B 1052-6
:2009 (ISO 898-6:1994)
(1)
目 次
ページ
序文
1
1
適用範囲
1
2
引用規格
2
3
強度区分の表し方
3
3.1
呼び高さが 0.8d 以上(完全ねじ部長さが 0.6d 以上)のナット(スタイル 1 及びスタイル 2)
の場合
3
3.2
呼び高さが 0.5d 以上 0.8d 未満(完全ねじ部長さが 0.4d 以上 0.6d 未満)のナット(低ナット)
の場合(低形)
4
4
材料
4
5
機械的性質
5
6
保証荷重値
5
7
呼び高さが 0.5d 以上 0.8d 未満のナット(低ナット)との結合におけるせん断破壊荷重
8
8
試験方法
8
8.1
保証荷重試験
8
8.2
硬さ試験
9
8.3
表面欠陥試験
9
9
表示
9
9.1
表示記号
9
9.2
製品の表示
10
9.3
左ねじの表示
10
9.4
表示記号の選択
11
9.5
商標(製造業者の識別)の表示
11
B 1052-6
:2009 (ISO 898-6:1994)
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本ねじ研究協会(JFRI)及び財団法人日本規
格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会
の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによって,JIS B 1052:1998 は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
JIS B 1052
の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS
B
1052-2
第 2 部:保証荷重値規定ナット−並目ねじ
JIS
B
1052-6
第 6 部:保証荷重値規定ナット−細目ねじ
日本工業規格
JIS
B
1052-6
:2009
(ISO 898-6
:1994
)
締結用部品の機械的性質−
第 6 部:保証荷重値規定ナット−細目ねじ
Mechanical properties of fasteners-
Part 6: Nuts with specified proof load values-Fine pitch thread
序文
この規格は,1994 年に第 2 版として発行された ISO 898-6 を基に,技術的内容及び対応国際規格の構成
を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,保証荷重値規定ナット(細目ねじ)を環境温度 10∼35 ℃の範囲内で試験をしたときの機
械的性質について規定する。
ナットの機械的及び物理的性質は,温度及び強度区分によって変化するものである。
この規格の要求事項に適合するナットは,環境温度 10∼35 ℃の範囲内においては評価されるが,この
温度範囲より高い温度又は低い温度のもとでは,規定の機械的及び物理的性質を確保することができない
ことがある。
なお,この温度範囲を外れた温度のもとでは,ナットの諸性質に重要な変化を起こすことがあるので,
10
∼35 ℃の範囲外の温度で使用する場合には,ナットの機械的及び物理的性質が,使用者側の特別な使用
条件に適合するかどうかを,使用者側の責任において確認しなければならない。
この規格は,次の条件のナットに適用する。
− ねじの呼び径 d が 8∼39 mm のもの
− ねじの呼び径とピッチとの組合せが JIS B 0205-2 の細目ねじによるもの
− ねじの公差域クラスが JIS B 0209-1 及び JIS B 0209-2 の 6H によるもの
− 所定の機械的要求事項をもつもの
− 二面幅寸法が JIS B 1002(網かけしたものは除く)によるもの
− 呼び高さが 0.5d 以上のもの
− 材料が炭素鋼又は低合金鋼のもの(
注記 1 参照)
この規格は,次のような特殊な性質が要求されるナットには適用しない。
− JIS B 1056 による戻り止め性能
− 溶接性
− JIS B 1054-2 による耐食性
− 温度 300 ℃以上又は−50 ℃以下に耐えられる性能(ただし,
注記 1 参照)
注記 1 快削鋼製のナットは,250 ℃を超える温度では使用しないのがよい。
2
B 1052-6
:2009 (ISO 898-6:1994)
注記 2 内径及び有効径の最大許容寸法が 6H より大きいものは,ねじ山のせん断破壊に対する強さ
が 6H のものより低下するので,このことを考慮に入れるのがよい(
表 1 参照)。
表 1−ねじ山強さの低下
試験荷重 %
ねじの呼び径
d
ねじの公差域クラス
mm 6H
7H
6G
8
≦d≦16 100 96 97.5
16
<d≦36 100 98 98.5
注記 3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 898-6:1994
,Mechanical properties of fasteners−Part 6: Nuts with specified proof load values
−Fine pitch thread (IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,
“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS B 0205-2
一般用メートルねじ−第 2 部:全体系
注記 対応国際規格:ISO 261:1998,ISO general-purpose metric screw threads−General plan (IDT)
JIS B 0205-4
一般用メートルねじ−第 4 部:基準寸法
注記 対応国際規格:ISO 724:1993,ISO general-purpose metric screw threads−Basic dimensions (IDT)
JIS B 0209-1
一般用メートルねじ−公差−第 1 部:原則及び基礎データ
注記 対応国際規格:ISO 965-1:1998,ISO general-purpose metric screw threads−Tolerances−Part 1:
Principles and basic data (IDT)
JIS B 0209-2
一般用メートルねじ−公差−第 2 部:一般用おねじ及びめねじの許容限界寸法−中(は
めあい区分)
注記 対応国際規格:ISO 965-2:1998,ISO general purpose metric screw threads−Tolerances−Part 2:
Limits of sizes for general purpose external and internal screw threads
−Medium quality (IDT)
JIS B 0209-3
一般用メートルねじ−公差−第 3 部:構造体用ねじの寸法許容差
JIS B 0401-2
寸法公差及びはめあいの方式−第 2 部:穴及び軸の公差等級並びに寸法許容差の表
注記 対応国際規格:ISO 286-2:1988,ISO system of limits and fits−Part 2: Tables of standard tolerance
grades and limit deviations for holes and shafts (IDT)
JIS B 1002
二面幅の寸法
注記 対応国際規格:ISO 272:1982,Fasteners−Hexagon products−Widths across flats (MOD)
JIS B 1042
締結用部品−表面欠陥 第 2 部:ナット
注記 対応国際規格:ISO 6157-2:1995,Fasteners−Surface discontinuities−Part 2: Nuts (IDT)
JIS B 1054-2
耐食ステンレス鋼製締結用部品の機械的性質−第 2 部:ナット
注記 対応国際規格:ISO 3506-2:1997,Mechanical properties of corrosion-resistant stainless-steel
fasteners
−Part 2: Nuts (IDT)
JIS B 1056
プリベリングトルク形鋼製六角ナット−機械的性質及び性能
3
B 1052-6
:2009 (ISO 898-6:1994)
注記 対応国際規格:ISO 2320:1997,Prevailing torque type steel hexagon nuts−Mechanical and
performance properties (IDT)
JIS Z 2243
ブリネル硬さ試験−試験方法
注記 対応国際規格:ISO 6506-1:2005,Metallic materials−Brinell hardness test−Part 1: Test method
(MOD)
JIS Z 2244
ビッカース硬さ試験−試験方法
注記 対応国際規格:ISO 6507-1:1997,Metallic materials−Vickers hardness test−Part 1: Test method
(MOD)
JIS Z 2245
ロックウェル硬さ試験−試験方法
注記 対応国際規格:ISO 6508-1:1999,Metallic materials−Rockwell hardness test−Part 1: Test method
(scales A, B, C, D, E, F, G, H, K, N, T) (MOD)
3
強度区分の表し方
3.1
呼び高さが 0.8d 以上(完全ねじ部長さが 0.6d 以上)のナット(スタイル 1 及びスタイル 2)の場合
呼び高さが 0.8d 以上(完全ねじ部長さが 0.6d 以上)のナットに対する機械的性質の強度区分は,そのナ
ットと組み合わせて使用することができるボルトの最高の強度区分を示す数字によって,
表 2 のように表
す。
ねじを締め付けすぎた場合,ボルトの軸部が破断を起こすか,ボルトのねじ山のせん断破壊及び/又は
ナットのねじ山がせん断破壊を起こす。ボルトの軸部の破断は,き裂が入ると瞬時に破断に至るので容易
に気が付く。しかし,ねじ山のせん断破壊は,徐々に進行するので発見が難しい。そして,ねじ山がせん
断破壊した場合には,破損したねじ部品がねじ結合体の中に残ってしまうという障害を引き起こす。
したがって,締結によるねじ部品の破壊は,常にボルトの軸で起きるように設計することが望ましい。
しかし,どんな場合でも,ねじ山がせん断破壊を起こさないようにするには,ねじ山のせん断破壊に対す
る強さに影響を与える幾つかの因子(ナット及びボルトの材料強度,ねじのひっかかり高さ,二面幅寸法
など)のために,ナットの高さを過度と思われるほど高くしなければならない。
表 2 に示すそれぞれの強度区分に対応するナットとボルト又はねじ(ねじの呼び径 8∼39 mm)との組
合せにおいては,ねじ山のせん断破壊を起こすことなく,ボルト又はねじの保証荷重まで締付けることが
できるように配慮されている。
しかしながら,ボルト又はねじの保証荷重を超える締付けが行われたとしても,過大に締め付けられた
ねじ結合体の個々のロットで少なくとも 10 %の数量割合で,ボルトの破断が起こるようにナットを設計
している。
注記 ねじ結合体の強度に関する詳しい内容は,JIS B 1052-2 の附属書 A を参照のこと。
4
B 1052-6
:2009 (ISO 898-6:1994)
表 2−呼び高さが 0.8d 以上のナットの強度区分及びそれと組み合わせるボルト
組み合わせるボルト
ナット
ねじの呼び径
範囲
スタイル 1
スタイル 2
ナットの
強度区分
強度区分
mm
ねじの呼び径範囲 mm
3.6
,4.6,4.8
5
5.6
,5.8
d
≦39
d
≦39
−
6
6.8
d
≦39
d
≦39
−
8
8.8
d
≦39
d
≦39
d
>16
10 10.9 d
≦39
d
≦16
d
≦39
12 12.9 d
≦16
−
d
≦16
注記 一般に,高い強度区分に属するナットは,それより低い強度区分
のナットの代わりに使用することができる。ボルトの降伏応力又
は保証荷重応力を超えるようなボルト・ナットの締結には,この
表の組合せより高い強度区分のナットの使用を推奨する。
3.2
呼び高さが 0.5d 以上 0.8d 未満(完全ねじ部長さが 0.4d 以上 0.6d 未満)のナット(低ナット)の場
合(低形)
呼び高さが 0.5d 以上 0.8d 未満(完全ねじ部の長さが 0.4d 以上 0.6d 未満)のナットに対する機械的性質
の強度区分は,2 個の数字を組み合わせて,
表 3 のように表す。
2
番目の数字(4 及び 5)は,試験用マンドレルによる場合の呼び保証荷重応力の大きさを表し,1 番目
の数字(0)は,ボルト・ナット結合での荷重負担能力が,試験用マンドレルによる場合の荷重負担能力より
低く,3.1 に示したボルト・ナット結合の荷重負担能力よりも低いことを示す。
低ナットの実際の荷重負担能力は,ナット自体の硬さ及び有効ねじ部の長さによるばかりでなく,組み
合わされるボルトの引張強さによっても変わってくる。
表 3 に,低ナットの強度区分の表し方及び保証荷重応力を示す。保証荷重値は,表 6 に示す。低ナット
を種々の強度区分のボルトと組み合わせた場合のねじ山がせん断破壊を起こすと思われるボルトの保証荷
重値に対する比率を,
表 7 に示す。
表 3−低ナットの強度区分の表し方及びその保証荷重応力
ナットの強度区分
呼び保証荷重応力 N/mm
2
実保証荷重応力 N/mm
2
04 400
380
05 500
500
4
材料
ナットは,
表 4 に規定する化学成分に適合した鋼製とする。
なお,強度区分 05,8(スタイル 1)
,10 及び 12 のナットは,焼入焼戻しを施さなければならない。
5
B 1052-6
:2009 (ISO 898-6:1994)
表 4−材料の化学成分
化学成分(チェック分析) %
ナットの
強度区分
C
最大
Mn
最小
P
最大
S
最大
5
a)
,6
− 0.50 − 0.060
0.150
8
b)
04
a)
0.58 0.25 0.060 0.150
10
b)
05
b)
0.58 0.30 0.048 0.058
12
b)
− 0.58 0.45 0.048 0.058
注
a)
これらの強度区分のナットは,特に受渡当事者間の協
定がない限り,快削鋼を用いてもよい。ただし,この
場合の硫黄 (S),りん (P) 及び鉛 (Pb) の最大含有量
は,次による。
S
:0.34 %,P:0.11 %,Pb:0.35 %
b)
これらの強度区分のナットは,機械的性質を向上させ
るため,必要に応じて合金元素を加えてもよい。
5
機械的性質
ナットの機械的性質は,箇条 8 に示す方法で試験を行い,
表 5 の規定に適合しなければならない。
6
保証荷重値
ナットの保証荷重値を,
表 6 に示す。
表 6 に示すねじの有効断面積 A
s
は,次の式による。
2
3
2
s
2
4
⎟
⎠
⎞
⎜
⎝
⎛
+
=
d
d
A
π
ここに,
A
s
:
ねじの有効断面積 (mm
2
)
d
2
:
おねじの有効径の基準寸法 (mm)
d
3
:
おねじの谷の径 (mm)
6
1
3
H
d
d
−
=
d
1
:おねじの谷の径の基準寸法
(mm)
H
:ねじ山のとがり三角形の高さ
(mm)
d
1
及び
d
2
は,JIS B 0205-4 による。
表 5−機械的性質
強度区分
04 05 5
ねじの呼び径
d
保証荷重応力
S
p
ビッカース硬さ
HV
ナット
保証荷重応力
S
p
ビッカース硬さ
HV
ナット
保証荷重応力
S
p
ビッカース硬さ
HV
ナット
mm N/mm
2
最小
最大
状態
スタイル
N/mm
2
最小
最大
状態
スタイル
N/mm
2
最小
最大
状態
スタイル
8
≦d≦16
690 175
16
<d≦39
380 188
302
NQT
a)
低形 500 272
353
QT
b)
低形
720 190
302 NQT
a)
1
強度区分
6
8
ねじの呼び径
d
保証荷重応力
S
p
ビッカース硬さ
HV
ナット
保証荷重応力
S
p
ビッカース硬さ
HV
ナット
保証荷重応力
S
p
ビッカース硬さ
HV
ナット
mm N/mm
2
最小
最大
状態
スタイル
N/mm
2
最小
最大
状態
スタイル
N/mm
2
最小
最大
状態
スタイル
8
≦d≦10
770
10
<d≦16
780
188
955
250 890
195
302
NQT
a)
2
16
<d≦33
870 1
030
33
<d≦39
930
233
302 NQT
a)
c)
1
1 090
295
353 QT
b)
1
−
−
−
−
−
強度区分
10
12
ねじの呼び径
d
保証荷重応力
S
p
ビッカース硬さ
HV
ナット
保証荷重応力
S
p
ビッカース硬さ
HV
ナット
保証荷重応力
S
p
ビッカース硬さ
HV
ナット
mm N/mm
2
最小
最大
状態
スタイル
N/mm
2
最小
最大
状態
スタイル
N/mm
2
最小
最大
状態
スタイル
8
≦d≦10
1 100
10
<d≦16
1 110
295 353 QT
b)
1
1 055
250
353
1 200
295
353
QT
b)
2
16
<d≦39
−
−
−
−
− 1
080
260
QT
b)
2
−
−
−
−
−
注
a)
NQT
=焼入焼戻しを施さない。
b)
QT
=焼入焼戻しを施す。
c)
ねじの呼び径 d>16 mm のナットは,製造業者側の自由裁量で焼入焼戻しを施してもよい。
焼入焼戻しを施したナット及び保証荷重値が大きすぎるために保証荷重試験ができないナットは,硬さの最小を必ず満足しなければならない。その他のすべての
ナットに対しては,硬さの最小は参考扱いとする。焼入焼戻しを施さないナットで,保証荷重試験に合格したものは,最小の硬さが規定値未満であっても不合格に
してはならない。
6
B 105
2-
6
:
20
0
9
(I
SO
89
8-
6
:
199
4)
表 6−保証荷重値
強度区分
04 05 5 6
8
10
12
ねじの有効断面積
A
s
保証荷重値 (A
s
×S
p
)
N
ねじの呼び
d
×P
mm
2
低形
低形
スタイル 1
スタイル 1
スタイル 1
スタイル 2
スタイル 1
スタイル 2
スタイル 2
M8
×1
39.2
14 900
19 600
27 000
30 200
37 400
34 900
43 100
41 400
47 000
M10
×1
64.5
24 500
32 200
44 500
49 700
61 600
57 400
71 000
68 000
77 400
M10
×1.25
61.2
23 300
30 600
44 200
47 100
58 400
54 500
67 300
64 600
73 400
M12
×1.25
92.1
35 000
46 000
63 500
71 800
88 000
82 000
102 200
97 200
110 500
M12
×1.5
88.1
33 500
44 000
60 800
68 700
84 100
78 400
97 800
92 900
105 700
M14
×1.5
125
47 500
62 500
86 300
97 500
119 400
111 200
138 800
131 900
150 000
M16
×1.5
167
63 500
83 500
115 200
130 300
159 500
148 600
185 400
176 200
200 400
M18
×1.5
216
82 100
108 000
155 500
187 900
222 500
−
− 233
300
−
M18
×2
204
77 500
102 000
146 900
177 500
210 100
−
− 220
300
−
M20
×1.5
272
103 400
136 000
195 800
236 600
280 200
−
− 293
800
−
M20
×2
258
98 000
129 000
185 800
224 500
265 700
−
− 278
600
−
M22
×1.5
333
126 500
166 500
239 800
289 700
343 000
−
− 359
600
−
M22
×2
318
120 800
159 000
229 000
276 700
327 500
−
− 343
400
−
M24
×2
384
145 900
192 000
276 500
334 100
395 500
−
− 414
700
−
M27
×2
496
188 500
248 000
351 100
431 500
510 900
−
− 535
700
−
M30
×2
621
236 000
310 500
447 100
540 300
639 600
−
− 670
700
−
M33
×2
761
289 200
380 500
547 900
662 100
783 800
−
− 821
900
−
M36
×3
865
328 700
432 500
622 800
804 400
942 800
−
− 934
200
−
M39
×3
1 030
391 400
515 000
741 600
957 900
1 123 000
−
−
1 112 000
−
7
B 105
2-
6
:
20
0
9
(I
SO
89
8-
6
:
199
4)
8
B 1052-6
:2009 (ISO 898-6:1994)
7
呼び高さが 0.5d 以上 0.8d 未満のナット(低ナット)との結合におけるせん断破壊荷重
低ナットを,種々の強度区分のボルトに用いる場合の手引として,ねじ山がせん断破壊を起こすときの
ボルトの保証荷重値に対する比率を,
表 7 に示す。
この場合のねじ山のせん断破壊は,ボルトのねじ山又はナットのねじ山のいずれかに起きるもので,お
ねじ山の破壊は,おねじ山の強度がめねじ山の強度より低い場合に起こり,めねじ山の破壊は,おねじ山
の強度がめねじ山の強度より高い場合に起こることが予想される。
表 7−ねじ山最小せん断破壊強さ(ボルトの保証荷重値に対する%)
低ナットの強度区分
ねじ山最小せん断破壊強さ
(ボルトの保証荷重値に対する%)
ボルトの強度区分
6.8
8.8
10.9
12.9
04
85 65 45 40
05
100 85 60 50
8
試験方法
8.1
保証荷重試験
保証荷重試験は,供試ナットの保証荷重値が試験機の容量範囲内である場合には,
必ずこの試験を行い,
ナットがこの規格に適合しているかどうかを判定する方法として用いなければならない。
保証荷重試験は,
図 1 又は図 2 のように試験用マンドレルにナットをはめ合わせて行う。ただし,表 6
に適合しているかどうか疑義が生じた場合の判定方法としては,
図 1 の軸方向引張りによる試験によらな
ければならない。
この試験は,保証荷重がナットに対して軸方向に働くように装着して,
表 6 に示す保証荷重値を
15
秒間
負荷する。そのとき,ナットのねじ山がせん断破壊したり,ナットが破断してはならない。さらに,試験
荷重を取り除いた後,ナットが指の力で試験用マンドレルから取り外すことができなければならない。こ
の場合,ナットの戻し始めの約半回転については手回しレンチを用いてもよいが,その後は指でねじ戻す
ことができなければならない。
なお,試験中に試験用マンドレルのねじ山が破損した場合は,その試験は無効とし,別の供試品と別の
試験用マンドレルとによって再試験をする。
試験用マンドレルは,最小硬さ
45HRC
に硬化し,ねじの公差域クラスを JIS B 0209-3 に規定する
5h6g
とする。ただし,ねじ外径の最大許容寸法は,最小許容寸法に
6g
の外径公差の
1/4
を加えた値とする。
9
B 1052-6
:2009 (ISO 898-6:1994)
注
a)
D11 は,JIS B 0401-2 による。
図 1−軸方向引張りによる試験
図 2−軸方向圧縮による試験
8.2
硬さ試験
通常の検査における硬さ試験は,ナットの座面における
120
度ずつ離れた
3
か所の硬さを測定し,その
平均値をナットの硬さとする。疑義が生じた場合は,ナットの軸心を含む縦断面におけるねじの谷底にで
きるだけ近い箇所の硬さを測定する。
なお,供試品の硬さが
表 5 の値に適合しているかどうか疑義が生じた場合には,
HV0.3
ビッカース硬さ
で判定する。
ブリネル又はロックウェルを用いた場合は,ビッカース硬さに換算する。
ビッカース硬さ試験は,JIS Z 2244 による。
ブリネル硬さ試験は,JIS Z 2243 による。
ロックウェル硬さ試験は,JIS Z 2245 による。
8.3
表面欠陥試験
表面欠陥試験は,JIS B 1042 による。
9
表示
9.1
表示記号
表示記号は,
表 8 及び表 9 による。
10
B 1052-6
:2009 (ISO 898-6:1994)
表 8−3.1 による強度区分をもつナットに対する表示記号
強度区分 5 6 8 10
12
a)
数字記号
5 6 8 10
12
表
示
記
号
右
の
い
ず
れ
か
コード記号
(時計式)
及
びその位置
注
a)
強度区分 12 の 12 時の位置における表示に,コード記号丸点の代わりに製造業者
の識別記号を用いてはならない。
表 9−3.2 による強度区分をもつ低ナットに対する表示記号
強度区分 04
05
表示記号 04
05
表示位置
9.2
製品の表示
製品の表示は,すべての強度区分のものについて行う。その方法は,9.1 に示す表示記号を,
図 3 及び図
4
の例のようにナットの側面若しくは座面にくぼみ方式で施すか,又は面取り部に浮出し方式で施す。た
だし,浮出し方式の場合,表示記号が座面より高くなってはならない。
図 3−数字記号による表示の例
図 4−コード記号(時計式)による表示の例
9.3
左ねじの表示
ナットが左ねじであることを表す製品表示は,ねじの呼び
M5
以上のものについて,
図 5 のような矢印
記号を,ナットの上面にくぼみ方式で施す。また,矢印記号の代わりに
図 6 に示すような切り欠き方式を
用いてもよい。
注
a)
切り欠き深さの底の直径は,二面幅より大きくする。
図 5−左ねじの表示
図 6−切り欠きによる左ねじの表示
11
B 1052-6
:2009 (ISO 898-6:1994)
9.4
表示記号の選択
9.1
∼9.3 に示した各種の表示記号のうちのいずれを選択するかは,製造業者の任意とする。
9.5
商標(製造業者の識別)の表示
製造業者のトレードマーク(識別記号)の製品表示は,技術的に可能な限り,強度区分記号を表示した
ナットにはすべてのものについて施す。ただし,包装の表示は,いかなる場合でもすべてのものについて
行う。
参考文献
JIS B 1052-2
締結用部品の機械的性質−第
2
部:保証荷重値規定ナット−並目ねじ