸線に対するスプライン部外径の全ラジアル振れ
図9に示すように,スプライン軸をその支持部において二つのVブロックなどを用いて水平に支える。
測定子の向きがスプライン軸の中心線とほぼ交差するように,外筒外周面又はスプライン部の外周面に当
てる。次に,スプライン軸を各1回転したときの振れを軸方向の数箇所の位置について測定し,その最大
値を全ラジアル振れとする。
なお,受渡当事者間の協定によって,スプライン軸を両センタ支持で測定してもよい。
図9−スプライン軸の支持部軸線に対するスプライン部外径の全ラジアル振れ
8.6
硬さ
硬さの試験は,JIS B 7725に規定する試験機を用い,JIS Z 2244によって試験を行い,スプライン軸は
スプライン部外径で,外筒本体はスプライン溝近傍の端面で測定する。
9
検査
ボールスプラインの検査は,外観,精度及び硬さについて行い,箇条6及び箇条7の規定に適合しなけ
ればならない。
10 製品の呼び番号
ボールスプラインの呼び番号は,次のa)〜h)によって構成する。
a) 規格の番号,例 JIS B 1193-1:2013
b) 種類の記号
c) 外筒のフランジの有無(なしは,無記号)
d) スプライン溝の数(次にNを続ける)
e) 呼び径
f)
スプライン軸のスプライン部有効長さ
g) 等級の記号
h) シールの有無(なしは,無記号)
12
B 1193-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
例 JIS B 1193-1 AI F 6N 40×500 − C1
UU
シールの有無(なしは,無記号)
等級の記号
スプライン軸のスプライン部有効長さ
呼び径
スプライン溝の数
外筒のフランジの有無(なしは,無記号)
種類の記号
規格の番号
11 表示
ボールスプラインには,包装の見やすい位置に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければなら
ない。
a) この規格の番号
b) 種類及び等級
c) スプライン溝の数
d) 呼び径
e) 製造業者名又はその略号
なお,外筒には見やすい位置に,製造業者名又はその略号,ボールスプラインの等級を表示することが
望ましい。
13
B 1193-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(規定)
ボールスプラインの外筒の代表的な形状及び寸法
A.1 一般
この附属書は,ボールスプラインの外筒の代表的な形状及び寸法について規定する。
A.2 量記号
この附属書で用いる主な量記号は,箇条4によるほか次による。
A
:フランジ付きボールスプラインのフランジなし側面からフランジ側面までの距離
C
:ボールスプラインの外筒の全長
D2 :フランジ付きボールスプラインのフランジ外径
Dp1 :フランジ付きボールスプラインの取付穴のピッチ円径
A.3 ボールスプラインの外筒の代表的な形状及び寸法
ボールスプラインの外筒の代表的な形状及び寸法は,図A.1,図A.2,表A.1及び表A.2による。
注記 図は,構造の一例である。
図A.1−フランジなしボールスプラインの外筒の代表的な形状
14
B 1193-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記 図は,構造の一例である。
図A.2−フランジ付きボールスプラインの代表的な形状
15
B 1193-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.1−フランジなしボールスプラインの代表的な外筒寸法
呼び径
d0
mm
AI形,AII形
R形
寸法系列1
寸法系列2
D1
C a)
mm
D1
C a)
mm
D1
C a)
mm
基準寸法
mm
許容差
μm
基準寸法
mm
許容差
μm
基準寸法
mm
許容差
μm
6
12
0
−11
21
30
14
0
−11
25
16
0
−11
27
8
15
25
37
16
25
20
0
−13
32
10
19
0
−13
30
47
21
0
−13
33
24
36
12
21
35
54
−
−
−
28
38
13
−
−
−
24
0
−13
36
−
−
−
15
23
0
−13
40
65
−
−
−
−
−
−
16
−
−
−
31
0
−16
41
50
36
0
−16
57
20
30
0
−16
50
60
71
35
46
63
42
58
25
37
60
70
84
42
60
71
47
69
30
45
70
80
98
47
66
80
55
0
−19
82
40
60
0
−19
90
100
64
0
−19
100
72
105
50
75
100
112
80
125
90
0
−22
137
60
90
0
−22
127
140
−
−
−
110
158
80
120
160
217
−
−
−
140
0
−25
215
100
140
0
−25
160
175
150
0
−25
185
248
180
0
−25
265
120
160
200
−
−
−
−
−
−
注a) 外筒の全長Cは,シールの寸法を含む。
16
B 1193-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.2−フランジ付きボールスプラインの代表的な外筒寸法
呼び径
d0
mm
A I形,A II形
R形
寸法系列1
寸法系列2
D1
C a)
mm
A
mm
D2
mm
(最大)
取付穴
ピッチ
Dp1
mm
(最大)
取付
ボルト
呼びb)
取付
穴数b)
D1
C a)
mm
A
mm
D2
mm
(最大)
取付穴
ピッチ
Dp1
mm
(最大)
取付
ボルト
呼びb)
取付
穴数b)
D1
C a)
mm
A
mm
D2
mm
(最大)
取付穴
ピッチ
Dp1
mm
(最大)
取付
ボルト
呼びb)
取付
穴数b)
基準
寸法
mm
許容差
μm
基準
寸法
mm
許容差
μm
基準
寸法
mm
許容差
μm
6
12
0
−11
21
14
25
19
M3
4
14
0
−11
25
19
30
22
M3
4
16
0
−11
27
19
31
24
M3
4
30
23
20
8
15
25
16
28
22
M3
4
16
25
19
32
24
M3
4
20
0
−13
32
22
40
30
M4
4
37
28
20
10
19
0
−13
30
20
36
28
M4
4
21
0
−13
33
25
42
32
M4
4
24
36
25
44
34
M4
4
47
37
27
12
21
35
25
38
30
M4
4
−
−
−
−
−
−
−
−
28
38
27
48
38
M4
4
54
44
13
−
−
−
−
−
−
−
−
24
0
−13
36
28
45
34
M4
4
−
−
−
−
−
−
−
−
29
15
23
0
−13
40
29
43
32
M4
4
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
30
33
65
54
16
−
−
−
−
−
−
−
−
31
0
−16
41
33
52
40
M4
4
36
0
−16
57
43
60
48
M5
4
50
43
20
30
0
−16
50
36
49
38
M4
4
35
46
36
60
46
M5
4
42
58
44
66
54
M5
4
38
63
54
43
60
53
71
57
25
37
60
43
60
47
M5
4
42
60
50
68
54
M5
4
47
69
53.5
72
60
M5
4
46
71
62
51
70
61
84
67
4
B
1
1
9
3
-1
:
2
0
1
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
17
B 1193-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.2−フランジ付きボールスプラインの代表的な外筒寸法(続き)
呼び径
d0
mm
A I形,A II形
R形
寸法系列1
寸法系列2
D1
C a)
mm
A
mm
D2
mm
(最大)
取付穴
ピッチ
Dp1
mm
(最大)
取付
ボルト
呼びb)
取付
穴数b)
D1
C a)
mm
A
mm
D2
mm
(最大)
取付穴
ピッチ
Dp1
mm
(最大)
取付
ボルト
呼びb)
取付
穴数b)
D1
C a)
mm
A
mm
D2
mm
(最大)
取付穴
ピッチ
Dp1
mm
(最大)
取付
ボルト
呼びb)
取付
穴数b)
基準
寸法
mm
許容差
μm
基準
寸法
mm
許容差
μm
基準
寸法
mm
許容差
μm
30
45
0
−16
70
49
70
54
M6
4
47
0
−18
66
54
77
60
M6
4
55
0
−19
82
64
88
72
M6
4
54
80
70
60
80
70
98
77
40
57
0
−19
90
76
90
70
M8
4
64
0
−19
100
86
100
82
M8
4
72
105 82.5
112
92
M8
4
100
86
60
90
70
93
73
100 73.4
86
50
70
100
84
108
86
M10
4
80
125 109
124
102
M10
4
90
0
−22
137 106.5
134
112
M10
4
112
96
75
100
75
113
91
112
96
60
85
0
−22
127
109
124
102
M10
4
−
−
−
−
−
−
−
−
110
0
−22
158
127
154
132
M10
4
90
129
107
80
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
140
0
−25
215 173.5
184
162
M12
4
100
135
0
−25
160
135
195
162
M17
4
−
−
−
−
−
−
−
−
180
265 213.5
230
206
M14
4
注a) 外筒の全長Cは,シールの寸法を含む。
b) これらの値は,参考であって,規定ではない。
4
B
1
1
9
3
-1
:
2
0
1
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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B 1193-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS B 1193-1:2013 ボールスプライン−第1部:一般特性及び要求事項
ISO 23848-1:2009 Machine tools−Ball splines−Part 1: General characteristics and
requirements
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
及びその内容
(V)JISと国際規格との
技術的差異の理由及び今
後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 量記号
量記号
−
−
追加
ISO規格にはない量記号を追加した。
この規格利用者の利便性
を図るため。
6 特性
6.1 溝ねじれ
5.1
−
追加
ISO規格にはない数値の丸め方の規定を追
加した。
この規格利用者の利便性
を図るため。
8 試験方法 8.2 スプライン軸の溝ねじれ
7.2
−
追加
測定できる移動量が規定の100 mm以上を
とれない場合の規定を追加した。
この規格利用者の利便性
を図るため。
8.3.1 スプライン軸の支持部
軸線に対するスプライン溝
のラジアル振れ
7.3.1
−
追加
ジグを用いた測定方法を追加した。また,ス
プライン軸の支持部軸線に対するスプライ
ン溝のラジアル振れの値を明確にした。
この規格利用者の利便性
を図るため。
8.3.2 スプライン軸の支持部
軸線に対する部品取付外径
のラジアル振れ
7.3.2
−
追加
スプライン軸の支持部軸線に対する部品取
付部外径のラジアル振れの値を明確にした。
この規格利用者の利便性
を図るため。
8.3.3 スプライン軸の支持部
軸線に対する支持部端面の
アキシアル振れ
7.3.3
−
追加
スプライン軸の支持部軸線に対する支持部
端面の軸方向のアキシアル振れの値を明確
にした。
この規格利用者の利便性
を図るため。
8.4.1 スプライン軸のスプラ
イン部軸線に対する外筒基
準端面又はフランジ取付面
のアキシアル振れ
7.4.1
−
追加
ジグを用いた測定方法を追加した。また,測
定子を当てる場所を明確にした。
スプライン軸のスプライン部軸線に対する
外筒基準端面又はフランジ取付面のアキシ
アル振れの値を明確にした。
この規格利用者の利便性
を図るため。
4
B
1
1
9
3
-1
:
2
0
1
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
19
B 1193-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
及びその内容
(V)JISと国際規格との
技術的差異の理由及び今
後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
8 試験方法
(続き)
8.4.2 スプライン軸のスプラ
イン部軸線に対する外筒外
周面のラジアル振れ
7.4.2
−
追加
ジグを用いた測定方法を追加した。また,受
渡当事者間の協定によって,スプライン軸を
両センタ支持で測定してもよいことを追加
した。
スプライン軸のスプライン部軸線に対する
外筒外周面のラジアル振れの値を明確にし
た。
この規格利用者の利便性
を図るため。
8.5 スプライン軸の支持部軸
線に対するスプライン部外
径の全ラジアル振れ
7.5
−
追加
測定箇所に外筒外周面での測定を追加した。 この規格利用者の利便性
を図るため。
10 製品の
呼び番号
製品の呼び番号
9
−
追加
ISO規格の例にはあるが,本文にはない外筒
のフランジの有無を追加した。
本文と例との整合を図る
ため。
附属書A
A.2 量記号
−
−
追加
ISO規格にはない量記号を追加した。
この規格利用者の利便性
を図るため。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 23848-1:2009,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
4
B
1
1
9
3
-1
:
2
0
1
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。