B 0109-9 : 1999
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。これによってJIS B 0109-1984は廃止され,この規格,JIS B 0109-1,JIS B 0109-2,JIS
B 0109-3,JIS B 0109-4,JIS B 0109-5,JIS B 0109-6,JIS B 0109-7及びJIS B 0109-8に置き換えられる。
今回の制定では,対応する国際規格との整合化に重点を置き,対応国際規格の分類体系に合わせてJIS B
0108-1984, JIS B 0109-1984及びJIS B 0110-1984を統合・分類して往復動内燃機関用語全体を12規格によ
る構成とした。
JIS B 0109は,次に部によって構成される。
JIS B 0109-1 往復動内燃機関−要素及びシステム用語−第1部:機関構造及び外部カバー
JIS B 0109-2 往復動内燃機関−要素及びシステム用語−第2部:主要運動部品
JIS B 0109-3 往復動内燃機関−要素及びシステム用語−第3部:弁,カム及び駆動装置
JIS B 0109-4 往復動内燃機関−要素及びシステム用語−第4部:過給及び吸排気装置
JIS B 0109-5 往復動内燃機関−要素及びシステム用語−第5部:冷却装置
JIS B 0109-6 往復動内燃機関−要素及びシステム用語−第6部:潤滑装置
JIS B 0109-7 往復動内燃機関−要素及びシステム用語−第7部:調速装置
JIS B 0109-8 往復動内燃機関−要素及びシステム用語−第8部:始動装置
JIS B 0109-9 往復動内燃機関−要素及びシステム用語−第9部:制御及び監視装置
また,JIS B 0108及びJIS B 0110は,次によって構成される。
JIS B 0108-1 往復動内燃機関−用語−第1部:機関設計及び運転用語
JIS B 0108-2 往復動内燃機関−用語−第2部:機関保全用語
JIS B 0110 往復動内燃機関−特殊項目用語
B 0109-9 : 1999
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 分類 ······························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 全般用語 ························································································································ 2
5. 制御 ······························································································································ 2
6. 監視 ······························································································································ 4
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 0109-9 : 1999
往復動内燃機関
−要素及びシステム用語−
第9部:制御及び監視装置
Reciprocating internal combustion engines
−Vocabulary of components and systems−
Part 9 : Control and monitoring systems
序文 この規格は,1996年に第1版として発行されたISO 7967-9, Reciprocating internal combustion engines
−Vocabulary of components and systems−Part9 : Control and monitoring systemsを元に,対応する部分につい
ては対応国際規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規
格には規定されていない用語及びその定義を日本工業規格として追加している。
なお,この規格のうち,点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,往復動内燃機関において一般に用いる要素及びシステム用語のうち,制御及
び監視装置に関する用語について規定する。
備考 対応国際規格を,次に示す。
ISO 7967-9 : 1996, Reciprocating internal combustion engines−Vocabulary of components and systems
Part 9 : Control and monitoring systems
2. 分類 用語は,次の箇条に分類する。
4. 全般用語
5. 制御
6. 監視
3. 定義 用語及び定義は,次による。
a) 用語の番号は,対応国際規格の番号と一致している。
b) 対応英語は,対応国際規格で規定している用語と一致している。
2
B 0109-9 : 1999
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4. 全般用語
番号
用語
定義
参考
慣用語
対応英語
4.1
装置
規定された機能を実行することによって,
与えられた目的を達成するために構成され
た,個々の要素を組み合わせた装置。
system
4.2
制御
所期の目的に適合するように装置に与える
動作。
備考 この制御には,制御動作そのもの
のほかに監視及び保護機能を含
めてもよい。
control
4.3
監視
不適合な動作を検出して正しい作動を実現
するために,装置又はその一部の運転を観
察すること。制御系の一つ又は複数の変数
を測定し,その測定値と装置の規定値とを
比較する。
monitoring
5. 制御
番号
用語
定義
参考
慣用語
対応英語
5.1
制御装置
制御状態に目標値を保つため,機関及び/又
はその関連装置に制御状態の値を与える装
置。
control system
5.2
全般的な定義
general definitions
5.2.1
制御状態
制御系が,その状態を保つように設計され
た物理量又は状態。
controlled condition
5.2.2
目標値
制御系が,その状態を保つように設計され
た制御状態の値。
desired value
5.2.3
制御点
定常状態の下で,実際に保たれている制御
状態の値。
control point
5.2.4
制御点範囲
定常状態の下で,実際に制御状態が保たれ
る範囲。
range of control point
5.2.5
設定点
調節器を制御状態に保つ設定値。
備考 通常,目標値と同じ値。
set point
5.2.6
限界値
遮断機構,遮断弁などの保護装置によって
限定された制御値。
limiting value
5.2.7
限界値範囲
二段調節器又はオン・オフ調節器が動作す
る制御値範囲。
range of limiting
value
5.3
制御装置の形式
type of control system
5.3.1
手動制御装置
制御状態の値が目標値と比較され,手動で
修正動作が行われる制御装置。
manual control
system
5.3.2
自動制御装置
制御状態の値が目標値と比較され,自動で
修正動作が行われる制御装置。
automatic control
system
5.3.3
遠隔制御装置
集中管理所から,手動又は自動で修正動作
を行うことができる制御装置。例えば,船
橋から主機を制御する制御装置。
remote control system
5.3.4
速度制御装置
被制御対象(例えば,機関)及び回転速度
調節器(例えば,調速機)で構成される制
御装置。
speed control
system;
governor
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B 0109-9 : 1999
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番号
用語
定義
参考
慣用語
対応英語
5.3.5
温度制御装置
被制御対象(例えば,機関)及び温度調節
器で構成される制御装置。冷却液,潤滑油,
吸入空気などの流体の温度又は機械部品の
温度は,負荷又は環境条件に関係なく現在
の温度に保たれる。
temperature control
system
5.3.6
カスケード制御装置
一つの調節器が,他の一つ又は複数の調節
器の設定点を変更させるような制御装置。
例えば機関冷却系の複合制御装置。
cascade control
system
5.3.7
再循環制御装置
機関を通って直接再循環する機関出口の液
体の流量を,調節弁によって制御する制御
装置。
recirculating control
system
5.3.8
バイパス制御装置
機関又はクーラをバイパスして流れる液体
の流量を,調節弁によって行う制御装置。
機関出口の変数(温度,圧力,流量など)
を制御する。
bypass control system
5.3.9
圧力制御装置
被制御流体と圧力調節器とで構成される制
御装置。潤滑油,吸入空気などの流体の圧
力は,負荷又は環境条件に関係なくあらか
じめ設定された圧力に保たれる。
pressure control
system
5.3.10 比率制御装置
二つの測定変数の比を,目標値に保持する
制御装置。例えば,空気/燃料比例制御装置。
ratio control system
5.3.11 多要素制御装置
一つ以上の測定器からの信号を結合して,
調節器へ作動信号を与える制御装置。
multi-element control
system
5.3.12 サーボ制御装置
サーボ機構の作動によって,操作力を拡大
した制御装置。
servo control system
5.4
構成各部の定義
definitions of
components
5.4.1
検出部
制御状態の値を確認するために,検出及び
測定素子によって構成される機器。
measuring unit
5.4.2
補正部
制御状態を支配する物理量を調節する部品
で構成される機器。例えば,調節弁,流体
加熱器,燃料噴射ポンプの燃料調節棒など。
correcting unit
5.4.3
調節部
制御状態の値を目標値と比較し調節器の動
作によって,ずれを最小にする機器。
controlling unit;
controller
5.4.4
自力動作調節器
調節器を作動させるのに必要な力を,調節
器から直接得るような調節器。例えば,ワ
ックス型のサーモスタット弁,ばね式圧力
制御弁,単純な調速機など。
self-acting controller
5.4.5
間接動作調節器
調節器を作動させるのに必要な力を,他の
エネルギー源から得るような調節器。例え
ば,空気式サーモスタット弁,油圧形調速
機など。
indirect acting
controller
5.4.6
操作部
制御信号を受けて機械的な運動を起こす機
器。例えば,空気圧シリンダ,油圧シリン
ダ,ソレノイドなど。
actuator
5.4.7
ポジショナ
調節器の指示に対応して操作部が確実に動
作するための機器。
positioner
5.4.8
設定点調節器
手動,空気圧,減圧,電力などによって設
定点を調節する機器。
set point adjuster
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番号
用語
定義
参考
慣用語
対応英語
5.5
調節器の形式
types of controller
5.5.1
二段調節器
制御量の最大値及び最小値だけを調節する
調節器。例えば,単純な水槽の水位調節,
空気加熱サーモスタットなど。
two-step controller
5.5.2
比例動作調節器
ずれに比例した出力変化を与える連続動作
調節器。
単条件制御
装置
proportional action
controller,
one-term controller
5.5.3
積分動作調節器
出力の変化割合が,ずれに比例した,すな
わち,調節器の出力信号が,ずれの時間積
分に比例した調節器。
integral action
controller
5.5.4
微分動作調節器
出力が,ずれの変化割合に比例する調節器。
differential action
controller
5.5.5
二条件調節器
比例動作の他に,積分動作又は微分動作を
加えた調節器。
two term controller
5.5.6
三条件調節器
比例動作の他に,微分動作及び積分動作を
加えた調節器。
three term controller
6. 監視
番号
用語
定義
参考
慣用語
対応英語
6.1
監視装置
機関又はその構成部品を運転中,連続的に監
視する装置。
monitoring system
6.2
監視装置の種類
types of monitoring
system
6.2.1
性能監視
機関の性能に係わる変数の運転中の監視。
performance
monitoring
6.2.1.1 手動監視
系の運転状態の,計器の直接読み取りによる
監視。この監視は,機関の局所又は機関から
離れた場所(例えば,集中制御室など)で行
われる。
備考 得られたデータの読みは,重要な
変数に対する限界値を規定する
機関記録に記入するとよい。
manual monitoring
6.2.1.2 自動監視
系の運転状態の,計器の自動読み取りによる
監視。この監視では,多数の変数を自動的に
切替えて測定し,あらかじめ選定した変数:
最大値,最小値,平均値又は平均値からのず
れを表示することもできる。
automatic monitoring
6.2.1.3 自己監視
装置自体の監視が可能な自動監視。
備考 装置は,例えばサーモカップルの
破損,電気絶縁の劣化,診断切替
えの不調などを診断できるよう
にする。
self-monitoring
6.2.1.4 コンピュータ制御監
視
監視される変数からの信号のコンピュータ
による自動監視。
computer controlled
monitoring
5
B 0109-9 : 1999
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番号
用語
定義
参考
慣用語
対応英語
6.2.1.5 状態監視
運転変数の長期間にわたる監視。これによっ
て,状況に応じた保守計画を作成することが
できる。
備考 スペクトル分析のような信号分
析装置などを,これに含められる
こともある。
condition monitoring
6.2.1.6 機能診断
運転中の機関データによる診断。
functional diagnostic
6.2.1.7 試験診断
特別な機関実験が要求され,その結果によっ
て必要ならば機関の運転を中止して行う診
断。
test diagnostic
6.2.2
警報付監視
可視及び/又は可聴警報による監視。警報は,
監視している変数が限界値を超えたときに
発せられる。
備考 破損の状況(すなわち,運転中の
破損か,一時的な偶発事故か,現
在も続いている故障か)も,この
監視によって判断できる。
alarm monitoring
6.2.2.1 一段警報
一つの限界値によって作動する警報。
single-level alarm
6.2.2.2 二段警報
二段の限界値によって作動する警報。例え
ば,一段目で変数が警報値に達したことを警
報し,二段目で機関停止又は負荷低減を要す
る緊急事態を警報する。
two-level alarm
6.2.3
自動保護付監視
監視装置が検出した不具合情報によって,保
護機能を作動させる監視。保護機能として
は,例えば,機関の停止装置又は負荷低減装
置。
automatic protection
monitoring
6.2.3.1 機関停止
自動保護監視装置の作動によって,機関制御
装置に関係なく強制的に機関を停止させる
こと。
備考 燃料,吸気の供給を止めるか,火
花点火機関なら点火スイッチを
切るかして機関を停止する。
shut-down
6.2.3.2 手動機関停止
特に規定のない場合,自動保護監視装置によ
る機関停止を防止するための手動装置を組
み込むこと。この装置の作動中には,適当な
警告表示の必要がある。
shut-down with
manual override
6
B 0109-9 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS B 0109-9 原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長) ○ 古 林 誠 元横浜国立大学
(主査)
○ 駒 田 秀 朗 株式会社ゼクセルSE燃料噴射事業部
(幹事)
○ 桶 谷 敏 行 株式会社新潟鐵工所原動機事業部
○ 常世田 哲 郎 株式会社新潟鐵工所原動機事業部
(委員)
阿 部 静 郎 社団法人陸用内燃機関協会技術部
○ 今 井 清 日本内燃機関連合会(内燃機関国際整合化推進本委員会委員長)
○ 大 嶋 清 治 工業技術院標準部
○ 岡 山 透 財団法人日本海事協会機関部
○ 小 郷 一 郎 財団法人日本船舶標準協会標準部
鎌 田 実 東京大学工学部
○ 鈴 木 良 治 社団法人陸用内燃機関協会技術部
染 谷 常 雄 武蔵工業大学工学部
○ 橋 本 繁 晴 財団法人日本規格協会技術部
○ 本 間 清 工業技術院標準部
丸 山 倉 平 日本内燃機関連合会
○ 井 上 新 二 社団法人火力原子力発電技術協会調査局
久保田 亘 石油連盟技術環境部
古 志 秀 人 石油連盟技術環境部
今 野 勉 石油連盟技術環境部
鈴 木 教 太 電気事業連合会公務部
高 木 一 電気事業連合会公務部
○ 伊 達 真 也 三菱自動車工業株式会社トラック・バス開発本部
千 葉 広 社団法人日本船主協会海務部
保 科 幸 雄 社団法人日本内燃力発電設備協会技術部
○ 三 浦 耕 市 三菱自動車工業株式会社トラック・バス開発本部
山 脇 真 社団法人日本船主協会海務部
○ 赤 城 二 郎 コマツコンポーネント事業部
○ 明 坂 恭 典 三菱重工業株式会社横浜製作所原動機技術部
○ 糸 井 正 明 コマツコンポーネント事業部
○ 今 橋 武 株式会社ディーゼルユナイテッド
○ 岡 野 幸 雄 ダイハツディーゼル株式会社技術第一部
○ 小 島 克 己 社団法人日本自動車部品工業会技術部
斉 藤 朝 彦 阪神内燃機工業株式会社技術開発部
○ 四 方 光 夫 ヤンマーディーゼル株式会社技術研究所
○ 中 垣 彊 イズミ工業株式会社テクニカルセンター
○ 長 門 正 彦 三井造船株式会社ディーゼル事業部
○ 中 村 陽 一 川崎重工業株式会社原動機事業部
○ 花 房 真 三井造船株式会社ディーゼル事業部
○ 比 原 幸 雄 三菱重工業株式会社技術本部
○ 松 本 信 幸 株式会社ディーゼルユナイテッド
○ 森 内 敏 久 いすゞ自動車株式会社産業エンジン設計部
(関係者)
○ 中 林 賢 司 工業技術院標準部
○ 三 塚 隆 正 財団法人日本規格協会技術部
○ 川 元 満 生 株式会社新潟鐵工所原動機事業部
(事務局)
○ 青 木 千 明 日本内燃機関連合会
備考 ○印の付いている者は,分科会委員を兼ねる。