B 0162-3:2006
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本機械学会(JSME)/財団法人日
本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調
査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 4378-3:1983,Plain bearings−Terms,
definitions and classification−Part 3:Lubrication を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。
JIS B 0162-3には,次に示す附属書がある。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS B 0162の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 0162-1 第1部:設計,軸受材料及びその特性
JIS B 0162-2 第2部:摩擦及び摩耗
JIS B 0162-3 第3部:潤滑
JIS B 0162-4 第4部:計算パラメータ及びその記号
B 0162-3:2006
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 分類 ······························································································································ 1
3. 用語及び定義 ·················································································································· 2
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ···································································· 11
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日本工業規格 JIS
B 0162-3:2006
滑り軸受−用語,定義及び分類−
第3部:潤滑
Plain bearing-Terms,definitions and classification-
Part 3 :Lubrication
序文 この規格は,1983年に第1版として発行されたISO 4378-3,Plain bearings−Terms,definitions and
classification−Part 3:Lubricationを翻訳し,技術的内容を一部変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変
更の一覧表をその説明を付けて,附属書(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,滑り軸受の潤滑で最も一般的に使用される用語,定義及び分類について規定
する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 4378-3:1983,Plain bearings−Terms,definitions and classification−Part 3:Lubrication (MOD)
2. 分類 用語の分類は次による。
a) 一般的な用語
b) 潤滑のタイプによる分類
c) 潤滑方法による分類
d) 潤滑剤及びその成分,潤滑剤のタイプ
e) 潤滑剤の基本的特性及び応用特性
2
B 0162-3:2006
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3. 用語及び定義 用語及び定義は,次による。
なお,参考として対応英語を示す。
備考1. 用語及び対応英語(参考)欄で,二つの用語をコンマ“,”でつないで併記してある場合は,
その順位によって優先使用する。
2. 用語及び対応英語(参考)欄で,用語の一部に丸括弧“( )”が付いている場合は,ISO規
格を基礎として用いた用語である。
3. 定義欄の丸括弧“( )”で示した部分は,定義の内容を補足した内容である。
a) 一般的な用語(general terms)
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
1.1
潤滑(のタイプ)
摩擦力及び摩耗を減少させるため
の潤滑剤の作用。
−
lubrication (type of)
1.2
給油(の方法)
摩擦面に潤滑剤を供給すること。
−
lubrication (method of)
1.3
潤滑剤
摩擦力及び摩耗を減少させるため
に摩擦面間に供給される物質。
−
lubricant
b) 潤滑のタイプによる分類(types of lubrications,classification)
− 潤滑剤の物理的状態による分類(according to physical state of the lubricant)
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
2.1
気体膜潤滑,
気体潤滑
気体を相対的に動く二つの摩擦面
間に介在させることによって両面
を分離する潤滑方式。
−
gas-film lubrication
2.2
液体膜潤滑,
液体潤滑
液体を相対的に動く二つの摩擦面
間に介在させることによって両面
を分離する潤滑方式。
−
liquid-film lubrication
2.2a
流体膜潤滑,
流体潤滑
流体(気体又は液体)を相対的に
動く二つの摩擦面間に介在させる
ことによって両面を分離する潤滑
方式。
−
fluid-film lubrication
2.3
固体膜潤滑,
固体潤滑
固体の潤滑剤を相対的に動く二つ
の摩擦面間に介在させることによ
って両面を分離する潤滑方式。
−
solid-film lubrication
− 摩擦面を潤滑膜によって分離する方法による分類(according to the separation of the rubbing surface by
a lubricant film)
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
2.4
動圧流体潤滑
二つの摩擦面間の流体膜に両面の
相対運動及び流体の粘性によって
圧力を発生させ,両面を完全に分
離する潤滑方式。
−
hydrodynamic lubrication
3
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番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
2.5
静圧流体潤滑
二つの摩擦面間に高圧の流体を外
部から供給することによって,相
対運動又は静止状態にある二つの
物体を完全に分離する潤滑方式。
−
hydrostatic lubrication
2.6
動圧気体潤滑
二つの摩擦面間の気体膜に両面の
相対運動及び気体の粘性によって
圧力を発生させ,両面を完全に分
離する潤滑方式。
−
aerodynamic lubrication
2.7
静圧気体潤滑
二つの摩擦面間に高圧の気体を外
部から供給することによって,相
対運動又は静止状態にある二つの
物体を完全に分離する潤滑方式。
−
aerostatic lubrication
2.8
弾性流体潤滑,
EHL
二つの相対運動する摩擦面間の摩
擦力と潤滑膜厚さが,摩擦面材料
の弾性特性及び潤滑剤のレオロジ
ー特性(特に,粘度の圧力依存性)
に支配される潤滑方式。
−
elasto-hydrodynamic
lubrication,EHL
2.9
境界潤滑
二つの相対運動する摩擦面間の摩
擦と摩耗が,潤滑剤の粘性以外の
性質及び摩擦面の性質に支配され
る潤滑方式。
−
boundary lubrication
2.10
混合潤滑
流体膜潤滑及び境界潤滑が同時に
存在する潤滑方式。
−
mixed lubrication
2.10a
熱流体潤滑,
THL
二つの相対運動する摩擦面間の潤
滑状態が,せん断発熱を含む潤滑
膜の熱収支,熱伝達及び潤滑剤粘
度の温度依存性に支配される流体
潤滑方式。
−
thermo-hydrodynamic
lubrication,THL
2.10b
熱弾性流体潤滑,
TEHL
二つの相対運動する摩擦面間の潤
滑状態が,せん断発熱を含む潤滑
膜の熱収支,熱伝達,摩擦面の弾
性特性及び潤滑剤のレオロジー特
性(特に,粘度の温度及び圧力依
存性)に支配される流体潤滑方式。
−
thermo-elastohydrodynamic
lubrication,TEHL
2.10c
ハードEHL
弾性変形及び潤滑油粘度の高圧に
よる指数関数的増加の影響が現れ
る弾性流体潤滑状態。
−
hard EHL
2.10d
ソフトEHL
弾性係数の小さな表面の場合に油
の圧力による粘度増加が現れない
弾性流体潤滑状態。
−
soft EHL
2.10e
マイクロEHL
表面粗さの突起先端部がEHLにな
る潤滑状態。
−
micro-EHL
4
B 0162-3:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
2.10f
層流潤滑
潤滑流体の粒子が,定常で,滑ら
かな流線を描いて,規則的に運動
する潤滑状態。流体の粘性力が,
慣性力に比べて支配的な流れ,す
なわち,レイノルズ数が比較的小
さい場合に生じる。
−
laminar flow lubrication
2.10g
乱流潤滑
潤滑流体の粒子が時間的・空間的
に不規則な入り乱れた運動をする
潤滑状態。流体の慣性力が粘性力
に比べて支配的な流れ,すなわち,
レイノルズ数が大きい場合に生じ
る。
−
turbulent flow lubrication
2.10h
指向潤滑
潤滑摩擦面の一部に直接,適量な
潤滑油を供給して運転される潤滑
方法。代表的な方法として,産業
用ティルティングパッド軸受にお
いてノズル穴からパッド摩擦面へ
潤滑油を噴射する方法。
−
directed lubrication
2.10i
枯渇潤滑
潤滑剤が不足している潤滑状態。
−
starved lubrication
2.10j
無潤滑
潤滑剤を用いないでしゅう動など
をさせること。
−
non-lubrication
2.10k
グリース潤滑
摩擦部分を潤滑剤としてグリース
を用いてしゅう動などをさせるこ
と。
参考
グリースガンの規格は
JIS B 1575及びJIS B
9808を参照。
−
grease lubrication
c) 潤滑方法による分類(methods of lubrication,classification)
− 潤滑剤の供給の周期性による分類(according to periodicity of application of lubricant)
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
3.1
連続潤滑
潤滑剤が連続的に供給される潤滑
方式。
−
continuous lubrication
3.2
周期的潤滑,
間欠潤滑
潤滑剤が周期的又は間欠的に供給
される潤滑方式。
−
periodical lubrication
intermittent lubrication
− 潤滑剤の補充方法による分類(according to the methods of renewing the lubricant)
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
3.3
循環潤滑
しゅう動面を通過した潤滑剤を機
械的に再びしゅう動面に循環させ
る潤滑方式。
−
recirculating lubrication
5
B 0162-3:2006
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番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
3.4
生涯予潤滑
システムが稼動する前に一度だけ
潤滑剤を供給する潤滑方式。
−
life-time lubrication
3.5
一方向潤滑
潤滑剤を潤滑システムに戻さずに
周期的又は連続的にしゅう動面へ
供給する潤滑方式。
−
once-through lubrication
− 摩擦面への潤滑剤の供給方法による分類(according to the way of applying the lubricant to the friction
surface)
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
3.6
強制潤滑
圧力によって潤滑剤をしゅう動面
へ供給する潤滑方式。
−
force-feed lubrication
3.7
油浴潤滑,
オイルバス潤滑
しゅう動面の一部を永久的に又は
周期的に液体潤滑剤のバスの中に
浸す潤滑方式。
−
dip-feed lubrication,
oil-bath lubrication
3.8
リング潤滑
回転軸上のリングが潤滑剤に浸
り,これをしゅう動面に供給する
潤滑方式。
参考
リングは,回転軸に固定
される場合と固定されな
い場合がある(低速では,
チェーンを使用する。)。
−
ring lubrication
3.9
滴下潤滑
規則的な間隔で潤滑剤の液滴をし
ゅう動面に供給する潤滑方式。
−
drop-feed lubrication,
drip-feed lubrication
3.10
オイルミスト潤滑
空気又は他の気体の流れの中に潤
滑剤を注入することによって作ら
れたミスト又は霧状の潤滑剤をし
ゅう動面へ供給する潤滑方式。
−
oil fog lubrication,
oil mist lubrication
3.11
パッド潤滑
毛細管特性をもつ湿り気のある材
料のパッドを接触させ,液状潤滑
剤をしゅう動面へ供給する潤滑方
式。
−
pad lubrication
3.12
灯心潤滑
灯心によってしゅう動面に潤滑剤
を供給する潤滑方式。
−
wick lubrication
3.13
ロータプリント潤滑
固体潤滑剤をしゅう動面に押し付
けることによって供給する潤滑方
式。
−
rotaprint lubrication
3.14
固体膜コーティング潤滑
運転前に固体膜をしゅう動面にコ
ーティングする潤滑方式。
−
solid-film coating
lubrication
3.14a
手差し潤滑
油差しで給油口などから給油する
潤滑方式。
−
hand lubrication
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
3.14b
機力潤滑
機械駆動式ポンプにより強制給油
する潤滑方式。
−
mechanical force-feed
lubrication
3.14c
はねかけ潤滑,
飛まつ潤滑
内燃機関の機構または歯車などの
回転部分によってはね上げられた
油の飛まつにより給油する潤滑方
式。
−
splash lubrication
3.14d
オイルジェット潤滑
潤滑剤をノズルからの噴油により
必要箇所に給油する潤滑方式。
−
oil jet lubrication
d) 潤滑剤とその成分及び潤滑剤の種類(Lubricants and their components,types of lubricants)
− 潤滑剤の物理的状態による分類(according to their physical state)
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
4.1
気体潤滑剤
気体状の潤滑剤。
−
gaseous lubricant
4.2
液体潤滑剤
液体状の潤滑剤。
−
liquid lubricant
4.3
潤滑油
摩擦面の摩擦及び摩耗の低減を主
な目的として用いられる,通常,
精製された油。
−
lubricating oil
4.4
グリース
主に鉱油又は合成油と石鹸又は他
の増ちょう剤との安定な混合物か
ら成る半固体又は固体潤滑剤。こ
れ以外の成分を含む場合もある。
−
grease
4.5
固体潤滑剤
固体状の潤滑剤。すなわち,粉末,
塊状又は薄膜状の潤滑剤。
−
solid lubricant
− 添加剤の有無による分類(according to the presence of additive)
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
4.6
添加剤入リ潤滑剤
潤滑性能を向上させる為の化学物
質等を添加した潤滑剤。
−
lubricant with additive
4.7
基油
精製された油で,1種類又は複数種
類の添加剤を加えることによって
完成品となる。
−
base oil
− 潤滑油の素性による分類(according to the origin)
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
4.8
鉱油
鉱物原料の炭化水素又は鉱物原料
から一定の処理によって得られる
炭化水素の混合物。
−
mineral oil
7
B 0162-3:2006
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4.9
石油系油
原油から精製した潤滑油。
−
petroleum oil
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
4.10
植物油
天然の植物から採取した油脂。
−
vegetable oil
4.11
動物油
牛脂又は豚油などの動物から採取
した油脂。
−
animal oil
4.12
合成潤滑剤
化学合成により作られた基油又は
それに添加剤を加えた潤滑剤。
−
synthetic oil
4.13
添加剤
新しい特性を与えること又は現在
の特性を高めることを目的として
潤滑剤に加えられる物質。
−
additive
4.14
固体潤滑剤バインダ,
バインダ
固体潤滑剤の粒子同士及び粒子と
摩擦面との付着を促進させる物
質。
−
solid lubricant binder,
binder
4.15
腐食防止剤
潤滑された金属表面の腐食を妨
げ,減速し又は制限するための添
加剤。
−
anticorrosion additive
4.16
酸化防止剤
潤滑剤の酸化を妨げ,減速し又は
制限するための添加剤。
−
antioxidant additive
4.17
さび止め剤
鉄系合金の表面のさび発生を妨
げ,減速し又は制限するための添
加剤。
−
rust preventive additive
4.18
摩耗防止剤
しゅう動面の摩耗を防止又は低減
するための添加剤。
−
anti-wear additive
4.19a
極圧添加剤,
EP添加剤
摩擦面間の接触圧力が高く,滑り
速度が大きい過酷な潤滑条件下に
おいて摩擦・摩耗を減少させ焼付
きを防止する役割をもつ化合物。
参考
この添加剤は,耐スコー
リング剤としても知られ
ている。
−
extreme pressure additive
4.20
流動点降下剤
液体潤滑剤の流動点を降下させる
添加剤。
JIS K 2269
参照
pour-point depressant
4.21
粘度指教
温度による油の粘度変化を示す経
験的尺度によって決定された無次
元値。
参考
粘度指数が高いほど温度
による粘度の変化が小さ
い。
JIS K 2283
参照
viscosity index
4.22
粘度指数向上剤
温度による油の粘度の変化を減少
させるための,通常,高分子から
成る添加剤をいい,粘度指数を増
加させる。
−
viscosity index improver
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B 0162-3:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.23
消泡剤
液体潤滑剤中の泡発生を防止又は
減少するための添加剤。
−
anti-foam additive
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
4.24
清浄剤
潤滑油中に固体粒子を懸濁させて
おく表面活性添加剤。
−
detergent additive
4.25
分散剤
主に低温で液体潤滑剤中の不溶解
不純物の分散及び懸濁状態の安定
性を向上させるための添加剤。
−
dispersant additive
4.26
多機能添加剤
潤滑剤の数種の特性を同時に向上
させる添加剤。
−
multifunctional additive
4.27
添加剤パッケージ
潤滑剤に添加するため,あらかじ
め数種の添加剤を混ぜ合わせたも
の。
−
additive package
4.27a
清浄分散剤
油中に混入している固体粒子を分
散させて沈積物となるのを防止す
る作用及び油中の硫黄分の燃焼に
よって生じる硫酸分を中和する作
用をもつ添加剤。
−
detergent dispersant
4.27b
摩擦調整剤
潤滑剤に対して望ましい摩擦特性
に調整する添加剤。
−
friction modifier
4.27c
乳化剤
界面活性剤の中で,特に油及び水
の乳化に適したもの。
−
emulsifier
4.27d
増ちょう剤
グリースの成分で,液体潤滑剤の
中に分散し,三次元構造を作り,
半固体状にする作用をもつ物質。
−
thickener ,
thickening agent
4.27e
水性潤滑剤
水を10 %よりも多く含有してい
る潤滑剤。
−
aqueous lubricant
4.27f
内燃機関用潤滑油
潤滑油として適切な精製鉱油又は
それに添加剤を加えたもので,水
及び沈殿物を含まない油。陸用と
舶用の2種類に分類される。
JIS K 2215
参照
internal combustion engine
oils
4.27g
ギヤー油
水及び沈殿物を含まず,精製鉱油
に添加剤を加えた油。
JIS K 2219
参照
gear oils
4.27h
マシン油
水及び沈殿物を含まない精製鉱
油。
JIS K 2238
参照
machine oils
4.27i
軸受油
水及び沈殿物を含まない精製鉱
油。主として循環式,油浴式等の
給油方法による各種機械の軸受部
の潤滑油として用いられる。
JIS K 2239
参照
bearing oils
4.27j
冷凍機油
精製鉱油,合成油もしくはこれら
の混合物か又はこれらに添加剤を
加えたものであって,水及び沈殿
物を含まない油。
JIS K 2211
参照
refrigerating machine oils
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B 0162-3:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.27k
タービン油.
水及び沈殿物を含まない精製鉱油
又はそれに添加剤を加えた油。
JIS K 2213
参照
turbine oils
4.27λ
さび止め油
腐食抑制剤を,主として石油系基
材に添加した油。
JIS K 2246
参照
rust preventive oils
e) 潤滑剤の基本的特性及び応用特性(basic and applied characteristics of lubricants)
番号
用語
定義
備考
対応英語(参考)
5.1
粘性
流体,半流体又は半固体物質の流
れに対する抵抗の原因となる物
性。
参考 粘性の大きさに関して,
せん断応力及びせん断速
度との比を粘度又は絶対
粘度(Pa・s),又絶対粘
度及び密度との比を動粘
度(m2/s)という。
工業用潤滑
油について
は,ISO粘
度分類(JIS
K 2001)が
ある。
viscosity
5.1a
ニュートン流体
ニュートンの粘性法則に従う流
体。
−
newtonian fluid
5.1b
非ニュートン流体
ニュートンの粘性法則に従わない
流体。
−
non-newtonian fluid
5.1c
粘度圧力係数
圧力変化に対する粘度変化の割合
を表す量。
−
pressure exponent of
viscosity
5.2
油性
純粋な粘性とは別の摩擦及び摩耗
を減少させる潤滑剤の特性。
−
lubricity
5.3
潤滑剤の適合性
2種類又は数種類の潤滑剤をお互
いに混ぜ合わせ,これを使用又は
保存するときに性能・特性が低下
しない能力。
−
lubricant compatibility,
compatibility
5.4
ちょう度
外力が加えられたときのグリース
の変形低抗能力。数値が大きいほ
ど柔らかい。
JIS K 2220
参照
consistency
5.4a
離油度
グリースから圧力,温度上昇,増
ちょう剤構造の変化などによって
液体潤滑剤が分離する度合。
JIS K 2220
参照
bleeding
5.4b
酸価
試料油1 g中に含まれる酸性成分。
酸化成分は,中和するのに要する
水酸化カリウムのmg数で表す。
参考
酸価の測定方法は,JIS K
2501などで定められて
いる。
−
acid number
5.4c
塩基価
試料1 g中に含まれる塩基性成分。
塩基性成分は,中和するのに要す
−
base number
10
B 0162-3:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
る塩酸又は過塩素酸と当量の水酸
化カリウムのmg数で表す。アルカ
リ価ともいう。
5.4d
生物分解性
微生物の作用によって潤滑油が無
害な物質に分解される性質。
−
biodegradability
関連規格 JIS B 1575 グリースニップル
JIS B 1582 滑り軸受用ブシュ
JIS B 1583 すべり軸受−損傷及び外観の変化に関する用語,特徴及び原因
JIS B 9808 グリースガン
JIS D 3102 自動車機関用半割滑り軸受
JIS D 3106 自動車機関用半割つば付き滑り軸受
JIS K 2001 工業用潤滑油−ISO粘度分類
JIS K 2211 冷凍機油
JIS K 2213 タービン油
JIS K 2215 内燃機関用潤滑油
JIS K 2219 ギヤー油
JIS K 2220 グリース
JIS K 2238 マシン油
JIS K 2239 軸受油
JIS K 2246 さび止め油
JIS K 2269 原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JIS K 2283 原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
JIS K 2501 石油製品及び潤滑油−中和価試験方法
ISO 4378-1:1997,Plain bearings−Terms,definitions and classification−Part 1:Design,bearing
materials and their properties
ISO 4378-2:1983,Plain bearings−Terms,definitions and classification−Part 2:Friction and wear
ISO 4378-3:1983,Plain bearings−Terms,definitions and classification−Part 3:Lubrication
ISO 4378-4:1997,Plain bearings−Terms,definitions and classification−Part 4:Calculation parameters
and their symbol
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B 0162-3:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS B 0162-3:2005 滑り軸受−用語,定義及び分類−第3部:潤滑
ISO 4378-3:1983,滑り軸受−用語,定義及び分類−第3部:潤滑
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:側線又は点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1.適用範
囲
滑り軸受の潤滑並びにその
定義及び分類について,最
も一般的に使用される用語
について規定。
ISO 4378
-3
Scope
JISと同じ。
IDT
−
−
2.分類
用語を五つの群に分類。
−
−
MOD/追
加
独立した項目で分類
を規定。ISO規格も分
類は同じであるが,独
立した項目はない。
技術的差異はない。
3.用語及
び定義
ISO規格との差異は,改正を提案する予
定。
a)
一般的な用語
1
JISと同じ。
IDT
−
−
b)
潤滑のタイプによる分類
2
JISと同じ。
IDT
−
−
2.2a 流体膜潤滑,流体潤滑
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
2.4 動圧流体潤滑
2.4
JISとほぼ同じ。
MOD/変
更
定義を明確にした。
改正提案を予定。
2.5 静圧流体潤滑
2.5
JISとほぼ同じ。
MOD/変
更
定義を明確にした。
改正提案を予定。
2.6 動圧気体潤滑
2.6
JISとほぼ同じ。
MOD/変
更
定義を明確にした。
改正提案を予定。
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B 0162-3:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:側線又は点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
b)
(続き)
2.8 弾性流体潤滑,EHL
2.8
JISとほぼ同じ。
MOD/変
更
定義を明確にした。
改正提案を予定。
2.10a 熱流体潤滑,THL
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
2.10b 熱弾性流体潤滑,
TEHL
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
2.10c ハードEHL
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
2.10d ソフトEHL
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
2.10e マイクロEHL
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
2.10f 層流潤滑
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
2.10g 乱流潤滑
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
2.10h 指向潤滑
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
2.10i 枯渇潤滑
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
2.10j 無潤滑
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
2.10k グリース潤滑
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
c)
潤滑方法による分類
3
JISと同じ。
IDT
−
−
3.8 リング潤滑
3.8
JISとほぼ同じ。
MOD/変
更
定義内容の変更(用語
の明確化)。
改正提案を予定。
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B 0162-3:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:側線又は点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
c)
(続き)
3.12 灯心潤滑
3.12
JISとほぼ同じ。
MOD/追
加
備考欄に,定義の補足
を追加。
実質的差異なし。
3.14a 手差し潤滑
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
3.14b 機力潤滑
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
3.14c はねかけ潤滑,飛ま
つ潤滑
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
3.14d オイルジェット潤滑
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
d)
潤滑剤とその成分及び潤滑
剤の種類
4
JISと同じ。
IDT
−
−
−
4.19a 極圧添加剤,EP添加
剤
4.19
−
JISとほぼ同じ。
MOD/削
除
MOD/追
加
一般的用語に変更の
ため,削除。
一般的用語として追
加。
削除・追加提案を予定。
4.20 流動点降下剤
4.20
JISとほぼ同じ。
MOD/追
加
備考欄に,用語の補足
を追加。
実質的差異なし。
4.21 粘度指数
4.21
JISとほぼ同じ。
MOD/追
加
備考欄に,用語の補足
を追加。
実質的差異なし。
4.27a 清浄分散剤
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
4.27b 摩擦調整剤
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
4.27c 乳化剤
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
4.27d 増ちょう剤
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
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B 0162-3:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:側線又は点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
d)
(続き)
4.27e 水性潤滑剤
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
4.27f 内燃機関用潤滑油
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
4.27g ギアー油
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
4.27h マシン油
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
4.27i 軸受油
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
4.27j 冷凍機油
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
4.27k タービン油
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
4.27λさび止め油
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
e)
潤滑剤の基本的特性及び応
用特性
5
潤滑油の基本特性
MOD/変
更
−
技術的差異なし。
5.1 粘性
5.1
JISとほぼ同じ。
MOD/追
加
定義欄及び備考欄に,
説明を追加。
追加提案を予定。
5.1aニュートン流体
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
5.1b 非ニュートン流体
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
5.1c 粘度圧力係数
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
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B 0162-3:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:側線又は点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
e)
(続き)
5.4 ちょう度
5.4
JISとほぼ同じ。
MOD/追
加
備考欄に,用語の補足
を追加。
技術的差異なし。
5.4a 離油度
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
5.4b 酸価
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
5.4c 塩基価
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
5.4d 生物分解性
−
−
MOD/追
加
一般的用語を追加。
追加提案を予定。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。