B 1183:2010
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類······························································································································· 2
5 形状・寸法 ······················································································································ 2
6 ねじ······························································································································· 4
7 機械的性質 ······················································································································ 4
8 材料······························································································································· 4
9 表面状態························································································································· 5
10 表面処理 ······················································································································· 5
11 試験・検査 ···················································································································· 5
11.1 形状・寸法検査 ············································································································ 5
11.2 ねじ検査 ····················································································································· 5
11.3 機械的性質検査 ············································································································ 5
11.4 表面状態検査 ··············································································································· 6
11.5 受渡検査 ····················································································································· 6
12 製品の呼び方 ················································································································· 6
13 表示 ····························································································································· 6
13.1 製品の表示 ·················································································································· 6
13.2 包装の表示 ·················································································································· 6
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本ねじ研究協会
(JFRI)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの
申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS B 1183:2001は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
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日本工業規格 JIS
B 1183:2010
六角袋ナット
Domed cap nuts
1
適用範囲
この規格は,一般に用いる鋼製の六角袋ナット(以下,鋼ナットという。),ステンレス鋼製の六角袋ナ
ット(以下,ステンレスナットという。)及び銅合金の六角袋ナット(以下,銅合金ナットという。)の特
性について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0101 ねじ用語
JIS B 0205-3 一般用メートルねじ−第3部:ねじ部品用に選択したサイズ
JIS B 0209-2 一般用メートルねじ−公差−第2部:一般用おねじ及びめねじの許容限界寸法−中(は
めあい区分)
JIS B 0601 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメ
ータ
JIS B 0651 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性
JIS B 1010 締結用部品の呼び方
JIS B 1044 締結用部品−電気めっき
JIS B 1052-2 締結用部品の機械的性質−第2部:保証荷重値規定ナット−並目ねじ
JIS B 1054-2 耐食ステンレス鋼製締結用部品の機械的性質−第2部:ナット
JIS B 1071 締結用部品−精度測定方法
JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯
JIS G 4303 ステンレス鋼棒
JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS G 4315 冷間圧造用ステンレス鋼線
JIS H 3100 銅及び銅合金の板並びに条
JIS H 3250 銅及び銅合金の棒
JIS H 3260 銅及び銅合金の線
JIS Z 2243 ブリネル硬さ試験−試験方法
JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法
JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験−試験方法
2
B 1183:2010
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3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0101による。
4
種類
ナットの種類は,ねじの呼び径(d)に対する二面幅(s)の大きさと,形状及び高さの違いとによって
区分し,表1による。
表1−ナットの種類
種類
d
s
形状の区別
六角袋ナットa)
1.45以上
1形,2形,3形
小形六角袋ナット
1.45未満b)
1形,2形,3形
1形は六角部とキャップ部とが一体形でねじの逃げ溝の
ないもの,2形は六角部とキャップ部とが一体形でねじの
逃げ溝のあるもの,3形は六角部とキャップ部とを溶接し
たものとする。
注a) 小形のものと区別する必要がある場合は,並形六角
袋ナットという。
b) 呼び径8 mmの小形六角袋ナットは例外で,そのs/d
は1.45以上である。
5
形状・寸法
ナットは,11.1によって測定し,その形状・寸法は,表2による。
表2−六角袋ナット及び小形六角袋ナットの形状・寸法
xは,不完全ねじ部の長さで,約1.5Pとする。
ねじ部の面取りは,その直径がねじの谷底よりもわずかに大きい程度とする。ただし,注文者の指定によって
この面取りを省略してもよい。
3
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表2−六角袋ナット及び小形六角袋ナットの形状・寸法(続き)
単位 mm
区
分
ねじの呼び
d
m1
m2
m3
s
b1
b2 a)
g
A'
T1
T2
e
dw
R
r
A−B E及
びF
並目
細目
基準
寸法
許容差 基準
寸法
許容差 基準
寸法
許容差 基準
寸法
許容差 最小 基準
寸法
約
最小 最小 最小
約
約
約
約
最大 最大
六
角
袋
ナ
ッ
ト
M4
−
9.5 ±0.25
6.2 ±0.25
3.2 0
−0.30
7
0
−0.2
4
3.2 2
5.6
0.5
0.6 8.1 6.8 3
0.5 0.2
1°
M5
−
11
7.5
4
8
5
4
2
6.6
0.5
0.6 9.2 7.8 3.5
0.3
M6
−
12
9.5
5
10
6
5
2.5 8.5
0.5
0.6 11.5 9.8 4.5
0.3
M8
M8×1
15
±0.3
12.5 ±0.3
6.5 0
−0.36
13
0
−0.25
8
6.5 3
11.5
0.5
0.8 15.0 12.5 6.5
0.4
M10
M10×1.25
18
15.5
8
17
10
8
3.5 14.5
0.5
1.0 19.6 16.5 7.5
0.5
M12
M12×1.25
22
18.5
10
19
0
−0.35
12
10
4
16.5
1.0
1.2 21.9 18
8.0
1.0 0.7
(M14) (M14×1.5)
24
21.0
11
0
−0.43
22
14
11
5
19.5
1.0
1.6 25.4 21
10
0.7
M16
M16×1.5
28
±0.4
24
±0.4
13
24
16
13
5
21.5
1.0
1.6 27.7 23
11
0.8
(M18) (M18×1.5)
31
27
15
27
18
15
6
23.5
1.0
1.6 31.2 26
12
0.9
M20
M20×1.5
34
29.0
16
30
20
16
6
26.5
1.0
1.6 34.6 29
13.5
0.9
(M22) (M22×1.5)
38
32.5
18
32
0
−0.4
22
18
6
28.5
1.0
2.0 37.0 31
14.5
1.1
M24
M24×2
41
35.5
19
0
−0.52
36
24
19
8
32.5
1.0
2.0 41.6 34
16.5
1.2
(M27) (M27×2)
46
±0.5
41
±0.5
22
41
27
22
8
37.5
1.0
2.0 47.3 39
19
1.5 1.3
M30
M30×2
50
45
24
46
30
24
9
41.5
1.0
2.0 53.1 44
21
1.5
(M33) (M33×2)
54
49
26
50
33
26
9
45.5
1.0
2.0 57.7 48
23
1.6
M36
M36×3
59
54.5
29
55
0
−0.45
36
29
10
50.5
1.0
2.0 63.5 53
25.5
1.8
(M39) (M39×3)
64
59
31
0
−0.62
60
39
31
10
55.5
1.0
2.0 69.3 57
28
2
小
形
六
角
袋
ナ
ッ
ト
M8
M8×1
15
±0.3
12
±0.3
6.5 0
−0.36
12
0
−0.25
8
6.5 3.5 10.5
0.5
0.6 13.9 11.5 5.5
0.5 0.4
M10
M10×1.25
18
14.5
8
14
10
8
4
12.5
0.5
0.8 16.2 13.5 6.5
0.4
M12
M12×1.25
22
17.5
10
17
12
10
5
14.5
0.5
1.0 19.6 16.5 7.5
0.5
(M14) (M14×1.5)
24
19.5
11
0
−0.43
19
0
−0.35
14
11
6
16.5
1.0
1.2 21.9 18
8.5
1.0 0.7
M16
M16×1.5
28
23.0
13
22
16
13
6
19.5
1.0
1.6 25.4 21
10
0.7
(M18) (M18×1.5)
31
±0.4
26
±0.4
15
24
18
15
7
21.5
1.0
1.6 27.7 23
11
0.8
M20
M20×1.5
34
26
16
27
20
16
7
23.5
1.0
1.6 31.2 26
12
0.9
(M22) (M22×1.5)
38
31.5
18
30
22
18
7
26.5
1.0
1.6 34.6 29
13.5
0.9
M24
M24×2
41
33.5
19
0
−0.52
32
0
−0.4
24
19
9
28.5
1.0
2.0 37.0 31
14.5
1.0
注記 ねじの呼びに括弧を付けたものは,なるべく用いない。
注a) b2は,ねじ部の長さで,b2≧m3(最小値)とする。
2
B
1
1
8
3
:
2
0
1
0
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4
B 1183:2010
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6
ねじ
ナットのねじは,JIS B 0205-3に規定するメートル並目ねじ又はメートル細目ねじとし,その公差域ク
ラスはJIS B 0209-2の6Hとする。
なお,めっきを施したねじもJIS B 0209-2の6Hの許容域内になければならない。ただし,溶融亜鉛め
っきを施したときのねじは,受渡当事者間の協定による。
7
機械的性質
ナットは,11.3によって試験を行い,その機械的性質は,次による。
a) 鋼ナット 鋼ナットの機械的性質は,表3に示す4T,5T及び6Tとする。ただし,これらの強度区分
は,溶接性,耐食性,300 ℃以上(快削鋼の場合は250 ℃以上)の耐熱性及び−50 ℃以下の耐寒性
が要求されるものには適用しない。また,3形のナットは,六角部とキャップ部とが強固に溶接され
ていなければならない。
表3−ナットの機械的性質
強度区分
4T
5T
6T
呼び保証荷重応力 N/mm2
400
500
600
実保証荷重応力 N/mm2
392
490
588
硬さ
ブリネル硬さ
最大HB
302
最小(参考)HB
90
110
140
ロックウェル硬さ
最大HRC
30
最小(参考)HRB
49
63
78
ビッカース硬さ
最大HV
302
最小(参考)HV
91
111
146
計算上の保証荷重(実保証荷重応力×有効断面積)が343 kNを超える場合は,保
証荷重試験は省略してもよいが,受渡当事者間の協定によって最小硬さが決められた
場合は,その値を満足しなければならない。
硬さは,ブリネル硬さ,ロックウェル硬さ又はビッカース硬さのいずれかとする。
b) ステンレスナット及び銅合金ナット ステンレスナット及び銅合金ナットに対する機械的性質は,受
渡当事者間の協定による。
なお,ステンレスナットには,支障のない限りJIS B 1054-2の機械的性質を参照する。
8
材料
ナットの材料は,次による。
a) 鋼ナット 鋼ナットの材料は,通常,表4の化学成分を満足する炭素鋼で,製品が箇条7のa)に規定
する機械的性質を満足するものとする。ただし,3形のキャップ部材料は,通常,JIS G 3141による。
5
B 1183:2010
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表4−化学成分
強度区分
化学成分 %a)
C
P
S
4T,5T及び6T
0.50以下
0.110以下
0.150以下
注a) 受渡当事者間の協定によって,快削鋼を使用しても
よい。ただし,この場合のP,S及びPbの含有量は,
次による。
P:0.12 %以下,S:0.34 %以下,Pb:0.35 %以下
b) ステンレスナット ステンレスナットの材料は,通常,JIS G 4303又はJIS G 4315による。ただし,
3形のキャップ部材料は,通常,JIS G 4305による。
なお,ステンレスナットの機械的性質にJIS B 1054-2を適用した場合は,材料もその規格によるの
がよい。
c) 銅合金ナット 銅合金ナットの材料は,通常,JIS H 3260のC 2700若しくはC 3501又はJIS H 3250
のC 3601〜C 3604による。ただし,3形のキャップ部材料は,通常,JIS H 3100のC 2600,C 2680,
C 2720及びC 2801による。
9
表面状態
ナットの表面状態は,11.4によって検査を行い,座面及びキャップ部の表面粗さをJIS B 0601のRz 25 μm
とし,使用上有害な割れ,きず,かえりなどの表面欠陥があってはならない。また,3形のナットは,キャ
ップの溶接部の周辺に割れ,著しいばりなどの欠陥があってはならない。
10 表面処理
ナットには,一般に表面処理を施さない。電気めっきの要求がある場合は,JIS B 1044を参照する。そ
の他の表面処理が必要な場合は,受渡当事者間の協定による。
11 試験・検査
11.1 形状・寸法検査
形状・寸法検査は,JIS B 1071又はこれに代わる方法によって測定し,箇条5に適合しなければならな
い。
11.2 ねじ検査
ねじ検査は,JIS B 1071又はこれに代わる方法によって測定し,箇条6に適合しなければならない。
11.3 機械的性質検査
ナットの機械的性質検査は,次による。
a) 鋼ナット 鋼ナットの機械的性質検査は,表5によって行い,箇条7に適合しなければならない。
なお,3形のナットは,六角部とキャップ部との溶着に異常があってはならないが,その状態を調
べる方法の一例を次に示す。
表5−鋼ナットの機械的性質検査
機械的性質
試験方法
保証荷重応力
JIS B 1052-2の8.1(保証荷重試験)による。
硬さ
JIS Z 2243,JIS Z 2244又はJIS Z 2245による。
6
B 1183:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3形のナットを図1のように万力などで固定した平先のボルトにはめ合わせ,キャップ部にき裂が
発生するまでナットをねじ込んだとき,溶着部周辺にはがれが生じてはならない。
図1−キャップ溶着状態を調べる方法
b) ステンレスナット及び銅合金ナット ステンレスナット及び銅合金ナットの機械的性質検査は,受渡
当事者間の協定による。
なお,ステンレスナットの機械的性質は,JIS B 1054-2を参照。
11.4 表面状態検査
表面状態は,目視によって検査を行い,箇条9に適合しなければならない。ただし,表面粗さは,JIS B
0651の触針式表面粗さ測定機又はこれに代わる方法によって測定する。
11.5 受渡検査
受渡し時のロットに対する抜取検査は,受渡当事者間の協定による。
12 製品の呼び方
ナットの呼び方は,JIS B 1010による。
例1 ねじの呼びM16,強度区分5T,電気亜鉛めっき,最小皮膜厚さ5 μm,仕上げ“光沢”で黄金
色のにじ色のクロメート処理を施した六角袋ナット3形の場合
六角袋ナット3形−JIS B 1183−M16−5T−A2L
例2 ねじの呼びM8,オーステナイト系ステンレス鋼強度区分A2-70の六角袋ナット3形の場合
六角袋ナット3形−JIS B 1183−M8−A2-70
例3 ねじの呼びM8,銅合金C 2700の六角袋ナット1形の場合
六角袋ナット1形−JIS B 1183−M8−C 2700
13 表示
13.1 製品の表示
製品の表示については,特に規定しない。
13.2 包装の表示
包装には,外面に次の事項を表示しなければならない。
a) 規格番号又は規格名称
b) 種類
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B 1183:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) ねじの呼び
d) 機械的性質の強度区分(鋼ナットの場合及びJIS B 1054-2のステンレスナットの場合に表示する。)
e) 材料(材料は,ステンレスナット及び銅合金ナットの場合に表示する。また,材料の表示は,その一
般名称によるものでもよい。)
f)
指定事項
g) 数量
h) 製造業者名又はその略号