B 0634:2017 (ISO 16610-21:2011)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 輪郭曲線(開曲線)に対するガウシアン輪郭曲線フィルタの特性 ·············································· 2
4.1 輪郭曲線(開曲線)に対するガウシアン重み関数 ································································· 2
4.2 輪郭曲線(開曲線)に対する振幅伝達特性 ·········································································· 3
4.3 終端効果 ······················································································································ 5
5 輪郭曲線(閉曲線)に対するガウシアン輪郭曲線フィルタの特性 ·············································· 7
5.1 導入条件 ······················································································································ 7
5.2 輪郭曲線(閉曲線)に対するガウシアン重み関数 ································································· 7
5.3 輪郭曲線(閉曲線)に対する振幅伝達特性 ·········································································· 8
附属書A(参考)輪郭曲線(開曲線)及び輪郭曲線(閉曲線)に対する実装の誤差 ·························· 11
附属書B(参考)参考例 ······································································································· 16
附属書C(参考)フィルタマトリックス ·················································································· 18
附属書D(参考)GPSマトリックス ························································································ 19
参考文献 ···························································································································· 21
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(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工
業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済
産業大臣が制定した日本工業規格である。これによって,JIS B 0632:2001は廃止され,この規格に置き換
えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
B 0634:2017
(ISO 16610-21:2011)
製品の幾何特性仕様(GPS)−フィルタ処理−
線形の輪郭曲線フィルタ:
ガウシアンフィルタ
Geometrical product specifications (GPS) -Filtration-
Linear profile filters: Gaussian filters
序文
この規格は,2011年に第1版として発行されたISO 16610-21を基に,技術的内容及び構成を変更する
ことなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
この規格は,製品の幾何特性仕様(GPS)の一つで,GPS基本規格に属し(ISO/TR 14638参照),全規
格チェーンのリンク番号3及びリンク番号5に関係する。
この規格と他のGPS規格との関係についての詳細を,附属書Dに示す。
この規格は,ガウシアンフィルタの用語及び概念について規定する。ガウシアンフィルタは,カットオ
フ値において50 %となる振幅伝達特性をもっており,輪郭曲線の成分を短波長側と長波長側とに分離し,
かつ,それらによって当初の輪郭曲線を変化なく復元することができる。
1
適用範囲
この規格は,輪郭曲線測定のためのガウシアンフィルタの特性について規定する。特に,輪郭曲線に含
まれる長波長成分及び短波長成分を分離する方法について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 16610-21:2011,Geometrical product specifications (GPS) −Filtration−Part 21: Linear profile
filters: Gaussian filters(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
ISO/IEC Guide 98-3:2008,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in
measurement (GUM:1995)
注記 このガイドは,TS Z 0033(測定における不確かさの表現のガイド)として発行されている。
ISO/IEC Guide 99:2007,International vocabulary of metrology−Basic and general concepts and associated
2
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terms (VIM)
注記 このガイドは,TS Z 0032[国際計量計測用語−基本及び一般概念並びに関連用語(VIM)]
として発行されている。
ISO/TS 16610-1:2006,Geometrical product specifications (GPS) −Filtration−Part 1: Overview and basic
concepts
注記 ISO/TS 16610-1:2006は2015年に廃止され,代わりにISO 16610-1:2015,Geometrical product
specifications (GPS) −Filtration−Part 1: Overview and basic conceptsが発行されている。
ISO/TS 16610-20:2006,Geometrical product specifications (GPS) −Filtration−Part 20: Linear profile filters:
Basic concepts
注記 ISO/TS 16610-20:2006は2015年に廃止され,代わりにISO 16610-20:2015,Geometrical product
specifications (GPS) −Filtration−Part 20: Linear profile filters: Basic conceptsが発行されている。
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,ISO/IEC Guide 98-3:2008,ISO/IEC Guide 99:2007,ISO/TS
16610-1:2006及びISO/TS 16610-20:2006によるほか,次による。
3.1
線形の輪郭曲線フィルタ(linear profile filter)
輪郭曲線を,長波長側成分と短波長側成分とに分離する輪郭曲線フィルタ(ISO/TS 16610-20:2006参照)。
3.1.1
輪郭曲線(開曲線)(open profile)
二つの終端をもつ有限長さの輪郭曲線(ISO/TS 16610-1:2006参照)。
3.1.2
輪郭曲線(閉曲線)(closed profile)
終端のない接続された有限長さの輪郭曲線(ISO/TS 16610-1:2006参照)。
3.1.3
カットオフ値(cut-off wavelength)
輪郭曲線フィルタによって振幅の50 %が伝達される正弦波輪郭曲線の波長(ISO/TS 16610-1:2006参照)。
注記 閉曲線に対しては,通常1周当たりの山数(UPR : undulations per revolution)が指定され,UPR
から相当するカットオフ値が求められる。このUPRのことをカットオフ山数とする。
4
輪郭曲線(開曲線)に対するガウシアン輪郭曲線フィルタの特性
4.1
輪郭曲線(開曲線)に対するガウシアン重み関数
輪郭曲線(開曲線)の重み関数(図1参照)は,カットオフ値λc(cは,カットオフの意味)を含むガ
ウシアン関数の式をもつ。式は,次の式(1)による。
×
−
×
×
=
2
c
c
π
exp
1
)
(
λ
α
λ
α
x
x
s
···················································· (1)
ここに,
x: 重み関数の中央(最大値)からの距離
λc: 輪郭曲線フィルタのカットオフ値
α: カットオフ値λcで50 %の振幅伝達特性とする定数
3
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実装に際し,重み関数は,次の式(2)による。
×
×
−
×
−
×
×
=
それ以外
≦
≦
範囲
0
π
exp
1
)
(
c
c
c
c
2
c
c
λ
λ
λ
α
λ
α
L
x
L
x
x
s
·············· (2)
ここに,
Lc: 重み関数の遮断定数(推奨値を附属書Aに示す。)
αの値は,次の式(3)による。
7
469
.0
π
2
ln
≈
=
α
···································································· (3)
重み関数のグラフは,図1に示す。
図1−輪郭曲線(開曲線)に対するガウシアン輪郭曲線フィルタの重み関数
4.2
輪郭曲線(開曲線)に対する振幅伝達特性
4.2.1
輪郭曲線(開曲線)に対する長波長側成分の振幅伝達特性
長波長側成分の振幅伝達特性(図2参照)は,重み関数をフーリエ変換することで決定する。長波長側
成分の振幅伝達特性(平均線基準)は,次の式(4)による。
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
×
−
=
2
c
0
1
π
exp
λ
λ
α
a
a
······························································· (4)
ここに,
a0: フィルタを適用する前の正弦波輪郭曲線の振幅
a1: 平均線を基準とした正弦波輪郭曲線の振幅
λ: 正弦波輪郭曲線の波長
図2−輪郭曲線(開曲線)に対する長波長通過ガウシアンフィルタの振幅伝達特性
4.2.2
輪郭曲線(開曲線)に対しての短波長側成分の振幅伝達特性
短波長側成分の振幅伝達特性(図3参照)は,重み関数をフーリエ変換することで決定し,かつ,長波
長側成分のためのフィルタの振幅伝達特性と補完の関係にある。短波長側成分の振幅伝達特性は,次の式
(5)による。
0
1
0
2
2
c
0
2
1
π
exp
1
a
a
a
a
a
a
−
=
×
−
−
=
λ
λ
α
······························ (5)
ここに,
a2: 正弦波輪郭曲線の短波長側成分の振幅
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図3−輪郭曲線(開曲線)に対する短波長通過ガウシアンフィルタの振幅伝達特性
4.3
終端効果
輪郭曲線(開曲線)は,有限の長さで定義されているので,輪郭曲線(開曲線)とガウシアンフィルタ
とのたたみ込み積分は,輪郭曲線終端部のフィルタ処理の応答において意図しない変化を引き起こす。輪
郭曲線(開曲線)の終端効果が顕著な終端部は,終端効果域と呼ぶ。
これらの終端効果を減らす一つの方法は, より長い輪郭曲線を用い,終端効果の残る終端効果域を削除
することである。実例を図4に示す。
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1 フィルタ処理をしていない輪郭曲線
2 フィルタ処理をした輪郭曲線(終端効果域は削除されている。)
図4−終端効果域を削除したガウシアンフィルタ処理の例(λc=0.8 mm)
終端効果を減らす別の方法として,ISO/TS 16610-28:2010で規定する方法を用いる。実例を図5に示す。
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1 フィルタ処理をしていない輪郭曲線
2 フィルタ処理をした輪郭曲線
図5−ISO/TS 16610-28の4.3の終端効果補正を用いたガウシアンフィルタ処理の例(λc=0.8 mm)
5
輪郭曲線(閉曲線)に対するガウシアン輪郭曲線フィルタの特性
5.1
導入条件
輪郭曲線(閉曲線)の長さ(円周)が2λc未満の場合は,フィルタを適用しない方がよい。
5.2
輪郭曲線(閉曲線)に対するガウシアン重み関数
輪郭曲線(閉曲線)の重み関数(図6参照)は,長さLの輪郭曲線(閉曲線)で包み込まれたガウシア
ン密度関数の式をもつ。カットオフ山数 fc=L/λcにおける式は,次の式(6)による。
×
×
−
×
×
−
×
×
=
それ以外
≦
≦
範囲
0
π
exp
)
(
c
c
c
c
2
c
c
f
L
L
x
f
L
L
L
f
x
L
f
x
s
α
α
············· (6)
ここに,
x: 重み関数の中央(最大値)からの距離
fc: カットオフ山数
8
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L: 輪郭曲線(閉曲線)の長さ
Lc: 遮断定数(附属書A参照)
αの値は,次の式(7)による。
7
469
.0
π
2
ln
≈
=
α
····································································· (7)
輪郭曲線(閉曲線)フィルタの重み関数は,図6による。
図6−輪郭曲線(閉曲線)に対するガウシアン輪郭曲線フィルタの重み関数
5.3
輪郭曲線(閉曲線)に対する振幅伝達特性
5.3.1
輪郭曲線(閉曲線)に対する長波長側成分の振幅伝達特性
長波長側成分の振幅伝達特性(図7参照)は,重み関数をフーリエ変換することで決定する。
λc≪Lにおいて,平均線に対する振幅伝達特性は,次の近似式(8)による。
×
−
=
2
c
0
1
π
exp
f
f
a
a
α
································································ (8)
ここに,
a0: フィルタを適用する前の正弦波輪郭曲線の振幅
a1: 平均線を基準とした正弦波輪郭曲線の振幅
f: 正弦波輪郭曲線の山数
9
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図7−異なるUPR値の輪郭曲線(閉曲線)に対する長波長側成分の振幅伝達特性
5.3.2
輪郭曲線(閉曲線)に対しての短波長側成分の振幅伝達特性
短波長側成分の振幅伝達特性(図8参照)は,長波長側成分の振幅伝達特性と補完の関係にある。短波
長側成分は,輪郭曲線から長波長側成分を減じたものである。λc≪Lにおける下限の波長λcの関数とする
式は,次の近似式(9)による。
0
1
0
2
2
c
0
2
1
π
exp
1
a
a
a
a
f
f
a
a
−
=
×
−
−
=
α
······························· (9)
ここに,
a2: 正弦波輪郭曲線の振幅
10
B 0634:2017 (ISO 16610-21:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図8−異なるUPR値の輪郭曲線(閉曲線)に対する短波長側成分の振幅伝達特性
11
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附属書A
(参考)
輪郭曲線(開曲線)及び輪郭曲線(閉曲線)に対する実装の誤差
A.1 輪郭曲線(開曲線)
理論的には,輪郭曲線(開曲線)に対するガウシアン重み関数は,負の無限大から正の無限大の区間で
正の値をとる。これは数学の分野で,無限の台をもつという。ただし,ガウシアン重み関数は,中心から
離れると急激にゼロ(0)に近付く,したがって,実装に際しては,中心から遠く離れた区域での値は,事
実上ゼロ(0)とみなす。言い換えると,ガウシアン重み関数は,どのような実装においても有限の台をも
つことになり,遮断されたガウシアン重み関数を実装することに相当する。ここで,輪郭曲線(開曲線)
に対する遮断された重み関数は,次の式(A.1)による。
×
−
>
×
×
−
×
−
<
=
c
c
c
c
c
c
c
c
0
)
(
0
)
(~
λ
λ
λ
λ
L
x
L
x
L
x
s
L
x
x
s
範囲
≦
≦
範囲
範囲
································ (A.1)
ここに,
x: 重み関数の中央(最大値)からの距離
λc: 輪郭曲線フィルタのカットオフ値
Lc: 遮断定数
輪郭曲線(開曲線)に対する遮断されたガウシアン重み関数の例を,図A.1に示す。
図A.1−Lc=0.5で遮断された輪郭曲線(開曲線)に対するガウシアン重み関数の例
12
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遮断された重み関数は,理想的なガウシアン重み関数の近似式である。例えば,遮断された重み関数で
たたみ込み積分を実装する場合は,理想的なガウシアン重み関数でたたみ込み積分を実装するのに比べて,
常に誤差が生じる。遮断定数Lcは,この実装誤差が事実上許容できる水準となるように選択することが望
ましい。
注記 この実装誤差は,終端効果(ISO/TS 16610-28参照)によって引き起こされる誤差とは異なっ
ており,また,ガウシアンフィルタのデジタル化実装による誤差を含んではいない。
A.2は,与えられた遮断定数Lcに対する実装誤差を計算するときに必要となる数式を提供する。
A.2 輪郭曲線(開曲線)に対する計算
重み関数を有限区間1)に遮断する数式は,長方形窓関数の乗算によって記述することができる。よって,
有限区間に遮断された重み関数は,次の式(A.2)による。
注1) 詳細は,参考文献[6]を参照。
)
,
(
)
(
)
(~
cx
L
r
x
s
x
s
×
=
································································· (A.2)
ここに,
s(x) : ガウシアン重み関数
)
(~x
s
: 遮断されたガウシアン重み関数
r(Lc, x) : 長方形窓関数,定義は,次による。
×
×
−
=
それ以外
≦
≦
範囲
0
1
)
,
(
c
c
c
c
c
λ
λ
L
x
L
x
L
r
························· (A.3)
実装誤差は,ガウシアン重み関数の伝達関数と遮断された重み関数の伝達関数との最大偏差として定義
される。
遮断されたガウシアン重み関数のフーリエ変換
)
(~ω
S
は,次の式(A.4)による。
dv
v
L
R
v
S
R
S
S
)
,
(
)
(
)
)(
(
)
(~
c
−
×
=
=
∫∞∞
−
ω
ω
ω
····································· (A.4)
ここに,
S(v): ガウシアン重み関数のフーリエ変換
R(.,.): 次の式(A.5)で示すことができる,長方形窓関数のフーリ
エ変換
×
×
×
×
=
=∫××
−
−
ω
λ
λ
ω
λ
λ
ω
π
sinc
2
)
,
(
c
c
c
c
c
c
c
c
c
L
L
dx
e
L
R
L
L
x
i
······················ (A.5)
ここに,
()
x
x
x
π
)
π
sin(
sinc
=
:sinc関数
ガウシアン重み関数の伝達関数と遮断された重み関数の伝達関数との最大偏差は,式(A.3)を使うことに
よって,ω=0の場合となる。
これは,次の式の最大誤差2)となり,図A.2のグラフ及び表A.1として示される。
13
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
×
×
c
c
π
erfc
λ
α
L
注2) 詳細は,参考文献[6]を参照。
図A.2−異なる遮断定数Lcに対する実装誤差
表A.1−異なる遮断定数Lcに対する実装誤差
遮断定数
Lc
実装誤差
%
0.5
0.76
0.6
0.14
0.8
1.96 e-003
1.0
9.47 e-006
輪郭曲線w(x)に関しては,最大誤差の見積りは,次の式(A.6)によって求める3)。
14
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
×
×
×
∆
c
c
max
π
erfc
)
(
λ
α
L
p
x
w
≦
······················································ (A.6)
ここに,
pmax: 輪郭曲線の最大偏差の絶対値
注3) 詳細は,参考文献[6]を参照。
A.3 輪郭曲線(閉曲線)
輪郭曲線(閉曲線)フィルタの重み関数は,長さLの輪郭曲線(閉曲線)で包み込まれたガウシアン密
度関数の式をもつ。カットオフ山数fc=L/λcにおける式は,次の式(A.7)による。
×
×
−
×
×
−
×
×
=
それ以外
≦
≦
範囲
0
π
exp
)
(
c
c
c
c
2
c
c
f
L
L
x
f
L
L
L
f
x
L
f
x
s
α
α
·········· (A.7)
ここに,
x: 重み関数の中央(最大値)からの距離
fc: カットオフ山数
L: 輪郭曲線(閉曲線)の長さ
Lc: 遮断定数
αの値は,次の式(A.8)による。
7
469
.0
π
2
ln
≈
=
α
·································································· (A.8)
これは,既に示した遮断されたガウシアン重み関数の形である。
輪郭曲線(閉曲線)に対する遮断されたガウシアン重み関数の例を,図A.3に示す。
15
B 0634:2017 (ISO 16610-21:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図A.3−Lc=0.5で遮断された輪郭曲線(閉曲線)に対するガウシアン重み関数の例
遮断された重み関数は,理想的なガウシアン重み関数の近似式であり,例えば遮断された重み関数でた
たみ込み積分を実装する場合は,理想的なガウシアン重み関数でたたみ込み積分を実装するのに比べ,常
に誤差が生じる。遮断定数Lcは,この実装誤差が事実上許容できる水準となるように選択することが望ま
しい。
A.4 輪郭曲線(閉曲線)に対する計算
輪郭曲線(閉曲線)に対して遮断されたガウシアン重み関数を用いるときの数式は,λcがL/fcに置き換
えられる(例 λc=L/fc)ことを除いて,輪郭曲線(開曲線)に対する場合と同一である。図A.2及び表
A.1は,輪郭曲線(開曲線)の場合も,輪郭曲線(閉曲線)の場合も同じとなる。
A.5 推奨する設定条件
設定条件は,次の事項によることが望ましい。
a) 一般的な用途では,遮断定数Lc=0.5を用いる。
b) 実装誤差を0.14 %4)まで減らすことが望ましいとする精密な表面に対しては,遮断定数Lc=0.6を用い
る。
注4) 詳細は,参考文献[6]を参照。
c) 参考文献[7]にあるような引用され得る基準ソフトウェアでは,実装誤差を無視できるように,遮断定
数Lc=1.0とすることが望ましい5)。
注5) 詳細は,参考文献[7]を参照。
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B 0634:2017 (ISO 16610-21:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(参考)
参考例
この附属書は,ガウシアン輪郭曲線フィルタを輪郭曲線(開曲線)及び輪郭曲線(閉曲線)に適用した
例を,参考情報として示す(図B.1及び図B.2参照)。
1 フィルタ処理をしていない輪郭曲線
2 フィルタ処理をした輪郭曲線
図B.1−ガウシアンフィルタ及び終端効果補正をフライス加工面に適用した例(開曲線)
(λc=0.8 mm)
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B 0634:2017 (ISO 16610-21:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1 フィルタ処理をしていない輪郭曲線
2 フィルタ処理をした輪郭曲線
図B.2−ガウシアンフィルタをフライス加工面又は型転写面に適用した例(閉曲線)(fc=5UPR)
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B 0634:2017 (ISO 16610-21:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(参考)
フィルタマトリックス
C.1 概要
フィルタマトリックスの詳細については,ISO/TS 16610-1:2006による。
C.2 フィルタマトリックスの位置付け
この規格は,“輪郭曲線フィルタ,線形”(図C.1参照)列中にあるフィルタ詳細の文書である。
フィルタ ISO 16610規格群
概要
第1部
輪郭曲線フィルタ
輪郭曲面フィルタ
原則
第11部
第12部
線形
ロバスト
モルフォロジカル
線形
ロバスト
モルフォロジカル
基本概念
第20部
第30部
第40部
第60部
第70部
第80部
フィルタ詳細
第
21部〜25
部
第
31部〜35
部
第
41部〜45部
第
61部〜65
部
第
71部〜75
部
第
81部〜85部
フィルタ
処理方法
第
26部〜28
部
第
36部〜38
部
第
46部〜48部
第
66部〜68
部
第
76部〜78
部
第
86部〜88部
多重分解
第29部
第39部
第49部
第69部
第79部
第89部
図C.1−フィルタマトリックスモデル
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B 0634:2017 (ISO 16610-21:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書D
(参考)
GPSマトリックス
D.1 概要
GPSマトリックスの詳細は,ISO/TR 14638を参照する。
ISO/TR 14638で示すISO/GPSのマスタープランは,この規格がその一部分であるISO/GPSシステムの
概要を提供する。
ほかに指示されない限り,ISO 8015に示すISO/GPSの原則は,この規格に適用し,JIS B 0641-1に規定
する基準は,この規格に従って作成した仕様に適用する。
D.2 規格及びその利用についての情報
この規格は,線形のガウシアンフィルタの計測特性を規定する。
D.3 GPSマトリックスにおける位置付け
この規格は,図D.1に示す全規格チェーンのリンク番号3及びリンク番号5に関係する。
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B 0634:2017 (ISO 16610-21:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
GPS原理規格
GPS共通規格
GPS基本規格マトリックス
リンク番号
1
2
3
4
5
6
サイズ
距離
半径
角度
データムに無関係な線の形状
データムに関係する線の形状
データムに無関係な面の形状
データムに関係する面の形状
姿勢
位置
円周振れ
全振れ
データム
粗さ曲線
うねり曲線
断面曲線
表面欠陥
エッジ
リンク番号
1:記号及び指示法
2:形体に対する要求事項
3:形体の性質
4:測定
5:測定機器
6:校正
図D.1−GPSマトリックスにおける位置付け
D.4 関連規格
関連する国際規格又は日本工業規格は,図D.1に示す規格チェーンに含まれる規格である。
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B 0634:2017 (ISO 16610-21:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] ISO 8015,Geometrical product specifications (GPS)−Fundamentals−Concepts, principles and rules
[2] ISO 11562:1996,Geometrical Product Specifications (GPS)−Surface texture: Profile method−Metrological
characteristics of phase correct filters
[3] ISO 14253-1:1998,Geometrical Product Specifications (GPS)−Inspection by measurement of workpieces and
measuring equipment−Part 1: Decision rules for proving conformance or non-conformance with specifications
[4] ISO/TR 14638,Geometrical product specifications (GPS)−Masterplan
注記 この規格は廃止され,ISO 14638:2015,Geometrical product specifications (GPS)−Matrix model
で置き換えられた。
[5] ISO/TS 16610-28:2010,Geometrical product specifications (GPS)−Filtration−Part 28: Profile filters: End
effects
[6] EVANS, C. Precision engineering an evolutionary view. Cranfield Press, 1989
[7] KRYSTEK, M. The digital implementation of the Gaussian profile filter according to ISO 11562 Beuth-Verlag,
Berlin, 2005
[8] JONES, R,V. Precision engineering from supertankers to integrated circuits. Precision Engineering, 1(1), 1979,
p. 3