B 1086 : 1998 (ISO 10484 : 1997)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
JIS B 1086は,JIS B 1042で規定するナットの表面欠陥の合否を評価するための試験手順及び判定基準
を示したものである。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 1086 : 1998
(ISO 10484 : 1997)
ナットの拡張試験
Widening test on nuts
序文 この規格は,1997年に第1版として発行されたISO 10484, Widening test on nutsを翻訳し,技術的内
容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある“備考”は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,JIS B 1042で規定される表面欠陥の合否を評価するための試験手順を規定し
ており,快削鋼製のナットには適用しない。
この規格は,次のナットに適用する。
− ねじの呼び径d 5〜39mm
− 部品等級 A及びB
− JIS B 1052の附属書1及び附属書2による強度区分
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 1052 鋼製ナットの機械的性質
備考 ISO 898-2 : 1992, Mechanical properties of fasteners−Part 2 : Nuts with specified proof load values
−Coarse thread及びISO 898-6 : 1994, Mechanical properties of fasteners−Part 6 : Nuts with
specified proof load values−Fine pitch threadからの引用事項は,この規格の該当事項と同
等である。
JIS B 1056 プリベリングトルク形戻り止め鋼製ナットの機械的性質及び性能
備考 ISO 2320 : −1) Prevailing torque type steel hexagon nuts−Mechanical and performance properties
からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS B 1042 締結用部品−表面欠陥 第2部 ねじの呼びM5〜M39のナット
備考 ISO 6157-2 : 1995, Fasteners−Surface discontinuities−Part 2 : Nutsがこの規格と一致している。
3. 拡張試験
3.1
原理 ねじ部を呼び径まで除去した後,テーパのついたマンドレルをナットに押し込む。拡張量は,
穴の直径に対する百分率として評価する。
1) ISO 2320:1983の改訂版を発行予定。
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B 1086 : 1998 (ISO 10484 : 1997)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.2
試験用マンドレル 図1に示す試験用マンドレルは,それぞれ,6%又は4%の拡張試験に用いる(4.
参照)。マンドレルの最小硬さは,45HRCとし,円すい部分は,ポリシング仕上げ(粗さRa=2.5μm)とす
る。
3.3
試験ナット 拡張試験を受けるナットは,公差H12で,ねじの呼び径と等しい直径までねじ部を除
去する。
3.4
手順 試験を行う前に,マンドレルに二硫化モリブデン (MoS2) を塗布する。
図2に示すように,マンドレルをナットに挿入し,マンドレルの円筒部が抜けるまで,軸方向に,徐々
にかつ連続的に荷重を作用させる。マンドレルは,上端部をしっかりと固定する。疑義が生じた場合の判
定目的に対しては,挿入速度は,25mm/minを超えてはならない。
注(3) F:荷重
(4) 硬化処理を施すこと
(5) d:ナットのねじの呼び径
図2 試験の組付け状態
注(1) d:ナットのねじの呼び径。オーバサイズタップで
ねじ立てされたナットを試験する場合には,寸法
dを,そのナットの谷の径の値まで増加させる。
(2) m:ナットの呼び高さ
図1 ナットの拡張量6% (1.06d) 又は4% (1.04d)
の試験用マンドレル
4. 判定基準 ナットの総拡張量は,次による。
強度区分4から12までのナット:6%
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B 1086 : 1998 (ISO 10484 : 1997)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
強度区分04及び05のナット:4%
規定の最小拡張量に達する前にナットの側面が完全に破断したとき,ナットの破壊が起こったものとす
る。疑義が生じた場合には,ナットの反対側の側面を切断し,二つの部分に分かれることによって,破壊
を認識してもよい。
5. 特別な場合−プリベリングトルク形戻り止めナット JIS B 1056によるプリベリングトルク形戻り止
めナットの場合には,拡張量の最小値は,4.で規定する六角ナットに対する値より20%減少させる。
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B 1086 : 1998 (ISO 10484 : 1997)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS B 1086(ナットの拡張試験)制定原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
吉 本 勇
東京工業大学名誉教授
(幹事)
萩 原 正 弥
名古屋工業大学
大 橋 宣 俊
湘南工業大学
中 嶋 誠
通商産業省機械情報産業局
本 間 清
工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
稲 葉 元 成
新 井 正
日産自動車株式会社
酒 井 智 次
トヨタ自動車株式会社
田 仁 哲
社団法人日本工作機械工業会
辻 義 克
社団法人日本電機工業会
深 沢 一 男
株式会社フカサワ
田 中 誠之助
株式会社佐賀鉄工所
山 田 輝 一
株式会社フセラシ
高 橋 利 夫
株式会社サトーラシ
山 下 徳 郎
株式会社浅川製作所
伊 藤 隆 彦
株式会社青山製作所
中 村 智 男
日本ねじ研究協会
(解説作成者)
萩 原 正 弥