B 1087:2004 (ISO 14589:2000)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本ねじ研究協会(JFRI)/財団法人日本規格
協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の
審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 14589:2000,Blind rivets―
Mechanical testingを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS B 1087には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考)リベットの引張試験に用いる適切な試験用取付具の例
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 1087:2004
(ISO 14589:2000)
ブラインドリベット ― 機械的試験
Blind rivets―Mechanical testing
序文 この規格は,2000年に第1版として発行されたISO 14589,Blind rivets―Mechanical testingを翻訳し,
技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
1. 適用範囲 この規格は,10〜35 ℃の環境温度で実施するブラインドリベット(以下,リベットという。)
の機械的試験の方法について規定し,次の試験を包含する。
− せん断試験(3. 参照)
− 引張試験(3. 参照)
− マンドレル頭部の保持性能試験(4. 参照)
− 装着前のマンドレルの耐プッシュアウト力試験(5. 参照)
− マンドレル破断荷重試験(6. 参照)
機械的試験は,呼び径が6.4 mm以下のリベットに適用する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修
正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 14589:2000,Blind rivets―Mechanical testing (IDT)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7721 引張・圧縮試験機―力計測系の校正・検証方法
備考 ISO 7500-1:1999 Metallic materials−Verification of static uniaxial testing machines−Part 1:
Tension/compression testing machines−Verification and calibration of the force measuring systemか
らの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
3. せん断試験及び引張試験
3.1
せん断試験及び引張試験の原理 試験は,せん断荷重又は引張荷重を作用させて,試験用取付具に
装着されたリベットを破断にまで至らせることによって行う。
3.2
せん断試験用及び引張試験用取付具 両方の試験方法のそれぞれに対して,二つの取付具を規定す
る。3.2.1.1及び3.2.2.1に規定する取付具は,日常試験に用いてもよい。3.2.1.2及び3.2.2.2に規定する取付
具は,日常試験に用いてもよいが,疑義が生じた場合,判定のために行う試験(判定試験)用となるもの
である。
2
B 1087:2004 (ISO 14589:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.2.1
せん断試験用取付具
3.2.1.1
日常せん断試験 基本寸法は,図1による。
単位 μm(表面粗さ)
D (4)
(1)
(1)
(2)
(2)
(3)
t
c
t
c
t
p
t
p
注(1) 表面粗さ:Rz4
(2) 試験用すき間穴の角部に,ばりがあってはならない。
(3) 皿面の角度は, の許容差をもつリベット頭の標準角度とする。
(4) 試料の軸線を中心とし,直径 D=25 mmで囲む最小の円形平面領域。
図 1 日常せん断試験用取付具
試験用板は,鋼製で,420 HV30以上の硬さをもつものとする。負荷時のゆがみの影響を最小限にするた
めに,鋼製ボルトを用いて,試験用板を試験機に適切に取り付けるのがよい。
供試リベットを挿入する試験用すき間穴が,円形でなくなったとき,磨耗や損傷の兆候を示したとき及
び表2に規定する最大直径より大きくなったときには,その試験用板を廃棄する。
板の厚さ及び試験用すき間穴の直径は,3.2.3による。
0
−2°
3
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3.2.1.2
判定せん断試験 図3に規定する試験用取付具に用いる試験用インサートは,図2で与える寸法
及び仕上げをもつものとする。
インサートは,鋼製で,700 HV30以上の硬さに焼入焼戻しを施したものとする。インサートを挿入する
取付具は,引張試験機に装着する場合,自動調心されなければならない。
判定試験プログラムごとに,インサートを更新する。
図3に規定する取付具を日常試験に用いる場合,供試リベットを挿入する試験用すき間穴が円形でなく
なったとき,磨耗や損傷の兆候を示したとき及び表2に規定する最大直径より大きくなったときには,そ
のインサートを廃棄する。
インサートの厚さ及び試験用すき間穴の直径は,3.2.3による。
単位 mm
μm
(寸法)
(表面粗さ)
φ38
φ23
φ33
φd1 (5)
φdh2
Rz4
Rz4
(2)
(2)
(3)
1
5
.5
0
.5
4
t
p
t
c
注(2) 図1の注参照。
(3) 図1の注参照。
(5) d1=2d ,dは,リベットの呼び径。
図 2 突出し頭及び皿頭をもつブラインドリベットに用いる試験用インサート
4
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単位 mm
(6)
15
注(6) 幅50 mm
図 3 供試リベット締結体を組み込んだ判定せん断試験用取付具
5
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3.2.2
引張試験用取付具
3.2.2.1
日常引張試験 基本寸法は,図4による。
備考 適切な試験用取付具の例を附属書A(参考)に示す。
D (4)
D (4)
(3)
t
p
t
p
t
c
t
c
注(3) 図1の注参照。
(4) 図1の注参照。
図 4 日常引張試験用取付具
試験用板は,鋼製で,420 HV30以上の硬さをもつものとする。負荷時のゆがみの影響を最小限にするた
めに,鋼製ボルトを用いて,試験用板を試験機に適切に取り付けるのがよい。
供試リベットを挿入する試験用すき間穴が円形でなくなったとき,磨耗や損傷の兆候を示したとき及び
表2に規定する最大直径より大きくなったときには,その試験用板を廃棄する。
板の厚さ及び試験用すき間穴の直径は,3.2.3による。
6
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3.2.2.2
判定引張試験 図5に規定する試験用取付具に用いるインサートは,3.2.1.2による。
単位 mm
15
49
50
15
1
(8)
(7)
3
0
1
5
8
0
1 インサート(詳細は,図2による。)
注(7) 幅50 mm
(8) 長い供試リベットに対して,スペーサを挿入してもよい。
図 5 供試リベット締結体を組み込んだ判定引張試験用取付具
7
B 1087:2004 (ISO 14589:2000)
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3.2.3
試験用板/試験用インサートの厚さ及び試験用すき間穴の直径 試験用板又は試験用インサート
の厚さは,すべての試験用取付具に対して,それぞれ表1によるものとし,試験用すき間穴の直径は,表
2によるものとする。
表 1 ブラインドリベットの種類に対する試験用板/試験用インサートの厚さ
ブラインドリベットの種類
板/インサートの厚さ
最小
tp
tc
引抜きマンドレル
引張破断マンドレル(延長形を含む。)
引張非破断マンドレル
0.5d
0.75d
心部を中実とするプラグ形引張破断マンドレル
0.75d
1.0d
心部を中実とする固着性強化形段付き引張破断マンドレル
0.65d
0.75d
押込みピン
0.5d
0.75d
tp は,突出し頭をもつリベットに対する厚さを示す。
tc は,皿頭をもつリベットに対する厚さを示す。
d は,リベットの呼び径を示す。
表 2 試験用板/試験用インサートの試験用すき間穴の直径
単位 mm
d
呼び
dh2
最大
最小
2.4
2.60
2.55
3
3.20
3.15
3.2
3.40
3.35
4
4.20
4.15
4.8
5.00
4.95
5
5.20
5.15
6
6.20
6.15
6.4
6.60
6.55
d は,リベットの呼び径を示す。
dh2 は,試験用すき間穴の直径を示す。
3.2.4
供試締結体の組立て 同じ呼び厚さをもつ二つの試験用板/試験用インサートを組み合わせて,供
試リベットでリベット止めをする。リベットは,リベット製造業者が推奨する装着手順で決められた工具
及び工具ヘッドで装着するのがよい。
供試締結体の全厚さは,供試リベットに対して規定される最大締結長さを超えてはならない。
8
B 1087:2004 (ISO 14589:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.3
せん断試験及び引張試験の手順 供試締結体を,JIS B 7721に応じた引張試験機に取り付ける。
引張試験機に取り付けるつかみ部は自動調心され,荷重がせん断試験試料のせん断面に沿って一直線に,
又は引張試験試料の軸線に沿って一直線に加わることを保証しなければならない。
荷重は,7〜13 mm/minの試験速度で,試料が破断するまで連続的に加える。
リベットの極限せん断荷重又は極限引張荷重として,最大荷重を記録する。
規定された最小せん断荷重又は最小引張荷重に達する前にリベットが破断した場合,そのリベットは試
験に不合格となる。
3.4
短いリベットの試験 最大締結長さが表1の規定に関連する2 tp min又は2 tc minより短いリベットに
対しては,試験用板又は試験用インサートの組合せ厚さは,供試リベットに対して規定される最大締結長
さに等しくする。
供試締結体の組立て及び試験手順は,3.2に規定したとおりとする。試験の評価は,試験用板/試験用イ
ンサートが,供試リベットに対する極限せん断荷重又は極限引張荷重に耐えられるかどうかに左右される。
したがって,短いリベットの試験結果として,次のような場合がある。
a) リベットが破断するまで,試験用板又は試験用インサートがそのまま残る場合には,記録された最大
荷重が,リベット破断までの極限せん断荷重又は極限引張荷重となる。この荷重が規定された最小せ
ん断荷重以上又は最小引張荷重以上であれば,そのリベットは試験に合格する。
b) リベットがそのまま残り,試験用板又は試験用インサートが規定された最小せん断荷重以上又は最小
引張荷重以上の荷重で破断した場合には,そのリベットは試験に合格する。ただし,リベットの極限
せん断荷重又は極限引張荷重を決定することはできない。
c) リベットがそのまま残り,試験用板又は試験用インサートが規定された最小せん断荷重未満又は最小
引張荷重未満の荷重で破断した場合には,そのリベットの受入れについて,供給者と使用者との間で
協議するのがよい。
d) リベットが規定された最小せん断荷重又は最小引張荷重に達する前に破断した場合には,そのリベッ
トは試験に不合格となる。
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B 1087:2004 (ISO 14589:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4. マンドレル頭部の保持性能試験
4.1
頭部保持性能試験の原理 試験は,頭部保持荷重に達するまで,装着したリベットの頭部側からマ
ンドレルの軸線方向の荷重を加えることによって行う。
備考 この試験は,密閉形胴部,割り形胴部及び溝付き形胴部のリベット,並びに押込みピンを用い
るリベットに対しては適用しない。
4.2
頭部保持性能試験用取付具 図6による。
φdp
φdp
φdm
φdm
φdh3
φdh3
1
1
2
2
t
to
t
t
to
t
1 マンドレル
2 試験台
図 6 マンドレル頭部の保持性能試験用取付具
供試締結体は,供試リベットに対して規定される最大締結長さに等しい全厚さttotを与えるために,1枚
又はそれ以上の鋼板を含んでもよい。板の厚さは,1.5 mm未満であってはならない。試験用板は,試料の
軸線を中心とし,直径D=25 mmで囲む最小の円形平面領域を与える幅をもつものとする。
リベットを挿入する試験用板の試験用すき間穴の直径(dh2)は,表2による。
リベットは,リベット製造業者が推奨する装着手順で決められた工具及び工具ヘッドで装着するのがよ
い。
パンチの直径dpは,マンドレルの直径dm未満とする。
リベット止めした締結体を載せる試験台の穴は,隠れ頭を収容することが可能でなければならないが,
直径dh3 は,リベットの呼び径の2倍以下(dh3≦2d)とする。
4.3
頭部保持性能試験の手順 試験用取付具は,図6に示す圧縮パンチを備え,JIS B 7721に応じた試
験機に取り付ける。
荷重は,破断したマンドレル先端に対して,連続的にそして衝撃を与えることなくマンドレルの軸線に
直接的に加えるものとし,マンドレルがリベットの胴部に対して動きだすまで更に継続する。試験速さは,
7〜13 mm/minとする。マンドレルが動きだす前の最大荷重を,そのリベットのマンドレル頭部の保持荷重
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
として記録する。
5. 装着前のマンドレルの耐プッシュアウト力試験
5.1
装着前のマンドレルの耐プッシュアウト力試験の原理 試験は,マンドレルが押し出されるまで,
リベットの頭部側からマンドレルの軸線方向の荷重を加えることによって行う。
備考 この試験は,密閉形胴部のリベット及び押込みピンを用いるリベットに対しては適用しない。
5.2
装着前のマンドレルの耐プッシュアウト力試験用取付具 図7による。
φdh4
φdh4
1
1
t
to
t
t
to
t
1 試験台
図 7 マンドレルの耐プッシュアウト力試験用取付具
試験用板は,全厚さttot≧10 mmを与えるために,1枚又はそれ以上の鋼板を含んでもよい。板の厚さは,
1.5 mm未満であってはならない。試験用板は,試料の軸線を中心とし,直径D=25 mmで囲む最小の円形
平面領域を与える幅をもつものとする。
リベットを挿入する試験用板の試験用すき間穴の直径は,表2による。
リベットの付いた試験用板を載せる試験台の穴の直径dh4は,リベット胴部の最大径より1 mmを超えな
いものとする。
5.3
装着前のマンドレルの耐プッシュアウト力試験の手順 試験用取付具は,図7に示す圧縮パンチを
備え,JIS B 7721に応じた試験機に取り付ける。
荷重は,マンドレルの先端に対して,連続的にそして衝撃を与えることなくマンドレルの軸線に直接的
に加えるものとし,マンドレルがリベットの胴部に対して動きだすまで更に継続する。試験速度は,7〜13
mm/minとする。最大荷重を,そのリベットのマンドレルのプッシュアウト荷重として記録する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6. マンドレル破断荷重試験
6.1
マンドレル破断荷重試験の原理 試験は,引張荷重を作用させて,リベットの本体から取り出して
試験用取付具に装着されたマンドレルを破断にまで至らせることによって行う。
6.2
マンドレル破断荷重試験用取付具 図8による。
単位 mm
X
X
1
2
3
φdm
φdh5 (9)
5
以
上
1 試験用板
2 図5で与えられる試験用取付具(一部分だけ)
3 試験用インサート
注(9) 穴の直径 dh5 = dm mm
図 8 マンドレル破断荷重試験用取付具
試験用取付具は,鋼製で,700 HV30以上の硬さをもつ試験用板又は試験用インサートから成る。
マンドレルを挿入する試験用板又は試験用インサートの穴は,試験をするマンドレルの呼び径に等しく,
mmの許容差をもつものとする。試験用板又は試験用インサートの厚さは5 mm以上とし,永久変形
することなく試験荷重を保持するのに十分なものとする。
6.3
マンドレル破断荷重試験の手順 試験用取付具は,マンドレルをつかむことができる器具を備え,
JIS B 7721に応じた試験機に取り付ける。
荷重は,マンドレルに対して,連続的にそして衝撃を与えることなくマンドレルの軸線に直接的に加え
るものとし,マンドレルが破断するまで更に継続する。試験速さは,7〜13 mm/minとする。作用させた最
大荷重を,そのリベットのマンドレル破断荷重として記録する。
+0.4
+0.2
+0.4
+0.2
12
B 1087:2004 (ISO 14589:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(参考)リベットの引張試験に用いる適切な試験用取付具の例
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
本体の3.2.2に適合する板厚及び試験用すき間穴の直径をもつ附属書A図1に示すような2枚の試験用
板を,供試リベットでリベット止めをする。
リベット止めした締結体を附属書A図1に細い二点鎖線で示すような試験用取付具の中に配置し,その
取付具を試験機の圧縮ヘッドの間に据える。
単位 mm
附属書A図1 リベットの引張試験用取付具