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B 0610 : 2001  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本規格

協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の

審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによってJIS B 0610 : 1987は改正され,

この規格に置き換えられる。 

JIS B 0610には,次に示す附属書がある。 

附属書1(参考) 2RCフィルタを用いた場合の転がり円算術平均うねりとその表示 

附属書2(参考) GPSマトリックス 

附属書3(参考) 参考文献 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 0610 : 2001 

製品の幾何特性仕様 (GPS) − 

表面性状:輪郭曲線方式− 

転がり円うねりの定義及び表示 

Geometrical Product Specification (GPS) −Surface 

texture:Profile method−Definitions and designation of rolling circle 

waviness 

序文 この規格は,JIS B 0610 : 1987に規定されていたろ波うねりWCM及びろ波中心線うねりWCAを,ISO 

4287 : 1997に準拠したJIS B 0601 : 2001に最大高さうねりWz及び平均うねりWaとして新たに規定したこ

とに伴って,改正したものである。 

1. 適用範囲 この規格は,工業製品の表面うねりを表す転がり円最大高さうねりWEM,及び転がり円算

術平均うねりWEAの定義及び表示について規定する。 

2. 引用規格 次の掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0601 : 2001 製品の幾何特性仕様 (GPS) −表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状

パラメータ 

備考 ISO 4287 : 1997 [Geometrical Product Specifications (GPS) −Surface texture : Profile method−

Terms, definitions and surface texture parameters] が,この規格と一致している。 

JIS B 0632 : 2001 製品の幾何特性仕様 (GPS) −表面性状:輪郭曲線方式−位相補償フィルタの特性 

備考 ISO 11562 : 1996 [Geometrical Product Specifications (GPS) −Surface texture : Profile method−

Metrological characterization of phase correct filters] が,この規格と一致している。 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

3.1 

実表面の断面曲線 (surface profile)  対象物の表面(以下,対象面という。)に直角な平面で対称面

を切断したとき,その切り口に現れる輪郭[JIS B 0601 : 2001の3.1(一般用語)参照]。 

3.2 

転がり円 (rolling circle)  実表面の断面曲線を倣うときに用いる一定半径の円。 

備考 実際の測定では,転がり円の代わりに球を用いることができる。 

3.3 

転がり円うねり測定曲線 (rolling circle traced profile)  転がり円が実表面の断面曲線に倣って運動

するときの円の中心の軌跡。 

B 0610 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.4 

転がり円うねり測定断面曲線 (rolling circle waviness total profile)  転がり円うねり測定曲線をデ

ィジタル形式にしたもの。 

3.5 

転がり円うねり断面曲線 (rolling circle waviness profile)  転がり円うねり測定断面曲線から円弧な

どの呼び形状の長波長成分を,最適化された最小二乗法によって除去して得られる曲線。 

備考1. 対象面が自由曲面の場合は,適切な方法によって,切り口に現れる波長の長い曲線に沿って

測定データを修正する。 

2. 旧規格のJIS B 0610 : 1987では,円弧などの呼び形状の長波長成分が含まれた“転がり円う

ねり測定曲線”を“転がり円うねり曲線”としていた。過去のデータとの比較をする場合な

どには,注意が必要である。 

3.6 

転がり円うねり断面曲線の平均線 (mean line for rolling circle waviness profile)  対象とする長さの

転がり円うねり断面曲線に,最小二乗法によって当てはめた直線。 

備考 対象面の幾何学的形状を補正した後で,フィルタとしてJIS B 0632 : 2001による位相補償フィ

ルタを用いる場合には,フィルタの出力を平均線とすることができる。 

3.7 

転がり円うねり曲線 (filtered rolling circle waviness profile) Z (x)  転がり円うねり断面曲線にカッ

トオフ値λfの高域(ハイパス)フィルタを適用して求めた曲線。 

備考1. 記号λfは,JIS B 0601 : 2001の3.1.1.3(λf輪郭曲線フィルタ)と同様に,うねり成分とそれよ

り長い波長成分との境界を定めるフィルタのカットオフ値である。 

2. 高域フィルタは位相補償フィルタとし,カットオフ値の波長における振幅伝達率が50%のフ

ィルタとする。この場合,減衰率は12dB/octより大きくなって,鋭い遮断特性となる[JIS B 

0632の3.2(振幅伝達特性)参照]。 

3.8 

転がり円うねり断面曲線の基準長さ (sampling length) lw 転がり円最大高さうねりを求めるための

転がり円うねり断面曲線の長さ。 

3.9 

転がり円うねり曲線の評価長さ (evaluation length) ln 転がり円算術平均うねりを求めるための転

がり円うねり曲線の長さ。 

4. パラメータの定義 

4.1 

転がり円うねりパラメータ (rolling circle profile parameters)  対象面上に,ランダムに設定した位

置における転がり円最大高さうねりWEM又は転がり円算術平均うねりWEAのそれぞれの平均値。 

備考1. 一般に対象面では,個々の位置におけるうねりパラメータの値は,一様でなく,大きなばら

つきを示すのが普通である。したがって,対象面のうねりパラメータを求めるには,その母

平均が能率よく推定できるように測定位置及びその個数を定める必要がある。 

2. 測定目的に応じて,対象面の1か所で求めた値によって対象面のうねりパラメータを代表さ

せることができる。 

4.2 

転がり円最大高さうねり (maximum height of rolling circle waviness profile) WEM 転がり円うねり

曲線から基準長さlwだけ抜取った曲線を平均線に平行な二直線で挟んだときの二直線の縦方向間隔をμm

単位で表したもの。 

4.3 

転がり円算術平均うねり (arithmetical mean deviation of filtered rolling circle waviness profile) WEA 

評価長さlnの転がり円うねり曲線Z (x) から,次の式で与えられるWEAの値をμm単位で表したもの。 

=

n

l

EA

dx

x

Z

n

l

W

0

)

(

1

B 0610 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.4 

転がり円最大高さうねり又は転がり円算術平均うねりの最大値の指示 (maximum limit)  転がり断

面円最大高さうねり又は転がり円算術平均うねりの最大許容値を指示する場合には,WEM又はWEAの後に

maxを付けて,WEMmax又はWEAmaxとする。 

備考 ここでいう最大値とは,対象面上でランダムに設定した数箇所の位置におけるWEM又はWEAを

平均した値であって,個々のWEM又はWEAの最大値ではない。 

4.5 

転がり円の半径 (radius of rolling circle) rtip 転がり円の半径rtipは,次の6種類から選択することが

望ましい。 

0.08, 0.25, 0.8, 2.5, 8, 25 単位 mm 

4.6 

基準長さ (value of sampling length) lw 転がり円最大高さうねりを求める場合の基準長さlwは,次

の6種類から選択することが望ましい。 

0.25, 0.8, 2.5, 8, 25, 80 単位 mm 

4.7 

評価長さ (value of evaluation length) ln 転がり円算術平均うねりを求める場合の評価長さは,高域

フィルタのカットオフ値λfの3倍又はそれより大きい値にすることが望ましい。 

4.8 

高域フィルタのカットオフ値(cut-off value of λf profile filter)λf 高域フィルタのカットオフ値λf

は,次の4種類から選択することが望ましい。 

0.8, 2.5, 8, 25 単位 mm 

4.9 

高域フィルタのカットオフ値の標準値 (default cut-off value)  高域フィルタのカットオフ値λfの標

準値は,8mmとする。 

5. 表示法 

5.1 

転がり円最大高さうねりの表示 転がり円最大高さうねりの表示は,次による。 

転がり円最大高さうねり  μm 転がり円半径  mm 基準長さ  mm 

又は 

  μmWEM rtip  mm lw  mm 

5.2 

転がり円算術平均うねりの表示 転がり円算術平均うねりの表示は,次による。 

転がり円算術平均うねり  μm 転がり円平均  mm 

高域フィルタのカットオフ値  mm 

又は 

  μmWEA rtip  mm λf  mm 

備考1. カットオフ値8mmの高域フィルタを用いた場合は,カットオフ値の表示を省略することがで

きる。 

2. 2RCアナログフィルタを用いる場合は,附属書1による。 

5.3 

転がり円最大高さうねり又は転がり円算術平均うねりの最大値の表示 転がり円最大高さうねり又

は転がり円算術平均うねりの許容最大値の表示は,次による。 

転がり円算術平均うねりの最大値  μm 転がり円半径  mm 

高域フィルタのカットオフ値  mm 

又は 

  μmWEAmax rtip  mm λf  mm 

備考 WEAmaxについて示したが,WEMmaxの表示も同様に行う。 

例1. 文書などに指示する場合 

B 0610 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

0.2μmWEAmax rtip 2.5mm λf 8mm ln 8mm 

例2. 図面に,うねりの最大許容値を指示する場合には,次による。 

8

8

5.2

2.0

max

n

l

f

r

W

tip

EA

λ

B 0610 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(参考) 

2RCフィルタを用いた場合の転がり円算術平均うねりとその表示 

高域フィルタとして,位相補償フィルタを用いた場合と2RCフィルタを用いた場合とで,転がり円算術平

均うねりWEAの結果が異なるおそれがある。 

1. 高域フィルタの特性 高域フィルタとして2RCアナログフィルタを用いる場合には,減衰率が

12dB/oct,カットオフ値の波長における振幅伝達率が75%のフィルタとする。平均線は,最小二乗法によ

って当てはめた直線とする。 

2. パラメータ記号 過去のデータとの比較及び2RCフィルタ装備の測定機の使用が避けられないため

に,2RCフィルタを利用しなければならない場合には,パラメータ記号WEAに添字として75(カットオフ

値における振幅伝達率75%の意味)を付け,WEA75として位相補償フィルタによる場合と区別する。 

background image

B 0610 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2(参考) GPSマトリックス 

GPSマトリックスの詳細は,TR B 0007製品の幾何特性仕様 (GPS) −マスタープランを参照。 

1. GPSマトリックスにおける位置付け この規格は,附属書2図1に示すうねり曲線に関する規格チェ

ーンのリンク番号2及び3にかかわる基本規格である。 

2. 関連国際規格 関連国際規格は,附属書2図1に示す規格チェーンに含まれる規格である。 

附属書2図1 

B 0610 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書3(参考) 参考文献 

1. JIS B 0031 : 1987 面の肌の図示方法 

2. JIS B 0651製品の幾何特性仕様 (GPS) −表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性 

備考 JIS B 0651は,ISO 3274 : 1996 Geometrical Product Specifications (GPS) −Surface texture : Profile 

method−Nominal characteristics of contact (stylus) instrumentsと一致している。 

3. JIS B 0633製品の幾何特性仕様 (GPS) −表面性状:輪郭曲線方式−表面性状評価の方式及び手順 

備考 JIS B 0633は,ISO 4288 : 1996 Geometrical Product Specifications (GPS) −Surface texture : Profile 

method−Rules and procedures for the assessment of surface textureと一致している。 

4. ISO 5436 : 1985 Calibration specimens−Stylus instruments−Types, calibration and use of specimens 

5. TR B 0007製品の幾何特性仕様 (GPS) −マスタープラン 

備考 TR B 0007は,ISO/TR 14638 : 1995 Geometrical Product Specification (GPS) −Master planと一

致している。 

粗さ関係JIS原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

◎ 塚 田 忠 夫 

明治大学理工学部 

(幹事) 

* 谷 村 吉 久 

通商産業省工業技術院計量研究所 

(委員) 

* 荒 井 正 敏 

株式会社東京精密 

* 加 納 孝 文 

株式会社ミツトヨ 

* 桑 田 浩 志 

トヨタ自動車株式会社 

* 坂 野 憲 幾 

通商産業省工業技術院計量研究所 

* 笹 島 和 幸 

東京工業大学情報理工学研究科 

佐 藤   隆 

株式会社東芝 

野 口 昭 治 

日本精工株式会社 

橋 本   進 

財団法人日本規格協会技術部 

八 田   勲 

通商産業省工業技術院標準部 

太 箸 孝 善 

石川島播磨重工業株式会社 

* 宮 下   勤 

テーラーホブソン株式会社 

* 宮 本 絋 三 

株式会社小坂研究所 

* 柳   和 久 

長岡技術科学大学 

(事務局) 

杉 田 光 弘 

財団法人日本規格協会技術部 

増 森 かおる 

財団法人日本規格協会技術部 

備考 ◎印はWG主査,*印はWG委員兼務を示す。 

(文責 塚田 忠夫)