B 0109-11:2019
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
3.1 燃料供給装置 ················································································································ 2
3.2 気化器 ························································································································· 2
3.3 燃料噴射装置 ················································································································ 9
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 23
B 0109-11:2019
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本内燃機関連合会(JICEF)及び一般財団
法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本
工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによって,JIS B 0110:1999は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS B 0109の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 0109-1 第1部:機関構造及び外部カバー
JIS B 0109-2 第2部:主要運動部品
JIS B 0109-3 第3部:弁,カム及び駆動装置
JIS B 0109-4 第4部:過給及び吸排気装置
JIS B 0109-5 第5部:冷却装置
JIS B 0109-6 第6部:潤滑装置
JIS B 0109-7 第7部:調速装置
JIS B 0109-8 第8部:始動装置
JIS B 0109-9 第9部:制御及び監視装置
JIS B 0109-10 第10部:点火装置
JIS B 0109-11 第11部:燃料装置
JIS B 0109-12 第12部:排気浄化装置
日本工業規格 JIS
B 0109-11:2019
往復動内燃機関−要素及びシステム用語−
第11部:燃料装置
Reciprocating internal combustion engines-Vocabulary of components
and systems-Part 11: Fuel systems
序文
この規格は,2014年に第1版として発行されたISO 7967-11を基とし,我が国の内燃機関の燃料装置に
関する用語の使用実態と合わせるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,往復動内燃機関において,一般に用いる要素及びシステム用語のうち,燃料装置に関する
用語について規定する。
この規格では,燃料装置に関する用語を,次のように区分している。
− 燃料供給装置(3.1)
− 気化器(3.2)
− 燃料噴射装置(3.3)
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 7967-11:2014,Reciprocating internal combustion engines−Vocabulary of components and systems
−Part 11: Fuel systems(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0108-1 往復動内燃機関−用語−第1部:機関設計及び運転用語
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0108-1によるほか,次による。
注記 用語の途中に丸括弧( )を付けてあるものは,紛らわしくない場合には,丸括弧内を省略し
てもよい。
2
B 0109-11:2019
3.1
燃料供給装置
3.1.1
燃料供給装置(fuel supply system)
燃料タンクから,機関に燃料を噴射する高圧機器まで燃料を移送するための低圧の機器で構成する装置。
3.1.2
燃料供給ポンプ(fuel feed pump)
燃料タンクから,一つ又は複数のフィルタを通して,昇圧機器へ燃料を送る低圧のポンプ。
3.1.3
燃料フィルタ(fuel filter)
燃料中の異物を除去し,清浄にするフィルタ。燃料こし器ともいう。
3.1.4
プライミングポンプ(priming pump)
始動時に燃料管に燃料を充塡するポンプ。
3.2
気化器
3.2.1
気化器(carburetor)
液体燃料を気化して機関の吸気と混合し,併せて空燃比を制御する装置(図1及び図2参照)。
3.2.2
単純気化器(elementary carburetor)
補償装置がない主系統,フロート装置,ベンチュリ(3.2.34)及び絞り弁(3.2.42)をもつ最も簡単な気
化器(3.2.1)。
3.2.3
フロート気化器(float carburetor)
フロート(3.2.47)によって燃料油面の高さを一定にし,ベンチュリ(3.2.34)の負圧によって燃料を吸
い出す気化器(3.2.1)。
3.2.4
電子制御気化器(electronic controlled carburetor)
電子回路によって空燃比の制御を行う気化器(3.2.1)。
3.2.5
空燃比フィードバック付き気化器(air-fuel ratio feedback controlled carburetor)
空燃比フィードバック制御を行う装置を組み込んだ気化器(3.2.1)。
3.2.6
固定ベンチュリ気化器(fixed-venturi carburetor)
ベンチュリ(3.2.34)の流路面積が常に一定である気化器(3.2.1)。
3.2.7
可変ベンチュリ気化器(variable venturi carburetor)
ベンチュリ(3.2.34)の流路面積を連続的に変えることのできる気化器(3.2.1)。
3.2.8
上向気化器(updraft carburetor)
混合気出口が,上向きになっている気化器(3.2.1)。
3
B 0109-11:2019
3.2.9
下向気化器(downdraft carburetor)
混合気出口が,下向きになっている気化器(3.2.1)。
3.2.10
横向気化器(horizontal carburetor,sidedraft carburetor)
混合気出口が,横向きになっている気化器(3.2.1)。
3.2.11
単胴気化器(single-barrel carburetor)
一組のベンチュリ(3.2.34)をもつ気化器(3.2.1)(図2参照)。
3.2.12
多胴気化器(multi-barrel carburetor)
二組以上のベンチュリ(3.2.34)をもつ気化器(3.2.1)。
3.2.13
双胴気化器(two-barrel carburetor)
二組のベンチュリ(3.2.34)をもつ気化器(3.2.1)(図1参照)。
3.2.14
多連気化器(compound carburetor,multiple carburetor,multi-carburetor)
2個以上の独立した気化器(3.2.1)で構成され,複数の絞り弁(3.2.42)が同時に又は連動して作動する
気化器(3.2.1)。
注記 2個の気化器で構成される多連気化器を2連気化器(twin-carburetor)という。
3.2.15
2段気化器(two-stage carburetor)
特性の違う2個の気化器(3.2.1)で構成し,2個の絞り弁(3.2.42)が連動して作動する気化器(3.2.1)。
注記 最初に作動する気化器を一次気化器,後から作動する気化器を二次気化器という。
3.2.16
フロート系統(float circuit,float system)
気化器(3.2.1)の燃料の油面を一定に保つためのフロートを含む一連の機構。
3.2.17
主系統(main metering system,main circuit,high-speed system,high-speed circuit)
気化器(3.2.1)の内部で,アイドリング時以外には常時燃料が流れている燃料通路又はそれを形成する
一連の機構。
3.2.18
低速系統(slow speed system,idle system,idle circuit)
気化器(3.2.1)の内部で,機関のアイドリング時に燃料を流す通路。
3.2.19
ステップ系統(secondary idle system,secondary low speed system)
2段気化器(3.2.15)の2段側で,絞り弁(3.2.42)開度の小さいときに主系統からの燃料を流す通路。
3.2.20
高力系統(power system,full-power circuit,power enrichment system)
気化器(3.2.1)の内部で,機関の高出力運転時に混合気を濃くするための追加燃料を流す通路。
4
B 0109-11:2019
3.2.21
始動系統(starting system,choke system)
気化器(3.2.1)の内部で,機関の始動時にベンチュリ(3.2.34)で吸気量を制限する機構又は一連の部品。
3.2.22
加速系統(accelerating system,accelerator-pump system)
気化器(3.2.1)の内部で,機関の急加速時に混合気を濃くするための追加燃料を流す通路。
3.2.23
(気化器の)補償装置(compensating device)
例えば,エアブリードジェット(3.2.53)方式などを採用して,気化器の空燃比特性を,機関の要求に合
うように修正する装置。
3.2.24
気化器口径(bore size of throttle-body flange,throttle-diameter)
気化器(3.2.1)出口の直径。気化器の大きさを表す基準となる。
注記 気化器の出口が複数の場合は,通常,それらの口径を連記する。
3.2.25
気化器本体(carburetor body,main body of carburetor)
ベンチュリ(3.2.34),フロート室(3.2.44)などの主要部品を設けてある気化器(3.2.1)の胴体。
3.2.26
入口胴体(air intake body)
エアホーン(3.2.28)を形成し,チョーク弁(3.2.31)などを設ける部品。
3.2.27
出口胴体(flange body,throttle body)
混合気出口を形成し,絞り弁(3.2.42)などを設ける部品。
3.2.28
エアホーン(air horn,air intake)
気化器(3.2.1)の空気取入れ口(図1参照)。
3.2.30
チョーク(choke,choking)
始動時に混合気を濃くするために気化器(3.2.1)の吸気取入れ口を絞ること。
3.2.31
チョーク弁(choke valve,strangler valve,air shutter)
気化器(3.2.1)の吸気取入れ口をチョーク(3.2.30)するための弁(図1参照)。
3.2.32
チョークリリーフ弁(choke relief valve)
チョーク時,過大なベンチュリ(3.2.34)の負圧によって混合気が過濃限度を超えるのを防ぐため,チョ
ーク弁(3.2.31)に設けたリリーフ弁。
3.2.33
オートチョーク(automatic choke)
機関の温度状態によって,チョーク弁(3.2.31)を自動的に開閉する装置。
5
B 0109-11:2019
3.2.34
ベンチュリ(venturi,venturi tube)
通路に吸気を負圧にするための,のど部をもつノズル(3.2.64)。
3.2.35
ベンチュリ径(venturi diameter)
ベンチュリ(3.2.34)の,のど部の内径。
3.2.36
単ベンチュリ(single venturi)
1個の部品(中細ノズル)からできているベンチュリ(3.2.34)。
3.2.37
2重ベンチュリ(double venturi)
2個のベンチュリを組み合わせたベンチュリ(3.2.34)。
3.2.38
3重ベンチュリ(triple venturi)
3個のベンチュリを組み合わせたベンチュリ(3.2.34)
3.2.39
小ベンチュリ(primary venturi)
2重ベンチュリ(3.2.37)又は3重ベンチュリ(3.2.38)における最小のベンチュリ(3.2.34)(図1参照)。
3.2.40
中ベンチュリ(secondary venturi)
2重ベンチュリ(3.2.37)又は3重ベンチュリ(3.2.38)における小ベンチュリ(3.2.39)の次に大きい中
位の大きさのベンチュリ(3.2.34)(図1参照)。
3.2.41
大ベンチュリ(third venturi)
3重ベンチュリ(3.2.38)における最大のベンチュリ(3.2.34)(図1参照)。
3.2.42
絞り弁(throttle valve,throttle butterfly)
気化器(3.2.1)に含まれる部品で,機関の吸気量を制御する弁(図1参照)。
3.2.43
補助絞り弁(air valve,air damper)
機関への空気と燃料との混合気の流量を制御するために,双胴気化器(3.2.13)の2段側の絞り弁の上流
又は下流側に設けてある弁(図1参照)。
3.2.44
フロート室(float chamber,float bowl)
油面を一定に保つためのフロート(3.2.47)をもつ燃料槽(図1参照)。
3.2.45
フロート室通気口(float chamber vent)
フロート室(3.2.44)内油面の上部に空気圧を導くための管又は孔1)(図1参照)。
注1) ここでいう孔は一般的な孔を指す。対応国際規格の記載[ポート(3.2.67)]が誤り。
6
B 0109-11:2019
3.2.46
アウタベント(outer vent)
大気に開口したフロート室通気口(3.2.45)。
3.2.47
フロート(float,pontoon)
フロート室(3.2.44)内の燃料油面を一定に保つための浮き(図1参照)。
3.2.48
フロート弁(float valve,float needle valve)
フロート室(3.2.44)内で,フロート(3.2.47)の動きを検知したとき,燃料油面の高さを制御する弁(図
1及び図2参照)。
3.2.49
フロート高さ(float-level height)
フロート弁が閉じた状態でのフロート(3.2.47)の上面又は下面の高さを,フロート室(3.2.44)のある
基準面から測った寸法(図1参照)。
3.2.50
油面高さ(fuel-level height)
燃料油面の高さを,フロート室(3.2.44)のある基準面から測った長さ(図1参照)。
3.2.51
ジェット(jet,metering jet,metering orifice)
気化器(3.2.1)の燃料流量又はブリード空気の流量を制御するオリフィス。
3.2.52
燃料ジェット(fuel jet,petrol jet,fuel metering jet)
燃料流量を制御するジェット(3.2.51)。
3.2.53
エアブリードジェット(air jet,air bleed,well vent jet)
ブリード空気を制御するジェット(3.2.51)。
3.2.54
ニードルジェット(needle jet)
ジェットニードル(3.2.55)が入っているジェット(3.2.51)。
3.2.55
ジェットニードル(jet needle)
ジェット(3.2.51)1)の孔に入れて燃料の通路面積を変化させる針状の棒。
3.2.56
メインジェット(main jet,main-metering jet)
主系統(3.2.17)の燃料ジェット(3.2.52)(図1参照)。
3.2.57
低速ジェット(slow running jet,slow speed jet,idling jet)
低速系統(3.2.18)にある燃料ジェット(3.2.52)(図1参照)。
7
B 0109-11:2019
3.2.58
ステップジェット(secondary slow jet)
ステップ系統(3.2.19)にある燃料ジェット(3.2.52)(図1参照)。
3.2.59
パワージェット(power by-pass jet,power jet)
高力系統(3.2.20)にある燃料ジェット(3.2.52)(図1参照)。
3.2.60
パワー弁(power valve,power jet valve)
高力系統(3.2.20)の燃料流量を制御するために使用する弁(図1参照)。
3.2.61
加速ジェット(pump jet,accelerating pump jet)
加速系統(3.2.22)にある燃料ジェット(3.2.52)(図2参照)。
3.2.62
始動ジェット(starting petrol jet)
始動系統(3.2.21)にあるジェット(3.2.51)(図2参照)。
3.2.63
メインエアブリードジェット(main air bleed,main air jet)
主系統(3.2.17)に流れる空気をブリード(抽気)するジェット(3.2.51)(図1参照)。
3.2.64
ノズル(nozzle,discharge jet,discharge tube)
燃料を吸気中に噴射する噴射口又は噴射管。
3.2.65
メインノズル(main nozzle,main discharge nozzle)
主系統(3.2.17)のノズル(3.2.64)(図1参照)。
3.2.66
加速ノズル(pump discharge nozzle)
加速系統(3.2.22)のノズル(3.2.64)(図1参照)。
3.2.67
(気化器の)ポート(port,hole)
燃料を気流中に噴射するために,気化器(3.2.1)の空気通路側面に設けた孔。
3.2.68
低速ポート(idle port,idle discharge hole)
低速系統(3.2.18)のポート(3.2.67)。
3.2.69
バイパスポート(progression hole,secondary idle orifice)
2孔式の低速ポート(3.2.68)で,空気通路の上流に位置するポート(図1参照)。
3.2.70
アイドルポート(primary idle orifice,idle discharge hole)
2孔式の低速ポート(3.2.68)で,空気通路の下流に位置するポート(図1参照)。
8
B 0109-11:2019
3.2.71
ステップポート(secondary throttle barrel by-pass hole)
ステップ系統(3.2.19)のポート(3.2.67)(図1参照)。
3.2.72
始動ポート(starting mixture supply port,outlet for starting mixture)
始動系統(3.2.21)のポート(3.2.67)(図2参照)。
3.2.73
始動混合気弁(starting valve)
機関の始動時に,濃混合気を供給するバイパス通路を開閉する弁(図2参照)。
3.2.74
アイドリング調整装置(idle adjustment system,idling speed adjustment system)
円滑なアイドリング運転をするための,気化器(3.2.1)及び/又は燃料噴射装置(3.3.1)の調整を行う
装置。
3.2.75
アイドリング調濃ねじ(idle needle valve,idle adjustment screw)
アイドリング時に燃料と空気との混合比を調節するねじ(図1参照)。
3.2.76
アイドルリミッタ(idle limiter,idle stopper)
アイドリング時の燃空比をある限度以下に抑制するために,アイドリング調濃ねじ(3.2.75)の動きを制
限する装置。
3.2.77
アイドリング調速ねじ(throttle-stop screw,idle adjustment screw)
機関のアイドリング時に絞り弁(3.2.42)の開度を調整するねじ。
3.2.78
ファーストアイドル装置(fast idle system)
始動直後の暖機運転時に,機関が停止することなく円滑なアイドリングを保たせるため,絞り弁(3.2.42)
開度をある規制値以上に制限する装置。
3.2.79
ホットアイドルコンペンセータ(hot idle compensator)
機関のアイドリング時,吸気温度の上昇に伴う混合気の過濃化を防ぐための補償装置。
3.2.80
アンローダ(choke valve opener)
絞り弁全開時にチョーク弁(3.2.31)を強制的に開く機構。
3.2.81
エアブリード装置(air bleed system)
空燃比の補償装置として,また,燃料の霧化を良好にするため,燃料の通路に少量の空気を注入する装
置。
3.2.82
メインエアブリード孔(bleed hole in needle jet)
主系統(3.2.17)の空気ブリード孔1)(図1参照)。
9
B 0109-11:2019
3.2.83
低速エアブリード孔(idle air bleed,idle air bleeder,pilot air bleed)
低速系統(3.2.18)の空気ブリード孔1)(図1参照)。
3.2.84
ステップ系統エアブリード孔(step air bleed,secondary air bleed)
ステップ系統(3.2.19)の空気ブリード孔1)(図1参照)。
3.2.85
始動エアブリード孔(starting air jet)
始動系統(3.2.21)の空気ブリード孔1)(図2参照)。
3.2.86
加速ポンプ(acceleration pump)
機関の急加速時に追加燃料を噴射するポンプ(図1及び図2参照)。
3.2.87
燃料だめ(main well,reserve well)
メインジェット(3.2.56)の下流で,燃料をためる小室(図1参照)。
3.2.88
パーコレーション防止装置(anti-percolator)
パーコレーションを防ぐ装置。
注記 火花点火機関の運転時に,燃料タンクと気化器との間の燃料圧力が過度に上昇したとき,機関
への燃料供給量が過大になる。この現象をパーコレーションという。
3.2.89
高度調節弁(altitude mixture control valve,high altitude compensator)
高度の高い場所で混合気が濃くなることを防ぐように働く弁。
3.2.90
ベーパライザ(vaporizer,converter)
液化ガスを燃料とする機関の燃料を気化する装置。
3.2.91
ガスミキサ(gas mixer)
気体燃料と吸気とを混合し,その混合気の空燃比を制御する装置。
3.3
燃料噴射装置
3.3.1
燃料噴射装置(fuel injection system)
機関に燃料を噴射供給する装置。
3.3.2
電子制御燃料噴射装置(electronic control fuel injection system)
電子回路によって燃料噴射量,噴射時期などの制御を行う燃料噴射装置(3.3.1)。
3.3.3
独立(燃料)噴射装置[individual (fuel) injection system,unit pump fuel injection system]
シリンダごとに燃料噴射ポンプを配置した燃料噴射装置(3.3.1)。
10
B 0109-11:2019
3.3.4
コモンレール(燃料)噴射装置[common rail (fuel) injection system]
燃料噴射ポンプ(3.3.7)から共通の通路及び蓄圧室を経て,各シリンダに燃料を噴射する燃料噴射装置
(3.3.1)。蓄圧式(燃料)噴射装置ともいう。
3.3.5
連続流(燃料)噴射装置[continuous-flow (fuel) injection system]
連続的に燃料を供給する燃料噴射装置(3.3.1)。
3.3.6
定時(燃料)噴射装置[timed (fuel) injection system]
間欠的に燃料を噴射する燃料噴射装置(3.3.1)。間欠(燃料)噴射装置ともいう。
3.3.7
燃料噴射ポンプ(fuel injection pump)
燃料噴射弁(3.3.82)を通して,シリンダへ燃料を噴射するポンプ。
3.3.8
定行程式燃料噴射ポンプ(constant-stroke fuel injection pump)
プランジャ(3.3.30)の行程(ストローク)が一定している燃料噴射ポンプ(3.3.7)。
3.3.9
可変行程式燃料噴射ポンプ(variable-stroke fuel injection pump)
プランジャ(3.3.30)の行程(ストローク)が変化する燃料噴射ポンプ(3.3.7)。
3.3.10
ジャーク式燃料噴射ポンプ(jerk fuel injection pump)
噴射時期に合わせて必要量の燃料を送り出すプランジャ式の燃料噴射ポンプ(3.3.7)。
3.3.11
分配形燃料噴射ポンプ(distributor type fuel injection pump)
単一の加圧装置をもち,複数個のシリンダに分配装置を介して燃料を供給する燃料噴射ポンプ(3.3.7)。
3.3.12
ユニットインジェクタ(unit injector)
燃料ポンプと燃料噴射弁とを一体とした,計量及び昇圧された燃料を機関の燃焼室に噴射する燃料噴射
装置。
3.3.13
蓄圧式燃料噴射ポンプ(accumulator fuel injection pump)
プランジャ(3.3.30)を動かす力を蓄圧器から直接受け取る方式の燃料噴射ポンプ(3.3.7)。
3.3.14
単筒形燃料噴射ポンプ(single-cylinder fuel injection pump)
単一のポンプエレメント(3.3.29)及び単一の燃料吐出口だけで構成する燃料噴射ポンプ(3.3.7)。
3.3.15
多筒形燃料噴射ポンプ(multi-cylinder fuel injection pump)
機関のシリンダ数のポンプエレメント(3.3.29)を一体にし,シリンダ数に応じた燃料吐出口をもつ燃料
噴射ポンプ(3.3.7)。
11
B 0109-11:2019
3.3.16
列形燃料噴射ポンプ(in-line fuel injection pump)
ポンプエレメント(3.3.29)の軸心を,互いに平行に一平面上に配列した形式の多筒形燃料噴射ポンプ
(3.3.15)。
3.3.17
駆動軸式燃料噴射ポンプ(driveshaft fuel injection pump)
ポンプエレメント(3.3.29)のプランジャ(3.3.30)を駆動するための駆動軸又はカム軸を組み込んであ
る機械式燃料噴射ポンプ(3.3.7)。
3.3.18
V形燃料噴射ポンプ(vee fuel injection pump)
2セットのポンプエレメントをある角度を付けて,1本の駆動軸に取り付けた形式の駆動軸式燃料噴射ポ
ンプ(3.3.17)。
3.3.19
カム軸付燃料噴射ポンプ(camshaft pump,self-contained drive pump)
プランジャ(3.3.30)を駆動するためのカム軸をもつ燃料噴射ポンプ(3.3.7)。
3.3.20
カム無し燃料噴射ポンプ(camless pump)
プランジャ(3.3.30)を駆動するためのカム軸をもたない燃料噴射ポンプ(3.3.7)。
3.3.21
調量(metering)
燃料噴射装置(3.3.1)の作動範囲において,各種の制御方法によって,必要な燃料の量を調節する過程。
3.3.22
ポート切欠き式調量(port and helix metering)
プランジャ(3.3.30)に設けた一つ又は複数の楕円形の溝,及びバレルに設けた一つ又は複数のポート(逃
し孔)によって行う調量(3.3.21)。プランジャ(3.3.30)側にポート,プランジャバレル(3.3.31)側に溝
の場合もある。
3.3.23
スリーブ式調量(sleeve metering)
プランジャ(3.3.30)に組み込んだ可動式のスリーブによってポートの開閉を調節して行う調量(3.3.21)。
3.3.24
吸込み制御式調量(inlet metering)
ポンプの吸込み又は充塡行程にポンプが吸い込む燃料の量を加減して行う調量。
3.3.25
オーバーフロー式調量(over-flow type metering)
逃し弁(3.3.40)又は逃し孔(3.3.41)から余分な燃料を逃して行う方式の調量(3.3.21)。
3.3.26
逃し弁式調量(spill valve metering)
逃し弁(3.3.40)又は吸込み弁の開く時期を変えて行う方式の調量(3.3.21)。
12
B 0109-11:2019
3.3.27
逃し孔式調量(ported metering)
逃し孔(3.3.41)の開閉によって行う方式の調量(3.3.21)。
3.3.28
絞り弁式調量(throttle valve metering)
逃し弁(3.3.40)又は吸込み弁の絞りを変えて行う方式の調量(3.3.21)。
3.3.29
ポンプエレメント(pumping element)
燃料噴射ポンプ(3.3.7)のプランジャ(3.3.30)とプランジャバレル(3.3.31)との組合せ。
3.3.30
プランジャ(plunger)
ポンプエレメント(3.3.29)のプランジャバレル(3.3.31)内で往復運動をして燃料を圧送するピストン。
3.3.31
プランジャバレル(plunger barrel)
内部でプランジャ(3.3.30)が往復動することによって,燃料を圧送する筒。
3.3.32
プランジャ切欠き(helical groove,plunger helix,metering helix)
調量(3.3.21)のためにプランジャ(3.3.30)に加工した,らせん状の溝。
3.3.33
切欠きリード(helix lead)
プランジャ切欠き(3.3.32)のらせん状のリード(図3参照)。
3.3.34
切欠きの正リード(lower helix lead)
燃料の突き終わり(3.3.55)が変化するようプランジャ切欠き(3.3.32)下縁に設けた切欠きリード(3.3.33)
(図3参照)。
3.3.35
切欠きの逆リード(upper helix lead)
燃料の突き始め(3.3.54)が変化するようプランジャ切欠き(3.3.32)上縁に設けた切欠きリード(3.3.33)
(図3参照)。
3.3.36
切欠きの上下リード(upper and lower helix lead)
燃料の突き始め(3.3.54)及び突き終わり(3.3.55)の両方が変化するようプランジャ切欠き(3.3.32)上
下両縁に設けた切欠きリード(3.3.33)(図3参照)。
3.3.37
プランジャばね(plunger spring)
プランジャ(3.3.30)を底位置に戻すとともに,プランジャ(3.3.30)を駆動するタペットとカムとを接
触させておくためのばね。
3.3.38
送出し弁(delivery valve)
燃料噴射ポンプ(3.3.7)の送出し側に設けた逆止弁。
13
B 0109-11:2019
3.3.39
吸戻し弁(retraction valve,unloading delevery valve)
送出し弁(3.3.38)に組み込まれていて,燃料を吸込み側へ戻すための弁。
3.3.40
逃し弁(spill valve,by-pass valve)
オーバーフロー式調量(3.3.25)又は逃し弁式調量(3.3.26)で,燃料の吐出の終わりを制御する弁。
3.3.41
逃し孔(spill port,cut-off port,by-pass port)
オーバーフロー式調量(3.3.25)又は逃し孔式調量(3.3.27)で,燃料の吐出の始め又は終わりを制御す
る孔。
3.3.42
等圧弁(two-way delivery valve,constant pressure delivery valve)
燃料噴射管(3.3.49)内の残留圧力が一定になるように,逆止弁を付設した送出し弁(3.3.38)。
3.3.43
蓄圧室(accumulator)
燃料噴射ポンプ(3.3.7)から流れる高圧油を集め,その系統の圧力を一定に保つ容器。
3.3.44
燃料調節棒(control rod,control rack)
燃料噴射ポンプ(3.3.7)の燃料噴射量を加減する棒。
3.3.45
燃料調節棒ストッパ(control rod stopper)
機関に供給する燃料の最大噴射量を規制するため,燃料調節棒(3.3.44)の移動を制限するための部品。
3.3.46
噴射ポンプカム(injection pump cam)
燃料噴射ポンプ(3.3.7)のプランジャ(3.3.30)を駆動するカム。
3.3.47
燃料カム(fuel cam)
燃料供給ポンプ(3.1.2),燃料噴射ポンプ(3.3.7)又は燃料噴射弁(3.3.82)を作動させるカムの総称。
3.3.48
噴射ポンプタペット(injection pump tappet)
燃料噴射ポンプのカムに従動して,その運動をプランジャ(3.3.30)に伝える部品。
3.3.49
燃料噴射管(injection pipe,delivery pipe,fuel injection tubing)
燃料噴射ポンプ(3.3.7)と燃料噴射弁(3.3.82)とを連結する管。
3.3.50
燃料戻し管(leak-off pipe,fuel return pipe)
燃料噴射装置(3.3.1)から循環燃料又は漏れた燃料を供給側に戻す管。
3.3.51
噴射時期調節器(injection timing device)
機関の運転中に,燃料噴射時期を変えるための装置。
14
B 0109-11:2019
3.3.52
プランジャ行程(plunger stroke)
カムのリフトによって決まるプランジャ(3.3.30)の全変位。
3.3.53
プランジャの有効行程(effective stroke)
突き始め(3.3.54)と突き終わり(3.3.55)との間のプランジャ(3.3.30)の変位。
3.3.54
突き始め(beginning of delivery)
プランジャ(3.3.30)が燃料の吸込み孔を閉じる時期。
3.3.55
突き終わり(end of delivery)
プランジャ(3.3.30)が燃料の吐出孔を開く時期。
3.3.56
吐出し期間(duration of delivery)
突き始め(3.3.54)から突き終わり(3.3.55)までの期間。
3.3.57
静的噴射時期(static injection timing)
燃料噴射ポンプ(3.3.7)の構造によって幾何学的に決まる突き始め(3.3.54)及び突き終わり(3.3.55)。
3.3.58
動的噴射時期(dynamic injection timing)
機関の運転中に検知される,噴射始め時期(3.3.59)及び噴射終わり時期(3.3.60)。
3.3.59
噴射始め時期(fuel injection beginning)
実際に機関のシリンダへの燃料の噴射が始まる時期。通常,機関の上死点からのクランク角度で表す。
3.3.60
噴射終わり時期(fuel injection end)
実際に機関のシリンダへの燃料の噴射が終わる時期。通常,機関の上死点からのクランク角度で表す。
3.3.61
噴射期間(fuel injection period,fuel injection duration)
実際に機関のシリンダへの燃料の噴射が始まってから終わるまでの期間。通常,クランク角度で表す。
3.3.62
噴射遅れ(injection time lag,injection time delay)
燃料噴射ポンプの突き始め(3.3.54)から噴射始め時期(3.3.59)までの時間差。通常,クランク角度で
表す。
3.3.63
燃料噴射量(injection quantity)
燃料噴射弁(3.3.82)からシリンダへ噴射する燃料の量。
3.3.64
最小噴射量(minimum injection limit,minimum regular delivery,minimum discharge injection)
燃料噴射装置(3.3.1)で制御できる最小限界の噴射量。
15
B 0109-11:2019
3.3.65
主噴射(main injection)
燃料噴射弁(3.3.82)から機関への主要量の燃料の噴射。
3.3.66
パイロット噴射(pilot injection)
騒音低減,排気排出物の低減などのために主噴射(3.3.65)前に行う,少量の燃料噴射。
3.3.67
ポスト噴射(post injection)
機関の排気排出物の低減などのために主噴射(3.3.65)後に行う,少量の燃料噴射。
3.3.68
二次噴射(secondary injection)
主噴射(3.3.65)の後に発生する,異常な燃料噴射。
3.3.69
不整噴射(irregular injection,cyclic irregularity of injection)
定時噴射時に,毎回の燃料噴射量が周期的に変動すること。
3.3.70
間欠噴射(intermittent injection)
噴射の途切れることのある不整噴射(3.3.69)。
3.3.71
噴射の切れ(cut-off of injection)
あとだれ(3.3.72)の有無などの燃料噴射の終了状況。
3.3.72
あとだれ(dribbling,after-drippling,subsequent drippling)
燃料噴射終了直後の,噴口(3.3.101)からの少量の燃料漏れ。
3.3.73
吸戻し(retraction,line-pressure relief unloading)
噴射の切れ(3.3.71)において,あとだれ(3.3.72)防止のために,送出し弁が閉じるときに,燃料噴射
管(3.3.49)内の圧力を急速に低下させること。
3.3.74
吸戻し量(retraction volume)
吸戻し(3.3.73)を行うために,吸戻し弁(3.3.39)の動きによって与えた送出し弁(3.3.38)から燃料噴
射弁(3.3.82)までの高圧燃料の容積の増加量。
3.3.75
フルロードストッパ(maximum fuel stop,full-load stopper)
機関の全負荷運転時に燃料噴射量(3.3.63)を制限する装置。
3.3.76
燃料噴射量不均率,δq[unequality rate of fuel injection (from cylinder to cylinder),δq]
分配形燃料噴射ポンプ(3.3.11)又は多筒形燃料噴射ポンプ(3.3.15)で,各シリンダに対応する燃料噴
射量(3.3.63)のばらつきを示す値。
注記 燃料噴射量不均率は,次の式で表す。
16
B 0109-11:2019
100
/)
(
m
m
max
q
×
−
=
Q
Q
Q
δ
(>0)
又は,
100
/)
(
m
m
min
q
×
−
=
Q
Q
Q
δ
(<0)
ここに,
δq: 燃料噴射量不均率(%)
Qm: 各シリンダに対応する噴射量の平均値
Qmax: 各シリンダに対応する噴射量の最大値
Qmin: 各シリンダに対応する噴射量の最小値
3.3.77
燃料噴射量偏差率,δe(deviation rate of fuel injection,δe)
単筒形燃料噴射ポンプ(3.3.14)で,あらかじめ指定された燃料噴射量(3.3.63)に対する実測の燃料噴
射量(3.3.63)の偏差。
注記 燃料噴射量偏差率は,次の式で表す。
100
/)
(
s
s
a
e
×
−
=
Q
Q
Q
δ
ここに,
δe: 燃料噴射量偏差率(%)
Qa: 実測燃料噴射量
Qs: 基準燃料噴射量
3.3.78
燃料噴射率(rate of injection,rate of discharge,injection rate)
燃料噴射期間(3.3.61)内の各時刻における燃料噴射流量。
注記 燃料噴射率は,時間当たりではなく,噴射ポンプカム軸又はクランク軸の回転角度当たりで表
すこともある。
3.3.79
噴射間隔(injection interval)
多シリンダ機関における噴射の間隔。通常,クランク角度で表す。
3.3.80
噴射順序(injection order)
多筒形燃料噴射ポンプ(3.3.15)で,燃料が噴射される順序。
注記 通常,駆動軸側から番号を付ける。
3.3.81
始動燃料増量装置(excess fuel device,excess fuel starting device)
機関の始動時に,全負荷時以上の燃料を供給できるようにする装置。
3.3.82
燃料噴射弁(fuel injection valve,fuel injector)
燃料噴射ポンプ(3.3.7)からの燃料を噴射霧化する装置。
3.3.83
開口噴射弁(open nozzle)
燃料噴射ポンプとの間に,開弁圧を規制する働きがある弁をもたない燃料噴射弁(3.3.82)。
17
B 0109-11:2019
3.3.84
閉止噴射弁(closed nozzle)
燃料噴射ポンプとの間に,開弁圧を規制する働きがある弁をもつ燃料噴射弁(3.3.82)。
3.3.85
自動噴射弁(automatic injection valve)
燃料の入口圧力によって,自動的に開閉する燃料噴射弁(3.3.82)。
3.3.86
機械噴射弁(mechanical injection valve)
燃料の入口圧力に関係なく,機械的に開閉する燃料噴射弁(3.3.82)。
3.3.87
電磁噴射弁(electromagnetic injector)
通常,電磁アクチュエータ又は電磁弁で発生する電磁力によって駆動する燃料噴射弁(3.3.82)。
3.3.88
ピエゾ形噴射弁(piezo injector)
圧電アクチュエータで駆動する燃料噴射弁(3.3.82)。
3.3.89
燃料噴射ノズル(fuel injection nozzle)
燃料噴射弁(3.3.82)の主要部品。ノズル本体(3.3.90),ノズルチップ(3.3.92),ニードル弁(3.3.91)
などから成る(図4参照)。
3.3.90
ノズル本体(nozzle body)
ニードル弁の案内となるノズル(3.3.89)の部分(図5参照)。
3.3.91
ニードル弁(nozzle needle,valve needle)
ノズル(3.2.64)を構成する針状の弁体(図5参照)。
3.3.92
ノズルチップ(nozzle tip,spray tip)
先端が分割できる形式のノズル(3.2.64)において,噴口(3.3.101)をもつ構成部品(図4及び図5参照)。
3.3.93
ノズルサック(nozzle sac)
多孔式ノズルチップ(3.3.92)内部のニードル弁座と噴口(3.3.101)との間の袋状の部分(図5参照)。
3.3.94
ピントルノズル(pintle nozzle)
ノズル本体と同軸の孔を通って伸びている突出部(ピントル)があり,先端が噴口(3.3.101)の中に突
き出ているニードル弁(3.3.91)をもつノズル(3.2.64)(図6参照)。
3.3.95
スロットルノズル(throttle nozzle)
ニードル弁初期リフト期間中に燃料の流れを絞るような突出部が先端にあるニードル弁をもつ,ピント
ルノズル(3.3.94)(図6参照)。
18
B 0109-11:2019
3.3.96
ホールノズル(hole nozzle)
1個又は複数の噴口(3.3.101)をもつノズル(3.2.64)(図6参照)。
注記 ピントルノズル(3.3.94)以外のノズルの総称。
3.3.97
ロングステムノズル(long-stem nozzle)
ニードル弁(3.3.91)のしゅう動部とニードル弁座とが,比較的離れているホールノズル(3.3.96)(図6
参照)。
3.3.98
ポペットノズル(poppet nozzle)
きのこ形のニードル弁(ポペット弁)をもつノズル(3.2.64)(図6参照)。
3.3.99
冷却ノズル(internal cooled nozzle)
内部冷却構造をもつノズル(3.2.64)。
3.3.100
ノズルスリーブ(nozzle sleeve)
冷却ノズル(3.3.99)の冷却室を形成するためのスリーブ。
3.3.101
噴口(nozzle hole)
燃料噴射ノズル(3.3.89)2)に設けた燃料噴射用の孔。噴孔ともいう。
注2) 対応国際規格に記載しているノズル(3.2.64)は誤り。
3.3.102
噴口角度(hole angle)
多孔ノズルの噴口(3.3.101)の中心線がなす円すい角。
3.3.103
ノズルホルダ(nozzle holder)
ノズル(3.2.64)を保持する部品。
3.3.104
ノズルナット(nozzle assembly nut,nozzle retaining nut)
ノズル(3.2.64)をノズルホルダ(3.2.103)に取り付けるためのナット。
3.3.105
開弁圧(injection-valve opening pressure)
ニードル弁(3.3.91)が開くときの燃料の圧力。
3.3.106
閉弁圧(injection-valve closing pressure)
ニードル弁(3.3.91)が閉じるときの燃料の圧力。
3.3.107
噴射圧力(fuel injection pressure)
燃料を噴射しているときの,燃料噴射弁(3.3.82)内の燃料の圧力。
19
B 0109-11:2019
3.3.108
噴射管内圧力(fuel injection line pressure)
燃料を噴射しているときの,燃料噴射管(3.3.49)内の燃料の圧力。
3.3.109
残留圧力(residual pressure)
燃料噴射終了後,次のサイクルの燃料が送り出される前に,燃料噴射管(3.3.49)内に残存する燃料の平
均圧力。
注記 図中の番号は,この規格の用語番号を示す。
図1−双胴気化器(3.2.13)
3.2.86
3.2.87
3.2.87
3.2.63
3.2.84
3.2.82
3.2.83
3.2.65
20
B 0109-11:2019
注記 図中の番号は,この規格の用語番号を示す。
図2−単胴気化器(3.2.11)
切欠きの正リード(3.3.34)
切欠きの逆リード(3.3.35)
切欠きの上下リード(3.3.36)
図3−切欠きリード(3.3.33)
3.2.85
3.2.86
21
B 0109-11:2019
注記 図中の番号は,この規格の用語番号を示す。
図4−燃料噴射ノズル(3.3.89)
注記 図中の番号は,この規格の用語番号を示す。
図5−ノズルチップ(3.3.92)
3.3.93
3.3.91
3.3.90
3.3.92
22
B 0109-11:2019
ピントル
ノズル
(3.3.94)
スロットル
ノズル
(3.3.95)
ホール
ノズル
(3.3.96)
ロングステム
ノズル
(3.3.97)
ポペット
ノズル
(3.3.98)
図6−燃料噴射ノズル
参考文献 [1] JIS B 0108-2 往復動内燃機関−用語−第2部:機関保全用語
[2] JIS D 0116-1 ディーゼル機関−燃料噴射装置の用語−第1部:燃料噴射ポンプ
[3] JIS D 0116-2 ディーゼル機関−燃料噴射装置の用語−第2部:燃料インジェクタ
[4] JIS D 0116-3 ディーゼル機関−燃料噴射装置の用語−第3部:ユニットインジェクタ
[5] JIS D 0116-5 ディーゼル機関−燃料噴射装置の用語−第5部:コモンレール燃料噴射シ
ステム
23
B 0109-11:2019
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS B 0109-11:2019 往復動内燃機関−要素及びシステム用語−第11部:燃料装
置
ISO 7967-11:2014,Reciprocating internal combustion engines−Vocabulary of
components and systems−Part 11: Fuel systems
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
2 引用規格
3 用語及び
定義
3.3.34 切欠きの正
リード
3.3.34 JISとほぼ同じ
変更
定義の字句を変更。
噴射終わり時期→突き終わり
正確には“突き終わり”であるの
で,変更した。次回ISO規格の定
期見直しの際に変更を提案する。
3.3.35 切欠きの逆
リード
3.3.35 JISとほぼ同じ
変更
定義の字句を変更。
噴射始め時期→突き始め
正確には“突き始め”であるので,
変更した。次回ISO規格の定期見
直しの際に変更を提案する。
3.3.36 切欠きの上
下リード
3.3.36 JISとほぼ同じ
変更
定義の字句を変更。
噴射始め時期→突き始め
噴射終わり時期→突き終わり
正確には“突き始め”及び“突き
終わり”であるので,修正した。
次回ISO規格の定期見直しの際に
変更を提案する。
3.3.66 パイロット
噴射
3.3.66 JISとほぼ同じ
追加
定義にパイロット噴射の目的を追
加した。
異常な噴射と区別するために追加
した。次回ISO規格の定期見直し
の際に修正提案する。
3.3.71 噴射の切れ
3.3.71 JISとほぼ同じ
削除
対応国際規格の定義文中の,“機関
停止時”を削除。
対応国際規格では,“機関停止時”
と限定しているが,機関停止時と
は限らないので削除した。次回
ISO規格の定期見直しの際に修正
提案する。
2
3
B
0
1
0
9
-1
1
:
2
0
1
9
24
B 0109-11:2019
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及び
定義(続き)
3.3.74 吸戻し量
3.3.74 JISとほぼ同じ
変更
対応国際規格では,“燃料噴射管の
内容積の増加量”となっているが,
“送出し弁から燃料噴射弁までの
高圧燃料の容積の増加量”に変更し
た。
内容をより正確にするために変更
した。次回ISO規格の定期見直し
の際に変更提案する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 7967-11:2014,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
4
B
0
1
0
9
-1
1
:
2
0
1
9