2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 0112-1994
鍛造加工用語
Forging−Vocabulary
1. 適用範囲 この規格は,鍛造加工に用いる主な用語について規定する。
備考 この規格の引用規格は,付表1に示す。
2. 分類 鍛造加工に関する用語の種類は,次による。
(1) 鍛造の種類
(2) 鍛造設計
(a) 工程
(b) 鍛造品
(c) 金型の設計
(3) 鍛造用材料
(4) 金型及び工具
(a) 金型
(b) 自由鍛造用工具
(5) 設備
(a) 切断機
(b) 加熱炉
(c) 鍛造機
(d) 附帯設備
(e) 前後処理設備
(6) 鍛造作業及び関連作業
(7) 試験及び検査
(8) 鍛造欠陥
3. 用語及びその定義 用語及びその定義は,次による。
なお,参考として対応英語を示す。
備考1. 一つの用語欄に,二つ以上の用語が併記してある場合には,記載してある順位に従って優先
的に使用する。
2. 用語の下の括弧内のかながきは,読み方を示す。
参考 対応英語(参考)で,セミコロンをはさんで二つ以上併記してあるものは,それぞれ同義語で
ある。
(1) 鍛造の種類
2
B 0112-1994
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1001
鍛造
工具,金型などを用い,固体材料の一部又は全体を圧縮又
は打撃することによって,成形及び鍛錬を行うこと。
forging
1002
自由鍛造
単純形状をした金敷及び工具を用い,材料の諸部分を,諸
方向から,順に加圧して行う鍛造。
open die forging,
flat die forging
1003
火造り
熱間での自由鍛造。
smith forging
1004
型鍛造
金型のインプレッション内に,材料を加圧して充満させる
ことによって成形する鍛造。ばりを出させるものと出させ
ないものとがある。
closed die forging
1005
熱間鍛造
材料を加熱し,再結晶温度以上,固相線温度未満の温度範
囲で行う鍛造。
hot forging
1006
温間鍛造
通常の熱間鍛造と冷間鍛造との中間の温度で行う鍛造。
warm forging
1007
冷間鍛造
室温又は室温に近い温度で行う鍛造。
cold forging
1008
溶湯鍛造
金属材料の固相及び液相共存温度範囲で行う鍛造。
liquid forging
1009
粉末鍛造
金属の圧粉体又は焼結体を荒地として用いる鍛造。
powder metal forging,
sinter forging
1010
複合鍛造
熱間,温間又は冷間鍛造工程を順に加えて行う鍛造。
1011
ロール鍛造
回転軸が平行で回転方向が向かい合う一対のロールに彫
り型を取り付け,このロール軸に直角な方向から棒状の材
料を挿入し,通過させて行う鍛造(付図1参照)。
roll forging
1012
クロスローリング
回転軸が平行で面が対向移動する一対若しくは3個のロー
ル,又は面が対向移動する一対の平板に型を取り付け,こ
のロール又は平板の間に丸棒状の材料を,軸が対向移動方
向と直角になるように挿入し,回転させながら局部的に材
料の直径を変化させる鍛造(付図2参照)。
crossrolling,
wedge rolling
1013
ヘリカルローリング
材料軸に対して一定の傾斜をした軸で同じ方向に回転す
る円すい状の3個のロールのすきまに,丸棒状の材料を回
転させながら通過させ,その際,ロールのすきまの寸法を
変えることによって,材料の直径を軸方向に変化させる鍛
造(付図3参照)。
helical rolling
1014
リングローリング
リング状の材料を,数個のロールを用いて半径方向の厚さ
を減らすことによって,より大きな直径の輪に成形する鍛
造(付図4参照)。
ring rolling
1015
ディスクローリング
円板状の材料を,中心軸の周りに回転させながら,数個の
ロールを用いて厚さを減らしたり,増したりすることによ
って,所要の断面輪郭をした円板状部品に成形する鍛造
(付図5参照)。
disk rolling
1016
ロータリスウェージ
ング
2個以上の半径方向に動く工具又は金型によって,ビレッ
ト,棒,管などの断面積を狭めたり,形を変えたりする鍛
造方法。
備考 ラジアルフォージングともいう。
radial forging,
rotary swaging
1017
アプセッタ鍛造
アプセッタによる棒材の据込み及び押出し鍛造
upsetting
3
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1018
押出し鍛造
金型内に挿入した材料を加圧し,金型の穴又はすきまか
ら,材料の一部を押出しすることによって成形する方法。
備考 一般には押出しと呼ぶが,長尺材を作る一次押
出しと区別する際には,押出し鍛造という。
押出しは,材料の加圧方向に対する材料の流
出方向によって,前方押出し鍛造,後方押出し
鍛造及び側方押出し鍛造に区別され,これらの
幾つかが同時に行われる作業を組合せ押出し鍛
造という。
また,鍛造品の形状によって,中実軸押出し
鍛造,中空軸押出し鍛造,容器押出し鍛造に区
別される。
extrusion
1019
多ラム鍛造
3本以上の別方向に別々に動くラムがある鍛造機によっ
て,同時又は順次に,材料を加圧して行う鍛造(付図6参
照)。
multi-ram forging
1020
揺動鍛造
一方の金型の中心軸が,相手の金型の中心軸に対して揺れ
回りながら,材料を局部的に軸方向に圧縮,成形していく
鍛造(付図7参照)。
備考 この揺れ回る軌道が円の場合には,回転鍛造と
もいう。
orbital forging,
rocking die forging
1021
RR鍛造
(あーるあーる−)
左右対称に分かれた上部,下部の金型が移動台内にセット
され,材料に力が加わるときに,移動台のテーパ部の移動
機構によって,据込みと曲げとを同時に行ことができるよ
うになっていて,大形クランク軸状の鍛造品を製造するた
めの鍛造(付図8参照)。
RR forging
1022
TR鍛造
(てぃーあーる−)
上部金型が左右対称に分かれ,材料に力が加わるときに,
リンク機構によって,据込みと曲げとを同時に行うように
なっていて,大形クランク軸状の鍛造品を製造するための
鍛造(付図9参照)。
TR forging
1023
ヘッディング
棒材又は管材の端部を据え込んで,横断面積の大きい頭部
を成形する鍛造。
heading
1024
圧造
ねじ,リベットなどを,プレス機械に取り付けた金型によ
って成形する鍛造。
1025
ダイホビング
ダイブロック素材に,バンチを押し込んで,必要とするイ
ンプレッションを成形する方法。
die hobbing
1026
転造
円柱状,円管状又は円板状の材料を,その中心軸の周りに
回転させて,それと回転運動する工具との局部的な接触で
生じる表面層の繰返し塑性変形によって,徐々に目的とす
る形状を形成していく加工法。
備考 製品の種類によって,ねじ転造,歯車転造など
という。
form rolling
1027
精密鍛造
組立て前の仕上げ加工が不要か,又は仕上げ代の少ない鍛
造品を作る加工方法。
close tolerance forging,
precision forging,
near net shape forging
1028
閉そく鍛造
密閉鍛造の一種で,ビレットを金型内に閉じ込めてから,
パンチによって材料を押し,金型内空間を満たす成形方法
(付図10参照)。
備考 閉そく(塞)鍛造と表記してもよい。
core forging,
flow forging
4
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1029
密閉鍛造
最終段階で,材料のほぼ全表面が型表面によって拘束さ
れ,金型のすきまから材料をばりとしてはみ出させないよ
うにして行う鍛造。
closed die forging
without flash
1030
ノードラフト鍛造
アルミニウム合金の型鍛造の一種で,リブ壁の抜けこう
(勾)配を30'以下にするもの。
no-draft forging
(2) 鍛造設計
(a) 工程
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2101
鍛造性
鍛造するときの材料の加工されやすさ。
forgeability
2102
変形抵抗
材料を,所定の形状に,永久変形させるのに要する加圧方
向に直角な単位断面積当たりの力。
deformation resistance
2103
ひずみ速度
単位時間当たりの引張り,圧縮又はせん断ひずみの増分。 strain ratio
2104
冷間圧造性
冷間圧造するときの材料の加工しやすさ(JIS G 0203参
照)。
cold headability
2105
鍛造方案
材料から鍛造品を作るまでに必要な変形工程及び形状の
詳細な計画。
forging process design
2106
体積配分
断面積が軸に沿って大きく変化する鍛造品を作る際に,過
大なばり又は欠肉の発生を防ぐために,その軸の各部分が
分有する体積に合わせるように,材料軸の各部分の断面積
を,あらかじめ変化させる成形工程。
volume distribution
2107
断面減少率
成形の大きさを表す尺度の一つで,押出し,伸ばしなどを
行う材料の成形前の断面積をA0,成形後の断面積をAとす
るとき,
0
0
A
A
A−×100として算出される百分率。
reduction in area
2108
高さ減少率
成形の大きさを表す尺度の一つで,広げ,伸ばし,据込み
などを行う材料部分の加工前の高さをH0,加工終了時の高
さをHとするとき,
0
0
H
H
H−×100によって算出される百分
率。
reduction in height
2109
据込み比
据込み座屈の起こりやすさを評価する尺度で,据込みを行
う材料部分の加工前の高さをH0,直径をD0とするとき,00
D
H
によって与えられる比。
upsetting ratio
2110
押出し比
押出し加工の程度を表す指標で,押出し前の断面積をA0,
後の断面積をAとするとき,A
A0によって与えられる比。
extrusion ratio
2111
鍛錬成形比
鍛錬効果を表す尺度の一つで,3方向の主ひずみ中,常に
最大ひずみの方向における鍛造前/後又は後/前の長さ
の比(1より大きくなるように取る。)。
備考 JIS G 0701参照。
forging ratio
2112
型打ち面積
型鍛造の際,鍛造荷重が分布される面積。通常は,インプ
レッションにばり道を加え,それを鍛造方向に垂直な面に
投影してできる面積。
projected area
2113
型打ち荷重
型鍛造を行うために必要な力。
forging load
2114
型打ち偏心荷重
合力が,スライド又はラムの中心から,外れて作用するよ
うな型打ち荷重(JIS B 0111参照)。
eccentric load
2115
理論的荒地
(りろんてきあらじ)
実際の荒地の軸に平行な面への投影形状を求めるために,
断面積線図を基にして,各部の断面と等しい円形断面の直
径を,材料中心軸に直角に両側に等しく振り分けて取り,
その頂点を結んだ線の形状(付図11参照)。
theoretical preform
2116
荒地
荒成形した材料。
preform
5
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2117
焼減り
鍛造前の加熱又は鍛造後の熱処理によって表面に生じた
スケールのために,鍛造品の質量が減少すること。
また,スケールが,鍛造,ショットブラストなどによっ
て除去されるために,減少する質量。
scale loss
2118
つかみ代
鍛造の際,材料をつかむために設けた鍛造品本体以外の材
料部分。
tong hold
2119
材料歩留り
ばりを含まない鍛造品の質量 (M) が,それを作るために
投入した材料の重量 (M0) に占める割合で,M
M0×100とし
て算出される百分率。
stock utilization
(b) 鍛造品
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2201
鍛造図
鍛造品の形状を投影図法で示すと同時に,要求品質を記入
した図面。
forging drawing
2202
断面積線図
体積配分に利用するために,ばりが付いている仕上げ鍛造
品又は荒地について,その軸上の各点における断面積を縦
座標に,軸上の基点からその各点までの距離を横座標に取
り,グラフに描いたもの(付図11参照)。
cross section diagram
2203
抜けこう配
型鍛造における材料流れ及び型打ち直後の鍛造品の金型
からの取出しを容易にするため,鍛造品の側面を鍛造方向
に対して傾けているこう配。
備考1. 抜けこう(勾)配と表記してもよい。
2. 鍛造品に抜けこう配を与えるために,金型イ
ンプレッションの側面に与える傾きも,抜け
こう配という。
draft angle
2204
丸み半径
鍛造品又は金型の角部半径及び隅部半径。
corner and fillet radii
2205
ウェブ
鍛造品の型割り面に平行で,比較的薄い部位。一般に,リ
ブとリブ,ボスとボス又はリブとボスとの間のつなぎにな
る。
web
2206
リブ
鍛造品の型割り面に直角に突出する薄い部分。
rib
2207
形状複雑度
ハンマ及びプレス加工における鍛造品の複雑度を表す尺
度。次式で計算されるSnで表す。
Sn=
量(又は体積)
全体の形状に対する質
積)
鍛造品の質量(又は体
ここに,全体の形状に対する質量(又は体積)とは,鍛
造品を内包する最小体積の直方体又は円柱体の質量(又は
体積)をいう。
備考 JIS B 0415参照。
complexity of shape
2208
黒皮
鍛造したままの鍛造品の肌で,通常はスケールを取り除い
た状態のもの。
surface as forged
2209
ばり
鍛造の際,過大荷重,欠肉の防止などのため,金型のすき
まからはみ出させる薄い材料部分(付図12参照)。
flash
2210
ばり厚
(−あつ)
型鍛造品又は荒地に付いているばりのばり道部分の厚さ
(付図12参照)。
flash thickness
2211
取り代
鍛造品において,切削又は研削によって除去する部分の厚
さ。
machining allowance
2212
鍛流線
始めの材料の長さ方向の繊維組織が,鍛造によって曲げら
れた模様。鍛造中の材料の流れ及び鍛造品のじん(靱)性
の推定に用いられる。
grain flow
6
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2213
座屈
長柱材又は板材において,高さ方向の圧縮荷重がある値に
達すると,圧縮されずに曲がって倒れてしまう現象。
buckling
2214
加工硬化
材料が加工されることによって,硬さが上昇する現象。
work hardening
2215
残留応力
鍛造,圧延などの塑性加工若しくは切削,又は熱処理によ
って,金属材料内に不均一なひずみが起こることのため
に,加工などの後に残る応力。
備考 JIS G 0201参照。
residual stress
(c) 金型の設計
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2301
型割り線
型鍛造品の鍛造図上で,一組の金型が互いに合わさる面を
示す線。
parting line
2302
マッチライン
金型において,彫込み部の心出し及び配置を行うための基
準とする互いに直交する2側面(付図13参照)。
match line,
matched edge
2303
型彫り面
金型のインプレッションを彫り込む面,又はインプレッシ
ョンが彫り込まれた面(付図13参照)。
die face
2304
インプレッション
鍛造品を成形するために,金型に彫り込まれた部分。一般
に,ばり道,ばりだまりを除く。
備考 彫込みともいう。
impression
2305
型当たり面
一対の金型の型彫り面上の彫込みがない部分で,打撃時に
閉じて接触する面(付図13参照)。
備考 当たり面,打撃面ともいう。
die face
2306
ばり道
仕上げ型又は荒地型のインプレッションの周りに,ばりを
逃がすために,すきまを設けた面(付図13,14参照)。
flash land
2307
ばりだまり
ばり道を通ってはみ出したばりのたまり場所(付図13,14
参照)。
gutter
2308
いんろう
型ずれを防止するために,対になっている金型のそれぞれ
に設けられた凹凸。
counter lock
2309
カットオフ,
カットオフ型
カットオフ作業を行う刃型(付図13参照)。
備考 6034参照。
cutoff,
cutter
2310
伸び尺
熱間鍛造において,冷却後の鍛造品を規定寸法に収めるた
めに,熱収縮を見越して,伸ばして目盛った型彫り用の寸
法又は物指し。
shrink scale
2311
型寿命
製作した金型が,摩耗又は破損のため,そのままでは使え
なくなるまでの間に型打ちできる鍛造品の数量。
die life
2312
CAD
(きゃど)
コンピュータを使って,グラフィックディスプレーを介す
る対話形式を通して,型設計を行うシステム。
備考 JIS B 3000参照。
computer-aided design
2313
CAM
(きゃむ)
CADで設計した図面に従って必要なデータをそろえ,実際
の型加工までを,コンピュータを使って自動的に行うシス
テム。
備考 JIS B 3000参照。
computer-aided
manufacturing
(3) 鋳造用材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3001
連続鋳造鋼材
溶湯を鋳型で連続的に鋳造し,表層が凝固した鋳鋼を連続
的に引き出して生産された鋼材。
continuous cating steel
bars
3002
冷間圧造用炭素鋼線
材
冷間圧造炭素鋼線の製造に用いられる炭素鋼線材。炭素
0.53%以下及びマンガン1.65%以下を含有し,脱酸の方法に
よって,リムド鋼,キルド鋼,アルミキルド鋼などがある
(JIS G 3507参照)。
carbon steel wire rods for
cold heading and cold
forging
7
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3003
非調質鋼材
熱間鍛造のままで十分な強度が得られる鋼材。鋼に析出強
化をもたらす元素を,微量添加する。添加元素として,Ti,
Nb,Vが代表的である。
micro alloying steel
3004
ボロン鋼材
ボロンを添加することによって,焼入れ性を高めた鋼材。
ボロンの添加によって,Ni-Cr鋼に近い焼入れ性が得られ
る。
Boron steel bars
3005
球状化焼なまし材
冷間加工性,被削性又は機械的性質を改善する目的で,鉄
鋼中の炭化物を球状化する焼なましを行った鋼材(JIS G
0201参照)。
spheroidize-annealed
steel bars
3006
磨き棒鋼
鋼材を,冷間引抜き,研削,切削又はこれらの組合せによ
って仕上げた棒鋼。断面の形状は,円形,正方形,六角形
などである。
備考 JIS G 0203参照。
cold finished steel bars
3007
精密圧延鋼材
高性能な圧延機に鋼材を通して,鋼材径の寸法精度を上げ
た鋼材。
precision rolled steel
bars
3008
ビレット
断面が円形の鋼片,又は断面がほぼ正方形で,通常,一辺
の長さが130mm以下の鋼片。鍛造用として,適寸に切断
した材料。
備考 JIS G 0203参照。
billets
(4) 金型及び工具
(a) 金型
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4101
金型
これを材料に押し付けて成形をするために,その表面が,
鍛造品の寸法,形状に合うような形状をした強固な金属
体。上下若しくは水平方向に一対の金型又はパンチとダイ
とによって構成される。
備考 ダイともいう(4102参照)。
die
4102
ダイ
(1) 成形中の材料を取り囲んで,荷重を受け止め,外側の
寸法・形状を成形する金型部品。
備考 パンチと対になる用語。
(2) 金型 (4101) と同義。
die
4103
つぶし型
荒打ちの前工程として,主として据込みを行う金型
buster ;
upset die
4104
曲げ型
曲げ加工を行う金型(付図13参照)。
bender,
upset die
4105
荒地型
荒地を作る金型(付図13参照)。
備考 荒打ち型又は荒型ともいう。
blocker,
rougher,
blocking impression
4106
仕上げ型
仕上打ち用の金型(付図13参照)。
finisher,
finishing impression
4107
多数個打ち型
2個以上の鍛造品を同時に成形するための金型。
multiple forging die
4108
コンテナ
成形中の材料を取り囲んで,外側の最初の寸法・形状を保
持させるための主として中空円筒状の金型部品。
備考 パンチと対になる用語。
container
4109
母型
(ぼがた)
入子型をはめ込む本体の金型。
master block ,
mother die
4110
入子型
(いれこがた)
母型の中にはめ込んで使用する部分的金型。固定式と可動
式とがある。
備考 入子ともいう。
insert die
8
B 0112-1994
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
4111
締りばめ型
補強リングによって強度を高められた金型。
shrink fit die
4112
セグメント
フォージングロールに取り付け,材料を伸ばすために,く
ぼみの形状が彫り込まれている三日月形の分割金型。
segment
4113
ダイセット
一対の金型の相対位置精度を確保するために,両金型取付
けジグを,ポスト,ガイドブッシュなどで,連絡,案内し
た装置。
備考 JIS B 5013参照。
die set
4114
ダイブロック
インプレッションを彫り込むための直角六面体又は直円
体のダイ素材。
備考 JIS B 6470及びJIS B 6471参照。
die block
4115
補強リング
金型の強度を高めるため,金型を周囲から締め付けるため
に用いるリング。
support ring
4116
ランド
成形の際,材料を金型外に流出させるための平行なすきま
を形作る型面部分(付図15参照)。
備考 ばり道もランドの一種。
land
4117
シャンク
金型を鍛造機に取り付けるために,金型の型彫り面の反対
側に設けた取付け部(付図13参照)。
shank,
dovetail
4118
ダウエル
金型を鍛造機へ取り付ける際に,鍛造機と金型との心出し
及び位置決めに用いるこま(駒)(付図16参照)。
備考 こま又は合こまともいう。
dowel
4119
ダウエルホール
ダウエルをはめ込むために,金型シャンク及び鍛造機に設
けた切欠き(付図13参照)。
備考 こま(駒)穴ともいう。
dowel hole
4120
エジェクタ
鍛造品を金型から突き出す装置。
備考 ノックアウトともいう。
ejector,
knockout
4121
はし口逃げ
材料をはしでつかんで加工する際に,はしが当たらないよ
うに設けた金型の開放部(付図13参照)。
gate
4122
つり穴
金型の側面などに設けたフック棒の挿入穴。
hole for hook bar
4123
コッタ
金型をプレス機械に固定するためのくさび状の金具。
cotter
4124
ガイドポスト
ダイセットに用いる案内棒。
guide post
4125
ダイホルダ
プレス機械などに単型又は数工程の金型を取り付けるた
めのジグ。
備考 ボルスタともいう。
die holder,
bolster
4126
ハードプレート
金型から受ける圧力を分散させて金型取付けジグに伝え
るため,両者の間に挿入する高強度金属板。
備考 受圧板ともいう。
pressure pad
4127
アプセッタ型
アプセッタ用の金型。一対のグリップダイとパンチとで構
成される。
upsetting die,
upsetting tool
4128
シャーウェーブ
ばり抜き荷重を減らすために,抜き型用ダイの切刃を波形
にした部分。
shear wave,
shear angle
4129
抜き型
型鍛造品の内周又は外周にできたばりを,せん(剪)断に
よって取り除くために使用する金型。雌型と雄型とで構成
される。
trimming die
4130
単型
仕上げ形状だけを彫り込んだ金型。
single impression die
4131
複式型
型彫り面に,せぎり,ロール,曲げ,荒地,仕上げ,カッ
トオフなど,複数インプレッションを彫り込み,一回の加
熱で仕上打ちまでを行う金型。
備考 ワンヒート型ともいう。
multiple impression die
9
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4132
パンチ
鍛造の際,コンテナ穴又は材料内部に入り込み,荷重を与
える金型部品の総称。抜き型パンチ,アプセッタパンチ,
穴あけパンチ,押出しパンチなどがある。
備考1. コンテナ又はダイと対になる用語。
2. ポンチともいう。
punch
4133
カウンタパンチ
前進するパンチに向かい合わせて置かれ,成形に携わる
が,成形後は,エジェクタとして駆動されるパンチ。
備考 受け型ともいう。
counter punch
4134
パンチホルダ
プレス又はアプセッタのパンチを取り付けるジグ。
備考 ポンチホルダともいう。
punch holder
(b) 自由鍛造用工具
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4201
工具
主に自由鍛造において,種々の作業(加工,ハンドリング
など)を,効果的に行うための器具及び道具類の総称。
tool
4202
開放型
側面の材料流動をあまり拘束することなく,圧縮加工する
ための上下一組の型。
open die
4203
台
材料の上下に直接当てて用いる比較的重量が大きな鉄鋼
製の工具の総称。
anvil
4204
穴抜き台
材料に穴をあけるために用いるもので,中心に穴があいて
いて,丸,角などの形をした台。
punching block
4205
やげん台
主に材料に角度を付けるために用いるもので,面がV字形
に折れ込んで傾斜している台(付図17参照)。
V-block
4206
はちのす
主に小物の鍛造に用いるいろいろな加工ができる台で,平
台の周囲及び中央部に,切込み,丸・角の穴がある台(付
図18参照)。
swage block
4207
金敷
主に鍛造機に直接固定して用いる工具の総称。
die,
anvil
4208
回転金敷
材料の幅出し,円板の鍛造などに用いる回転しながら鍛造
できる金敷。
rotary die
4209
移動金敷
鍛造中に縦及び横方向に自動的に移動できる金敷。
movable die
4210
たがね
材料の切断又はせぎりに用いる工具の総称。形状又は用途
によって区分し,各種のたがねがある。
chisel
4211
落し
材料を切断するときに用いるたがね。丸棒落し,平板落し
などがある。
snap
4212
へし
材料を一度に,伸ばしたり,据え込んだりすることができ
ないとき,材料にあてがって,部分的に成形するための工
具の総称。表面のならし,肉出し,伸ばし,広げ,こう(勾)
配付けなどに用いるが,曲げ加工のときにも,当てものと
して用いることがある。
flatter
4213
せぎり
材料の一部に段付けをするとき,前もって,その段差とな
る所に切込みを入れる工具の総称。せぎりの形状によっ
て,せぎり断面が異なる。
備考 6013参照。
necking tool
4214
タップ
材料に当てがって,主に丸い部分を作るために用いる工具
の総称。ばね付きの一体型,分割型(柄付き,固定式)な
どがあり,上下一対で用い,間に挟んだ材料を回しながら
成形することが多い。
tup
10
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4215
円すいタップ
円すい形の部分を作るときに用いるタップ(付図19参照)。
備考1. 円すい(錐)タップと表記してもよい。
2. こう(勾)配タップともいう。
4216
心金
リング又は円筒状の鍛造品を作るときに,その始めの形の
穴の中に入れて材料を支え,成形する棒状,円柱状などの
工具。穴広げ,中空鍛錬,中空軸押出し鍛造,内径の仕上
げなどに用いる。
mandrel
4217
はし
材料,器具及び道具類をつかむために用いる工具の総称。
先端の形によって区分し,各種のはし名がある。
tong
4218
角はし
主に角材を軸方向につかむために用いるもので,先端がア
ングルの形をしたはし(付図20参照)。
square tong
4219
ふたまた
材料又は鍛造品を持ち運びするホーク状の棒(付図21参
照)。
fork
4220
てこ棒
(1) 重い材料又は鍛造品を,金敷の上などで,前後進又は
回転を容易にするための鋼棒。支点をチェーンでつっ
た天びん式のものもある。
(2) 材料の回転を容易にするため,はしの柄の間に差し込
む木製の棒(付図22参照)。
備考 バール,レバーともいう。
lever
4221
はし輪
はしの柄部が開かないように,柄にはめ込む輪(付図23
参照)。
4222
ポーターバー
大物又は鋼塊からの鍛造の際に,材料の端を,その凹部に
差し込んで,保持するはし。一般に,ターニングチェーン
(5403参照)と組み合わせて使用する。
portating bar
4223
印棒
(しるしぼう)
材料を切断したり,せぎったりする際に,その部分にあら
かじめ印を付けて,位置決めをするときに用いる細い丸
棒。
locating bar
4224
デレッキ
鉄棒の先をL字状に曲げたもので,主に加熱する材料の炉
の出し入れに用いる工具(付図24参照)。
(5) 設備
(a) 切断機
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5101
ビレットシャー
一対の刃によって,棒材にせん断力を作用させ,ビレット
とする所定の長さに切断する機械。
billet shear
5102
のこ盤
のこ歯によって,棒材を所定の長さに切断する機械。
sawing machine
5103
ガス切断装置
高圧,高温の燃焼ガスによって,材料を溶断する装置。
gas cutting device
5104
端材処理装置
(はざい−)
材料切断機で所定の長さを得ることのできない棒材の端
部を,区別して処理する装置。
treating apparatus for
discard
(b) 加熱炉
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5201
燃焼加熱炉
重油,灯油,ガスなどを燃料として,鍛造用材料を加熱す
る炉の総称。燃料の種類,炉の形状,材料の搬送方法など
によって,種々の呼び方がある。
furnace
5202
セラミックチューブ
炉
材料はセラミックチューブの中を通る構造になっており,
火力は開口部のほとんどない炉内を循環するため,熱効率
が良くなっている炉。
ceramic tube furnace
5203
誘導電気加熱炉
電磁コイル内に入れた鍛造用材料を,電磁誘導によって材
料内に発生する渦電流が発生させる熱によって,加熱する
炉。
induction heater
11
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5204
無酸化加熱炉
品物が酸化しないように,不活性ガスなどの雰囲気中で加
熱する炉。
anti-oxidation heater
(c) 鍛造機
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5301
エアハンマ
圧縮空気をハンマシリンダの上下に供給して,ラムを上下
運動させるハンマで,自由鍛造に適した機構を備えたも
の。フレームの構造によって,片フレーム式,両フレーム
式のほか,圧縮機を内蔵するものがある。
air hammer,
pneumatic hammer
5302
エアドロップハンマ
圧縮空気をハンマシリンダの上下に供給して,ラムを上下
運動させるハンマで,型鍛造に適した機構を備えたもの。
air drop hammer
5303
エアリフトドロップ
ハンマ
ラムを引き上げるときだけ,ハンマシリンダ下部に圧縮空
気を送り,ラムを下げるときは,自由落下させるハンマ。
air lift drop hammer
5304
ドロツプハンマ
ラムが下降するときの運動エネルギーによって鍛造成形
を行うハンマ。エア式,ボード式などがある。
drop hammer
5305
ボードドロツプハン
マ
回転する一対のローラで,ラムに連結された板を挟んでつ
り上げ,所定の高さに達したとき,ローラを開いて,ラム
を自由落下させるハンマ。
board drop hammer
5306
ベルトハンマ
ベルトによって,上型を持ち上げ,下型へ自由落下させて
鍛造するハンマ。
belt hammer
5307
カウンタブローハン
マ
上部ラムの下降に連動して,下部ラムが上昇し,中央の位
置で,上下の金型が相打ちする機構のハンマ。
counter blow hammer
5308
機械プレス
スライドを,クランク,エキセン,ナックル,リンク,カ
ムなどの機構によって駆動するプレスの総称(JIS B 0111
参照)。
mechanical press
5309
クランクプレス
クランク機構によってスライドを駆動するプレス(JIS B
0111参照)。
crank press
5310
エキセンプレス
偏心軸を回転させる機構によってスライドを駆動するプ
レス。
eccentric press
5311
ナックルプレス
ナックルジョイントによってスライドを駆動するプレス。 knuckle joint press
5312
トランスファプレス
トランスファ送り装置を内蔵した機械プレス(JIS B 0111
参照)。
transfer press
5313
スクリュープレス
ねじ機構によって1個のスライドを駆動するプレス(JIS B
0111参照)。
screw press
5314
摩擦プレス
摩擦力とねじ機構とによってスライドを駆動するプレス
(JIS B 0111参照)。
friction screw press
5315
ビンセント型摩擦プ
レス
円すい(錐)形の摩擦車によって駆動し,下型が上下運動
する単動の摩擦プレス。
Vincent friction press
5316
液圧プレス
液圧によって駆動するプレスの総称(JIS B 0111参照)。
hydraulic press
5317
レバープレス
レバー機構によってスライドを駆動するプレス。
lever press
5318
リンクプレス
リンク機構によってスライドを駆動するプレス。
link press
5319
複動プレス
別個に作動するインナー及びアウターの2個のスライドを
もつプレス。
double action press
5320
アプセッタ
材料のグリップ機構と据込み機構とを備えた複動機械プ
レス。
備考 JIS B 0111参照。
upset forging machine,
upsetter
5321
電気アプセッタ
丸棒の端の大きな体積部分をヘッディングするために,棒
端を通電加熱し,これを平らな金敷又は金型に押し付ける
液圧又は空気圧プレス。
electric upsetter
12
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5322
フォージングロール
ロール鍛造を行うための鍛造機。
forging roll,
reduce roll
5323
クロスロール
クロスローリングを行うための鍛造機。
cross roll
5324
リングロールミル
リングローリングを行うための鍛造機。
ring rolling mill
5325
スウェージングマシ
ン
棒又は管状の材料を,軸の周りに回転させながら,複数個
のタップによって,高速度で半径方向に打撃して,断面を
縮小する鍛造機。
swaging machine
5326
ヘッダ
長尺材料から,軸の一端が単純な頭部形状をした鍛造品
を,大量生産するために,材料の切断及び1〜数工程の据
込みを主とした鍛造を行う横形自動鍛造機。
header
5327
フォーマ
長尺材料から,長さの比較的短い鍛造品を,大量生産する
ために,材料切断及び多段据込み成形を行うトランスファ
式自動鍛造機。
former
5328
ツイスタ
ツイスタ加工を行うための加工機。
twister
(d) 附帯設備
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5401
デスケーラ
加熱によって生じたスケール(酸化鉄皮膜)を,鍛造する
前に除去する装置。高圧水噴射式,ワイヤホイール式など
がある。
descaler
5402
マニプレータ
材料をつかみ,上げ,下げ,前進,後退,回転などの操作
を行う機械。
manipulator
5403
ターニングチェーン
自由鍛造で,大物材料の移動,回転を行うチェーン装置。 turning chain
5404
迅速型交換装置
金型及び付属品をダイセットに装着し,ダイセットごと型
変換をして,鍛造の型交換時間を短縮する装置。
quick die changer
5405
アンローダ
成形した鍛造品を鍛造機械の外に取り出す装置。
unloader
5406
パーツフィーダ
二次加工用の部品送り装置の総称で,狭義には振動式送り
装置。
備考 JIS B 3000参照。
parts feeder
5407
重量選別機
ビレット又は製品を重量によって選別する装置。
weight checker
(e) 前後処理設備
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5501
ショットブラスト機
遠心力又は空気の圧力で,ショット(鋼粒)を成形品に投
射して,鍛造肌を清浄にする装置。
shotblast
5502
ショットピーニング
機
遠心力又は空気の圧力で,ショット(鋼粒)を鍛造品に投
射して,表面を加工硬化させる機械。
shot peening machine
5503
ひずみ矯正機
材料,鍛造品などに生じている曲がり及びねじれを矯正す
る機械
straightening machine
5504
酸洗い装置
酸類の溶液で金属面を清浄にする装置。表面きず検査,り
ん(燐)酸塩皮膜処理の前処理に使用する。
pickling device
5505
りん酸塩皮膜処理装
置
鋼,アルミニウム及びその合金などの表面に,型鍛造の潤
滑又は塗装下地として,りん酸塩の皮膜を付着させる装
置。
備考 りん(燐)酸塩皮膜処理装置と表記してもよい。
phosphate coating device
5506
しゅう酸塩皮膜処理
装置
ステンレス鋼表面に,型鍛造の潤滑下地として,しゅう酸
塩皮膜を付着させる装置。
備考 しゅう(蓚)酸塩皮膜処理装置と表記してもよ
い。
oxalate coating device
13
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(6) 鍛造作業及び関連作業
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6001
シャーリング
一組の刃の間で,せん断力を加えて行う材料の切断。
備考 棒状材料に対しては,ビレットシャーを用い,
クロッピングともいう。
shearing,
cropping
6002
鍛造温度
鍛造中の材料の温度。
forging temperature
6003
成形
材料を所定の形状に永久変形させるために行う加工。
forming
6004
鍛錬
材料組織の微細化,均一化を図り,材料のじん(靱)性を
向上させることを主目的とした熱間自由鍛造作業。
forging
6005
実体鍛錬
中実材を鍛錬し,その横断面積を減少させ,長さを増す鍛
錬作業。
備考 JIS G 0701参照。
solid forging
6006
中空鍛錬
中空材の穴に心金を入れて,金敷の上で半径方向から打撃
し,軸方向に伸ばす鍛錬作業。
備考 JIS G 0701参照。
hollow forging,
mandrel forging
6007
据込み鍛錬
中実材を据込み,その断面積を増し,長さを減少させる鍛
錬作業。
備考 JIS G 0701参照。
upset forging
6008
展伸鍛錬
中実体角材を1方向から圧縮し,圧縮方向に直角な2方向
の変形度に差を生じさせるような鍛錬作業。
備考 JIS G 0701参照。
drawing,
cogging,
swaging,
flat forging
6009
穴広げ鍛錬作業
穴あけした中空材を,心金と工具との間で肉厚を減じ,中
空部を拡大させる作業。
備考 JIS G 0701参照。
expand forging
6010
わん口取り
(−ぐちどり)
インゴットの押湯部を,マニプレータで扱いやすいように
丸く成形する作業。
備考1. わん(椀)口取りと表記してもよい。
2. 輪口取りともいう。
tong hold forging
6011
つぶし
荒打ちの前工程で,主として据込みを行う作業。
upset
6012
据込み
材料の軸方向の全体又はある区間を,軸方向に圧縮する鍛
造作業。
備考 軸の一端を据え込むときはヘッディグという。
upsetting
6013
せぎり
工具及び金型を用いて,長軸の材料の体積配分のために,
横方向に溝付けをする鍛造作業。
備考 4213参照。
necking
6014
伸ばし
工具及び金型を用いて,材料のある部分を軸に直角方向か
ら圧することによって,その部分の長さを増加させる鍛造
作業。
備考 鍛伸ともいう。
stretching,
draw out,
drawing down,
swaging
6015
ギャザリング
長軸材料の特定部分の横断面積を増加させるために,工具
及び金型を用いて,周囲から肉を寄せる作業。
gathering
6016
曲げ
平面的に鍛造してきた材料を,最終製品形状に適合するよ
うに曲げる作業。
bending
6017
ねじり
鍛造してきた材料を,最終製品形状に適合するようにねじ
る作業。
twisting
6018
広げ
材料の厚み又は直径を,工具及び金型を用いて減少させ,
より偏平な板状にする鍛造作業。
spreading
6019
丸め
工具,金型,金敷などを用いて,材料を軸の周りに回転さ
せながら,断面を変化させる鍛造作業。
備考 ローリングともいう。
rolling
14
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6020
穴あけ
材料の一部に穴をあける鍛造作業。
punching,
piercing
6021
自由押出し
押し出される棒状又は管状の材料の側面を,コンテナで拘
束することなしに行う軽度の押出し鍛造。
open die extrusion
6022
型入れ鍛造
金敷の上に金型を置き,これに材料を入れて行う鍛造作
業。
die forging
6023
型打ち
型鍛造の作業。
closed die forging
6024
荒打ち
荒地型での型打ち作業。
preforming,
blocking
6025
荒地取り
仕上打ちに先立ち,自由鍛造,ロール鍛造などによって,
あらかじめ荒地を作る作業。
preforging
6026
荒押し
インゴットを鍛造する際,最初に,丸形,角形などに成形
する作業。
preforging,
initial reduction
6027
荒成形
仕上打ち前に行う予備成形作業の総称。
preforming
6028
仕上打ち
荒地を鍛造品として仕上げる鍛造作業。
finish forging
6029
ワンヒート
材料を鍛造品として成形し終わるまでに,1回だけの材料
加熱で済ませる熱間鍛造作業。
備考 一焼(ひとやき)鍛造ともいう。
one heat forging
6030
ツーヒート
材料を鍛造品として成形し終わるまでに,2回の材料加熱
を必要とする熱間鍛造作業。
なお,作業工程などの都合で,3回焼き,4回焼き鍛造な
どが行われることもある。
備考 二焼(ふたやき)鍛造ともいう。
twice heat forging
6031
肉流れ
変形中の材料移動の状況。
material flow
6032
肉上がり
金型内の狭い部分に材料の入り込む程度。
metal filling
6033
ばり抜き
型鍛造で生じたばりを,鍛造品から切り離す作業。
trimming
6034
カットオフ
仕上打ちの終わった成形品を,一体となっている他の成形
品又は材料から切り離す作業。
備考 2309参照。
cut off
6035
ツイスタ加工
材料にねじりを与えるため,特別の加工機によって行う加
工。
twist forging
6036
コイニング
表面を平滑にしたり,厚さを精密に出したり,低い凹凸を
付けたりするために,型を押し付けて行う軽度の鍛造作
業。
coining
6037
矯正
鍛造品を規定寸法内に収めるため,主に,曲げ,ねじり,
肉厚調整などを行う再度の成形作業。
sizing
6038
ばりすり
ばり抜き作業の後,鍛造品に残ったばりを,空気グライン
ダなどで削り取る作業。
snagging
6039
型予熱
鍛造作業に入る前に,金型を適当な温度に予熱する作業。 die preheating
6040
段取り
生産していた製品を異種の製品に変更するために行う金
型の準備及び後始末作業。
die change
6041
型合せ
鍛造機に一組の金型を固定する際,互いに位置のずれ及び
傾きの生じないように,正しく取り付ける作業。
die matching
6042
胴突き
ハンマに金型を固定するために,天井などからつり下げた
しゅ(撞)木を使用して,キーを打ち込む作業。
備考 しゅ木そのもののこともいう。
key driving,
key driver
6043
型離れ
成形後の鍛造品と型との離れ具合。
die releasing
6044
くっつき
材料が,成形後,金型に付着して取り出せないこと。
sticking
6045
潤滑
金型面と加工中の材料との滑りを良くするために物質を
与えること。
lubrication
15
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6046
スケール吹き
鍛造作業で材料から脱落したスケールを,圧縮空気などで
吹き飛ばし,鍛造品の肌又は金型内面を傷めないためにす
る清掃作業。
scale blowing
6047
金焼き
材料の加熱を担当する者。
heater
6048
横座
一組の鍛造作業者を指揮する者。
boss
6049
先手
横座を補佐し,工具類の取扱い,スケール吹きなどを担当
する者。
helper
6050
型番管理
金型番号別に鍛造品を管理すること。
6051
鍛造焼入れ
オーステナイト状態で鍛造をした後,そのまま直ちに行う
焼入れ。鍛造を安定オーステナイトで行うものと,準安定
オーステナイト状態で行うものとの2種類がある(JIS G
0201参照)。
direct quenching from
forging temperature
6052
鍛造調質
所要の機械的性質を得るために,オーステナイト状態で鍛
造をし,そのまま適当な冷却を行う操作。鍛造を安定オー
ステナイトで行うものと,準安定オーステナイト状態で行
うものとの2種類がある。
direct thermal refining
from forging
temperature
6053
鍛造自熱焼ならし
オーステナイト状態で鍛造をした後,そのまま直ちに空冷
する焼ならし。
備考 焼ならしについてはJIS G 0201参照。
direct normalizing from
forging temperature
(7) 試験及び検査
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7001
限度見本
鍛造品のスケールきず,当てきずなどのような計量的に測
定の困難な検査項目に対して,限界を取り決めたサンプ
ル。
備考 JIS Z 8101参照。
criteria sample
7002
火花試験
鋼塊,鋼片,鋼材及びその他の鋼製品をグラインダを利用
して研削し,発生する火花の特徴を観察することによっ
て,鋼種の推定又は異材の鑑別を行う試験(JIS G 0202参
照)。
spark test for steel
7003
けがき検査
鍛造品の表面に,検査寸法を,ハイトゲージなどの器具を
用いて線で引き,検査する検査方法。
layout inspection,
centering
7004
非破壊検査
鍛造品を破壊せずに,欠陥の有無,その存在位置,大きさ,
形状,分布状態などを調べる検査。磁粉探傷検査,超音波
探傷検査,渦流探傷検査などがある。
備考 非破壊試験についてはJIS G 0202参照。
nondestructive
inspection
7005
渦流探傷検査
コイルを用いて導体に時間的に変化する磁場(交番磁界)
を与え,導体に生じた渦電流が,欠陥によって変化するの
を検出する材料又は鍛造品の非破壊検査方法。
備考1. 電磁誘導探傷検査ともいう。
2. 渦流探傷試験についてはJIS G 0202参照。
eddy current inspection,
electromagnetic
inspection
7006
磁粉探傷検査
鋼鍛造品など強磁性体を磁化し,欠陥部に生じた磁極に磁
粉が付着することを利用して,表面及び表面付近の欠陥を
検出する非破壊検査方法。
備考 磁粉探傷試験についてはJIS G 0202参照。
magnetic particle
inspection
7007
超音波探傷検査
超音波を鍛造中に伝えたときに,鍛造品が示す音響的性質
を利用して,鍛造品の内部欠陥,材質などを調べる非破壊
検査法。
備考 JIS G 0202参照。
ultrasonic inspection
16
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7008
組織試験
鋼の結晶粒度,非金属介在物,地きず,偏析などを,マク
ロ及びミクロ組織を見て調べる試験。
備考 JIS G 0202参照。
macrostructure and
microstructure
examination
(8) 鍛造欠陥
番号
用語
定義
対応英語(参考)
8001
割れ
いろいろな原因によって,鍛造品に生じた裂け目の総称。 crack
8002
焼割れ
焼入れの際に,焼入れ応力によって生じた割れ。
quenching crack
8003
きっ甲割れ
鍛造品の表面に現れる比較的浅いかめの甲状の割れ。加熱
条件が不適当で,特に,銅,すずなどの不純物が,結晶粒
界に析出するために生じた割れ。
備考 きっ(亀)甲割れと表記してもよい。
crazing
8004
もみ割れ
伸ばし作業において,加工度が,材質,加熱温度に対して,
大きすぎる場合,中心部付近に沿って発生する割れ。
forging crack
8005
置割れ
鍛造又は鍛造後に焼入れ若しくは焼入れ焼戻しした鍛造
品を,大気中に放置した状態で生じた割れ。
備考 自然割れともいう。
season crack,
delayed failure
8006
急熱割れ
材料を急激に加熱する際,温度不均一によって発生した内
部応力による割れ。
rapid heating crack
8007
急冷割れ
加熱した材料を急激に冷却する際,温度不均一によって発
生した内部応力による割れ。
rapid cooling crack
8008
切断割れ
材料を切断する際,切断面上に生じた割れ。
8009
ガス切断割れ
材料をガス切断する際,急熱,急冷によって表面応力が発
生し,そのために生じた割れ。
gas cutting crack
8010
トリミング割れ
ばり抜きの際,鍛造品を切断したために生じた割れ。
8011
シェブロン割れ
冷間鍛造において,延性の低い材料を,小さな断面減少率
で前方押出しするときに,押出し材中心部に発生するくの
字形の内部割れ。
chevron crack
8012
油きず
離型材として使用した油分又はおがくずが爆発して,鍛造
品の表面に生じたきず。
8013
当てきず
鍛造品が他の製品,器具などと接触,落下などしたことに
よって,表面に生じたきず。
bruise
8014
かぶさりきず
鍛造品の表面に生じた肉のかぶさり。段落差の甚だしい異
径軸の隅肉部などに生じやすい。
overlap
8015
かじりきず
鍛造品の一部が,金型によって,かじり取られて生じたき
ず。
galling
8016
ヘアクラック
主として鋼中の水素の発生圧力などによって,偏析帯又は
介在物に沿って生じた毛状の割れ。
hair crack
8017
しわきず
鍛造品の表面に現れるしわ状のきず。
cold shut fold,
wrinkle
8018
スケールきず
鍛造品の表面にスケールが打ち込まれて生じたくぼみ。
scale defect ;
scale pit
8019
打込みきず
鍛造品の表面に異物が打ち込まれて生じたくぼみ。
8020
ロールきず
型鍛造において,丸め作業をするときに生じたきず。
rolling defect
8021
材料きず
鍛造品の表面又は内部に,材料の製造過程等で発生した欠
陥が残存したために,生じたきず。
8022
かききず
工具と材料との焼付きによって生じた鍛造品のきず。
fouling
8023
偏析きず
主として大形鍛造品において,偏析部一次晶粒界に沿って
現れる毛割れ状のきず。
segregation crack
17
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
8024
砂かみ
耐火物又はスラグが,鋼塊表層部へ融着したり,機械的に
混入することによって生じたきず。砂きずと比較して,一
般に形状は大きく,局部的に群集して存在することが多
い。
sand inclusion
8025
オーバーヒート
材料の諸性質が損傷されるほどの高温度まで,材料が過熱
されること。
over heat
8026
バーニング
過熱のため,粒界が溶け始めたり,酸化されたり,又は異
常な組織が生じるなどによって,回復不可能となった欠
陥。
burning
8027
脱炭
炭素と反応する雰囲気の中で,鉄鋼を加熱したとき,表面
から炭素が失われた現象。
備考 JIS G 0201参照。
decarburization
8028
ばり残り
ばりの抜き残り。
residual flash
8029
ばりかじり
鍛造品の本体に食い込んで,ばりが,抜かれた状態。
over trimming
8030
ばり返り
ばりが完全に切れず,その一部が折れ曲がって,鍛造品に
残った状態。
burr
8031
偏肉
鍛造品の断面の厚さの片寄り。
8032
偏心
鍛造品形状の中心の偏り。
eccentricity
8033
型ずれ
上下金型の心違いによって生じた鍛造品の食違い。
mismatch
8034
ひずみ
主として鍛造後の熱的取扱いに起因する鍛造品の所定寸
法・形状からの偏り。
distortion
8035
反り
鍛造品の表面基準面からの偏り。
備考 JIS B 0415参照。
warping
8036
ねじれ
鍛造品の基準軸に対するある部分の角度のずれ。
twist
8037
寸法不良
鍛造品の厚さ,幅,長さ,隅・角部寸法の公差外れ。
dimensional error
8038
欠肉
鍛造図面寸法に対する厚さ,太さ,丸みなどの不足。
underfill
8039
だれ
工具などを押し込むことによって生じた材料の引け。
shear drop ;
roll over
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B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表1
規格番号
規格の名称
JIS B 0111
プレス機械用語
JIS B 0415
鋼の熱間型鍛造品公差(ハンマ及びプレス加工)
JIS B 3000
FA用語
JIS B 5013
プレス型用鋳鉄製ダイセット
JIS B 6470
型鍛造ハンマ用ダイブロック
JIS B 6471
型鍛造プレス用ダイブロック
JIS G 0201
鉄鋼用語(熱処理)
JIS G 0202
鉄鋼用語(試験)
JIS G 0203
鉄鋼用語(製品及び品質)
JIS G 0701
鋼材鍛錬作業の鍛練成形比の表わし方
JIS G 3507
冷間圧造用炭素鋼線材
JIS Z 8101
品質管理用語
付図1 (1011)
付図2 (1012)
付図3 (1013)
付図4 (1014)
付図5 (1015)
付図6 (1019)
付図7 (1020)
19
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図8 (1021)
付図9 (1022)
付図10 (1028)
付図11 (2115,2202)
付図12 (2209,2210)
付図 13
付図14 (2306,2307)
付図15 (4116)
付図16 (4118)
付図17 (4205)
付図18 (4206)
付図19 (4215)
付図20 (4218)
付図21 (4219)
付図22 (4220)
付図23 (4221)
付図24 (4224)
20
B 0112-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS B 0112 改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
工 藤 英 明
東京電機大学
桐 山 和 臣
工業技術院標準部
荻 布 真十郎
通商産業省機械情報産業局
篠 崎 吉太郎
工業技術院機械技術研究所
美 農 利 雄
財団法人鍛造技術研究所
安 藤 弘 行
株式会社小松製作所
登 内 久 人
いすゞ自動車株式会社
前 田 孝 広
日産自動車株式会社
新 藤 節 夫
理研鍛造株式会社
武 田 忠 夫
図南鍛工株式会社
藤 谷 弘 樹
TDF株式会社
河 部 寿 雄
財団法人鍛造技術研究所
(事務局)
武 田 時 夫
財団法人鍛造技術研究所